K319

音質
 そこそこフラットだが、厳しく見るならやや高音よりのかまぼこ。低域は若干少なめだが、開放型イヤホンとしては普通に出る。重心の低さや厚みは普通。あまりぼやけたり曇ったりはしない質。中域は低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるが、ソースによってはやや張り出すような感じが気になる。中高域はかなりしっかり出る。高域は中域と同量から若干少なめ。やや明るく金属的。
 分解能は価格なり。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろそれなりにこなしてくれる。音場感はやや広い。イヤホンにしては耳から離れたところで音を鳴らすような印象。明確さという意味では普通。原音忠実性はそれなり。一聴して大きな違和感はない。原音の粗や生っぽさはそれなりに感じられる。エッジはきつくなく、あまり聴き疲れしない。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さ、音の鮮やかさはなかなか良い。厚みはやや厚め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ただし、ソースによっては女性ヴォーカルが張り出すような感じで痛いことがあり、そういうソースでは当然良くない。基本的にはニュートラルだが、どちらかと言うと明るくノリが良い傾向。切れやスピード感も悪くはないが、どちらかと言うと音色の明るさでノリの良さを感じさせる印象。響きは適度。
 弦楽器はそれなりに自然な音色で生楽器らしさも感じられるし、繊細さや心地よさという点でも悪くない。金管楽器はなかなか鮮やかで、力強さもしっかり感じられる。打ち込み系の音の表現はなかなかうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方が良い。
 中域の張り出しが気になることを除けば、かなりバランスの良い機種。
 上記の内容はアタッチメント不使用の際のもの。アタッチメントを使用するとやや低音よりになり、全体的に柔らかく温かみのある音になる。

装着感
 良好。一般的なインナーイヤーヘッドホンなので、装着しにくい等の問題はないし、長時間装着してもそれほど疲れるわけではない。ただし、形状は多少変わっているしサイズも大きめなので、合わない人もいるかもしれない。ややずれやすい印象。重い、コードが顔に当たりやすい等の不満はない。
 付属しているアタッチメント(通常のスポンジ状)を使用すると、ずれにくくなり装着感が良くなるように感じる。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。
 作りは価格なり。デザインはやや変わっている。コードにボリュームコントロールが付いているが、φ約10mmで長さは約60mmと、大きくて邪魔。音量を最小にしてもそれなりの音量で音が鳴る。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm、やや硬いがそれほど扱いづらさは感じない。

付属品
アタッチメント
ミニ→ミニミニ変換プラグ
0.5m延長コード
航空機用Dual Plug adapter
収納ケース



参考
比較メモ
EHP-IE10
EHP-IE10はやや低音よりのかまぼこ、K319はやや高音よりのかまぼこ。低域はほぼ同量。K319の方がしっかり中身が詰まっているような質。重心の低さは大差ない。中域はK319の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。K319はソースによってはやや張り出すような感じが気になることがあるが、EHP-IE10はあまりそういうことはない。高域はK319の方がある程度量が多い。明るく金属的で、かなり目立つ。分解能はK319の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや差がある。音場感はK319の方がやや広い。EHP-IE10の方がやや前方定位する感じ。原音忠実性はK319の方がやや上。EHP-IE10は高域不足が気になるが、K319はそこまで気になるような癖はない。原音の粗や生っぽさはK319の方が感じられる。エッジはK319の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はK319の方がやや痛いが、ヴォーカルのサ行の痛さは大差ない。明瞭さ、音の鮮やかさはK319の方がやや上。厚みはK319の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK319の方がやや上。ただし、EHP-IE10の方が曇っているぶん温かみがあると感じられることはある。K319の方が明るくノリが良い。響きはK319の方がやや豊か。K319の方がドラムや破裂音が目立つ。K319の方が生気の感じられる音。弦楽器はK319の方が生楽器らしさが感じられて良い。金管楽器はK319の方が金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はK319の方がうまい。音の質感の相性で勝っている。使い分けるなら、基本的にはK319、K319では中域の張り出しが気になるとか高域が多すぎるという不満があるならEHP-IE10。

