第67回 第7番イ長調プレスティシモ(レニャーニ:3つのカプリス〜36のカプリス OP.20)
  /村治佳織「エスプレッシーヴォ」より

 村治佳織は著名な日本のギタリストです。クラシックの枠におさまらない幅広い活躍により、日本におけるクラシック・ギターの知名度を劇的に高めたことで知られます。
 今回取り上げるのは1993年発表の1stアルバム「エスプレッシーヴォ」の12曲目です。レニャーニは19世紀前半に活躍したイタリアのギター奏者です。今回の曲はクラシック・ギターのみで構成されていて、テンポが速く軽快な曲です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。ギターの質感と今回の曲の軽快さを出してくれることを重視したいと思います。


・1台目 PRO DJ100(KOSS)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。ギターの質感、軽快さともにある程度高いレベルにあると思います。音色が自然で違和感なく聴ける点も良いです。
 他にはAPHN-AC30、CPH7000、HI2050、MDR-V6等で聴いてみました。APHN-AC30は癖がなく聴きやすいのですが、PRO DJ100と比べるとギターの質感にしろ軽快さにしろやや見劣りします。CPH7000は軽快さは良いのですが、ギターの質感はもう少し出して欲しかったところですし、質感以上に音色の癖が気になります。HI2050は悪くないのですが、高域が出すぎるせいかエッジの質に高いところだけが刺さりすぎるようなやや独特の癖があります。MDR-V6は最後までPRO DJ100と迷いましたが、ギターの質感や軽快さは大差ないものの音色の自然さはPRO DJ100の方が上のように感じられたのでそちらにしました。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・2台目 HA-MX10-B(Victor)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。1台目とかなり近い傾向ですが、HA-MX10-Bの方が若干実体感があるような印象です。
 他にはATH-M40fs、MDR-CD900ST、MDR-MA900、MUSIC SERIES ONE等で聴いてみました。ATH-M40fsはギターの質感は良いのですが、音色の癖が気になります。MDR-CD900STは悪くないのですが、軽快さはもう少し欲しかったところです。MDR-MA900は軽快さは悪くないのですが、ギターの質感をもう少し出して欲しかったところです。MUSIC SERIES ONEはギターの質感は悪くないのですが、HA-MX10-Bと比べると軽快さでやや見劣りします。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・3台目 RS-1(GRADO)
 色々聴いてみた結果これになりました。ギターの質感、軽快さともに非常に良いです。あれこれ考えず純粋にフィーリングで聴いてもかなり良い印象です。1、2台目と比べるとギターの質感がリアルです。音色としては癖があるのかもしれませんが、今回聴いた他の機種と比べて特に気になるわけではありませんし、音色も含めて軽快さやフィーリングの良さに繋がっているものと思われます。
 不満点は特にありません。

・4台目 DT660 Edition 2007(beyerdynamic)
 かなり迷いましたが、最終的にはこれになりました。3台目と比べるとギターの質感ではやや見劣りしますがそれでもかなり高いレベルですし、軽快さでは引けを取りません。切れが良くメリハリもあって、最後まで一気に聴けてしまうような感じです。
 他にはHD800、K701、SRH1840、SRS-4040等で聴いてみました。HD800はギターの質感にしろ軽快さにしろ悪くないのですが、淡々と鳴らす感じで3、4台目と比べるとフィーリングの部分で特に魅力を感じない印象です。K701とSRH1840は悪くないのですが、軽快さはもう少し欲しかったところです。SRS-4040は最後までDT660 Edition 2007と迷いましたが、DT660 Edition 2007の方が瑞々しさがあってそれが今回の曲には合っているように感じられたのでそちらにしました。ただし、軽快さや瑞々しさよりもクラシック・ギターならではの繊細さや柔らかさを楽しみたいならSRS-4040の方が合うと思います。

・5台目 ER-4S(Etymotic Research)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。ギターの質感、軽快さともにかなり良いです。クラシック・ギターならではの繊細さが感じられる点はSRS-4040に近いですが、全体を見るともう少し音色が明るく切れも良いため、総合的には4台目とSRS-4040の間のような傾向に感じられます。色々と聴いてみたのですが、e-Q7は軽快さは良いもののギターの質感はやや不満、HiDefJax AcousticSteelはギターの質感は良いものの軽快さはやや不満、MDR-EX1000はなかなか良いもののER-4Sと比べるとギターの質感で見劣りする等の不満がありました。
 他にはIE-1とXBA-1SLが良かったです。特にIE-1はギターの質感に独特の魅力があります。


 今回は明るい曲だったのでこういう結果になりましたが、クラシック・ギターにはもっと暗い曲も多く、そういう曲だと当然まったく違う結果になってくると思います。ただし、その場合でもギターの質感を重視するなら今回の内容がある程度参考になるでしょう。
 ヘッドホンアンプは難しいところですが、ギターの質感を重視するならHD-1L Limited Edition(RC1)、軽快さを重視するならhpa200b(ハイエンド仕様)、両立を目指すならHead Amp 2/MkII SEといった感じになると思います。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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