このページは1対1で聴き比べしたときのメモが機種ごとに羅列してあります。見やすくするため、対応する2機種両方の項目に比較メモが載せてあります。例えば、AH-G500とATH-AD700の比較メモは、AH-G500とATH-AD700両方の項目に載っています。
 このページの比較は、他のページと同様、CD3300とHD53を使用しています。実際に2台のヘッドホンを並べて、同じソースを聴き比べて書いています。ばらつきはありますが、大体5〜10枚くらいの様々なジャンルのCDを使っています。また、あくまで1対1で聴き比べしたときの内容なので、3機種以上の内容を詳細に見比べると若干不整合があるかもしれません。分かりやすくするためバッサリ切っている部分もあります。ご了承ください。


※現在このページはヘッドホンレビューの各ページの参考欄に移行しております。新機種の比較メモはこのページには追加しておりませんのでご注意ください。


ページ内ショートカット
A8
AH-C700
AH-D5000
AH-G100
AH-G500
AHP-505
ATH-A500
ATH-A900
ATH-AD2000
ATH-AD700
ATH-C602
ATH-CK7
ATH-CM7TI
ATH-EM7
ATH-ES7
ATH-M40fs
ATH-ON3
ATH-PRO700
ATH-SX1
ATH-T2
ATH-T44
ATH-W1000
AU-618
BA-PC15
Bose in-ear headphones
CDH-505
CDH-507
CDH-508
CPH7000
CX300
DJ Pro 3000
DJ1 PRO
dj1001
DJX-1
DR150
DR-631
DT231PRO
DT660 Edition 2007
DT770PRO
DT860
DT880
DT990PRO
DTX20
DTX50
DTX900
E2c
E4c
edition7
EG-ER50
EH-95
EHP-820
EHP-CL430
EHP-IN200
ER-4S
ER-6
Form2
HD215
HD25-1
HD280Pro
HD435
HD497
HD590
HD595
HD650
HDS-701
HE580
HFI-15G
HFI-2200ULE
HFI-650
HN110
HN-505
HP1000
HP430
HP830
HP-AK101
HP-AL1000
HP-AL700
HP-D7
HP-DX1000
HP-DX3
HP-FX77
HP-M1000
HP-MD1
HP-NC80
HP-RX500
HPS3000
HPS5000
HP-SN51
HP-VX101
HP-X122
iCans
IE-20 XB
iGrado
iPod付属イヤホン
K101
K14P
K181DJ
K240monitor
K24P
K271studio
K27i
K501
K55
K701
KSC75
m5
MDR-7506
MDR-A35SL
MDR-CD3000
MDR-CD480
MDR-CD900ST
MDR-D777SL
MDR-E888LP
MDR-E931LP
MDR-EX71SL
MDR-EX90SL
MDR-EXQ1
MDR-F1
MDR-NC11A
MDR-NC20
MDR-Q36LW
MDR-SA5000
MDR-XD400
MDR-Z700DJ
MDR-Z900
MGD-01
MHP-EP3
mix-style headphones
MUSIC SERIES ONE
MV1
MX500
OMX52
P9
PC-100
PHP-200
PortaPro
PRO/4AA
PROline2500
PROline750
PX10
PX100
PX200
R/200
RH-200
RH-300
RH-5Ma
RP-21
RP-DH1200
RP-DJ700
RP-HJE70
RP-HT510
RP-HT560
RP-HT770
RP-HTX7
RS-1
SD-2900CD
SE-900D
SE-A1000
SE-CL30
SE-E33
SE-EX9
SE-F3
SE-M380
SE-M870
SE-MJ5
SE-MJ7NS
SE-MONITOR 10R
SHE9501
SK PRO
SPARKPLUG
SP-K300
SR-007+SRM-717
SR-225
SR-325i
SR-60
SRS-2020
SRS-4040
ST-90
Super.fi 5 Pro
SX10
T50RP
The Plug
TR-HP03B
TriPort
UR/29
UR/40
v-moda remix m-class
VR-101PB
VR-403SV
Z headphones
ZEN AURVANA
サウンド-ヘッドホン-2
ヘッドホン-3





・A8
ATH-CM7TI
A8はやや高音よりのかまぼこ、ATH-CM7TIは高音より。全体的にかなり似た音を鳴らす。低域はA8の方がやや量が多いが、周波数によって鳴らし方が違ってくるので一概には言えない。中域から中高域はA8の方がやや高い音で目立つ。高域はATH-CM7TIの方が量が多く、硬くとがった音を鳴らす。分解能はATH-CM7TIの方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ互角。エッジのきつさはかなり近いが、ATH-CM7TIの方が芯の通った音で聴き疲れするように感じる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CM7TIの方がやや上。厚みはATH-CM7TIの方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さをある程度両立している。響きはかなり近いし、低域があっさりで高域が豊かな点まで似ている。弦楽器はほぼ互角の表現。金管楽器は、どちらもなかなかうまいが、高い音になるほどATH-CM7TIの方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらも相性は良いのだが、低域不足が難点なところは良く似ている。音質的にはどちらか片方持っていれば事足りるように感じるが、分解能や高域の質・量を求めるならATH-CM7TI、そうでなければA8か。

HE580
A8はやや高音よりのかまぼこ、HE580はやや低音より。低域はHE580の方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はA8の方がやや高めの音で低域の邪魔もないためはっきり聴こえる。高域はA8の方がやや細く高く、量も若干多い。分解能及び原音忠実性はA8の方がかなり良い。音場感は若干A8の方が良いように感じる。A8の方がエッジがきついが、絶対値的にはまったく問題ないレベルで、特に聴き疲れもしない。明瞭さ、音の鮮やかさはA8の方がかなり上。厚みは比較しにくい。A8が線の細い硬めの音であるのに対して、HE580は線の太い音。温かみは低域が出る分HE580の方が感じれる。ヴォーカルの艶っぽさはA8の方が上。ノリの良さならHE580、繊細さならA8。響きはA8の方がやや豊か。弦楽器はA8の方が圧倒的に繊細だが、チェロ等の低域が欲しい場合には物足りないだろう。金管楽器はA8の方が高く鮮やかだが、力強さと言う点ではHE580もなかなかのものを持っている。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、一長一短な面もある。A8は硬い質感は合うのだが線の細さと低域不足は合わないし、HE580は低域の量と音の太さは合うのだが切れに欠ける。使い分けるなら、基本的にはA8で、A8では低域が足りないときにはHE580だろう。

MDR-E888LP
A8はやや高音よりのかまぼこ、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はMDR-E888LPの方がローエンドまで素直に出る。A8はローエンドが不足。低域の量そのものにはそれほど差は無い。中域はA8の方が前に出てくる。高域はA8の方がやや高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はA8の方が上。音場感はMDR-E888LPの方がやや上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばA8の方が芯の通った硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはA8の方が上。厚みは質感が違うので判断しにくい。温かみはMDR-E888LPの方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さをある程度両立しているが、低域が出る分MDR-E888LPの方がノリが良いと感じる人が多いだろうし、微細な音の表現がうまい分A8の方が繊細だと感じる人が多いだろう。ただし、芯の通った感じはA8の方がノリの良さに繋がっているし、柔らかい質感はMDR-E888LPの方が繊細さに繋がっている。ソースや聴く人によって感じ方が変わってくるだろう。響きは、低域はMDR-E888LPの方が豊か、高域はA8の方が豊か。A8の方が硬くて冷たく輪郭のはっきりした音。弦楽器はMDR-E888LPの方が心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならA8の方が合うだろう。金管楽器はA8の方が高く硬く鮮やかな鳴り。打ち込み系の音の表現はA8の方が相性が良いが、低音が不足に感じられる人が多そう。その場合にはMDR-E888LPの方がいいかもしれない。使い分けるなら、硬い音が好きならA8、柔らかい音が好きならMDR-E888LPか。

MX500
A8はやや高音よりのかまぼこ、MX500はやや高音より。低域はA8の方が厚みがありしっかり鳴らしてくれる。MX500は厚みが薄く何となく鳴らしている印象。中域はどちらもかなりはっきり聴こえてくる。高域はどちらかもしっかり高い音を鳴らしてくれるが、A8の方が若干高いか。分解能、原音忠実性はA8の方が上。音場感はほぼ互角。MX500の方がややエッジがきつい印象だが、A8の方が硬く芯の通った音で疲れるため、総合的な聴き疲れはほぼ互角。いずれにせよ、どちらもそれほど聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかはA8の方が上。厚みはA8の方がかなりある。温かみはMX500の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。A8の方がノリが良くかつ繊細。響きはどちらも適度でほぼ互角。弦楽器はBGMとしてでしゃばらないMX500の鳴らし方も悪くないが、しっかり聴き込むにはA8の方が良いだろう。金管楽器はどちらもなかなか高く鮮やかだが、A8の方がやや上の表現力を持っている。打ち込み系の音の表現はA8の方がうまい。音の厚みや切れが合う。使い分けるなら、基本的にはA8、A8の冷たい印象が嫌ならMX500か。


・AH-C700
ATH-CK7
AH-C700は低音よりのドンシャリ、ATH-CK7はややドンシャリ。低域はAH-C700の方が柔らかくぼやけていて量が多い。中域はどちらも低域の量に押される感じはあるが、低域の量の割にはどちらもそれなりに聴こえてくる。ただ、低域の量が少なく中域がややうわずっているATH-CK7の方がはっきり聴こえてくる感はある。中高域から高域は、音の高さはそれほど差はないが、ATH-CK7の方が粗がある。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えばAH-C700の方が上。音場感も大きな差はないが、AH-C700の方がやや立体的。原音忠実性は低域の量が過剰な点を除けばAH-C700の方が良い。ATH-CK7の方が作ったような音。ATH-CK7の方がエッジがきついが、AH-C700は低音が出すぎでこもりのせいで疲れるため、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK7の方がやや上。厚みはATH-CK7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-C700の方がやや上。どちらもノリが良いように感じるが、AH-C700は低音で押している感じで鳴らし方そのものは意外と上品であるのに対して、ATH-CK7は鳴らし方そのものが元気な感じ。響きはAH-C700の方が豊かでこもり感が気になる。その他気になる点としては、ATH-CK7の方がドラムや破裂音などが前に出てくる感じで目立つというのが挙げられる。弦楽器はAH-C700の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかで楽しめるが、ATH-CK7の方が派手で、分かりやすい魅力がある。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。音の締まりや低域の質で勝っている。使い分けるなら、低域が出すぎでもいいから作ったような音や硬い音を避けたいならAH-C700、そうでないならATH-CK7。

DTX50
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はDTX50の方が低い音で、ぼやけていて量が多い。AH-C700の方がまだ締まりや制動の効いた低域と言えるだろう。DTX50は特にベースが目立つのが印象的。中域はAH-C700の方が低域に邪魔されずやや高い音ではっきり聴こえて来る。高域はAH-C700の方が高い音で金属的。この2機種を比べた場合、AH-C700の方が高音よりと言えるだろう。DTX50は低域が強いソースでは明らかにはバランスが破綻するのに対して、AH-C700はそれなりにバランスが保たれる。分解能はAH-C700の方が上。音の分離に差がある。音場感はどちらかと言えばAH-C700の方が明確。原音忠実性はAH-C700の方が上。AH-C700の方が周波数特性的にの癖がないだけでなく、原音の生っぽさも感じられる。AH-C700の方がややエッジがきついが、DTX50の方が低域が出すぎで疲れるため、総合的な聴き疲れはソースによって変わってくる。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-C700の方が上。厚みはAH-C700の方がある。温かみはDTX50の方が感じられる。柔らかい音で低域の量も多いため。ヴォーカルの艶っぽさはAH-C700の方が感じられる。どちらもノリが良い傾向。響きは、低域はDTX50の方が豊か、高域はAH-C700の方が豊か。DTX50の方がこもりが気になる。弦楽器はAH-C700の方が繊細かつ生っぽさが感じられる表現で良い。金管楽器はAH-C700の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はAH-C700の方がうまい。音の質感がAH-C700の方が合うし、中高域の明るさでも差が出る。使い分けるなら、ベース重視等の理由で低域の質がはまる場合のみDTX50、それ以外はAH-C700。

E4c
AH-C700は低音よりのドンシャリ、E4cはフラット。低域はAH-C700が柔らかく量も非常に多いのに対して、E4cは締まっていて量は適度。中域はE4cの方がやや高い音で低域に邪魔されずに非常にはっきり聴こえてくる。中高域から高域はAH-C700の方が細く高い音。E4cの方が太く明るく元気で目立つ。分解能はE4cの方が上。微細な描写はAH-C700も良いのだが、分離ではE4cの方がかなり上。音場感はE4cの方がやや明確に感じるが、それほど大きな差はない。原音忠実性は低域の量の多さを除けばAH-C700の方が良い。E4cは明るすぎて、原音の生っぽさ等があまり感じられない。E4cの方がエッジがきついが、AH-C700は低域の量が多すぎてこもりで聴き疲れするため、聴き疲れのしやすさはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはE4cの方がかなり上。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-C700の方が感じられる。どちらもノリが良い傾向だが、AH-C700は低域の量で押す感じなのに対して、E4cは音そのものが元気な鳴らし方。響きはAH-C700の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はAH-C700の方が心地よい。金管楽器はE4cの方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はE4cの方がうまい。切れやスピード感が段違い。使い分けるなら、低域が多すぎてもいいから心地よさを求めるならAH-C700、それ以外はE4c。

HP-FX77
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は、柔らかくぼやけていて量がかなり多い点は似ているが、HP-FX77の方がやや量が多い。中域はAH-C700の方がかなりはっきり聴こえてくる。これは低域の量の問題よりも、基本的な能力の差が大きいだろう。高域はAH-C700の方がやや控え目で粗のない鳴らし方。分解能及び音場感はAH-C700の方が上。音の分離にかなり差がある。音場感はAH-C700の方が立体的で明確。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、どちらかと言えばAH-C700の方が上。HP-FX77の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはAH-C700の方が上。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはAH-C700の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いが、AH-C700の方が厚みや圧力で勝っているため総合的に見てノリの良さで勝っているし、粗の少ないしっかりした鳴らし方という点で繊細でもある。響きはどちらも豊かでほぼ同等レベル。弦楽器はAH-C700の方が粗がなく心地よい。金管楽器はHP-FX77の方が派手だが、AH-C700の方がしっかり芯の通った丁寧な鳴らし方。打ち込み系の音の表現はAH-C700の方がうまい。使い分けるなら、基本的にはAH-C700、粗があっても良いから派手さを求めるならHP-FX77。

IE-20 XB
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらも量が多く、重低音がしっかり出る点等似ているが、AH-C700の方がやや重心が高め。中域はAH-C700の方が高い音ではっきり聴こえてくる。高域はどちらも質・量ともに十分出るが、AH-C700の方がやや細い感じ。分解能はほぼ互角。音場感はIE-20 XBの方がやや広いが、大きな差はない。原音忠実性はどちらも低音が出すぎでいまいちに感じるが、その点を除けば悪くないところも似ている。AH-C700の方がやや硬めで原音の粗や生っぽさが出る感じ。IE-20 XBの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはAH-C700の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはIE-20 XBの方がやや良い。どちらも圧力のある鳴らし方でノリが良い。響きはどちらも豊かでほぼ同等レベル。弦楽器はIE-20 XBの方が滑らかで心地よい反面、AH-C700の方が澄んでいて生っぽい音。金管楽器はどちらも高く鮮やかで甲乙つけがたいが、同じというわけではなく、IE-20 XBの方が太くて録音の粗が気になりにくい感じ。打ち込み系の音の表現は好みの差。どちらも低域の量や音の圧力が十分あり楽しく聴ける点は似ている。使い分けることもできるだろうが、基本的にどちらも重低音を非常にしっかり鳴らしてくれる機種ということで、どちらか片方持っているなら違う機種をすすめたい。

MDR-EX90SL
AH-C700は低音よりのドンシャリ、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はAH-C700の方がやや低く量も多い。中域はMDR-EX90SLの方が癖がなくはっきり聴こえてくる。AH-C700は中域から中高域にかけて潰れてキンキンと痛いような傾向がある。高域はMDR-EX90SLの方が細く尖っている。分解能はMDR-EX90SLの方がやや上。音場感はMDR-EX90SLの方が広く明確。原音忠実性はMDR-EX90SLの方がかなり上。AH-C700の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX90SLの方が上。厚みはAH-C700の方がある。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方が上。どちらもノリが良い傾向だが、ノリの良さならAH-C700、繊細さならMDR-EX90SLといった感じ。響きはMDR-EX90SLの方が豊か。自然に音が広がって消えていくのが分かる。こもり感はAH-C700の方が気になる。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細。金管楽器はどちらもそれなりに鳴らしてくれるが、MDR-EX90SLの方が高い音でしかも自然な感じ。打ち込み系の音の表現はどちらも低域の質感や切れに不満がある点は似ている。低域の量や音の圧力が欲しいならAH-C700、バランスの良さを求めるならMDR-EX90SLか。使い分けるなら、基本的にはMDR-EX90SLで、余程低域の量や音の厚みが欲しいときだけAH-C700。


