EHP-CL430

音質
 低音よりのドンシャリ。低域はローエンドまでかなりの量を鳴らすが、厚みは薄い。中域はかなり低域に埋もれる。高域は線が細く高い音を鳴らしてくれるが、量はそれほど多くはない。
 分解能、音場感、原音忠実性すべて良くないが、価格を考えれば特に酷いと言うわけではない。エッジはそれほどきつくないが、ソースによっては低音の量やこもり感で聴き疲れする。
 明瞭さ、音の鮮やかさは悪い。厚みはかなり薄く、スカスカな音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは意外と良い。ノリが良いわけでも繊細さなわけでもない。響きは適度からやや豊かで、こもり感がかなり気になる。
 弦楽器は繊細さや澄んだ感じがまったくしないが、ぼやけているため心地よさはそれなりにあるように感じられる。金管楽器は細く硬く高い音だが、それほど作ったような感じはしない。打ち込み系の音の表現はそれなり。低域の締まりや音の圧力があればもっと良かっただろう。
 低域の曇りや密度が薄いのは気になるものの、価格の割には大きな欠点のない機種。

装着感
 良好。側圧は弱めだが、重量が軽いせいかそれほどずれやすくはない。ヘッドバンドはクッションがないが、軽量のため頭頂部は痛くならない。
 イヤーパッドは耳のせサイズ、上下左右に角度調節ができる。材質はシワが気になる安っぽい人工皮革。
 ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。

その他
 遮音性は普通、音漏れ防止は良好。
 作りは安っぽいが、デザインは悪くない。スイーベル機構で折りたたみ可能。特殊な折りたたみ方法で、かなりコンパクトにたたむことができる。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約2mm、合流後は幅約4mm・厚さ約2mm、硬さは普通で特に扱いづらさは感じない。イヤーパッドのサイズは、外周68mm×68mm、内周32mm×32mm、深さ10mm。

付属品
無し



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
AH-G100
AH-G100はややかまぼこ、EHP-CL430は低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が量が多い。質的には、ソースによってはAH-G100の方が低い音に感じることもあるが、基本的に大きな差はない。中域は、AH-G100がどこか曇っていて嫌味が出るのに対して、EHP-CL430は低音の量に負けて目立たない感じ。高域はEHP-CL430の方が量が多いし、質的にもやや高めで目立つ感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてEHP-CL430の方が若干良いように感じる。エッジのきつさはほぼ同等だが、EHP-CL430の方が低域・高域ともに量が多く、やや聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が出ない分AH-G100の方が良いと感じるが、低域のないソースならむしろEHP-CL430の方が良く感じるくらい。音の鮮やかさはEHP-CL430の方が上。厚みはEHP-CL430の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。EHP-CL430の方がノリが良い。響きはEHP-CL430の方が豊かでこもり感が気になる弦楽器はEHP-CL430の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-CL430の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、質的にはほぼ同レベルなのだが、低音が豊かな分EHP-CL430の方が良いと感じることが多い。使い分けるなら、基本的にはEHP-CL430、低域の量が多いと感じるならAH-G100。

ATH-ON3
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、EHP-CL430は低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方がかなり量が多く、しっかり低い音を鳴らす。中域は低域に邪魔されない分ATH-ON3の方がはっきり聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方が高い音で量も多い。分解能は同等レベル。音の分離はATH-ON3の方がやや良いが、一つ一つの音の微細な表現はEHP-CL430の方がやや良い。音場感はEHP-CL430の方がやや広い。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、ATH-ON3の方が原音の粗や生っぽさは感じられる。EHP-CL430の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が弱い分ATH-ON3の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはEHP-CL430の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が上。EHP-CL430の方がかなりノリが良い。響きはEHP-CL430の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はEHP-CL430の方が心地よいが、低域が鳴らなくても良いから原音らしさを求めると言うならATH-ON3の方が良いだろう。金管楽器はどちらが良いというよりも傾向が違う。EHP-CL430の方がやや高い音だが、質感的にはATH-ON3の方が金属的。打ち込み系の音の表現は、音の質感はATH-ON3の方が合うが、あまりに低域が出ないので普通はEHP-CL430の方が良いだろう。使い分けるなら、低域が欲しいならEHP-CL430、低域は出なくて良いから明瞭さが欲しいならATH-ON3。

Bose on-ear headphones
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はBose on-ear headphonesの方がしっかり低い音を鳴らすし、量も多い。EHP-CL430の方が薄く曇ったような低域。中域はEHP-CL430の方が聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方がやや量が多く、明るい鳴らし方。Bose on-ear headphonesの方が太い。この2機種を比べると、Bose on-ear headphonesの方が低音よりと言える。分解能はほぼ同レベルだが、どちらかと言えばBose on-ear headphonesの方が上。音場感はEHP-CL430の方がやや広いが、明確さという意味ではほぼ互角。原音忠実性は微妙。Bose on-ear headphonesは低域の量が多すぎる点がマイナス、EHP-CL430は中域に多少癖がある点がマイナス。エッジのきつさはほぼ同レベルだが、Bose on-ear headphonesの方が低域の量が多すぎてこもり感で聴き疲れする。明瞭さはEHP-CL430の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ同等。厚みはBose on-ear headphonesの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはBose on-ear headphonesの方が上。Bose on-ear headphonesの方が低域でごり押しするノリの良さがある。響きはBose on-ear headphonesの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はBose on-ear headphonesの方が心地よいが、コントラバス等は歪みが気になる。金管楽器は、Bose on-ear headphonesの方が力強い感じ、EHP-CL430の方が明るい感じ。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の量感や音の厚みはBose on-ear headphonesの方が良いが、EHP-CL430の方がバランスが良い。使い分けるなら、低域が欲しいならBose on-ear headphones、それほどでもないならEHP-CL430。あるいは、温かみや柔らかい音を求めるならBose on-ear headphones、そうでもないならEHP-CL430。

