音楽鑑賞メモ

 このサイトにいくつか存在する隠しページの一つへようこそ。このページは、私が日頃聴いた音楽・その環境・感想を書いております。ただ羅列するだけですのでヘッドホンから見れば良くも悪くも単なる使用例になっていますし、それぞれの感想は極めて主観的な、ある意味いい加減なものです。当然苦情等は受け付けません。それでも読みたい方だけご覧下さい。また、更新は気が向いたときにページの上部に追加していきますので、下に行くほど古い内容となります。
 余談。このページに似たようなことは他の方もやっているので、パクリっぽいと思われるかもしれないですが、パクリです。うそうそ、本当はだいぶ前から何となく考えてたんですが、最近になって気軽に更新できるページがあってもいいなぁいう思いと合致して、こんな形になってみたわけです。本当は曲別HP探索がこういう気軽なページになるはずだったんですが、うっかりリクエストを受け付けたらリクエストが殺到してそれどころではなくなってしまったので。それに、リンクが貼ってあって気軽に試聴できると嬉しいかな、と。私の音楽の趣味と合わせてお楽しみ頂ければ幸い。



・ZABADAK「私は羊」   試聴はこちら。
 NightHawk+TU-HP01
 ZABADAKの中核メンバーとして長い間活躍された吉良知彦氏への追悼の想いをこめて。ZABADAKのアルバムは沢山あるけれど、今回は色々考えて「私は羊」。おそらく「遠い音楽」や「桜」ほどの知名度はないのではないかと思う。私自身、初めてこのアルバムを聴いたときにはさほど強い感動を覚えなかった気がする。それが時間を経て、そしておそらく年を取るにつれ、このアルバムの存在感が自分の中で高まってきた。アコースティックだからか、アルバム全体の統一感があるからか、オリエンタルな雰囲気に魅力を感じるからか・・・・・・原因は定かではない。好きな曲は「同じ海の色」「小さい宇宙」「砂の扉」。録音はやや特殊な印象。全体的に曇ったような、リバーブがかかったような傾向。単純に録音が悪いと言うよりは、アルバムの内容から考えてそういう方向性の音作りにしてあるという気も。
 NightHawkを使ったのは、エージングは終わったもののあまり使っていなかったし、何となく今回のCDに合いそうな気がしたから(いい加減な話だけれど、CDのジャケットとNightHawkの本体カラーの印象が近いことも影響しているのかもしれない)。TU-HP01を使ったのは、NightHawkの曇りに艶を乗せて生かす方向性で鳴らしてくれるような気がしたから(そういう意味において、据え置きでこれより良さそうなものが手持ちになかった)。聴いてみると、あまり不満なく楽しめた。曲の内容や録音のせいもあってか、NightHawkの曇りがまったくと言って良いほど気にならない。TU-HP01による艶も良い方向に作用していると思う。



・ブラームス「交響曲第1番」   指揮:ミュンシュ 演奏:パリ管弦楽団 1968年   試聴は下のamazonのページで。
 HD650+Zu+Head Amp 2/MkII SE
 曲別HP探索2でブラームスを取り上げた際にHD650と相性が良いように感じられたので、試しに聴いてみることに。とは言えブラームスは個人的に少し苦手。ブラームスのヴァイオリン協奏曲についてチャイコフスキーが「詩情が欠けているのに、異常なほどに深遠さを装ってみせる」と評したらしいけれど、私のブラームスに対するイメージと近くて驚いた。演奏家にはブラームスが好きな人が多いようだし、きっと優れた音楽家だったのでしょうが・・・・・・ 今回聴いたのは名盤と言って差し支えないと思う。おそらくクラシックの全CDから名盤100枚を選ぶとしても選ばれるのではなかろうか。パリ管弦楽団とは思えないドイツ的な迫力をそなえた気迫の名演。録音は普通。1968年としては悪くないように思われる。
 HD650を使ったのは前述の通り。Head Amp 2/MkII SEを使ったのは、何となくHD650でブラームスを聴くならこれかと思ったので。実際聴いてみた感想としては、やはりブラームスらしい重厚さがHD650とマッチする印象。Head Amp 2/MkII SEも地味に良い仕事をしていると思うけれど、録音とHD650が原因でやや曇っているようなところが気になる面もあるので、それを避けたければhpa200b(ハイエンド仕様)あたりでも良かったかもしれない(もっとも、その場合ブラームスらしさが損なわれる方向性だろうけど)。



・ADIEMUS & KARL JENKINS「COMPLETE BEST」   試聴は下のamazonのページで。
 TH500RP+hpa200b(ハイエンド仕様)
 夏っぽい音楽を聴きたい気分になったものの、やはり暑苦しいのはイヤなので夏っぽくかつ爽やかなものを、ということでADIEMUS。テレビで流れているのを耳にしたことのある人も多いのではないかと思う。ジャンルとしてはニューエイジやヒーリングに分類されることが多いけれど、まったりリラックスできる曲ばかりということはなく、躍動感のある曲や底抜けに明るい曲も収録されている。南アフリカ出身の歌手をメインにすえていることもあってかアフリカのテイストが強めな印象。とは言え、ヨーロッパの民族音楽や宗教音楽の要素を感じる曲もある。そういう意味では幅が広いと言えるのかもしれない。好きな曲は「Adiemus - Beyond The Century(Makare Maka)」「Kayama」「Hymn」「Benedictus」「Saint Declan's Drone」。録音は普通。録音のせいなのか、それともわざとなのか、全体的に少し曇っているようなところがある。
 TH500RPを使ったのは、エージングが終わったから折角なので。hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、爽やかさ優先。今回のCDとの相性はあまり考えていなかったものの、普通に楽しむことができた。考えてみると低域不足や質感の癖が問題になるおそれがあったのだろうけど、実際にはほとんど気にならなかった。



・BECK「MORNING PHASE」   試聴はこちら。
 T1+AT-HA2002
 語らせたら長い人がいることで有名かもしれないアーティスト、BECK。私は特段思い入れはないのだけれど、そんな私が今回聴いてみることにしたのは「このアルバムは音場に工夫がある」と耳にしたので。2015年のグラミー賞で最優秀アルバム賞、最優秀ロック・アルバム賞、最優秀アルバム技術賞(クラシック以外)を受賞。好きな曲は特にない。曲単位ではなくアルバム単位で聴きたい。録音はなかなか良い。「録音の良さとは何ぞや?」ということについてこの前の曲別HP探索2で偶然触れたのでそれを引用すると「S/Nが良い、音割れや雑音が少ない、周波数レンジが広い、ダイナミックレンジが広い、定位が明確、情報量が多い」といったポイントが考えられて、今回のアルバムはどの点についてもあまり大きな問題ないように思う(もう少しコンプが弱めでダイナミックレンジが広ければ更に良かったとは思うけれど)。あとは、比較的奥行きが感じられる、楽器のエッジの表現がそれなりにしっかりしている(最近の所謂優秀録音盤やハイレゾ音源にはやたらエッジが丸くて粗のない、生演奏からかけ離れた気持ちの悪い音源が多いと思うのだけど、このアルバムはあまりそういうことはない)という点も付け加えておきたい。
 T1を使ったのは、ロック&音場というキーワードからフィーリングで。AT-HA2002を使ったのは、T1でBECKを聴くならコレだと思ったので。音場については分かりやすかったし、それなりに低域の量の多い音源でもあるので個人的にはT1くらいのバランスで良かったと思う。



・宇宙兄弟 COMPLETE BEST   試聴は下のamazonのページで。
 HFI-2200ULE+AT-HA2002
 テレビアニメ「宇宙兄弟」のオープニング曲とエンディング曲を集めたCD。参加アーティストはユニコーン、Rake、スキマスイッチ、アンジェラ・アキ、DOES、近藤晃央、フジファブリック、秦基博、真心ブラザーズ、福原美穂、メレンゲ、フラワーカンパニーズ、tacica、カサリンチュ、THE 野党、Serena。個人的に、最近の日本のポップス、特に男性ヴォーカルはちょっと肌に合わないものが多いのだけど、このCDの曲はあまりそういう感じがしない。世間一般の感覚でも評価が高いのではないかと思ってamazonのカスタマーレビューを見てみたところ、やはりなかなかの高評価。参加アーティストに有名どころが多いということもあるのだろうけど、それだけでなくある程度作品にマッチした曲だからこそという気も。好きな曲は「HALO」「New World」「クレーター」「素晴らしき世界」「BEYOND」「Small World」。録音は当然のことながらまちまちと言えばまちまち・・・・・・とは言え基本的に最近の日本のポップスのもの。
 HFI-2200ULE+AT-HA2002を使ったのは何となく。おそらく、低域がある程度出るもの、濃いめの音が出るもの、男性ヴォーカルが得意なもの、というような条件と気分が無意識のうちにミックスされてこのチョイスに。PROline2500やPROline750ではなくHFI-2200ULEなのは、そこまで突き抜けたものは求めていなかったし、痛い音を鳴らす曲もあるので聴きやすさも考慮してのことだったのかもしれない(あくまで後から考えれば)。HFI-2200ULEでも少し高域の粗が気になる場面はあったけれど、ヴォーカル含め全体としては大きな不満なく楽しむことができた。



・シベリウス「管弦楽作品集」   指揮:ヤルヴィ 演奏:エーテボリ交響楽団 1992〜1996年   試聴は下のamazonのページで。
 HD800+AT-HA2002
 カレリアが聴きたかったので。「フィンランディア」「カレリア」「トゥオネラの白鳥」「タピオラ」が収録されているCD。シベリウスで最も有名な曲は「フィンランディア」なのではないかと思うけれど、個人的には「カレリア」の方が好き。「フィンランディア」はあの重苦しい入りが苦手・・・・・・ 今回の録音は、著名な指揮者が録音したカレリアの中では比較的新しい部類に入ると思われる。あまり個性や激しさといったものが感じられず、聴きやすい。余談だが、シベリウスはフィンランドの作曲家で、カレリアというのはシベリウスも新婚旅行で訪れたというフィンランド南東部の地方。どういうところなのか私も詳しくは知らないのだけど、ネットで画像検索すると美しい景色が沢山見られる。日本人の持つ一般的なフィンランドのイメージに近いものと思われる。そういった画像を見ながら「カレリア」を聴くと、新鮮な気持ちで聴けるような気がする。録音は普通。少し響きが独特と言うか、フィーリングの面で若干散漫な印象を受ける面がある(これは録音ではなく演奏の問題か)。
 HD800+AT-HA2002を使ったのは気分。後から考えると、オーケストラに合うということと、今回のCDの聴きやすさを損なわないということから、良いチョイスだったのではないかと。



・Nightnoise「Shadow of Time」   試聴はこちら。
 HD590+SXH2
 リラックスして何も考えずに音楽を聴きたい気分で、その気分のまま選んだらこれに。Nightnoiseはアイルランドのバンドで、所謂ケルト音楽に分類される。ギター、ピアノ、フルート、フィドル等を使ったアコースティックサウンドで、ヴォーカルは入ったり入らなかったり。今回のアルバムはケルト音楽としてはテンポの遅い曲が多く、ケルト音楽につきものである酒と踊りの要素が薄いように感じられる。その意味ではケルト音楽よりもヒーリングやニューエイジと言った方が適切なのかもしれない。好きな曲は「One Little Nephew」「The March Air」「Shadow of Time」。録音は普通。ただ、あまり楽器の質感を出す感じではなく全体として聴きやすい仕上がりになっている印象。
 HD590を使ったのは、リラックスして聴くのに最適な装着感の良さとMade in Irelandであることが理由。HD590の装着感は、装着感が良いことで知られるHD595と比べても更に良いと思う。HD590の後にHD595を使うと、何だか良く分からない器具で頭を挟まれているような気分になる。SXH2を使ったのは、聴き疲れを避けたかったから。HD590はHD595と比べると若干聴き疲れするので今回はそれを避けたかった。結果的に、HD595ではなくHD590を使って良かったように思う。低域の量が多くかつエッジが立っているせいか雰囲気が出るような・・・・・・



・スピッツ「三日月ロック」   試聴は下のamazonのページで。
 T1+Head Amp 2/MkII SE(120Ω出力)
 少し前にライヴで「夜を駆ける」を聴いてから何となく頭を離れなかったので、時間ができたのを期にCDでも聴いてみることに。2002年発表の10thアルバム。9.11の影響を受けたということで、スピッツの他のアルバムと比べると若干重い印象(と言っても露骨に暗い曲ばかりということは全然ない)。ちなみに草野マサムネは3.11のときに急性ストレス障害で倒れていて、歌詞の内容等からも分かるように非常に感受性が強い人なのではないかと思われる。好きな曲は「夜を駆ける」「けもの道」「ガーベラ」「ハネモノ」「ババロア」。録音はやや良い。定位が明確で、声や楽器の質感もきちんと感じられる。マスタリングはStephen Marcussen(AerosmithやNirvanaの作品も手がけた人気のマスタリング・エンジニア)。
 T1+Head Amp 2/MkII SE(120Ω出力)を使ったのは、そこそこ相性が良くかつ録音の違いが分かりやすいのではないかと思ったから。思ったとおりに聴けたけど、「夜を駆ける」をライヴ風に聴こうと思ったらDT880の方が良かったかもしれない。T1だと少し締まりすぎ。しかしこの曲の雰囲気は凄い。そして最後の「けもの道」を聴くとまた「夜を駆ける」から聴きなおしたくなるという・・・・・・



・アルドノア・ゼロ オリジナル・サウンドトラック   試聴は下のamazonのページで。
 HD800+hpa200b(ハイエンド仕様)
 今が旬? 澤野弘之は曲別HP探索2第60回で「医龍 Team Medical Dragon 2 オリジナル・サウンドトラック」を取り上げていて、そのときに正直録音があまり良くないと感じていたので、比べてみようという気持ちもあり。録音と言っても打ち込み多用なので微妙だけれど、要するにクリップしたりして音が割れている、ダイナミックレンジが狭い、意図していないと推測されるノイズ・歪み・粗があるといった問題が気になるかどうかということ。医龍2が2007年発表、今回のアルバムが2014年発表、この7年の差だと私の経験上そこまで録音に差は出ないものだと思うのだけど、聴いてみるとこの2枚のCDはかなり違う。今回のCDの方があらゆる点で上だと思う。原因は不明だけれど、ここまで違うとなると、澤野氏本人の技量、エンジニアの技量、機材すべてが影響しているのではないかという気がしてくる。好きな曲は特にない。曲単位ではなくアルバム単位で聴きたい。
 HD800+hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、そこそこ相性が良くかつ録音の違いが分かりやすいのではないかと思ったから。録音については、これだけ差があるとあまり再生環境にこだわらなくても分かるのではないかという、ある種残念な結果に。相性は悪くないものの、もう少し低域の量が多いと迫力が感じられて良かったのではないかと思う。音場の広さや音の質感はマッチしていた。



・ZABADAK「飛行夢」
 HE-400+hpa200b(ハイエンド仕様)
 最近暑くてかなわないので、夏の暑さをやわらげてくれる涼しげなアルバムを聴きたいと思いつつラックをあさっていたらこのCDにたどり着いた。そう言えばこのページでZABADAKを取り上げたことがなかったということもあり、これに決定。私がZABADAKを知ったのは20年ほど前にこのCDをCD屋で見かけてジャケ買いしたのがきっかけだったので、尚更ちょうど良いかと。これがZABADAKで一番好きなアルバムかと問われればイエスとは言いがたいのだけど、この時期のZABADAKのアルバムはどれもそれぞれの個性と魅力があるので、一番は決めにくいという面が大きい。歌詞カードが少し変わっている。このアルバムには歌詞が日本語の曲と英語の曲があるのだけど、見開きの左側に本来の歌詞、右側にその対訳(左側が日本語なら右側は英語、左側が英語なら右側は日本語)が載っている。好きな曲は「LET THERE BE LIGHT」「飛行夢(そら とぶ ゆめ)」・・・・・・までは確実なんだけれど、あとは時期や気分で変わるように思う。昔は「GOOD BYE EARTH」や「WALKING TOUR」、今は「THERE'S A VISION」や「砂煙りのまち」。録音は何とも言えない。打ち込み多用で、ヴォーカルもかなり加工されている曲が多いため。
 HE-400を使ったのは、エージングは終わったもののあまり使っていなかったし、音場の広さや音の質感からして今回のCDに合いそうだと思ったから。hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、涼しげな感じで鳴らして欲しかったから。HE-400だと粗が気になるかもしれないという懸念があったのだけど、聴いてみると思ったほどではなかった。何より涼を取るという目的は十分果たせたので満足。



・魔神英雄伝ワタル【シングルコレクション】1988 May〜1993 Sept.   試聴は下のamazonのページで。
 SR-325i+Head Amp 2/MkII SE
 何を聴こうかとラックを眺めていたらこのCDが目に入った。そう言えば最近テレビCMやニュースサイトでワタルの名を見かけたような気がする・・・・・・調べてみたら、テレビアニメのBlu-ray BOXが出るようで。私はアニメについてはほとんど見たことがなかったのだけど、ラジオ番組はずっと聴いていた(十代の頃ラジオを節操なく聴いていたので)。今回のCDはテレビアニメやラジオ番組の主題歌等を集めたもの。シングルコレクションとなっているけれど、収録されているのはa・chi-a・chiと高橋由美子の曲のみ。a・chi-a・chiは80年代アイドル風の双子ユニット。Winkに似た曲が多いと言えばオジサンにはだいたい分かるだろうか。高橋由美子は、女優として有名なあの高橋由美子。歌手としての1st&2ndシングルはワタルとのタイアップだった。好きな曲は「君が生まれる日」「僕は君を信じてる」「Fight!」「虹の彼方に」「Step by Step」「Step」「POWER」。ちなみにこのCDには折込でディスコグラフィーが入っているのだけど、その枚数が凄い。アルバム40枚、シングル13枚。これだけ見ても、一時代を築いた作品群だったことは疑いようがない。録音は普通の80〜90年代のもの。録音と言うより、この頃の日本のポップスに多く見られたシンセが特徴的。最近の若い人には合わない可能性が高いけれど、80年代のアイドルソングが耳に残っているような人なら普通に聴けるのではないかと思う。80〜90年代特有のキャッチーなメロディーラインとストレートな歌詞が魅力。かと思えば「本当の自分を 確かめたくて 優しいドアを とび出したなら」「一人静けさの中で 瞳を閉じる そんな時間が自分を 育てて行く」「急ぐのよ 走るのよ 光が消えないうちに」といった子供向けアニメの曲とは思えないちょっと深めの歌詞やドキッとするような歌詞も紛れている。
 SR-325iを使った理由は少し回りくどい。最初はフィーリングでedition7を使おうかとも思ったのだけど、重低音が多すぎる(20年前はこんなに重低音が出る再生環境なんてほとんどなかったのでは)し1時間以上連続で使うにはちょっと暑かったので、重低音が少なく暑くないSR-325iに。Head Amp 2/MkII SEを使ったのは、SR-325iだと派手すぎると思われたので比較的地味めなものをと言うことで。当時はインナーイヤーをラジカセに直挿しで聴いていたのだけど、今回の環境だとその頃の感覚とあまりズレがなく楽しめた。前述のラジオ番組は夜中に放送されていたので、(明るい曲が多いにもかかわらず)このCDには個人的に夜のイメージがある。当時を思い出しつつ、部屋を暗くして音楽に浸っていたら、十代の頃の感性が甦るような気がした。



・外間隆史「サンビカ」   試聴は下のamazonのページで。
 SRH1840+AT-HA2002
 遊佐未森のプロデュースで知られる外間隆史のアルバム。参加アーティストは、遊佐未森、Jane Siberry、Origa、Tony Mansfield、麻生祐未、とよた真帆、いしだ壱成、片岡礼子、古賀森男他。彼がそれまでの音楽人生で関わってきた、感性の近い人々が選ばれている印象。ただ、これらのアーティストが好きな人にこのCDをお薦めしたいかと言われると、ちょっと迷う。個々のアーティストの色は出ているけれど、一人一人の出番はそれほど多くないし、基本的に外間隆史の「サンビカ」というアルバムの枠からはみ出さない形なので。好きな曲は特にない。このアルバムは曲単位ではなくアルバム単位で聴くべきだと思う。アルバム全体を通して分かりやすいメロディーラインが少なく、雰囲気を楽しむような楽曲が並んでいる。このアルバムを言葉で表現するなら、「何でもない普通の日に、ただ何気なくそこにある特別な音楽」。録音は普通。録音がどうと言うより、粗が少なく全体的に柔らかい音が使われていたり軽くエコーがかかっていたりするのが特徴。
 SRH1840+AT-HA2002を使ったのは気分。そもそもこのCDを聴こうと思ったのも完全に気分。これまで繰り返し聴いてきたCDではないので相性がどうなるか予想できなかったけれど、結果的にはなかなか良かったと思う。このアルバムの特徴である"肩に力の入っていない感じ"を壊さずに出してくれた。



・Kalafina「Red Moon」   試聴は下のamazonのページで。
 EP-AVNAIR+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 web拍手のコメントで「EP-AVNAIRがKalafinaに凄く合う」というようなことを書いてる人がいて、正直良く分からないと思ったので実際に聴いてみようと思い。Kalafinaは梶浦由記プロデュースの3人組女性ヴォーカルユニット。ポップスとして聴くと、独特のメロディライン、比較的低めの女性ヴォーカル、民族音楽的エッセンスといった特徴があるように思う。好きな曲は「I have a dream」「光の旋律」「storia」。録音は普通。特に問題なく聴けるけれど、ハイレベルな話をするなら一つ一つの音の微細な描写をもう少ししっかりして欲しかったところ。
 EP-AVNAIRを使ったのは前述の通り。HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、あまり偏った音を鳴らさないで欲しかったから。聴いてみた最初の印象は、「何か普通」。個人的にKalafinaに合うヘッドホンを選ぶならもっと良いものがあるけれどもEP-AVNAIRが特別悪いわけでもなく、逆にEP-AVNAIRに合う曲を選ぶにしてももっと良いものがあるけれどもKalafinaが特別悪いわけでもなく・・・・・・ 前述のKalafinaの特徴からして低めの女性ヴォーカルが得意なヘッドホンや民族音楽的エッセンスをうまく表現してくれるヘッドホンが合うと推測されるわけだけど、EP-AVNAIRはあまりそういうタイプではない。とは言え、声が不自然とか低域が全然出ないというような大きな欠点があるわけでもない。逆にEP-AVNAIR基準で見ると、その長所はインナーイヤーとしては異常なほどしっかりした低域、音の分離の良さ、定位の明確さ、打ち込み系の音の表現のうまさといった点があると思うのだけど、Kalafinaはこれらの長所がそれほど生きるタイプではない(しっかりした低域や打ち込み系の音の表現のうまさは多少効いてくるだろうけど)。ただ、明るすぎたり音が硬すぎたりして全然ダメということもない。もっとも、これはあくまでも私の見方で、別の見方をすればまた違ってくるはず。例えば、純粋にポップスとして聴きたい、切れやメリハリを重視する、あまり響きや付帯音で味付けをしないで欲しい、といった場合にはかなり相性が良くなるだろうし、そういう聴き方をする人も特別珍しくはないのではないかと思う。色々書いたけれど、やっぱり個人的にはEP-AVNAIRよりT1やDT880の方が合うんじゃないかなぁと・・・・・・