・AH-D5000
ATH-W1000
AH-D5000はかなりフラット、ATH-W1000はやや高音より。低域はAH-D5000の方が柔らかくてやや量が多いが、厚みや圧力はATH-W1000の方が感じられる。中域はATH-W1000の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はAH-D5000の方が細くて粗がない。ATH-W1000の方が硬く金属的な音。分解能はほぼ同等。音の分離はATH-W1000の方がやや良いが、一つ一つの音の微細な描写はAH-D5000の方がしっかりこなしてくれる。音場感は比較的近いが、AH-D5000の方がやや広がりがあり、ATH-W1000の方がやや明確。原音忠実性はAH-D5000の方が上。一聴して違和感がないし、周波数特性にも癖がない。ATH-W1000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-W1000の方が上。厚みはATH-W1000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-D5000の方が感じられる。ノリの良さならATH-W1000、繊細さならAH-D5000。ATH-W1000は明るく軽快、AH-D5000は柔らかく心地よい。響きはAH-D5000の方が豊か。ATH-W1000の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-W1000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。切れやスピード感に差がある。使い分けるなら、弦楽器やヴォーカルはAH-D5000、金管楽器や打楽器はATH-W1000。或いはアコースティックなものを自然に聴きたいならAH-D5000、そうでないならATH-W1000。

K271studio
AH-D5000はかなりフラット、K271studioはやや高音より。低域はAH-D5000の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもある程度はっきり聴こえてくるが、K271studioの方が低域の薄い曇りに多少覆われる感じがする。高域はAH-D5000の方が金属的な音で目立つ。分解能はAH-D5000の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ勝っている。音場感はAH-D5000の方がやや広く明確。原音忠実性はAH-D5000の方が良い。低域の表現が自然だし、原音の粗や生っぽさも感じられる。ただし、高域の質感はK271studioの方がおとなしく良いと感じる人もいるかもしれない。AH-D5000の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、絶対値としてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみすべてAH-D5000の方が良い。特に音の鮮やかさに差がある。ヴォーカルの艶っぽさは大きな差はないが、どちらかと言えばAH-D5000の方が上だし、ヴォーカルの表現のうまさを広く捉えるならAH-D5000の方がかなり上。AH-D5000の方がノリが良く、しかも繊細さでも負けていない。響きはAH-D5000の方がやや豊か。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい上、ヴァイオリン等の澄んだ感じも楽しめる。金管楽器はAH-D5000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はAH-D5000の方がうまい。低域の量感や明るさで勝っている。ほとんど何を聴くにしてもAH-D5000の方が良いだろう。

MDR-CD3000
どちらもかなりフラットだが、AH-D5000の方がやや低音より。低域はどちらも柔らかめな点は似ているが、AH-D5000の方が若干低くて量も多い。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくるが、どちらかと言うとMDR-CD3000の方が低域に邪魔されず聴こえてくる。高域は比較的似ているが、MDR-CD3000の方がやや細くとがった音で目立つ。分解能はほぼ同等。音の分離にしろ微細な描写にしろ大きな差はない。音場感はMDR-CD3000の方が広く、遠くで音を鳴らしている感じ。原音忠実性はAH-D5000の方がやや上。AH-D5000の方が癖が中高域から高域の癖が少ない。ただ、原音の粗はMDR-CD3000の方が感じられる。MDR-CD3000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さは低域が少なく高域が目立つMDR-CD3000の方がやや上に感じられる。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはほぼ互角だが、MDR-CD3000の方が広い空間で鳴らしているため密度的に薄く感じがち。温かみはAH-D5000の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、MDR-CD3000の方がサ行の音等が痛い。どちらもノリの良さと繊細さをかなりのレベルで両立しているが、AH-D5000の方がやや繊細でおとなしい。響きはAH-D5000の方がやや豊か。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-CD3000の方がやや高い音で派手。打ち込み系の音の表現はほぼ互角で、どちらも微妙。AH-D5000はややおとなしい鳴らし方だし、MDR-CD3000は遠くから鳴らしていて迫力が足りない感じがする。全体的に、音場を除くと比較的近い音を鳴らす。使い分けるなら、音場重視ならMDR-CD3000、それ以外はAH-D5000。

RH-300
AH-D5000はかなりフラット、RH-300はややドンシャリ。低域はAH-D5000の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし量もやや多いのだが、RH-300の方がパンチがある。中域はどちらも癖が少なくはっきり聴こえてくるが、RH-300の方がやや低域の曇りに覆われるような感じになることがある。癖のなさという意味でもAH-D5000の方がやや上。高域はある程度似ていてどちらもしっかり高い音を鳴らしてくれるが、AH-D5000の方が金属的な感じ、RH-300の方が細く鋭い感じ。分解能はAH-D5000の方がやや上。音の分離はほぼ同レベルだが、一つ一つの音の微細な描写はAH-D5000の方が上。音場感及び原音忠実性はほぼ互角。RH-300の方がややエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-D5000の方が上。ノリの良さならRH-300、繊細さならAH-D5000。AH-D5000の方が柔らかく落ち着いた感じ、RH-300の方が硬くて冷たい感じ。響きはAH-D5000の方が豊か。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもかなりうまい。ほぼ互角で、あとは好みの違いだろう。打ち込み系の音の表現はRH-300の方がうまい。冷たい質感や音の圧力がマッチする。使い分けるなら、生楽器メインのときはAH-D5000、そうでないならRH-300。

TR-HP03B
AH-D5000はかなりフラット、TR-HP03Bはややドンシャリ。低域はTR-HP03Bの方がやや低い音で厚みや圧力がある。AH-D5000の方が柔らかくぼやけている感じ。中域はTR-HP03Bの方がやや高い音で低域の曇りに覆われない感じではっきり聴こえてくる。高域は比較的似ているが、AH-D5000の方がやや高い音を鳴らす。この2機種だけを比較した場合、AH-D5000の方が若干高音よりと考えて良いのかもしれない。分解能はAH-D5000の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ勝っている。音場感はAH-D5000の方がやや広く明確。原音忠実性もAH-D5000の方が上。とにかく自然で一聴して違和感がない。ただ、原音の粗っぽい感じはTR-HP03Bの方が出してくれることもある。TR-HP03Bの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはTR-HP03Bの方がやや上、音の鮮やかさはAH-D5000の方がやや上。厚みはTR-HP03Bの方がある。温かみは、ヴォーカルの艶っぽさはAH-D5000の方が上。ノリの良さならTR-HP03B、繊細さならAH-D5000。響きはAH-D5000の方が豊か。どちらもある種の音楽性や心地よさを持っている点は似ているが、心地よさならAH-D5000の方が勝っている。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はAH-D5000の方が鮮やかだが、力強さならTR-HP03Bに分がある。打ち込み系の音の表現はTR-HP03Bの方がうまい。低域の質感やメリハリで勝っている。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く楽しみたいときはTR-HP03B、それ以外はAH-D5000。ただし、総合的な完成度はAH-D5000の方が高く、TR-HP03Bでクラシックやジャズを聴くときの不満と比べて、AH-D5000でポップスやロックを聴くときの不満は小さいように感じる。


・AH-G100
ATH-T44
AH-G100はややかまぼこ、ATH-T44はややドンシャリ。低域は全体的にATH-T44の方が出る。曇った感じのする量感は多少似ている。高域はATH-T44の方が細くて硬い。分解能、音場感ともにATH-T44の方が一段上。どちらも原音忠実とは程遠い。ATH-T44の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはAH-G100の方が上、音の鮮やかさ、厚みはATH-T44の方が上。温かみは低域が強い分ATH-T44の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ATH-T44の方がノリが良い。響きはATH-T44の方が豊か。ATH-T44の方がこもり感が気になるものの、粗がなくしかも力強い鳴らし方。一方AH-G100はバランスが良い。弦楽器はATH-T44の方が滑らかで心地よい。金管楽器はどちらも意外と悪くないが、ATH-T44の方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、低域が出る分ATH-T44の方が大抵の場合良いようだ。得意分野はAH-G100はポップス、ATH-T44はロック。使い分けるなら、こもり感が欠点のATH-T44と音の粗さが欠点のAH-G100の、どちらを妥協するかだろう。基本的にはATH-T44の方が良いように思う。

EHP-CL430
AH-G100はややかまぼこ、EHP-CL430は低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が量が多い。質的には、ソースによってはAH-G100の方が低い音に感じることもあるが、基本的に大きな差はない。中域は、AH-G100がどこか曇っていて嫌味が出るのに対して、EHP-CL430は低音の量に負けて目立たない感じ。高域はEHP-CL430の方が量が多いし、質的にもやや高めで目立つ感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてEHP-CL430の方が若干良いように感じる。エッジのきつさはほぼ同等だが、EHP-CL430の方が低域・高域ともに量が多く、やや聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が出ない分AH-G100の方が良いと感じるが、低域のないソースならむしろEHP-CL430の方が良く感じるくらい。音の鮮やかさはEHP-CL430の方が上。厚みはEHP-CL430の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。EHP-CL430の方がノリが良い。響きはEHP-CL430の方が豊かでこもり感が気になる弦楽器はEHP-CL430の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-CL430の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、質的にはほぼ同レベルなのだが、低音が豊かな分EHP-CL430の方が良いと感じることが多い。使い分けるなら、基本的にはEHP-CL430、低域の量が多いと感じるならAH-G100。

HP430
どちらもややかまぼこだが、HP430の方がフラット。低域はかなりHP430の方が出る。低域が出ない割にはAH-G100の方が曇っているように感じる。高域の量そのものはHP430の方が出るように感じるが、AH-G100の方が細く硬い音。分解能、原音忠実性はHP430の方がやや上。音場感はほぼ互角。どちらもエッジはきつくないが、どちらかというとAH-G100の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP430の方がやや上。HP430の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。AH-G100の方が粗くて軽い音。弦楽器はAH-G100では音が粗くて聴けたものではないが、HP430は何とか聴けるレベル。金管楽器はAH-G100の方が高い音を鳴らしてくれるが、チープに感じる。打ち込み系の音の表現はHP430の方がうまい。低域が強い点はやはり有利。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP430の方が良いだろう。

HP-X122
AH-G100はややかまぼこ、HP-X122はドンシャリ。低域も高域もHP-X122の方が出る。特に低域はHP-X122の方が一段低く、量も多い。高域はHP-X122の方が細く高い。分解能、音場感、原音忠実すべてHP-X122の方が上。AH-G100の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、厚みはHP-X122の方が上。温かみは低域が強い分HP-X122の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-X122の方がノリが良い。響きはほぼ互角。AH-G100はソースによってはスカスカした感じが気になるが、HP-X122はそんなことはない。弦楽器はHP-X122方が繊細でしかも心地よい。金管楽器はどちらも意外と悪くないが、HP-X122の方が力強い。打ち込み系の音の表現はかなり違う印象を受けるが、低域が出る分HP-X122の方が大抵の場合良いようだ。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が上のように感じる。


・AH-G500
ATH-AD700
どちらもやや高音よりだが、AH-G500の方がドンシャリ。超低域はAH-G500の方がかなり出る。低域の厚みはほぼ互角。中高域〜高域はAH-G500の方がやや強い。中高域は一段高い音に聴こえる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてATH-AD700の方が上。AH-G500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはほぼ互角。情報量はATH-AD700の方がある。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方が上。どちらも比較的繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにATH-AD700の方が一枚上手。AH-G500はソースによってはかなり安っぽくなる。打ち込み系の音の表現は若干ATH-AD700の方が良い。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもATH-AD700の方が良いだろう。ただし、聴き疲れを除けばAH-G500もそれほど悪くないし、コストパフォーマンスはAH-G500の方が良さそう。

HP-D7
AH-G500は高音より、HP-D7は低音より。低域は全体的にHP-D7の方が出る。ただし、HP-D7の方が量が豊かというだけで、やや薄いところなど質的には良く似ている。高域はAH-G500の方が出る。HP-D7は何を聴いてもやや低めの音を鳴らすが、AH-G500は低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべて若干AH-G500の方が良い。AH-G500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-G500の方が上、厚み、密度はHP-D7の方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはAH-G500の方が上。HP-D7の方がノリが良く、AH-G500の方が繊細。AH-G500の方が線の細い音。響きはHP-D7の方が豊か。弦楽器、金管楽器はAH-G500の方が原音に近く自然。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野はAH-G500はクラシック、HP-D7はポップス。使い分けるなら、ポップスはHP-D7、それ以外はAH-G500。ただし、AH-G500は非常に聴き疲れするので、その場合にはHP-D7の方が良いだろう。

K501
どちらも高音より。超低域はAH-G500の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はほぼ同量。分解能、音場感、原音忠実性はすべてK501の方が上。原音の粗はK501の方がかなり感じられるが、低域はAH-G500の方が原音に近いふくよかな感じが出る。AH-G500の方が高い音は高く、低い音は低く鳴らしてくれる。AH-G500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはAH-G500の方がやや上。どちらもかなり繊細だが、AH-G500はかなりウォーム、K501はかなりシャープで冷淡。響きはAH-G500の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK501の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。基本的には何を聴くにしてもK501の方が良いが、低域はAH-G500の方がかなり自然な感じに出るので、低域が欲しい場合はAH-G500の方が良い。これは、ロックやポップスだけでなく、クラシックについても当てはまる。

K55
AH-G500は高音より、K55はドンシャリ。超低域はAH-G500の方が出るが、低域はK55の方が出る。高域はK55の方が強い。分解能はAH-G500の方が上、音場感はK55の方が上。AH-G500の方が原音忠実だがエッジがきつく非常に聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-G500の方が上。ノリの良さならK55、繊細さならAH-G500。AH-G500は音が細く割れ気味で痛い。K55は塗り潰したように繊細さがない。響きはAH-G500の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにAH-G500の方が自然で良い。打ち込み系の音の表現はK55の方がうまい。得意分野はAH-G500はクラシック、K55はポップス。使い分けるならポップスはK55、それ以外はAH-G500。ただし、AH-G500は非常に聴き疲れするので、常用するにはつらい。


・AHP-505
HPS3000
どちらも低音よりだが、HPS3000の方がドンシャリ。低域はかなり鳴らし方が違うが、AHP-505は薄く曇っている感じ、HPS3000はぼわつき気味なものの薄くはない。高域はHPS3000の方が一段高く量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。どちらもそれほどエッジはきつくないが、どちらかと言えばHPS3000の方がきつい。ただし、AHP-505はエッジはきつくないのだが曇りで疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHPS3000の方が上。HPS3000の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。最大の違いはこもり感や曇り。AHP-505はそのせいで聴けたものではない。その上、HPS3000の方がスピード感がある。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS3000の方がうまい。得意分野はAHP-505はロック、HPS3000はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いように感じる。

HP-X122
AHP-505は低音より、HP-X122はドンシャリ。低域も高域もHP-X122の方が出る。特に高域は雲泥の差。AHP-505では高域がまったく不足に感じるソースでも、HP-X122なら問題なく鳴らしてくれることが多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良くしかも繊細。響きはAHP-505の方がやや豊か。最大の違いはこもり感や曇り。AHP-505はそのせいで聴けたものではない。AHP-505を聴いた後でHP-X122を聴くと、まったく曇っていないと感じる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はAHP-505はロック、HP-X122はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が良いように感じる。

SE-M380
どちらも低音よりだが、SE-M380の方が低域も高域も強い。それでいてAHP-505の方が曇りが気になる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-,M380の方が上。SE-M380の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-M380の方が上。SE-M380の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも豊かでこもり感が気になるが、SE-M380の方がまだまし。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-M380の方が一段上の表現力。ほとんど何を聴くにしてもSE-M380の方が良いように感じる。

SE-MJ7NS
AHP-505は低音より、SE-MJ7NSは低音よりのドンシャリ。低域はSE-MJ7NSの方が厚み・量ともにかなり出る。中域は、AHP-505が低域の曇りに覆われる感じ、SE-MJ7NSが低域の量に負ける感じ。どちらもあまりはっきり聴こえてこないが、低域の少ないソースならAHP-505の方が聴こえてくる。高域はSE-MJ7NSの方が金属的でやや目立つが、量的には低域ほどの差はない。分解能はほぼ同等レベル。音場感はAHP-505の方がやや遠くから音が鳴る感じで把握しやすい。原音忠実性は周波数特性上の癖のなさという点ではAHP-505の方が良いが、原音の粗や生っぽさが感じられないという点ではどちらも同じ。AHP-505の方がややエッジがきついが、音の圧力はSE-MJ7NSの方があるので、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さは低域が少ない分AHP-505の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ同等レベル。厚みはSE-MJ7NSの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-MJ7NSの方がやや上。SE-MJ7NSの方がノリが良い。響きはSE-MJ7NSの方がやや豊か。AHP-505がただ何となく鳴らしている感じなのに対して、SE-MJ7NSは圧力や密度のある感じで押してくる。弦楽器はSE-MJ7NSの方が心地よいが、澄んだ感じが欲しいならAHP-505の方が良い。金管楽器はSE-MJ7NSの方が力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-MJ7NSの方がうまい。質感的にはほぼ同等なのだが、低域の量や音の厚みで勝っているため。使い分けるなら、癖のなさを求めるならAHP-505、低域の量や音の厚みを求めるならSE-MJ7NS。


