PHP-200

音質
 ややドンシャリ。低域は厚み・量ともに適度だが、耳かけ型にしてはかなり出る方だろう。しっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はややうわずり気味で芯の通った音。高域は細く硬い音で、かなりシャリつく。
 分解能、音場感、原音忠実性すべていまいちだが、価格なりの価値はあるだろう。エッジはきつめの上、芯の通った中域のため、やや聴き疲れする。ただし、高域が出る割には聴き疲れしない部類。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みはそれなり。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ただし、ソースによってはかすれが気になる。かなりノリが良い。適度な迫力と軽快さがある。響きはややあっさりから適度。明るくてやや硬く、芯の通った音。バランスが良く、大きな欠点や癖がない。この価格帯の耳かけ型としては、それだけでも貴重と言えるだろう。ただし、その反面、突出した長所が感じられないのは否めない。
 弦楽器は原音とはかなり違うし、繊細さも心地よさもいまいち。明るくなりすぎる嫌いがある。金管楽器はなかなか鮮やかで勢いがある。打ち込み系の音の表現は悪くないが、中高域が線が細い感じでいまいち。

装着感
 良好。耳全部を覆う型より圧倒的に小型・軽量なので、疲れず邪魔にならないのは間違いない。
 耳にかける部分が結構しっかりしと固定してくれるためずれにくく、それでいて蒸れにくい。耳にかける部分がゴムっぽいコーティングをされているので、耳への負担は比較的小さい。また、上下方向の長さ調節ができる。

その他
 遮音性は悪いが、音漏れ防止は耳かけ型にしては良い。これは、一般的な耳かけ型と比べてしっかり耳に押し付けることができるおかげだろう。
 価格を考えると、作り・デザインともにかなり良い。音質や装着感等を含め、総合的に見てかなりコストパフォーマンスが良いと思われる。
 別名Rio LIVE gear。写真はブラックのものだが、他にシルバーとチタンがある。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm、柔らかいがやや癖がつきやすい。耳かけ型にして珍しいY字コード(普通の耳かけ型はU字コード)。イヤーパッドのサイズは、外周30mm×30mm。

付属品
キャリングポーチ



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-EM7
ATH-EM7はかまぼこ、PHP-200はややドンシャリながらかなりフラット。低域は圧倒的にPHP-200の方が出る。ATH-EM7は低域が不足に感じることが多いが、PHP-200はそんなことはない。音そのものも、一段低いしっかりした低音。高域もPHP-200の方が出るが、低域ほどの差はない。分解能、原音忠実性はATH-EM7の方がやや上、音場感はほぼ互角。ATH-EM7の方が線が細いのだが、PHP-200の方がサ行の音等が痛く、全体的な聴き疲れのレベルとしてはほぼ互角。明瞭さはATH-EM7の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みはPHP-200の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPHP-200の方がやや上。ノリの良さならPHP-200、繊細さならATH-EM7。響きはPHP-200の方が豊か。弦楽器の表現はほぼ互角だが、チェロ等の低域が欲しい場合にはPHP-200の方が良い。金管楽器はどちらも悪くないが、PHP-200の方が力強く前に出てくる印象。打ち込み系の音の表現は、基本的にはATH-EM7の方がうまいのだが、大抵のソースでは低域不足に感じるため、単にノリ良く楽しみたいならPHP-200の方が良いことが多い。得意分野は、どちらもポップス。個人的には、ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が楽しめる気がするが、ATH-EM7と比べて粗削りなので、クラシック等で繊細さが欲しい場合はATH-EM7の方が良いだろう。コストパフォーマンスはPHP-200の方がかなり良い。

HP-MD1
PHP-200の方がドンシャリ。低域の量は大差ないが、PHP-200の方が一段低い音を鳴らす。HP-MD1はヴォーカル等の中域にやや嫌味が出ることがあるが、PHP-200はそんなことはない。高域はPHP-200の方が細く硬い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はPHP-200の方がやや上。音場感はほぼ互角。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPHP-200の方が上。PHP-200の方がノリが良くしかも繊細。響きはPHP-200の方がやや豊か。HP-MD1は曇りが気になる。弦楽器はPHP-200の方が繊細で心地よい。金管楽器はPHP-200の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現は、低域が出ることもありPHP-200の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が良いだろう。

