第39回 価格別favorite headphones インナーイヤー版

 久しぶりの価格別favorite headphonesは、インナーイヤーを取り上げることにしました。
 本サイトは、公開からかなり長い間、インナーイヤーはレビューにさえ取り上げていませんでした。その理由は、所有するヘッドホンが多すぎて順番にレビューを公開していく都合上、オーバーヘッドタイプのものを優先していたためです。それが今ではインナーイヤーのレビューもかなりの数公開しています。何やら感慨深いものがあります。


SHE9501(5千円以下、PHILIPS)
 ヘッドホンというものはそもそも5千円以下のものがかなりの割合を占めていますが、インナーイヤーはオーバーヘッドタイプのヘッドホン以上にこの価格帯の占める割合が高いです。そういう意味で競争が激しい価格帯ですが、選んだのは最近入手したSHE9501です。これは最近入手したため贔屓した感も否めませんが、何にせよ非常に優れた機種であるのは間違いありません。
 SHE9501はこの価格帯には非常に珍しく薄味でかなりフラットです。ドンシャリや低音よりの機種が多い中、かまぼこにさえ感じるほどのバランスは異質ですらあります。低音が物足りないと言う人もいるでしょうが、客観的に考えてもこれくらいのバランスは十分ありだと思います。
 長々書きましたが、この機種の魅力は薄味であるが故にどんなソースであってもその魅力をしっかり出してくれる上、決して退屈にならない点にあると思います。

MDR-EX90SL(5千円〜1万円、SONY)
 私はこの機種が発表された当初、実はかなり不安でした。と言うのも、その頃のSONYの新製品はあまり評判が良くないものが多かった上に、これまでにない形状のインナーイヤーで、しかも名機MDR-CD900STのコンセプトを継承したという胡散臭い宣伝文句まで付いていたからです。しかし、その心配は杞憂に終わりました。MDR-EX90SLは間違いなく優れた性能を持っており、しかもMDR-CD900STの良さをしっかり受け継いでいます。
 音質的には、フラットで原音忠実ではあるものの、MDR-CD900STと同様柔らか目の低音が特徴です。外観からは装着感が心配されますが、実際はかなり万人受けするようです。

AH-C700(1万円〜2万円、DENON)
 正直、個人的にこの価格帯には「これ!」というものがありませんでした。そこに、AH-C700が発売されました。
 AH-C700は決してバランスが良いとは言えません。どう考えても低音の量が多すぎます。しかしその割に中域〜高域もしっかり聴こえてきますし、分解能も悪くありません。それ以外にどこがどう良いのか、言葉で説明するのは難しいですが、はまる人ははまるでしょう。個性と言うのは得てしてそういうものだと思います。

ER-4S(2万円以上、Etymotic Research)
 私の音楽の趣味として、女性ヴォーカルものとチェロ等の弦楽器が好きという傾向があります。それにぴったり合うのがこのER-4Sです。もし私がロック好きだったりしたなら、これを選ぶことはなかったでしょう。
 遮音性と音漏れ防止が非常に良いのも大きな長所です。カナル型と言うと遮音性も音漏れ防止も良いようなイメージがありますが、実は意外と良くないものもあります。現に、今回取り上げている4機種のうち3機種は一概に良いとは言えないレベルです。


 今回はすべてカナル型を選びました。これは、構想の途中でカナル型が占める割合が高いことが確定したため、どうせならすべてカナル型にしてしまおうと考えたためです。カナル型ではない通常のインナーイヤーヘッドホンについてもいずれ取り上げることがあるかもしれませんが、カナル型以上に価格の幅が狭いため難しいかもしれません。







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