ATH-CM707

音質
 そこそこフラットだが、厳しく見るならややかまぼこ。低域は若干量が少ない。存在感はそれなりにある。ソースによってはやや歪みが気になることがある。重心の低さは普通。中域は低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、ソースによっては張り出すような癖が気になることがある。中高域はしっかり出る。高域は若干少なめ。どちらかと言うと線の太い質。やや伸びが悪い。
 分解能は価格なり。音の分離はそれなり、一つ一つの音の微細な描写はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。音場感は広さ・明確さともに普通。上下よりも左右に広い。インナーイヤーにしては耳から離れたところで音を鳴らすような印象。原音忠実性はそれなり。低域・中域ともに多少気になるが、一聴してそれほど大きな違和感はない。原音の粗や生っぽさはそれなりに感じられる。エッジはあまりきつくないが、中域の張り出しで疲れる面がある。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。高域よりはヴォーカルのサ行の方が痛い。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなりと評価すべきかなかなか良いと評価すべきか迷うところ。厚みはやや厚め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルは柔らかくしっとりと鳴らして欲しい場合には合わない。ややノリが良い傾向。切れやスピード感、低域に基づく迫力や力強さ、いずれも悪くない。響きは適度からややあっさり。ソースによっては太い芯が通っているように感じられることがある。
 弦楽器は普通に聴けるが、繊細さにしろ心地よさにしろあまり良くはない。金管楽器は鮮やかと言うより太く力強い傾向で、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はそれなりと評価すべきかなかなか良いと評価すべきか迷うところ。音の質感の相性にしろ切れにしろ若干良い印象。
 厳しく見るなら低域の歪み、中域の張り出し、高域の伸びの悪さといった欠点があるものの、インナーイヤーとしては悪い意味での軽さがあまり気にならない点が魅力。
 上記の内容はアタッチメント不使用の際のもの。アタッチメントを使用すると全体的に柔らかく温かみのある音になる。

装着感
 良好。一般的なインナーイヤーヘッドホンなので、装着しにくい等の問題はないし、長時間装着してもそれほど疲れるわけではない。ずれやすさは基本的には普通のインナーイヤーヘッドホンなみで、コードを引っ掛けたりしない限り問題ないレベル。重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。ただ、人によっては棒状の本体が邪魔に感じるかもしれない。サイズはやや大きめ。
 付属しているアタッチメント(通常のスポンジ状)を使用すると、ずれにくくなり装着感が良くなるように感じる。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。いずれも開放型イヤホンとしては平均レベル。
 作りは価格なりからやや良いレベル。デザインは基本的に地味だが、形状を細かく見ていくなら個性的な部分もある。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は約2mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。

付属品
アタッチメント
0.6m延長コード
キャリングポーチ



参考
メーカー製品ページ

比較メモ
ATH-CHX7
ATH-CHX7はやや高音より、ATH-CM707はややかまぼこ。低域はほぼ同量だが、どちらかと言うとATH-CHX7の方が多い。質的にもそれなりに似ているが、どちらかと言うとATH-CM707の方が締まりや圧力が感じられる。重心の低さはほぼ同レベル。中域はATH-CM707の方が張り出すような癖がある分はっきり聴こえてくる。高域はATH-CHX7の方が若干量が多い。明るい質で目立つ。分解能は大差ないが、どちらかと言うとATH-CHX7の方が上。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はATH-CHX7の方が若干勝っている。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベル。ATH-CHX7の方がやや前方定位する感じ。原音忠実性はATH-CHX7の方が若干上。ATH-CM707は中域の癖が気になる。原音の粗や生っぽさはATH-CHX7の方が若干感じられる。エッジはATH-CHX7の方が若干きついが、ATH-CM707の方が中域の張り出しで疲れる面があり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろATH-CHX7の方が若干痛い。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはATH-CHX7の方が若干上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルはATH-CHX7の方が癖が無くソースを選ばない。ノリの良さはほぼ同レベル。響きはほぼ同レベル。バランスは多少違うが、基本的には似たところの多い機種。弦楽器は微妙。基本的にはATH-CHX7の方が癖がなく聴きやすい。金管楽器はATH-CHX7の方が若干鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-CHX7の方が若干うまい。音の質感の相性で若干勝っている。使い分けるなら、中域の癖のなさや高域の量を求めるならATH-CHX7、高域の聴きやすさや中域の量を求めるならATH-CM707。

