ATH-CK52

音質
 高音よりのドンシャリ。低域はある程度厚みや締まりがあり、かつ粘りもあるような独特の質。量的には中域より若干多いという程度で、それほど多くはない。中域は若干うわずるような感じがあるが、その割には遠くで鳴らしているようで目立たない。高域は高く鋭く、かなり量が多い。
 分解能は価格の割に良いが、これは音が粗いおかげとも取れる。音場感はなかなか良い。やや耳から離れたところで音を鳴らすような感じ。原音忠実性は良くない。原音の粗はそれなりに感じられるのだが、周波数特性上の癖が致命的。エッジはきつく、高域の鋭さも加わって聴き疲れしやすい。ホワイトノイズはやや大きめ。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいまいち。ヴォーカルは擦れが気になる。どちらかと言えばノリが良い傾向。響きは適度。中域から高域がザラザラした質感で、繊細さや心地よさが足りない。
 弦楽器は粗が気になり、心地よくない。金管楽器は高く鮮やかだが、味付けしすぎな感がある。打ち込み系の音の表現はそれなり。低域の質感、音の厚み、切れ等、様々な点について及第点だが、他のソースと同様に粗や音の割れが気になる。
 総合的に見ると価格なりではあるのだが、聴き疲れやザラザラした質感が駄目な人にとっては使用に堪えない機種だろう。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。ずれやすい、重い、コードが顔に当たりやすい等の不満もない。
 ただし、LOOP SUPPORTという独自の形状を採用しているため、人によってはその部分が当たる場所に違和感があるかもしれない。
 イヤーピースの材質はシリコン。3サイズ付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。ただし、遮音性にしろ音漏れ防止にしろはカナル型にしては良くない。
 作りは普通。デザインはLOOP SUPPORTのため多少癖はあるが、基本的には悪くない。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は約2mm、やや硬く癖がつきやすい。

付属品
イヤーピース3種類



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-CK7
ATH-CK52は高音よりのドンシャリ、ATH-CK7はややドンシャリ。低域はどちらもしっかり低い音を鳴らしてくれる点は似ているが、ATH-CK7の方がやや量が多い。中域はどちらも似たような癖があるが、ATH-CK52の方がややうわずっていて悪い意味で目立つ感じ。高域はATH-CK52の方が高く鋭い音で量も多い。分解能はほぼ同等だが、ATH-CK52の方がエッジがきつく鋭い音なので細かい音まで鳴らしているように感じることもある。音場感はATH-CK52の方が遠くから音を鳴らしているような感じ。逆に言えばATH-CK7の方が臨場感がある。明確さという意味ではさほど差を感じない。原音忠実性はATH-CK7の方が上。原音の粗はATH-CK52の方が感じられる面もあるのだが、ATH-CK7の方が周波数特性上の癖が小さい上に原音の実体感のようなものが感じられる。ATH-CK52の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK52の方がやや上。厚みはATH-CK7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-CK7の方が上。ATH-CK7の方がノリが良くかつ繊細。響きは、低域はATH-CK7の方が豊か、高域はATH-CK52の方が豊か。弦楽器はATH-CK7の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-CK52の方が高く鮮やかだが、やりすぎな感がある。ATH-CK7でも十分鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。低域の量感や音の厚みで勝っている。使い分けるなら、基本的にはATH-CK7、よほど高域が欲しいときだけATH-CK52。

ATH-CKM50
ATH-CK52は高音よりのドンシャリ、ATH-CKM50は低音よりのドンシャリ。低域はATH-CKM50の方が量が多く、重心が低く厚みもあるため存在感にかなり差が出る。中域は、ATH-CKM50は低域が多いソースだと低域の量に負ける感じだが、ATH-CK52はそんなことはない。質的にはATH-CK52の方がやや高い音。高域はATH-CK52の方が高く鋭い音で粗がある。ATH-CK52の方が量が多く目立つ。分解能はATH-CK52の方がやや上。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルだが、どちらかと言えばATH-CK52の方が見晴らしが良い。原音忠実性は微妙。ATH-CK52は高域が目立ちすぎるのに対して、ATH-CKM50は低域が目立ちすぎる。ATH-CKM50の方が一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはATH-CK52の方が感じられる。エッジはATH-CK52の方がきつく、聴き疲れしやすい。ただし、ATH-CKM50は低域の量で疲れる面があり、エッジのきつさが目立たず低域の量が多いようなソースではATH-CKM50の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK52の方がやや上。厚みはATH-CKM50の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-CKM50の方がやや上。ATH-CK52の方が擦れやうわずりが気になることが多い。どちらもノリが良い傾向だが、ATH-CKM50の方が低域の量感や音の厚みに基づくしっかりとした迫力がある。響きは、低域はATH-CKM50の方が豊か、高域はATH-CK52の方が豊か。弦楽器はATH-CKM50の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-CK52の方が高く鮮やかだが、明らかにやりすぎ。ATH-CKM50の方が自然で好印象だと感じる人の方が多いだろう。打ち込み系の音の表現はATH-CKM50の方がややうまい。低域の量感や音の厚みで勝っている。また、ATH-CK52は音が割れるのが気になることもある。使い分けるなら、基本的にはATH-CKM50、粗や聴き疲れがあっても良いから高域や明瞭さが欲しいならATH-CK52。

