P-801/L2

音質
 やや高音より。低域はやや少なめ。特に締まっているわけでもぼやけているわけでもなく、それなりに自然な質。ローエンドに向かって自然に減少する印象。重心は普通からやや高め。中域は低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はやや多め。ハイハットやシンバルが目立つような質。明るめでかつ線が細い。
 分解能は価格の割にやや良い。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろそれほど大きな不満は出ないレベル。音場感は広さ・明確さともにいまいちだが、それなりに見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はそれなり。一聴して大きな違和感はない。原音の粗や生っぽさは、最低限は感じられる。多少サラサラした質感が気になるが、ザラザラした不快な感じではない。エッジのきつさは普通で、特に聴き疲れしない。ただし、高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや細く刺さる。
 明瞭さはなかなか良い、音の鮮やかさはそれなり。厚みはやや薄め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルは価格の割に自然で聴きやすくなかなか魅力的。やや繊細で上品な傾向。ノリが良いとは言えないが、暗くはなくむしろ爽やかで明るめに感じる面もある。迫力や力強さには欠ける。良くも悪くもあまり芯の通っていない音。響きはややあっさりで、こもり感は気にならない。
 弦楽器は繊細さにしろ心地よさにしろそれなりに感じられるが、チェロやコントラバスは量的に物足りない。金管楽器もそれなりに聴けるが、やや細く綺麗な傾向なので、太く力強く鳴らして欲しい場合には向かない。打ち込み系の音の表現はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。音の質感の相性、切れ、低域の質は良くもなく悪くもなくといった印象だが、厚みが薄く上品なところが合わない。
 価格の割に自然でバランスが良く、繊細で上品な珍しい機種。

装着感
 良好。側圧は普通からやや強めだが、あまり圧力を感じない作り。軽量な上にヘッドバンドが二股なのでずれにくい。ヘッドバンドは剥き出しのプラスチックだが、頭頂部が痛くなったりはしない。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズで、左右方向の角度調節ができないが装着感にはあまり影響ない。材質はサラサラしたジャージ素材で、表面の質感が良いだけでなく内部が柔らかく心地よい。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りはやや安っぽいが、価格なりではある。デザインはいまいち。作りよりもデザインやカラープレートによって安っぽく見える印象。密閉型/開放型の表記はないが、構造を見ると基本的には密閉型で、遮音性や音漏れ防止に関しては半開放型。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約2mm、合流後は幅約4.5mm・厚さ約2mm、やや硬いがそれほど扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周88mm×88mm、内周54mm×36mm、深さ14mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ
交換用カラープレート



参考
不定期コラム『第70回 生産終了になったfavorite headphones』

周波数特性グラフ


比較メモ
DT660 Edition 2007
どちらもやや高音より。低域はP-801/L2の方がやや量が多い。DT660 Edition 2007の方が締まっていてかつ厚みがあり、存在感という意味ではDT660 Edition 2007の方が上のように感じられることも多い。中域はDT660 Edition 2007の方がやや高い音で、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はDT660 Edition 2007の方がやや量が多い。DT660 Edition 2007の方が明るく目立つ。P-801/L2の方が線が細い。分解能はDT660 Edition 2007の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや差がある。音場感はDT660 Edition 2007の方が広く明確。原音忠実性はDT660 Edition 2007の方がやや上。周波数特性上の癖のなさという意味では大差ないが、DT660 Edition 2007の方が原音の実体感があり、原音の粗や生っぽさも感じられる。エッジはDT660 Edition 2007の方がややきつく、圧力があることもあって聴き疲れしやすい。高域はDT660 Edition 2007の方がやや痛いが、ヴォーカルのサ行はソースによって違ってくる。明瞭さ、音の鮮やかさはDT660 Edition 2007の方が上。DT660 Edition 2007と比べるとP-801/L2は曇っているように感じられる。厚みはDT660 Edition 2007の方がある。温かみは低域が多く柔らかい音である分P-801/L2の方が感じられるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではDT660 Edition 2007の方が上。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。温かみと同様リアルさを求めるならDT660 Edition 2007の方が良い傾向があるが、しっとりした感じや線の細い感じが欲しいならP-801/L2の方が良い。DT660 Edition 2007の方が明るく元気でノリが良く、P-801/L2の方が繊細でおとなしい。DT660 Edition 2007の方がかなり鳴りっぷりが良い。響きはP-801/L2の方がやや豊か。どちらもややサラサラしたような質感があるが、DT660 Edition 2007の方がザラザラ、P-801/L2の方がシャラシャラに近い印象。弦楽器はDT660 Edition 2007の方が生楽器らしさが感じられ、P-801/L2の方が滑らかで心地よい。基本的にDT660 Edition 2007の方が一枚上手の表現力を持っている。金管楽器はDT660 Edition 2007の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はDT660 Edition 2007の方がうまい。音の質感の相性、切れ、厚み、ダイナミックな鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはDT660 Edition 2007、DT660 Edition 2007では低音が足りないとか明るすぎるという不満があるならP-801/L2。

