第29回 DR150試聴レポ
音質
ややドンシャリ。低域はローエンドまで綺麗に出るし、量も十分。締まっている感じではなく、柔らかい質感。中域は低域に埋もれることなく聴こえてくるが、ややおとなしめ。高域はしっかり高い音を鳴らしてくれるし、量も十分。
分解能、音場感、原音忠実性すべて価格なりのものは持っている。エッジはややきつめだが、聴き疲れとしては問題ないレベル。
明瞭さ、音の鮮やかさはそれなり。厚みは至って普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはかなり良い。ノリの良さと繊細さをある程度両立させている。響きは適度からやや豊か。
弦楽器はなかなか心地よい。チェロ等の低域もヴァイオリンの澄んだ感じもうまく表現してくれるし、ギターのエッジ等も必要量感じられる。金管楽器は高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はいまいち。低域の締まりが足りないし、切れやスピード感に欠ける。
HD595をベースにDT990PROのエッセンスを加えたような音。かなりバランス良くまとまっていると言って良いだろう。
装着感
非常に良好。側圧は普通で、ヘッドバンドも痛くない。長時間使用しても疲れない。重量は普通だが、それでいてずれにくい。ただし、ヘッドバンドの調節がしっかり固定できないのが難点。
イヤーパッドは耳をすっぽり覆うサイズで、上下左右に角度調節ができる。材質は布製。
その他
遮音性及び音漏れ防止は悪い。
作りは価格なり、デザインはそれほど癖がない。ヘッドホン本体側でもコードの着脱が可能。
プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約4mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。
付属品
ミニ→標準変換プラグ
参考
周波数特性グラフ
※スペックについては、本ページを公開した後にメーカー公表スペックが変更になっているため、現在の値とは異なります。
比較メモ
DT990PRO
どちらもややドンシャリだが、DR150の方がフラット。低域はどちらも十分な量出るが、DT990PROの方が厚みがある。どちらも柔らかめの質感。中域はどちらもそれほど低域に埋もれたりはしないが、質的な問題でDT990PROの方がやや目立つ。高域はDT990PROの方がとがった音で量も多い。分解能はどちらかと言えばDT990PROの方がやや上。音場感はDR150の方が良い。原音忠実性はDR150の方が上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT990PROの方がやや上か。ただ、どちらもウォームさがあるので、あまり明るいとは言えない。厚みはDT990PROの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良い。サ行の痛さが気にならないならDT990PROの方が艶っぽいと感じるだろうが、無難なDR150の表現も悪くないし、十分魅力的。ノリの良さならDT990PRO、繊細さならDR150。ただし、どちらも聴き込むとやや粗があるところは似ている。響きはDT990PROの方がやや豊か。DT990PROの方が中域から高域の線が細くやや痛い。弦楽器はウッドベースの量感等はDT990PROの方が良いが、滑らかでローエンドまで伸びているDR150も悪くない。金管楽器はDT990PROの方が高く鮮やかだが、刺激が強すぎると感じる人も多いだろう。その点、DR150は適度な表現と言える。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、低域の厚みが欲しいときはDT990PROの方が合うだろうし、線の細さを嫌うときにはDR150の方が合うだろう。得意分野はDR150がクラシック、DT990PROがジャズ。使い分けるなら、刺激が欲しいならDT990PRO、無難な音を望むのならDR150。
HD595
DR150はややドンシャリ、HD595はやや低音より。低域は質・量ともに非常に良く似ているが、DR150の方が若干低い音を鳴らす。また、どちらもやや曇りのようなものを感じるが、DR150の方が曇りが少ないように感じる。中域はどちらもおとなしいが低域に埋もれることはない。高域はDR150の方がかなり高く、量も多い。分解能はほぼ互角。音場感は若干HD595の方が良いように感じる。原音忠実性はDR150の方が若干良いように感じる。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。サ行の音等もやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方が上。厚みはDR150の方がある。温かみはHD595の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、サ行が多少痛くてもいいならDR150の方が良いだろう。ノリの良さならDR150、繊細さならHD595。響きはほぼ互角。DR150の方がやや細部に粗があるように感じるが、これはHD595のSENNHEIERらしいマイルドさによるところも大きいだろう。弦楽器はHD595の方が繊細で心地よいが、チェロ等の低域やヴァイオリンの澄んだ感じが欲しいときはDR150の方が良いだろう。金管楽器はDR150の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもそれほど得意ではないが、どちらかと言えばDR150の方が良いように感じる。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、高域が欲しいときにはDR150、粗を嫌うならHD595。
K501
DR150はややドンシャリ、K501は高音より。低域はDR150の方がかなり出る。特にローエンドは雲泥の差。中域はK501の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域は意外と似た鳴らし方だが、DR150の方が若干高く太い音を鳴らすように感じる。分解能は低域が出ない上に線が細い分K501の方が良いように感じる。音場感はほぼ互角。原音忠実性は基本的にはK501の方が上のように感じるが、低域の表現は微妙。DR150の方が若干エッジがきつめだが、K501の方が線が細く硬い音のため、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはK501の方が上。特に明瞭さは低域の量の違いがはっきり出る。厚みはDR150の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR150の方が上。特に温かみはかなり差がある。ノリの良さならDR150、繊細さならK501。響きはDR150の方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の表現と音の硬さ、細さ。DR150の方が遥かに豊かな低域で、K501の方が硬く線の細い鳴らし方。弦楽器はチェロ等の低域を楽しみたいならDR150の方が良いが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならK501の方が良い。金管楽器はどちらもしっかり鳴らしてくれるが、DR150の方が高く力強い鳴らし方なのに対して、K501は細く硬い鳴らし方。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、うまくない理由がまったく違う。DR150は切れが悪くウォーム過ぎるため、K501は低域が不足で線が細いため。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときにはDR150、そうでもないときはK501。
※上記のスペックはレビューを書いた時点でのものです。現在は変更になっています。
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スペック
駆動方式 | 構造 | 周波数帯域 | 音圧感度 | インピーダンス |
ダイナミック | 開放型 | 20Hz〜24kHz | 115dB | 32Ω |
重量 | ドライバー直径 | コードの長さ | コードの出し方 | 備考 |
295g | - | 3m | 片出し | - |
評点
音質 | 装着感 | 遮音性 | 音漏れ | デザイン | 携帯性 | 音の傾向 | 参考最安価格 |
4.5 | 5 | 2 | 2 | 3 | 1 | 均(高、低) | 18500円 |
今回は、フジヤエービックさんからGoldringの新製品DR150をお借りしたので、その試聴レポです。形式は普段のヘッドホンレビュー+比較メモという形で行いたいと思います。