EP-AVNAIR
ATH-CM707はややかまぼこ、EP-AVNAIRはややドンシャリ。低域はEP-AVNAIRの方がやや量が多い。EP-AVNAIRの方がしっかりした質。ATH-CM707の方が歪みが気になることが多い。重心はEP-AVNAIRの方がやや低い。中域は、ATH-CM707の方が張り出すような癖がある分はっきり聴こえてくるのに対して、EP-AVNAIRの方が音の分離が良い分はっきり聴こえてくる。高域はEP-AVNAIRの方が若干量が多い。硬く明るい質で目立つ。EP-AVNAIRの方が伸びが良い。分解能はEP-AVNAIRの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は微妙。ATH-CM707の方が左右に広い、EP-AVNAIRの方が上下に広い。明確さはEP-AVNAIRの方がやや上。原音忠実性はEP-AVNAIRの方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはEP-AVNAIRの方が若干感じられる。エッジのきつさは大差ないが、ATH-CM707の方が中域の張り出しで疲れる面がある。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはEP-AVNAIRの方がやや上。厚みはEP-AVNAIRの方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルはEP-AVNAIRの方が癖がなくソースを選ばない。EP-AVNAIRの方がノリが良い。EP-AVNAIRの方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはATH-CM707の方が若干豊か。弦楽器はEP-AVNAIRの方が繊細で、音色も自然。金管楽器は、ATH-CM707の方が太い芯が通っている感じ、EP-AVNAIRの方が癖がない。打ち込み系の音の表現はEP-AVNAIRの方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはEP-AVNAIR、EP-AVNAIRでは低域の量が多すぎるとか音場が左右に狭いという不満があるならATH-CM707。

HP-NZ13
ATH-CM707はややかまぼこ、HP-NZ13はやや高音より。低域はATH-CM707の方が若干量が多い。ATH-CM707の方がしっかりした質。どちらも歪みが気になることがあるが、どちらかと言うとHP-NZ13の方が酷い。重心はATH-CM707の方がやや低い。中域は、ATH-CM707の方が張り出すような癖がある分はっきり聴こえてくるのに対して、HP-NZ13の方が低域が少ない分はっきり聴こえてくる。高域はHP-NZ13の方が若干量が多い。明るく鋭い質で目立つ。分解能はHP-NZ13の方が若干上。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はHP-NZ13の方が若干上。音場感は、ATH-CM707の方が若干広い、HP-NZ13の方が若干明確。原音忠実性は微妙。全体のバランスはATH-CM707の方が若干良いが、個々の音はHP-NZ13の方が癖がないことも多い印象。原音の粗や生っぽさはHP-NZ13の方が若干感じられる。エッジはHP-NZ13の方が若干きついが、ATH-CM707の方が中域の張り出しで疲れる面があり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHP-NZ13の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-NZ13の方が若干上。厚みはATH-CM707の方がややある。温かみはATH-CM707の方が若干感じられる、ヴォーカルの艶っぽさはHP-NZ13の方が若干感じられる。ノリの良さは微妙。HP-NZ13の方が切れやスピード感がある。ATH-CM707の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはATH-CM707の方が若干豊か。弦楽器はHP-NZ13の方が若干繊細。金管楽器は、ATH-CM707の方がやや太く力強い、HP-NZ13の方がやや細く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-NZ13の方が若干うまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、厚みや低域の量を求めるならATH-CM707、中域の癖のなさや高域の量を求めるならHP-NZ13。

MD827FE/A
ATH-CM707はややかまぼこ、MD827FE/Aはややドンシャリ。低域はMD827FE/Aの方がやや量が多い。特に所謂重低音はMD827FE/Aの方がしっかり出る。MD827FE/Aの方がしっかりした量感のある質。ATH-CM707の方が歪みが気になることが多い。重心はMD827FE/Aの方がやや低い。中域はATH-CM707の方が張り出すような癖がある分はっきり聴こえてくる。高域はMD827FE/Aの方がやや量が多い。線の細い質。MD827FE/Aの方が伸びが良い。分解能はMD827FE/Aの方がやや上。一つ一つの音の微細な描写に差があるし、音の分離でも若干勝っている。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベル。原音忠実性はMD827FE/Aの方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジのきつさは大差ないが、ATH-CM707の方が中域の張り出しで疲れる面がある。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、ATH-CM707の方がやや粗っぽく痛い、MD827FE/Aの方がやや細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはMD827FE/Aの方が若干上。厚みはATH-CM707の方がややある。温かみはほぼ同レベル、ヴォーカルの艶っぽさはMD827FE/Aの方がやや感じられる。MD827FE/Aの方が繊細。ATH-CM707の方が骨太でがっしりしている。響きはほぼ同レベル。弦楽器はMD827FE/Aの方が繊細で、音色も自然。金管楽器は、ATH-CM707の方が太く力強い、MD827FE/Aの方が細く綺麗。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性や切れは大差ない。ATH-CM707は癖の強さや低域不足が気になることがあるのに対して、MD827FE/Aは線の細さが合わないことがある。使い分けるなら、基本的にはMD827FE/A、MD827FE/Aでは繊細すぎるとか重低音の量が多すぎるという不満があるならATH-CM707。

