第57回 Don't Know Why/Norah Jones「Come Away With Me」より

 Norah Jonesはアメリカの歌手です。ジャンルとしてはジャズに分類されることが多いと思いますが、ソウルやカントリーといった他のジャンルの要素を採り入れているためジャンル分けが難しいアーティストです。
 今回取り上げるのは2002年発表の1stアルバム「Come Away With Me」の1曲目です。グラミー賞8部門を受賞した有名なアルバムで、オーディオマニアの間でも知名度が高いので知っている人も多いのではないでしょうか。今回の曲は女性ヴォーカルが主役で、楽器としてはギター、ウッドベース、ドラムス、ピアノが入ってきます。ゆったりした曲調で、あまり刺激的な音は鳴らしません。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。声を柔らかくしっとりと鳴らしてくれること、各楽器の音色が自然で違和感なく聴けること、全体の調和が取れていて聴きやすいことの三点を重視したいと思います。


・1台目 DT231PRO(beyerdynamic)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。どの点についてもある程度高いレベルで満たしていると思います。特に声のしっとりさは最も良い印象です。DT231PROは曲によっては高域が目立つことも多いのですが、今回の曲ではまったくと言って良いほど気になりません。
 他にはATH-TAD500、K121studio、MDR-ZX700、PortaPro等で聴いてみました。ATH-TAD500はなかなか良いのですが、DT231PROと比べると声が若干ドライで、各楽器がしっかり聴こえてくる反面全体の調和では見劣りする印象です。K121studioとMDR-ZX700は声の柔らかさは良いのですが、しっとりとはまた違った方向性のように感じられます。PortaProは最後までDT231PROと迷いましたが、DT231PROの方が若干声がしっとりしているように感じられたのでそちらにしました。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・2台目 DTX900(beyerdynamic)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。どの点についてもある程度高いレベルで満たしていると思います。1台目と比べると声のしっとりさでは若干見劣りしますが、音場が広い点は良いです。2台目と比べると、1台目は窮屈で少し聴きにくい印象を受けます。
 他にはMDR-1R、MUSIC SERIES ONE、SRH840、T50RP等で聴いてみました。MDR-1Rは声の質は悪くないのですが、ウッドベースが異常に目立つせいで全体の調和が取れているとは言いがたいです。MUSIC SERIES ONEは最後までDTX900と迷いましたが、MUSIC SERIES ONEの方が中高域がしっかり出るぶん声やピアノの音色が明るく主張してくるため全体の調和で見劣りする印象だったので外しました。SRH840は悪くないのですが、DTX900と比べると声のしっとりさが感じられませんし、力強さが今回の曲の雰囲気と合わないような印象も受けます。T50RPは声がある意味魅力的なのですが、しっとりとはまた違った感じです。フィーリングとしては例えば滑らか、芯が通っていない、音色が暗い、生気に欠けるといった表現の方がしっくりきます。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・3台目 DT880(beyerdynamic)
 色々聴いてみた結果これになりました。最初に書いた条件についてはすべてしっかり満たしています。2台目と比べると、音場が広い上に癖が小さいため聴きやすさが更に向上している印象です。ただし、癖のなさは声の質についても言えることで、1台目のような露骨な艶っぽさや2台目のような濃さはないため、人によっては相対的に魅力に乏しいと感じられるかもしれません。総合的には3台目が最も良いのではないかと思います。
 不満点は特にありません。

・4台目 HD650(SENNHEISER)
 更に色々聴いてみた結果これになりました。最初に書いた条件についてはすべてしっかり満たしています。3台目も聴きやすかったですが、4台目は痛い音を鳴らさないという意味で更に聴きやすい印象です。それ以外の点については甲乙つけがたいです。
 他にはDT990PRO、HDJ-2000、RS-1、SRH1840、SRS-4040等で聴いてみました。DT990PROは声の擦れやサ行の痛さがかなり気になるため、全体の調和が取れているとは言いがたいです(もっとも、音量を抑えるなどして気にならないようにすれば、なかなか個性的かつ魅力的だと思います)。HDJ-2000は声の柔らかさは良いのですが、しっとりさでは3、4台目と比べると見劣りします。RS-1は声の音色が明るすぎますし、クレッシェンドの部分が少し聴きづらいです。SRH1840は悪くないのですが、声の柔らかさやしっとりさでは3、4台目と比べると若干見劣りします。SRS-4040は声がある意味魅力的なのですが、柔らかくしっとりと言うには少し音色が明るく透明感がありすぎるような印象です。

・5台目 IE8(SENNHEISER)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。どの点についてもある程度高いレベルで満たしていると思います。特に声の柔らかさが良いです。色々と聴いてみたのですが、Image X10はIE8と比べると声の音色が若干明るくしっとりさで見劣りする、SE535はIE8と比べると声が若干硬い、thinksound rainはウッドベースが異常に目立つせいで全体の調和が取れているとは言いがたい等の不満がありました。
 他にはSE215とHP-CN45が良かったです。どちらも最初に書いた条件をそれなりに満たしています。


 今回は柔らかくしっとりということで比較的落ち着いた傾向のものが選ばれましたが、もう少しあっさりしたものや透明感のあるものの方が好みという人もいると思われます。その場合にはSRH1840やMUSIC SERIES ONEが合うのではないかと思います。
 ヘッドホンアンプはHD-1L Limited Edition(RC1)が良いと思います。声の柔らかさやしっとりさをきちんと出してくれます。次点はSXH2です。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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