第25回 フィガロの結婚/モーツァルト

 今回取り上げるのはモーツァルトのオペラ「フィガロの結婚」です。指揮はクライバー、演奏はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で、1955年の録音です。
 「フィガロの結婚」は、モーツァルトのオペラの中でも最も有名で人気のあるものの一つです。内容は以前取り上げたオペラ「トスカ」と比べると全体を通して重苦しい感じがせず気軽に楽しめる雰囲気です。今回の録音は名盤と言われることも多い評価の高いもので、1955年としては録音状態も良好だと思います。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。演奏時間は約3時間と長く使用される楽器も多いので人それぞれ重視する点が違ってくるでしょうが、今回は適度に明るさや華やかさを出してくれること、あまり聴き疲れしないこと、声を伸び伸びと鳴らしてくれることの三点を重視したいと思います。


・1台目 T-7M(FOSTEX)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。特にソプラノの抜けが良く伸び伸びと鳴らしてくれる点が良いです。全体的に音色が自然ですんなり聴くことができます。ヴァイオリンの澄んだ表現も魅力的です。
 他にはHD497、MDR-XD400、SHP8900、UR/40等で聴いてみました。HD497は最後までT-7Mと迷いましたが、T-7Mの方が自然と言える範囲内で明るかったのでそちらにしました。MDR-XD400は全体的にうっすら曇っている点が気になります。SHP8900はT-7Mと比べると声を伸び伸び鳴らしてくれません。UR/40は悪くないのですが、T-7Mと比べると全体的にやや暗めで今回の曲の明るさや華やかさを出してくれません。
 不満点は、声や弦の密度が薄いような感じで滑らかさに欠ける点です。

・2台目 HP-AURVN-LV(CREATIVE)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。その点についてはしっかり改善されますし、適度に明るく声を伸び伸びと鳴らしてくれる点もかなり良いです。
 他にはATH-AD700、ATH-SX1、K240monitor、MUSIC SERIES ONE等で聴いてみました。ATH-AD700とATH-SX1は1台目の不満点は改善されますが、HP-AURVN-LVと比べると暗くて声を伸び伸び鳴らしてくれません。K240monitorは最後までHP-AURVN-LVと迷いましたが、HP-AURVN-LVの方が自然と言える範囲内で明るかったのでそちらにしました。MUSIC SERIES ONEは悪くないのですが、さすがに耳の近くで音を鳴らす感じが気になります。
 不満点は特にありませんが、音場が広いとなお良いだろうとは思います。

・3台目 SR-007+SRM-717(STAX)
 最初に書いた条件を満たしつつ2台目の不満点を改善できるように感じたので選びました。音場の広さについてはこれ以上のものはそうないと思います。かなり聴き疲れしにくいため、多少音量を上げても3時間聴き続けることができるのではないでしょうか。声は伸び伸びと言うよりは柔らかく心地よい印象ですが、特に不満は感じませんし、むしろハーモニーや響きの美しさに充足感を得られるように思います。弦の澄んだ表現も魅力的です。他には、上品で今回の曲の雰囲気にマッチしている点も長所だと思います。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 K701(AKG)
 色々聴いてみた結果、これになりました。音場が広い点、かなり聴き疲れしにくい点、上品で今回の曲の雰囲気にマッチしている点等、3台目との共通点が多い印象です。違いは、良くも悪くもこちらの方が普通の音である点だと思います。
 他にはAH-D5000、HD800、KH-K1000、RS-1等で聴いてみました。AH-D5000は2台目の不満点を改善するだけなら適任なのですが、更にプラスアルファを持っているSR-007+SRM-717やK701と比べると見劣りする印象です。HD800は悪くないのですが、声にもう少し柔らかさが欲しいように感じます。KH-K1000は声の音色が若干不自然で伸びきれない感じが気になります。RS-1はやや明るすぎる気がしますし、長時間聴くには聴き疲れが問題になると思います。

・5台目 HiDefJax AcousticSteel(ATOMIC FLOYD)
 最初に書いた条件に加えて音場の広さが魅力的だったので選びました。特に、適度に明るさや華やかさを出してくれる点は良いです。ただし、聴き疲れについては3時間となると問題になることもあると思います。色々と聴いてみたのですが、ER-4Sは聴き疲れしやすい、GR8とImage X10はHiDefJax AcousticSteelと比べるとうっすら曇っていて明るさが足りない等の不満がありました。
 他にはSHE9501とCX300が良かったです。SHE9501は聴き疲れのなさと音場の広さ、CX300は適度な明るさとバランスの良さが長所です。


 今回はSR-007+SRM-717とK701が特に良かったように思います。どちらもクラシックと相性が良いと言われることの多い機種ですが、中でもモーツァルトの楽曲とはかなり相性が良いことが多いように思います。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)が良いと思います。声の表現が自然です。あるいは、HD650のような柔らかい音を鳴らすヘッドホンを使うのであればhpa200b(ハイエンド仕様)は曇りや暗さを払拭してくれる感じで相性が良いと思います。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら。













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