・川田まみ「SAVIA」   試聴は下のamazonのページで。
 Crossfade M-100+hpa200b(ハイエンド仕様)
 Crossfade M-100が結構気に入ったので、それに合いそうなCDを聴いてみようかと思い選択。最近めっきり聴かなくなったI've(聴かなくなった理由の半分は単に音楽鑑賞に使う時間がないから、もう半分はI'veの魅力が衰えてきたのかあるいは私の好みが変わってきたのか・・・・・・)。具体的には、打ち込み多用、ロック調、女性ヴォーカル、音場の広さや音の広がりを必要としないといった点がCrossfade M-100に合うのではないかと。5年以上前のアルバムだけれど、今聴いても古臭さやチープさはあまり感じない。これが10年以上前だと音が薄かったりして最近の曲とは明らかに違う感じになってくるわけだけど・・・・・・5年後にはこのCDもそうなるのだろうか? あまりそうは思えない気も。好きな曲は「sense」「JOINT」「TRILL」「triangle」「portamento」。録音は普通の日本のポップス。
 Crossfade M-100を使ったのは前述の通り。hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、Crossfade M-100の良さを出してくれると思ったから。結果的にはもう少しシャキシャキの電子音に近い曲の方が更に楽しめたかもしれない。が、これは期待が大きすぎたことが原因か。実はあまりこのCDを聴きたい気分ではなかったのだけど、実際聴いてみるとしっかり楽しめてしまったわけだし。



・Snow*「Chain」   試聴はこちら。
 K612PRO+SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)
 「K612PROに合う曲ってどんなものだろう」と考えると、透明感と柔らかさを両立しているような女性ヴォーカルものというイメージが思い浮かんだ。となると真っ先に思い浮かぶのはこのページで既に取り上げた遊佐未森の「ハルモニオデオン」・・・・・・何か他にないものかとCDを漁っているうちに訳が分からなくなって最終的にはこれに。アルバムが出ていればアルバムを選んだのだろうけど、残念ながら出ていない(別名義では出ている)のでシングル。Snow*は実質シングル3枚で活動休止になっているアーティスト。もっと活躍して欲しかったという声があちこちで聞かれる。私も同意。シングル3枚を見るとSnow*がどうこうより曲が良かった面も確かにあるけれど、声、歌唱力、ルックスといった点も申し分ないように思う。録音は普通。
 K612PROを使ったのは、前回使いそびれたので。SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)を使ったのは、何となく前回と合わせて。聴いてみると、確かに透明感と柔らかさを両立しているしK612PROとも相性が良いと思うけれど、K612PROの魅力を最大限に引き出すにはもう少し明るい曲でも良かったかもしれない。逆にこの曲だとHD650くらい温かみがあっても合うように感じられる。しかし良い曲。冬の夜に灯りを消して聴きたくなる・・・・・・



・Jane Siberry「the walking」   試聴はこちら。
 K501+SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)
 軽い気持ちで聴ける爽やかな曲を選びたい気分で、でも春っぽいのではなく秋っぽいのが良いなぁ、と思いつつCDをあさっていたらこれにたどり着いた。あまり秋っぽくはないかな? 爽やかさならこのアルバム、秋っぽさならこの次のアルバム「bound by the beauty」ということで少し迷ったけれど、最終的に爽やかさが勝ってこちらに。Jane Siberryは20年以上前にラジオで知ったカナダの女性シンガーソングライター。今回のアルバムはその当時既に発売になっていたのだけれど、情報を入手する手段がなくてその存在すら知らなかった。ラジオで聴いてすぐに近くのCD屋を探し回って見つけたのは当時の最新アルバム「bound by the beauty」のみで、それから数年してようやく「the walking」の輸入盤にめぐり合った記憶がある。実はJane Siberryについては昔日記で書いたことがあって、いつかこのページで取り上げようと思っていたのだけれど、それがまさかこのアルバムになるとは思ってもみなかった。と言うのも、私が特に好きなのはどちらかと言うと活動後期の重い内容のもの(Jane Siberryは息の長いアーティストでその作風もだいぶ移り変わっている)で、今回のものを含む初期の明るいアルバムはもう何年も聴いていなかったから。とは言え、久しぶりに聴いた「the walking」は「ああJane Siberryってこうだよね」と素直に胸に落ちてくる感じで、軽い気持ちで聴きたかった今の気分と偶然にもマッチしてくれた。語るように歌い、歌と伴奏が一体となり、音楽は小難しいこと抜きで楽しいものだよねと自然体で表現している、そんな作品。好きな曲は「the walking (and constantly)」「red high heels」。とは言え、アルバム全体の統一感があるので曲単位ではなくアルバム単位で聴きたい。録音は普通。1980年代の欧米らしい感じ。シンプル。
 K501を使ったのは、爽やかさと繊細さが欲しかったから。SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)を使ったのは、K501の良さを引き出してくれると思ったから。K612PROを使おうかとも思ったのだけれど、エージングが済んでいないのでやめておくことに。結果的にはそれで良かったのかもしれない。



・The Chieftains「The Long Black Veil」   試聴は下のamazonのページで。
 T1+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 前回のCDは人の声ばかりでT1を楽しむという意味では微妙だったので、今度は色々な音が入っているものでT1に合いそうなものをと考えていたらこれに。The Chieftainsはこのジャンルに興味を持っている人なら誰でも知っていると思う。1962年に結成されたアイルランドのバンドで、アイルランドの音楽が世界中に知られるようになったのは彼らの功績と言い切ってしまって良いのではないだろうか。グラミー賞を6作品で受賞、今回取り上げるアルバムもそのうちの一つ。The ChieftainsがSting、Mick Jagger、Van Morrisonといった超大物歌手と競演している。純粋に伝統的なアイルランドの音楽と言うよりは、もっと現代的で洗練されたものに仕上がっている印象。好きな曲は「Mo Ghile Mear - "Our Hero"」「The Foggy Dew」。個人的にThe Chieftainsには少々親父臭いイメージ(失礼)を持っていたのだけど、このアルバムではそれが少し弱まっている気がする。録音は普通。楽器の濁りをあまり殺していない点は良い。
 T1を使ったのは前述の通り。HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、民族楽器の濁りをきちんと出してくれるから。正直前回のCDよりもずっとT1の良さが感じられた。民族楽器の音の質感、伝統的な部分と現代的な部分の両立、(曲によっては)自然と体が動くような鳴りといった点で優れている。



・Bjork「Medulla」   試聴は下のamazonのページで。
 T1+Head Amp 2/MkII SE(120Ω出力)
 先日トップページの写真を撮影する際にCDを使ったら聴きたいものが沢山出てきて、その中からT1で聴きたいものをと考えたらこれに。何故これなのかは正直自分でも良く分からない・・・・・・フィーリング? Bjorkは個人的に映画「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の印象が強い。それ以前から知ってはいたのだけれど、正直あまり肌に合わない感じがしていた。そんな中、映画館で観た「ダンサー・イン・ザ・ダーク」をとても気に入って、その影響もあってかBjorkについても見方が変わり、その流れでこのアルバムにも手を出した覚えがある。好きな曲は特にない。このアルバムは曲単位ではなくアルバム単位で聴くべきだと思う。前衛的と言うべきか、実験的と言うべきか。ほとんど人の声で構成されている。録音はなかなか良い。最近の優秀録音盤に多く見られるような妙なマイルドさがなく生の質感が感じられるし、定位が明確。
 T1を使ったのは、ちょうどエージングが一通り終わったところだったから折角なので。T1は良いヘッドホンで何でも聴けると思うのだけど、個人的にこれで聴きたい曲があまり思い浮かばないと言うか、ジャズやアコギメインの曲なら合うことが多いのだろうけどそういう曲はあまり聴かないという・・・・・・ その意味でトップページの写真というネタがあるタイミングで助かった(それでも迷ったけど)。Head Amp 2/MkII SE(120Ω出力)を使ったのは、以前からbeyerdynamicのヘッドホンと相性が良い印象があった上、T1を鳴らすことを想定しているであろうbeyerdynamicのヘッドホンアンプA1の出力インピーダンスが100Ωなので。T1はインピーダンス特性の関係上、出力インピーダンスの低いヘッドホンアンプだと低域の量がもう少しあっても良いかなと感じることがあるのだけど、120Ωだと良い感じに。ただ、今回のCDは低音があまり含まれていないので、0Ωでも120Ωでもたいした違いはなかったかもしれない。このCDがT1に向いているかどうかはさておき、声の生々しさを出してくれるという意味ではT1で聴いて良かったと思う。



・アンドレ・ギャニオン「ザ・ベスト・オブ・アンドレ・ギャニオン」   試聴は下のamazonのページで。
 K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)
 アンドレ・ギャニオンは割と好きなのだけど録音には多少不満があって、もう少し良い音で聴きたいなぁと思っていたところK2HD+HQCD盤が発売されたので買ってみた。好きな曲は「めぐり逢い」「愛につつまれて」「明日」「夜風に誘われて」。「めぐり逢い」は昔から有名な曲だけど、最近「妖狐×僕SS」というアニメ作品で非常に効果的に使われたり、TOYOTOWNのCMでもこの曲が完全にCMの世界を作っていたりと、また改めて脚光を浴びている印象。録音は普通。改善されてはいるのだろうけど、特別良くもなく。ただ、録音の悪さが気になって音楽に浸れないという事態は避けられるので、個人的には買って良かった。
 K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、これくらいの音で聴きたいと思ったから。最近バランス駆動の音を聴いていなかったということもあり。これくらいの音と言うのは、特に「めぐり逢い」などはとにかく感傷的に浸りきるような鳴らし方も合うわけだけれど、その二歩くらい手前でさらっと気負わないような、ということ。聴いてみると、概ねそんな感じ。ただ、バランス駆動のメリットはあまりないかもしれない。ピアノの質は広い目で見れば癖がない方だけれど、独特と言えば独特。どちらかと言うと柔らかめなのに、それでいて芯が通っているような、コンコンという軽いアタック感があるような。他のピアノのCDでもK701はそんな印象。もっとも、この程度の癖でダメだと言い始めるとほとんどのヘッドホンは使えなくなってしまうのだけど。前々から思っていることだけど、ピアノの質の癖のなさを求めるならヘッドホンよりスピーカーの方が簡単。おそらくイヤーパッドによる付帯音の問題。



・enya「Shepherd Moons」   試聴は下のamazonのページで。
 HD650+SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)
 考えてみたらこのページでenyaを取り上げていなかったので。以前「鈴木祥子は私の中で遊佐未森、ZABADAK、enya等と並んで1990年頃に好きになったシンガーソングライターとして重要な存在」と書いておきながら。どのCDにしようか迷ったけれど、結局私がenyaを好きになった頃に発売されたこのアルバムに。グラミー賞受賞に売上1000万枚以上、あまりに有名なので今更取り上げる意味があるのかと自問しつつ。今の私の好みからすると一番好きと言えるかどうかは微妙だけれど、enyaのアルバムの中で聴いた回数が一番多いのはこれだと思う。好きな曲は「Book Of Days」「Caribbean Blue」「No Holly For Miss Quinn」「Afer Ventus」「Shepherd Moons」「Angeles」・・・・・・と全曲挙げてしまいそう。enyaと言うと声を多重録音して独特の世界観を作り上げていることで有名だけれど、このアルバムの頃はまだ比較的シンプルな曲も多い。ちなみに私がenyaを知ったのはラジオで偶然「Caribbean Blue」を耳にしたことがきっかけだったのだけれど、それでこのアルバムを買ってみて驚いた覚えがある。それは「Lothlorien」という曲が収録されていたから。ロスロリアンというのは私が大好きで中学高校時代に繰り返し読んでいた小説「指輪物語」に登場する地名。そのときはどういう関連があるのか想像するしかなかったのだけれど、その後2001年になって「指輪物語」が映画化された際enyaが「指輪物語」のファンということで曲を提供していて、「やっぱりそういうことだったのか」と納得することになった。録音は普通。内容からすると、もう少し粗を抑えてかつ細部まで聴こえるような感じにしてほしかった。何となくこの売上でこの録音だとリマスター版が出ているのではないかと思い調べてみると、リマスター&SHM-CDが出ていた。気が向いたら買ってみても良いかもしれない。
 HD650+SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)を使ったのは、録音を含む粗や痛さを出さないで欲しかったから。フィーリング的に合いそうということもあり。聴いてみると、全然痛くなくて快適だった。このCDはヘッドホンによっては痛くて聴くのが嫌になるレベルなので。低域の柔らかさや音の広がりも好ましい。透明感を求めるのでなければ、とても相性が良いと感じた。しかし最近enyaを聴いていなかったせいか、何だか他のアルバムも聴きたくなってきた・・・・・・
 


・TVアニメ『あさっての方向』Original Sound Track“truth”   試聴はこちら。
 edition7+hpa200b(ハイエンド仕様)
 作品そのものよりも作中で使われた曲が妙に印象に残っている。そういう作品は時々あるものだけど、これもそのうちの一つ。確かCD発売当時は買うつもりはなかったのだけど、しばらくしてから聴きたくなって購入した記憶がある。購入後は半年に1回くらい無性に聴きたくなる感じで、聴いた回数を合計すると意外と多いかもしれない。音楽は光宗信吉。作中の季節が夏で、夏の空気にこだわって作られたせいか夏っぽい曲が多い印象。好きな曲は「真心」「Summer Dream」「願い石」「わだかまり」「Jealousy」「眼差し」。特に「真心」は、ある種ありがちと思いつつも惹かれるものがある。録音は微妙。特別悪くはないけれど、粗が気になる面もあり。ただ、ピアノの質感が素のままなのは好印象。
 edition7を使ったのは、ピアノの質感や実体感を出して欲しいと思ったから。hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、ピアノやトライアングルを澄んだ音で鳴らしてくれると思ったから。期待通りの音だったけれど、これは集中して音楽にのめり込む聴き方をするための音で、今回のCDはもっと柔らかい音でリラックスして聴いても楽しめるのではないかと思った。



・coba「mania coba」   試聴は下のamazonのページで。
 RS-1+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 私がcobaを知ったのはもう20年以上も前、ラジオで偶然「花市場」を聴いて「何か良いな」と思ったのがきっかけ。それ以来気が向いたときにポツポツCDを買ったりして、細く長い付き合いを続けている。今回のCDはベストアルバム1作目。収録されている曲は有名なものが多いし、昔からレンタルショップに置いてあったりしたので、相当多くの人が聴いたことがあるのではないかと思う。主役はアコーディオンだけれど、かなり色々な楽器が使われている。アコースティックなものはもちろん、エレキやシンセも。好きな曲はやっぱり「花市場」。これは思い入れが強いということもあるのだろうけど、基本キャッチーでありつつ明るいだけではない情緒のあるメロディーラインが好み。間奏(と言うのはおかしいか)もかわいい。録音は普通。あまり癖がなくてストレートに聴ける印象。
 RS-1を使ったのは、単純にアコーディオンの音色やcobaの明るいテイストと相性が良いと思ったから。HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、そのRS-1の良さをそのまま出してくれると思ったから。聴いてみると、アコーディオンだけでなく他に多用されている撥弦楽器やパーカッションとの相性の良さもあってなかなか聴き応えがある。GRADOのヘッドホンはこういったリズムが大事になってくる楽曲との相性が素晴らしく、体が自然と動くような音楽本来の持つ力をストレートに伝えてくれる側面も持っているのではないかと、改めて思った。



・アンサンブル・プラネタ「愛のロマンス」   試聴は下のamazonのページで。
 SRH1840+SXH2
 アンサンブル・プラネタは女性5人(現在は4人)のアカペラコーラスグループで、主にクラシックやヨーロッパの民謡を歌っている。今回のCDは7年程前にクラシック系のアカペラを聴きたいと思い購入。パッヘルベルのカノン、シューベルトのアヴェ・マリア、スメタナのモルダウ等、日本人に馴染み深い曲が多数収録されている。録音はなかなか良い。粗がなく適度な余韻で女声の美しさをじっくり味わえる。制作もDSDマスタリング採用で音質にこだわっているような印象を受ける。が、購入当時からヘッドホンで聴くとどうにも聴き疲れする印象で、あまり聴かなくなっていた。曲そのものは非常に聴きやすいアカペラで、内容も割と好みなのだけど・・・・・・ 今回改めて聴いて聴き疲れする原因を考えてみると、他の多くの音楽と比べて中域〜中高域(聴力の敏感な帯域)に音が非常に集中している、一聴して耳に優しい曲なので音量を上げがち、ハモる部分やクレッシェンドの部分がハウリングみたいな感じになることがある、といった感じだろうか。おそらく、音量調節とヘッドホンの中高域に対する要求が非常にシビア。少しでも音量を上げすぎると前述のような理由で聴き疲れに直結するし、中高域の多いヘッドホンだと同じ理由で聴き疲れし少ないと透明感や音色の自然さが損なわれる。
 SRH1840を使ったのは、今回のCDと基本的に相性が良い傾向である上、SRH1840で今回のCDを聴いたことがなかったのでもしかしたら聴き疲れが問題ない可能性もあると期待して。SXH2を使ったのは、私の中で聴き疲れしにくいヘッドホンアンプの代名詞で、今回のCDを透明感ではなく柔らかさ重視で聴くなら悪くないと思われたから。聴いてみると、どちらかと言えばSXH2の柔らかさよりSRH1840の透明感の方が強く出ているように感じられた。ただ、これは思ったよりそういうバランスだったという話で、先入観なしで広い目で見て表現するなら透明感と柔らかさを両立していると言える。今回のCDの魅力をかなりハイレベルで表現できているように感じられる。聴き疲れはまったく気にならないと言ったら嘘になるけれど、何とかCD1枚休まず聴けるレベルだった。以前は2曲目くらいで耐えられなくなったことがあるように記憶しているので、だいぶ改善されている。もっとも、これは再生環境以外に音量の違い、聴力の低下、様々な音楽を聴いて経験を積んだことによる忍耐力の向上等、多くの理由が考えられるので、SRH1840とSXH2を選んだことにどれだけ効果があったのかは不明。個人的には、再生環境含めてそれらすべてが多少なりとも影響しているように思う。



・西脇唯「それはひとつしかなくて」   試聴はこちら(見つからなかったので別のCD、一部楽曲重複)。
 SRH1840+SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)
 何故か唐突に聴きたくなったので。西脇唯はとても女性的なアーティスト。今回のCDは一応1stミニアルバムだけれど、それ以前から多くの作詞作曲を手がけ一部歌手としても活動していて、知る人ぞ知る存在だった。個人的に西脇唯の作詞作曲の代表作と言えば、紅白にも出場した森口博子の「ETERNAL WIND〜ほほえみは光る風の中〜」。デビュー前にそんなヒット曲を手がけ、しかもデビューのきっかけは他のアーティストのために作った曲のデモテープがお偉いさんの目にとまったためという、少し変わった経歴を持つ。そのせいか、今回のCDは1stとしてはとても安定感があるような印象。好きな曲は、どれか一つは選べない。アルバム全体の統一感があって、どの曲もアルバムの出来に貢献している印象。こういうCDを聴くと、最近の流行の曲よりよほど真っ直ぐで深みがあって心が動かされる。年か。昔のアイドルソング風のテイストなので、若い人には受け入れがたいかもしれない。録音は微妙。リバーブが強い。20年も前のマイナーCDなので致し方ないところか。ただ、エンジニアにTommy Vicariの名前が入っていたり、ロサンゼルスのスタジオが使われていたりと、実は意外と手間隙かけて作られたものなのかもしれない。
 SRH1840を使ったのは、声の自然さを重視したかったから。SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)を使ったのは、SRH1840で声の上品さや柔らかさを出すのに最適だと思ったから。それほど深く考えて選んだわけではなかったのだけれど、何の不満もなく聴くことができた。



・溝口肇「Espace」   試聴は下のamazonのページで。
 HFI-2200ULE+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 HFI-2200ULEをだいぶ長いこと使ってなかったことに気づいたので、使ってみることにした。何となく秋冬っぽいこともあり。CDはHFI-2200ULEと秋冬のイメージから選択。しかしPROline2500やPROlin750はそれなりに使うのにどういうわけかHFI-2200ULEは出番が少ない。HFI-2200ULEはPROline2500やPROlin750と比べて癖が小さく、例えばHD650とPROline2500があればその間のような音であるHFI-2200ULEは不要と感じることが多いせいだろうか。閑話休題。溝口肇はニューエイジやヒーリングの世界で有名なチェリスト。特に「世界の車窓から」は聴いたことがない人の方が珍しいくらいなのでは。今回のCDの主役は当然チェロだけれど、曲によってシンセ、ピアノ、サックス、ギター、ウッドベース等、多数の楽器が使われている。好きな曲は「Espace」「世界の車窓から」「天国のKiss Main Theme」。録音は普通。違和感なくすんなり聴けるタイプの録音で、そういう意味ではCDの内容と合っている気がする。
 HFI-2200ULEを使ったのは前述の通り。HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、何となく今HFI-2200ULEで今回のCDを聴くならこれかと思ったので。久しぶりに聴いたHFI-2200ULEの音は個性の薄いPROline2500みたいで、やっぱりPROline2500とHD650があれば要らないかも、と思ってしまった。もっとも、これは私が先にPROline2500とHD650を持っていたせいで、HFI-2200ULEだけ持っていたらなかなか個性的で使い分けに向いているヘッドホンだと思えたのかもしれない。今回のCDはチェロが主役ということもあってなかなか濃密で楽しめた。しかし買ってから7年以上も経ってるのに新品同様の外観というのは、嬉しいような悲しいような・・・・・・



