ATH-ON3

音質
 高音よりのかまぼこ。低域はかなり量が少ない。ほとんど鳴らないと考えた方が良いだろう。中域は低域が少ないせいではっきり聴こえてくるが、ソースによっては嫌味が出る。高域はあまり目立たない感じだが、質感的にはやや金属的で、低域より量も多い。
 分解能は良くないが、価格を考えれば悪くない。音場感は小型の外観から想像される通りで、狭く明確さもない。原音忠実性は良くないが、価格の割には原音の粗や生っぽさが感じられる方だろう。エッジはきつくなく聴きやすい。
 低域がばっさり鳴らないので明瞭さは悪くないが、音の鮮やかさはいまいち。厚みは薄い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほとんど感じられない。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。ただ何となく音を鳴らしているだけの機種。響きはややあっさりで、こもり感は気にならない。
 弦楽器は心地よさが感じられない点が致命的。金管楽器は金属的な質感は良いが、もう少し迫力が欲しかったところ。打ち込み系の音の表現は、音の質感は合うのだが、低域が少なすぎ。
 ポータブル用ヘッドホンで低域が少ないものを求めている人にとっては、価格の割に良い機種だろう。

装着感
 良好。側圧は弱め。ヘッドバンドは金属製だが、非常に軽いため頭頂部が痛くなったりすることはない。長時間使用しても疲れない装着感。
 イヤーパッドは耳のせサイズ、上下方向にも左右方向にも角度調節ができないため合わない人にはとことん合わないと思われる。また、側圧が弱いこともあり、あまり耳にフィットせず不安定な感じ。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。

その他
 遮音性は密閉型の割には悪い。小型のため仕方ないだろう。音漏れ防止は普通。
 作り、デザインは価格の割には良い。折りたたむことはできないが、ヘッドバンドの長さを最短にするとハウジングが90度回せるので、平たく持ち運びしやすい。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅3mm・厚さ1.5mm、やや硬く扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周42mm×42mm、内周22mm×22mm、深さ8mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-ES7
ATH-ES7はややドンシャリ、ATH-ON3は高音よりのかまぼこ。低域はATH-ES7の方がかなり量が多く、しっかり低い音を鳴らす。中域はATH-ON3の方がはっきり聴こえる。これは、低域の量が少ない上に、中域に嫌味があり目立つため。高域はATH-ES7の方が量が多く、しっかり高い音を鳴らす。分解能はATH-ES7の方がかなり上。音の分離にしろ微細な描写にしろ大きな差がある。音場感はATH-ES7の方が広く明確。原音忠実性はどちらも良いとは言いがたいが、原音の実体感のようなものはATH-ES7の方がかなり上。ATH-ES7の方がエッジがきつく、音の圧力もあるので聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはATH-ES7の方が上。厚みはATH-ES7の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-ES7の方が上。ATH-ES7の方がノリが良く、繊細さという意味でも負けていない。響きはATH-ES7の方が豊か。弦楽器はATH-ES7の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ES7の方が高く鮮やかな音で、力強い。打ち込み系の音の表現はATH-ES7の方がうまい。低域の量、音の厚みに大きな差がある。使い分けるなら、ATH-ES7ではどうしても低域の量が多すぎる場合にはATH-ON3、それ以外はATH-ES7。

EHP-CL430
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、EHP-CL430は低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方がかなり量が多く、しっかり低い音を鳴らす。中域は低域に邪魔されない分ATH-ON3の方がはっきり聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方が高い音で量も多い。分解能は同等レベル。音の分離はATH-ON3の方がやや良いが、一つ一つの音の微細な表現はEHP-CL430の方がやや良い。音場感はEHP-CL430の方がやや広い。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、ATH-ON3の方が原音の粗や生っぽさは感じられる。EHP-CL430の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が弱い分ATH-ON3の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはEHP-CL430の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が上。EHP-CL430の方がかなりノリが良い。響きはEHP-CL430の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はEHP-CL430の方が心地よいが、低域が鳴らなくても良いから原音らしさを求めると言うならATH-ON3の方が良いだろう。金管楽器はどちらが良いというよりも傾向が違う。EHP-CL430の方がやや高い音だが、質感的にはATH-ON3の方が金属的。打ち込み系の音の表現は、音の質感はATH-ON3の方が合うが、あまりに低域が出ないので普通はEHP-CL430の方が良いだろう。使い分けるなら、低域が欲しいならEHP-CL430、低域は出なくて良いから明瞭さが欲しいならATH-ON3。

