第99回 未来航路/La'cryma Christi/「Single Collection」より
La'cryma Christiは日本のヴィジュアル系ロックバンドです。メンバーはヴォーカル、ギター、ベース、ドラムスとオーソドックスです。ヴォーカルの高く個性的な声が特徴です。
今回取り上げるのは1998年発表の5thシングル(2000年発表のベストアルバムに収録)です。彼らの代表曲と言って良いでしょう。ロックバンドですが、主役は明らかにヴォーカルという印象を受けます。
ヘッドホンとしては、個性的な声を魅力的に鳴らしてくれるもので、できればロックとの相性の良いものが望ましいです。
・1台目 HP-AURVN-LV(CREATIVE)
ヴォーカルが非常に瑞々しく魅力的に感じたので選びました。瑞々しいだけでなく透明感や艶もあり、絶妙な表現です。全体を見渡しても、低域・高域ともに過不足なくバランスが良いです。
他にはHP-M1000、RP-21、RH-300、MDR-7506、K181DJ、ATH-PRO700等で聴いてみましたが、ヴォーカルの魅力という点でHP-AURVN-LVに勝るものはありませんでした。次点を選ぶならHP-M1000です。HP-AURVN-LVと比べると鳴りっぷりが良く勢いがあります。ヴォーカルの表現もそれほど見劣りしない印象で、前述の他の機種と比べると良いです。
不満点は特にありませんが、もう少し切れや音の厚みがあるとなお良いというくらいでしょうか。
・2台目 HFI-780(ULTRASONE)
1台目の不満点を解消できそうなものということで選んでみました。
聴く前は「少々乱暴でやりすぎか」とも思ったのですが、実際聴いてみるとそんなことはなかったです。切れや音の厚みという点は思ったとおり改善されますし、ヴォーカルの表現も明るくなかなか良いです。1台目と比べるとやや硬く味気ない点が多少不満ではありますが、1台目を選ぶ際に聴いた多くのヘッドホンよりは魅力的です。
不満点は、1台目と比べるとヴォーカルがやや味気ない点です。
・3台目 ATH-W1000(audio-technica)
2台目の不満点としてヴォーカルが味気ない点を挙げましたが、もっと言うなら全体的に情感や人間味に欠けると言っても良いかもしれません。ATH-W1000で聴いてみてそう思いました。
ATH-W1000で今回の曲を聴くと、ヴォーカルの表現がどうとか全体のバランスがどうとかいうこと以前に、叙情的に幸福感を歌い上げてくれるような印象です。味付けされた音ですし、万人受けするとも思いませんが、強い魅力を感じさせる鳴らし方です。
今回はどれも良かったように思いますが、それぞれ違った鳴らし方になっていておもしろいです。人によっては、どれか1台は気に入っても他の2台は嫌いということも普通に起こりえそうです。
また、今回は取り上げませんでしたが、SR-325iも良かったです。ヴォーカル、各楽器、全体のバランスと様々な点から見て欠点らしい欠点がありませんし、魅力も感じられます。今回はヴォーカルの表現を重視したので選びませんでしたが、楽器の方を重視するならこれが一番かもしれません。
好みに合わせて選んでください。
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