EP-AVNAIR
EP-AVNAIRはややドンシャリ、K319はやや高音よりのかまぼこ。低域はEP-AVNAIRの方がやや量が多い。重心が低く厚みがある。K319の方が薄く曇ったような質。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。K319はソースによってはやや張り出すような感じが気になることがあるが、EP-AVNAIRはそういうことはあまりない。中高域はK319の方がしっかり出る。高域はほぼ同量。K319の方がやや明るく、ざらつく感じ。分解能はEP-AVNAIRの方がやや上。特に音の分離に差がある。一つ一つの音の微細な描写は、K319は付帯音でごまかされているような印象を受けるのに対して、EP-AVNAIRはそういうことがない。音場感はK319の方がやや広く、EP-AVNAIRの方が明確で見晴らしが良く把握しやすい。原音忠実性はEP-AVNAIRの方がやや上。一聴して違和感が小さい。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはEP-AVNAIRの方がやや上。エッジはK319の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はK319の方がやや鋭く刺さるが、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはEP-AVNAIRの方がやや上。厚みはEP-AVNAIRの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ただし、K319はヴォーカルが張り出したり擦れが気になったりすることも多いため、そういったソースではEP-AVNAIRの方が良い。どちらも明るくノリが良い傾向だが、K319が音色の明るさでノリの良さを感じさせるのに対して、EP-AVNAIRは切れやスピード感でノリの良さを感じさせる印象。粗がないという意味でEP-AVNAIRの方が繊細。K319の方が付帯音が多く余計な音を鳴らすような印象。響きはK319の方がやや豊か。弦楽器はEP-AVNAIRの方が自然な音色だが、硬く締まりすぎていると感じるならK319の方が良いこともあるだろう。金管楽器はどちらも鮮やかで楽しめる。EP-AVNAIRの方がシンプルで力強く、K319の方がやや明るく癖がある。打ち込み系の音の表現はEP-AVNAIRの方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはEP-AVNAIR、EP-AVNAIRでは中高域が足りないとか遊びがなさすぎるという不満があるならK319。

K14P
K14Pはややドンシャリ、K319はやや高音よりのかまぼこ。全体的にそれなりに似た音を鳴らす。低域はK319の方が若干量が多い。重心の低さはほぼ同レベル。K319の方がやや厚みがありかつ柔らかい質。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。K319はソースによってはやや張り出すような感じが気になることがあるが、K14Pはそういうことはない。中高域はK319の方がしっかり出る。高域はK14Pの方が若干量が多い。K14Pの方が硬く尖った質。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ない。音場感はK319の方がやや広く、K14Pの方がやや明確。原音忠実性はほぼ同レベル。K14Pは高域が目立ちすぎる点が気になるのに対して、K319は中域の張り出しが気になる。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジはK14Pの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろK14Pの方がやや鋭く刺さる。明瞭さはK14Pの方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはK319の方が若干上。温かみはK319の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベルだが、K319では中域が張り出すような感じになるソースならK14Pの方が良い。どちらも明るくノリが良い傾向だが、K319の方がニュートラル。響きはK319の方がやや豊か。K14Pの方が全体的に硬く締まった音で無駄がない。弦楽器はK319の方がややうまい。K14Pは硬く締まりすぎているように感じることが多い。金管楽器はどちらも明るく金属的で楽しめる。K14Pの方がやや細く明るく、K319の方がやや太く力強い。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はほぼ互角、切れはK14Pの方が若干上、厚みはK319の方が若干上。使い分けるなら、中域の自然さや切れ重視ならK14P、音場の広さや聴き疲れのなさ重視ならK319。

MX760
K319はやや高音よりのかまぼこ、MX760はやや高音より。全体的にそれなりに似た音を鳴らす。低域はK319の方が若干量が多い。重心はMX760の方がやや低い。中低域はK319の方がしっかり出る。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。ソースによってはやや張り出すような感じが気になるところも似ている。K319の方が低くしっかりした質。中高域はK319の方がしっかり出る。高域はMX760の方が若干量が多い。K319の方がやや太く金属的。MX760がハイハットをシャンと鳴らすところを、K319はチンと鳴らすような音色の違いがある。分解能はほぼ同レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ない。音場感はK319の方がやや広い。MX760の方が耳の近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性はK319の方が若干上。周波数特性上の癖のなさでやや勝っている。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いはほぼ同レベル。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ同レベル。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、どちらかと言うと高域はMX760の方が鋭く、ヴォーカルのサ行はK319の方が痛い。明瞭さはMX760の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはK319の方がややある。温かみはK319の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。どちらも明るくノリが良い傾向だが、K319の方がニュートラル。MX760の方がやや爽やか。響きはK319の方がやや豊か。弦楽器はK319の方がややうまい。大抵のソースではK319の方が自然な音色に感じられるし、心地よい。金管楽器はK319の方が太く力強く、MX760の方が細く若干明るい。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性はほぼ互角、厚みがある点はK319の方が良いが、スピード感がある点はMX760の方が良い。使い分けるなら、基本的にはK319、K319では低域の重心が高いとか高域の質が気にいらないという不満があるならMX760。


※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 半開放 16Hz〜23kHz 128dB 32Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
5g - 0.5m 両出し(Y型) 収納ケース付属

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
3.5 4 2 3 4 5 均(中、高) 7200円

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公開日:2009.10.8

※生産終了