KSC75
KSC75はやや低音よりのドンシャリ、PHP-200はやや高音よりのドンシャリ。低域はKSC75の方が若干低い音でかなり量が多い。中域はPHP-200の方が低域の邪魔がない上、うわずり気味ではっきり聴こえてくる。高域はPHP-200の方がやや高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。音場感、原音忠実性はKSC75の方がやや上。PHP-200の方がエッジがきつい上に硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは低域の量の少なさと音の硬さからPHP-200の方がやや良いように感じる。厚みは音の質感がかなり違うため比較が難しい。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方がかなり上。どちらもノリが良いが、KSC75は繊細さも持ち合わせている反面PHP-200は繊細さはない。響きはKSC75の方がやや豊か。一番の違いは、KSC75がやや柔らかい音であるのに対して、PHP-200がかなり硬い音であることだろう。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はPHP-200の方が鮮やかで金属的な鳴りが楽しめるが、ソースによってはチープに感じる。打ち込み系の音の表現はPHP-200の方がややうまい。音の硬さがマッチしている印象。得意分野はKSC75がロック、PHP-200がポップス。使い分けるなら、打ち込み系の音を明るく硬い音で楽しみたいときやブラスメインの曲はPHP-200、それ以外はKSC75。

MDR-Q36LW
MDR-Q36LWはかなりフラット、PHP-200はややドンシャリ。低域の量はほぼ同量だが、PHP-200の方が低い音を鳴らす。高域はPHP-200の方がかなり出る上、シャリつくので余計強く感じる。分解能はPHP-200の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばPHP-200の方が良い。原音忠実性はどちらもいまいち。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPHP-200の方が上。特に音の鮮やかさは段違い。ただし、かなり粗があるのも確か。ノリの良さならPHP-200、繊細さならMDR-Q36LW。響きはPHP-200の方がやや豊か。弦楽器はPHP-200の方が線が細くワンランク上の表現だが、曇りがちな心地よさや伸びを求めるのならMDR-Q36LWの方が良いと言う人もいるかもしれない。金管楽器はPHP-200の方が圧倒的に鮮やかで元気が良い。打ち込み系の音の表現も同様で、PHP-200の方が楽しめる。これは、単にドンシャリだからというレベルを超えた話。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が楽しめるように感じるが、チープな機器で再生する場合には非常に粗が気になると思われるので、その場合にはMDR-Q36LWを使うというのも選択肢ではあると思う。

SE-EX9
どちらもややドンシャリ。低域は質・量ともに極端な違いはないが、SE-EX9の方が厚みや弾力がある。中域はPHP-200の方が嫌味がある感じではっきり聴こえてくる。SE-EX9は普通に聴こえてくる感じ。高域はSE-EX9の方が粗がなく金属的。どちらもやや高めの音で量も多い点は似ている。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-EX9の方が上。音の分離にしろ微細な表現にしろSE-EX9の方が上だし、PHP-200のような中域の嫌味やザラザラした質感等の癖がない。音場は広くしかも立体的。PHP-200が小型の密閉型とするなら、SE-EX9は大型の開放型のような音場の違いがある。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ互角。音の鮮やかさはSE-EX9の方がやや上。厚みはSE-EX9の方がある。温かみはSE-EX9の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもそれなりに良いが、SE-EX9の方が痛さがない分良いように感じる。どちらもノリの良い傾向。響きはSE-EX9の方がやや豊か。SE-EX9の方が柔らかめの音で、しかもダイナミックな鳴らし方。弦楽器はSE-EX9の方が粗がなく柔らかい。金管楽器はSE-EX9の方が鮮やかで澄んでいる。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、力強さを重視するならSE-EX9、締まりを重視するならPHP-200といった感じか。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-EX9、余程音に締まりが欲しいときだけPHP-200。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



 

※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - - 102dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
30g 30mm 1m 両出し(Y型) 耳かけ型

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 4 1 3 5 4 均(高、低) 3700円
※生産終了

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公開日:2005.8.21