・Ceui「Labyrinthus」   試聴は下のamazonのページで(こちらも、別のもの)。
 SRS-4040
 Ceuiは1stアルバムが出たときにこのページで取り上げようかとも思ったのだけど、好きな曲が何曲か入っていなかったりアルバム全体としての出来は微妙だったりして、何となく躊躇してしまっていた。先日ようやく2ndアルバムが発売されて、1stよりも気に入ったので取り上げることに。Ceuiは声の透明感という意味で以前紹介して割と好評だった黒石ひとみに少し似ている。あるいは新居昭乃を少し幼くしたような質に感じられることもある。新居昭乃と言えば、Ceuiの曲の世界観としては新居昭乃から毒を抜いたファンタジー路線みたいな感じかもしれない(少し違うか)。正直オリジナリティーや芸術性では新居昭乃に及ばないように感じるけれど、ポップスらしい聴きやすい曲が多くそれでいて時折強く胸を締め付けるような切実さが魅力。今回のアルバムに関してはInterludeを入れることによって若干Sound Horizonを髣髴とさせる物語性を醸し出している面もある。好きな曲は「センティフォリア」「光と闇と時の果て」「Energy」「God Bless−あなたに光あれ−」。ちなみに1stアルバムで好きだったのは「心の翼」と「espacio」。1stはタイアップとシングルのカップリングだけで構成されているというとんでもないアルバムだったのだけど、2ndは新曲も多数収録されていて、アルバム全体で一つの作品として仕上げているように見受けられる。実際、1stより2ndの方が圧倒的にまとまりがある。録音は最近の日本のポップスのもの。黒石ひとみほどではないけれど、声が加工されているのを嫌うなら合わないと思われる。
 SRS-4040を使ったのは黒石ひとみに合わせて。ヴォーカルの透明感を出して欲しいという意味で単純に相性が良さそうということもあり。想像以上に楽しめた。黒石ひとみをSRS-4040で聴くともう少し音が丸くても、と思うことがあるのだけれど、Ceuiだとそういう感じはない。



・新居昭乃「空の森」   試聴は下のamazonのページで。
 DT880+hpa200b(ハイエンド仕様)
 遊佐未森やZABADAKが好きな人ならこの人も当然知っているでしょう、というアーティスト。デビューは1987年だけれども、有名になったのは1990年の「Adesso e fortuna〜炎と永遠〜」の作詞・作曲と続く1992年の「風と鳥と空〜reincarnation〜」がきっかけだと思う。そのせいか1997年に発売された1stベストアルバム「空の森」が実質的な1stアルバムのようなイメージが個人的にはあって、他にもそういう人が多いのではないかと思う。今回はそのアルバム「空の森」。「Adesso e fortuna〜炎と永遠〜」のセルフカバーと「風と鳥と空〜reincarnation〜」に加え、「VOICES」「WANNA BE AN ANGEL」といった人気曲が収録されている。作詞・作曲・編曲は新居昭乃自身が手がけている曲も多いけれど、他に大島ミチル、門倉聡、菅野よう子、工藤順子、萩田光男、保刈久明と錚々たる面々が名を連ねている(そう言えばこの中には遊佐未森やZABADAKに縁のある方々も)。その後多数のアルバムが発表されたけど、今でもこの「空の森」は特別だと思う。魅力的な楽曲が多く収録されているだけでなく、その後の新居昭乃の作品にも頻繁に見られる言うなれば"夜の魅力"がしっかりと息づいている。録音は普通。ベストアルバムなので録音はあちこちで行われていると思われるけれど、このアルバムのために録音された曲は有名なビクター青山スタジオと山中湖スタジオが使われている。
 DT880を使ったのは、このアルバムの民族音楽風味な点に重きを置いたため(以前書いたと思うけど、DT880は民族音楽との相性が良い)。声の質と相性が良さそうということもあり。ただし、現行のDT880では微妙かもしれない。hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、このアルバムをDT880で聴くならもう少し透明感が欲しいと想像されたから。実際聴いてみるとなかなか良かった。違和感なく聴けるし、全体の雰囲気や声の柔らかさをしっかり出してくれる。



・主よ、人の望みの喜びよ〜バッハ:オーボエ協奏曲集 ルルー   試聴は下のamazonのページで。
 EXH-313+SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)
 CDを整理していたら聴きたくなったCDのうちの1枚(と言ってもSACDだけど)。DSD Recordingでマルチチャンネルも収録されている。2006年と比較的新しい録音。うろ覚えだけど、一時期オーボエにはまっていた頃に買ったものだと思う。以前このページでバッハの「チェンバロ協奏曲第1集」を取り上げたときに「バッハのチェンバロ協奏曲のほとんどは他の楽器のための協奏曲をアレンジしたもの」と書いたけど、今回のSACDに収録されているオーボエ協奏曲はその"他の楽器のための協奏曲"。と言っても、バッハのオーボエ協奏曲は現存せず、逆にチェンバロ協奏曲等から復元したものになる。復元と言うと「本当にバッハがこんな曲を書いてたの?」と疑う人もいそうだけれど、バッハがオーボエという楽器をことさら好んでいたこと、それゆえに自分用として大事にとっておいた可能性があること、チェンバロだけでなく他の協奏曲でも同じ旋律が度々使われていること等を考えると、むしろ現存している協奏曲よりもバッハらしい曲になっているということも考えられる。今回のSACDのオーボエの音色を聴いていると、この考えがそう的外れではないように思えてくる。録音はなかなか良い。オーディオマニアに好まれそうな粗のない録音。個々の楽器がしっかり聴き取れるのに、輪郭が強調されたりすることなく自然に調和している。
 EXH-313を使ったのは、今回のSACDの滑らかな心地よさを出してくれると思ったから。最近使っていなかったからということもあり。SA-15S1を使ったのは、EXH-313の滑らかさをストレートに出してくれると思ったから。実際聴いてみると滑らかさという意味では期待どおりだったけれど、中高域が凹んでいてオーボエやヴァイオリンの音色がおとなしめになる点は好みが分かれるかもしれない。とは言え、今回のSACDならその逆よりは絶対に良いと断言できる。



・メローナ(釘宮理恵)&メナス(後藤邑子)&アイリ(伊藤かな恵) 「buddy-body」
 HD800+AT-HA2002
 web拍手のコメントで話題になった録音の良い声優CDはないものかって話で何故かこのCDを連想したもので・・・・・・ 初めて聴いたときすぐに気づいたのだけど、イントロのウッドベースが妙にリアル。続くトランペットもまたリアル。もしかしてと思ってクレジットを見ると生楽器が多数使われていて、演奏者一人一人の名前が載っていた。使われている楽器は、Drums、Wood Bass、E.Bass、E.Guitar、Piano、Trumpet、Sax。楽器からも想像できるとおり、全体の印象としては普通のアニソンと違ってジャジー。録音はなかなか良いような印象だったのだけど、改めて聴いてみるとそれほどでもないかもしれない。アニソンとしては良いけれど、最近のクラシックやジャズと比べると平均レベルに達するかどうか・・・・・・ Audacityで見てみるとコンプは適度だし、WaveSpectraで再生してみてもおかしなところはない印象。声もあまり弄っていない感じなので、声優ファンにも悪くないのではないかと思う。歌詞は気にしない方向で。
 HD800を使ったのは、録音の良さを見たかったから。AT-HA2002を使ったのは、HD800との相性と今回の曲との相性の両方を考えて。狙ったとおりの音で聴けたのは良いけれど、今回の曲を楽しむならもっと良い組み合わせがあると思う。具体的には、低域が足りない点と声が硬い点が不満。試しにDT990PRO+HA-1Aで聴いてみたところ、ずっと良かった。音だけならほとんどジャズ。



・ななついろ★サウンドトラックス   試聴はこちら(見つからなかったのでゲームの体験版)。
 SRH1840+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 今回は他のCDを紹介しようと思っていたのだけど、このCDを頻繁に聴いていたことを直前になってふと思い出し、猛烈に聴きたくなったので変更。疲れてたので癒しを求めていたのかも・・・・・・ 好きな曲は「キミはhappiness」「Geometrical growth」「おしえて!ナツメ先生★」「airy」「enjoy "NANATSUIRO-world" in bossa'」(上記体験版では「キミはhappiness」「おしえて!ナツメ先生★」「airy」が頻繁に流れる)。特徴は、柔らかい電子音や澄んだ電子音の多用、効果的なスタッカート、キャッチーで心地よいメロディーライン、楽しげなパーカッションといったあたり。ゲームのサウンドトラックなので暗い曲や緊張感のある曲も入っているけれど、私が好きなのは穏やかな曲。音楽担当が女性で、曲を聴いただけで何となく女性らしい曲が多いような印象を受ける。録音は普通。ほとんど打ち込みで作られているのでS/Nは良いけれど、他は特に。
 SRH1840を使ったのは、ちょうどエージングが一通り終わったところだったから折角なので。今回のCDとの相性も悪くないと思われたこともあり。HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、SRH1840に合わせてあまり癖のないヘッドホンアンプを使いたかったから。SRH1840は当然まだ使い慣れていないけれど、まったく違和感なく楽しむことができた。ヘッドホンのおかげかどうかは兎も角、癒し効果も十分。満足。廃盤でプレミア(amazonのマーケットプレイスで新品の出品が10万円!)がついていなかったら是非聴いてほしいとお薦めしたかったところ。



・ヴィヴァルディ「四季」   演奏:イ・ムジチ合奏団 1959年   試聴はこちら。
 SR-007+SRM-717
 この間ヴィヴァルディの「四季」を生で聴く機会があったのだけど、なかなか良かった。考えてみたら、学校の授業や日常生活の中で何となく耳にすることは多かったもののきちんと聴いたことはなかった気がする。そこで、一度定番をきちんと聴いてみたいと思いこのCDを選択。ヴァイオリンはアーヨ。定番中の定番で、この録音によって「四季」が一般に広まり、その後の演奏の多くはこの録音の影響を受けていると言われるほど。イ・ムジチ合奏団はこの「四季」を6度ほど録音しているらしいけれど、今回のものが最も有名で評価が高いと思われる。聴いてみると、何と言うか、普通。でもこれはおそらくこの演奏が普通だったのではなく、この演奏が多くの人にとっての普通になるほど浸透しているということなのだと思う。しかしこの曲、改めて聴くと春夏秋冬すべて有名なのが凄い。クラシックに特に興味のない人でも春夏秋冬全12楽章のうち3楽章くらいは聴き覚えがあるのではないだろうか。各楽章が短いこともあって、「クラシックは退屈」という人でも割と飽きずに聴けるのではないかと思う。と言うわけで、クラシックをあまり聴かない人にお薦め。録音は普通だけれど、1959年ということを考えるとかなり良い。
 SR-007+SRM-717を使ったのは、最近あまり使っていなかったから。何となくヴィヴァルディとの相性が良さそうということや、今回の録音の地味さを考えれば少し味付けしても良いかということもあり。聴き慣れたCDではないのでSR-007+SRM-717との相性は良く分からないけれど、録音が古いせいか若干弦が潰れたようになるところをうまくほぐしてくれるような気がする。特に違和感や不満なく聴くことができた。



・中島愛「神様のいたずら」   試聴は下のamazonのページで。
 RS-1+SXH2
 日本のポップス系の曲としては声の質感をストレートに出している良録音に感じられたので紹介しようかと思い選択。たまにはシングルをとりあげても良いかということもあり。中島愛は特に興味はなかったんだけれども、このCDを聴くと声の魅力、歌唱力、味わいどれもそこそこあるように感じられる。正直、中島愛の声と歌唱力からするとこのCD以上に魅力的な作品はなかなか出せないのではないかと思う。ただ、歌い方は若干くどいと感じる人もいるかもしれない。中島愛と言うよりも、曲が好き。このCDには他のシングルのアレンジとライブバージョン含め4曲が収録されているけれど、すべてベクトルが揃っている。好きな曲は「星空」。ちなみに、「神様のいたずら」は大江千里作詞・作曲。大江千里の名前を久しぶりに目にした気がする。録音は最近の日本のポップスとしてはなかなか良いけれど、一般的な見方をすれば普通かもしれない。せっかくアコースティックギター、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、ピアノ、トランペットと生楽器が多用されているので、少なくとも録音の悪さが気にならないのは嬉しいところ。
 RS-1を使ったのは、最近使っていなかったし、今回の曲のくどさを薄めてくれると思ったから。SXH2を使ったのは、RS-1で今回の曲を聴くならもう少し音が丸い方が良いのではないかと思ったから。RS-1をSXH2で鳴らしたことがほとんどなかったような気がしたということもあり。聴いてみると、RS-1のおかげでくどさは薄まっていると思われるし、RS-1にしてはまったりと聴きやすい。そういう意味では期待通りなのだけど、RS-1としてはかなり音が丸く抜けの良さも抑えられるせいか若干違和感があるような気も。とは言え、基本的には声やアコギの質感が魅力的。
 


・黒石ひとみ「Angel Feather Voice 2」   試聴はこちら。
 SRS-4040 
 以前「Angel Feather Voice」を紹介したら評判が良かったので、「Angel Feather Voice 2」も紹介。と言っても、前作と似た内容なのであまり書くこともないのだけれど。前作よりも本作の方がBGM的に聞き流すのに向いている気もする。好きな曲は「Continued Story」「天への祈り」「Starboard [Angel Feather Ver.]」。個人的には前作の方が好きな曲が多い。もっとも、それは古い曲の方が思い入れがあるという程度の理由である可能性もある。同時に初めて聴いた人は大差ないと思うのかもしれない。録音は特殊。前作同様、声をかなり加工して独特の世界を作っているので、それを好まない人もいると思われる。ただ、前作より生楽器の質感がしっかり出ているように感じられる点は良い。
 SRS-4040を使ったのは、前作のときにSRS-4040で聴いたため(別に合わせる必要はないのだけれど)。やはり前作と同じような印象。基本的には相性が良いのだけど、もう少し丸ければなお良かったかもしれない。



・HANDEL:DIXIT DOMINUS CALDARA:MISSA DOLOROSA & CRUCIFIXUS   試聴はこちら。
 HD650+Zu+AT-HA2002
 秋になるとこういう曲を聴きたくなるのは我ながら安直でちょっとどうかと思うけれど、これも四季を楽しむ日本の心が根っから染み付いているということなのかもしれない(注:曲は全然和風ではない)。古典の声物SACD。海外盤なのでそのままのタイトルを書いたけど、日本語で表記するなら『ヘンデル:詩篇曲「主は言われた」 カルダーラ:悲しみのミサ』。もっとも、詩篇曲「主は言われた」は「ディキシット」と言った方が通りが良いかもしれない。ヘンデルはバッハと同年に生まれた大音楽家だけれど、バッハ好きの私からすると「ディキシット」を聴くだけでバッハとは明らかに違うと感じる。どこかモーツァルトに通じるような華やかさや親しみやすさがある。カルダーラはバッハやヘンデルより若干古い世代の音楽家で、オペラを残している点や曲調でバッハよりヘンデルに近い印象。録音は内容に合った丁寧なもの。SACDとしては平均的かもしれないけれど、音像に立体感があるのは明白だし、声の裏で鳴っているオルガンやテオルボの小さな音もきちんと収められている。
 HD650+Zu+AT-HA2002を使ったのは、じっくり濃厚に聴きたい気分だったから。聴いてみると、ソースに含まれる声の柔らかさを余すことなく表現してくれるし、ハーモニーも見事。変な癖や強調がなく、期待通りじっくり聴き込むことができた。これが明るいポップスだったりすると、HD650とAT-HA2002の相性という意味でこうはいかなかったりする。このあたり、ヘッドホンとヘッドホンアンプの相性だけでなく曲まで含めての相性。



・OVA エイリアン9 サウンド トラック「きゅう」   試聴は下のamazonのページで。
 HP-DX1000+AT-HA2002
 「世にも奇妙な物語」で有名な`島邦明の作。オリジナルビデオアニメ「エイリアン9」のサウンドトラック。CD単品で聴くとあまり良い曲はないような気がするし、アニメを観てもそれほど音楽が重要な役割を果たしているとも思わない。それでもCDを聴くと、この作品の何とも言えない奇妙な空気、地に足がついていない感じ、何が起こるか分からない不安、未成熟ゆえの可能性、そういったものを独特の感性でもって表現しようとしている印象を受ける。少なからず前衛的で、でもそれは原作漫画自体が前衛的であることを受けてのものであるとも思える。あえてジャンル分けするならエレクトロニカか。今回聴いていたらちょっとAutechreを連想した。録音は微妙。音の質自体は少し古臭さを感じる打ち込みであまり良いとは思えないけれど、空間表現はかなりしっかりしている。10年前のマイナーアニメのサウンドトラックにしては、いやだからこそなのか、妙に空間を感じさせるマニア好みの出来。打ち込みメインだからどうにでもなると言われればそうなのかもしれないけれど、明らかに左右だけでなく奥行きを考えて音を配置している。あちこちから変わった音を鳴らすことも、何が起こるか分からない不安を表現するための手法なのだろうか。
 HP-DX1000を使ったのは、このCDの空間表現と相性が良いと思ったから。最近使ってなかったということもあり。AT-HA2002を使ったのは、HP-DX1000の癖が比較的気にならない方向になるから。聴いてみると、全体としては期待通り。一番好きな曲である「rebirth(ビデオサイズ)」には全然合わないのではと思ったけど、心配したほどではなかった。とは言え、やはりこの曲に関しては同じ音場重視型でもSR-007+SRM-717の方が合うと思う。



・遊佐未森「ハルモニオデオン」   試聴は下のamazonのページで。
 AH-D5000+hpa200b(ハイエンド仕様)
 遊佐未森は以前も一度取り上げたけれど、最近オーディオ機器の接続を久しぶりにいじったので、原点回帰という意味もこめて久しぶりに聴いてみたくなった。このアルバムを選んだのは、9月だから。アルバム全体の印象としてはどちらかと言うと"秋"なのだけど、夏っぽい曲も入っていて"月"で言うなら9月がしっくりくる。1989年9月発売なのも影響しているかもしれない。この「ハルモニオデオン」と以前取り上げた「HOPE」、総合的には同じくらい好きなのだけど、声の質としては「ハルモニオデオン」の方がかなり好き。何と言うか、過渡期の絶妙な声質。1stと2ndは少年のような硬く澄んだ声、4th以降は柔らかい女性の声で、3rdの「ハルモニオデオン」はその中間、透明感と柔らかさを両立しているようなバランス。ちなみに私が遊佐未森を知ったのは、ちょうどこのアルバムが発売された頃にラジオで偶然「暮れてゆく空は」を聴いたのがきっかけ。アーティスト名がきちんと聴き取れず、名前の響きを頼りにCDショップで端から端まで探した記憶がある。今思えば、たった1回聴いただけでそれほど惚れ込んでしまっていたのだった。好きな曲は「暮れてゆく空は」「僕の森」「山行きバス[道草ノススメ]」「時の駅」「ふたりの記憶[Man&Iron]」「ハルモニオデオン[言葉]」「0の丘∞の空(version U)」と全曲挙げてしまうのではないかという・・・・・・ 曲調からするとドラムスが邪魔に感じられることもあるけれど、慣れるとこれが優しい味わいを出しているようにも感じられてくるから不思議。録音は80年代の日本のポップスとしてはかなり良いと思う。今の感覚で聴いてもそれほどおかしくない。
 AH-D5000を使ったのは、声の透明感を出して欲しかったから。透明感と言っても色々あるけれど、STAXのような薄さや線の細さは避けたい気分だったこともあってこれに。hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、AH-D5000の透明感を引き出してくれると思ったから。アルバムとしてはHD650やDT880も合うと思うけれど、声の透明感を求めるならAH-D5000を使って正解だったと思う。十分な低域があるおかげか結果的には温かみという観点からも満足できた。久しぶりに聴いたけど、やはり素晴らしい。中学生の頃にこればかり聴いていたというのもあるのだろうけど、心地よい懐かしさが湧き上がってくる。他のアルバムも聴こうかな・・・・・・
 


・moumoon「15 Doors」   試聴は下のamazonのページで。
 RS-1+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 moumoonはいつかこのページで取り上げようと思いつつ、どの作品を取り上げるか決められずにいるうちに約2年が経過してしまった個人的にちょっと残念なアーティスト。所属がavexのせいかタイアップが非常に多いので、moumoonという名に覚えがなくても実際に曲を聴いてみたら知ってるということもあるのではないかと思う。しかしそれでいてオリコントップ10には数えるほどしか入ったことがないという、若干不遇なアーティストでもある。先ほど書いたとおりどの作品にするか迷ったのだけれど、「EVERGREEN」「青い月とアンビバレンスな愛」と特に好きな曲が入っているこのアルバムに。他には「One Step」「Blue Rain」もなかなか。「15 Doors」は2009〜2010年のシングル6曲を含む全16曲を収録したアルバムでフルアルバムとしては2枚目だけれど、2007年にメジャーデビューしてからミニアルバムを3枚も出しているので「まだ2枚目だったっけ?」という印象を受ける。約2年分の曲を詰め込んでいるのでやや統一感に欠けるものの、全体としては透明感があって今の時期に聴くと涼しげで良い。録音は最近の日本のポップスのもの。声も加工してあるけどサラサラしていて、最近多い塗りつぶしたような質感とは異なる。
 RS-1を使ったのは、しっとりしている曲とキラキラしている曲の両方を魅力的に鳴らしてくれると思ったから。あとは最近RS-1をあまり使っていなかったからというのもあり。HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、しっとりとキラキラの両方をRS-1で出そうとすると最適なHPAだと感じたから。予想はしてたけれど、曲によってはちょっと高音が痛い。1時間を超えるアルバムなので装着感的にも。とは言え、しっとりとキラキラの両立という意味では期待通りのパフォーマンスで満足。



