第60回 Dragon Rises/「医龍 Team Medical Dragon 2 オリジナル・サウンドトラック」より

 今回取り上げるのは、2007年放送のテレビドラマ「医龍 Team Medical Dragon 2」のオリジナル・サウンドトラックから1曲目です。
 音楽は澤野弘之と河野伸。澤野弘之はこの作品で高く評価され、その後「青の祓魔師」「ギルティクラウン」「進撃の巨人」等の作品で音楽を手がけています。今回の曲は緊張感と迫力のあるものになっています。音としては基本的に打ち込みだと思いますが、エレキ・ギターやドラムスからロック風に感じられる面がある上、弦楽器や人の声のような音も使われています。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。今回の曲の緊張感と迫力をしっかり出してくれること、それには切れと低域の量が大事になってくると思われます。あとはフィーリングで選んでいきたいと思います。


・1台目 HPS5000(BEHRINGER)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。切れと低域の量をうまく両立していて、緊張感と迫力いずれも十分という印象です。どうも今回の音源は低域の量がかなり多いバランスになっていて、ヘッドホンとしてはそれほど多くなくても十分な迫力が出るような感じです。
 他にはATH-WS70、HA-S800、MDR-V6、PortaPro、RH-200等で聴いてみました。ATH-WS70はなかなか良いのですが、少し低域の量が多すぎる感じですし、フィーリングの部分でHPS5000ほど緊張感が出ない印象です。HA-S800は低域の量が多すぎて明らかに破綻しています。MDR-V6は悪くないのですが、中低域が少ないせいで緊張感と迫力の両方が若干損なわれている印象ですし、音色に癖があります。PortaProは迫力がありますしそれらしい雰囲気も出るのですが、切れはもう少し欲しかったところです。RH-200は悪くないのですが、少し低域の量が多すぎる感じですし、フィーリングの部分でHPS5000ほど緊張感が出ない印象です。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・2台目 K181DJ(AKG)
 かなり迷ったのですが、最終的にはこれになりました。低域の量が多すぎる点が引っかかったのですが、緊張感と迫力の両方をしっかり出してくれるものはどれかと考えていくと、今回聴いた中ではこれしかありませんでした。1台目と比べると低域の量が多いぶん迫力があります。それでいて緊張感でも負けていません。
 他にはAH-D1100、HA-MX10-B、MDR-CD900ST、SRH840等で聴いてみました。AH-D1100は悪くないのですが、少し低域の量が多すぎる感じですし、フィーリングの部分でK181DJほど緊張感が出ない印象です。HA-MX10-Bは緊張感は良いのですが、迫力はもう少し欲しかったところです。MDR-CD900STとSRH840は悪くないのですが、緊張感と迫力どちらもそこそこで、特にこれでなくてもという印象です。
 不満点は、少し低域の量が多すぎる点です。

・3台目 HD25-1(SENNHEISER)
 2台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはある程度改善されますし、最初に書いた条件についてもしっかり満たしています。今回の曲の緊張感は重さを伴う面があるように感じられるのですが、HD25-1は音色が落ち着いているおかげか重さがきちんと出ている印象です。1、2台目はHD25-1と比べると少し明るいところがあって、そのぶん重さが足りないように感じられます。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 CUSTOM ONE PRO(beyerdynamic)
 色々聴いてみた結果これになりました。今回聴いた中では3台目とかなり近い傾向です。最初に書いた条件を満たしているだけでなく、重さがきちんと出ている点も似ています。大きな違いは、4台目の方が重低音の量が多く音場が広い点です。
 他にはHFI-780、HP-DX1000、PROline750、SR-325i等で聴いてみました。HFI-780は緊張感と迫力については悪くないのですが、かなり明るいため今回の曲の重さがあまり感じられません。HP-DX1000は緊張感と迫力どちらも出してくれるのですが、音色の癖と重さの不足が若干気になります。PROline750は迫力は良いのですが、味付けされているような感じでそれによってやや緊張感が損なわれてしまう印象を受けます。SR-325iは緊張感は良いのですが、迫力と重さはもう少し欲しかったところです。

・5台目 IE800(TDK)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。特に緊張感が良いです。IE800はカナル型としては低域の量は多くありませんし特に迫力がある方でもありませんが、今回の音源は低域の量がかなり多いバランスになっているためこれくらいがベストのように感じられます。重さについても同様で、これ以上を求めると他の部分にしわ寄せが行きそうです。色々と聴いてみたのですが、HiDefJax AcousticSteelは低域の量が多すぎる、MDR-EX1000はなかなか良いもののフィーリングの部分でIE800ほど緊張感が出ない、Turbine Pro Copperは音色の癖と重さの不足がやや気になる等の不満がありました。
 他にはHP-FX500とHA-FXD80が良かったです。聴き疲れは多少気になりますが、どちらも最初に書いた条件をある程度満たしていると思います。


 今回は音源の低域が多かったせいで、思ったほど低域の多いヘッドホンでなくても十分な迫力が得られたような印象です。人によってはHA-MX10-BやSR-325iくらいで十分なのではないかと思います。
 ヘッドホンアンプは難しいところですが、音源の低域が多いことを踏まえて今回選んだようなヘッドホンを使うならHead Amp 2/MkII SE、そういったことを考えずに選ぶならHD-1L Limited Edition(RC1)になるかと思います。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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