とりあえずMS-PRO。RS-1とほぼ同等品だとか定位はこちらが優れているとか様々な意見があるが、その違いについてはRS-1を所有していないのでなんともいえない・・・。He&Biさんのレビューを見るに、少なくとも大きな違いはないようだ。
 あぽろんで61000円で新品を購入。女声ボーカルに最適という評判も気になっていたし、何より元気なGRADOサウンドとやらに興味津々だったため購入に至った。

・外見、使用感
 よく言われているように、見た目は恐ろしく安っぽい。他のヘッドホンと並べておくとそれが余計にはっきりしてしまう・・・その上Y字分岐部のコードが潰れている。これは構造欠陥だと思うのだが・・・これじゃあ皮膜も破れるわな・・・。
 しかしながら装着感は少なくとも私にとっては悪くない。というより良い。買った直後は確かに1時間くらいで耳が痛くなり、これが噂のGRADO痛か・・・と思っていたがヘッドバンドを変形させた所、一気に解消された。また、少し後ろ目に装着することで、さらに良くなった。その軽さもあいまってヘッドホンをつけている感じがしない。
 一つ個人的に大きな欠点として、コード長の短さがある。一般的なヘッドホンのコード長よりやや短いため(2m)、私の環境ではギリギリであるのだ。大概の人は問題ないであろうが一応気に留めておくべきだろう。

・音
 非常に明るくノリのいい音だ。ネット上の評判ほぼその通りの音。特筆すべきはその音抜けの良さ。GRADO以外では考えられないほど綺麗に音が抜けていく。低音の量は相当多いのだが、この抜けの良さのおかげで普通からやや多い程度に感じる。音の輪郭は非常に丸く、痛いと感じることは殆どない。凝縮された濃密感やそれからくる艶もかなりある。
 だが前述の音抜けのせいか濃密感に関してはどこか足りない気がするかもしれない。全く薄くはないし、随分濃い音だと思うのだが何故か何か足りないのである。真空管やP-1等との相性が良いといわれるのはこれを補正できるからであろう。高域は非常に綺麗でそこそこのところまで伸びる。低域と高域の主張のせいでやや中域が引っ込むような感じもある。
 所謂ドンシャリとは程遠いが。高域、低域ともにそこそこのところまで伸びるが、価格から考えてもう少し伸びてもいい気もする。これは恐らくレンジを絞ることで密度を上げようとしているんだろう。元気な割りにかなり繊細で分解能もかなり高い。細かい音までかなり拾える。音場はそれほど広くないように感じるが、不満を感じるほどではない。音の分離は普通から若干悪い程度。でもこの音でガンガン音が分離したらそれはそれで気持ち悪い気もするのでこれで正しいのではないだろうか。
 確かにボーカルものに合う。しかし逆にジャズやクラシックなどを聴こうとするとやや元気すぎるきらいがある。テンションが違うというか・・・なにか噛み合っていない。ロックとボーカル専門にして他のジャンルは他社のヘッドホンに任せるべきだろう。
 欠点はレンジの狭さとオールジャンルに対応できないことくらい。クッキリハッキリが好きな人には全くお勧めできないが、そうでなければかなりお勧め。

・HPAとの相性
 DAC1内蔵
 合わない。もうこの一言に尽きる。お互いの長所を潰しあってる感じ。強いて言えば万能性と定位感は増すがこのヘッドホンはそれを求めるタイプではない・・・。比べているのがP-1だからかもしれないが輪郭がやや明瞭になる分レンジの狭さはやたらと目立つし、何より聴いていて楽しくない。不自然な感じすらする。抜けが良く明瞭な所は伸びるが音が硬くなる。
 折角のMS-PROがただの高性能ヘッドホンになってしまう。

 P-1
DAC1内蔵とは逆にかなり合う。全体的に低域の方にわずかに寄る。ただでさえ響きが豊かなMS-PROにさらに響きが追加される。P-1特有の霧がかったような感じも、この組み合わせではMS-PROのレンジの狭さを隠してくれるのでかなりの長所となる。かなり濃密だが明瞭さやノリも併せ持っており、明るめのボーカルものはかなりハマる。

・環境
 CDT: YAMAHA CDR-HD1500
 DAC: Benchmark DAC1
HPA: LUXMAN P-1
 所有HP:MS-PRO,SRS-4040A,HD650(Equinox),ATH-W1000,PROline750
欲しいHP:DT770,Edition9,SR-007,HP-DX1000 










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Music Series Pro 投稿者:鮪 投稿日:2006.6.27

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