・チャイコフスキー「交響曲第4番」   指揮:カラヤン 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1976年   試聴は下のamazonのページで。
 HD800+Head Amp 2/MkII SE(120Ω出力)
 同じ曲を前にも取り上げたけれど、生で聴いたのと近いのはどれだろうと考えてCDと再生機器を選んでみることに。たまにはこういう選び方も良いかと思い。以前と同じカラヤン&ベルリン・フィルのものだけど、以前取り上げたものより録音が良い。全体的にクリアで、音が割れたりもしない。演奏含め、端正で聴きやすい。以前の録音の方が音楽愛好家からの評価は高い気がするけれども、録音状態にこだわる人やこの曲を初めて聴く人には今回の録音の方をお薦めしたい。
 HD800+Head Amp 2/MkII SE(120Ω出力)を使った理由は前述の通り。0Ωではなく120Ω出力を使用した理由は、HD800のインピーダンスが高いせいか120Ω出力との相性が良い傾向があること、HD800のインピーダンス曲線から低域の量が若干増えることの2点(HD800+Head Amp 2/MkII SEで今回のCDを聴くとさすがに低域が締まりすぎで量感が物足りないかもしれないと思われたので)。以前はATH-W1000+AT-HA2002で聴いて「最近生で聴いた演奏と比べると、各楽器が左右に分かれすぎていて前方定位しない点、低音が多い点、ダイナミックレンジが狭いせいかメリハリやスピード感に欠ける点が異なる」と書いたけれど、今回のCDと再生機器ではこれらの点がすべて改善されて生演奏の印象に近づく。Head Amp 2/MkII SEを使うのは少々やりすぎかとも思われたけど、最終的な出音としてはこれくらい弦が切れている方が良いように思った。生演奏と比べたときの不満は、明瞭さや切れを維持したまま低域の量感がもう少し欲しい点、高域の華やかさやきめ細かさがもう少し欲しい点、ダイナミックレンジの狭さがまだ気になる点。と言っても、この違いはどちらかと言うと生演奏の方に理由があるようにも思う。高音よりのホールでメリハリの効いた指揮をする指揮者が振っていたので。



・Pure2 -Ultimate Cool Japan Jazz-   試聴はこちら。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 説明不要でしょうか? このページで前作を取り上げたので何となく取り上げてみることに。正直、録音がおもしろそうかも、ということ以外にはあまり興味はないのものの。全11曲・・・・・・かと思いきや、Track13まである。Track12は無音、Track13はファンにはおなじみ(?)の「長瀬のテーマ」。録音はかなり良い。前作よりもマイルドで、作ったような明るさやきつさがない。響きや空気感が楽しめる。それでいて定位は明確で、聴きながら空間の中にポンポンと楽器を配置することが容易。使用機材の関係からかS/Nの悪い曲はあるけれど、S/Nを犠牲にしてでも表現したかったものは、聴いていて分からなくもない。制作についての記事を読むと一層楽しめるかもしれない(こちらこちら)。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、前作を取り上げたときにこの組み合わせで聴いていたから。今回のCDの内容を楽しむなら、DT880+Head Amp 2/MkII SEまたはDT990PRO+HA-1Aあたりで聴いてみたいところ。



・坂本真綾「DIVE」   試聴は下のamazonのページで。
 HA-MX10-B+SXH2
 何だか無性に坂本真綾を聴きたくなったので・・・・・・ 今は特別好きってほどでもないのだけれど。私が坂本真綾を知ったのは1996年の「約束はいらない」。そこそこ気に入ったので、その後発売された1stアルバム「グレープフルーツ」を購入。17歳らしい瑞々しい感性が前面に出ていて悪くないと思った。そして2ndアルバム「DIVE」も入手。これには物凄い衝撃を受けた。当時の私は無意識のうちに"声優の歌"という先入観を持って坂本真綾の曲を聴いていたのだけど、これはもう別次元のものだった。今の感覚では「別次元とか大げさな」と思う人もいるだろうけど、当時の声優の歌と比べると喩えるなら童謡とチャート上位のポップスくらいの質的違いがあったのは事実。「DIVE」以降の曲もだいたい聴いてきたけれど、衝撃という意味では「DIVE」以上のものはない。もっとも、これはリアルタイムで聴いていたからであって、坂本真綾を知らない人が全部まとめて聴いたとしたらそうは思わないかもしれないけれど。制作はUKと東京でレコーディング、NYでマスタリング。マスタリングはTed Jensen、Norah Jonesのアルバム「Come Away with Me」でグラミー賞(マスタリングエンジニア部門)を受賞したことで有名。このあたりも声優CDの範疇を逸脱していた。とは言え、録音の出来そのものは普通のような気も。ただし、普通の日本のポップスとは少し違う。UKロック的とでも言うか・・・・・・演奏にも楽器の質感にもUKロックっぽさが散見されるように思う。ついでに言うと内向的な曲が多いのもUK的? 好きな曲は「パイロット」「ユッカ」「走る」「孤独」「DIVE」といった感じ。ただ、今聴くと聴くと菅野よう子が坂本真綾を実験台にUKロック風味のポップスをやってみた、という印象も。
 HA-MX10-Bを使ったのは、HA-MX10-Bはビクタースタジオと共同開発で、このCDの制作にはビクタースタジオも使われているから、気分ということで。SXH2を使ったのは、HA-MX10-Bで今回のCDを聴くと音が硬すぎると推測できたし、最近あまり使っていなかったから。思ったとおりHA-MX10-Bにしては聴き疲れしない音で最後まで楽しめた。ヴォーカルについては思った以上に滑らかで、SXH2の力(癖?)を改めて思い知らされる結果に。HA-MX10-Bの定位の明確さや生楽器らしさはある程度生きていて、聞き古したCDなのに新鮮な気持ちで聴くことができたのは思わぬ収穫。
 


・シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」   指揮:Jorge Mester 演奏:Pasadena Symphony 1993年   試聴はこちら。
 HD800+AT-HA2002
 曲は、HD800でバイノーラル録音のCDを聴いたことがなかったことに気づいて、HD800ならオーケストラだろうと所有しているバイノーラル録音のCDから選択。NeumannのダミーヘッドKU-100やSENNHEISERのHD580等、使用機材が明記してある点が嬉しい。その上、20bit48kHzで制作されている。1993年当時としてはヘッドホンリスナーに対して最大級の配慮をしているものではないかと推測。曲は「2001年宇宙の旅」に使われたことで有名ともはや定型句のように言われるけれど、クラシックをそこそこ聴く私もそのイメージがあるので文句を言う資格はない。個人的な好みとしては、どちらかと言うと同時収録のサン=サーンス「交響曲第3番」の方が好き。録音はやや良いという程度。クリアではあるけれど、ドライな印象。それでいて、サン=サーンス「交響曲第3番」の非常に低いオルガンの音はしっかりと再現されているようで、第1楽章後半(Track15序盤)では低音が鼓膜を圧迫する独特の感覚が味わえる。WaveSpectraで見てみたところこのオルガンの音は35Hz、再生機器によっては圧迫感が感じられないだろうし、それどころかほとんど聴こえないかもしれない。
 HD800を使った理由は前述の通り。AT-HA2002を使ったのはHD800及び今回の曲との相性を考えて。HD800で今回の曲を聴くと低域不足かつドライになるのではないかと心配だったけれど、実際には低域がローエンドまで出ていることをオルガンで実感できる(開放型で抜けが良いのに圧迫感が感じられる!)上、AT-HA2002のおかげでドライなところもあまり気にならなくなっている印象。音場は生演奏と同じかと言われるとそんなことはないけれど、頭内定位はまったくと言って良いほど気にならない。編成が大きいこともあってバイノーラル録音の良さをある程度感じられるCDだと思うけれど、HD800だと普通のCDでも凄いことになるので、正直今回のCDとHD800の組み合わせだけ聴いても良く分からないかも・・・・・・ とは言え、相性は悪くない。



・堀江由衣「嘘つきアリスとくじら号をめぐる冒険」   試聴は下のamazonのページで。
 SRS-4040
 良く晴れた夏の朝にふと頭をよぎったメロディー。でも、それが誰の何という曲なのか、すぐには分からない。脳裏のメロディーを見失わないように記憶の糸を丁寧に手繰って引き寄せた。そうして掬い上げたのは、このアルバムに収録されている「day by day」だった。堀江由衣の曲の中には時々妙に心に響いたりただただ心地よくて身をゆだねたくなってしまうものがあるのだけど、この「day by day」もそんな曲の一つ。声、詞、曲、アレンジが溶け合い一つとなって心の中に広がってゆく。そんな感覚。普段好きな曲を尋ねられても出てくることはないのに、何でもないときに思い出して聴きたくなったりする。アルバムとしてはタイトル通りファンタジー色のあるストーリーを連想させる感じにまとまっていて、明るい曲とまったりした曲がほどよいバランスで収録されている。とは言え、甘い声が苦手な人は聴いていられないかもしれない。録音は普通だと思う(個人的にSTAXだと録音の良し悪しが分かりづらい・・・・・・)。多少の加工はあるものの、声の魅力を損なうような大きな欠点はない。
 SRS-4040を使ったのは、声の透明感や柔らかさを大事にしたかったから。全体の雰囲気含め「day by day」にはとても良く合う。アルバム全体としてはもう少し元気良く鳴らして欲しい印象も受けたけれど、声の表現についてはどの曲も満足。



・音の世界遺産―<ワールド・ミュージック・ライブラリー>スーパー・ダイジェスト   試聴は下のamazonのページで。
 DT880+Head Amp 2/MkII SE
 曲別HP探索2で取り上げたホーミーの入っている曲があったけれど、探索してしばらく経ってから「そう言えば他にもホーミーの入ってるCDを持っていたような?」と思ったので探してみた。それがこのCD。5年程前にとにかく色々な民族楽器の入っているCDが欲しいと思って買ったような記憶がある。タイトル通りワールド・ミュージック・ライブラリーというシリーズ(全100タイトル)のダイジェストで、計33の地域の音楽が収録されている。ホーミーの他に三線、二胡、サウン、シタール、ヴィーナ等(偶然にも曲別HP探索2で三線を取り上げたばかり・・・・・・)。楽器だけでなく歌も多い。簡単な解説と写真(一部)がついている。正直、音楽として聴いていて楽しいと思う曲は多くないし、世界各国から集めた割には似ている曲が多いような気もするけれど、民族音楽以外ではあまり使われることのない個性的な楽器の音を聴きながら演奏風景や文化の伝達を想像するのは個人的にはなかなかエキサイティング。録音は良いとか悪いとか以前に素のままという印象。普通の音楽CDは聴きやすいように、あるいは音楽として魅力的になるように整えてあるものだけれど、このCDはそういう加工はほとんどしていないのではないかと思う。良くも悪くもマイクで録音した音そのままという感じ。原音の粗がしっかり感じられる。これは基本的には好ましいと思うのだけど、聴き疲れしやすい面はある。
 DT880を使ったのは、前にも書いた通り民族楽器の濁りを出してくれるから。Head Amp 2/MkII SEを使ったのは、DT880をモニターチックに鳴らしてくれるHPAとしては所有機の中で最高だから。DT880で今回のCDを聴くと、大抵のHPAではウォームになりすぎたり艶が乗ったりする点が合わない気がするのだけど、Head Amp 2/MkII SEで聴いてみた感じだとそういうことはほとんどない。期待通りの音で楽しめた。



・伊藤静「Devotion」   試聴は下のamazonのページで。
 SR-325i+SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)
 ここ数年はサイトの更新が忙しくて音楽鑑賞に使える時間が少ないため、同じCDを何度も繰り返し聴くことは少なくなってしまっている。そんな中、久しぶりに繰り返し聴いてしまったCDがこれ。収録時間が短いことも一因だろうけど、もちろんそれだけではない。BGM的に聞き流していてもあまり邪魔にならない、とばしたい曲がない、歌唱力が高いとは思わないけれどストレートな歌い方で聴きやすい、声そのものの質も割と好き、詞はありふれているけれどスッと心に入ってくる、そういったところが複合的に作用しているのだと思う。伊藤静の声は悪く言うなら少し鼻にかかったような癖がある感じだと思うのだけど、このCDではその癖があまり気にならない。むしろ(ジャケットのブルーの効果か)爽やかで透明感があるようにも感じる。録音は普通の範疇だけど、最近の日本のポップスの録音と比べると良い。声もあまり加工していなくて、伊藤静の声を楽しみたい人にも向いている印象。
 SR-325iを使ったのは、アップテンポな曲としっとりした曲どちらのヴォーカルも良い感じで鳴らして欲しかったから。RS-1を選ばなかったのは、今回のCDを私の好みで聴くには艶っぽすぎるから。正直、ATH-A2000Xくらいの硬さ・明るさがあっても良かったのだけど、それだと音色が不自然だったりしっとりした曲にはあまり合わなかったりということでSR-325iに。本音を言えば曲ごとに最適なヘッドホンが違う感じで悩ましい。ともあれ、聴いてみると1曲目のイントロの時点で「SR-325iで良かったかも」と満たされてしまった。SA-15S1(SACDプレーヤーのヘッドホン端子)を使ったのはSR-325iの粗っぽいところを抑えて欲しいと思ったから。最後まで聴いてみると曲によっては「あのヘッドホンの方が良かったかも」というところもあるけれど、総合的に見るとSR-325iは最適だったかもしれない。



・チャイコフスキー「交響曲第4番」   指揮:カラヤン 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1971年   試聴は下のamazonのページで。
 ATH-W1000+AT-HA2002
 曲は後付け。ATH-W1000で何を聴こうかと考えてこれに。最近生で聴いたこと、ATH-W1000は金管の派手な曲が似合うこと、昔「ATH-A1000はポップス向き、ATH-W1000はクラシック向き」というようなことが言われていたことが選曲の理由かもしれない。曲としては、第1楽章はまとまりに欠けるようなところが気になってしまうのだけれども、重厚な第2楽章からピチカート多用の個性的な第3楽章と移るにつれて引き込まれていき、第4楽章ではそれまで溜め込んだエネルギーを爆発させるような展開に心が躍る。この点について、このカラヤンの1971年の演奏はなかなか良いと思う。各所で評価が高いこと、やりすぎと言われることがあること、その両方に納得が行く。録音は普通。強奏部で音が割れているところがあるのが気になる。
 ATH-W1000+AT-HA2002を使ったのは、ATH-W1000生産終了記念。私がATH-W1000を買った頃は、3万円以上もする高級ヘッドホンは今よりかなり少なかった。そこそこ売れているのはATH-W1000、MDR-CD3000、HD650の3台だけだったように思う。beyerdynamicとGRADOは一応あったけど、持ってる人は本当に少なかった。と言うよりも、そもそも当時は3万円以上のヘッドホンをいくつも持っている人は相当少なかった。この数年でヘッドホンに関わる環境がいかに変わったかが良く分かる(という話も色んな角度から何度も言ってるのでもう聞き飽きた人もいるでしょうけど)。話が逸れたけど、ATH-W1000と今回の曲の相性は割と良いと思う。audio-technicaのヘッドホンは高域が金属的と言われることも多いけど、これは交響曲を聴く上で長所なのではないかと思う。生で聴くの比べると、ATH-W1000やATH-A2000Xでも金属的な質感が足りないと感じることも多いので。あとは第3楽章のピチカートの弾力感を思ったよりしっかり出してくれたのが印象的だった。ちなみに最近生で聴いた演奏と比べると、各楽器が左右に分かれすぎていて前方定位しない点、低音が多い点、ダイナミックレンジが狭いせいかメリハリやスピード感に欠ける点が異なる。左右に分かれすぎていて前方定位しないのは録音のせいもあるかもしれないけど、ある程度はヘッドホンの宿命だろう(特にATH-W1000では・・・・・・)。低音についてはいつも思っていることだけれど、クラシックの場合は生より大抵のヘッドホンで聴く方がかなり多い気がする。もちろん演奏によって違うし、同じ演奏だとしてもホールや席の位置でも違うのだけど、そういう違いを超越してかなり明確な差を感じる。ダイナミックレンジは多分機器ではなく音源のせいだと思う。CDの理論値である96dBあれば足りるという説があるけど、有効活用できてないのかそれともやっぱり足りないのか、生と比べると明らかに足りないように感じる。特に第4楽章の2/3辺りの爆発的な強奏とその直後の静寂の表現に不満が出る。メリハリやスピード感に欠けるように感じられるのは、今回生で聴いた演奏がかなりメリハリのある演奏だったことも一因だと思われる。



・Swinging Popsicle「Fennec!」   試聴は下のamazonのページで。
 AH-D5000+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 Swinging Popsicleは日本のスリーピースバンド。「Fennec!」は数年前にどこかで偶然名前を目にして、軽い気持ちで聴いてみたCD。割と気に入って繰り返し聴いていたので、今でも頭の片隅にメロディーが残っていたりする。今回これを引っ張り出して聴いてみたのは、Swinging Popsicleのファンサイト「ポプシクリップ。」さんから記事の執筆依頼が来たため。引き受けるかどうか少し迷ったけど、知っているアーティストだったこともあり受けることにした。記事は既に公開されているので、興味のある方はどうぞ。内容は「ヘッドホンについて何も知らないSwinging Popsicleファン向け」という前提で書いているので、本サイトの常連さんには物足りないかもしれないけど、これを機にSwinging Popsicleに興味を持ってもらえたら私としても嬉しい。さて、話が逸れたけど、「Fennec!」で好きな曲は「赤い光」と「サテツの塔」。アルバム全体を見渡すと結構色々な曲があるんだけど、それでいて一貫したカラーがあるように思う。その意味でどれも良い曲。メンバーが洋楽好きなせいか、どこか洋楽テイストが漂っているようにも思う。ちょっとオシャレっぽかったり、詩が流れるように紡ぎ出されていたり。ちなみに、amazonの商品説明にはとても共感できる。既に廃盤なのは残念だけど、プレミアがついていることに納得の出来。録音は普通。少し曇り気味でコンプかけすぎなところはあるけど、聴けないほどではない。むしろ録音を気にしながら聴くのは間違っていると思わせてくれるような音楽。
 AH-D5000+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、アップテンポな曲もまったりした曲も普通に聴けてしまうバランスの良さがあるから。そう言えば記事の方でもAH-D5000を取り上げていた。思ったとおりかなり相性が良かったけど、DT880みたいにもう少し味わいがあってもおもしろかったかもしれない。



・angela「Land Ho!」   試聴は下のamazonのページで。
 HD650+Zu+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 angelaの4thアルバム。angelaは1stアルバムは結構好きだったのだけど、その後数年間いまいちに感じる時期が続いた(もちろんあくまでも個人的な意見だけれど)。それが、このアルバムではまだまだ楽しませてくれそうと思わせてくれた。好きな曲は「光、探せなくとも 」と「Beginning」・・・・・・と言うよりもそもそもこの2曲目当てだった。初めてこの2曲を聴いたときから今回初めてCD化されるまで半年以上、個人的にかなり待ち遠しかったアルバム。ネットを見回すと、どうも他にもそういう人は多い様子。どこが良いのかを言葉にするのはいつもながら難しいけど、声、歌い方、曲、アレンジすべてに力があり重厚でドラマチック。それなりに万人受けするような気もするけど、それよりもはまった人にとっては最高の1曲になりうると言った方がこれらの曲の魅力を適切に表現できているように思われる。録音は最近の日本のポップスのもの。ただ、その中では分離やメリハリが感じられる印象。
 HD650+Zu+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、前述の2曲を重厚に鳴らしてくれると思ったから。他のアップテンポな曲はもっと良いヘッドホンがあると思うけど、この2曲ならこれ以上のものはそうないと思われる。
 


・ショスタコーヴィチ「交響曲第5番」 指揮:バーンスタイン 演奏:ニューヨーク・フィルハーモニック 1979年   試聴は下のamazonのページで。
 HD800+AT-HA2002
 好きな人には悪いけれど、ショスタコーヴィチは少し苦手。聴いていると神経を逆撫でされるような曲が多いため。この5番もそれは同じなんだけど、比較的大丈夫な方だと思う。第4楽章の切れやメリハリが楽しい。特にこの録音はそう。この録音は非常に評価が高いようだけど、とても納得できる出来。何となく聴いているつもりでも、いつのまにか気迫に満ちた演奏に引き込まれてしまっている。ちなみに、東京文化会館のライヴ録音。バーンスタインとニューヨーク・フィルハーモニックの5番は1959年の録音もあるけど、それと比べると今回の録音の方が堂々としていてかつ細部まで神経が行き渡っているような完成度の高さを感じる。録音はやや良いという程度に感じるけど、当時としては相当良かったと思われる。やや渇き気味で分離が良い。この録音の第4楽章はBlu-spec CDのサンプラーに収録されているのだけど、そちらと比べると少々明瞭さに欠けるように思う。この録音はBlu-spec CDの音の傾向と割とマッチするのではないか・・・・・・ そんなことを考えていると、フルで収録されているBlu-spec CDやSACDも聴きたくなってしまった。ちなみにこのCDにはチェロ協奏曲第1番(チェロ:ヨーヨー・マ)も収録されているけど、そちらはヨーヨー・マの安定感と巧さが光る。
 HD800を使ったのは、いくつか理由がある。折角エージングが終わったから、音場の広さや音の分離がオーケストラ向きだから、HD800のある種の切れの良さがこの曲と合うと思ったから。AT-HA2002を使ったのは、HD800だと少し明るく締まりすぎているかと思ったから。
 追記。これを書いた後に、この曲は曲別HP探索2にリクエストされてたことを思い出した(違う録音だけど)。そうと知ってれば取り上げなかった・・・・・・



