『再生環境、アクセサリー』
VGN-FZ50B(ノートPC)→CARAT-T2(USB-DDC)→CARAT-SAPPHIRE(DAC※DDCと同軸接続)→BLO-0299 Auditorium(HPA)+BLO-0160EW(強化電源)
foobar2000・WASAPI出力(再生ソフト)、NOISE HARVESTER(PS Audio)

『所有ヘッドホン・イヤホン』
20378(LINDY)、AH-D7000、CX271、EXH-313、HD380Pro(Re-Cable Balanced Mod.+ Sound Tuning)、HD650、HP-DX1000、KNS8400×2(通常品・バランス化)

『過去所有ヘッドホン』
ATH-SJ55、ATH-W1000X、HA-MX10-B、HP-53FB、K271 MKII、K701、KNS6400、MDR-CD900ST、MDR-XB1000、MDR-Z1000、MDR-ZX700/500/300/100、SMB-02、SRH940/840/440

※100時間以上使用してのレビュー。
本機は純正ケーブルのまま、プラグだけ変更してバランス化している。

『音の特徴』
帯域のバランスはほぼフラットだが、低音が強く、高音はやや弱い。
低音は厚みと重みがある。弾力的な質で柔らかいが、締まりは良好。ローエンドまで真っ平らに出ている。
中音は実体感が強い。厚み、柔らかさ、滑らかさ、繊細さ、艶、いずれの要素を見ても非の打ち所がない。
高音はやや線が太く、音圧が若干弱いものの良質。金属的な透明感、鮮やかさは十分感じられるし、刺激もちゃんと出してくれる。

高密度で実体感の優れた音。重厚かつ濃厚でありながら、音に対する反応も速く軽やかで、鈍さをまるで感じない。
柔らかく、温かみや水気の感じられる質感で、硬さや耳に障る刺激とは無縁。低音から高音の繋がりも自然で、聴き疲れることはない。
音を丸めて聴きやすくしているわけではないが、音の粗や痛さはあまり出してくれない。
また、音の濃密さのため、澄み切った表現はやや苦手。音の重心が低いため、明るい音の表現もあまり得意ではない。
スピード感・キレ・ノリはいずれも優秀。音色からすると今ひとつに思えそうだが、前述の通り、本機は音に対する反応が速い。
立ち上がり・立下りが優秀なので、こういった要素もハイレベルに表現する。
ただし、音を硬く尖らせ刺激的に聴かせる、といった意味でのキレは今ひとつ。

音場は非常に広い。左右によく広がり、奥行きも深い。やや前方に音が展開する。
代理店によると半開放型の鳴り方、ということだが音抜けは良い。曇りやこもりは一切感じない。
響きはあっさりから普通。しかし、響きの多い曲では、音に包まれるような心地良さを味わえる。
音の分離・細部を拾う能力は極めて優秀。音の一つ一つは混じらず、明瞭に判別できる。
それでいて、音の輪郭を強調するような、不自然な聴こえかたはまったくしない。
音圧の強弱を敏感に捉えて表現するため、音の位置や距離感も非常に把握しやすい。

本機は音の質感、空間表現での実体感に優れていて、「自然」という表現がしっくり来る。
同時に、周波数・ダイナミックレンジの広さ、音の分離などの「性能」も高く、自然さと性能を高水準で両立しているヘッドホン。
「ヘッドホンを変えるだけで、ここまで音が生々しくなるのか」という、感動と驚きを味わえる素晴らしい機種。

『相性』
実体感に優れているため、生楽器の表現は抜群にうまい。なかでも、低音楽器と中音楽器の表現は傑出している。
バスドラムや太鼓などは厚みと重み、輪郭の柔らかさの表現が生々しい。ベースの唸るような表現も得意。
弦楽器は自然。澄み切った表現よりも、むっちりして落ち着いた表現のほうが得意。弦の響きの消え際まで、美しく聴き取れる。
透明感にしても決してレベルが低いわけではなく、ギターの弦を弾く音などは、非常につややかで澄んだ音を出す。
ハイハットやシンバルなどは、もう少し鋭さや硬さが欲しいが、すっと立ち上がってさっと消える反応の良さは魅力的。

ボーカルは男女の声ともに厚みがあり、重心の低い落ち着いた音。上擦ったりすることは一切なく、変なクセもない。
サ行はしっかり鋭さを出してくれるが、耳に刺さる痛さはない。全体的に実体感の強い、非常に生々しい音を出す。
声の密度、繊細さ、柔らかさ、滑らかさ、潤い、艶、いずれの要素も極めて自然で、文句のつけようがない。
音源によっては、ヘッドホンを通して聴いているとは思えず、圧倒的なリアリティに聴き惚れる。
あえて欠点を挙げるなら、掠れた声、明るい声の表現が苦手なところぐらいだろう。

『その他』
側圧は強めだが、広い範囲で接触するので圧迫感は気にならない。イヤパッドはラムスキン。
最初は硬い感触が気になるが、数十時間使用すれば肌にぴったりと馴染むようになる。
イヤパッドは深く、耳はパッドの内側で自由になる。ヘッドバンドもラムスキンで、頭頂圧(重さ、痛さ)をまったく感じさせない。
重量は550g(ケーブル含まず)だが、実測値は約520gだった。本体にケーブルを着けると約10g重量が増す。
優れたヘッドバンドのおかげで装着感は良いのだが、重量が首や肩、腰にまで響く。本機の最大の欠点。
側圧がそれなりに強いとはいえ、装着というより頭に乗せる感じなので、ズレやすい。頭を傾けると、すぐにズレる。
音は最高水準なのに、重量が人を選ぶのは間違いなく、もったいない機種。遮音性・音漏れ防止は悪い。

上下左右の角度調節は可能。ヘッドバンド調節の金属の棒は、硬く調節がしにくい。棒にはメモリがついている。
ケーブルは両出しで、4ピンミニXLRの着脱式。ロック機構がついている。本体に着けるプラグは大きいが軽量。
ケーブルは細く、軽く、平たい形状。クセがつきにくく、取り回しもしやすい。タッチノイズも少ない。
付属品はキャリーバッグ(プラスチック製のようだが剛性はあり、実用性は高そう)、木製ハウジングのメンテナンス用オイル、
個体毎の周波数特性グラフ。










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LCD-2 Rev.2 Balanced 投稿者:plto 投稿日:2011.10.31

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