第87回 Bewitched/Art Pepper「modern art」より

 Art Pepperはアメリカのサックス奏者です。ウエストコースト・ジャズの代表的なアーティストの一人として知られています。
 今回取り上げるのは1956年発表のアルバム「modern art」の2曲目です。楽器としてはアルト・サックスの他にピアノ、ウッド・ベース、ドラムスが入ってきます。静かで端正な印象を受ける曲です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。今回の曲の落ち着いた感じを壊さずに浸るような聴き方ができることを重視したいと思います。


・1台目 UR/40(KOSS)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。基本的にあまり癖がない感じで聴きやすいです。その上で、アルト・サックスはやや柔らかく落ち着いていて甘い魅力があります。
 他にはAPHN-AC30、ATH-TAD500、K121studio、PortaPro等で聴いてみました。APHN-AC30は最後までUR/40と迷いましたが、UR/40の方がややアルト・サックスの甘さが感じられたのでそちらにしました。ATH-TAD500はアルト・サックスの甘さがあまり感じられません。K121studioは悪くないのですが、ウッド・ベースにやや癖がありぼやけて悪め立ちするようなところが気になります。PortaProはメリハリがありすぎるような印象で、あまり落ち着いた感じではありません。
 不満点は特にどこがと言うより全体的に物足りない感じです。

・2台目 DTX900(beyerdynamic)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。1台目と比べるとアルト・サックスの甘さは微妙なところですが、個々の楽器に存在感があって聴きごたえがあります。それでいてまとまりがないとか癖が気になるといった問題はなく、今回の曲の落ち着いた感じを壊さずに浸るような聴き方ができる印象を受けます。
 他にはES-HF300、K612PRO、MDR-1R、SRH840、SW-HP10等で聴いてみました。ES-HF300とSRH840は悪くないのですが、DTX900と比べるとアルト・サックスの甘さが感じられません。K612PROはウッド・ベースがやや控え目なせいかあまり落ち着いた感じではありません。MDR-1Rはアルト・サックスの甘さは感じられるのですが、ウッド・ベースが目立ちすぎなのが気になります。SW-HP10はアルト・サックスの癖が気になるため浸れるような感じではありません。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・3台目 SR-007+SRM-717(STAX)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。2台目と比べるとアルト・サックスの甘さが感じられます。全体的に音が柔らかく響きのきめが細かい感じで、そういう意味で今回の曲の落ち着いた感じを壊さずに浸るような聴き方ができる印象を受けます。ウッド・ベースの量感もバランスを崩さない範囲で豊かです。この点も浸るような聴き方ができることに一役買っていると思います。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 HD650(SENNHEISER)
 色々聴いてみた結果これになりました。3台目と比べるとアルト・サックスの甘さは感じられませんが、質感の癖は小さいためそのぶん浸るような聴き方はしやすいと思います。1台目や3台目よりは2台目に近い印象で、個々の楽器に存在感があって聴きごたえがあります。
 他にはDT990PRO、H118、HDJ-2000、SRH1840等で聴いてみました。DT990PROは音源のノイズが気になるため浸れるような感じではありません。H118はウッド・ベースが目立ちすぎなのが気になります。HDJ-2000はアルト・サックスの甘さは感じられるのですが、どの楽器も塗りつぶしたような感じで細部の表現をこなしてくれないため、浸るような聴き方をするにはやや難があります。SRH1840は3、4台目と比べるとピアノとアルト・サックスの音色が明るめなせいかあまり落ち着いた感じではありません。

・5台目 IE8(SENNHEISER)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。全体的に音が柔らかく、アルト・サックスの甘さが感じられます。色々と聴いてみたのですが、HP-TWF11Rはウッド・ベースが目立ちすぎなのが気になる、Image X10はなかなか良いもののIE8と比べるとアルト・サックスの甘さが感じられない、SE535はIE8と比べると全体的に音が硬めで浸れるような感じではない等の不満がありました。
 他にはRZE-S70とMDR-XB41EXが良かったです。どちらもウッド・ベースは目立つもののアルト・サックスの甘さが感じられる傾向です。


 今回は浸るような聴き方ができることを重視したのでこのような結果になりましたが、これだと音が柔らかすぎるとか音色が暗すぎるといった不満を持つ人も出てくると思います。そういう場合にはSRH840やSRH1840の方が合うかもしれません。
 ヘッドホンアンプはSXH2が良いと思います。柔らかく落ち着いた音です。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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