・ATH-A500
ATH-A900
全体的に非常に近い音。どちらもかなりフラットだが、ATH-A500の方がややドンシャリ。audio-technica特有のスカスカした感じはATH-A900の方が酷い。分解能はATH-A900の方がやや上、音場感はほぼ互角。原音忠実性やエッジのきつさ、明瞭さはほぼ互角。音の鮮やかさや厚みはATH-A500の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ATH-A500の方がノリが良く、ATH-A900の方が繊細。響きはどちらも適度だが、広がりはATH-A900の方があり、こもり感も少ない。弦楽器はほぼ互角だが、低域の滑らかな感触など、ATH-A900の方が若干良いように感じる。、金管楽器は粗があるもののATH-A500の方が瑞々しい。ただし、上品さを求めるなら逆の評価になる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまく、ほぼ互角だが、低音が出ること、ノリが良いこと、音の粗がマッチすること等からATH-A500の方が楽しめることは楽しめる。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分の機種。

CPH7000
ATH-A500はややドンシャリ、CPH7000はややかまぼこ。低域はATH-A500の方が量が多く、質的にもやや低めの音を鳴らす。中域はCPH7000の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-A500の方が細く高い音を鳴らす。分解能はATH-A500の方が上。音の分離はさほど差がないが、一つ一つの音の微細な描写はATH-A500の方がこなしてくれる。音場感はどちらも耳の近くで鳴らしている感じだが、どちらかと言えばATH-A500の方が広がりが感じられる。原音忠実性はほぼ互角。原音の粗や生っぽさはCPH7000の方がやや感じられるように思うが、中域が上ずって突き刺さってくる点はマイナス。ATH-A500の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さはCPH7000の方が上、音の鮮やかさはATH-A500の方が上。厚みはCPH7000の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-A500の方が感じられる。ATH-A500の方がノリが良くかつ繊細。響きはATH-A500の方が豊か。弦楽器はATH-A500の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-A500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低域が出る分ATH-A500の方が良いように感じる。使い分けるなら、基本的にはATH-A500、ATH-A500では低域の量が多すぎたり聴き疲れする場合にはCPH7000。

HD215
ATH-A500はややドンシャリ、HD215はかなりフラット。低域はATH-A500の方がかなり出る。中域はどちらもしっかり聴こえてくるが、HD215の方が癖のない感じ。高域はATH-A500の方が細く硬く金属的な鳴り方をする。分解能はATH-A500の方が上、音場感はHD215の方が上、原音忠実性はほぼ互角。ATH-A500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはATH-A500の方が上。厚みはATH-A500の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD215の方がやや上。ATH-A500の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度だが、低域が出る分ATH-A500の方がこもり感が気になる。弦楽器はATH-A500の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-A500の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低域が出る分ATH-A500の方がやや相性が良いように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ジャンルよりも温かみやヴォーカルの艶っぽさが欲しいときはHD215、それ以外はATH-A500という使い分けが良さそう。

HP830
どちらもややドンシャリだが、HP830の方がフラット。低域はほぼ互角、超低域及び高域〜超高域はATH-A500の方が若干強い。分解能、音場感ともにATH-A500の方がやや良い。どちらも価格のわりにはかなり原音忠実だが、絶対的な評価ではやはりATH-A500の方が上。ただし、audio-technica特有の作ったような高域の癖があるので、それが気になる人も多いだろう。HP830の方がエッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さや音の鮮やかさはATH-A500の方がやや上。厚みはHP830の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP830の方がやや上。どちらも基本的にノリが良いが、それでいて繊細さも持ち合わせている。響きはどちらも適度で好印象だが、こもり感が気になる。特にATH-A500は低域の強いソースでは酷い。どちらも弦楽器、金管楽器ともになかなか魅力的で、価格を考えれば素晴らしいと言って良いレベル。ただ、弦楽器はどちらも違った癖があるので好みが分かれるところだろう。HP830の方が生っぽい粗があり、厚みのある音だが、繊細さや心地よさに欠ける。金管楽器はATH-A500の方がやや高い音で鮮やかだが、やや不自然で粗が目立つ部分がある。打ち込み系の音の表現はどちらも非常にうまい。刺激が欲しいならATH-A500、ノリよく気持ちよく聴きたいならHP830。得意分野はどちらもポップス。どちらもかなりオールマイティ。使い分けるなら、ジャンルよりも求める刺激の度合で分けるべきという気がする。

SE-M870
どちらもややドンシャリだが、SE-M870の方がやや低音よりではあるもののフラット。ATH-A500はaudio-technica独特の高域の癖があるが、SE-M870は癖がなくやや大人しめ。高域の癖を除くとかなり近い音量バランスになる。分解能及び音場感はATH-A500の方が若干良いが、どちらも耳の近くで鳴っているのが気になる人も多そうだ。原音忠実性は若干ATH-A500の方がある。SE-M870の方がエッジがきつくなく、かなり聴きやすい。明瞭さや音の鮮やかさはATH-A500の方がやや上だが、音の厚みはSE-M870の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方がかなり上。ノリの良さならSE-M870、繊細さならATH-A500。どちらも響きは適度だが、密閉型特有のこもり感はある。どちらも弦楽器、金管楽器ともになかなか魅力的。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はATH-A500の方が若干高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもかなり得意だが、ATH-A500だとソースによってはエッジがきつすぎでしかも音の厚みが足りないように感じることがある。SE-M870はそういったこととは無縁。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら金管楽器メインならATH-A500、それ以外はSE-M870だと感じたが、どちらもなんでもそこそこ鳴らしてくれる。総合的に見てどちらも非常にコストパフォーマンスの良い機種。


・ATH-A900
ATH-A500
全体的に非常に近い音。どちらもかなりフラットだが、ATH-A500の方がややドンシャリ。audio-technica特有のスカスカした感じはATH-A900の方が酷い。分解能はATH-A900の方がやや上、音場感はほぼ互角。原音忠実性やエッジのきつさ、明瞭さはほぼ互角。音の鮮やかさや厚みはATH-A500の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ATH-A500の方がノリが良く、ATH-A900の方が繊細。響きはどちらも適度だが、広がりはATH-A900の方があり、こもり感も少ない。弦楽器はほぼ互角だが、低域の滑らかな感触など、ATH-A900の方が若干良いように感じる。、金管楽器は粗があるもののATH-A500の方が瑞々しい。ただし、上品さを求めるなら逆の評価になる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまく、ほぼ互角だが、低音が出ること、ノリが良いこと、音の粗がマッチすること等からATH-A500の方が楽しめることは楽しめる。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分の機種。

ATH-AD700
どちらも若干高音よりでかなり近い音だが、ATH-AD700の方が低域の厚みが薄い上、全体的に若干高い音に聴こえる。高域はどちらもaudio-technica独特の金属めいた癖があるが、ATH-AD700の方がややシャリつく。分解能、音場感ともにATH-A900の方がやや上だが、開放型の分ATH-AD700の方が抜けが良く、低域の強いソースではほぼ互角に感じられる。どちらも原音忠実性はそれなりといった感じで、あまり差はないが、中域〜低域にかけての自然さはATH-AD700の方がある。聴き疲れのしやすさはほぼ互角。どちらもエッジが若干きつめ。明瞭さはほぼ互角だが、低域の強いソースではATH-AD700の方が上。音の鮮やかさや厚みはどちらもやや足りないが、どちらかと言えばATH-A900の方が良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさもやや不足しているが、ATH-AD700の方がサラサラした感触があり、良く感じる。ATH-A900はATH-AD700と比べれば芯の通った音。繊細さならATH-AD700、ノリの良さではATH-A900。響きはどちらも適度で、ATH-AD700の方が抜けが良い一方、音の広がりはATH-A900の方が良い。弦楽器は全音域に渡りATH-AD700の方が繊細で良い。金管楽器は中高域の鮮やかさや芯の通った感じはATH-A900の方があるが、ホルンなどの低域の自然さではATH-AD700の方が良い。打ち込み系の音はATH-A900の方がうまい。ATH-A900は全体的には冷たいような印象を受けるが、打ち込み系の音にはそれが良くマッチする。得意分野はATH-AD700はクラシック、ATH-A900はポップス。使い分けるならクラシックやジャズはATH-AD700、それ以外はATH-A900になる。ATH-AD700はジャンルによっては致命的に低域が足りない可能性があるため、1台で何でも聴く人にはATH-A900の方がおすすめ。

ATH-SX1
ATH-A900はやや高音より、ATH-SX1はかまぼこ。低域は厚みの薄いところなどは良く似ているが、量はATH-A900の方がかなり出る。高域はほぼ同量で質も良く似ているが、中高域はATH-A900の方が太くて強い。分解能、原音忠実性はATH-SX1の方がやや上、音場感はATH-A900の方が上。ATH-A900の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-SX1の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさは互角。ATH-A900の方が低域が出る分ノリが良いように感じるが、その反面音に広がりがあり音が細く頼りないところもあるので、低域があまりなくても良いという人にはATH-SX1の方がノリが良いように感じるかもしれない。響きはATH-A900の方が豊か。弦楽器の表現はほぼ互角。金管楽器はATH-SX1の方が細部まで楽しめる。打ち込み系の音の表現は低域が出る分ATH-A900の方が良いように感じるが、基本的にはほぼ互角。この2機種は似ていることは似ているのだが、決定的な違いもある。どちらが良いというのではなく、好みだろう。ATH-A900は低域がある程度出るにもかかわらずどこかスカスカに感じる一方、ATH-SX1は低域が弱いわりにはスカスカに感じない。ATH-A900の方が音に広がりがある一方、ATH-SX1の方がストレートに音が届く。

ATH-W1000
ATH-W1000の方が高音より。ATH-W1000は澄んだ高域が魅力である一方、ATH-A900の方が低域が出る。分解能、音場感ともにATH-W1000の方が若干良い。ATH-A900は音の広がりと言う点では負けていないが、さすがに分が悪い。どちらも原音忠実とは少し違うが、ATH-W1000はある種の自然さがある。エッジは特にきつくはなく、聴き疲れしにくいが、ATH-A900はサ行の音等が痛い。どちらも明瞭といって良い部類に入ると思うが、この点についてはATH-W1000の方が大きく勝っている。明瞭さと透明感がATH-W1000の最大の特長。低域が出る分ATH-A900の方がノリが良いかと思いきや、線の細さが災いしてほぼ互角と言う印象。逆に、ATH-W1000は高音よりでありながら明瞭で芯の通った音でノリの良さを獲得している。ただし、どちらもaudio-technica独特のスカスカした感じがあるのは否めない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-W1000の方がやや良いが、どちらもいまいち。どちらも響きは適度で、伸びもいまいちのため、弦楽器の表現は得意とは言えない。金管楽器は、一概に良いとはいえないが、ATH-W1000は癖がありながら非常に楽しく聴かせてくれる。中でもハイハットやシンバルが鮮やか。ATH-A900も悪くはないのだが、ATH-W1000ほど芯の通った音でもなければ、鮮やかでもない。得意分野はATH-W1000はポップスまたはブラスメインのクラシック、ATH-A900はポップス。使い分けるならATH-A900でポップス、それ以外はATH-W1000となる。

dj1001
ATH-A900はやや高音より、dj1001はややかまぼこ。低域は全体的にATH-A900の方がかなり出る。高域はほぼ同量だが、ATH-A900の方が硬くて細いため強く感じる。分解能、原音忠実性はATH-A900の方が良い。音場感はdj1001の方が良い。ATH-A900の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはdj1001の方が上だが、音の鮮やかさはATH-A900の方が上。厚みはdj1001の方があるが、情報量はATH-A900の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-A900の方が上。ATH-A900の方がノリが良くしかも繊細。響きはATH-A900の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにATH-A900の方がうまい。弦楽器は伸びが良く心地よいし、金管楽器は一段高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、dj1001の方が線が太く相性が良いように感じる。ただし、低域が不足に感じられることが多い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならポップスはdj1001、それ以外はATH-A900。ATH-A900では線が細く音に厚みが足りないと言う場合にはdj1001を使うのが良いかもしれない。

HFI-650
HFI-650は周波数特性にやや癖があるため一概には音域傾向を判断できないが、超低域はATH-A900、低域はHFI-650、超高域はATH-A900の方が出るように感じる。中域〜高域は互角。分解能は、線が細い分ATH-A900の方が良く感じる。特にハイハットなどの高音はaudio-technica独特の癖があるものの、ATH-A900の方が分かれて聴こえる。ただし、どうしてもシャリつくように感じる。音場感は癖があるもののHFI-650の方が明瞭で良い。原音に近いのはATH-A900だが、これはATH-A900が原音に近いと言うよりもHFI-650が原音忠実を二の次に作られた機種であるからのように感じる。エッジはATH-A900の方がきつく聴き疲れする。どちらも明瞭だが、ATH-A900の方が線が細く低域がおとなしめで明瞭。音の鮮やかさはほぼ互角、厚みはHFI-650の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の方がある。ノリの良さではHFI-650、繊細さではATH-A900。HFI-650の方が芯の通った音を鳴らし、切れが良い。逆に言えばATH-A900の方が広がりがある。弦楽器はHFI-650、金管楽器はATH-A900の方が若干良い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、ATH-A900はやや線が細すぎるように感じる。HFI-650は音に厚みがあり、切れが良く、非常に相性が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、打ち込み系の音やノリの良さ重視のポップスやトランス、それにロックはHFI-650、それ以外はATH-A900。

K271studio
K271studioの方が若干低音よりか。ATH-A900はaudio-technica独特の高音の癖があるため高音よりに感じるが、それだけではなく低音の量もK271studioの方が多い。ATH-A900の方が高音が澄んでいて美しいが、ソースによってはややシャリつく。分解能、音場感ともにATH-A900の方が若干良い。ATH-A900の方が音に広がりがある。逆に言えば、K271studioの方がまとまりがある。原音忠実性はK271studioの方が上。ATH-A900の方がエッジがきつく聴き疲れする。ATH-A900の方が明瞭だが、音の厚みはK271studioの方がある。温かみはK271studioの方が感じられる一方、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらかと言えばK271studioの方が良い。ATH-A900の方がノリが良く、K271studioの方が繊細。響きはK271studioの方が豊かで、広がりはATH-A900の方が上。K271studioはこもり感が気になる。弦楽器は全般的にK271studioの方が良い。金管楽器は高域はATH-A900の方が鮮やかに聴こえるが、低域のふくよかさはK271studioの方が自然で豊か。打ち込み系の音の表現はATH-A900の方が得意。得意分野はK271studioはクラシック、ATH-A900はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズ等で自然な音を重視するならK271studio、ポップス等でノリ重視ならATH-A900。どちらもロックにはあまり向かない。

MV1
ATH-A900はやや高音より、MV1は高音よりのかまぼこ。低域はATH-A900の方がかなり出る。中域は、低域が出ないこととうわずっていることからMV1の方がはっきり聴こえてくる。高域はATH-A900の方がやや高い音で、細くとがっていて目立つ。分解能及び原音忠実性はATH-A900の方がかなり上。特に微細な表現には差が出る。音場感はほぼ互角。ATH-A900の方がエッジがきついが、MV1は中域が近々と耳に突き刺さってきて疲れるため、総合的な聴き疲れとしてはMV1の方が悪いだろう。明瞭さはMV1の方が若干上、音の鮮やかさはATH-A900の方が上。ATH-A900に比べると、MV1は低域が弱いにもかかわらず曇っているように感じることがある。厚みはMV1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-A900の方がかなり上。ATH-A900の方がかなり繊細で、ノリの良さにしてもいい勝負。響きはATH-A900の方が豊か。弦楽器はATH-A900の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-A900の方が高く鮮やかだが、力強さならMV1に分がある。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、MV1は低域の量がまったく足りない。ATH-A900は低域の量はそれほど不足ではないが、質や音の低さには不満が残る。使い分けるなら、基本的にはATH-A900、よほど音の太さや厚みが欲しいときやATH-A900では高域が痛いときだけMV1。

RH-300
ATH-A900はやや高音より、RH-300はややドンシャリ。低域はATH-A900の方が低い音で量も多いように感じがちだが、中低域はRH-300の方が充実している。中域はどちらも癖がなくはっきり聴こえてくるが、どちらかと言えばATH-A900の方が高い音。高域はATH-A900の方が線が細い。音の高さはRH-300の方が高い。分解能はほぼ互角。音の分離といい微細な表現といい、大きな差はない。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばATH-A900の方が良いか。原音忠実性はRH-300の方が良い。ATH-A900はRH-300と比べると低域の周波数特性がフラットではないし、高域は線が細くやや癖がある。エッジのきつさ、聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべて大きな差はないが、どちらかと言えばRH-300の方が良いように感じる。ノリの良さならRH-300、繊細さならATH-A900。響きはどちらも適度でほぼ同量。弦楽器はほぼ互角だが、ベースやチェロの低域の量感が欲しいならATH-A900の方が良いだろう。ただし、フラットで癖のない表現を望むならRH-300の方が良い。金管楽器はRH-300の方が力強くかつ鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、音の厚みや中高域の鮮やかさでRH-300の方が一歩勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、繊細さ重視ならATH-A900、ノリの良さ重視ならRH-300。あるいは、中低域が控え目なぐらいが良いならATH-A900、少し出すぎなくらいでも良いならRH-300。

