第90回 トスカ/プッチーニ

 今回取り上げるのは、イタリアの作曲家プッチーニのオペラ「トスカ」です。指揮はヴィクトール・デ・サバータ、演奏はミラノ・スカラ座管弦楽団及び合唱団で、1953年の録音です。
 プッチーニは他にも「蝶々夫人」や「トゥーランドット」等のオペラを残したことで有名です。
 今回取り上げるのは、「トスカと言えばこの録音」というくらい有名で評価の高いものです。トスカ役のソプラノはかの有名なマリア・カラスで、彼女の全盛期の録音であることも間違いなく高評価の一因でしょう。
 ヘッドホンとしては、普通の声とは違うオペラの声をうまく表現してくれるかどうかがポイントになると思います。また、モノラル音源なので音場はあまり気にしなくて良いと思います。


・1台目 SW-HP10(SOUND WARRIOR)
 今回の録音は年代を考えれば良い方だと思いますが、それでもやはり古臭くて生気に欠けるようなところがあります。SW-HP10はそこをうまく補って、古さを感じさせない表現をしてくれます。また、演奏している場に居合わせているようなライブ感があり、なおかつ声がやや前に出る感じで聴きやすいです。演奏時間が2時間近いので、聴き疲れしにくい点も評価しました。
 他には、K240monitor、DR150、DTX900、HP-AURVN-LVあたりも試しました。K240monitorは古いものを古いまま聴かせる感じで、ある意味最も無難で安心して聴けるのですが、今回はSW-HP10の魅力を選びました。DR150は、表現力は高いのですが、聴き疲れが問題です。DTX900は声の魅力という点で最も良く、大きな欠点もないように感じましたが、ライブ感や聴き疲れのなさではSW-HP10に及ばない感じでした。HP-AURVN-LVは少し線が細く、あっさりすぎる印象です。
 ヘッドホンでオペラを聴くと、特にソプラノは声を張り上げるところでハウリングのようになって痛いことがありますが、SW-HP10はそういうところが多少気になる点が不満です。

・2台目 HD595(SENNHEISER)
 1台目が少し変則的な選び方だったので2台目は迷いましたが、声の質感重視でHD650、K701、RS-1等を聴いてみた結果これにしました。
 音場的な意味で声が前に出てくるため、自然に声に集中できる点が良いです。声の質や聴き疲れも問題ありません。声を張り上げるところでも、SW-HP10より痛くない感じです。
 HD650とK701はどちらも良いのですが、特にこれでなくても良いか、という印象です。この2台だとK701の方が多少あっさりではあるものの、全体としてあまり大きな差がないように感じました。RS-1は声を張り上げるところで少し痛い感じになるため外しました。これはアンプをHA-1A等に変えればあまり問題にならなくなると思いますが。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみるしかないと思います。 

・3台目 PROline2500(ULTRASONE)
 PROline2500はS-Logicの効果で声を張り上げるところでもあまり痛くないのではと思って選んでみました。
 実際に聴いてみると、思ったとおり痛くなかったです。それがS-Logicの効果なのかどうかは断言できませんが。声の質も太く柔らかく魅力的です。オペラ、特に今回の「トスカ」は情感豊かに鳴らして欲しい面があると思うのですが、そういう点でもPROline2500は素晴らしいと思います。
 ただ、金管楽器等でやや疲れる点、HD595と比べると違和感がある点が気になりました。


 今回は、普通に聴くならHD595が最も良いと思います。ただし、SW-HP10とPROline2500はどちらもそれぞれの個性があり、なかなか代えのきかないものを持っています。
 PROline2500の声の質と張り出さない感じが気に入ったので、もう少し違和感の少ないHFI-2200ULEも試してみたのですが、違和感は確かに小さくなるもののPROline2500よりも声が張り出す感じが気になる上に声の質そのものも多少落ちる感じでした。うまくいかないものです。
 探索の過程も参考に、好みに合わせて選んでください。


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