MM-HP207

音質
 ややかまぼこ。低域は薄く曇ったような質で、量は少なめ。中域は低域・高域に比べて量が多い上、うわずるような感じや張り出すような感じがあり、はっきり聴こえてくる。中高域はしっかり出る。高域は低域よりは出る感じだが、やや細く地味め。また、粗が気になる。
 分解能は価格の割には良いかもしれないが、絶対評価としては音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ良くない。原音忠実性はいまいち。中域の癖が気になるし、原音の粗や生っぽさもあまり感じられない。音場感は普通の耳のせサイズのレベル。価格を考えればなかなか良いとは思うが、耳覆いのものと比べると劣る。エッジはきつくないが、中域が張り出すような感じで聴き疲れすることが多い。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなりだが、やや曇っているように感じることもある。厚みは普通からやや薄め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ただし、ヴォーカルはソースによっては張り出すような感じで痛い点がマイナス。何となく鳴らしている感じだが、どちらかと言えばノリが良い傾向。響きは、低域はあっさり、中域・高域はやや豊か。
 弦楽器はいまいち。繊細さや生楽器らしさが不足。金管楽器は弦楽器よりはうまい。ある程度の鮮やかさや力強さは持っているが、多少癖がある。打ち込み系の音の表現はいまいち。低域の量感や音の質感の相性が不満。
 中域の癖がなければもっと評価できただろうが、価格を考えれば致し方ないところか。

装着感
 普通。側圧は普通からやや強め。形状があまりフィットしない感じ。ネックバンドなので頭頂部がフリーになる点は良い。耳にかける部分がプラスチックな上、装着具合によってはプラスチックに溝が彫ってある部分が耳に当たり余計に痛い。重量は軽く、ずれにくい。
 イヤーパッドは耳のせサイズで、上下方向にも左右方向にも角度調節ができない。材質は普通のスポンジで肌触りは悪くない。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは価格なり。デザインは飾り気がなく、ごく普通。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは約2.5mm、やや硬くて癖が付きやすく扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周62mm×62mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
LPSP-11000
LPSP-11000はやや低音より、MM-HP207はややかまぼこ。低域はLPSP-11000の方が厚み・量ともに上。中域はMM-HP207の方が低域に邪魔されない上、高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMM-HP207の方が高い音でかなり量が多い。分解能はMM-HP207の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ差がある。LPSP-11000は塗りつぶしたような質感。音場感はMM-HP207の方がやや広く明確。原音忠実性はMM-HP207の方が上。周波数特性的には、LPSP-11000は高域があまりに出ないのに対して、MM-HP207は中域の癖が気になる。原音の粗や生っぽさはMM-HP207の方が感じられる。エッジはMM-HP207の方がきつい上、中域が張り出すような感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMM-HP207の方が上。厚みはLPSP-11000の方がある。温かみはLPSP-11000の方があるように感じられるが、これは塗りつぶしたような質感と高域不足によるぬるま湯のような温かみ。ヴォーカルの艶っぽさはMM-HP207の方が上だが、うわずったり張り出したりするような感じで痛いこともあるので、そういうソースではLPSP-11000の方が良い。MM-HP207の方が元気の良い感じのノリの良さがある。響きは、低域はLPSP-11000の方が豊か、中域・高域はMM-HP207の方が豊か。弦楽器はMM-HP207の方がうまい。LPSP-11000は生楽器らしさが不足。金管楽器はMM-HP207の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、音の質感の相性はMM-HP207の方が良いが、低域の量感はLPSP-11000の方が良い。使い分けるなら、中域の癖を嫌うならLPSP-11000、高域不足を嫌うならMM-HP207。

MGD-01
MGD-01は高音よりのかまぼこ、MM-HP207はややかまぼこ。低域はMM-HP207の方が出るが、これはMGD-01があまりに出ないと言うべきだろう。中域はMGD-01の方が曇りなくはっきり聴こえてくる。高域はMGD-01の方が明るく金属的。分解能は、MGD-01があまりに変わった音を鳴らすために判断が難しいが、音の分離はMGD-01の方が上、一つ一つの音の微細な描写はMM-HP207の方が上だろう。音場感はMM-HP207の方が広く明確。原音忠実性はMM-HP207の方が上。MGD-01はあまりに違和感がありすぎる。ただし、原音の粗や生っぽさはMGD-01の方が感じられる傾向。エッジはMGD-01の方がきつく、振動も発生するため聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはMGD-01の方が上。厚みはMGD-01の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMM-HP207の方が上。MM-HP207の方が粗がないという意味で繊細。響きは、低域はMM-HP207の方が豊か、高域はMGD-01の方が豊か。弦楽器はMM-HP207の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMGD-01の方が明るく楽しめるが、粗や違和感はある。打ち込み系の音の表現は、音の質感の相性はMGD-01の方が良いが、あまりに違和感のある音でしかも低域がまったくと言って良いほど鳴らないので、普通はMM-HP207の方が良いと感じるだろう。使い分けるなら、基本的にはMM-HP207、粗や違和感があっても良いから明るく鳴らして欲しいならMGD-01。