HP-NC80
EHP-CL430は低音よりのドンシャリ、HP-NC80はややドンシャリ。低域はEHP-CL430の方がやや低い音で量も多い。中域はEHP-CL430の方がやや高い音で目立つ。高域はEHP-CL430の方が高い音で量も多い。この2機種を全体的に見比べると、HP-NC80の方がフラットで周波数特性に癖がないと言える。分解能及び音場感はEHP-CL430の方がやや上。原音忠実性はほぼ互角。EHP-CL430の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEHP-CL430の方がやや上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-NC80の方がやや上。EHP-CL430の方がノリが良く、HP-NC80の方がおとなしい。響きはEHP-CL430の方がやや豊か。弦楽器はHP-NC80の方が粗のない鳴らし方。金管楽器はEHP-CL430の方が明るい鳴らし方。打ち込み系の音の表現はEHP-CL430の方がややうまい。多少メリハリがある感じ。使い分けるなら、明るく聴きたいならEHP-CL430、派手さを嫌うならHP-NC80。

MDR-Z700DJ
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は、ローエンドはEHP-CL430の方がかなり出るが、それ以外はほぼ同量。MDR-Z700DJの方が厚みと圧力のある低域。中域はMDR-Z700DJの方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方が細く硬い鳴らし方。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z700DJの方がやや上。EHP-CL430の方がエッジがきつい上、こもり感が酷く聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-Z700DJの方が上。ただし高域はEHP-CL430の方が鮮やか。厚みはMDR-Z700DJの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。これはローエンドが出ることと、MDR-Z700DJと比べて中域の線が細いためだろう。どちらも繊細さは感じられない。ノリの良さならMDR-Z700DJの方が上。響きはEHP-CL430の方が豊か。弦楽器はどちらもうまくない。ただ何となく鳴らしてくれるだけでも違和感がない方が良いなら、EHP-CL430の方が向いているだろう。金管楽器はEHP-CL430の方が高い音を鳴らしてくれるが、線が細く力強さには欠けるし、聴き疲れの原因にもなっている。打ち込み系の音の表現はMDR-Z700DJの方がかなりうまい。音の厚み、圧力、切れ、迫力といったものが違う。得意分野はEHP-CL430がクラシック、MDR-Z700DJがポップス。使い分けるなら、基本的にはMDR-Z700DJ、厚みが薄くスカスカでも良いからローエンドや高域のとがった感じが欲しいならEHP-CL430。

RH-5Ma
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が量が多いが、RH-5Maの方が厚みがある。中域はRH-5Maの方が低域の曇りに埋もれずに聴こえてくる。高域は量は近いが、EHP-CL430の方が細い感じ、RH-5Maの方が硬く太い感じ。分解能はRH-5Maの方がやや上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はどちらも良くないが、曇りを除けばEHP-CL430の方が癖のない音。どちらもエッジはきつくないが、低域の量が多いため聴き疲れする点は似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-5Maの方が上。厚みはRH-5Maの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。どちらも繊細とは言えない。ノリの良さならRH-5Ma。響きはEHP-CL430の方が豊かで、こもり感も気になる。弦楽器はRH-5Maの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRH-5Maの方が力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はRH-5Maの方がうまい。スピード感はあまりないものの、音の厚みが効いている。得意分野はEHP-CL430がクラシック、RH-5Maがポップス。使い分けるなら、薄い音を聴きたいときはEHP-CL430、EHP-CL430の曇りが気になるときや濃い音を聴きたいときはRH-5Ma。

SE-MJ5
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が厚みが薄く、ローエンドまで出る感じ。EHP-CL430の方が低く、量も多いように感じるが、ぼやけて締まりがない。SE-MJ5はEHP-CL30と比べれば締まりがある。中域はSE-MJ5の方がはっきり聴こえてくる。EHP-CL430はかなり低域に埋もれる。高域はSE-MJ5の方が硬く高い音を鳴らす。分解能、音場感ともに若干SE-MJ5の方が良いか。原音忠実性はどちらも良くないが、原音の実体感のようなものはSE-MJ5の方が感じられる。EHP-CL430はただ何となく鳴らしている印象。SE-MJ5の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-MJ5の方が上。厚みはSE-MJ5の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方がやや上。繊細さが感じられないのはどちらも似たようなものだが、ノリの良さはSE-MJ5の方がかなり上。響きはEHP-CL430の方がやや豊かで、こもり感がかなり気になる。SE-MJ5の方が芯の通った圧力のある音。この点が一番の違いかもしれない。弦楽器はどちらもうまくない。SE-MJ5の方がくっきりした鳴らし方。ぼやけて繊細さがなくても良いならEHP-CL30でも聴けないことはないが、基本的にSE-MJ5の方がましだろう。金管楽器はSE-MJ5の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MJ5の方がかなりうまい。圧力やスピード感がまったく違う。得意分野はEHP-CL430がクラシック、SE-MJ5がポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-MJ5で、聴き疲れが気になるときや元気が良すぎると感じるときはEHP-CL430が良いだろう。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



  


※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 7Hz〜25kHz 105dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
120g 40mm 1.8m 両出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 4 3 4 4 3 低(高) 2100円

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公開日:2006.4.30

※生産終了