・TWO-MIX「BPM132」
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 TWO-MIXの1stアルバム。個人的に、何故か深夜に聴きたくなる作品。発売当時、良く深夜に聴いていたような気もするのでそのせいだろうか。聴いていると、当時(1995年)のことを思い出して少ししんみりしてしまう。TWO-MIXのアルバムはその後の「BPM143」、「BPM150MAX」もリアルタイムで聴いていて、出るたびに「凄い!」と思ったものだけど、今になってみるとそれほど凄くもないし飽きやすいかな、という印象。それが、この「BPM132」だけは違う。このアルバムはタイトル通り他の2枚よりスローテンポで地味な曲が多いんだけど、そのぶん味わいがあって飽きにくい。好きな曲は、「SILENT CRUISING」、「DIVIN' TO PARADISE」、「JUST COMMUNICATION」、「GOOD DANCE!!」、「THOUSAND NIGHTS」等だけど、どの曲が好きと言うよりもアルバム全体で一つの作品という印象がある。統一感があるわけではなく、色々なことをやろうとした結果として色々な曲ができたという意味で一つの作品、ということ。録音、と言うか打ち込みとヴォーカルのみなので録音と言うのは違う気もするけど、ともかく音質的にはいまいち。ただ、14年前ということを考えると、チープな感じや違和感はない方なのは間違いない。今聴くと、もう少し明瞭でダイナミックレンジが広ければ良かったのではないか、と思うけれど、贅沢か。打ち込みはこの10年でほんとに進歩したし。このCDを聴くのに、良いヘッドホンを使う意味はあまりない。ないけれど、今回のCDにedition7以上に合うヘッドホンは個人的にはそうないので、使うことになんの躊躇いもない。
 edition7を使ったのは、「打ち込み系の音との相性が良いヘッドホンの中で、今回のCDの味わいを出してくれるもの」という個人的に無理のある要求をある程度満たしてくれると思ったから。これがDJ1 PROやHFI-780だと、明るすぎて合わない。重さや暗さが欲しい。実際に聴いてみると、そのあたりを期待通りにこなしてくれて良い感じだった。



・ネバーエンディング・ストーリー オリジナル・サウンドトラック   試聴は下のamazonのページで。
 ATH-A2000X+AT-HA2002
 どういうわけか、Sarah Brightmanの「Symphony」を聴いていたら連想したCDがこれ(「Symphony」は紹介し尽くされた感があるので割愛)。この映画は有名なので観たことのある人が多いと思う。私にとってはちょっと思い入れのある作品。原作はミヒャエル・エンデの「はてしない物語」。本が大好きな子供だった私は当然読んだし、今でもハードカバーの本が手元にある。私は映画を観た後に原作を読んでどちらもそれぞれ良いところがあると思ったのだけど、原作者としてはそうではなかったみたいで、原作者が映画を観て激怒したという話を数年後に耳にした。映画は「一番言いたいこと」が原作と正反対になってしまっているから、無理もないとは思う。私はどちらかと言うと原作の方が好きなので原作者の肩を持ちたい気持ちが強いけれど、それでもこの映画には多くの人に原作を読むキッカケを与えてくれたという大きな意味があったのは間違いない。さて、音楽と関係ない話ばかりしてしまったけど、この映画は音楽も結構有名。今でもテレビで「バスチアンの飛行」・「喜びの飛行」という曲が時々使われている。私もこの曲は好き。他には「ネバーエンディング・ストーリーのテーマ」、「象牙の塔」、「アトレイユの旅」、「オーリン」等も。全体的にはチープなシンセが多用されていて音としては良くないけれど、音楽としては捨てたものではないと思う。以前「優れた映像音楽というものは、後から音楽だけを聴いたときに自然と映像が思い返されるもの」と書いたけど、このCDにもそれが当てはまるように思う。個人的な思い入れによって美化されている面もあるだろうけど・・・・・・
 ATH-A2000Xを使ったのは、正式レビューのために聴き込んでいたら結構好きになって使いたくなったから。シンセとの相性も良いし、明るさや疾走感を出してくれると思ったから。AT-HA2002を使ったのは、今回のCDを聴くにはATH-A2000Xだとちょっと軽くてあっさりだと思ったから(AT-HA2002の濃さで補おうとした)。聴いてみた結果、悪くはなかったけどATH-A2000Xの性能の無駄遣いという考えが頭をよぎった(そういう考えは無意味なんだけれども)。それから、このCDには悲しいシーンの曲もあるので、そういう曲ではもう少し重さが欲しかった。とは言え、思った通り件の「バスチアンの飛行」・「喜びの飛行」の疾走感は出してくれたし、トータルとして見ると十分楽しめた。



・梁邦彦「ECHOES」
 K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)
 この間のCDと「1曲目のピアノでやられた」繋がり。このCDを初めて聴いたとき、1曲目のピアノソロ「Pure Imagination」でタイトル通りの美しさに即座に引き込まれた記憶がある。梁邦彦の最新作(当時)ということで、何が来ても驚かないくらいの心構えで臨んだにもかかわらず。他に好きなのは、「Flowers Of K」、「Echoes」、「In The Air」、「A Dream On A Sunny Hill」、「Eventide」、「Farmer's Dawn」あたり。ピアノソロからオーケストラ、声が入ってくるものまで色々な曲が収録されている。使われている楽器もTaepyongso、Mongolian Cello、Celtic Harp、Hammer Dulcimer等、珍しいものがいくつも見受けられる。その反面、梁邦彦のアルバムの中ではシンセが少な目。梁邦彦のCDは沢山持ってるけど、今一番好きなのはこのアルバムだと思う。日本盤は出ていないので、日本国内で入手するには韓国の商品を扱っているショップで買うのが良いと思う。録音はなかなか良いけど、仮に録音が多少悪くてもこの内容ならしょちゅう聴いていたと思う。魅力的な曲が多く、しかも多彩。ただ、発売からもうだいぶ経っているし、長いこと梁邦彦としてのアルバムが出ていないので、そろそろ新作を期待したいところ。色々な作品の音楽を手がけているからなかなか難しいだろうけど。
 K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、全体のバランスの良さと一つ一つの音の微細な描写のうまさを両立しているから。今まであまり書いてこなかったけど、K701(balanced)の音は素晴らしいと思う。私の手持ちのヘッドホンを見渡したときに、シングルエンドだと他の個性的なヘッドホンを押しのけてまで使う価値は見出せないことが多かったけど、バランス化して一つ一つの音の微細な描写が格段に良くなったことと制動が良くなって迫力や力強さが増したことによって非常に魅力的になった・・・・・・などと言うとヘッドホンを次々バランス化してそうだけど、実はあまり多くはしていない。MDR-CD3000は現状あまり使ってない上にバランス化で格段に良くなることが分かってるからやっても良いのだけど、生産終了の名機ということでなかなか踏ん切りがつかず。でもバランス化しないでいる方が実質もったいないような気も。


・榎本くるみ「NOTEBOOKII〜冒険ノート中〜」   試聴は下のamazonのページで。
 PROline750+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 レンタル屋で何気なく借りたCD。特に期待も前情報もなしに聴き始めたら、再生が始まってすぐに惹きつけられた。1曲目の「note」、生命力に溢れたピアノのメロディーが素晴らしい。ヴォーカルもののCDでピアノに惹かれるのはどうかと思うけど、これでその後の曲を聴く集中力が大幅にアップしたのだからイントロとしては最高の働きだろう。CD全体の印象もある程度うまく表現できているように思うし。他に好きな曲は「冒険彗星」、「リアル」、「未来記念日」、「夕陽が丘」あたりだけど、それ以外の曲も割と聴き応えがあって楽しめるように思う。声は柔らかめでやや癖がある感じ。Suaraや鬼束ちひろに通じるところがあると言えば分かるだろうか。ふと思ったのだけど、このCDに収録されている曲の詞は、前回の「いっしょがいいな」に少し近い。主に青春しているところが。あくまで個人的な好みの話だけど、やはりこういう詞は好きなようだ。録音は普通。最近の日本のポップスらしい録音。コンプかけすぎでダイナミックレンジが狭いのは難点だけど、それくらいで死ぬようなものは音楽の本質的魅力ではないと思うし、このCDについてもそう思う。
 PROline750を使ったのは、エネルギッシュな感じを出してくれると思ったから、その上で前述の声の感じをある程度出してくれそうだと思ったから。PROline2500にしなかったのは、PROline750の方がやや低音が少なく切れが良い点が今回のCDに合うと思ったから。ちなみに、前述のピアノに限定するなら個人的にはedition7が最高なのはほぼ間違いないのだけど、このCDを1枚通して聴くことを考えてウォームさのあるPROline750を選択。聴いてみた結果は悪くなかったけど、声についてはHD650レベルを期待してしまうと流石に厳しい。HD650とPROline2500/750の良いとこ取りみたいなヘッドホンがあってもおもしろそうだと思った。



・菊池志穂「いっしょがいいな」   試聴はこちら(見つからなかったので2曲聴けるところ)。
 SR-325i+AT-HA2002
 鈴木真仁の「絶対少年」を聴いて、古い声優のCDも悪くないかもと思いラックを眺めていて目にとまったのがコレ(と言っても古い声優のCDなんて数えるほどしかないんだけど)。このCDは鈴木真仁の「絶対少年」より聴いた回数が多いと思う。トータルとしてどっちが好きかは兎も角、捨て曲(という表現はあまり好きではないけどニュアンスが伝えやすいと思うので使ってみる)のなさという意味ではこちらの方が上。適当に順番をつけて好きな曲を並べていくと、「Dream Child」、「朝」、「僕のかけら」、「丘の上に行こう」、「まっすぐ」、「きみとぼくのうた」、「ひとりぼっちということ」、「バス停に立って」とほとんど全曲入るような形になってしまうし、しかもこの順番にしても本当に悩んでしまう。ここに入っていないトリの「常夏の幸福」にしても単品で見るとそんなに好きではないというだけで、アルバムのラストとしては凄く良いと思う。真剣に思いつめるような曲が続いた後、ほっと一息つけるような感じ。このアルバムの好きなところは、曲が馴染みやすく理屈抜きに好印象な点、詞が青春している点。詞は例えば「転ばぬ先の杖を持て その逆だってあるさ 勝てる時だけファイトして あとは逃げてたら 安全だけど ケガもないけど なんにもないね」、「あの花にはなれないけど あの星にはなれないけど 今日も 僕らは僕らを生きてゆける」、「ねぇ さっきの話さ 死んじゃイヤだよ 絶対イヤだから もう ぜーんぶ忘れて おっきな空を見て ひと休み」などなど。結構重い詞もあるんだけど、それを重苦しく歌うだけじゃなくてさらっと言ってみたりするところもあって、単調になっていない。アップテンポな曲とスローテンポな曲がバランス良く配置されていることもあって、飽きずに最後まで聴ける。伴奏はバンド風。歌はうまいとは言えないけど・・・・・・いやまーノーコメントで(笑) 録音は意外と悪くない。楽器の生っぽさが割と感じられる。ちょっと粗っぽさが気になるところもあるけど、粗っぽさがノリの良さを引き出してる感じだったりして悪くない。少なくとも10年前の日本のポップスの平均レベル以上ではあると思う。
 SR-325iを使ったのは、バンド風の伴奏に合うのは明白だし、SR-325iはバンドだけでなくヴォーカルの表現もうまいため。AT-HA2002を使ったのは、SR-325iでこのCDを聴くならこの味付けが欲しいと思ったから。SR-325iは抜けが良すぎて低音が物足りないこともあるけど、AT-HA2002と組合わせるとそういうことがあまりないというのも理由。特に不満はないけど、ヴォーカルメインで聴きたいなら少し伴奏が目立ちすぎか。



・鈴木真仁「絶対少年」   試聴はこちら。
 K242HD+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 彼女から借りた漫画の解説に「絶対少年」という言葉が出てきて、すっかり忘れ去っていたこのCDを思い出した。発売当時は結構気に入っていて、何度も聴いていたような記憶がある。マニアの間では隠れた名盤とか言われることもあるみたいで、聴いていると妙に納得してしまう。好きな曲は「カプセル(ALBUM Mix.)」、「マザーサン」、「Water」あたり。この3曲は今聴いてもかなり好き。多分一般受けもすると思う。特に「マザーサン」は泣ける。他にも何だかんだ言ってそこそこ好きな曲が何曲もある。ちなみに「Water」は新居昭乃作曲、他にZABADAK提供の曲も1曲入っているし、それ以外にも結構有名な人が参加してたり。10年以上前の声優のCDにしては、まともな音を鳴らすと思う(多分)。アルバム全体の雰囲気は、ちょっとレトロ。こういう雰囲気を好む人は、私の周囲にはそこそこ多かったりする。歌はうまいとは言えないけど、聴けなくはない。録音は普通とイマイチの間くらい。あと、このCDについて書くからには触れなければならない点がある。それは、このCDには2つの秘密があるという点。どんな秘密か気になる人は、是非現物を手にとって調べてみて欲しい。ただし、片方は人によっては発見不可能かも・・・・・・
 K242HDを使ったのは、レトロな雰囲気を出して欲しかったのと、温かみやヴォーカルの表現を重視して。こういうときは大抵beyerdynamicを使ってるんだけど、いつもそれでは芸がないので、beyerdynamic以外で探してみた。K242HDは私が買ったときの3万円台では正直コストパフォーマンスが悪いけど、それでも今回のCDを温かみや雰囲気重視で聴くには悪くないと感じた。AKGは上品であっさりな傾向があるけど、K242HDはあまりそういう感じはしない・・・・・・と思っていたのだけど、今回のCDを聴くにはもう少し濃密で低音よりでも良かったかも。もちろんK501やK240monitorと比べたらずっと良いんだけど。



・アメイジング・グレイス 〜ベスト・オブ・ゲリー・カー〜   試聴は下のamazonのページで。
 PRO900+AT-HA2002
 このCDを選んだ理由は後述。Gary Karrはコントラバス奏者。このCDはGary KarrのコントラバスとHarmon Lewisのオルガン・ピアノのみで構成されている。曲は有名どころが並んでいるけど、個人的に好きなのは何と言ってもバッハの「主よ、人の望みの喜びよ」。クラシックを聴かない人はピンと来ないかもしれないけど、多くの人は耳にしたことがあるはず。「パッヘルベルのカノン」等と並んで卒業式の定番曲(だったのだけど、最近はどうなんでしょうね)。実はこのCDを買った理由の一つはこの曲が入っているからだったり。この曲は非常に有名で沢山のCDが出ているので、この曲が入っているからと言ってCDを買っていたら切りがないんだけど、当時コントラバス奏者のCDを持っていなかったのと、どこかで話題になっていたので買ってみたような記憶がある。
 PRO900を使ったのは、全然使っていなかったので。PRO900は大抵の曲では低域が過剰でバランスが悪いだけでなく妙に聴き疲れするほどなので、低域が少ない曲を低域が控え目の環境で聴いてみたりしたけど、どうもうまくない。これは低域が少ない曲の魅力を引き出すことを考えた場合、PRO900はあまり良くないことが多いのも原因だと思う。そんなわけで、発想を逆転させてほとんど低域だけで構成されている曲を聴いてみることにした。そもそもヴォーカル等の中域で音量を合わせて聴くから低域が過剰になるわけで、ほとんど低域だけで構成されている曲を低域で音量を合わせて聴けば過剰にならないだろうという考え方。実際に聴いてみると、思ったとおりそれほど低域が過剰には感じないし、聴き疲れも許容範囲。PRO900はコントラバスやオルガンとの相性も良いし、なかなか楽しめる。AT-HA2002を使ったのは、PROline2500やPROline750で相性の良さが身にしみているから、PRO900も良かろうという安直な考え。滅茶苦茶濃い音だけど、このCDではそれほどおかしな感じにはならない。とは言え、おそらく大抵の曲ではHead Amp 2/MkII SEやhpa200b(ハイエンド仕様)の方がバランス良く聴けると思う。それにしても、このCDとPRO900の相性はかなり良かった。ここまでPRO900と相性が良いCDは100枚に1枚もないのではなかろうか。



・Bellefire「After The Rain」   試聴は下のamazonのページで。
 ATH-A2000X+hpa200b(ハイエンド仕様)
 曲はATH-A2000Xに合うものを探していて、煮詰まって、うっかり選んでしまった感じ。最近聴いていなかったということもあり。Bellefireはアイルランドの女性4人組(当時)のユニット。曲はポップでキャッチーなものが多いけど、それでいてコーラスを重視していたりしてただのポップスとは少し違う毛色(とは言え今となってはこういうユニットは珍しくもないように思うけど)。久しぶりに聴いてみたけど、かなり良いと思った。個人的にこういうのは好きな傾向だし、その好きな傾向の中でも曲がここまで良いと感じることは少ない。確かデビューシングルの「Perfect Bliss」を聴きもしないでフィーリングで買ったのがキッカケで知ったような記憶があるけど、今から考えると割と幸運な出会いだったと思う。録音は普通。特に書くこともないような感じ。日本のポップスとは違う、明らかに欧米のポップスの録音。
 ATH-A2000Xに合いそうとは思ったものの、合うかどうか・・・・・・ 期待半分不安半分で聴いてみると、すぐに違和感が。妙に軽くてスカスカしている。それだけなら違和感まで行かないのだろうけど・・・・・・ でも気にせず聴き続けたら2、3曲目には慣れてしまった。慣れてしまうと、この軽さ、明るさ、爽やかさ、線の細さが笑えるくらい気持ち良い。多分これは良い意味だけではなく、悪い意味でも。そうは言っても楽しめたかどうかという意味ではかなり良かったと言わざるをえない。
 ATH-A2000Xを使ったのは、全然使っていなかったから。hpa200b(ハイエンド仕様)を使ったのは、ある意味ATH-A2000Xらしさが最も出ると思ったから。聴いてみた印象としては、ATH-A2000Xらしくはあるけど、全体のバランスは良くない感じ。今回のCDを聴くのには悪くなかったと思う。でもSRS-4040やAH-D5000と比べるとどうかな・・・・・・



・剣風伝奇ベルセルク オリジナル・サウンドトラック   試聴は下のamazonのページで。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 テレビアニメ「剣風伝奇ベルセルク」のサウンドトラック。音楽は平沢進。優れた映像音楽というものは、後から音楽だけを聴いたときに自然と映像が思い返されるものだけど、このCDがまさにそう。曲数こそ少なめなものの、どの曲も印象的で映像が目に浮かぶ。平沢進のメジャーな曲には分かりやすい特徴があって聴いた瞬間に平沢進だと分かる曲が多く、このCDにもそういった曲が入っているのだけど、逆にこんな曲も書くのかというようなものもあったりする。そういう意味で、個人的には「平沢進ってオリジナリティはあるけど、似たような曲が多い」というイメージを覆したCDでもある。作品の内容が内容だけに曲も重苦しいものが多いけど、恐ろしいほどに緊張感があって聴いているとあっという間に時間が過ぎてしまう。録音(という表現が適切かどうかは兎も角)は普通。平沢進の作品全般に言えるけど、個人的にはもう少し、かな。
 edition7を使ったのは、低域の量に基づく迫力と打ち込み系の音との相性の良さがあり、何よりこのCDの緊張感をしっかり出してくれそうだと感じたから。実際に聴いてみると、期待通り素晴らしかった。緊張感を出してくれるという意味で、以前取り上げた「BLOOD+ ORIGINAL SOUNDTRACK 1」との相性の良さに近い面がある。鳴らしてる音は全然違うけど。



・Buono!「Buono!2」   試聴はこちら。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 Buono!はハロー!プロジェクト(モーニング娘。やBerryz工房のアレ)に所属する女性アイドルグループ。「Buono!2」はタイトル通りセカンドアルバム。私はアイドルというものについて詳しくないし、特にBuono!のファンというわけでもない。けど、Buono!については近年珍しい「アイドルらしいアイドル」という印象を持っている。本来アイドルをアイドルたらしめているのは「偶像性」と「汚れのなさ」だと思うのだけど、この十数年そういったアイドルは凄く少なくなっている。そんな中、Buono!は最近のアイドルとしては比較的(あくまで比較的)それらを保っているように感じるのだ。プロデュースの仕方やなんかは置いておくとして、音楽として一つ決定的な点がある。ハロー!プロジェクトの主要な曲の多くはつんくが作っているのだけど、Buono!の曲はつんくがほとんどノータッチなのだ。別につんくの曲が良いとか悪いとか言うつもりはないけど、アイドルの曲としては致命的な欠点を持っている。それがさっき出てきた「偶像性」と「汚れのなさ」の欠如。つんくの書く詞・曲は身近で親しみやすい傾向があると思うんだけど、これが「偶像性」と「汚れのなさ」に真っ向から対立してしまう。曲によっては主旋律だけで臭みのようなものを感じることも多い。そんなわけで、つんくが曲制作にほとんど関わっていないBuono!は、最近珍しいアイドルらしいアイドル、明るく健全に楽しめる女性ヴォーカルのポップスという意味でちょっとお気に入り。個人的に好きな作詞家・岩里祐穂が作詞している曲が多いのもポイント高し。好きな曲は「ロッタラ ロッタラ」。詞と曲の相性が絶妙なせいか、妙に耳に残る。録音は最近の日本のポップスらしい感じ。S/Nは優秀だけどそれ以外は微妙。楽器の生っぽさがあまり感じられない。でもま、やっぱり音楽の本質は録音にはなく、曲が気に入れば特に問題なく楽しめるレベル。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、このアルバムは出たばかりで初めて聴くので使い慣れてる組み合わせで聴きたかったから。使い慣れてる組み合わせの中では最もこのアルバムと相性が良いと思ったから。実際聴いてみると、やっぱり非常に相性が良いと思った。ヴォーカルは明るくて瑞々しいし、低域の量感や切れの良さも曲とマッチする。



