第95回 大地讃頌(カンタータ「土の歌」から)(混4)
  /「あの日教室で歌った 思い出の合唱曲 あの素晴らしい愛をもう一度」より

 大地讃頌は1962年に作られた「混声合唱とオーケストラのためのカンタータ『土の歌』」の終曲です。作詞は大木惇夫、作曲は佐藤眞です。全7楽章のうちこの楽章だけ独立して歌われることが多く、中学校の合唱コンクールや卒業式で馴染みのある人もいるかと思います。
 今回取り上げるのは「あの日教室で歌った 思い出の合唱曲 あの素晴らしい愛をもう一度」の23曲目です。指揮は辻正行、歌唱はクロスロード・ツインズ・ハーモニー、ピアノ伴奏は川井敬子で、1988年の録音です。混声四部合唱とピアノ伴奏から成る定番の構成になっています。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。飾らずに素朴な感じで鳴らしてくれることを最優先に、できれば各パートがきちんと聴き取れてかつ自然にまとまっているものを選びたいと思います。


・1台目 HD449(SENNHEISER)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。最も素朴な感じですし、各パートがきちんと聴き取れてかつ自然にまとまっているかどうかという意味でも悪くないと思います。癖がなくそのまま鳴らしているような印象です。
 他にはAPHN-AC30、ATH-TAD500、CPH7000、HS-AVNLV2、UR/40等で聴いてみました。APHN-AC30は最後までHD449と迷いましたが、HD449の方が若干素朴な感じだったのでそちらにしました。ATH-TAD500はソプラノが妙に綺麗に聴こえたりして音楽鑑賞用の味付けのようなものがある印象で、あまり素朴な感じではありません。CPH7000は素朴なことは素朴なのかもしれませんが、音色の癖による違和感とノイズが気になりやすいせいでそれどころではない印象です。HS-AVNLV2は男声がしっかり出るせいか、素朴と言うよりは迫力がある感じです。UR/40は素朴と言うにはマイルドで綺麗すぎるような印象です。
 不満点は、もう少し各パートがきちんと聴き取れるとなお良いと思われる点です。

・2台目 HD280Pro(SENNHEISER)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。と言っても、今回聴いたものはどれも1台目の不満点は改善される印象でした。なので、どちらかと言うと最初に書いた条件によってこれが選ばれたということになります。素朴な感じという意味では1台目と良い勝負ですが、癖のなさでは1台目に負けます。その代わり、各パートがきちんと聴き取れます。音場が広いぶん聴き取りやすいという面もあると思います。
 他にはHA-MX10-B、K240monitor、K612PRO、MDR-CD900ST、SRH840等で聴いてみました。HA-MX10-Bは不要なほど痛い音を鳴らす感じで、飾らないと言うより痛くなるように飾っているふうにも感じられます。K240monitorは素朴と言うにはマイルドで綺麗すぎるような印象です。K612PROはソプラノが妙に綺麗に聴こえたりして音楽鑑賞用の味付けのようなものがある印象で、あまり素朴な感じではありません。MDR-CD900STは声やピアノの質に妙なリアリティーがあり、これはこれで魅力的ではあるのですが、素朴かと言われると少し違うと思います。SRH840は個々の声の質といいハーモニーといい実際よりもうまく聴こえてしまうような感じで、音楽鑑賞用としては魅力的なのですが、あまり素朴な感じではありません。
 不満点は、もう少し自然にまとまっているとなお良いと思われる点です。

・3台目 HD25-1(SENNHEISER)
 2台目の不満点を踏まえて選びました。ちょうど2台目をベースにまとまりを良くしたような感じです。素朴な感じという意味では1、2台目と良い勝負だと思います。1台目と比べると男声がしっかり出るぶん迫力がある感じ、2台目と比べると音場が狭いぶんまとまりがある感じです。各パートがきちんと聴き取れてかつ自然にまとまっているもの、というバランスを考えるとなかなか良いラインなのではないかと思います(1、2台目と比較して)。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 CUSTOM ONE PRO(beyerdynamic)
 色々聴いてみた結果これになりました。3台目と比べると素朴な感じという意味では若干落ちる印象ですが、それでも今回聴いた中では良い方です。CUSTOM ONE PROは低域の量が多い機種ですが、今回の曲ではその帯域の音はあまり含まれていないためさほど問題にならない印象です。普通にまとまっているように感じられます。
 他にはDR-631、HD650、SRH1840、T1等で聴いてみました。DR-631は素朴なことは素朴なのかもしれませんが、音色の癖による違和感が気になりやすいせいでそれどころではない印象です。HD650は素朴と言うには柔らかく心地よすぎるような印象です。SRH1840はソプラノが妙に綺麗に聴こえたりして音楽鑑賞用の味付けのようなものがある印象で、あまり素朴な感じではありません。T1は明瞭すぎるせいかあまり素朴な感じではありません。

・5台目 hf5(Etymotic Research)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。最も素朴な感じですし、各パートがきちんと聴き取れてかつ自然にまとまっているかどうかという意味でもなかなか良いと思います。色々と聴いてみたのですが、ER-4Sは素朴と言うには繊細で綺麗すぎる、MDR-EX1000は素朴と言うより淡々と冷徹に鳴らしているような感じ、SE535は音楽鑑賞用の味付けのようなものがある印象等の不満がありました。
 他にはZEN AURVANAとXBA-1SLが良かったです。最初に書いた条件をそれなりに満たしています。


 今回は飾らずに素朴な感じで鳴らしてくれるものを選んだのでこういう結果になりましたが、音楽観賞として楽しめるものを選んだらまったく違う結果になると思います。
 ヘッドホンアンプはHead Amp 2/MkII SEが良いと思います。飾らずに素朴な感じで鳴らしてくれます。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


試聴は下のamazonのページで。













戻る





TOP > 曲別HP探索2 > 第95回