HP-AL700

音質
 やや低音より。低域は厚みはやや薄いが、量はそれなりに多い。そのせいか、全体的に曇っている印象。中域は低域に埋もれない程度は聴こえてくるし、変な癖もないが、低域の曇りに覆われ気味なのは否めない。高域はやや控え目だが、ある程度聴こえてくるし、人によってはややドンシャリに感じるほどだろう。
 分解能、音場感、原音忠実性すべていまいちだが、音場感は耳かけ型にしては大きいだけあってそれなりのものはある。エッジはきつくなく聴きやすい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みはやや薄い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ノリの良さと繊細さをある程度バランス良く併せ持っているが、ノリが良いと言うには厚みや切れに欠けるし、繊細と言うには音が粗い。響きはやや豊かで、柔らかめの音。
 弦楽器はそれなりに心地よいが、繊細さが足りない。金管楽器は鮮やかさが足りない。打ち込み系の音の表現は一聴して悪くないのだが、厚みや切れに欠ける上に中域から中高域の鮮やかさにも欠ける。
 HP-D7を耳かけ型にしたような音。

装着感
 普通。慣れれば悪くない。耳かけ型にしてはかなり大きいが、耳への負担は見た目ほど大きくはない。ただし、かなりずれやすい。イヤーパッドは普通の布製で、蒸れにくい。長時間装着するとやや耳の外側が痛くなる。耳にかける部分がプラスチックなので、メガネをしている人はかなりつらそう。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。
 作りは価格なり、デザインは悪くない。耳かけ型なのに室内用というかなり珍しい機種。そのため、普通の耳かけ型の機種よりコードがかなり長くなっている。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは約2mm、硬さは普通だがやや癖が付きやすく扱いづらい。イヤーパッドのサイズは、外周66mm×58mm。

付属品
ミニ→標準変換プラグ



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
EHP-820
EHP-820はかなりフラット、HP-AL700はやや低音より。低域はHP-AL700の方がかなり量が多く低い音を鳴らす。中域は、EHP-820が低域の曇りに覆われる感じなのに対して、HP-AL700は低域の量に負ける印象。高域はEHP-820の方がやや硬く高い音を鳴らす。分解能及び音場感はHP-AL700の方が上。特に微細な表現は差がある。原音忠実性はどちらも良くない。HP-AL700は低域の曇りが支配的だし、HP-AL700は低域が多すぎる。EHP-820の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはHP-AL700の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHP-AL700の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもHP-AL700の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHP-AL700の方が良いように感じる。響きはEHP-820の方がやや豊か。弦楽器はHP-AL700の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-820の方が硬く鮮やかな音で楽しめるし、過度な味付けもない。打ち込み系の音の表現は、中域から高域の表現はEHP-820の方が相性が良いのだが、低域の厚みがかなり不足に感じるため、低域が欲しい場合にはHP-AL700の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ブラスメインの曲や低域をあまり重視しない打ち込み系の音はEHP-820、それ以外はHP-AL700。

HP-AL1000
HP-AL1000はやや高音より、HP-AL700はやや低音より。低域はHP-AL700の方が量が多くぼやけている。HP-AL1000の方が締まっていて量もほどほど、それでいてある程度しっかり低い音を鳴らす。中域はHP-AL1000の方が低域の曇りに覆われず、しかも高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-AL1000の方がかなり高い音で量も多い。分解能はHP-AL1000の方が上。音場感はHP-AL700の方が広くて良い。原音忠実性はどちらもいまいちだが、方向性が違う。HP-AL1000は明るく楽しめるような味付け、HP-AL700はゆったりくつろげるような味付け。HP-AL1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AL1000の方が上。厚みは質感が違うので比較しにくい。HP-AL1000の方が締まっていて、HP-AL700の方がぼやけて太い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がやや上。ノリの良さならHP-AL1000、繊細さならHP-AL700。響きはHP-AL700の方が豊か。弦楽器はHP-AL700の方が心地よく安心して聴けるが、ヴァイオリン等の澄んだ感じはHP-AL1000の方が出る。金管楽器はHP-AL1000の方が高く鮮やか。やや作ったような感じはするものの、かなり楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。低域の質感、締まり、明るさ等がマッチする。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく元気よく楽しみたいならHP-AL1000、ゆったりくつろぎたいならHP-AL700。

HP-D7
全体的にはかなり似た音。HP-D7の方がやや低音より。低域はHP-D7の方が全体的に出る感じだし、高域はHP-AL700の方が高い。ただし、中域から中高域は非常に似た音。分解能、原音忠実性はHP-D7の方がやや上。音場感は意外にもほぼ互角に感じた。HP-D7の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはHP-D7の方がやや上。音の鮮やかさ、厚み、温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを程よく両立させている感じがあるが、どちらかというとHP-D7の方が繊細か。響きはほぼ互角。HP-AL700の方がやや曇りが気になる。弦楽器、金管楽器ともにかなり近いが、若干HP-D7の方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら耳かけ型とオーバーヘッド型どちらを使いたいか、で良いだろう。それほど大きな違いは感じない。