HGP-710
ATH-CK52は高音よりのドンシャリ、HGP-710は低音より。低域はどちらもぼやけたり曇ったりしないという点では似た傾向だが、量はHGP-710の方がかなり多い。中域はATH-CK52の方が高い音で芯が通っている感じ。高域はATH-CK52の方がかなり高く鋭い音で量も多い。分解能はATH-CK52の方が上。音場感はATH-CK52の方が広いが、明確さは大差ない。原音忠実性はどちらもいまいち。傾向は違うが周波数特性に癖があるのは同じ。原音の粗や生っぽさはATH-CK52の方が感じられる。エッジはATH-CK52の方がかなりきつく、聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK52の方が上。厚みはATH-CK52の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、どちらかと言えばHGP-710の方が良いか。ただ、ヴォーカルは擦れが気になっても良いからリアルさを取ると言うならATH-CK52の方が良い。ATH-CK52の方が明るくノリが良い。響きは、低域はHGP-710の方が豊か、高域はATH-CK52の方が豊か。この2機種を聴き比べていると、様々な意味で両機の中間くらいの音が良いように感じる。弦楽器はHGP-710の方が心地よいが、生楽器らしさが欲しいときはATH-CK52の方が良い。金管楽器はATH-CK52の方が鮮やかで力強いが、やりすぎな感はある。打ち込み系の音の表現はATH-CK52の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、高域の量や明瞭さ重視ならATH-CK52、低域の量や聴き疲れのなさ重視ならHGP-710。

MDR-EX71SL
ATH-CK52は高音よりのドンシャリ、MDR-EX71SLはややドンシャリ。低域はMDR-EX71SLの方が全体的に量が多い。ATH-CK52はある程度厚みや締まりがありかつ粘りもあるような独特の質。中域はどちらもやや引っ込み気味。MDR-EX71SLの方が癖がない。高域はATH-CK52の方が高く鋭い音で量も多い。分解能はATH-CK52の方がやや上。音場感は明確さという意味では大きな差はないが、ATH-CK52の方が遠くで音を鳴らすような感じ。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさではMDR-EX71SLの方が良いが、原音の粗が感じられるという意味ではATH-CK52の方が上。ATH-CK52の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK52の方が上。厚みはMDR-EX71SLの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX71SLの方が上。どちらもノリが良い傾向だが、MDR-EX71SLの方が繊細さと両立している感じ。響きは、低域はMDR-EX71SLの方が豊か、高域はATH-CK52の方が豊か。MDR-EX71SLの方が安定していて安心して聴ける。弦楽器はMDR-EX71SLの方が心地よい。ATH-CK52は粗がありすぎる。金管楽器はATH-CK52の方が高く鮮やかだが、味付けしすぎな感がある。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の質・量や音の厚みではMDR-EX71SLの方が良いが、中域から高域の明るさが欲しいならATH-CK52の方が良いかもしれない(ただし、かなり粗があったり音が割れたりするというデメリットもある)。使い分けるなら、基本的にはMDR-EX71SL、音の粗や聴き疲れがあっても良いから明るさや高域の量を求めるならATH-CK52。

SE-CL30
どちらも高音よりのドンシャリ。低域はATH-CK52の方がしっかり低い音を鳴らす。SE-CL30の方が薄く曇っている感じ。全体的な量としてはそれほど差はない。中域はどちらもあまり目立たないが、ATH-CK52は遠くで音を鳴らしているような感じで目立たないのに対して、SE-CL30はやや低域の曇りに覆われる感じで目立たない。高域はATH-CK52の方が高く鋭い音で量も多い。分解能はATH-CK52の方がやや上。音場感はATH-CK52の方が広く明確。原音忠実性は、周波数特性上の癖のなさではSE-CL30の方が良いが、原音の粗が感じられるという意味ではATH-CK52の方が良い。ATH-CK52の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK52の方が上。厚みはほぼ同レベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が感じられる。ATH-CK52の方が荒々しい感じでノリが良く、SE-CL30の方が粗が少ないという意味で繊細。響きは、低域はSE-CL30の方が豊か、高域はATH-CK52の方が豊か。弦楽器はSE-CL30の方が心地よい。ATH-CK52は粗が気になる。金管楽器はATH-CK52の方が高く鮮やかだが、やりすぎな感がある。SE-CL30くらいでも十分鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-CK52の方がうまい。低域の質感や中域から高域の明るさが良い。ただし、音が粗く割れたりするのは気になる。使い分けるなら、聴き疲れや音の割れを避けたいならSE-CL30、そうでないならATH-CK52。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



   


※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 14Hz〜24kHz 104dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
4g 10.7mm 1.2m 両出し(ネックチェーン) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 5 4 4 3 5 高(低) 1500円

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※生産終了

公開日:2007.12.1