TR-HP03B
ATH-A900はやや高音より、TR-HP03Bはややドンシャリ。低域は量はほぼ同量だが、TR-HP03Bの方がやや低い音を鳴らす。中域はどちらもあまり癖がなくはっきり聴こえてくる。高域はATH-A900の方が細く尖った鳴らし方。分解能及び音場感はATH-A900の方がやや上。線が細く細かいところまで聴こえてくる。原音忠実性はTR-HP03Bの方が上。ATH-A900は高域の癖が気になるが、TR-HP03Bの方はあまり気にならない。エッジのきつさはほぼ互角だが、線が細く高域が尖っているATH-A900の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-A900の方が上。厚みはTR-HP03Bの方が上。温かみはTR-HP03Bの方がかなり感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等だが、どちらかといえばTR-HP03Bの方が上。ノリの良さならTR-HP03B、繊細さならATH-A900。響きはTR-HP03Bの方がやや豊か。弦楽器はTR-HP03Bの方が心地よく楽しめる。金管楽器はATH-A900の方が細く目立つ感じ、TR-HP03Bの方が力強い感じ。打ち込み系の音の表現は、音の質感的にはATH-A900の方が相性が良いように感じられるが、低域が強く厚みがある面ではTR-HP03Bの方がうまいように感じられる。ソースや好みによって違ってくるだろう。使い分けるなら、心地よく音楽を楽しみたいならTR-HP03B、一般的な性能重視ならATH-A900。


・ATH-AD2000
ATH-AD700
情報量が圧倒的に違う。ATH-AD2000の圧勝。何を聴いても、この情報量の差の前では相性などと言う言葉は無意味。ATH-AD2000の方が若干低音よりだが、どちらもそこそこフラット。分解能、音場感ともにATH-AD2000の方が良い。原音忠実性という意味でもATH-AD2000の方が上。ATH-AD2000の方がエッジがきつくなく、聴きやすい代わり明瞭さではATH-AD700に劣る。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、サ行の痛さはATH-AD2000の方がない。温かみはATH-AD2000の方がある。ATH-AD2000の方が無駄に音が抜けておらず、音に厚みがあり、ノリが良い。ATH-AD700は音が細く、無駄に音が抜けている印象。響きは全音域に渡ってどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにATH-AD2000の方が厚みがあり良いように感じるが、音そのものはかなり近い音を鳴らす。使い分けるなら基本的にはATH-AD2000を使い、高域を楽しみたいソースのときだけATH-AD700を使うといった感じか。

HD595
どちらもかなりフラットだが、HD595の方がやや低音より。低域はどちらも薄い感じだが、HD595の方が全体的に出る。高域はほぼ互角だが、HD595の方が若干出るか。HD595はSENNHEISERにしてはかなり高音より、ATH-AD2000はaudio-technicaにしてはかなり高音がおとなしい。分解能、音場感はややATH-AD2000の方が良いが、耳の近くで音がなっているのが気になる。価格ほどの差は感じない。ATH-AD2000の方が若干原音に近い。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、ATH-AD2000の方がやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-AD2000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD595の方がやや良い。どちらもノリが良いというよりは繊細だが、どちらかと言えばATH-AD2000の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらも伸びが良く非常に心地よく楽しめる。それでいて金管楽器もなかなか鮮やかに鳴らしてくれる。弦楽器も金管楽器も好みのレベルだろう。甲乙つけがたい。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方がややうまい。HD595の方が透明感のある柔らかい音、ATH-AD2000の方が芯の通った硬い音。どちらも非常にオールマイティーなので、折角ならオーケストラ等の能力を存分に発揮できる曲を聴くのに使いたい。使い分けるなら、基本的にはATH-AD2000を使い、温かみが欲しいときにはHD595を使えば良いと思われる。

HD650
HD650の方がやや低音より。分解能、音場感ともにHD650の方が良い。どちらも原音忠実路線と言うよりは魅力的でしかも聴き疲れしないように味付けしてあるが、強いて言えばHD650の方が原音にやや近いように感じる。どちらもエッジはきつくなく非常に聴きやすいが、どちらかと言えばHD650の方が聴きやすい。明瞭さではATH-AD2000の方がやや上。ただし、これはHD650の方が低音が出る分どうしてもそう感じるだけで、低域のないソースではほぼ互角。どちらもあまり明瞭とは言えない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD650の方が一歩勝っているが、どちらも非常に良いレベル。ノリの良さはほぼ互角だが、HD650の方が低域に厚みがありノリが良いと感じることが多い。低域が余り必要のないソースで、しかも打ち込み系の場合には逆転する。響きはどちらも適度だが、HD650の方がやや豊か。弦楽器は全音域に渡りHD650の方が良いが、金管楽器はほぼ互角か、ソースによっては若干ATH-AD2000の方が良いように感じる。使い分けるなら、ポップスはATH-AD2000、それ以外はHD650が良いだろう。

K701
どちらもかなりフラットだが、ATH-AD2000の方がやや低音より。低域はどちらもローエンドまで出ている感じは似ているが、全体的にATH-AD2000の方が量が多い。中域はK701の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。これは、どちらかと言うとATH-AD2000の方が普通よりもやや低めの音で、低域の曇りが多少気になるせいもあるだろう。高域はK701の方が細く高い音を鳴らす。分解能はほぼ互角だが、細部の描写はK701の方がうまい。音場感はK701の方が上。ATH-AD2000は耳の近くで音が鳴っているのが致命的に感じるが、それさえ気にしなければむしろATH-AD2000の方が明確な音場と感じる。原音忠実性はK701の方が上。ただし、どちらも原音の粗や生っぽさをあまり感じない点は似ている。K701の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK701の方が上。厚みはATH-AD2000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が上。ノリの良さならATH-AD2000、繊細さならK701。響きはK701の方が豊か。弦楽器の表現力は基本的に何でもK701の方が良さそうだが、ATH-AD2000も独特の伸びの良さや低域があるので、心地よく弦楽器の低域を楽しみたいならATH-AD2000の方が良いように感じる。金管楽器はK701の方が高く鮮やかだが、力強さではATH-AD2000に分がある。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方がうまい。K701と比べて音が太く低域の量も多いし、何よりダイナミック。使い分けるならポップスやロックはATH-AD2000、クラシックやジャズはK701。どちらもかなりフラットな割には違う音を鳴らす2機種で、使い分けも楽しめる。

SRS-4040
どちらもかなりフラットだが、ATH-AD2000の方がややかまぼこ。低域はSRS-4040の方がやや出るが、コンデンサー型独特の薄さのため圧迫感はATH-AD2000の方がある。高域はSRS-4040の方がやや強い。SRS-4040の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らすような印象。分解能、音場感、原音忠実性はすべてSRS-4040の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく非常に聴きやすいが、ATH-AD2000は音があまり柔らかくない点、SRS-4040は擦れが気になる点が、それぞれ疲れることもある。明瞭さはSRS-4040の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度はATH-AD2000の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-4040の方が上。ノリの良さならATH-AD2000、繊細さならSRS-4040。響きはSRS-4040の方が豊か。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よく楽しめる。サラサラした感じを楽しみたいならSRS-4040、音の濃さみたいなものを楽しみたいならATH-AD2000。金管楽器はどちらも明るく鮮やかで非常に魅力的。残響音を楽しみたいならSRS-4040、メリハリを楽しみたいならATH-AD2000。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方が勢いがありうまい。ATH-AD2000はオールマイティー、SRS-4040はクラシックが得意。使い分けるならクラシックやヴォーカルものはSRS-4040、それ以外はATH-AD2000。


・ATH-AD700
AH-G500
どちらもやや高音よりだが、AH-G500の方がドンシャリ。超低域はAH-G500の方がかなり出る。低域の厚みはほぼ互角。中高域〜高域はAH-G500の方がやや強い。中高域は一段高い音に聴こえる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてATH-AD700の方が上。AH-G500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはほぼ互角。情報量はATH-AD700の方がある。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方が上。どちらも比較的繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにATH-AD700の方が一枚上手。AH-G500はソースによってはかなり安っぽくなる。打ち込み系の音の表現は若干ATH-AD700の方が良い。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもATH-AD700の方が良いだろう。ただし、聴き疲れを除けばAH-G500もそれほど悪くないし、コストパフォーマンスはAH-G500の方が良さそう。

ATH-A900
どちらも若干高音よりでかなり近い音だが、ATH-AD700の方が低域の厚みが薄い上、全体的に若干高い音に聴こえる。高域はどちらもaudio-technica独特の金属めいた癖があるが、ATH-AD700の方がややシャリつく。分解能、音場感ともにATH-A900の方がやや上だが、開放型の分ATH-AD700の方が抜けが良く、低域の強いソースではほぼ互角に感じられる。どちらも原音忠実性はそれなりといった感じで、あまり差はないが、中域〜低域にかけての自然さはATH-AD700の方がある。聴き疲れのしやすさはほぼ互角。どちらもエッジが若干きつめ。明瞭さはほぼ互角だが、低域の強いソースではATH-AD700の方が上。音の鮮やかさや厚みはどちらもやや足りないが、どちらかと言えばATH-A900の方が良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさもやや不足しているが、ATH-AD700の方がサラサラした感触があり、良く感じる。ATH-A900はATH-AD700と比べれば芯の通った音。繊細さならATH-AD700、ノリの良さではATH-A900。響きはどちらも適度で、ATH-AD700の方が抜けが良い一方、音の広がりはATH-A900の方が良い。弦楽器は全音域に渡りATH-AD700の方が繊細で良い。金管楽器は中高域の鮮やかさや芯の通った感じはATH-A900の方があるが、ホルンなどの低域の自然さではATH-AD700の方が良い。打ち込み系の音はATH-A900の方がうまい。ATH-A900は全体的には冷たいような印象を受けるが、打ち込み系の音にはそれが良くマッチする。得意分野はATH-AD700はクラシック、ATH-A900はポップス。使い分けるならクラシックやジャズはATH-AD700、それ以外はATH-A900になる。ATH-AD700はジャンルによっては致命的に低域が足りない可能性があるため、1台で何でも聴く人にはATH-A900の方がおすすめ。

ATH-AD2000
情報量が圧倒的に違う。ATH-AD2000の圧勝。何を聴いても、この情報量の差の前では相性などと言う言葉は無意味。ATH-AD2000の方が若干低音よりだが、どちらもそこそこフラット。分解能、音場感ともにATH-AD2000の方が良い。原音忠実性という意味でもATH-AD2000の方が上。ATH-AD2000の方がエッジがきつくなく、聴きやすい代わり明瞭さではATH-AD700に劣る。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、サ行の痛さはATH-AD2000の方がない。温かみはATH-AD2000の方がある。ATH-AD2000の方が無駄に音が抜けておらず、音に厚みがあり、ノリが良い。ATH-AD700は音が細く、無駄に音が抜けている印象。響きは全音域に渡ってどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにATH-AD2000の方が厚みがあり良いように感じるが、音そのものはかなり近い音を鳴らす。使い分けるなら基本的にはATH-AD2000を使い、高域を楽しみたいソースのときだけATH-AD700を使うといった感じか。

HP-RX500
ATH-AD700はやや高音より、HP-RX500はかなりフラット。低域はHP-RX500の方が若干低い音で量も多め。中域はどちらも癖がないが、どちらかと言えばATH-AD700の方がはっきり聴こえてくる。高域はATH-AD700の方が細く高い音を鳴らす。分解能はATH-AD700の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はほぼ互角だが、どちらかと言えばATH-AD700の方が上。エッジのきつさはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-AD700の方が上。厚みや温かみはほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方が上。基本的な方向性としては、ノリの良さならHP-RX500、繊細さならATH-AD700といった感じ。響きはほぼ同等。弦楽器はATH-AD700の方がかなり繊細で良い。金管楽器はATH-AD700の方が高い音を鳴らすが、HP-RX500方が太く力強い鳴らし方で、好みが分かれるかもしれない。打ち込み系の音の表現は、相性そのものはATH-AD700の方が良いのだが、低域の量はHP-RX500の方があるため、微妙。得意分野はATH-AD700はクラシック、HP-RX500はポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-AD700、低域の量や線の太さを求めるならHP-RX500。

K240monitor
どちらもやや高音より。低域はK240monitorの方がやや低い音で量も多い。中域はATH-AD700の方が低域に邪魔されずに聴こえてくるが、K240monitorにしても十分聴こえてくる。高域はATH-AD700の方が金属的。この2機種を比べた場合、ATH-AD700の方が高音よりと言える。分解能はほぼ互角。音場感はATH-AD700の方が広い。原音忠実性はK240monitorの方が上。ATH-AD700の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-AD700の方が上。厚みはK240monitorの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方がやや上。どちらも繊細な傾向だが、K240monitorの方がおとなしくモニター的。響きはどちらも適度だが、ATH-AD700の方がやや豊か。ATH-AD700の方が全体的に明るい音調な上、艶のある音を鳴らす。弦楽器は基本的にはK240monitorの方が良いが、色付けされていて艶が乗ってもいいならATH-AD700の方が楽しめる面もある。金管楽器はATH-AD700の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、明るい分ATH-AD700の方が良いことが多いようだ。ただし線の細さを嫌うならK240monitorの方が良いだろう。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、明るさや華やかさを求めるならATH-AD700、原音忠実性やおとなしさを求めるならK240monitor。

K501
どちらも高音より。低域はATH-AD700の方がローエンドまで出るしやや量も多い。ATH-AD700は厚みは薄いものの柔らかい質感であるのに対して、K501は非常にタイトな低域。中域はK501の方が低域に邪魔されない上やや高い音なのではっきり聴こえてくる。中高域から高域はK501の方がやや高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性はすべてK501の方がやや上。音の分離にしろ微細な表現にしろK501の方が上。K501はローエンドが弱めで硬くシャープな質感である点が原音とは違うが、それでも全体的にはATH-AD700より原音に近いように感じる。エッジはどちらもきつくないが、どちらかといえば硬くシャープな音を鳴らすK501の方が聴き疲れする。明瞭さはK501の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはタイトながらK501の方があるように感じる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方が上。どちらも基本的には繊細な方向性。響きは、低域はATH-AD700の方が豊か、高域はK501の方が豊か。弦楽器はK501の方が繊細で一枚上手の表現力を持っているが、ローエンドが不足のためチェロ等はATH-AD700の方が心地よく聴ける。金管楽器はK501の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらも難あり。ATH-AD700は低域が柔らかすぎるのが不満だし、K501は低域がタイトすぎるのと線の細さが合わない。ただ、どちらの相性が悪いかという話ならK501の方が悪いだろう。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域や温かみが欲しいときにはATH-AD700、シャープさや澄んだ表現を求めるならK501。

MUSIC SERIES ONE
ATH-AD700はやや高音より、MUSIC SERIES ONEは低音よりのドンシャリ。低域はMUSIC SERIES ONEの方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域は意外と似た表現だが、MUSIC SERIES ONEの方がやや力強く線が太い。分解能はあまり大きな差は感じられないが、どちらかと言えばATH-AD700の方が上か。線の細さが有利なようだ。音場感はどちらも耳の近くで音が鳴っている感覚が気になるし、価格の割にはあまり良くないが、ATH-AD700の方がまだ良いだろう。原音忠実性はMUSIC SERIES ONEの方がやや上。ATH-AD700の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さは低域が弱く線が細い分ATH-AD700の方がやや上。音の鮮やかさははMUSIC SERIES ONEの方が上のように感じる。厚みはMUSIC SERIES ONEの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方が上。ノリの良さならMUSIC SERIES ONE、繊細さならATH-AD700。響きはMUSIC SERIES ONEの方が豊か。弦楽器は基本的にはMUSIC SERIES ONEの方が心地よく、ギター等も楽しめるが、ヴァイオリン等の繊細で澄んだ感じはATH-AD700の方が良いだろう。金管楽器は音そのものにはそれほど違いはないように感じるが、MUSIC SERIES ONEの方が力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現は、一長一短。ATH-AD700は低域の量や圧力に欠ける上、線が細い点が合わないし、MUSIC SERIES ONEは低域の締まりに欠ける。得意分野はATH-AD700がクラシック、MUSIC SERIES ONEがロック。使い分けるなら、線の細さや音の硬さが欲しいときはATH-AD700、それ以外はMUSIC SERIES ONE。


・ATH-C602
DTX20
ATH-C602はややドンシャリ、DTX20は高音より。低域はATH-C602の方が低い音で量も多い。中域は、ATH-C602が低域の曇りに覆われてあまりはっきりしないのに対して、DTX20はかなりはっきり聴こえてくる。中高域から高域はDTX20の方が高い音で量も多い。分解能及び音場感はDTX20の方が上。原音忠実性は、癖のなさと言う意味でATH-C602の方が上。DTX20の方がエッジがきつい上、音に芯が通っている感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDTX20の方が上。厚みはそれほど差があるとは思わないが、質はかなり違う。ATH-C602の方が線が太くぼやけ気味で、DTX20の方がシャープで締まっている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-C602の方がやや上。DTX20の方がノリが良いが、低域の量はATH-C602の方が多く線も太いため、人によって感じ方が違ってきそう。響きは、低域はATH-C602の方が豊か、高域はDTX20の方が豊か。弦楽器はATH-C602の方が心地よい。金管楽器はDTX20の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、基本的にはDTX20の方が相性が良いのだが、低域の量が不足。低域の量を重視するならATH-C602の方が良いだろう。使い分けるなら、癖のなさを優先するならATH-C602、低域の量が少なく雑然とした鳴らし方でも良いから基本能力の高さや明瞭さを重視するならDTX20。