・鈴木祥子「Hourglass」
 RS-1+HA-1A
 鈴木祥子は私の中で遊佐未森、ZABADAK、enya等と並んで1990年頃に好きになったシンガーソングライターとして重要な存在。「Hourglass」は1991年発売の5thアルバム。初期の鈴木祥子のアルバムはどれもそれぞれの個性があって好きだけど、中でも印象に残っているのがこのアルバム。しっとりと落ち着いていて、静けさが身にしみる。詞・曲・アレンジすべて奇をてらったところがなく、安心してその世界に入り込むことができる。アルバム全体に統一感があり、すべての曲がこのアルバムのために作られたかのように感じる。そのせいもあって特別どの曲が好きというのはないのだけど、何となく挙げてみると「Silent Dream」、「Farewell Song」、「Sweet Thing」、「Happiness」、「言葉」、「Little Wing」というような感じ。何だか曲名だけでこのアルバムの雰囲気が出ているように感じるのは、このアルバムが既に私の一部になっているからだろうか・・・・・・ 音楽とは関係ないけど、ジャケットや歌詞カードに使われている写真がアルバムの雰囲気にとても良く合っていて素晴らしい。曲を聴きながら眺めると、それだけで曲の魅力が更に引き出されるようにさえ思う。写真や歌詞の配置含めたデザインも良い。録音は当時の日本のポップスとしてはかなり良いレベル。録音にしろ音作りにしろ、今聴いても違和感や安っぽさがない。
 RS-1+HA-1Aを使った理由はいくつかある。一つ目は、声をそういう感じに鳴らして欲しい気分だったから。これはRS-1+HA-1Aを聴いたことのある人なら分かると思う。このアルバムでの鈴木祥子の発声方法にも関係があると思うけど、詳しくは省略。二つ目は、1曲目のキーボードのアタックが強すぎて曲の雰囲気に合ってないような気がするのだけど、それを緩和してくれるように思ったから。三つ目はこのCD全体に漂うしっとりしていて上品な空気を出してくれるように思ったから。この点についてはK701の方が適任だとは思ったけど、前述の点も考えてRS-1に。実際に聴いてみると、どの点についてもそれなりに思惑通り。久しぶりにこのアルバムを聴いたこともあってか、単純に楽しめた。でも多分、DT880やHP1000くらい重くても良い、かな。
 余談。このアルバムは残念ながら既に廃盤のようだけど、amazon等で中古が安く簡単に入手できる。何気なくamazonのカスタマーレビューを見たら7人が全員星5つ付けていて驚いた。amazonのカスタマーレビューはファンやメーカーが偏った評価を付けるからあまりアテにならなかったりするけど、レビュー本文を見るとこのアルバムがいかに愛されているかが伝わってきて少し嬉しくなった。



・バッハ「無伴奏チェロ組曲」 演奏:LYNN HARRELL 1982〜1984年   試聴はこちら。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 バッハの無伴奏チェロ組曲は、私がクラシックで最も好きな曲の一つ。そんなわけで色んな演奏者のCDを持っていたりするんだけど、今回のCDはその中でも偏った内容のもの。演奏は荒々しく、録音も原音の粗や生っぽさを感じさせる傾向。触れたら肌が切れるような、そんな音、ってほどでもないけど。「生楽器の音とは本来痛いものだ」と力説する人がいたりして、全面的には同意できないけど、使用する楽器や演奏者によってはかなり痛い面があるのは事実。このCDではそれが実感できる。こんなに聴き疲れするチェロはあまりないんじゃないかな(笑) マイルドで心地よい弦楽器を好む人はダメだろうけど、生楽器らしさや粗っぽさが欲しい人には向いている。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは、このCDの生楽器らしさや粗っぽさを出してほしかったから。思ったとおり痛いくらいに出してくれて満足。



・GARNET CROW「first soundscope 〜水のない晴れた海へ〜」   試聴はこちら。
 DT880+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 GARNET CROWはこのファーストアルバム(インディーズ除く)が出た当時にすごくはまって、一時期こればかり聴いていたような記憶がある。その後のアルバムもほとんど聴いてきたけど、やっぱりこれが一番好き。それなりに有名なので聴いたことのある人も多いと思うけど、聴いたことのない人には是非聴いてみてもらいたいアルバム。どこか懐かしく、色褪せた写真を見るような気持ちにさせられる。ネオアコをルーツとしていると言うけど、確かにそういう空気がある。このアルバムの中で好きな曲を挙げると、「flying」、「水のない晴れた海へ」、「君の家に着くまでずっと走ってゆく」、「巡り来る春に」、「Mysterious Eyes」、「二人のロケット」、「夏の幻」、「千以上の言葉を並べても...」、「Rhythm」と、結局全曲挙げてしまうんじゃないかというくらいどれも好き。ただ、どの曲もシングルで大ヒットする曲が持っているような一般受けする分かりやすい魅力はないようにも思う。これはGARNET CROWの曲全般に言える特徴かもしれない。だからと言って魅力がないわけではなくて、聴けば聴く程に良さが出てくる、あるいは何度聴いても飽きないというような魅力だと思う。どこが好きかと訊かれると困ってしまうのだけど、詞、曲、アレンジ、ヴォーカルの声質がそれぞれの良さを持っていて、しかもそれらが破綻なくまとまって同じ方向を向いているところだろうか。録音は良いとは言えないけど、日本のポップスとしてはさほど悪くないし、曲の雰囲気を壊すようなものではないので個人的には特に問題ない。
 DT880を使ったのは、何となく「これしかない」と思ったから。雰囲気重視だとDT990PROが良かったりするけど、エッジがきつすぎたりやりすぎな面が気になることも多い。DT880は雰囲気をある程度出した上で、DT990PROよりはるかに聴きやすい点が良い。



・HILARY STAGG「DREAM SPIRAL」   試聴はこちら。
 SRS-4040
 古くからヘッドホンのネット販売をしてきたことで有名なショップ・AIRYで高音質CDとして紹介されていたりするCD。ジャンルとしてはニューエイジ。曲はどれもHILARY STAGGのオリジナルで、ゆったりとして心地よくそれでいて清々しい印象を受ける。綺麗な音楽とそうでない音楽というものがあるとしたら、本作は間違いなく前者になると思う。楽器の構成は曲によって異なるけど、基本的にはHILARY STAGGのハープ(Custom electrified Troubadour harpとのこと)が主役で、アコースティックギター、ヴァイオリン、エレキベース、シンセ等が加わる。録音は最近の優秀録音と比べると少し見劣りするように思うけど、悪くはない。臨場感があり、音が響いて広がっていく様があまり味付けなく感じられる。
 SRS-4040を使ったのは、何となく合いそうだと思ったから。実際聴いてみると、繊細で爽やかな点が良く合うと思った。ただ、もっと音場の立体感が欲しかったところ。そういう意味ではSR-007+SRM-717の方が良かったかもしれないが、雰囲気はSRS-4040の方が合うと思う。



・藤田恵美「camomile Best Audio」   試聴は下のamazonのページで。
 HD650+Zu+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 藤田恵美は元Le Coupleのヴォーカル。このCDはこれまでリリースされてきた「camomile」シリーズ3枚のベスト盤。全曲リミックス、リマスタリングしてSACDにしてある。レコーディング・エンジニアとSONYの音響機器設計者が協力して制作したというのが特徴。Phile-web等でやたら取り上げられていたので騙されたと思って買ってみた。それだけだったら買わなかったかもしれないけど、個人的に好きな「Walking in the Air」が入っていたことも一役買った。他にも「First of May」、「Desperado」、「Over the Rainbow」等、有名な曲が目白押し。あとは初めて聴いた(と思う)「Proud of You」が結構気に入ったり。主役は当然ヴォーカル。ジャパニーズイングリッシュが気になる人も多いだろうし、歌も特にうまいとは思わないけど、しっとりしていて睡眠導入剤として使うには良い。使われている楽器は曲によってまちまちで、ピアノ、ウッドベース、ギター等。録音は確かに良い。ひとことで言うと、いかにもオーディオマニアが好きそうな録音。やや柔らかく艶や響きが乗る傾向でありながら、一つ一つの音の細かいところまで丁寧にしっかりと描写してくれる。低域がローエンドまでしっかり出る。空間表現は分かりやすく各楽器が浮き彫りになるような感じで秀逸だとは思うけど、少し作ったように感じられる面もあるやも・・・・・・ 個人的にはもう少し生々しく楽器の粗を出してくれるような録音の方が好みではある。
 HD650+Zu+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは単に相性が良いように思ったから。実際聴いてみると、思ったとおり最高レベルの相性だと感じた。主役の声を艶っぽく厚手に表現してくれるし、このディスクの低域のローエンドの伸びをあますところなく聴かせてくれる。
 追記。このディスクに収録されている「Walking in the Air」は正直あまり好みではなかった。もっと明るく躍動的な方がこの曲らしいと思うのですよ・・・・・・



・バッハ「チェンバロ協奏曲第1集」 指揮:カール・リヒター 演奏:ミュンヘン・バッハ管弦楽団 1971〜1972年   試聴はこちら。
 SR-007+SRM-717
 ふと気づいたんだけど、このページでクラシックをあまり取り上げていなかった。そんなわけでラックの中から1枚適当に選んでみた。それがこれ。バッハのチェンバロ協奏曲のほとんどは他の楽器のための協奏曲をアレンジしたものらしく、なるほど聴いていると確かに「あ、この旋律は他の曲で聴いたことがあるぞ、何だっけ?」なんてことが何度もある。こういう楽しみ方は邪道なのかもしれないけど、それで心当たりのある曲のCDを聴いてみたりするのも個人的にはおもしろい。録音は普通。録音年を考えると悪くはないけど、無難すぎて面白みがない気もする。もちろん、曲の方向性を考えればこういう録音で正解なのだろうけど。
 SR-007+SRM-717を使ったのは、曲に合いそうというのも勿論だけど、最近STAXを使っていなかったので。実際聴いてみると、思った通り良い。無難な録音と書いたけど、SR-007+SRM-717の繊細さと味付けで楽しめるようになっている。STAXはクラシックとの相性が良いと言われるけど、派手な交響曲よりも今回のような協奏曲や室内楽に合うと思う。



・TM NETWORK「Self Control」   試聴は下のamazonのページで。
 ATH-AD2000+AT-HA2002
 プリンセスプリンセスやリンドバーグと同じ頃に好きだったので引っ張り出して聴いてみた。当時、同世代の男子のほとんどが聴いたことのあるアルバムだった(と思う)。個人的にTM NETWORKのアルバムの中で最も好きかもしれない。特に好きな曲は「Time Passed Me By (夜の芝生) 」、「Fool On The Planet (青く揺れる惑星に立って) 」、「Self Control (方舟に曳かれて)」、「Here, There & Everywhere (冬の神話) 」といった感じ。この好みは発売当時からのものだけど、今考えてみれば前の2曲は木根尚登作曲で「木根バラ(バラードの略)」と呼ばれることもある傑作。そういう呼称が着くのも納得の味わいがある。他の曲にしてもどこか物語性を感じさせるものが多く、そういう点もこのアルバムが気に入っている理由。録音は微妙。音にもやや古臭さがある。でも良いものは良い。
 ATH-AD2000を使ったのは宇都宮隆の柔らかく曇った声の質感をうまく出してくれると思ったから。それでいてポップスとの相性が良いのも理由。AT-HA2002を使ったのは音の厚みが欲しい気分だったので。実際聴いてみると最初は違和感があったけど、これはATH-AD2000を久しぶりに使ったことも理由だと思う。構わず聴いていたら3曲くらいで慣れてしまった。相性は悪くないように思う。声は思った通り妙にはまってくれた。



・リンドバーグ「FINAL BEST」   試聴は下のamazonのページで。
 SR-325i+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 私の中でプリンセスプリンセスとセットになっているので、こちらも久しぶりに聴いてみた。一番印象に残っている曲は「今すぐKiss Me」。続いて「BELIEVE IN LOVE」、「LITTLE WING」、「I MISS YOU」、「Over The Top」、「10セントの小宇宙」、「MINE」といった感じ。当時はプリンセスプリンセスよりリンドバーグの方が好きだったけれど、今聴いてみるとどちらかと言うとプリンセスプリンセスの方が好きな気がする。これは多分、私の精神面に大きな変化があったためだろう。詳しく書くのは避けるけど、当時の私は"心"というものにほとんど感心がなかった。プリンセスプリンセスとリンドバーグの楽曲を比べると、心の機微の表現という点でプリンセスプリンセスの方が繊細でリアルに感じられる。そういう点が、今プリンセスプリンセスが好きな理由なのだと思う。当時リンドバーグが好きだったのは、ストレートにガンガン歌っているために耳に残りやすく単純に楽しめたというのもあるかもしれない。今聴いても、そういう点はとても魅力的に感じる。録音は、プリンセスプリンセスと比べると最近のものに近いように思う。低音がしっかり出るし、あまり粗がない。
 SR-325i+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは比較のために。当時はほとんどまともに聴いたことがなかったし、録音がどうとか言うある意味無粋な趣味もなかったので。



・プリンセスプリンセス「The Greatest Princess」   試聴はこちら。
 SR-325i+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 「Diamonds」がテレビで流れているのを偶然耳にして、久しぶりに聴きたくなった。この曲が流行った頃、私はちょうど記憶力の良い時期だったのか、この曲のことを妙に鮮明に覚えている。当時はCDを持っていなかったけれど、あちこちで流れていた。それこそわざわざ手に入れようとは思わないくらいに。このアルバムを通しで聴いてみるとやっぱり「Diamonds」が一番印象に残るけれど、他にも「M」、「世界でいちばん熱い夏」、「SEVEN YEARS AFTER」、「ジュリアン」、「19 GROWING UP」、「KISS」等、良い曲が沢山あると思う。いかにも80年代らしいストレートで健全な楽曲の数々がとても好ましく感じる(中には90年代の曲もあるけど、私の中で90年代初めはどちらかと言うと80年代のにおいなのだ)。私の世代だと大げさでも何でもなく誰でも知ってる曲の数々なのだけど、今の十代の子が聴いたらどう感じるのだろうか、と思ったりする。ちなみに音作りや録音は最近のポップスとは違うとすぐに分かる。良く言えばシンプルで各楽器がしっかり聴こえる、悪く言えばスカスカでチープ。とは言え、それで曲の良さが損なわれているとは思わない。
 SR-325iを使ったのは普通に相性が良さそうだと思ったため。夏っぽく爽やかに聴くにはこれ以上のヘッドホンはなかなかない。実際聴いてみると思ったとおり「Diamonds」や「世界でいちばん熱い夏」にぴったり。エレキギターやベースの表現も当然のようにうまい。「M」や「ジュリアン」のようなおとなしめの曲も変にならないのがGRADOの良いところ。



・梁邦彦「茶馬古道(ASIAN CORRIDOR IN HEAVEN OST)」
 DT880+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 梁邦彦が好きだ好きだと言っている割に取り上げていなかったので。日本盤は出ていないので、韓国盤を入手。ちなみに、私は他にも何枚か梁邦彦の韓国盤のCDを持っている。梁邦彦の最近の作品は日本盤が出ないことが多いのだけど、昨今の韓流ブームのおかげか日本でも韓国のCDが入手できることが多いのはありがたい。閑話休題。茶馬古道とは雲南省で取れた茶(磚茶)をチベットの馬と交換したことから名付けられた交易路のことで、このCDは茶馬古道を扱った韓国のドキュメンタリーのサントラ。梁邦彦らしい、アジアンテイスト溢れる作品に仕上がっている。録音もなかなか良い。
 DT880を使ったのは、このCDは「濁っている」音が多いから。濁っていると言うのは、例えば馬頭琴や二胡のような感じのこと。クラシックに使われる楽器は大抵濁っていないように思うのだけど、その反面民族楽器は濁っているものが多いように感じる。DT880はそういう「濁り」をそのまま出してくれる。これがK701やAH-D5000だとどこか綺麗になってしまって良くない、と個人的には思う。


・アレシュ・バールタ「オルガン・リサイタル J.S.バッハ トッカータとフーガ ニ短調」   試聴は下のamazonのページで。
 PROline2500+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 パイプオルガンで録音の良いCDを持っていないような気がしたので、調べて入手してみたSACD。元々1995年にCDで発売されて高評価だったものをDSDリマスタリングしてSACDにしたもの。曲目はバッハのオルガン作品の中でも特に有名な「トッカータとフーガ ニ短調」や、コラール「主よ人の望みの喜びよ」等。オルガンにあまり詳しくない人にも楽しめるような選曲になっている。録音は非常に瑞々しい。パイプオルガンで瑞々しい、というのは私自身ちょっと良く分からないと思うところもあるけど、実際に聴いてみた素直な印象。明瞭で情報量豊か、それでいて痛いところはない。素直に録音が良いと言える、そんなSACD。
 PROline2500を使ったのは、パイプオルガンとの相性が良いから。HD-1Lを使ったのは、たまたま他のヘッドホン端子が埋まっていたから。本当ならAT-HA2002との組み合わせが良かった気もするけど、実際に聴いてみるとHD-1Lでも十分魅力的だと感じた。PROline2500の濃密さとHD-1Lの自然さの両方が良い方向に働くように思う。PROline2500は曲によっては不自然さが気になることも多いけど、今回のSACDではほとんど気にならない。ただ、この録音の明瞭さや瑞々しさを考えるともっと冷たく締まった音でも良かった気がする。edition7やATH-W1000+Head Amp 2/MkII SE等。結構気に入ったので、今度は違うヘッドホンで聴いてみよう。



・谷山浩子「’80S(エイティーズ)」   試聴はこちら。
 RS-1+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 子供の頃にたまに聴いていた(私が、と言うより妹が聴いていたような気もするけど)のを思い出して、久しぶりに聴いてみたくなってレンタル屋で借りてみた。このCDに入っている曲だと、「てんぷら☆さんらいず」、「鳥は鳥に」、「おやすみ」あたりが記憶に残っていた。他には「ねこの森には帰れない」なんかも聴きたかったなぁ・・・・・・ しかし、谷山浩子の曲は結構幅広いのだけど、何故かどの曲を取っても谷山浩子らしい。個人的に好きなのをどれか1曲挙げるなら、「鳥は鳥に」かな。間違いなく谷山浩子の代表曲。だけど、この1曲を聴いても谷山浩子の10分の1も理解したことにならないと思う。30枚以上もアルバム出してるんだから、それは当然なのかもしれないけど、そういう意味だけではなく。あ、最近の若い人はもしかして谷山浩子知らないのかな。「みんなのうた」や「おかあさんといっしょ」に多数楽曲を提供している人。映画「ゲド戦記」の「テルーの歌」の作曲で話題になったのは記憶に新しい。
 RS-1+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)を使ったのは何となく。一応、合いそうかな、とは思ったけど、それほど意味があったわけではなく。あまり不自然なのは嫌だったし、味わいは出して欲しいけどポップスだからあまり重くなっても嫌だし、という感じで。「何となく」と言った割に色々考えていたようです(笑) 実際に聴いてみても、特に文句はなく。昔を懐かしむのには悪くない音だったと思う。



・SEIGEN ONO QUINTET「DRAGONFISH LIVE」   試聴はこちら。
 HD650+Zu+Head Amp 2/MkII SE
 セイゲン・オノ(Electric Guiter and Charango)、五十嵐一生(Electric Trumpet)、マルコ・ボスコ(Percussion)、石川智(Percussion)、渋谷慶一郎(Keyboards)、柚楽弥衣(Voice)というメンバーで、リハーサルや打ち合わせがほとんどゼロの状態で行われたライヴ。
 ここ(http://www.saidera.co.jp/past30.html現在リンク切れ)の2008.6.18、「CDレイヤーはバイノーラルにある最新技術を応用してヘッドフォンでも立体的に聞こえるミキシングがされている」というのにひかれて、少し前に買ってみたSACD。とりあえずCD層を聴いてみると、確かに少し立体的で、空間を感じる。トータルとして録音が良いかは微妙な気がするけど、良くも悪くも生っぽく、拍手や微細なノイズ含めその場の空間全部を収めてある印象。続いてSACD層も聴いてみる・・・・・・何か、全然違います? CD層の方が音が遠くから鳴る印象。SACD層の方が一つ一つの音がきめ細かく綺麗・・・・・・なんだけど、むしろCD層が粗っぽくいかにもライブ音源と言った方が正しいような気も。普通のSACDだと、CD層との音の差はここまで大きくない。正直、内容としてはこのディスクに収録されている音はSACDとCDの違いを聴き分けるのに向いているとは思えないけど、ここまで違うマスタリングをされてしまうと別の意味で誰でも違いが分かりそう。フォーマットとしてのSACDとCDの差ではなく、マスタリングの違うものを入れておきましたよ、という感じ(いや確かにそう書いてあるのだけれど、実際にそうなっているという話)。ちなみに、最後のトラックは長さが全然違うし、内容も違う。他のトラックも、細かく聴いていくと・・・・・・ある意味、さすが録音に定評のあるSeigen Ono、おもしろいことをしてくれる。ただ、録音どうこう以前に音楽の内容としてこういう前衛的で主旋律がないようなのは個人的にはちょっと受け入れるのに時間がかかる・・・・・・ ちなみに、ちゃんと録音やマスタリングに使用した機材等が書いてあるあたり、"らしい"と思う。
 HD650+Zu+Head Amp 2/MkII SEを使ったのは、空間表現が比較的感じやすいから。思った通り把握はしやすかったけど、音楽の内容からするとHP-DX1000なんかでもおもしろかったかも。暇なときに色々なヘッドホンで聴いてみよう。



・LAST EXILE O.S.T.   試聴はこちら。
 DT990 Edition 2005+Head Amp 2/MkII SE
 黒石ひとみのCDを聴いて思い出したので聴いてみた。テレビアニメ「LAST EXILE」のサントラ。男性ヴォーカル、女性ヴォーカル、打ち込み等様々な曲が入っているけど、特筆すべきは生楽器。クレジットによると、ストリングス、ヴァイオリン、チェロ、木管、サックス、ハープ、アコースティックギター、パーカッション、ブラス、ピアノとなっていて、色んな楽器が色んな使われ方をしていておもしろい。Victorらしく録音は結構良いけど、もう少し生楽器らしさが出てればなお良かったか(とは言えこれはアニメに使いやすいようにそうなってる面もありそうだけど)。ヴォーカルは加工されてるものばかりなので、そういうのが嫌いな人は合わないと思う。と言ってもヴォーカル無しの曲がメインなので、そっち目当てなら問題ないだろうけど。曲のできもそれなりに良い(アニメ抜きで単品で聴いても楽しめる)。ちなみに今回のは1枚目で、2枚目もあるんだけど、そちらもなかなか。
 DT990 Edition 2005を使ったのは、折角買ったのに全然使っていなかったから。Head Amp 2/MkII SEを使ったのは、beyerdynamicのヘッドホンとの相性が良いから。相性が良いと言っても、例えばHA-1Aとの相性の良さとは正反対で、良いところを伸ばすのではなく悪いところを抑える感じ。ザラザラした質感、高域の粗、低域のぼやけた感じが低減される。それでいてbeyerdynamicの渋みのある魅力のようなものは非常に良く引き出してくれる。今回のCDはHA-1Aでも楽しめたとは思うけど、何となくこちらに。実際聴いてみると、かなりバランスが良い。色々な楽器が使われているので、何でも鳴らせるバランスの良さは重要。金管楽器はbeyerdynamicらしく鮮やかで楽しめるし、チェロ等の低域の量感もしっかりある。かなり相性が良いと感じた。ただ、もう少し聴き疲れしにくい方が良かったかも・・・・・・



