第86回 Peg/Steely Dan「Aja」より

 Steely Danはアメリカのバンドです。ジャンルとしてはロックやAORに分類されることが多いようです。
 今回取り上げるのは1977年発表のアルバム「Aja」の4曲目です。このアルバムは録音が良いことで知られており、グラミー賞の最優秀録音賞も受賞しています。電気楽器を用いている優秀録音盤としてはおそらく最も有名なのではないでしょうか。ひとことで録音が良いと言っても色々ありますが、例えばS/Nが良い、音割れや雑音が少ない、周波数レンジが広い、ダイナミックレンジが広い、定位が明確、情報量が多いといった点が挙げられるのではないかと思います。今回の曲はどの点についてもある程度高いレベルにあるように思われます。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。前述のような録音の良さが感じられることを重視したいと思います。


・1台目 HP-RX900(Victor)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。今回聴いたものの中だと音場が広いおかげで定位が分かりやすいですし、ダイナミックレンジの広さも比較的感じられる印象です。HP-RX900は曲によっては声の不自然さが気になることも多いのですが、今回の曲では比較的気にならない方だと思います。
 他にはAPHN-AC30、CPH7000、K121studio、PRO DJ100等で聴いてみました。APHN-AC30は最後までHP-RX900と迷いましたが、HP-RX900の方がダイナミックレンジの広さが感じられたのでそちらにしました。CPH7000はヴォーカルばかり前に出てくる上に音場が狭いため定位が分かりにくいです。K121studioはすべての音が頭の中で鳴る感じで定位が分かりにくいですし、高域の伸びが足りないため周波数レンジの広さもあまり感じられません。PRO DJ100は悪くないのですが、ダイナミックレンジの広さはあまり感じられません。
 不満点は特にどこがと言うより全体的に物足りない感じです。

・2台目 ES-HF300(ONKYO)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。1台目と比べると音場は狭いですが、それでも定位は分かりやすい印象です。周波数レンジの広さとダイナミックレンジの広さは1台目より感じられると思います。
 他にはHA-MX10-B、K612PRO、MDR-CD900ST、SRH840等で聴いてみました。HA-MX10-BとMDR-CD900STは悪くないのですが、すべての音が頭の中で鳴る感じで定位が分かりにくい点は気になります。K612PROは音場が広いおかげで定位が分かりやすい面はあるのですが、ダイナミックレンジの広さはあまり感じられません。SRH840はなかなか良いのですが、ES-HF300と比べるとヴォーカルが前に出てくるぶん若干定位が分かりにくいように感じられたため外しました。
 不満点は1台目同様、特にどこがと言うより全体的に物足りない感じです。

・3台目 T1(beyerdynamic)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。1、2台目と比べると、特に定位が分かりやすい点が違います。それぞれの音が混ざらずに、どこでどの音が鳴っているかがきっちり把握できます。周波数レンジの広さとダイナミックレンジの広さは1台目よりは感じられますが、2台目と比べるとそこまで大きな差は感じられません。とは言え、フィーリングとしては録音の良さがかなり感じられる印象を受けます。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 HD800(SENNHEISER)
 色々聴いてみた結果これになりました。1、2台目よりは3台目に近い印象です。特に定位が分かりやすいです。3台目と比べると音場が広いおかげで更に定位が分かりやすい面がありますが、広さを除けばどちらかと言うと3台目の方が分かりやすい印象ですし、ダイナミックレンジの広さも3台目の方が若干感じられる印象です。
 他にはATH-A2000X、HP-DX1000、SR-007+SRM-717、SRH1840等で聴いてみました。ATH-A2000Xは悪くないのですが、フィーリングとしては録音の良さはそれほど感じられません。これはおそらく癖の強さが最大の原因なのではないかと思います。HP-DX1000もフィーリングとして録音の良さがそれほど感じられません。小さい音から大きい音まで満遍なく丁寧に鳴らしてくれる感じではないせいだと思います。SR-007+SRM-717は悪くないのですが、響きが豊かで音像が大きいせいで若干定位が分かりにくいように感じられます。SRH1840は3、4台目と比べるとダイナミックレンジの広さが感じられませんし、定位も分かりにくいです。

・5台目 ER-4S(Etymotic Research)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。定位が分かりやすく、フィーリングとして録音の良さが感じられます。実用上、機器のノイズを拾いにくい点、遮音性が高い点も、録音の良さを感じやすいことに大きく寄与していると思います。色々と聴いてみたのですが、e-Q7はダイナミックレンジの広さがあまり感じられない、MDR-EX1000はなかなか良いもののER-4Sと比べると機器のノイズを拾いやすい上に遮音性が低い点が大きなマイナス、SE535は周波数レンジの広さがあまり感じられない等の不満がありました。
 他にはZH-BX500とZH-DX200-CTが良かったです。最初に書いた条件をそれなりに満たしています。


 今回は広い目で見て録音の良さが感じられるものを選んだつもりですが、どの点をどのくらい重視するかや再生環境によってある程度結果が変わってくると思います。
 ヘッドホンアンプは難しいところですが、ノイズが気になりやすいヘッドホンを使うのであればAT-HA2002、そうでないならhpa200b(ハイエンド仕様)が良いのではないかと思います。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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