MDR-E931LP
どちらもややドンシャリだが、MDR-E931LPの方がフラット。低域はATH-C602の方がやや量が多い。厚みが特別厚くない点は似ている。中域はMDR-E931LPの方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。ATH-C602は低域の曇りが気になる。高域はATH-C602の方が高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべて大きな差はないが、どちらかといえばMDR-E931LPの方が良い。MDR-E931LPの方が音の分離も微細な表現も若干上。音場感はMDR-E931LPの方が自然な広がりがある。どちらかと言えばMDR-E931LPの方がエッジがきついが、大きな差はない。明瞭さはMDR-E931LPの方が上、音の鮮やかさや厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばATH-C602の方が良い。どちらも特にノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはMDR-E931LPの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角の表現。金管楽器はATH-C602の方がやや高くて粗のある表現。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-E931LPの方が低域の曇りがなく良いように感じる。使い分けるなら、ドンシャリでもいいから温かみや高域の刺激が欲しいならATH-C602、フラットで癖のない方が良いならMDR-E931LP。

サウンド-ヘッドホン-2
ATH-C602はややドンシャリ、サウンド-ヘッドホン-2はやや高音より。低域はATH-C602の方が量が多くぼやけている。中域はサウンド-ヘッドホン-2の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はサウンド-ヘッドホン-2の方がやや細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべて大きな差はないが、どちらかと言えばサウンド-ヘッドホン-2の方が上。エッジのきつさはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさはサウンド-ヘッドホン-2の方が上。厚みはほぼ同等だが、サウンド-ヘッドホン-2の方が締まった音を鳴らす。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは低域が出る分ATH-C602の方が上。サウンド-ヘッドホン-2の方が軽快でノリが良い。響きはATH-C602の方がやや豊か。弦楽器はATH-C602の方が心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを求めるならサウンド-ヘッドホン-2の方が良い。金管楽器はサウンド-ヘッドホン-2の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の量が多い点はATH-C602の方が良いのだが、シャープで明快な鳴らし方をする点はサウンド-ヘッドホン-2の方が良い。使い分けるなら、低域の量や温かみを求めるならATH-C602、総合的な性能や明快さを求めるならサウンド-ヘッドホン-2。

ヘッドホン-3
ATH-C602はややドンシャリ、ヘッドホン-3はかまぼこ。低域はATH-C602の方が低い音で量も多い。中域はATH-C602の方がはっきり聴こえてくる。これは、ヘッドホン-3の中域が全体的に霞んだような感じではっきりしないため。高域はATH-C602の方が高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-C602の方が上。エッジのきつさはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-C602の方が上。ATH-C602の方がノリが良くかつ繊細。響きはATH-C602の方が豊か。弦楽器はATH-C602の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-C602の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はATH-C602の方がうまい。低域の量や音の厚みに差がある。ほとんど何を聴くにしてもATH-C602の方が良いだろう。


・ATH-CK7
AH-C700
AH-C700は低音よりのドンシャリ、ATH-CK7はややドンシャリ。低域はAH-C700の方が柔らかくぼやけていて量が多い。中域はどちらも低域の量に押される感じはあるが、低域の量の割にはどちらもそれなりに聴こえてくる。ただ、低域の量が少なく中域がややうわずっているATH-CK7の方がはっきり聴こえてくる感はある。中高域から高域は、音の高さはそれほど差はないが、ATH-CK7の方が粗がある。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えばAH-C700の方が上。音場感も大きな差はないが、AH-C700の方がやや立体的。原音忠実性は低域の量が過剰な点を除けばAH-C700の方が良い。ATH-CK7の方が作ったような音。ATH-CK7の方がエッジがきついが、AH-C700は低音が出すぎでこもりのせいで疲れるため、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK7の方がやや上。厚みはATH-CK7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-C700の方がやや上。どちらもノリが良いように感じるが、AH-C700は低音で押している感じで鳴らし方そのものは意外と上品であるのに対して、ATH-CK7は鳴らし方そのものが元気な感じ。響きはAH-C700の方が豊かでこもり感が気になる。その他気になる点としては、ATH-CK7の方がドラムや破裂音などが前に出てくる感じで目立つというのが挙げられる。弦楽器はAH-C700の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかで楽しめるが、ATH-CK7の方が派手で、分かりやすい魅力がある。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。音の締まりや低域の質で勝っている。使い分けるなら、低域が出すぎでもいいから作ったような音や硬い音を避けたいならAH-C700、そうでないならATH-CK7。

CX300
ATH-CK7はやや低音よりのドンシャリ、CX300は低音よりのドンシャリ。低域はCX300の方が量が多いし、低い音で厚みもある。ATH-CK7はCX300と比べるとローエンドが弱い印象。中域はATH-CK7がややうわずり気味なのに対して、CX300は癖がない。それでいてCX300の方がはっきり聴こえてくる。高域はどちらもかなり高い音を鳴らしてくれるが、CX300の方が細く粗がない。分解能及び原音忠実性はCX300の方がやや上。音場感は互角。エッジのきつさはほぼ互角だが、ATH-CK7は音が割れ気味で聴き疲れするのに対して、CX300は音の圧力で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCX300の方が上。ただし、これはどちらかと言うとATH-CK7が冷たいという見方の方が正しいだろう。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、CX300の方がやや上。響きはCX300の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はCX300の方が粗がなく繊細。金管楽器はどちらも鮮やかだが、CX300の方がしっかり芯の通った音。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、CX300の方が音に圧力があり楽しめる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはCX300、低域の量が多すぎると感じるときはATH-CK7。

E2c
ATH-CK7はやや低音よりのドンシャリ、E2cはかなりフラット。低域はATH-CK7の方が一段低い音で、量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくるが、ATH-CK7はかなりうわずっているために目立つのに対して、E2cは癖がないため特に目立たない。高域はATH-CK7の方が一段高く量も多い。金属的な鳴り。分解能は、ATH-CK7の方が線が細いため若干良いように感じるが、実際はそれほど差がないだろう。音場感はATH-CK7の方が若干広く良い。原音忠実性はE2cの方が圧倒的に上。ATH-CK7は原音忠実というよりも音楽、主にポップスやブラスを楽しむための音作りに特化しているように感じる。中域から中高域にかけての癖は、人によっては我慢できないだろう。ATH-CK7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-CK7の方が上。特に鮮やかさについてはATH-CK7とE2cは対照的。温かみはどちらもあまり感じられないが、どちらかと言えばE2cの方が上か。ヴォーカルの艶っぽさは、線が細い分ATH-CK7の方が感じられる気がするが、痛さや音割れもあり、プラスマイナスゼロと言った印象。ATH-CK7の方がかなりノリが良い。中域の響きはE2cの方が豊かだが、高域はATH-CK7の方が豊か。弦楽器はE2cの方が変な癖がなく安心して聴ける。金管楽器はATH-CK7の方が高く鮮やかだが、かなり作ったような印象を受ける。打ち込み系の音の表現は、ATH-CK7は線が細く音割れが気になるし、E2cでは厚みや切れに欠ける気がする。一長一短だが、基本的にはATH-CK7の方が楽しめる。使い分けるならポップスやブラスを楽しみたいときはATH-CK7、それ以外はE2cか。

MDR-EX71SL
どちらもややドンシャリだが、どちらかと言うとATH-CK7の方がフラット。低域の量はほぼ互角だが、MDR-EX71SLの方が若干低い音。中域はATH-CK7の方がややうわずり気味のせいかはっきり聴こえてくる。高域はMDR-EX71SLの方が若干高く粗がある音。分解能、音場感ともにATH-CK7の方が若干良いが、価格分の差があるかどうかは微妙。原音忠実性はほぼ互角。基本的にはATH-CK7の方が良いのだが、中域のうわずり気味な部分が致命的に感じる。MDR-EX71SLの中域は癖がない。エッジのきつさ、聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK7の方がやや上。厚みはほぼ互角。温かみはMDR-EX71SLの方が感じられる。ATH-CK7はaudio-technicaらしい硬く冷たい音。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、ATH-CK7の方がキンキンした硬さがあり、MDR-EX71SLの方が若干サ行の音が痛い。どちらもノリが良い。粗のなさという点ではATH-CK7の方が若干上。響きはどちらも適度であまり差はない。弦楽器はATH-CK7の方が原音の生っぽさが感じられるように思うが、基本的に大きな差はない。金管楽器はどちらもかなり高く鮮やかだが、鮮やかさという点ではATH-CK7の方が上。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。得意分野はどちらもポップス、使い分けるならロックはMDR-EX71SL、それ以外はATH-CK7だろう。ただし、ATH-CK7の癖を受け付けない人にとっては、何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いかもしれない。

MDR-EX90SL
どちらもやや低音よりのドンシャリ。低域はATH-CK7の方が低く厚みがあるが、量そのものはMDR-EX90SLの方が多い。中域はATH-CK7の方が低域がタイトな上、うわずり気味ではっきり聴こえてくる。中高域はATH-CK7の方が高く金属的な鳴りだが、高域はMDR-EX90SLの方が自然に良く伸びている。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX90SLの方が上。音の分離はATH-CK7の方がやや上のようにも感じるが、微細な描写のうまさでMDR-EX90SLが圧倒的に勝っている。ATH-CK7が原音忠実など眼中に無い音作りであるのに対して、MDR-EX90SLは基本的に原音忠実路線のように感じる。ATH-CK7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-CK7の方が上。ただし、すべて原音忠実を犠牲にした上でのもの。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方がかなり良い。ATH-CK7がノリが良いのに対して、MDR-EX90SLはノリの良さと繊細さを両立させている。響きはMDR-EX90SLの方が豊か。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-CK7の方が鮮やかで金属的な鳴りが楽しめるが、ソースによってはチープに感じるし原音と違いすぎる。MDR-EX90SLはそれほど原音とかけ離れていない音で鮮やかさを必要量持っている感じ。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。低域の厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-EX90SL、原音忠実などどうでも良いからポップスやロックをノリ良く楽しみたいならATH-CK7。

RP-HJE70
ATH-CK7はやや低音よりのドンシャリ、RP-HJE70はやや高音よりのドンシャリ。低域はATH-CK7の方がやや強い。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、低域や高域よりはやや弱めな印象。ATH-CK7はやや嫌味があるが、PR-HJE70はない。高域はRP-HJE70の方が細く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-HJE70の方がやや上。RP-HJE70の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HJE70の方が上。厚みはほぼ互角。温かみはどちらもあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはRP-HJE70の方がやや上。どちらもノリが良い。響きはどちらもややあっさりから適度だが、どちらかと言えばRP-HJE70の方が豊か。どちらもこもり感はあまり気にならない。硬い音を鳴らす点は良く似ているが、どちらかと言えばATH-CK7の方が柔らかい。弦楽器はどちらもあまりうまくない。特に温かみが足りないように感じる。繊細さはRP-HJE70の方が上。金管楽器はRP-HJE70の方が高く鮮やか。しっかり芯が通っていて気持ちよい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、どちらかと言えばATH-CK7の方がうまい。ATH-CK7の方が低域が出るし、RP-HJE70は線が細い感じが合わない。得意分野はどちらもポップス、RP-HJE70の聴き疲れが嫌ならATH-CK7、ATH-CK7の中域の嫌味や不自然さが気になるならRP-HJE70を使えば良いだろう。


・ATH-CM7TI
A8
A8はやや高音よりのかまぼこ、ATH-CM7TIは高音より。全体的にかなり似た音を鳴らす。低域はA8の方がやや量が多いが、周波数によって鳴らし方が違ってくるので一概には言えない。中域から中高域はA8の方がやや高い音で目立つ。高域はATH-CM7TIの方が量が多く、硬くとがった音を鳴らす。分解能はATH-CM7TIの方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ互角。エッジのきつさはかなり近いが、ATH-CM7TIの方が芯の通った音で聴き疲れするように感じる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CM7TIの方がやや上。厚みはATH-CM7TIの方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さをある程度両立している。響きはかなり近いし、低域があっさりで高域が豊かな点まで似ている。弦楽器はほぼ互角の表現。金管楽器は、どちらもなかなかうまいが、高い音になるほどATH-CM7TIの方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらも相性は良いのだが、低域不足が難点なところは良く似ている。音質的にはどちらか片方持っていれば事足りるように感じるが、分解能や高域の質・量を求めるならATH-CM7TI、そうでなければA8か。

DTX20
どちらも高音より。低域はATH-CM7TIの方がタイトでやや低い音を鳴らすが、全体的な量はほぼ同等。中域はどちらも非常にはっきり聴こえてくる。中高域から高域はATH-CM7TIの方が高く硬い鳴らし方だが、量はDTX20の方が多いように感じる。分解能はATH-CM7TIの方が上。音の分離でかなり勝っているし、微細な表現でも負けてはいない。音場感はほぼ同等。原音忠実性はATH-CM7TIの方がやや上。ATH-CM7TIの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはATH-CM7TIの方が上、音の鮮やかさはほぼ同等。厚みや密度はATH-CM7TIの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDTX20の方が若干上。ATH-CM7TIがノリの良さと繊細さをある程度両立しているのに対して、DTX20はノリの良さにしろ繊細さにしろ不満。ただし、全体的な音楽の鳴らし方としてはDTX20も決して悪くない。響きはどちらも低域はあっさりで高域はやや豊か。ATH-CM7TIの方が全体的に硬く締まった音で、DTX20と比べて雑然とした感じがしない。弦楽器はATH-CM7TIの方が繊細。金管楽器はATH-CM7TIの方がやや高い音を鳴らしてくれるが、DTX20の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらも相性の良い鳴らし方でありながら低域の量が不足している点が良く似ている。使い分けるなら、基本的にはATH-CM7TI、ATH-CM7TIでは音が締まりすぎていたり、硬いと感じたりする場合はDTX20。

MDR-E888LP
ATH-CM7TIは高音より、MDR-E888LPはかなりフラット。低域は基本的にMDR-E888LPの方がかなり量が多いが、一部ATH-CM7TIの方が低い音を鳴らすことがあるし、タイト。中域はATH-CM7TIの方が高い音で目立つ。中高域から高域はATH-CM7TIの方がかなり高い音で、細く硬く金属的な鳴り。分解能はATH-CM7TIの方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はMDR-E888LPの方がやや上のように感じる。とにかくフラットで自然。ただし、付帯音や音楽鑑賞向けの味付けの無さだけを求めるなら、ATH-CM7TIの方が良いだろう。ATH-CM7TIの方がエッジがきつい上、芯の通った硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CM7TIの方が上。これは低域の量によるものだけではない。厚みは判断が難しいが、ATH-CM7TIの方がタイト、MDR-E888LPの方が丸みのある柔らかい音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。どちらもノリの良さと繊細さをある程度両立しているが、ATH-CM7TIは低域不足、MDR-E888LPは音の硬さや圧力が不足。響きはMDR-E888LPの方が豊か。ATH-CM7TIが非常に硬い質感であるのに対して、MDR-E888LPは適度に柔らかい質感。この点が最大の違いだろう。弦楽器はK501のような細く硬く澄んだ音を求めるならATH-CM7TIの方が良いが、MDR-E888LPの方が心地よく楽しめる。金管楽器はATH-CM7TIの方がかなり高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、ATH-CM7TIの方が硬くて切れの良い音で相性が良いのだが、低域の量が不足のため、大抵のソースではどちらの機種も一長一短に感じる。使い分けるなら、高域の表現や分解能が欲しいならATH-CM7TI、自然さや音の柔らかさが欲しいならMDR-E888LP。

MX500
ATH-CM7TIは高音より、MX500はやや高音より。低域は、全体的な量はMX500の方が若干多いように感じるが、ATH-CM7TIの方がタイトでやや低い音を鳴らす。中域から中高域は、MX500の方がやや高く上ずったような音を鳴らす。高域はどちらもしっかり出るが、ATH-CM7TIの方が細く硬く金属的な鳴りで、粗がない。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-CM7TIの方が上。音の細部の描写、音の自然な広がりや抜け、付帯音の無さ等もATH-CM7TIの方が良いように感じる。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはどちらもかなり良く、ほぼ互角。音の鮮やかさはATH-CM7TIの方がやや上。厚みはATH-CM7TIの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもATH-CM7TIの方がやや良いように感じるが、価格ほどの差はないように感じる。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、ATH-CM7TIの方が上のように感じる。響きはMX500の方が豊か。弦楽器はATH-CM7TIの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、ATH-CM7TIの方が芯が通っていてシャリつかないため、基本的には良いだろう。打ち込み系の音の表現はATH-CM7TIの方がうまい。低域の音の低さと音の厚みで差がついている印象。ほとんど何を聴くにしてもATH-CM7TIの方が良いように感じる。

v-moda remix m-class
ATH-CM7TIは高音より、v-moda remix m-classはややドンシャリ。低域はv-moda remix m-classの方が量が多い。中域は低域が少ないせいだけでなくやや高い音でATH-CM7TIの方がはっきり聴こえてくる。高域はATH-CM7TIの方が硬く高い音を鳴らす。分解能はATH-CM7TIの方がやや上。ただし、微細な表現はv-moda remix m-classの方が良いように感じる面もある。音場感はほぼ互角だが、明確さではATH-CM7TI、広がりではv-moda remix m-classの方が若干勝っているように感じる。原音忠実性はv-moda remix m-classの方が上。癖のなさという意味でかなり違う。ATH-CM7TIの方がエッジがきつい上、硬く芯の通った音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CM7TIの方が上。厚みは質感が違うため判断が難しい。ATH-CM7TIの方が締まった音、v-moda remix m-classの方が太い音。ただし、どちらも厚みはしっかりあると言って良いレベル。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはv-moda remix m-classの方が上。パンチや切れがあるという意味ではATH-CM7TIの方がノリが良いが、低域の量感や音の太さではv-moda remix m-classの方が上なので、ソースや聴く人によって判断が違ってきそう。粗がないという意味ではATH-CM7TIの方が繊細だが、硬くて痛い面もあり、そういう意味ではv-moda remix m-classの方が繊細。響きは、低域はv-moda remix m-classの方が豊か、高域はATH-CM7TIの方が豊か。弦楽器はATH-CM7TIの方が粗がなく澄んでいるが、v-moda remix m-classの方が心地よい。金管楽器はATH-CM7TIの方が高く鮮やかだが、v-moda remix m-classのようにもう少し付帯音があっても良いと感じる人が多そうだ。打ち込み系の音の表現は、音の相性そのものはATH-CM7TIの方が良いが、低域の量感等まで含めるとv-moda remix m-classの方が良いという人も多そう。使い分けるなら、明瞭さや締まりを求めるならATH-CM7TI、温かみや低域の量を求めるならv-moda remix m-class。