MM-HP201
MM-HP201はやや低音より、P-801/L2はやや高音より。低域はMM-HP201の方がある程度量が多い。MM-HP201の方が柔らかくぼやけた質。重心はMM-HP201の方がやや低い。中域はP-801/L2の方が明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はP-801/L2の方がある程度量が多い。かなり線が細く明るい質で目立つ。分解能はP-801/L2の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感はP-801/L2の方がやや広く、見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性は微妙。MM-HP201は高域が少なすぎる点が気になるのに対して、P-801/L2は高域が目立ちすぎる点が気になる。どちらも一聴して大きな違和感はない。味付けや付帯音のなさという意味ではMM-HP201の方が原音忠実。原音の粗はMM-HP201の方がやや感じられるが、生っぽさはP-801/L2の方がやや感じられる。エッジはP-801/L2の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろP-801/L2の方が細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはP-801/L2の方が上。厚みはMM-HP201の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはP-801/L2の方がやや上。低い男性ヴォーカルはMM-HP201の方が合うが、線の細いコーラスや明るい女性ヴォーカルはP-801/L2の方が合う。MM-HP201の方が地味で無骨、P-801/L2の方が繊細で上品。MM-HP201の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは、低域はMM-HP201の方がやや豊か、高域はP-801/L2の方がやや豊か。弦楽器はP-801/L2の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMM-HP201の方が太く力強い、P-801/L2の方が細く明るく綺麗。打ち込み系の音の表現はP-801/L2の方がややうまい。音の質感の相性で勝っている。ただし、線の細さが合わないことはある。使い分けるなら、低域の量や迫力重視ならMM-HP201、高域の量や繊細さ重視ならP-801/L2。

RH600
P-801/L2はやや高音より、RH600はややドンシャリ。低域はRH600の方がやや量が多い。RH600の方が重心が低く厚みもあるため存在感がある。P-801/L2はローエンドに向かって自然に減少する印象だが、RH600は癖がある。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、RH600の方が芯が通っていてうわずったりするような感じで目立つことが多い。中高域はRH600の方がしっかり出る。高域は微妙。ハイハットやシンバルの高いところはP-801/L2の方がしっかり出るが、それ以外はRH600の方が若干多い。P-801/L2の方が線が細く粗がない。分解能はRH600の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとRH600の方が上。ただし、一つ一つの音の微細な描写はP-801/L2の方が粗なく丁寧にこなしてくれる面はある。音場感は広さ・明確さともに大差ないが、RH600の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はP-801/L2の方がやや上。周波数特性上の癖が小さいし、一聴して違和感も小さい。原音の粗や生っぽさはRH600の方がやや感じられる。エッジは基本的にRH600の方がややきつく聴き疲れしやすいが、高域やヴォーカルのサ行はP-801/L2の方がやや細く刺さる。明瞭さ、音の鮮やかさはRH600の方がやや上。厚みはRH600の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはP-801/L2の方が上。ヴォーカルは大抵のソースではP-801/L2の方が自然で聴きやすい。P-801/L2の方が繊細で上品、RH600の方が明るくノリが良い。響きはP-801/L2の方がやや豊か。RH600の方が良くも悪くも硬く芯の通った音。弦楽器はP-801/L2の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然。金管楽器はP-801/L2の方が細く綺麗、RH600の方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はRH600の方がややうまい。音の質感の相性や切れで多少勝っている。使い分けるなら、癖のなさや繊細さを求めるならP-801/L2、低域の量や明るさ求めるならRH600。

SE-M390
P-801/L2はやや高音より、SE-M390は低音よりのドンシャリ。低域はSE-M390の方がある程度量が多い。重心が低く厚みもあるため、存在感に差がある。中域はP-801/L2の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にはどちらもあまり癖がない点は似ている。高域はほぼ同量。P-801/L2の方がやや線が細く、SE-M390の方がやや粗が気になる。分解能はほぼ同レベル。音の分離はP-801/L2の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はSE-M390の方が若干上。音場感はP-801/L2の方が左右に広く、SE-M390の方が上下に広い。P-801/L2の方が見晴らしが良く把握しやすい。SE-M390の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はP-801/L2の方がやや上。周波数特性上の癖が小さいし、一聴して違和感も小さい。原音の粗や生っぽさはSE-M390の方が若干感じられる。エッジはSE-M390の方がきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろSE-M390の方が痛い。明瞭さはP-801/L2の方が上、音の鮮やかさはSE-M390の方がやや上。厚みはSE-M390の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-M390の方がやや上。ただし、ヴォーカルは擦れが気になる。SE-M390の方がノリが良く、P-801/L2の方が繊細。SE-M390の方が低域に基づく迫力や力強さがある。それだけでなく、耳の近くでガンガン鳴らすために更にノリが良いと感じやすい傾向がある。P-801/L2の方があっさりしていて上品。響きははSE-M390の方がやや豊か。弦楽器はP-801/L2の方が滑らかで聴きやすく、SE-M390の方が生楽器らしさが感じられる。P-801/L2はチェロやコントラバスが量的に物足りないが、SE-M390はそういうことはない。金管楽器はP-801/L2の方が綺麗、SE-M390の方が芯が通っていて力強い。打ち込み系の音の表現はSE-M390の方がややうまい。厚み、ダイナミックな鳴らし方、低域の量感等で勝っている。使い分けるなら、明瞭さや聴きやすさ重視ならP-801/L2、低域の量感や迫力重視ならSE-M390。

