第17回 迷宮組曲 ドアオープン〜城内BGM1〜ドアクローズ
  /「FAMICOM 20TH ANNIVERSARY ORIGINAL SOUND TRACKS VOL.2」より

 「FAMICOM 20TH ANNIVERSARY ORIGINAL SOUND TRACKS VOL.2」は家庭用ゲーム機・ファミリーコンピュータのゲームソフトの音楽を集めたCDです。今回はその中からゲーム「迷宮組曲」の「ドアオープン〜城内BGM1〜ドアクローズ」を取り上げます。
 当たり前ですが、音としては「ピコピコ」と表現されることの多い電子音で構成されています。量的には中域から高域が多く、低域が少ない印象です。にもかかわらず、テンポが遅めのせいか音楽としてはどちらかと言うと穏やかな印象を受けます。ちなみに、「ドアオープン」と「ドアクローズ」はいかにもな効果音です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。電子音をそれらしく鳴らしてくれること、低域がある程度しっかり出ること(ただでさえ低域の少ない曲なので、低域の少ないヘッドホンだとバランスが悪すぎます)、あまり聴き疲れが酷くないことの三点を重視したいと思います。


・1台目 HD215(SENNHEISER)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。電子音らしさがしっかり感じられますし、低域も特に不足はなく音源をそのまま鳴らしてくれるような感じです。聴き疲れも特に問題ありません。明るくメリハリがある傾向でありながら全体のバランスが良く、特に違和感なく楽しめる点も良いです。
 他にはATH-A500、HPS5000、RH600、SE-M870等で聴いてみました。ATH-A500は最後までHD215と迷いましたが、若干線が細い点と「ドアオープン」と「ドアクローズ」のブリブリした感じを出してくれない点が気になったので外しました。HPS5000はなかなか良かったのですが、若干曇っている点が気になります。RH600は電子音らしさは出してくれるのですが癖が強くやや聴き疲れしやすい印象です。SE-M870はHD215やATH-A500と比べると電子音らしさが出ませんし、高域の癖が気になります。
 不満点は特にありませんが、聴きようによってはただ何となく鳴らしていて退屈に感じられるので、もう少し厚みや弾力があると良いかもしれません。

・2台目 DJ1 PRO(ULTRASONE)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。ちょうど1台目に厚みや弾力を加えたような感じです。「ドアオープン」と「ドアクローズ」のブリブリした感じが良いです。電子音らしさがしっかり感じられる点、明るくメリハリがある点は1台目と良く似ています。1台目と比べると若干癖がありますが、単品で見るとあまり気になりませんし、DJ1 PROの癖の強さを考えると今回の曲では他の多くの曲と比べて癖が気になりにくい方かと思われます。
 他にはATH-ES7、ATH-PRO700、HP-M1000、K181DJ、RH-300等で聴いてみました。ATH-ES7はDJ1 PROと比べて電子音らしさが出ず、やや曇りが気になります。ATH-PRO700はかなり曇っていて癖も強いです。HP-M1000はなかなかバランスが良く大きな不満はないのですが、DJ1 PROと比べるとやや曇っていてメリハリに欠けるのが気になります。K181DJは1台目と比べて厚みや弾力はあるのですが、重苦しい感じになってしまう印象です。RH-300はDJ1 PROと比べて音色が暗めでメリハリに欠けますが、電子音らしさを出しつつ今回の曲らしい穏やさが欲しいなら良い選択肢になると思います。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・3台目 MDR-SA5000(SONY)
 色々聴いてみた結果、これになりました。
 電子音らしさがしっかり感じられますし、低域も意外と不足に感じません。MDR-SA5000は低域の量トータルとしては少ないですが、100Hz前後は普通に出るためだと思われます(今回の曲の低域は100Hz前後をピンポイントで鳴らすため、低域が欲しいと言ってもそれ以外の周波数はあまり関係ないようです)。MDR-SA5000は硬く芯が通っていてそっけない音ですが、今回の曲にはむしろそこが合うようです。2台目より硬く締まっていて弾力がないせいかおもしろみに欠けるようなところはありますが、音色の明るさは遜色ありませんし、あまり違和感なく普通に聴ける点が良いです。
 不満点は特にありませんが、2台目と3台目の良いとこ取りができればなお良いだろうとは思います。

・4台目 ATH-W1000(audio-technica)
 良いとこ取りかどうかはともかく、2台目ほど厚みや弾力がなく、3台目ほど硬く締まっていないという意味で2台目と3台目の間のような音です。ややざらつくような癖のある感じが2台目と多少似ています。2台目とも3台目とも違うのは、低域が柔らかく全体的に心地よく聴ける点です。基本的には電子音らしさがある程度感じられるのですが、味付けされていて曲全体としては電子音らしくない感じに聴かせてくれます。そういう意味では3台目と正反対のような印象です。どちらが良いと感じるかは好みでしょうが、今回の曲らしい穏やかさが欲しいならATH-W1000の方が良いです。
 他にはATH-A2000X、HFI-780、HP-DX1000、MV1等で聴いてみました。ATH-A2000Xは電子音らしさはしっかり感じられますし、低域は少ないなりに弾力がある感じでそれほど悪くないのですが、線の細さが気になります。HFI-780は3台目とかなり似た音ですが、比較すると高域の癖が大きく密閉型特有の圧迫感があるせいか疲れやすいです。HP-DX1000は電子音らしさはある程度感じられますし、厚みがあり全体のバランスも悪くないのですが、音色にはかなりの違和感があります。MV1は電子音らしさはそれなりに感じられるのですが、やや曇っていてメリハリに欠ける上に癖が大きい印象です。

・5台目 RP-HJE70(Panasonic)
 最初に書いた条件を最も満たしていると感じたので選びました。電子音らしさがしっかり感じられますし、低域も特に不足はありません。他の多くの機種と比べると多少聴き疲れしやすいですが、単品では特に問題にならないレベルです(ただし大音量で聴きたい人は厳しいかもしれません)。オーバーヘッド型だとMDR-SA5000に比較的近い印象です。色々と聴いてみたのですが、AH-C700とIE-20 XBは電子音らしさがやや足りない上に低域が多すぎ、HP-FX500はバランスは良いのですが電子音らしさが不足等の不満がありました。
 他にはATH-CK10、ATH-CK7、AH-78が良かったです。ATH-CK10は最後までRP-HJE70と迷いましたが、線が細いためにやや聴き疲れしやすい点、違和感がやや大きい点が気になったので外しました。ATH-CK7はやや曇りが気になります。AH-78はRP-HJE70と良く似ていますが、若干硬く、今回の曲との相性はRP-HJE70の方が良い印象です。


 今回はどちらかと言うと明るく鳴らしてくれるような傾向のものを選びましたが、懐かしさが感じられるような古臭い音を求める聴き方もあると思います。その場合にはDR-631やST-90が良いのではないかと思います。
 ヘッドホンアンプはhpa200b(ハイエンド仕様)が良いと思います。付帯音が少ない点が合います。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。













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