・ATH-EM7
HP-AL1000
ATH-EM7はかまぼこ、HP-AL1000はやや高音より。低域はどちらも締まっていてほどほどの量だが、HP-AL1000の方が若干量が多く、質的にも低い音を鳴らす。中域はどちらもややうわずり気味な点は似ているが、どちらかと言えばATH-EM7の方がうわずりが少ない。高域はHP-AL1000の方が量が多く、質的にも高く硬い音を鳴らす。分解能はATH-EM7の方がやや上。HP-AL1000は細部の描写に粗がありすぎる。音場感はほぼ同等だが、HP-AL1000の方が臨場感がある感じ。原音忠実性はATH-EM7の方が上。付帯音が少なくシンプルな鳴らし方な点が好印象。HP-AL1000は原音忠実性よりもいかに楽しく聴かせるかという方向性の音作り。HP-AL1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-AL1000の方が上。厚みはHP-AL1000の方がある。温かみはHP-AL1000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはATH-EM7の方がやや上。ノリの良さならHP-AL1000、繊細さならATH-EM7。響きはHP-AL1000の方がやや豊か。弦楽器はHP-AL1000の方がある種の心地よさがあるが、ATH-EM7の方が澄んでいてシンプルな鳴らし方。金管楽器はHP-AL1000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。低域の量、厚み、元気の良さ等で勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく楽しみたいならHP-AL1000、地味でも良いから余計な音を鳴らして欲しくないならATH-EM7。

HP-MD1
ATH-EM7はかまぼこ、HP-MD1はかなりフラット。低域はHP-MD1の方が一段低い音を鳴らしてくれる。ATH-EM7は低域の量がかなり不足に感じるが、HP-MD1はそれほど不足に感じない。高域はATH-EM7の方がシャリつかず、質がいい。分解能、原音忠実性はATH-EM7の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、どちらかというとHP-MD1の方が良い。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとATH-EM7の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-EM7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-EM7の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。HP-MD1はソースによってはやや曇っているように感じたり、嫌味が出たりするが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器は基本的にはATH-EM7の方が良いのだが、チェロ等の低域はまったくダメなので、多少繊細さを犠牲にしても低域の量が欲しいという人はHP-MD1の方が良いだろう。金管楽器はATH-EM7の方がやや鮮やかでaudio-technicaらしい金物っぽい鳴り。打ち込み系の音の表現もATH-EM7の方がうまいが、低域が足りないのが難点。低域が欲しい人はHP-MD1の方が合うかもしれない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、繊細さを選ぶならATH-EM7、低域の量を選ぶならHP-MD1。

OMX52
ATH-EM7はかまぼこ、OMX52はかなりフラット。低域はOMX52の方がやや量が多くぼやけた感じ。ATH-EM7の方が締まりがある。中域はATH-EM7の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-EM7の方がやや高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はATH-EM7の方が上。音場感はほぼ互角。ATH-EM7の方がエッジがきつい上、中域がキンキン突き刺さってくる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-EM7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはOMX52の方が上。ATH-EM7の方がノリが良い。OMX52がただ何となく鳴らしているのに対して、ATH-EM7はメリハリがある。響きはOMX52の方がやや豊か。弦楽器はOMX52の方が心地よい。金管楽器はATH-EM7の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-EM7の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-EM7、中域の癖が気になるときや温かみが欲しいときはOMX52。

PHP-200
ATH-EM7はかまぼこ、PHP-200はややドンシャリながらかなりフラット。低域は圧倒的にPHP-200の方が出る。ATH-EM7は低域が不足に感じることが多いが、PHP-200はそんなことはない。音そのものも、一段低いしっかりした低音。高域もPHP-200の方が出るが、低域ほどの差はない。分解能、原音忠実性はATH-EM7の方がやや上、音場感はほぼ互角。ATH-EM7の方が線が細いのだが、PHP-200の方がサ行の音等が痛く、全体的な聴き疲れのレベルとしてはほぼ互角。明瞭さはATH-EM7の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みはPHP-200の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPHP-200の方がやや上。ノリの良さならPHP-200、繊細さならATH-EM7。響きはPHP-200の方が豊か。弦楽器の表現はほぼ互角だが、チェロ等の低域が欲しい場合にはPHP-200の方が良い。金管楽器はどちらも悪くないが、PHP-200の方が力強く前に出てくる印象。打ち込み系の音の表現は、基本的にはATH-EM7の方がうまいのだが、大抵のソースでは低域不足に感じるため、単にノリ良く楽しみたいならPHP-200の方が良いことが多い。得意分野は、どちらもポップス。個人的には、ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が楽しめる気がするが、ATH-EM7と比べて粗削りなので、クラシック等で繊細さが欲しい場合はATH-EM7の方が良いだろう。コストパフォーマンスはPHP-200の方がかなり良い。

SE-E33
どちらもかまぼこだが、ATH-EM7の方がやや高音より。低域はSE-E33の方が若干強い印象。ただ、曇っているためにそう感じる部分もあることは否めない。いずれにせよ、両機種とも不足に感じることに変わりはない。高域はATH-EM7の方がシャリつかないし、量も出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-EM7の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとATH-EM7の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-EM7の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。SE-E33はソースによってはやや曇っているように感じるが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器は、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-EM7の方がうまい。特に金管楽器の鮮やかさは段違い。AHT-EM7はもう少し低域が出れば非常に良い機種になっただろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもATH-EM7の方が良いだろう。

SE-EX9
ATH-EM7はかまぼこ、SE-EX9はややドンシャリ。低域はSE-EX9の方がかなりしっかり鳴らしてくれる。中域は、低域に邪魔されないだけでなくややうわずっているATH-EM7の方がはっきり聴こえてくる。中高域はSE-EX9の方が高い音を鳴らす。高域はSE-EX9の方が量が多い。分解能はSE-EX9の方がやや上。音場感はSE-EX9の方が広くしかも立体的。原音忠実性は比較しずらい。かまぼことドンシャリという違いを除けば、ほぼ同等レベルだろう。SE-EX9の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、ATH-EM7はソースによっては中域がうわずって痛いので、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さは低域が出ない分ATH-EM7の方が上。音の鮮やかさ、厚みはSE-EX9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-EX9の方が上。SE-EX9の方がノリが良い。響きはSE-EX9の方が豊か。弦楽器はSE-EX9の方が心地よい。金管楽器はSE-EX9の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、音の質感としてはどちらもなかなか良いが、ATH-EM7は決定的に低域の量が不足しているので、そういう点まで含めるとSE-EX9の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-EX9、低域の量が控え目な方が良い場合にはATH-EM7。


・ATH-ES7
ATH-ON3
ATH-ES7はややドンシャリ、ATH-ON3は高音よりのかまぼこ。低域はATH-ES7の方がかなり量が多く、しっかり低い音を鳴らす。中域はATH-ON3の方がはっきり聴こえる。これは、低域の量が少ない上に、中域に嫌味があり目立つため。高域はATH-ES7の方が量が多く、しっかり高い音を鳴らす。分解能はATH-ES7の方がかなり上。音の分離にしろ微細な描写にしろ大きな差がある。音場感はATH-ES7の方が広く明確。原音忠実性はどちらも良いとは言いがたいが、原音の実体感のようなものはATH-ES7の方がかなり上。ATH-ES7の方がエッジがきつく、音の圧力もあるので聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはATH-ES7の方が上。厚みはATH-ES7の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-ES7の方が上。ATH-ES7の方がノリが良く、繊細さという意味でも負けていない。響きはATH-ES7の方が豊か。弦楽器はATH-ES7の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ES7の方が高く鮮やかな音で、力強い。打ち込み系の音の表現はATH-ES7の方がうまい。低域の量、音の厚みに大きな差がある。使い分けるなら、ATH-ES7ではどうしても低域の量が多すぎる場合にはATH-ON3、それ以外はATH-ES7。

ATH-PRO700
どちらもややドンシャリだが、ATH-PRO700の方がややフラット。低域は厚み・量ともにATH-ES7の方が上。中域はATH-ES7の方が癖がなくしっかり聴こえてくる。ATH-PRO700はやや曇っているように感じるし、ソースによっては嫌味が出る。高域はかなり似た鳴らし方だが、中高域はATH-ES7の方がしっかり鳴っている印象。分解能、音場感はATH-PRO700の方がやや上。原音忠実性はどちらもいまいち。どちらも多少エッジがきつめ。聴き疲れは同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-ES7の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、どちらかと言えばATH-ES7の方が良い。どちらもノリが良いが、ATH-ES7の方がストレートに音が届く感じで楽しめる。響きはATH-ES7の方が豊かで、こもり感がかなり気になるが、その点ははなから眼中にない音作り。弦楽器はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばATH-ES7の方が嫌味がない。金管楽器はどちらも鮮やかで楽しめるが、ATH-ES7の方が若干明るく力強い鳴らし方に感じた。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、低域の厚みがある分ATH-ES7の方がややうまいように感じた。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-ES7、どうしても分解能や音場感が欲しいときにはATH-PRO700か。

HD25-1
どちらもややドンシャリだが、ATH-ES7の方がやや低音よりか。低域はATH-ES7の方が一段低い音を鳴らす。ただし、厚みはHD25-1の方があるように感じる。中域はHD25-1の方がしっかり聴こえてくる。中高域はATH-ES7の方が明るく鳴らすし、高域も基本的にはATH-ES7の方が出るようだが、一部の高域はHD25-1の方が出るようにも感じる。ただ、基本的にATH-ES7の方が派手な鳴らし方なので、大抵の場合ATH-ES7の方が高音が強いように感じるだろう。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がやや上。HD25-1の方が聴き疲れしにくい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-ES7の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方が上。どちらもノリが良いが、ATH-ES7は明るく華のある感じ、HD25-1は地味ながら圧力・迫力があり安定した感じ。響きはHD25-1の方がやや豊か。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ES7の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。重低音や派手な明るさを楽しみたいならATH-ES7、そうでないならHD25-1といった感じか。得意分野はATH-ES7がポップス、HD25-1がロック。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲はATH-ES7、それ以外はHD25-1。

K27i
ATH-ES7はややドンシャリ。K27iはかなり低音よりのドンシャリ。低域はK27iの方がやや量が多いが、厚みはATH-ES7の方があるように感じられる。K27iの方がかなり曇りが気になる。中域はATH-ES7の方が低域に埋もれずしっかり聴こえてくる。高域はATH-ES7の方がかなり硬く高い音を鳴らす。分解能、音場感ともにATH-ES7の方が良い。原音忠実性はどちらもいまいちだが、これはどちらの機種も原音忠実より楽しく聴かせることを優先したためだろう。原音の実体感はATH-ES7の方があるように感じる。ATH-ES7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-ES7の方がかなり良い。厚みはATH-ES7の方がややあるように感じられる。温かみはK27iの方が感じられる。低域の曇りがある点、音に硬さがない点が違う。ヴォーカルの艶っぽさは比較が難しい。ATH-ES7は線の細い感じが艶っぽさに繋がっているし、K27iはATH-ES7より音が柔らかく曇りがちな点が艶っぽさに繋がっている。ATH-ES7の方がノリが良くかつ繊細。響きはどちらも適度だが、こもり感はK27iの方が気になるし、切れという意味ではATH-ES7の方が上に感じられる。弦楽器はATH-ES7の方が繊細だが、心地よさはK27iの方が上に感じられる。金管楽器はATH-ES7の方が高く鮮やかで金属的な鳴り。打ち込み系の音の表現はATH-ES7の方がうまい。音の硬さや鮮やかさが合う。得意分野はATH-ES7がポップス、K27iがロック。使い分けるなら、基本的にはATH-ES7で、音の硬さや聴き疲れがいやなときにはK27iか。

RP-DJ700
どちらもややドンシャリだが、ATH-ES7の方がやや低音より。低域はATH-ES7の方が一段低い音で厚み・量ともに上。中域は量的にはRP-DJ700の方が出ているようだが、どこか曇っていたり嫌味が出たりする。同様に高域もRP-DJ700の方が出ているが、どこか曇っていて一聴してATH-ES7の方が高域が目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-ES7の方が上。どちらもややエッジがきつめ。聴き疲れは同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-ES7の方が上。ATH-ES7の方がノリが良くしかも繊細。響きはATH-ES7の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はどちらもあまり得意ではないが、どちらかと言えばATH-ES7の方が自然。金管楽器はATH-ES7の方が圧倒的に鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-ES7の方がうまい。低域の質、音圧、切れ、どれをとってもATH-ES7の方が上。得意分野はATH-ES7がポップス、RP-DJ700がロックだが、ほとんど何を聴くにしてもATH-ES7の方が良いように感じる。

SE-MJ5
ATH-ES7はややドンシャリ、SE-MJ5は低音よりのドンシャリ。低域はどちらもしっかり出るが、SE-MJ5の方がやや量が多く曇っている感じ。中域はATH-ES7の方が低域と混ざらない感じではっきり聴こえてくる。高域はSE-MJ5の方がやや高い音を鳴らす。ATH-ES7がシャンと鳴らすところをSE-MJ5はチンと鳴らす感じ。分解能はATH-ES7の方がやや上。音の分離に差がある。音場感はほぼ同レベル。原音忠実性はどちらもいまいち。どちらも原音忠実よりは楽しく聴かせることを目的とした音作りに感じる。ATH-ES7の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-ES7の方が上。厚みはATH-ES7の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。どちらもノリが良い傾向だが、ATH-ES7の方が圧力や締まりがある感じ。響きはSE-MJ5の方が豊か。弦楽器はどちらもいまいちでほぼ同レベル。金管楽器はATH-ES7の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、ATH-ES7の方が低域の締まりや切れで勝っているように感じる。使い分けるなら、基本的にはATH-ES7、聴き疲れを避けたい場合や高域の質感の好みによってはSE-MJ5。


・ATH-M40fs
ATH-SX1
どちらもかまぼこ。超低域から超高域まで非常に近い音量バランス。ただし、ATH-M40fsの方が響きが豊かでこもり感があるため、ソースによっては低音が出るように感じる。分解能はATH-SX1の方が若干良く、音場感はほぼ互角。どちらも非常に原音に近い。ATH-M40fsの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてATH-SX1の方が若干上。どちらもモニター用の音でノリが良いわけでも繊細なわけでもない、芯の通った音。どちらかといえばATH-SX1の方がノリが良くしかも繊細。ATH-SX1の方が響きがあっさりで切れが良く、こもり感がない。ATH-SX1はaudio-technica独特のスカスカした感じはほとんどないが、ATH-M40fsはある。基本的にはかなり似ているのだが、音楽鑑賞に使うという観点から見ると、決定的な差がある。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-SX1の方がやや上。何を聴くにしてもATH-SX1の方が楽しめる。

MDR-CD900ST
ATH-M40fsはかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域は全体的にMDR-CD900STの方が出る。高域はaudio-technica独特の癖があるためATH-M40fsの方が高い音に聴こえるが、量的にはほぼ互角。MDR-CD900STの方が若干分解能が良く原音忠実。音場感は互角。どちらもエッジがきつく非常に聴き疲れするが、響きが豊かで低音が出る分大抵のソースではMDR-CD900STの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-M40fsの方が上。厚みや密度はMDR-CD900STの方が上。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさには欠ける。モニター用らしい冷静な鳴らし方。弦楽器はMDR-CD900STの方が原音に近くしかも伸びも良い。金管楽器や打ち込み系の音の表現はATH-M40fsの方がうまい。使い分けるなら打ち込み系の曲やブラスメインの曲はATH-M40fs、それ以外はMDR-CD900ST。特に低音が欲しい場合にはMDR-CD900STの方が良い。