HP-MD1
HP-AL700の方が低音より。低音は全体的にHP-AL700の方が出るし、そのせいでやや曇っている印象を受ける。中域〜高域はHP-MD1の方がやや強い。HP-MD1はヴォーカル等の中域にやや嫌味が出たり、低域が不足でスカスカに感じることがあるが、HP-AL700はそんなことはない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-AL700の方が上。HP-AL7000の方がエッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さは低域が弱い分HP-MD1の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がある。HP-AL700の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-AL700の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにHP-A700の方が楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、低域が出る分HP-AL700の方がやや良いように感じる。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-AL700の方が良いように感じるが、HP-AL700では低音が出すぎに感じたり、曇りが気になる人にはHP-MD1くらいのバランスの方が良いのかもしれない。

KSC75
HP-AL700はやや低音より、KSC75はややドンシャリ。低域はHP-AL700の方が量が多いが、厚みはKSC75の方があるように感じる。中域はKSC75の方が曇りなくしっかり聴こえてくる。高域はKSC75の方が細く高い音を鳴らす。分解能はKSC75の方が上、音場感はほぼ互角。原音忠実性はあまり差がない。HP-AL700は低域がやや支配的で曇っているように感じるし細部の表現が苦手。KSC75は元気が良すぎる。KSC75の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がかなりある。温かみはどちらかと言えばHP-AL700の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が感じられる。KSC75の方がノリが良くかつ繊細。響きはKSC75の方が豊かだが、HP-AL700は低域の量が多いこと等から響きが豊かと誤解を受けそうではある。弦楽器はKSC75の方が繊細で澄んでいる。金管楽器はKSC75の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現もKSC75の方がうまい。音の厚みやスピード感が段違い。得意分野はHP-AL700がポップス、KSC75がロック。ほとんど何を聴くにしてもKSC75の方が良いだろうが、よほど聴き疲れが気になる人はHP-AL700の穏やかな音を好むかもしれない。

MDR-Q36LW
どちらもかなりフラットだが、HP-AL700の方がやや低音より。低域は厚みはともかく、全体的な量としてHP-AL700の方が若干出る。中域は、MDR-Q36LWの場合ソースによって変な嫌味が出ることがあるのに対して、HP-AL700はそんなことはない。高域はMDR-Q36LWの方が若干強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-AL700の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはどちらもいまいち。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がやや上。HP-AL700の方がノリが良くしかも繊細。ただし、大きな差はない。響きはHP-AL700の方がやや豊か。弦楽器はどちらもやや曇りがちでまったりした味わい。澄んだ感じを楽しみたいならどちらもあまり向かないだろう。金管楽器はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばHP-AL700の方が良いか。打ち込み系の音の表現も同様で、あまり大きな差はないように思う。得意分野はどちらもポップス。大抵の場合にはHP-AL700の方が良いように思うが、傾向はかなり似ているので、微妙な好みの差で評価が変わってきそう。

OMX52
HP-AL700はやや低音より、OMX52はかなりフラット。低域はHP-AL700の方がかなり量が多い。中域は、低域の量が少ないだけでなくやや高めの音を鳴らすOMX52の方がはっきり聴こえてくる。高域はHP-AL700の方が高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はOMX52の方がやや上。音場感は、広さだけなら物理的にサイズの大きいHP-AL700に分があるが、明確さという点ではOMX52の方が上のように感じる。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはOMX52の方が上。厚みは質感がかなり違うので判断が難しい。OMX52の方がタイト。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方が上。低域の量が多くて線が太いHP-AL700の方がノリが良いように感じるが、切れや軽快さはOMX52の方が上。細部まで鳴らしてくれる感じのするHP-AL700の方が繊細に感じる部分もあるが、粗のなさではOMX52の方が上。響きはHP-AL700の方が豊か。HP-AL700の方が音が太くて柔らかく、付帯音も多いように感じる。弦楽器はHP-AL700の方が心地よいが、澄んだ感じはOMX52の方が上。金管楽器はHP-AL700の方が高く鮮やかだが粗がある。打ち込み系の音の表現は、低域が出る分HP-AL700の方が良いように感じがちだが、音の質感そのものはOMX52の方が相性が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量や温かみが欲しいならHP-AL700、それ以外はOMX52。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










戻る





スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 8Hz〜25kHz 105dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
58g 36mm 3.5m - 耳かけ型

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 3 1 3 3 4 均(低) 3900円

TOP > ヘッドホンレビュー > HP-AL700

公開日:2005.7.29

※生産終了