SHP2500
P-801/L2はやや高音より、SHP2500は低音よりのドンシャリ。低域はSHP2500の方がある程度量が多い。重心が低く厚みもあるため、存在感に差がある。P-801/L2はローエンドに向かって自然に減少する印象だが、SHP2500は多少癖があり弾力のある質。中域はSHP2500の方が低域の量に負ける感じ。質的にはSHP2500の方がやや明るい。中高域はSHP2500の方がしっかり出る。高域はほぼ同量。P-801/L2の方が線が細く粗がない。P-801/L2がハイハットをシャンと鳴らすところを、SHP2500はチンと鳴らすような音色の違いがある。P-801/L2の方が伸びが良い。分解能はほぼ同レベル。音の分離はSHP2500の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はP-801/L2の方が若干上。音場感はSHP2500の方がやや広く明確。原音忠実性は微妙。どちらも多少癖のある音でしかもその方向性が異なるため、人によって評価が違ってくるだろう。原音の粗や生っぽさはSHP2500の方がやや感じられる。エッジはSHP2500の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域は、P-801/L2の方が細く刺さる感じ、SHP2500の方が粗っぽく痛い感じ。ヴォーカルのサ行はSHP2500の方がやや痛い。明瞭さはP-801/L2の方がやや上、音の鮮やかさはSHP2500の方が若干上。厚みはSHP2500の方がある。温かみはほぼ同レベル、ヴォーカルの艶っぽさはP-801/L2の方がやや上。P-801/L2の方が線の細い女性ヴォーカルに合う感じ、SHP2500の方が太い男性ヴォーカルに合う感じ。P-801/L2の方が繊細で上品。SHP2500の方がノリが良い。SHP2500の方が低域の量感に基づく迫力や力強さがある。響きはSHP2500の方がやや豊か。弦楽器はP-801/L2の方が繊細かつ心地よいが、チェロやコントラバスは物足りないことも多いので、そういう場合にはSHP2500の方が良いだろう。金管楽器はP-801/L2の方が細く綺麗、SHP2500の方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はSHP2500の方がややうまい。厚み、ダイナミックな鳴らし方、低域の量感等で勝っている。使い分けるなら、繊細さや高域の伸び重視ならP-801/L2、低域の量感や力強さ重視ならSHP2500。

VR-403SV
P-801/L2はやや高音より、VR-403SVはややドンシャリ。低域はVR-403SVの方がやや量が多い。ややぼやけた質。重心の低さはほぼ同レベル。中域は、P-801/L2の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、どちらかと言うと癖も小さい。高域はほぼ同量。P-801/L2の方が線が細く粗がない。P-801/L2がハイハットをシャンと鳴らすところを、VR-403SVはチンと鳴らすような音色の違いがある。分解能はP-801/L2の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとP-801/L2の方が上。音場感はP-801/L2の方がやや広く明確。VR-403SVの方が頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はP-801/L2の方がやや上。P-801/L2の方が一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。どちらもややサラサラしたような質感があるが、P-801/L2の方がサラサラ、VR-403SVの方がザラザラに近い印象。エッジはVR-403SVの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域やヴォーカルのサ行は、P-801/L2の方が細く鋭く刺さる感じ、VR-403SVの方が粗っぽく痛い感じ。どちらかと言うとP-801/L2の方が痛いことが多い。明瞭さはP-801/L2の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはVR-403SVの方がややある。温かみはほぼ同レベル、ヴォーカルの艶っぽさはP-801/L2の方がやや上。VR-403SVの方がノリが良く、P-801/L2の方が繊細。VR-403SVの方が鳴りっぷりが良い。P-801/L2の方が上品。VR-403SVの方が不要な芯が通っているような感じが気になることがある。響きは、低域はVR-403SVの方がやや豊か、高域はP-801/L2の方がやや豊か。弦楽器はP-801/L2の方が繊細かつ心地よいし、音色も自然に感じることが多い。金管楽器はP-801/L2の方が細く綺麗、VR-403SVの方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はVR-403SVの方がややうまい。低域の量感、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等で少しずつ勝っている印象。使い分けるなら、繊細さ重視ならP-801/L2、ノリの良さ重視ならVR-403SV。あるいは、基本的にはP-801/L2、P-801/L2では低域の量が足りないとか上品過ぎるという不満があるならVR-403SV。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



※生産終了










戻る





スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 20Hz〜20kHz 101dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
170g 40mm 1.5m 両出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3 4 2 2 3 3 均(高) 2900円

TOP > ヘッドホンレビュー > P-801/L2

公開日:2009.9.5

※生産終了