Fidelio S2

音質
 かなりフラットだが、低音よりか高音よりかで言うなら高音より。低域は中域と同量から若干多め。締まりや制動が感じられる質。カナル型としてはそれほど量感がない割に厚みや圧力はある。重心は普通からやや低め。中域は低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。質的にはどちらかと言うと明るい。高域は若干多め。あまり大きな癖はないが、どちらかと言うと線が細く明るい質。
 分解能は価格の割に良い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ十分なものを持っている。音場感は、広さは普通からやや広め、かなり明確で把握しやすい。原音忠実性はかなり良い。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはある程度感じられる。エッジのきつさは普通で、聴き疲れは特に問題ないレベル。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。どちらかと言うと、柔らかくしっとりと鳴らして欲しい場合よりも明るく鳴らして欲しい場合に合う。ノリの良さと繊細さをある程度両立している。切れやスピード感がある。響きは適度からややあっさりで、こもり感は気にならない。
 弦楽器は繊細で生楽器らしさが感じられるし、音色も自然。金管楽器はなかなか鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。音の質感の相性、切れ、低域の質等、様々な点から見てある程度のレベルに達している。
 バランスが良く完成度の高い機種だが、ジャンルとしてはジャズ・ロックよりクラシック・ポップス向きの印象。ピアノの輪郭等で突出した表現力を発揮してくれることも多い。コストパフォーマンスは良い。

装着感
 良好。一応カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。金属部が直接耳に当たるが、特に痛くなったりはしない(個人差はあるかもしれない)。やや重いが、実用上特に問題はない。ずれやすい、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。
 イヤーピースの材質はシリコンが5サイズに加えて、Complyフォームチップ2種類が付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。音漏れ防止はカナル型としては普通からやや悪め。
 作りは価格なりからやや良いレベル。デザインはなかなか良いが、コードの色が表と裏で異なる点は人を選ぶかもしれない。コードが幅広なので、装着すると多少目立つ。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ(マイクがあるため4極)。プラグが4極のせいか、通常の3極のプラグと比べて機器によっては接触不良が発生しやすいようだ(使えないほど酷いことはまずないと思われる)。コードは幅約4mm・厚さ約1mm、かなり幅広なので扱いづらいと感じる人もいるだろう。絡みにくい点は良い。

付属品
イヤーピース5種類
Complyフォームチップ×2
キャリングケース



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
HiDefJax AcousticSteel
Fidelio S2はかなりフラット、HiDefJax AcousticSteelはややドンシャリ。低域はHiDefJax AcousticSteelの方がやや量が多い。Fidelio S2の方がやや締まりや制動が感じられる。重心はFidelio S2の方が若干低い。中域はFidelio S2の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHiDefJax AcousticSteelの方がやや量が多い。HiDefJax AcousticSteelの方がやや粗が気になる。分解能はFidelio S2の方が若干上。音の分離はFidelio S2の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はほぼ同レベル。音場感は、HiDefJax AcousticSteelの方が若干広い、Fidelio S2の方が若干明確。原音忠実性はほぼ同レベル。周波数特性上の癖のなさはFidelio S2の方が若干上。原音の粗や生っぽさはHiDefJax AcousticSteelの方が若干感じられる。エッジはHiDefJax AcousticSteelの方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHiDefJax AcousticSteelの方が若干痛い。明瞭さはFidelio S2の方が若干上、音の鮮やかさはHiDefJax AcousticSteelの方が若干上。厚みはHiDefJax AcousticSteelの方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHiDefJax AcousticSteelの方が若干感じられる。ヴォーカルはHiDefJax AcousticSteelの方が擦れやリップノイズを出してくれる。HiDefJax AcousticSteelの方がノリが良い、Fidelio S2の方が繊細。響きはHiDefJax AcousticSteelの方が若干豊か。どちらかと言うと、Fidelio S2の方がクラシック向き、HiDefJax AcousticSteelの方がロック向きという印象。弦楽器は、Fidelio S2の方がやや繊細、HiDefJax AcousticSteelの方がやや生楽器らしさが感じられる。金管楽器は、Fidelio S2の方が若干綺麗、HiDefJax AcousticSteelの方が若干鮮やか。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性は大差ない。使い分けるなら、繊細さや聴きやすさを求めるならFidelio S2、ノリの良さや生っぽさを求めるならHiDefJax AcousticSteel。

MDR-EX1000
どちらもかなりフラット。低域はFidelio S2の方が若干量が多い。特に所謂重低音より下はFidelio S2の方がしっかり出る。重心はFidelio S2の方が若干低い。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にはFidelio S2の方がやや明るい。高域はFidelio S2の方が若干量が多い。質的にはそれなりに似ているが、どちらかと言うとFidelio S2の方が伸びが良い印象。分解能はMDR-EX1000の方が若干上。音の分離はMDR-EX1000の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はMDR-EX1000の方が粗なく丁寧にこなしてくれる。音場感はMDR-EX1000の方が若干広く明確。原音忠実性はMDR-EX1000の方が若干上。周波数特性上の癖のなさはMDR-EX1000の方が若干上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはFidelio S2の方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うとFidelio S2の方が痛い。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはFidelio S2の方が若干上。厚みはMDR-EX1000の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX1000の方が若干感じられる。ヴォーカルはMDR-EX1000の方が癖がなくソースを選ばない。Fidelio S2の方が明るい。MDR-EX1000の方が淡々と鳴らす感じ。響きはFidelio S2の方が若干豊か。弦楽器はMDR-EX1000の方が若干滑らかで心地よい。金管楽器は、Fidelio S2の方が若干鮮やか、MDR-EX1000の方が若干癖がない。打ち込み系の音の表現はほぼ同レベル。音の質感の相性は大差ない。使い分けるなら、明るさや重低音を求めるならFidelio S2、癖のなさや粗のなさを求めるならMDR-EX1000。

ZH-DX200-CT
Fidelio S2はかなりフラット、ZH-DX200-CTはややドンシャリ。低域は微妙。量よりも質の違いが大きい。Fidelio S2の方が厚みや圧力のあるしっかりした質。重心の低さはほぼ同レベル。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にはFidelio S2の方が若干太い芯が通っている感じ。高域はZH-DX200-CTの方が若干量が多い。ZH-DX200-CTの方がやや線が細く目立つ。Fidelio S2の方が癖がない。分解能はFidelio S2の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はFidelio S2の方が若干広く明確。原音忠実性はFidelio S2の方が若干上。周波数特性上の癖のなさは大差ない。原音の粗や生っぽさはFidelio S2の方が若干感じられる。エッジのきつさや聴き疲れは大差ないが、どちらかと言うとFidelio S2の方が聴き疲れしやすい。高域はZH-DX200-CTの方が若干細く刺さる、ヴォーカルのサ行はFidelio S2の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはFidelio S2の方が若干上。厚みはFidelio S2の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはZH-DX200-CTの方が若干感じられる。ヴォーカルはZH-DX200-CTの方がややスモーキー。Fidelio S2の方がややノリが良い。切れやメリハリがある。響きはZH-DX200-CTの方が若干豊か。弦楽器は、Fidelio S2の方が若干生楽器らしさが感じられる、ZH-DX200-CTの方が若干心地よい。金管楽器はFidelio S2の方がやや力強い。打ち込み系の音の表現はFidelio S2の方が若干うまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、メリハリや生っぽさを求めるならFidelio S2、響きや温かみを求めるならZH-DX200-CT。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生














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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 半開放 15Hz〜24kHz 107dB 22Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
11g 13.5mm 1.2m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4.5 4 4 4 4 5 7900円

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公開日:2016.3.20