The Plug

音質
 低音より。低域はぼんやりと量だけ多い感じで、曇りが非常に気になる。中域はかなり低域に埋もれる。高域は全然聴こえてこない。すべての音が低めの傾向のように感じる。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて悪い。エッジはきつくなく聴きやすいが、低音が出すぎで非常にこもり感が気になるためソースによってはかなり疲れる。
 明瞭さ、音の鮮やかさは悪い。厚みはそれなり。低音よりなだけあって温かみはそれなりには感じられるような気もするが、それだけ。ヴォーカルの艶っぽさはいまいち。低音が出る割にはノリが悪く、繊細さは欠片もない。響きは豊かで、こもり感が気になる。全体的に柔らかい音。
 弦楽器は繊細さがまったく感じられない。金管楽器は質・量ともに最低レベル。打ち込み系の音の表現は低域が出るために人によっては楽しめるだろうが、スピード感や切れに欠けるため、うまいとは言えない。
 カナル型イヤホンの普及に大きな役割を果たした、ある意味名機であるが、今となっては特筆すべき長所は無いように感じる。

装着感
 普通。イヤーピースが柔らかいため、カナル型の割には長時間使用しても耳の穴が痛くなりにくい。
 イヤーピースの材質は粘着性のあるゴムで、一度指で潰してから耳の穴に挿入する必要がある上、潰したイヤーピースがすぐに元の形状に戻るため装着にコツがいるし、かなり面倒。また、一度装着してもコードを引っ掛けたりすると簡単に外れる。
 複数のイヤーピースが付属しているものの、どれも使いやすいとは言い難い。個人的にはどれもやや大きすぎるように感じる。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。ただし、遮音性はカナル型にしては特に良いというわけではない。
 作りは安っぽいが価格なりだろう。紫色の本体が人を選ぶだろうが、それ以外のデザインは別段悪くない。イヤーピースに粘着性があるため汚れが付きやすいのが難点。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは合流前は約1mm、合流後は幅約2.5mm・厚さ約1mm、多少硬めだが特に扱いづらさは感じない。

付属品
イヤーピース4種類



参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ

不定期コラム『第43回 KOSS The Plugの改造』

周波数特性グラフ


比較メモ
EG-ER50
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、The Plugは低音より。低域はThe Plugの方が一段低い音を鳴らすし、量が桁違い。中域はどちらも曇っていてあまりはっきり聴こえてこないが、まだEG-ER50の方が聴こえる。高域はThe Plugがまったく聴こえてこないのに対してEG-ER50はそれなりに聴こえてくるし、中高域は意外と高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてEG-ER50の方が上。EG-ER50の方がエッジがきついが、一般的な見方をするならそれほどきつくないと言って良いだろう。聴き疲れという意味ではThe Plugの方が低域が強すぎて疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方が上。あまりに違う音を鳴らすため厚みは判断しにくいが、柔らかく分厚い雲のような厚みを厚みがあると言うならThe Plugの方が厚みがあるだろう。ただし、芯の通った感じが必要だと言うなら、EG-ER50の方がある。温かみはどちらもほとんど感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはEG-ER50の方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きは、低域はThe Plugの方が豊か、中域から高域はEG-ER50の方が豊か。The Plugはこもり感が非常に気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてEG-ER50の方がうまい。The Plugは弦楽器の繊細さや金管楽器の鮮やかさ、打ち込み系の音のメリハリがまったくと言って良いほど感じられない。得意分野はどちらもロック。よほど低域の量が欲しいときを除いて、ほとんど何を聴くにしてもEG-ER50の方が良いだろう。

HP-VX101
どちらも低音より。低域はThe Plugの方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。量はほぼ同量。中域はどちらも低域に埋もれて聴こえてこない。HP-VX101は低域の曇りに覆われる感じ、The Plugは低域の量に打ち消される感じ。高域はどちらもかなり控え目だが、どちらかと言えばHP-VX101の方が聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性はどちらも比較したくないほど悪い。どちらもエッジはきつくないが低域過多で聴き疲れする点は良く似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはどちらも悪い。厚みはThe Plugの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはThe Plugの方が感じられる。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはThe Plugの方が豊か。最大の違いは、HP-VX101が一応硬い部分が感じられるのに対して、The Plugは全体的に柔らかい点。弦楽器はどちらも繊細さがまったく感じられない。金管楽器はどちらもかなり控え目だが、HP-VX101の方がやや目立つ。打ち込み系の音の表現は低域をしっかり鳴らしてくれる点はThe Plugの方が合うのだが、音の硬さ的にはHP-VX101の方が合う。得意分野はどちらもロック。使い分けるならロックやしっかりした低域が欲しいときはThe Plug、それ以外はHP-VX101か。いずれにせよ使い分けなどしたくない悪音。

MDR-NC11A
どちらも低音よりだがMDR-NC11Aの方がやや高音よりか。低域の量はThe Plugの方がかなり出るが、MDR-NC11Aの方が若干低い音を鳴らす。中域はどちらも低域に埋もれるが、まだMDR-NC11Aの方が聴こえてくる。高域はMDR-NC11Aの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-NC11Aの方がやや上。どちらもエッジはきつくないが、どちらかと言えばMDR-NC11Aの方がきつい。ただし、The Plugの方が低音過多とこもり感のせいで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-NC11Aの方が上。温かみはどちらも感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC11Aの方が若干上。どちらも繊細さがまったく足りない。低域が強いためノリが良いことは良いのだが、低域の音圧だけの鈍重な感じ。響きは低域から中域はThe Plugの方が豊か、高域はMDR-NC11Aの方が豊か。どちらもこもり感や曇りが気になるが、MDR-NC11Aの方がまだマシ。弦楽器はMDR-NC11Aの方が繊細。金管楽器はどちらも鮮やかさに欠けるしはっきり聴こえてこない。打ち込み系の音の表現は、線が太い方が良いならThe Plugの方が良いだろうが、普通の感覚ならMDR-NC11Aの方がうまいと感じるだろう。得意分野はどちらもロック。基本的にはMDR-NC11Aを使用すれば良いだろうが、どうしても低域の量が欲しい場合はThe Plug。

SPARKPLUG
かなり近い音。どちらも低音より。低域の量はSPARKPLUGの方が多いが、The Plugの方がやや低い音を鳴らす。中域はThe Plugの方がはっきり聴こえてくる。高域はThe Plugの方がやや高い音を鳴らす。The Plugの方が曇りが気にならない。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ同等でどちらも悪い。どちらもエッジはきつくないが、低域が出すぎでこもり感が気になるため聴き疲れすることがある点は良く似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはThe Plugの方がやや上。厚みはほぼ互角で温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはThe Plugの方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない。響きはほぼ互角でどちらもこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現いずれも似たようなものでうまくないが、どちらかと言えば薄い低域が支配的なSPARKPLUGよりはThe Plugの方が良いように感じる。得意分野はどちらもロック。何を聴くにしても大差ないが、どちらかと言えばThe Plugの方が良いように思う。どちらか片方持っていれば十分の機種。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※本機はマイナーチェンジを繰り返しており、外観・イヤーピースの質・付属品が変更になっている。
  音質も変化している模様。
  本レビューの内容は04年から05年にかけて販売されていたもの。












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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 10Hz〜20kHz 112dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
7g - 1.2m 両出し(Y型) -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
1 3 4 5 3 5 1700円

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公開日:2006.1.21