・Hitomi/黒石ひとみ「Angel Feather Voice」   試聴は本文中を参照。
 SRS-4040
 08年8月13日発売。このCDを待ち望んでいた人も多いのではないだろうか。黒石ひとみ(Hitomi)は、アニメに多く楽曲を提供しているミュージシャン。作詞・作曲だけでなく、ヴォーカルを担当することもある。このCDはヴォーカル曲を集めたベストアルバム的内容になっている。これまで一部で人気があったものの、その楽曲はサウンドトラック等に収録されるだけで本人はほとんど表に出てこなかった。最も有名なのは、「WALKING TOUR」というFlashに使われた「PLANETES」か。これは元々テレビアニメ「プラネテス」で印象的なシーン(ヒロインが月面で宇宙服を着て怪我人を担いで運んでいる最中に酸素が底をつき、怪我人の分の酸素を使えば自分だけは助かるというシチュエーション、それから最終話のエンディング)で使われた曲。「コードギアス 反逆のルルーシュ」の「Innocent Days」も重要なシーン(心優しい王女が日本人を大量虐殺した後に死ぬシーン)だった。こういう印象的なシーンにマッチした楽曲を提供しているのも黒石ひとみの特徴。個人的には「LAST EXILE」のエンディングテーマ曲「Over The Sky」が美しい映像と相まって強く記憶に残っている。かれこれ5年以上前の曲。私はこの曲で黒石ひとみを知ったのだけど、観てすぐに彼女について色々調べたのを覚えている(当時はほとんど情報がなくてすぐに諦めたけど)。これらの楽曲は、もちろん今回のCDに収録されている。こんなにアニメを観ているのか、と思われそうだけど、黒石ひとみ目当てです、ええ。このCDの問題点は、似ている曲が多いのと、声を加工してあるものばかりなのでそういうのが嫌いな人には合わない点か。それにしても、聴いた瞬間に黒石ひとみと分かる個性と魅力は凄いと思う。
 SRS-4040を使ったのは、黒石ひとみのヴォーカル曲の音のイメージとSRS-4040の音のイメージがかなり近いから。実際聴いてみてもピッタリだと思う。繊細で透明感がある。もう少しエッジがきつくないとなお良いかもしれないけど、それでここまで相性の良いヘッドホンはちょっとない。



・TRANCEMASTER 6000   試聴はこちら。
 K181DJ(自作交換ケーブル)+Head Amp 2/MkII SE
 私が打ち込み系の曲と言った場合、アニソンやI'veを指すと思ってる人がいるみたいなので、そうじゃないよと言ってみようと思って選んでみた。私が打ち込み系の曲と言った場合、それなりに幅広いジャンルが該当する。トランス、テクノに加えてポップスの中のそれ系の曲(globeやm.o.v.eあたり)が多いかな。ハウスやエレクトロニカなんかも聴かないわけじゃないけど、少なめか。これにアニソンやゲームサントラの中の打ち込み系の曲、I'veサウンドなんかが加わる。
 さて。Trancemasterシリーズはトランス好きな人にとってはそこそこ有名だけど、そうでもない人はまず知らないと思われる。トランスのオムニバスと言うと、CD1枚ノンストップで色んなアーティストの曲が繋がってて、それぞれの曲は4〜5分程度に抑えられていることが多い。だけど、Trancemasterはノンストップではなく各曲ちゃんと独立していて、しかも1曲7分ほどのフルバージョンで収録されている。個人的にとても嬉しい構成。トランスのCDは音質が酷いのも多いけど、Trancemasterは比較的良い部類に入ると思う。そんなわけで昔はちょくちょく買ってたんだけど、最近買ってなかったので買ってみた。それがこれ。内容は、まー普通のトランス。私がTrancemasterシリーズで一番好きなのは3006なんだけど、それと比べるとちょっと落ちるかな。あくまで好みの問題だけど。でも、新しいだけあって完成度は上がってると思うし、音がシャープなのも良い。あ、そう言えばTrancemaster 6000は3枚組みで約3千円とお買い得。昔は2枚組みだったんだけど、最近は3枚組みの模様。
 K181DJを使ったのは、自作交換ケーブルを頂いたので折角なら使ってみようと思ったため。Head Amp 2/MkII SEを使ったのは、低域をさらに控え目にした上、スピード感や切れが欲しかったから。K181DJ(LARGE、デフォルトケーブル)は大抵のアンプだとちょっと低音の量が多すぎて、ガンガン低音を出すトランスの場合にはCD1枚聴くのもつらいんだけど、今回の組み合わせはLARGEでもだいぶ低音が抑えられてて、しかも締まりや切れが良いため低域過多には感じない。DJ1 PROみたいな明るい鳴らし方とはまた違う良さがある。
 ・・・・・・最後まで書いてから気づいたんだけど、TRANCEMASTERは以前も取り上げてたな。あはは。まーあの時はたいした説明もしなかったので良ことにしよう。最近買ったCDだし。



・Jan Garbarek、The Hilliard Ensemble「Officium」   試聴はこちら。
 PROline2500+AT-HA2002
 梁邦彦さんお薦めの音楽ということで、某所で取り上げられていたので買ってみた。Jan Garbarekはジャズのサックス奏者。The Hilliard Ensembleは男性だけの古楽合唱団。つまり、このCDはちょっとイロモノと言うか、企画ものっぽい作品。だけど、内容は素晴らしいと思う。この音楽から連想される言葉は、祈り、崇高、美、癒し、といった感じ。最近だとスピリチュアルなんて言葉を当てはめる人もいるかもしれない。曲としてはグレゴリオ聖歌等にサックスが絡む内容になっている。サックスと言うと私の中ではジャズのような大衆的なイメージがあって、グレゴリオ聖歌との相性はいかがなものかと思ったけど、完全に予想を裏切られた。サックスでここまで崇高な印象を与える音楽を、私は他に知らない。 ・・・・・でも、録音はもう少し頑張って欲しかったかな。たまにノイズが入る。それさえ除けば内容に合った良い録音だと思う。
 PROline2500+AT-HA2002を使ったのは、濃密な音で聴きたかったから。PROline2500は男性ヴォーカルとの相性が良いことも理由。響きの豊かさと音場の広さも、このCDを楽しむのに向いていると思う。PROline2500は曲によっては原音忠実性など眼中にない音を鳴らすけど、このCDではそういうのはほとんど気にならない。むしろ魅力だけがストレートに伝わってくる。低く柔らかい男声と情感豊かなサックスの表現、いずれも素晴らしい。
 余談その1。このCDについて調べていたらささきさんとこがヒットした。うーむ。これまでに分かってるだけで3回は被ってますよ。音楽の趣味、少し似てるのか? 余談その2。10月にSHM-CDが出るらしい。覚えていたら買って比較するかも。しかしあまり比較に向かないない内容な気も・・・・・・



・Marcelo Zarvos「Music Journal」   試聴はこちら。
 K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)
 M・A Recordings、2回目。このCDの1曲目がかなり好き。ピアノ、ソプラノサックス、チェロ、ウッドベース、パーカッションという構成。ピアノが主役のはずなのだが、ソプラノサックスが主役に聴こえてしまう。躍動的で、思わず体が動いてしまう。録音はM・A Recordingsらしくマイルド、それでいて生楽器の魅力がしっかり感じられる。
 K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)で聴いた理由は、折角K701をバランス化したので使ってみたというのが一つ、hpa200b(標準仕様)の店頭試聴で使ったのがこの曲だったのでhpa200b(ハイエンド仕様)で聴いてみたかったというのが一つ。店頭試聴ではedition9(balanced)を使ったんだけど、K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)より低域の制動があまく水に溶かしたようだったと思う(量はもちろんedition9の方が多いんだけれども)。閑話休題。K701(balanced)+hpa200b(ハイエンド仕様)とこの曲の相性はなかなか良い。シングルエンドのK701では不足気味の躍動感がしっかり感じられるし、生楽器の魅力も増す感じ。M・A Recordingsは自然な音響空間で響きとかまで含めて録音するのが特色なんだけど、その良さが比較的しっかり感じられる。もう少し音の厚みがあれば言うことなしだったと思う。
 今気づいたんだけど、M・A RecordingsのCD、amazonでも取り扱うようになった模様。Googleで検索したらamazonが引っかかってびっくりした。この間までM・A Recordingのサイトで買ってたんだけど、今度からamazonで買おうかな。



・川村かおり「Hippies」、「Church」   試聴はこちらの25:08〜。
 SHP8900+AT-HA2002
 調子に乗ってSHP8900を使ってみた。
 川村かおりは、昔結構好きだったアーティスト。今でもたまに引っ張り出して聴いてみたりする。ピストルズなんかをリスペクトしてた、ロックかぶれのポップス。数年前に知ったのだが川村かおりの曲に私が好きな梁邦彦がキーボードで参加していて、縁を感じたり。川村かおりのアルバムとしては「Church」が一番好き。収録曲は、「ZOO」(後にエコーズや菅野美穂がカバーしてドラマの主題歌になったりして有名になったけど、オリジナルは川村かおり)、「神様が降りて来る夜」(「やまだかつてないテレビ」で使われてヒット)、「翼をください」(赤い鳥のカバー)、「キースの胸で眠りたい」、「僕達の国境」、「君に出会えたこと」等、良い曲が目白押し。1990年前後の作品にしては、録音も悪くないし、あまりチープな感じもしない。あっさりめで最近のポップスと比べて味付けが少ない感じ。
 さて、何で川村かおりを聴こうと思ったかと言うと、「Hippies」に収録されている「金色のライオン」のイントロがギターをかき鳴らす感じでSHP8900と合いそうだと思ったから。聴いてみると、思ったとおりギターが良い。ヴォーカルもしっかり通る感じで魅力的。曲の雰囲気からするともう少し暗い鳴らし方でも良いかと思うけど、これくらいでも十分楽しめる。このアルバムに収録されている曲だと「星空の地下鉄」、「39番目の夢」、「スーベニール」なんかも良いけど、このあたりの曲はもっと落ち着いた音で鳴らして欲しい感じかな。
 


・平野綾「Unnamed world」   試聴はこちら。
 SHP8900+AT-HA2002
 初めに断っておくが、私は平野綾の音楽はほとんどまったく聴かないし、ちょっと聴いた感じ声も好きではない。が、レンタル屋で適当に借りたのを適当にSHP8900+AT-HA2002で聴いてみたらかなり良かった。
 良かった理由は、SHP8900+AT-HA2002との相性の良さが大きいと思われる。明るくエネルギッシュでノリが良く、それでいて開放感に溢れまったく暑苦しくなくむしろ爽やか。気になってSR-325i、ATH-AD2000と比べてみたけど、全然負けてない。それどころか、単に楽しめるかどうかだけなら一番良いくらい。ATH-AD2000は曇っていて不明瞭。SR-325iはベースの量感がイマイチで音場が狭く、何か物足りない。そんな感想を持ってしまうくらいSHP8900が良い。
 曲としてはロック調でギター、ベース、ドラムスどれもしっかり主張してくる感じなんだけど、それがマッチする一因だと思われる。SHP8900は打ち込み系の音も得意なんだけど、ギターのエッジの表現、ベースの厚みや量感、ドラムスのアタック感等を総合的に見ると、打ち込み系のソース以上にロック系のソースとの相性が良い印象。ただ、洋楽の本物の(?)HR/HMなんかになるとまた少し違う気がする。この曲のように「ポップスだけどロック調」という曲との相性が一番良いのかもしれない。何の確証もないんだけれども(笑) あ、声の表現も良い。各楽器がしっかり目立つ割にはヴォーカルも埋もれない。うわずったりする癖もなく、声の魅力をストレートに出してくれる感じ。思わず「もしかして歌うまい?」と錯覚するほど。いや、うまいのか?



・中島美嘉「BEST」   試聴はこちら。
 SRS-4040
 中島美嘉は、かなり好きだ。このアルバムで好きな曲を順に挙げると「FIND THE WAY」、「雪の華」、「朧月夜〜祈り」、「桜色舞うころ」といった感じ。「FIND THE WAY」が一番好きというのは少し珍しいかも? 寒い日には「雪の華」を聴きたくなったりするものだが、今の季節はもう遅いか。
 SRS-4040を使ったのは、ピンポイントに「中島美嘉のBESTをSRS-4040で聴きたい」と思ったから。録音状態とあいまって、声にまったく芯が通っていない。サラサラとした質感で繊細極まりない。こういったアレンジ・録音を嫌う人もいそうだが、日本のポップスの中では優れた録音と言えると思う。「綺麗なだけ」という批判が聞こえてきそうだが、世の中のほとんどのものは混ざり物で、「綺麗なだけ」にはなかなか成れない。ここまで綺麗なら、それだけで価値があるのではないか。そんなことを考えさせられる。



・CHANT WARS   試聴は下のamazonのページで。
 HD650+Zu+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 しばらく前に石丸電気SOFT3で千円くらいで安売りされていたので深い意味もなく購入(DSDのSACDだったし)。内容はグレゴリオ聖歌。後半にわずかにライアー(竪琴)の演奏が入るけど、ほとんど男声だけで構成されている。録音はややマイルドで残響音が結構豊か。内容に合った録音だと思う。オーディオ環境や録音状態が悪いと全然おもしろくない内容なんだろうけど、個人的には十分楽しめた。深夜にふと聴きたくなって聴き始めたら、夜更かしして最後まで聴いてしまった。
 HD650は女性ヴォーカルがうまいと言われることが多いけど、男性ヴォーカルもうまい。このCDのように太めの声で痛い音を鳴らさない内容だとPROline2500かPROline750の方が魅力的かもしれないけど、それだとうっかり夜更かししてしまうような鳴らし方とは違う気もする。



・eufonius「リフレクティア」
 AH-D5000+iVHA-1
 古めの曲が続いたので、新しいのを。これまでのeufoniusは録音状態にちょっと不満があったんだけど、この曲にはほとんど不満はない。爽やかな曲。歌詞が凄い(特にフルで聴くと)。覚えにくそうだけど。
 AH-D5000とiVHA-1の組み合わせは水晶のような透明感があって、なかなか他のヘッドホンとヘッドホンアンプでは出せない音を出す。素晴らしい。AH-D5000はかなり無難な機種だとは思うけど、AH-D5000+iVHA-1で「リフレクティア」を聴くと、無難とは口が裂けても言えない突き抜けた魅力がある。このためだけにiVHA-1を買ったって良い。金と置き場がないから買わないけど。でもそれくらいの魅力。



・KOKIA「愛の輪郭(フィールド)」
 HD650+AT-HA2002
 RK Standardを取り上げたときに「実はKOKIAについては他にもまだ紹介したい曲があるんだけど」と書いてた曲がこれ。KOKIAがまだ無名だった頃(10年前!)の歌で、現在どのアルバムにも収録されていない(今後もおそらく収録されることはないだろう)。何と作曲が菅野よう子。KOKIAと菅野よう子の組み合わせはこの曲でしか聴けないと思われるが、素晴らしく合っている。ファーストアルバムよりも古いCDだけど、声としては3rdアルバムあたりの声に感じる。1stのような硬さがない。録音のせいだろうか? 録音状態は10年前のポップスにしてはかなり良い方だろう。ちなみにジャケットはいのまたむつみ画の全裸の少女・・・・・・
 この曲はヴォーカルの艶っぽさだけでなく低音の量も必要なのでHD650。この曲とHD650の相性は非常に良いと思う。AT-HA2002なのは最近あんま使ってない気がしたからで、それほど意味はなかったんだけど、結果的にはなかなか良かった。



・佐々木ゆう子「PURE SNOW」
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)   試聴はこちら。・・・・・・と言いたいけどこっちのが音が良いような・・・・・・
 ダンボールの中のシングルCDを発掘して色々見ていたら目にとまった。当時(99年1月発売のCD)結構好きだったなーと思って聴いてみると、今でもやはり好きだった。イントロのピアノの質感が何か好き。そこだけで鳥肌もん。録音は別に良くはないんだけど。タイトル通り冬の歌なんだけど、冬らしさの表現が秀逸で、例えば中島美嘉の「雪の華」やglobeの「DEPARTURES」のように非常に冬らしく、情感豊か。声とか歌詞はまーそれなりだと思うんだけど、曲とアレンジでここまで聴けるんだなーとか思う。ちなみに作曲は木根尚登。
 edition7はイントロのピアノに良く合う。声や曲全体を見ても、女性ヴォーカルのポップスなので、なかなか相性が良い。



・J.S.Bach - OBOENWERKE, vol.1 / ALEXEI UTKIN   試聴はこちら。
 AH-D5000+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 知ってる人は知っているM・A RecordingsのSACD(DSD)。M・A Recordingsについてはオフィシャルサイトを見てもらうとして、どんな音かと言うと、マイルドで心地よく、ある種特殊な響きのある録音。原音の生っぽさが感じられないと嫌、という人には合わないと思われる。個人的には結構好き。ちなみに、オーボエは結構好きみたい(自分の事ながら良く分からん)で、バッハのBWV1053とBWV1060は今回の以外にもSACDを持っていたりする。謎。あ、今回のにはBWV1053、1055、1060、1064が収録されている。さわやかでモーツァルト的なバッハを聴きたい人におすすめ。なんじゃそりゃ。
 AH-D5000+HD-1Lの組み合わせは心地よくそれでいて爽やかさもあり、今回のディスクとはと相性が良い。けど欲を言うなら音場感が良いともっと良いかも。SR-007とかね。
 あ、今回のはamazonで扱ってないので個別商品リンクは無し。M・A RecordingsのCDは多分直販でしか買えないのかな? 海外の通販だけど、クレジットカード持ってる人は簡単なので試聴して気に入ったら買えば良いと思う。


・Pure -AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS-   試聴はこちら。
 edition7+HD-1L(ISOCLEAN POWERヒューズ仕様)
 一部で録音状態が良いと評判のCD。なんとSACD盤(しかもDSD)があるので、そちらを購入。帯に「あくなき音への探求が生み出した究極のアコースティックアルバム」とあるが、実際に聴いてみるとこの売り文句が決して大げさでないように感じる。ここまで録音の良いCDは、私の手持ちには数枚しかないと思う。原音の生っぽさが感じられる録音というのは、時に痛くなったり粗があったりするようなことがあるけど、この録音では生っぽさと粗のなさを両立している。決してマイルドではないのに、心地よい。
 edition7で聴くと、その特長である原音の実体感が十分生かされる。CDの内容的にはHD650の方が相性が良いと感じるけど、edition7の能力をここまで生かしてくれる録音もそうはないのも事実。自然に聴き入ってしまう。
 内容としては女性ヴォーカルものや小編成の弦楽が好きな人におすすめだけど、単に録音状態の良いCDが欲しい人にもおすすめ。



・ヨーヨー・マ プレイズ・モリコーネ
 EXH-313+HD-1L
 以前に少し触れた、モリコーネのお気に入りSACD盤。曲はモリコーネの代表作を並べてアレンジした感じ。録音はマイルドで、原音の粗や生っぽさはあまり感じられない。個人的には曲やアレンジにマッチした録音だと思う。
 EXH-313の現時点での評価は、心地よく音楽性豊か、痛い音をまったくと言っていいほど鳴らさない。(それが本物かどうかはともかく)一つ一つの音の微細な描写をこれでもかというくらい描き出す。音場の明確さや楽器ごとの距離感が良い感じ。欠点としては、低域の量が不足でしかも音の厚みが薄く、ヴォーカルやピアノが紙のように薄く嫌味が出ることがあるように感じる点。ただ、このヴォーカルやピアノの嫌味は慣れれば慣れてしまうかもしれないし、人によっては感じないかもしれない。生楽器、特に弦楽器を心地よく聴きたいときに最良だと思う。と言うことで、今回のCDを聴くのに使ってみようかと。EXH-313の良さを出すためにアンプはHD-1L。Head Amp 2/MkII SEだとかなりそっけなくなってしまい、EXH-313の良さを殺すような形になってしまう。
 思った通り相性が良い。が、やっぱり低音の量が不足に感じられる。これは、このCDの主役がチェロだからかもしれないけど、ある程度色んなソースを聴いてみてやっぱり不足だと感じるのだから、基本的には不足なんだと思う。それにしても心地よい。



・I've「SHORT CIRCUIT U」   試聴はこちら。
 DT660 Edition 2007+Head Amp 2/MkII SE
 またまた電波。I'veの曲の中から電波系のものを選んで集めたCD第2弾。web拍手のコメントで買うのかと訊かれたことを覚えてたので、何となく。曲としては新曲の「Double HarmoniZe Shock!!」が良い。電波ってのとは少し違うけど、カッコいい感じで何度も聴きたくなる中毒性がある。他にも「ねぇ、・・・しようよっ!」、「↑青春ロケット↑」、「Princess Bride!」、「Mighty Heart 〜ある日のケンカ、いつもの恋心〜」、「乙女心+√ネコミミ=∞」、「Princess Brave!」とこれまでアルバム未収録だった名曲が沢山入っていておいしい。
 DT660 Edition 2007はDT860と似た傾向でかなり爽やか。もう少し低音の量があった方が良いという人も多そうだけど、Head Amp 2/MkII SEとの組み合わせだと爽やかでスピード感溢れる鳴らし方で十分聴かせてくれる。



・もってけ!セーラーふく
SR-007+SRM-717
 各所で話題のアニソンがレンタル屋にあったので借りてみた。何故ΩUなのかと言うと、他のCDを聴いててそのままめんどくさくて・・・・・・どう考えても相性が良いとは思えないけど、聴き取りづらい言葉もかなり聴き取りやすくなるという意味では相性が良い。内容は、さすがオリコン2位の電波。電波なのが好きな人は大抵買っていると思われる。