SE-900D
どちらもややかまぼこ。低域はSE-900Dの方が低い音。ATH-M40fsの方が薄く曇ったような低域。中域はSE-900Dの方がやや高い音で、低域と繋がっていないような感じではっきり聴こえてくる。高域はSE-900Dの方がやや高い音。分解能はほぼ互角。音場感はどちらもあまり良くはないが、SE-900Dの方がやや上。原音忠実性はATH-M40fsの方が上。ATH-M40fsの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはSE-900Dの方が低域の曇りがなく、かなり上。音の鮮やかさもどちらかと言えばSE-900Dの方が上。厚みはSE-900Dの方がしっかりある。温かみはSE-900Dの方が多少感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは表現の違いはあるがほぼ同レベル。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、SE-900Dの方がやや上のように感じられる。ATH-M40fsはモニター的で冷静な鳴らし方。響きはSE-900Dの方がやや豊か。弦楽器はSE-900Dの方が心地よい。ATH-M40fsはかなり味気なく冷たい感じ。金管楽器はSE-900Dの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-900Dの方がうまい。厚み、切れ、低域の質感等で勝っている。使い分けるなら、基本的にはSE-900D、原音忠実性を最優先するならATH-M40fs。

SP-K300
ATH-M40fsはかまぼこ、SP-K300はドンシャリ。低域の量は全体的にSP-K300の方がかなり出るが、質は似ている。高域はどちらもaudio-technica独特の癖がある感じで質的には似ているが、量はSP-K300の方がやや多い。分解能、原音忠実性はATH-M40fsの方が上。音場感はほぼ互角。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、線が細い分ATH-M40fsの方が疲れる印象。ただし、人によってはSP-K300は低域の量が出すぎで聴き疲れするかもしれない。明瞭さはATH-M40fsの方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。温かみは低音が出る分SP-K300の方があるように感じるが、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。響きはSP-K300の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてほぼ互角。この2機種の大きな違いは、低域の量と音の細さ。使い分けるならクラシックやジャズはATH-M40fs、ポップスやロックはSP-K300。


・ATH-ON3
ATH-ES7
ATH-ES7はややドンシャリ、ATH-ON3は高音よりのかまぼこ。低域はATH-ES7の方がかなり量が多く、しっかり低い音を鳴らす。中域はATH-ON3の方がはっきり聴こえる。これは、低域の量が少ない上に、中域に嫌味があり目立つため。高域はATH-ES7の方が量が多く、しっかり高い音を鳴らす。分解能はATH-ES7の方がかなり上。音の分離にしろ微細な描写にしろ大きな差がある。音場感はATH-ES7の方が広く明確。原音忠実性はどちらも良いとは言いがたいが、原音の実体感のようなものはATH-ES7の方がかなり上。ATH-ES7の方がエッジがきつく、音の圧力もあるので聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ同レベル、音の鮮やかさはATH-ES7の方が上。厚みはATH-ES7の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-ES7の方が上。ATH-ES7の方がノリが良く、繊細さという意味でも負けていない。響きはATH-ES7の方が豊か。弦楽器はATH-ES7の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ES7の方が高く鮮やかな音で、力強い。打ち込み系の音の表現はATH-ES7の方がうまい。低域の量、音の厚みに大きな差がある。使い分けるなら、ATH-ES7ではどうしても低域の量が多すぎる場合にはATH-ON3、それ以外はATH-ES7。

EHP-CL430
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、EHP-CL430は低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方がかなり量が多く、しっかり低い音を鳴らす。中域は低域に邪魔されない分ATH-ON3の方がはっきり聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方が高い音で量も多い。分解能は同等レベル。音の分離はATH-ON3の方がやや良いが、一つ一つの音の微細な表現はEHP-CL430の方がやや良い。音場感はEHP-CL430の方がやや広い。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、ATH-ON3の方が原音の粗や生っぽさは感じられる。EHP-CL430の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が弱い分ATH-ON3の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはEHP-CL430の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が上。EHP-CL430の方がかなりノリが良い。響きはEHP-CL430の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はEHP-CL430の方が心地よいが、低域が鳴らなくてもいいから原音らしさを求めると言うならATH-ON3の方が良いだろう。金管楽器はどちらが良いというよりも傾向が違う。EHP-CL430の方がやや高い音だが、質感的にはATH-ON3の方が金属的。打ち込み系の音の表現は、音の質感はATH-ON3の方が合うが、あまりに低域が出ないので普通はEHP-CL430の方が良いだろう。使い分けるなら、低域が欲しいならEHP-CL430、低域は出なくていいから明瞭さが欲しいならATH-ON3。

HD25-1
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、HD25-1はややドンシャリ。低域はHD25-1の方がかなり量が多い。中域はATH-ON3の方が低域に邪魔されない上、癖のある音ではっきり聴こえてくる。高域は意外と似た音を鳴らすが、ATH-ON3の方がやや金属的、HD25-1の方がやや量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がかなり上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。ATH-ON3はあまりに低域が少なすぎる。HD25-1の方が若干エッジがきつく、圧力のある音で聴き疲れする。明瞭さは低域が出ない分ATH-ON3の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方がかなり上。HD25-1の方がノリが良くかつ繊細。響きはHD25-1の方がやや豊か。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHD25-1の方が力強く魅力的。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。音の質感としてはATH-ON3の方が良いくらいだが、音の厚みや低域の量感でHD25-1の方がかなり勝っている。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、HD25-1では余程低域の量が多いと感じるときだけATH-ON3。

PX200
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はPX200の方がやや低い音で量も多い。中域はATH-ON3の方が低域に邪魔されない上、嫌味のある音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-ON3の方がやや高い音で量も多い。この2機種を見比べた場合、ATH-ON3の方が高音よりと言えるだろう。分解能はほぼ同レベルだが、一つ一つの音の微細な描写はPX200の方がやや良いように感じられる。音場感はほぼ同レベル。原音忠実性はPX200の方が上。PX200の方が周波数特性上の癖が小さい。ATH-ON3の方がややエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはPX200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が上。PX200の方が繊細。響きはPX200の方がやや豊か。弦楽器はPX200の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ON3の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、音の質感はATH-ON3の方が合うが、あまりに低域が出ないのでPX200の方が普通に聴ける感じ。使い分けるなら、明るさや高域の質・量を求めるならATH-ON3、繊細さや低域の質・量を求めるならPX200。


・ATH-PRO700
ATH-ES7
どちらもややドンシャリだが、ATH-PRO700の方がややフラット。低域は厚み・量ともにATH-ES7の方が上。中域はATH-ES7の方が癖がなくしっかり聴こえてくる。ATH-PRO700はやや曇っているように感じるし、ソースによっては嫌味が出る。高域はかなり似た鳴らし方だが、中高域はATH-ES7の方がしっかり鳴っている印象。分解能、音場感はATH-PRO700の方がやや上。原音忠実性はどちらもいまいち。どちらも多少エッジがきつめ。聴き疲れは同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-ES7の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、どちらかと言えばATH-ES7の方が良い。どちらもノリが良いが、ATH-ES7の方がストレートに音が届く感じで楽しめる。響きはATH-ES7の方が豊かで、こもり感がかなり気になるが、その点ははなから眼中にない音作り。弦楽器はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばATH-ES7の方が嫌味がない。金管楽器はどちらも鮮やかで楽しめるが、ATH-ES7の方が若干明るく力強い鳴らし方に感じた。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、低域の厚みがある分ATH-ES7の方がややうまいように感じた。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-ES7、どうしても分解能や音場感が欲しいときにはATH-PRO700か。

ATH-SX1
ATH-PRO700はドンシャリ、ATH-SX1はかまぼこ。特に低域は全体的にATH-PRO700の方がかなり出る。分解能はほぼ同等、音場感はATH-PRO700の方がやや良い。ATH-SX1の方が原音に近い。ATH-PRO700の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方が若干上。ATH-PRO700の方がノリが良い。どちらも響きはあっさり。弦楽器、金管楽器ともにATH-SX1の方が原音に近くしかも魅力的。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、ドンシャリな分ATH-PRO700の方が合うようだ。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く楽しみたい場合はATH-PRO700、それ以外はATH-SX1。

DJ Pro 3000
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方が高音より。低域はDJ Pro 3000の方がやや低めの音を鳴らすが、量はほぼ同量。高域はATH-PRO700の方がかなり強く細く硬い。分解能、音場感、原音忠実性はすべてATH-PRO700の方が上。ATH-PRO700の方が線が細い上に高域が出るためやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてATH-PRO700の方が上。DJ Pro 3000は無難な音なのだが、ATH-PRO700と比べるとどうしても曇っているように感じる。別の言い方をすると、ATH-PRO700にはそれなりの水気があるが、DJ Pro 3000は無い。温かみはDJ Pro 3000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろATH-PRO700の方が上。響きはATH-PRO700の方が豊か。弦楽器はATH-PRO700は弦楽器独特の繊細さを感じられるレベル、DJ Pro 3000は感じられないレベル。金管楽器はATH-PRO700の方が一段高くキラキラ輝くような音を鳴らす。打ち込み系の音の表現もATH-PRO700の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。基本的には何を聴くにしてもATH-PRO700の方が良いのだが、audio-technica独特のスカスカした感じや高域の癖があるので、その辺りが気になる人はDJ Pro 3000の方が良いかもしれない。

DJ1 PRO
どちらもややドンシャリ。超低域はATH-PRO700の方が出るが、厚みはほぼ互角。大抵のソースではATH-PRO700の方がかなり低音が強く感じる。高域は若干DJ1 PROの方が強め。分解能、音場感、原音忠実性すべてDJ1 PROの方がやや上。どちらもエッジがきつめでやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてDJ1 PROの方が上。特に、明瞭さや鮮やかさは雲泥の差で、DJ1 PROの非常に明瞭な音に比べるとATH-PRO700が曇っているようにすら感じられる。低音が出る分ATH-PRO700の方がノリが良いように感じられるが、音の厚みや切れはDJ1 PROの方が上なので、聴き込むとDJ1 PROの方がノリ良く感じられる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDJ1 PROの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもDJ1 PROの方が良いように感じるが、低域の欲しいロック等はATH-PRO700の方が良いかもしれない。

DJX-1
ATH-PRO700はややドンシャリ、DJX-1は低音よりのドンシャリ。低域はDJX-1の方がややぼやけていて量も多い。中域はATH-PRO700の方がややうわずっている感じで目立つが、これはDJX-1の方が非常に落ち着いていることもそう感じる要因だろう。高域はATH-PRO700の方がやや高い音で量も多い。この2機種だけを見比べた場合、ATH-PRO700の方がやや高音よりと言えるだろう。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろほぼ互角。音場はどちらもDJ用にしては広い。ATH-PRO700はソースによっては中域がうわずっている感じが気になるが、DJX-1は低域がぼやけて量が多いのが気になる。ATH-PRO700の方がややエッジがきついがそれほど差はないし、DJX-1の方が低域が出すぎで疲れる感じもあり、総合的な聴き疲れは同レベルだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方がやや上。厚みはDJX-1の方があるように感じるが、これはATH-PRO700の方が締まっていて無駄のない鳴らし方であるため相対的にそう感じる面が大きいように思う。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJX-1の方が上。これはDJX-1の方が低域の量が多く中域が落ち着いた鳴らし方であるためだろう。どちらもノリが良いが、ATH-PRO700の方がやや切れがある感じ、DJX-1の方が低音で押す感じ。ATH-PRO700の方が打楽器や破裂音が目立つ。響きは、低域はDJX-1の方が豊か、高域はATH-PRO700の方が豊か。DJX-1の方がこもり感が気になる。弦楽器はDJX-1の方が心地よいが、ヴァイオリンの澄んだ感じ等を求めるならATH-PRO700の方が良いこともあるだろう。金管楽器はATH-PRO700の方が金属的で鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はATH-PRO700の方が良い。DJX-1は低域がぼやけて量が出すぎだし、中高域の鮮やかさもATH-PRO700に分がある。使い分けるなら、中域のうわずっている感じが気にならないならATH-PRO700、気になるならDJX-1。或いは、ロックやヴォーカルものを聴くならDJX-1、それ以外はATH-PRO700。

HP-M1000
どちらもややドンシャリだが、ATH-PRO700の方がやや高音より。低域は全体的にHP-M1000の方が若干出るし、高域はATH-PRO700の方が出る。高域はATH-PRO700の方が硬く澄んでいてシャリつかない。分解能はATH-PRO700の方が上、音場感はHP-M1000の方が上。ATH-PRO700の方が原音忠実だが、エッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはATH-PRO700の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度にはそれほど差は感じないが、HP-M1000はやや濁っているのに対してATH-PRO700はかなり澄んでいる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がやや良い。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならATH-PRO700。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はATH-PRO700の方が原音に近く生の粗っぽさが感じられるが、マイルドで心地よく聴けるのはHP-M1000。金管楽器はATH-PRO700の方が鮮やかで澄んでいる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。ATH-PRO700の方が芯が通っていて硬くシャープな鳴り方。見方を変えればHP-M1000の方がぼやけて濁っている。得意分野はどちらもポップス。基本的にどちらが優れたヘッドホンかと言われればATH-PRO700だと思うが、どちらが楽しく聴けるかと言われればHP-M1000。使い分けと言うより、そのあたりで好みが分かれる2機種だと思うので、あまり比較したくはない。

MDR-Z700DJ
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方がやや高音より。低域は全体的に若干MDR-Z700DJの方が出るし、高域はATH-PRO700の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-PRO700の方が若干良い。ATH-PRO700の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚み、密度はMDR-Z00DJの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z700DJの方が若干良い。ノリの良さならMDR-Z700DJ、繊細さならATH-PRO700。響きはMDR-Z700DJの方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器、金管楽器ともにATH-PRO700の方が良い。特にブラスの輝きは段違い。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。低音が欲しい人はMDR-Z700DJの方が良く感じるだろうが、そうでなければATH-PRO700の方がシャープで良いと思われる。得意分野はどちらもポップス。使い分けと言うよりは、高域のキンキンした感じが嫌いな人や低域が欲しい人、厚みのある安定した音を求める人はMDR-Z700DJ、それ以外の人はATH-PRO700を使えば良いだろう。

PC-100
ATH-PRO700はややドンシャリ、PC-100はやや高音より。低域は全体的にATH-PRO700の方が出る。中域はPC-100の方がやや出ている感触。高域はほぼ互角だが、ATH-PRO700の方がaudio-technica独特の金属めいた鳴り方があるためやや出るように感じがち。分解能はATH-PRO700、音場感はPC-100の方が良い。ATH-PRO700の方が原音忠実だがエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚みや密度はPC-100の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方が上。ATH-PRO700の方がノリが良くしかも繊細さもある。響きはATH-PRO700の方が豊か。弦楽器、金管楽器はいずれもATH-PRO700の方が良い。PC-100は塗り潰したような癖がありいまいち。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばATH-PRO700の方が良い。低音が出る上、音にシャープさがあるため。ただし、音に厚みがあるほうが好きならPC-100の方が良いかもしれない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならテクノやトランスでPC-100の音の粗さや厚みにマッチするソースにはPC-100、それ以外はATH-PRO700。

SE-MJ5
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方がややフラット。低域はSE-MJ5の方がやや低い音を鳴らすが、量はあまり差がない。中域はATH-PRO700の方がはっきり聴こえてくる。中高域から高域はSE-MJ5の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-PRO700の方が上。どちらもそれほどエッジはきつくないのだが、音の圧力で聴き疲れする部分は似ている。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ互角だが、音の密度はATH-PRO700の方が高いように感じる。どちらもノリが良い。響きはSE-MJ5の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はどちらもうまくない。金管楽器はSE-MJ5の方がかなり高い音で目立つが、チープな感触。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、基本性能に勝るATH-PRO700にやや分があるように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-PRO700、高域が欲しいときにはSE-MJ5。


・ATH-SX1
ATH-A900
ATH-A900はやや高音より、ATH-SX1はかまぼこ。低域は厚みの薄いところなどは良く似ているが、量はATH-A900の方がかなり出る。高域はほぼ同量で質も良く似ているが、中高域はATH-A900の方が太くて強い。分解能、原音忠実性はATH-SX1の方がやや上、音場感はATH-A900の方が上。ATH-A900の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-SX1の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさは互角。ATH-A900の方が低域が出る分ノリが良いように感じるが、その反面音に広がりがあり音が細く頼りないところもあるので、低域があまりなくても良いという人にはATH-SX1の方がノリが良いように感じるかもしれない。響きはATH-A900の方が豊か。弦楽器の表現はほぼ互角。金管楽器はATH-SX1の方が細部まで楽しめる。打ち込み系の音の表現は低域が出る分ATH-A900の方が良いように感じるが、基本的にはほぼ互角。この2機種は似ていることは似ているのだが、決定的な違いもある。どちらが良いというのではなく、好みだろう。ATH-A900は低域がある程度出るにもかかわらずどこかスカスカに感じる一方、ATH-SX1は低域が弱いわりにはスカスカに感じない。ATH-A900の方が音に広がりがある一方、ATH-SX1の方がストレートに音が届く。

ATH-M40fs
どちらもかまぼこ。超低域から超高域まで非常に近い音量バランス。ただし、ATH-M40fsの方が響きが豊かでこもり感があるため、ソースによっては低音が出るように感じる。分解能はATH-SX1の方が若干良く、音場感はほぼ互角。どちらも非常に原音に近い。ATH-M40fsの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてATH-SX1の方が若干上。どちらもモニター用の音でノリが良いわけでも繊細なわけでもない、芯の通った音。どちらかといえばATH-SX1の方がノリが良くしかも繊細。ATH-SX1の方が響きがあっさりで切れが良く、こもり感がない。ATH-SX1はaudio-technica独特のスカスカした感じはほとんどないが、ATH-M40fsはある。基本的にはかなり似ているのだが、音楽鑑賞に使うという観点から見ると、決定的な差がある。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-SX1の方がやや上。何を聴くにしてもATH-SX1の方が楽しめる。