OMX680
ATH-CM707はややかまぼこ、OMX680はやや高音よりのかまぼこ。低域は微妙。ソースによって印象が変わりやすい。どちらかと言うとATH-CM707の方が存在感があることが多いが、OMX680の方が量感があるように感じられることもある。重心はATH-CM707の方が若干低い。中域は、基本的にはOMX680の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、ATH-CM707の方が張り出すような感じで目立つこともある。中高域はATH-CM707の方がしっかり出る。高域はOMX680の方が若干量が多い。線の細い質。OMX680の方が伸びが良い。分解能は大差ないが、どちらかと言うとOMX680の方が上。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はOMX680の方が若干上。音場感は微妙。ATH-CM707の方が左右に広い、OMX680の方が上下に広い。明確さはほぼ同レベル。OMX680の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはほぼ同レベル。原音の粗や生っぽさはATH-CM707の方が若干感じられる。エッジのきつさは大差ないが、ATH-CM707の方が中域の張り出しで疲れる面がある。高域はOMX680の方が若干細く刺さる、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さはOMX680の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはATH-CM707の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはOMX680の方が若干感じられる。ヴォーカルはOMX680の方が透明感があり聴きやすい。ATH-CM707の方がややノリが良い、OMX680の方がやや繊細。ATH-CM707の方が低域に基づく迫力や力強さがある。OMX680の方が全体的にあっさりしている。響きはOMX680の方が若干豊か。ATH-CM707の方がソースによっては太い芯が通っているように感じられることがある。弦楽器はOMX680の方がやや繊細。ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならOMX680の方が良い。金管楽器は、ATH-CM707の方がやや太く金属的、OMX680の方がやや細く綺麗。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はOMX680の方が若干上だが、線の細さが合わないことがある。使い分けるなら、厚みや力強さを求めるならATH-CM707、明瞭さや繊細さを求めるならOMX680。

UBQ-ES703
ATH-CM707はややかまぼこ、UBQ-ES703はやや高音より。低域はATH-CM707の方が若干量が多い。ATH-CM707の方がしっかりした質。UBQ-ES703の方が薄く曇ったような質。重心はATH-CM707の方がやや低い。中域は、ATH-CM707の方が張り出すような癖がある分はっきり聴こえてくるのに対して、UBQ-ES703の方が低域が少ない分はっきり聴こえてくる。高域はUBQ-ES703の方が若干量が多い。線の細い質。UBQ-ES703の方が伸びが良い。分解能は大差ないが、どちらかと言うとUBQ-ES703の方が上。音の分離はほぼ同レベル、一つ一つの音の微細な描写はUBQ-ES703の方が若干上。音場感は微妙。ATH-CM707の方が左右に広い、UBQ-ES703の方が上下に広い。明確さはほぼ同レベル。UBQ-ES703の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はUBQ-ES703の方が若干上。周波数特性上の癖のなさで若干勝っている。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはUBQ-ES703の方が若干きついが、ATH-CM707の方が中域の張り出しで疲れる面があり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域はUBQ-ES703の方が若干細く刺さる、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはUBQ-ES703の方が若干上。厚みはATH-CM707の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはUBQ-ES703の方がやや感じられる。ヴォーカルはUBQ-ES703の方がスモーキーで聴きやすい。ATH-CM707の方がややノリが良い、UBQ-ES703の方がやや繊細。ATH-CM707の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはUBQ-ES703の方がやや豊か。ATH-CM707の方がソースによっては太い芯が通っているように感じられることがある。弦楽器はUBQ-ES703の方が繊細で、音色も自然。金管楽器は、ATH-CM707の方がやや太く力強い、UBQ-ES703の方がやや細く明るい。打ち込み系の音の表現はATH-CM707の方が若干うまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、厚みや低域の量を求めるならATH-CM707、響きや高域の量を求めるならUBQ-ES703。













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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 10Hz〜24kHz 104dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
6g 15.4mm 0.6m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 2 3 4 5 均(中) 5400円

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公開日:2012.10.2