HD25-1
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、HD25-1はややドンシャリ。低域はHD25-1の方がかなり量が多い。中域はATH-ON3の方が低域に邪魔されない上、癖のある音ではっきり聴こえてくる。高域は意外と似た音を鳴らすが、ATH-ON3の方がやや金属的、HD25-1の方がやや量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がかなり上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。ATH-ON3はあまりに低域が少なすぎる。HD25-1の方が若干エッジがきつく、圧力のある音で聴き疲れする。明瞭さは低域が出ない分ATH-ON3の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方がかなり上。HD25-1の方がノリが良くかつ繊細。響きはHD25-1の方がやや豊か。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHD25-1の方が力強く魅力的。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。音の質感としてはATH-ON3の方が良いくらいだが、音の厚みや低域の量感でHD25-1の方がかなり勝っている。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、HD25-1では余程低域の量が多いと感じるときだけATH-ON3。

HP-S150
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、HP-S150はやや高音より。低域はソースによってかなり鳴らし方が変わる印象だが、基本的にはHP-S150の方がやや量が多く重心も低い。中域はどちらも多少癖がある。中域の中でも低めの音ではATH-ON3が張り出すような感じで目立つことがあり、逆に高めの音ではHP-S150の方が張り出すような感じで目立つことがある。高域はHP-S150の方が量が多く、太く金属的で目立つ。分解能は大差ないが、どちらかと言えばHP-S150の方が上。音場感はHP-S150の方がやや広く明確。原音忠実性は微妙。どちらも周波数特性にやや癖がある。原音の粗や生っぽさはHP-S150の方が感じられる。エッジはHP-S150の方がややきつく、聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHP-S150の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-S150の方が上。厚みはHP-S150の方がある。温かみはソースによって違う。中高域から高域が強いソースではHP-S150は高域が明るすぎて温かみどころではない印象になるが、そうでなければ低域の量が多いぶん温かみが感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。ATH-ON3の方がスモーキー、HP-S150の方が擦れが気になる。HP-S150の方が明るく元気でノリが良い。粗がないという意味でATH-ON3の方が繊細。響きはHP-S150の方がやや豊か。弦楽器はATH-ON3の方が粗がなく安心して聴けるが、生楽器らしさが欲しいならHP-S150の方が良い。金管楽器はHP-S150の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はHP-S150の方がうまい。音の質感の相性や音の厚みで勝っている。使い分けるなら、高域が強く聴き疲れしても良いならHP-S150、そうでないならATH-ON3。

PX200
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はPX200の方がやや低い音で量も多い。中域はATH-ON3の方が低域に邪魔されない上、嫌味のある音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-ON3の方がやや高い音で量も多い。この2機種を見比べた場合、ATH-ON3の方が高音よりと言えるだろう。分解能はほぼ同レベルだが、一つ一つの音の微細な描写はPX200の方がやや良いように感じられる。音場感はほぼ同レベル。原音忠実性はPX200の方が上。PX200の方が周波数特性上の癖が小さい。ATH-ON3の方がややエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはPX200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が上。PX200の方が繊細。響きはPX200の方がやや豊か。弦楽器はPX200の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ON3の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、音の質感はATH-ON3の方が合うが、あまりに低域が出ないのでPX200の方が普通に聴ける感じ。使い分けるなら、明るさや高域の質・量を求めるならATH-ON3、繊細さや低域の質・量を求めるならPX200。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



    


※生産終了。後継機はATH-ON300。
       












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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 12Hz〜23kHz 102dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
38g 30mm 1.2m 両出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 4 2 3 4 4 中(高) 1400円

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※生産終了。後継機はATH-ON300。

公開日:2007.10.15