第77回 EXEC_PHANTASMAGORIA/.
   /「月奏〜ツキカナデ〜 Artonelico Hymmnos concert side 紅」より

 今回取り上げるのは、音楽に力を入れ独自の世界観を築いていることで知られるゲーム「アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女」のCDです(サウンドトラックではなく、ヴォーカルアルバムという位置づけが近いようです)。
 曲は8曲目、ヴォーカルはみとせのりこ、志方あきこ、霜月はるかの3人です。それぞれ個性はありますが、ポップスの女声ヴォーカルの範囲で、特に高くも低くもない声です。伴奏は打ち込み音が目立ちますが、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロも使われています。ちなみに作詞は工藤順子です。工藤順子は、遊佐未森の初期の作品に多くの詞を提供している作詞家で、今回の詞は遊佐未森の初期の作品(1990年前後)とどこか近い部分もあるように感じます。
 ヘッドホンとしては、女声ヴォーカルや打ち込み音との相性が良いもので、苦手分野のないバランスの良いものが合いそうです。


・1台目 HP-AURVN-LV(CREATIVE)
 前述の条件に当てはまると思って選びました。
 実際聴いてみると、期待以上です。女声ヴォーカルや打ち込み音との相性に加えて弦楽器の表現も良いですし、何よりのびのび鳴らしているところが今回の曲の魅力を引き出すことに繋がっています。また、小型ではあるものの音場の立体感や明確さはかなりのもので、その点も良いです(3人のヴォーカルがセンター・右・左にしっかり位置していて、しかも伴奏にかき消されることなく聴こえてきます)。
 他にはRH-300が良かったです。今回の曲はなかなか壮大で、そういったポイントを重視する人も多そうですが、そういう人にはRH-300の方が合いそうです。
 不満点は特にありませんが、もう少し密度が高く存在感があるとなお良いと思います。

・2台目 PROline750(ULTRASONE)
 1台目の不満点を踏まえた上で、壮大さが出そうだと思い選びました。また、それとはまったく関係なく、直感的に今回の曲と合いそうだと感じたのも、選んだ理由です。
 実際に聴いてみると、1台目が個々の点について順当にうまいのに対して、2台目は常識にとらわれず「これが私の音楽だ!」と堂々と主張するような感じです。予想通り非常に魅力的だと感じましたが、人によっては合わないでしょう。イントロで「女声ヴォーカルや打ち込み音との相性が良いもので、苦手分野のないバランスの良いものが合いそうです」と書きましたが、そういうことは全部無視してウルトラC的な相性の良さがあると思います。
 また、今回の曲は個人的に無国籍民族音楽とでも表現したくなるような印象を受けたのですが、PROline750は民族音楽全般との相性が良い点もおもしろいです。
 不満点は、個人的にはない(と言うよりも個々の不満点など問題にならないと思う)のですが、一般的には癖が強すぎる点でしょうか。

・3台目 DT880(beyerdynamic)
 PROline750の癖をなくしたものということで、普通に選びました。
 聴いてみると、確かに癖がなくなり聴きやすくなりますが、PROline750の魅力もなくなります。絶対値として見ると普通に楽しめますが、比較すると面白みに欠けるのは確かです。
 ヴォーカルや弦楽器の表現は良いですし壮大さも出ますが、打ち込み音との相性は良くなく全体としてももう少し明るさが欲しいです。


 今回はどちらかと言うとウォームなものを選びましたが、もっと打ち込み系の音を重視してシャキシャキ鳴らして欲しいならHFI-780が良いと思います。また、今回はあえて選びませんでしたが、1台目の不満点を順当に改善したいならAH-D5000が良いと思います。
 それにしても、今回はPROline750が印象的でした。HP-AURVN-LVも1万円前後とは思えないくらい良かったのですが、それとまったく違う音でここまで良いとは思いませんでした。ただし、合わない人もいると思いますので、AH-D5000やHFI-780を含め好みに合わせて選んでください。


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