第69回 Morning Dance/Spyro Gyra「Morning Dance」より

 Spyro Gyraはアメリカのフュージョン・グループです。1975年から現在に至るまで活動を続けている息の長いアーティストです。
 今回取り上げるのは1979年発表の2ndアルバム「Morning Dance」の1曲目です。楽器としてはスチール・ドラム、アルト・サックス、アコースティック・ギター、エレキ・ギター、エレキ・ピアノ、マリンバ等が使われています。全体の曲調としてはリラックスして聴けるようなイージーリスニングに近い印象を受けます。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、「スチールドラムの魅力と曲の陽性なイメージを重視で」とのことです。どちらかと言うと高音よりで透明感のあるヘッドホンが合うのではないかと思います。


・1台目 ATH-TAD500(audio-technica)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。スチール・ドラムの魅力、曲の陽性なイメージ、いずれもそれなりに良いと思います。アルト・サックスやエレキ・ピアノの質感も良い感じです。全体的に癖がないため、違和感なくすんなり聴ける点も魅力です。
 他にはAPHN-AC30、HI2050、PRO DJ100、UR/40等で聴いてみました。APHN-AC30は悪くないのですが、ベースが目立ったりするせいかあまり陽性という感じではありません。HI2050は明るいことは明るいのですが、高域が刺さったりしてリラックスして聴けない印象です。PRO DJ100は最後までATH-TAD500と迷いましたが、スチール・ドラムの質感は開放型で適度な響きがある分ATH-TAD500の方が良いように感じられたのでそちらにしました。UR/40はリラックスして聴ける感じでこれはこれで魅力的ですが、陽性と言うよりおとなしいとかまったりと言った方が適切な印象です。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・2台目 MDR-MA900(SONY)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。1台目と比べるとあっさりしていて抜けが良いため、ある種の陽性さがあるように感じられます。ただ、あっさりしすぎていると言うか、例えばアルト・サックスの色気が欲しいなら1台目の方が良かったりする面はあります。
 他にはATH-M40fs、HA-MX10-B、MUSIC SERIES ONE、SE-A1000等で聴いてみました。ATH-M40fsはスチール・ドラムの質感は良いのですが、あまり陽性という感じではありません。HA-MX10-Bは明るいことは明るいのですが、音が硬いせいかリラックスして聴けない印象です。MUSIC SERIES ONEは悪くないのですが、ベースが目立ったりするせいかあまり陽性という感じではありません。SE-A1000は全体的に癖が強く、高域が刺さったりしてリラックスして聴けない印象です。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・3台目 SRS-4040(STAX)
 色々聴いてみた結果これになりました。スチール・ドラムの空気感と言うか、聴いていて力が抜けてしまうようなところがしっかり感じられます。あっさりしていて抜けが良いためある種の陽性さがあるように感じられるところは言葉にすると2台目と同じなのですが、実際に聴いていて受ける印象はだいぶ違います。これは3台目の方が全体的に線が細く芯の通っていない音である点が原因なのではないかと思われます。そういうところもリラックスして聴けることに繋がっているように感じられます。
 不満点は特にありません。

・4台目 RS-1(GRADO)
 かなり迷いましたが、最終的にはこれになりました。スチール・ドラムの質感は多少個性的ですが特徴は良く出ていますし、これはこれで魅力的だと思います。3台目と比べるとメリハリがあるぶん陽性で、リラックスと言うより自然と体が動く傾向になっているように思われます。ただ、少し明るすぎたり高域が目立ちすぎたりするところはあるので、陽性さよりも癖がなくリラックスして聴けることを優先するならK701やSRH1840の方が合うと思います。
 他にはATH-A2000X、K701、SR-007+SRM-717、SRH1840等で聴いてみました。ATH-A2000Xは明るいことは明るいのですが、全体的に癖が強く、高域が刺さったりしてリラックスして聴けない印象です。K701とSRH1840は全体的に癖がなくリラックスして聴ける点は良いのですが、あまり陽性という感じではありません。SR-007+SRM-717はなかなか良いのですが、3台目と比べると陽性な感じではありません。

・5台目 e-Q7(ortofon)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。どれか一つを選ぶなら3台目に近いようなところがあります。あっさりしていて、スチール・ドラムの聴いていて力が抜けてしまうようなところがしっかり感じられる点が似ています。色々と聴いてみたのですが、ATH-CK100PROは悪くないものの全体的にしっかりした音を鳴らす感じでリラックスして聴けない印象、ER-4Sはやや芯が通っている感じでリラックスして聴けない印象、GR8はなかなか良いもののe-Q7と比べると陽性な感じではない等の不満がありました。
 他にはMA850G/AとXBA-1SLが良かったです。比較的e-Q7と近い傾向です。


 今回は探索条件に曲の陽性なイメージ重視という点がありましたが、曲の内容から考えて単に明るいとうことではなく南国の陽気さのようなリラックスできる明るさというイメージで探索しました。
 ヘッドホンアンプはhpa200b(ハイエンド仕様)が良いと思います。明るくあっさりしている点がマッチするように感じられます。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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