PMX60
MM-HP207はややかまぼこ、PMX60はかなりフラット。低域はどちらも薄く曇ったような質だが、PMX60の方がやや量が多い。中域はMM-HP207の方が張り出すような嫌味がありはっきり聴こえてくる。中高域はMM-HP207の方が量が多く、高域はPMX60の方が量が多い。PMX60の方が細く粗のない高域。分解能はほぼ同レベル。音の分離はMM-HP207の方がやや上だが、一つ一つの音の微細な描写はPMX60の方がやや上。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルだが、MM-HP207の方がやや広く、PMX60の方がやや明確。原音忠実性はPMX60の方がやや上。一聴して違和感が少ない。ただし、原音の粗や生っぽさはMM-HP207の方が多少感じられる。PMX60の方がエッジがきついが、MM-HP207の方が中域が張り出すような感じで聴き疲れすることが多い。明瞭さ、音の鮮やかさはMM-HP207の方がやや上。厚みはMM-HP207の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPMX60の方が上。MM-HP207の方がノリが良く、PMX60の方が繊細。響きは、低域はPMX60の方が豊か、中域・高域はMM-HP207の方が豊か。弦楽器はPMX60の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMM-HP207の方が鮮やかで元気が良い。打ち込み系の音の表現は微妙。基本的にはどちらもうまくないが、MM-HP207の方が多少ノリが良くて楽しめる。ただ、中域の癖はやはり気になる。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならMM-HP207、繊細さ重視ならPMX60。あるいは、中域の癖が気にならないならMM-HP207、気になるならPMX60。

RH-L20
MM-HP207はややかまぼこ、RH-L20はかなりフラット。低域はRH-L20の方がある程度量が多い。MM-HP207は所謂重低音より下がかなり不足しているが、RH-L20はそういうことはない。MM-HP207の方が薄く曇った質、RH-L20の方がかなり存在感がある。重心はRH-L20の方が低い。中域は低域が少ない分MM-HP207の方がはっきり聴こえてくる。質的にはどちらもうわずるような癖が気になることがあるが、MM-HP207の方が張り出すような感じがやや酷い。高域はRH-L20の方が若干量が多い。MM-HP207の方が線が細く粗がある。分解能はRH-L20の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はRH-L20の方がやや広く明確。原音忠実性はRH-L20の方が上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさはRH-L20の方が若干感じられる。エッジのきつさは大差ないが、MM-HP207の方が中域が張り出すような感じで聴き疲れすることが多い。高域はMM-HP207の方がやや細く刺さる、ヴォーカルのサ行はRH-L20の方がやや痛い。明瞭さはMM-HP207の方が若干上、音の鮮やかさはRH-L20の方が若干上。厚みはRH-L20の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-L20の方がやや感じられる。ヴォーカルはRH-L20の方が癖がなく安心して聴ける。RH-L20の方がノリが良い傾向。RH-L20の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きは、低域はRH-L20の方がやや豊か、高域はMM-HP207の方がやや豊か。MM-HP207の方が全体的にチープに感じられることが多い。弦楽器はRH-L20の方が音色が自然。MM-HP207はチェロやコントラバスが量的に物足りないことが多いが、RH-L20はそういうことはない。金管楽器は鮮やかさという意味ではそれほど大きな差はないが、RH-L20の方が太く力強い。打ち込み系の音の表現はRH-L20の方がややうまい。厚みや低域の質で勝っている。使い分けるなら、基本的にはRH-L20、RH-L20では低域の量が多すぎるならMM-HP207。

S305
MM-HP207はややかまぼこ、S305はかなりフラット。低域はS305の方がやや量が多い。MM-HP207の方が締まりや制動が感じられる。S305の方が自然な量感がある感じ。重心はS305の方が低い。中域はMM-HP207の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。MM-HP207はソースによっては張り出すような癖が気になることがあるが、S305はそういうことはない。高域はほぼ同量だが、どちらかと言うとS305の方が量が多い。S305の方が若干明るく粗が気になる。分解能はMM-HP207の方が若干上。音の分離はMM-HP207の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はほぼ同レベル。音場感はMM-HP207の方が若干広く明確。原音忠実性はS305の方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはMM-HP207の方が若干感じられる。エッジのきつさは大差ないが、MM-HP207の方が中域が張り出すような感じで聴き疲れすることが多い。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはMM-HP207の方が若干上。厚みはMM-HP207の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはS305の方がやや感じられる。ヴォーカルはS305の方が癖がなくソースを選ばない。ノリの良さは微妙。MM-HP207の方が若干切れやメリハリがある。S305の方がやや低域に基づく迫力や力強さがある。響きは、低域はS305の方がやや豊か、高域はMM-HP207の方が若干豊か。弦楽器はS305の方が心地よいし、音色も自然。金管楽器は、MM-HP207の方が量的に目立つ、S305の方が癖がない。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はS305の方が若干上、切れはMM-HP207の方が若干上。使い分けるなら、明瞭さや切れを求めるならMM-HP207、原音忠実性や温かみを求めるならS305。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生














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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 20Hz〜20kHz 117dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
53g 30mm 1.8m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 3 2 2 3 3 均(中、高) 800円

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公開日:2008.3.21