・バッハ「ゴールドベルク変奏曲」 演奏:グールド 1981年
 AH-D5000+HD-1L
 バッハは好きだが、ピアノはどちらかと言うと苦手。そんなわけで敬遠してきた「ゴールドベルク変奏曲」の名盤だが、いつまでも敬遠しているのも良くあるまいと思い、聴いてみた。これまでろくに聴いたことのない曲だが、それでも導入部のメロディーは幾度も耳にしたことがある。おそらく多くの人が耳にしたことがあるであろう。最近では映画「時をかける少女」でも効果的に使われていた。
 さて、この演奏のどこが凄いのか、学に乏しく経験の浅い私には事細かに述べることができない。できないのだが、その魅力は確かに理解できた。一つ一つの音が、すべて主張してくるのだ。グールドというピアニストの確信に満ちた主張とも言うべきものが、明確に感じられる。
 AH-D5000とHD-1Lで聴いたのは、特に意味はなかったのだが、実際聴いてみるとなかなかの表現だった。輪郭はぼやけず、かと言って硬くなりすぎることもなく、演奏の強弱もしっかり伝えてくれる。ピアノの音そのものも嫌味がなく落ち着いていて良い。AH-D5000はヴォーカルや弦楽器の透明感が秀逸だとは感じていたが、ピアノもここまで鳴らしてくれるとは正直驚きだった。久しぶりに「もっと色々聴いてみよう」という気にさせられた。



・I've「COLLECTIVE」   試聴曲は癒し系の「Imaginary affair」を・・・・・・と思ったけど曲はなかったのでムービー貼っとく。
 HD650+SA-15S1(直挿し)
 I'veサウンドというものがある。文字通り、サウンドクリエイター集団I'veの作る楽曲群のこと。所謂オタクの方々やインターネットを多用する若い世代に有名。I'veサウンドと言っても、その中身は様々。電波系やトランス系が有名だけど、中には癒し系やダーク系も結構あり、このアルバムにも実に幅広い曲が入っている。中でもダーク系代表曲でアルバムタイトルにもなっている「Collective」は歌詞がやばすぎて歌詞カードに掲載できないようなので、歌詞解析ページ(http://hmx.jp/archives-3/2005_0930_2029_44.php現在リンク切れ)へのリンクも張っておこう。これを見るだけでもおもしろいかもしれない・・・・・・って前置きが長くなったけど、今回は癒し系の「Imaginary affair」が聴きたくて引っ張り出してきた。超癒し系。試聴すべしよ。ちなみに電波系の「Do you know the magic?」も凄い出来。
 普通に考えてI'veサウンドにHD650は合わないけど、「Imaginary affair」のような癒し系の曲をまったり聴きたいなら別。実に良く合う。SA-15S1にしたのも計算ずく。繊細な表現がいい。



・チャイコフスキー「大序曲《1812年》」 指揮:アバド 演奏:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 1995年
 MDR-CD3000+AT-HA2002
 クラシックは退屈だ、と思っている人に聴いて欲しいCD。大序曲《1812年》後半、渾身の力強さと目の覚めるような鮮やかさは圧巻。低域も高域も、ヘッドホンが壊れるんじゃないかと思うくらいに攻撃的。つんのめるような怒涛のクライマックスに押し流される。
 MDR-CD3000を使ったのは、やっぱりこの曲くらいになると音場もある程度重視したいっていうのと、最近あんまり使ってなかったから。で、力強さや鮮やかさを出すにはAT-HA2002が良かろうと。地味で音が遠いと感じることもあるMDR-CD3000だけど、この組み合わせならそんなことはない。むしろトランペットやシンバルがこれでもかというくらい耳を刺激する。



・遊佐未森「HOPE」   試聴はこちら。
HD650+HD-1L
 本サイトからもリンクを貼っている「Music TO GO!」のささき氏が、昨日公開のTriple.fi 10 proのレビューの中で遊佐未森を聴いていたので、私も負けてらんねーと思い選曲。折角なので氏が取り上げていた「君のてのひらから」の入っているアルバム「HOPE」をば。遊佐未森は沢山アルバム出てるけど、3rdの「ハルモニオデオン」と4thの「HOPE」が特に好き。私にとって15年以上前からの愛聴盤だ。
 ヘッドホンはHD650。私の中で遊佐未森というとHD650かSTAXという図式があるようだ。実際、ヴォーカルといいアコースティックなアレンジといい良く合う。あまり元気になったり無味乾燥になったりすると嫌なのでAT-HA2002やHead Amp 2/MkII SEではなくHD-1L。いい感じ。このアルバムには「君のてのひらから」以外にも「夢をみた」、「夏草の線路」、「野の花」、「Forest Notes」、「雪溶けの前に」、「雨上がりの観覧車」と素晴らしい楽曲が目白押し。女性ヴォーカルものが好きな人、癒しを求めている人は必聴の1枚。15年以上前のJ-POPSとは思えないくらい録音状態が良いのも嬉しい。



・クレヨン社「地球のうた」
 edition7+AT-HA2002
 岩男潤子の「野生の太陽」を聴くと、どうしても連想してしまう曲。こちらも最近聴いてなかったので、せっかくなので何曲か聴いてみた。表題曲の「地球のうた」が良い。「野生の太陽」も力強さを感じる面があるが、「地球のうた」の方がより強く感じる。「野生の太陽」が朝日を浴びて自らを鼓舞する歌詞なのに対して、「地球のうた」はもろに地球賛歌。地球の自然を扱ったTV番組の壮大な楽曲に歌詞をつけたような感じ。その手の曲が好きな人ははまるだろう。かく言う私も昔はまったクチ。
 こちらは最初から力強さを目当てでedition7+AT-HA2002。低域の量感や、打ち込み音も文句ない。この曲をこれ以上うまく鳴らしてくれる環境はそうないだろう。残念なことにクレヨン社のCDは軒並み廃盤になっていて、ショップで購入するのは困難。こういうときのオークションと思って検索したら、出てくる出てくる。結構高めだけど。気になった方はどうぞ。


・岩男潤子「ALIVE」   試聴はこちら。
 edition7+AT-HA2002
 妙に早起きして朝から音楽を聴く時間があったので、朝っぽいものを聴きたくなった。で、これ。岩男潤子は歌のうまさと天然系のキャラで一時期人気だった声優。この人の代表的アルバムは何と言っても谷山浩子と作り上げた「kimochi」で、こちらも素晴らしいんだけど、今朝は「ALIVE」の気分だった。
 1曲目「野生の太陽」が良い。今日も一日頑張ってこうという気持ちになる。
 明るく爽やかに元気良く聴きたかったのでedition7+AT-HA2002。多少キンキンした声だから痛くなるかもと予想したけど、意外と痛くない。むしろ力強さが感じられて良い。



・Dreams:The String Quartet Tribute to Enya
 DT990PRO+SA-15S1(直挿し)
 タイトル通り、Enyaの曲を弦楽器で演奏しましたよ、という作品。もともと弦楽器多用のEnyaの曲をわざわざ弦楽器で置き換えてどうすんのよ、とツッコミを入れつつ購入。ちなみにEnyaは15年以上前から好きだが、こういうコンピレーション系はあまり好きではないのでこれまでノータッチだった。選曲はちょっとマイナーなものも多く、謎。録音は割と原音の粗や生っぽさを感じさせる風合い。マイルドなのが好きな人には合わないかも。でも、個人的にはアレンジ含めてかなり気に入った。
 偶然、最近DT990PROを使ってない気がして選択。気分的に低域出すぎたら嫌だったので、SA-15S1に直挿し。DT990PROで弦楽器だけを聴くなら、SA-15S1の表現は素晴らしいものがあると思う・・・・・・でもこのCDはSTAXの方が良いか、な?



・RK Standard「彼方まで」
 SR-007+SRM-717
 どうもここ1、2年、ヘッドホンマニアの間でKOKIAが流行っているような気がしてならない。そんなわけで、KOKIA関連のアルバムで私が「Remember me」の次くらいに好きなアルバムを聴いてみた。このアルバムは河村隆一プロデュースで、KOKIAとRisaという2人がヴォーカル。このRisaという人も、KOKIAに劣らぬ声の魅力と歌唱力を持っているように感じる。曲の方はKOKIAソロの諸作品よりもキャッチーなポップスという感じ。とは言っても、十分にこの2人の魅力を堪能できる曲が並んでいる。ただ、録音レベルはもう少し頑張って欲しかったという気もする。
 好きな曲を挙げるなら、「彼方まで」、「聞こえる」、「goes on forever」。試聴のリンクを貼った「melody」は正直このアルバムの中ではそれほど良いというわけでもない。試聴曲を聴いて気に入ったら、このアルバムはもっと気に入るはず。実はKOKIAについては他にもまだ紹介したい曲があるんだけど、それはまた今度。
 録音の関係もあり、柔らかめのヘッドホンが合うように感じる。低音も少し強めくらいで良い感じなので、SR-007はまさにうってつけ。



・海の上のピアニスト オリジナル・サウンドトラック
 K701+AT-HA2002
 レンタル屋で適当にCDを借りようと思って、何かないかなぁと探していて目にとまった。映画は数年前に一度観たきりだけど、音楽はタイトルに負けないくらいしっかり作ってあった記憶がある。それと、モリコーネが音楽をやっていたことも記憶の隅に残っていた。モリコーネはとあるSACDがお気に入りなので。
 この組み合わせの鳴らし方は、全体的に少し上品すぎるかな。とは言っても、AT-HA2002のおかげかK701にしてはかなりダイナミックな鳴りだし、ポイントになるピアノの質感や密度感も良い。クラシカルな曲からジャジーな曲まで、かなり幅の広い音楽が入っているけど、どれも丁寧にしっかり鳴らしてくれる。上品すぎるとは書いたけど、このCDが素晴らしいものであることは感じられた。曲も良いし、録音状態も良い。薄れいていた映画の感動が甦ってくるようだった。今度は別のヘッドホンでも聴いてみようと思った。



・BLOOD+ ORIGINAL SOUNDTRACK 1   試聴は下のamazonのページで。
 edition7+Head Amp 2/MkII SE
 テレビアニメ「BLOOD+」のサントラ。プロデュース:ハンス・ジマー、音楽:マーク・マンシーナというハリウッド・メジャーコンビのパワーが炸裂しているアルバム。凄まじいまでの迫力と緊張感で一気にラストまで突っ走る。彼らの音楽は他にもいくつか聴いたことがあるが、このCDが最高の出来だと感じる。録音状態も良い。アニメは関係なく、オススメの1枚。
 このCDを聴くのにedition7以上のヘッドホンは多分ないし、edition7の能力をこれ以上活かしてくれるCDもほとんどないだろう。最高の組み合わせ。



・谷口宗一「太陽の君 三日月の僕」
 HD25-1+Head Amp 2/MkII SE
 これをロックと言ったら怒られてしまうかもしれないけど、私的には十分ロック。谷口宗一を知らなくても、「ぞうきん」とかで有名なバンド・BAKUのヴォーカルと言えば分かる人も多いはず。個人的にはBAKU時代よりもソロ時代の方が好き。このアルバムの中では「風吹く丘」、「太陽の君 三日月の僕」、「ちっぽけな天才達の中で・・・」なんかが好き。「風吹く丘」のイントロのベースがカッコいい。このアルバムは何故か中古CDがたくさん安く出回っているので、気になった人は気軽に買ってみて欲しい。しかしプレミア付いてるCDもあるんだよな、何なんだこの差は。
 音的にはちょっと軽めなので、重めになってくれることを期待してHD25-1。そして期待通り地味にカッコいい鳴らし方。



・Linkin Park「Hybrid Theory」   試聴は下のAmazonのリンク先で。
 K181DJ+Head Amp 2/MkII SE
 ぶっちゃけ、私はあまりロックを聴かない。時々は聴くけど。そんな時々聴くのの一つがこれ。有名すぎてゴメンナサイという感じだけど、やっぱり万人受けするんじゃないかな。もし最近のロックをほとんど聴かない人がいたら、試しに聴いてみてほしい1枚。2曲目の「One Step Closer」が好き。
 K181DJにしたのは、ちょっとガツンと聴きたかったから。あと、ロックにはHead Amp 2/MkII SEが合う。期待通りガツンと来ていい感じだった。



・梁邦彦「PAN-O-RAMA」   試聴はこちら。
 HP-DX1000+AT-HA2002
 だいぶ前に日記でも紹介したことがあるアーティスト。その素晴らしさを更に広めようとここでも宣伝(笑) 曲としてはやはり1曲目の「Dream Railroad」、そして6曲目の「Free as the Wind」、とりの「Swan Yard」が好き。このアルバムは、まるで1曲目から始まり13曲目で終着する旅のようだ。オリジナリティーに溢れそれでいてキャッチー。様々な楽器が使われていておもしろい。録音状態も良い。
 HP-DX1000+AT-HA2002で聴こうと思ったのは、低域の量感がしっかりあること、音が太く迫力があること、音場感が良いこと等が理由。あとは、何故かこの組み合わせで聴いたことがなかった気がしたので。だいたい思った通りの鳴らし方かな。元気があってよろしい。もう少し一つ一つの楽器の細かいところまで描き出してくれるとなお良いのだけど、それは力強さとのトレードオフという気もする。あと、「Swan Yard」はもう少し温かみが欲しい。総合的に見るとHD650やSR-007とかの方が合うんだろうなぁ・・・・・・しかし、やっぱり良いアルバム。



・千葉紗子「everything」   試聴はこちら。
 SRS-4040
 1stアルバムを聴いて思ったのが、「やっぱり2ndの方が好き」ということ。実は先に2ndを持っていてかなり聴き込んでいたので、その影響もあるのかもしれないけど。そんなわけで2nd「everything」を聴いてみた。アルバム全体の統一感があるように思うし、「さよならソリティア」、「Here We Stand In The Morning Dew」、「星が溶けて」等、「この1曲だけでも聴いて欲しい」というような曲がいくつもある。
 HD650で聴いても良かったんだけど、気分でSRS-4040を使ってみた。うん、こういう爽やかな鳴らし方も良い。せっかく爽やかな曲もたくさんあるんだし。



・スピッツ「CYCLE HIT 1991-1997 Spitz Complete Single Collection 」   試聴は下のAmazonのリンク先で。
 PROline2500+AT-HA2002
 男性ヴォーカル聴いてないなーと思って選曲。スピッツは昔は別に好きでもなかったけど、母が好きな影響で頻繁に耳にする機会があり、今では割と好き。このベスト盤だと、「青い車」、「君が思い出になる前に」、「空も飛べるはず」あたり。
 母にPROline2500+AT-HA2002の組み合わせで聴かせたところ、「涙が出そうになった」と言われた想い出がある。それほど良い組み合わせだと思う。どこが良いとか悪いとかではなく、とにかく魅力的に鳴ってくれる。



・ヘイリー「オデッセイ」   試聴はこちら。
 AH-D5000+SA-15S1(直挿し)
 ヘイリーという名に聞き覚えがない人でも、テレビドラマ「白い巨塔」で「アメイジング・グレイス」を歌っていたシンガーと言えば、声が思い浮かぶんじゃないかな。とても澄んだ声の持ち主。それだけではなく、歌い方にも彼女の人格が現れているように感じる。どこまでも綺麗な歌声。特別どの曲が良いと言うよりは、アルバム全体が良い。
 AH-D5000の透明感とSA-15S1の繊細で上品な感じが良く合う。AH-D5000は特別艶っぽいとは思わないけど、女性ヴォーカルの透明感という点においては非常に優れている。その能力が、SA-15S1によって良く引き出されるし、アンプの味付けという点を考えても相性が良い。ヘイリーを聴くならこれ以上の鳴らし方をしてくれる機種はそうないと思う。それこそSTAXと互角以上。



・千葉紗子「melody」   試聴曲は見つからなかったのでPV。
 HD650+SA-15S1(直挿し)
 梶浦由記プロデュースの千葉紗子ファーストアルバム。個人的に声が好きなのだが、梶浦由記のプロデュースの仕方も妙にはまっているように思う。あっさりめの良質なガールポップとして楽しめる。録音状態も良い。
 もっと明るいヘッドホンも合いそうだけど、HD650のおとなしく甘い感じも捨てがたいように思う。SA-15S1だとなおのことそう感じる。



・TRANCEMASTER 4005
 ATH-AD2000+AT-HA2002
 TRANCEMASTERは、私が持ってる中では3006が一番好きだけど、4005もなかなか良い。明るく鮮やかな曲が多い。
 トランスは基本的には密閉型の方が楽しく聴ける傾向にあると思うけど、もし開放型で選ぶならこの組み合わせが好き。ATH-AD2000とAT-HA2002の動的な魅力がマッチする。密閉では感じることのできない、音が際限なく広がっていく感じも良い。



・Brian McKNIGHT「BACK AT ONE AND MORE」   試聴は下のAmazonのリンク先で。
 SR-007+SRM-717
 タイトル曲の「BACK AT ONE」が凄く好き。似たような傾向のアーティストにBabyfaceがいるけど、こちらも非常に色っぽい。こういった色っぽいものもSR-007は合うんだけど、録音の傾向からして、もう少し低音よりの機種の方が合うかもしれない。ハイハットとかがちょっと痛いし、声ももう少し落ち着いた鳴らし方をしてくれた方が心地よいと思う。しかしホント色っぽい。



・イラナ「美麗的大草原」   試聴はこちら。
 SR-007+SRM-717
 馬頭琴の濁った感じが結構好きだけど、選曲は微妙だと思う。オリジナルの1曲目が好き。ラストも良い。クラシックの楽器ではこういう感じのものはない気がする。そしてちょっと変わった馬頭琴みたいなものでも弦楽器には変わりはなく、SR-007はうまい。



・「OLIVIA inspi' REIRA」   試聴はこちら。
 SR-007+SRM-717
 曲はいいんだけど、録音状態が悪いのがOLIVIAの残念なところ。それをむやみに分解能の高いヘッドホンで聴くと残念さがモロに出てつらいんだけど、SR-007は気持ち良く聴ける。ある意味最高の組み合わせ。やっぱり最近のOLIVIAはいい曲が沢山あると思う。1曲選ぶなら「a little pain」かな。でもこのアルバムには入ってない曲にも好きな曲があったり。



・Q;indivi「ComeBAby.,EP」   試聴はこちら。
 ATH-AD2000+HD-1L
 このヘッドホンとアンプの組み合わせで聴くなら、ちょっと粗っぽいくらいの録音のものの方が適度な刺激が出て楽しめるんじゃないか、と思って選曲。打ち込み系と言えばそうなんだけど、どこかアコースティックでキャッチーなとこが魅力。私はテレビCMにも使われている「ComeBAby」ではまった。
 思った通り、良い。こういう曲は普通ポップス向きのDJ1 PROとかRH-300なんかが合いそうなもんだけど、それだとかなり痛くなってしまうし、音の粗が気になる。
 音とは関係ないけど、ATH-AD2000はずれにくいのが良い。真上を向いて目薬をさしたりしてもびくともしない。



・ヨーヨー・マ「コダーイ:無伴奏チェロ・ソナタ作品8」
 ATH-AD2000+HD-1L
 チェロが好きな人じゃないとまったくおもしろくないと思われるCD。無伴奏チェロと言えばバッハだが、コダーイのはそれとは違った荒々しさみたいなものがある。ちなみにコダーイ以外にも色々と入っているので、そういう意味ではお得感があるCD。
 分かっていたことだけど、この組み合わせではマイルドになりすぎる感がある。あとは、どこまでもフラット・・・・・・これは、むしろ悪い意味で。ATH-AD2000の力強さみたいなものは発揮されるけど、やはりこの曲はそれに加えてもうちょっと粗っぽい方がおもしろいと思う。



・藤原真理「風―Winds」
 DT990PRO+Head Amp 2/MkII SE
 最近はチェロとコントラバスの曲はこの構成で聴くことが多い。若しくはHD650+Zu。深く考えたことはないけど、自然に落ち着いてきた。これが一番心地よくしかも澄んだ音が聴けるんだろう。実際、いい音楽を聴かせてくれる。
 このCDはチェロが主役で、ピアノやシンセが軽めに入ってくる。チェロは情感豊かで楽器の生の濁りや粗を隠さない演奏で、まっすぐリスナーを引き込む。じっと聴き入っていると、時間があっという間に過ぎてしまう。そんな曲、そしてそんな鳴らし方。



・Michelle Branch「The Spirit Room」   試聴はこちら。
 SR-325i+Head Amp 2/MkII SE
 個人的に、明るいポップスの女性ヴォーカルというと真っ先に思い浮かぶアーティスト。1曲選ぶなら「Everywhere」かな。こういう明るい声の曲で、ポップスと言うか少しバンドっぽいサウンドだと、ふとSR-325iで聴きたくなることがある。
 声も楽器もシャキシャキと気持ち良く立ってくれる。音楽の雰囲気までしっかり把握していて、その把握したものをポンと空に投げ出す感じで、何気なく御機嫌な鳴らしっぷりを展開してくれる。聴いていて楽しくなってくる。



・下川みくに「キミノウタ」   試聴は下のAmazonのリンク先で。
 ATH-SX1+SA-15S1(直挿し)
 ガールポップっぽいのが聴きたくなって選んだ。それとATH-SX1最近使ってなかったなぁと思って、アンプを選ぶのがめんどくさくて、この組み合わせ。たくさん良い曲が入ってるけど、1曲選ぶなら「それが、愛でしょう」。アルバムが出るだいぶ前に初めて聴いたときから気に入って、何度も聴いた思い出ぶかい曲。
 とりあえず聴いてみたんだけど、違和感が。でもめんどくさいのでそのまま聴き続けたら段々慣れた。それでもやっぱり少しおかしい。相性が悪いのか? それともATH-SX1の低音が思ったより出てないせいでスカスカに感じるのか? CCCDのせいか?
 ここはそんなことに結論を出すところではないのでこの辺で。あ、声は悪くない表現だった。CCCDなのがとても残念な良盤。











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