第59回 TITULOS FINALES/「MAR ADENTRO」より

 今回取り上げるのは、2005年公開のスペイン映画「MAR ADENTRO(邦題『海を飛ぶ夢』)」のオリジナルサウンドトラックから18曲目です。
 音楽はAlejandro Amenabar、スペインのバグパイプ奏者Carlos Nunezが全面参加していることでも有名です。今回の曲はバグパイプが主旋律を奏でる力強いものになっています。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。バグパイプの濁りのある音をしっかり表現してくれることと、今回の曲の力強さやスケールの大きさを出してくれることを重視したいと思います。


・1台目 MDR-V6(SONY)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。特にバグパイプの濁りのある音をしっかり表現してくれる点が良いです。力強さやスケールの大きさについても及第点だと思います。
 他にはATH-WS70、DT231PRO、HA-S800、HP-RX900、PortaPro等で聴いてみました。ATH-WS70は悪くないのですが、バグパイプの音色がやや人工的な感じで不自然なのが気になります。DT231PROはバグパイプの表現はなかなか良いのですが、力強さはもう少し欲しい印象です。HA-S800は力強さはしっかり感じられるのですが、耳の近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になるためスケールの大きさがあまり感じられません。HP-RX900は音場が広くスケールの大きさが感じられる点は良いのですが、バグパイプの音色の癖が気になります。PortaProは最後までMDR-V6と迷いましたが、MDR-V6の方がバグパイプの濁りのある音をしっかり表現してくれるように感じられたのでそちらにしました。ただし、今回の曲の悲哀や重苦しさを出して欲しいならPortaProの方が良いと思います。
 不満点は、今回の曲のスケールの大きさ、それから悲哀や重苦しさをもう少し出して欲しい点です。

・2台目 SRH840(SHURE)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。この点についてはある程度改善されます。バグパイプの表現や力強さについても及第点だと思います。全体的にあまり癖がなくすんなり音楽に入り込める点も良いです。
 他にはAH-D1100、DTX900、MDR-1R、SE-A1000等で聴いてみました。AH-D1100は1台目の不満点についてはある程度改善されますが、バグパイプの音色がやや人工的な感じで不自然なのが気になります。DTX900は最後までSRH840と迷いましたが、SRH840の方がスケールが大きいように感じられたのでそちらにしました。ただし、悲哀を出して欲しいならDTX900の方が良いと思います。MDR-1Rは悲哀や重苦しさについては改善されますが、バグパイプの表現がいまいちですし、低域の量が多すぎて聴き苦しい印象です。SE-A1000はスケールの大きさについては改善されるのですが、悲哀や重苦しさはもう少し出して欲しかったところです。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・3台目 PROline750(ULTRASONE)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。バグパイプの表現、力強さやスケールの大きさ、いずれもかなり良いです。力強さやスケールの大きさは単に低域の量が多いということではなく、音の厚み、音場の広さ、メリハリといった様々な要素によるものだと思います。悲哀や重苦しさについても1台目のように不満が出ることはありません。ただし、2台目と比べると癖は強いです。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 DT990 Edition 2005(beyerdynamic)
 色々聴いてみた結果これになりました。最初に書いた条件についてはすべてしっかり満たしています。3台目と比べると線が細く生楽器らしさが感じられる代わり、力強さでは若干見劣りする印象です。バグパイプの表現にある程度違いがあるので、その点でどちらが好みに合うか違ってくるのではないかと思います(4台目の方が線が細く明るい印象です)。
 他にはDT880、HD650、HP-DX1000、PS500等で聴いてみました。DT880とHD650はなかなか良いのですが、バグパイプを少し綺麗に鳴らしすぎな気がしますし、3、4台目と比べると力強さで見劣りします。HP-DX1000はバグパイプの音色の癖がやや気になりますし、悲哀や重苦しさもあまり感じられません。PS500は悪くないのですが、バグパイプの表現がもう少し欲しいですし、低域の量が多すぎて聴き苦しい印象です。

・5台目 EPH-100(YAMAHA)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。バグパイプの表現、力強さやスケールの大きさ、いずれもかなり良いです。悲哀や重苦しさについても悪くありません。色々と聴いてみたのですが、HiDefJax AcousticSteelはなかなか良いもののEPH-100と比べると悲哀や重苦しさで若干見劣りする、HP-TWF11Rは力強さやスケールの大きさは良いもののバグパイプの表現がいまいち、SE535はやや力強さに欠ける等の不満がありました。
 他にはSE215とHA-FX3Xが良かったです。どちらも最初に書いた条件をある程度満たしていると思います。


 今回は曲の特徴を際立たせるような探索方針だったので、聴いてみるとくどいように感じられる人もいるかもしれません。その場合にはもっとフラットで癖のないヘッドホンを使うことをお勧めします。
 ヘッドホンアンプはAT-HA2002が良いと思います。力強さやスケールの大きさを出してくれます。次点はHD-1L Limited Edition(RC1)です。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら。













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