ATH-PRO700
ATH-PRO700はドンシャリ、ATH-SX1はかまぼこ。特に低域は全体的にATH-PRO700の方がかなり出る。分解能はほぼ同等、音場感はATH-PRO700の方がやや良い。ATH-SX1の方が原音に近い。ATH-PRO700の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方が若干上。ATH-PRO700の方がノリが良い。どちらも響きはあっさり。弦楽器、金管楽器ともにATH-SX1の方が原音に近くしかも魅力的。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、ドンシャリな分ATH-PRO700の方が合うようだ。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く楽しみたい場合はATH-PRO700、それ以外はATH-SX1。

CPH7000
どちらもややかまぼこ。低域は、全体的な量はほぼ同じ。ローエンドはATH-SX1の方がやや出る一方、中低域はCPH7000の方が出る。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、ATH-SX1が癖がなく落ち着いた鳴らし方であるのに対して、CPH7000はうわずりキンキンと突き刺さってくる感じ。高域はCPH7000の方が目立つが、音の高さはソースによってはATH-SX1の方が高い。分解能はATH-SX1の方が上。音の分離はほぼ互角だが、微細な表現はATH-SX1の方がかなり上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はATH-SX1の方が上。中域の癖もないし、一聴して違和感のない鳴らし方。エッジのきつさはほぼ互角だが、CPH7000の方が中域が突き刺さってくるため聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはCPH7000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方が上。ノリの良さならCPH7000、繊細さならATH-SX1。CPH7000はモニター用にしてはかなりノリが良い。響きはATH-SX1の方がやや豊か。弦楽器はATH-SX1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はCPH7000の方が鮮やかで金属的な鳴りで楽しめるが、やや不自然な点もある。打ち込み系の音の表現はCPH7000の方が低域の質、明るさ、厚み等で勝っていてうまいように感じる。使い分けるなら、基本的にはATH-SX1、ブラスや打ち込み系の音をノリ良く聴きたいときにはCPH7000。

DR-631
どちらもかまぼこだが、ATH-SX1の方がフラット。低域も高域もATH-SX1の方が出る。ただし、低域は出方が全然違う。ATH-SX1は普通に薄いのに対して、DR-631は中低域はしっかり鳴らすのに、それ以下はバッサリ鳴らないのに加えて、ある種の曇りがある。分解能はDR-631の方が若干上に感じるが、線の細さや音の粒の細かさを求めているならATH-SX1の方が良い。音場感、原音忠実性はATH-SX1の方がやや上。ATH-SX1の方が線が細く聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはATH-SX1の方が上。厚み、密度はDR-631の方がかなり上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方がかなり上。DR-631は極めてモニター的な鳴らし方なのに対して、ATH-SX1はモニター用とは思えないほど繊細で音楽鑑賞向きの音。響きはATH-SX1の方が豊かだが、これはDR-631がまったく響かないと言った方が適切だろう。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-SX1の方が魅力的。音楽鑑賞に使うなら何を聴くにしてもほとんどATH-SX1の方が良いだろう。モニター的な用途以外では、DR-631は使えない。

HD280Pro
どちらもかまぼこ。HD280Proの方がやや低音よりだが、かなり近い周波数特性。低域はHD280Proの方がややでる一方、高域はATH-SX1の方が若干出る。HD280Proの方が太い音で強い圧力を感じる。分解能はATH-SX1の方が若干良い。音場感はHD280Proの方がやや良い。どちらも非常に原音忠実だが、どちらか選ぶならATH-SX1か。HD280Proの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-SX1の方が上。厚み、密度はHD280Proの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD280Proの方が若干良い。響きはどちらも適度だが、どちらかと言えばHD280Proの方が豊か。弦楽器はHD280Proの方が濃い音で安心して聴ける。金管楽器はほぼ互角だが、どちらか選ぶならATH-SX1か。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、HD280Proの方が低音が出る分楽しく聴けるところはある。かなり似た機種なので使い分けるのは難しいが、聴き疲れの少ないATH-SX1をメインに、迫力が欲しいソースの時にはHD280Proを使うのがいいかもしれない。

HN110
ATH-SX1はややかまぼこ、HN110は低音より。低域はHN110の方がかなり量が多いが、ATH-SX1の方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はATH-SX1が非常にはっきり聴こえてくるのに対して、HN110は低域の曇りに覆われる。高域はATH-SX1の方が細く硬く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-SX1の方がかなり上。ATH-SX1の方がエッジがきついが、HN110は低域の曇りのせいで変に聴き疲れすることがあるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-SX1の方が上。ATH-SX1の方がノリが良くかつ繊細。響きはHN110の方が豊か。ATH-SX1の方が高音よりとは言え、音に派手さが無いところ等、良く似ている部分も多い。弦楽器はATH-SX1は原音に近くしかも繊細で心地よいのに対して、HN110は原音と違う上に繊細さがまったく足りない。金管楽器はATH-SX1の方が圧倒的に鮮やか。打ち込み系の音の表現は低域の量だけ見ればHN110の方が良いが、基本的な相性はATH-SX1の方がかなり上だし、総合的に見てもうまい。ほとんど何を聴くにしてもATH-SX1の方が良いだろう。

MDR-CD900ST
ATH-SX1はややかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域は全体的にMDR-CD900STの方が出る。高域はほぼ互角だが、若干ATH-SX1の方が出る。分解能はMDR-CD900STの方が良いか。音場感はややATH-SX1の方が良い。どちらも非常に原音忠実だが、MDR-CD900STはやや低音よりなところがあり、ATH-SX1は高域に癖がある。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-SX1の方がやや上。厚み、密度は若干MDR-CD900STの方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方がある。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が生っぽいのだが、心地よく音楽鑑賞できるのはATH-SX1。金管楽器はATH-SX1の方が鮮やかで良い。打ち込み系の音の表現もATH-SX1の方がうまい。メーカーが違うわりにはかなり似た機種なので、使い分けるのは難しいが、聴き疲れの少ないATH-SX1をメインにして、MDR-CD900STは原音忠実性が厳密に要求されるところで使いたい。

MDR-SA5000
MDR-SA5000はやや高音より、ATH-SX1はかまぼこ。超低域はATH-SX1の方が若干出るが、低域の厚みそのものはMDR-SA5000の方がある。高域はMDR-SA5000の方がやや強い。分解能、音場感はMDR-SA5000の方が上。原音忠実性はほぼ互角。どちらも基本的にはかなり原音に近いのだが、MDR-SA5000は弦楽器の鳴らし方に、ATH-SX1は高域の金属音の鳴らし方にそれぞれ癖がある。どちらもエッジのきつさはほどほどなのだが、芯が通っているためかやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はすべてMDR-SA5000の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、ATH-SX1の方が若干上か。どちらもモニター的な冷静な鳴らし方。響きはATH-SX1の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-SA5000の方が若干うまい。どちらもかなりオールマイティー。ほとんど何を聴くにしてもMDR-SA5000の方が良い。

PRO/4AA
どちらもかまぼこ。低域は全体的にATH-SX1の方が出る。中域〜高域はほぼ同量。分解能はほぼ互角だがATH-SX1の方が若干良いか。音場感はPRO/4AAの方が良い。ATH-SX1の方が原音忠実。PRO/4AAの方がしっかり芯の通った硬い音でしかもエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方がある。響きはATH-SX1の方が豊かだが、これはPRO/4AAがあっさりすぎと言うべきだろう。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてATH-SX1の方が上。何を聴くにしてもATH-SX1の方が良いような気がするが、PRO/4AAはちょっと他にはない音なので、気分転換に聴くのは楽しそうだ。

SE-900D
SE-900Dはかなりフラット、ATH-SX1はかまぼこ。超低域はATH-SX1の方が出るが、低域の厚みはSE-900Dの方がある。高域はほぼ互角だが、中高域はSE-900Dの方がやや高い。分解能はATH-SX1の方が若干上、音場感はSE-900Dの方が若干上。ATH-SX1の方が原音に近いが、エッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等ほぼ互角。SE-900Dの方がノリが良い。響きはSE-900Dの方が豊か。SE-900Dの方が線の太い音。ATH-SX1の方が細く硬い芯の通った音。弦楽器はSE-900Dの方が伸びが良く楽しめる。金管楽器はやや低めながらATH-SX1の方が魅力的。打ち込み系の音の表現はATH-SX1の方がややうまい。使い分けは難しい。強いて言うなら気分。


・ATH-T2
ATH-T44
基本的にかなり似た音。ATH-T2は低音より、ATH-T44はドンシャリ。低域はどちらもaudio-technicaらしい薄い音だが、どちらかと言えば量も厚みもATH-T2の方がある。高域はATH-T44の方が量が多いが、音の高さはほぼ同じかATH-T2の方が高いように感じる。ATH-T2もドンシャリだが、低域のあまりの曇りのために低音よりと錯覚していたのかもしれない。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-T44の方が上。どちらもエッジがきつく聴き疲れする。どちらも曇っているが、ATH-T44の方がまだマシ。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-T44の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ATH-T44の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。ATH-T44の方が力強く、音がストレートに耳に届く印象。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-T44の方がうまい。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもATH-T44の方が良いように感じる。

EH-95
EH-95はややかまぼこ、ATH-T2は低音より。低域はATH-T2の方が圧倒的に出る。高域も、ATH-T2の方がしっかり高い音を鳴らしてくれる。ただし、その分シャリつく。分解能、音場感はATH-T2の方が良い。どちらも原音忠実とは言いがたい音。ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-T2の方が上。どちらもかなり曇っているが、まだATH-T2の方がまし。ATH-T2の方がノリが良くしかも繊細。響きはATH-T2の方がやや豊か。こもり感はATH-T2の方が低域が強い分かなり気になる。ATH-T2の方が力強い鳴らし方。EH-95はかなりスカスカに感じる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-T2の方が上。得意分野はATH-T2がロック、EH-95がポップスだが、ほとんど何を聴くにしてもATH-T2の方が良い。聴き疲れしたらEH-95を使う、という程度だろう。

HN-505
どちらも低音よりだが、ATH-T2の方が高音より。ただし、いずれにせよ高域は全然聴こえてこない上、低域が凄い量でしかもこもりも酷い。分解能、音場感、原音忠実性等、最低限。ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさどちらも欠けているが、まだATH-T2の方が良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良い方向性の機種。響きはHN-505の方が豊か。弦楽器はどちらも同じようなレベルだが、ATH-T2の方がまだ繊細さがある。金管楽器はATH-T2の方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-T2の方がややうまい。得意分野をあえて挙げるならATH-T2はロック、HN-505はポップス。ただし、どちらも音楽鑑賞に使えるレベルの機種ではない。

HP-X122
ATH-T2は低音より、HP-X122はドンシャリ。ATH-T2の方が低音より。低域はATH-T2の方が出るし、高域はHP-X122の方がでる。分解能はHP-X122の方が上、音場感はほぼ互角。どちらも原音からは程遠い上、エッジがきつく聴き疲れする。ただし、価格を考えればHP-X122は非常に原音に近い。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、ノリの良さ等すべてHP-X122の方が上。響きはHP-X122の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はATH-T2はロック、HP-X122はポップスだが、何を聴くにしてもHP-X122の方が良いような気がする。

MDR-NC20
どちらも低音より。低域はほぼ互角。どちらも超低域が若干弱め、厚みはそれなり、ただしこもり感があるため実際よりかなり出ているように感じる。高域はどちらもあまり出ない。超高域はATH-T2の方が若干出る模様。分解能はMDR-NC20の方が若干良いが、音場感はATH-T2の方が上。どちらも原音とは程遠い。ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等、どちらも最低レベル。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方が若干良い。弦楽器はMDR-NC20の方が心地よい。金管楽器や打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野をあえて挙げるならどちらもロックだが、それ以前にあまり使用したくない。

SE-M380
どちらも低音よりだが、どちらかと言えばATH-T2の方が高音より。ただし、いずれにせよ高域は全然聴こえてこない上、低域が凄い量でしかもこもりも酷い。分解能、音場感、原音忠実性等、最低限。どちらもやや聴き疲れするが、ATH-T2はエッジがきつく聴き疲れするのに対して、SE-M380は低域が強すぎで聴き疲れする。サ行の音の痛さは似たようなもの。明瞭さや音の鮮やかさどちらも欠けている。厚み、密度はSE-M380の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさもSE-M380の方が上。どちらもノリが良い方向性。響きはSE-M380の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにSE-M380の方がややうまい。弦楽器の温かみや金管楽器の鮮やかさに違いが見られる。打ち込み系の音の表現もSE-M380の方が若干うまい。得意分野をあえて挙げるならATH-T2はロック、SE-M380はポップス。ただし、どちらも音楽鑑賞に使えるレベルの機種ではない。

VR-4035V
ATH-T2は低音より、VR-403SVはドンシャリ。低域はATH-T2の方がかなり出る。高域はほぼ同量だが、VR-403SVの方がやや高い音。分解能、音場感、原音忠実性(自然さ)、ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。どちらも明瞭とは言いがたい音。厚みはATH-T2の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはVR-403SVの方が上。VR-403SVの方が癖が無く落ち着いている。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてVR-403SVの方がうまい。得意分野はATH-T2はロック、VR-403SVはポップス。使い分けるならロックはATH-T2、それ以外はVR-403SV。


・ATH-T44
AH-G100
AH-G100はややかまぼこ、ATH-T44はややドンシャリ。低域は全体的にATH-T44の方が出る。曇った感じのする量感は多少似ている。高域はATH-T44の方が細くて硬い。分解能、音場感ともにATH-T44の方が一段上。どちらも原音忠実とは程遠い。ATH-T44の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはAH-G100の方が上、音の鮮やかさ、厚みはATH-T44の方が上。温かみは低域が強い分ATH-T44の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ATH-T44の方がノリが良い。響きはATH-T44の方が豊か。ATH-T44の方がこもり感が気になるものの、粗がなくしかも力強い鳴らし方。一方AH-G100はバランスが良い。弦楽器はATH-T44の方が滑らかで心地よい。金管楽器はどちらも意外と悪くないが、ATH-T44の方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、低域が出る分ATH-T44の方が大抵の場合良いようだ。得意分野はAH-G100はポップス、ATH-T44はロック。使い分けるなら、こもり感が欠点のATH-T44と音の粗さが欠点のAH-G100の、どちらを妥協するかだろう。基本的にはATH-T44の方が良いように思う。

ATH-T2
基本的にかなり似た音。ATH-T2は低音より、ATH-T44はドンシャリ。低域はどちらもaudio-technicaらしい薄い音だが、どちらかと言えば量も厚みもATH-T2の方がある。高域はATH-T44の方が量が多いが、音の高さはほぼ同じかATH-T2の方が高いように感じる。ATH-T2もドンシャリだが、低域のあまりの曇りのために低音よりと錯覚していたのかもしれない。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-T44の方が上。どちらもエッジがきつく聴き疲れする。どちらも曇っているが、ATH-T44の方がまだマシ。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-T44の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ATH-T44の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。ATH-T44の方が力強く、音がストレートに耳に届く印象。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-T44の方がうまい。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもATH-T44の方が良いように感じる。

HP830
どちらもややドンシャリ。低域は量はATH-T44の方がかなり出るのだが、HP830の方が一段低い音を鳴らすし、厚みと弾力があるように感じる。高域は量はATH-T44の方が出る上にシャリつくが、HP830の方がやや高い音を鳴らしてくれる上にシャリつかない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方が上。ATH-T44の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。HP830の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。ATH-T44の方が曇りやこもり感が気になる。HP830の方が明るくテンションが高い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP830の方がうまい。得意分野はATH-T44がロック、HP830はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いように感じる。

HPS3000
ATH-T44はドンシャリ、HPS3000は低音より。低域は量ほぼ同量だが、厚みはHPS3000の方がある。高域は量はATH-T44の方がやや出るが、HPS3000の方がやや高い音を鳴らす。してみると、HPS3000もそれほど低音よりではないのかもしれない。分解能、原音忠実性はHPS3000の方がやや上。音場感はATH-T44の方がやや上。ATH-T44の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHPS3000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HPS3000の方が繊細。ATH-T44の方が勢いがあり、バランス無視のドンシャリ加減がマッチするソースも、ポップスやロックには多い。無難さを求めるならHPS3000だろう。響きはどちらも適度。ATH-T44の方が曇りやこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器はHPS3000の方がややうまい。打ち込み系の音の表現はATH-T44の方がうまいようにも感じるが、曇った感じとこもり感が致命的。得意分野はATH-T44がロック、HPS3000はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いように感じるが、曇りが気にならない人はポップスやロックはATH-T44、クラシックやジャズはHPS3000と使い分けはできるかもしれない。ただし、どちらもクラシックには向かない機種であることは確か。


・ATH-W1000
AH-D5000
AH-D5000はかなりフラット、ATH-W1000はやや高音より。低域はAH-D5000の方が柔らかくてやや量が多いが、厚みや圧力はATH-W1000の方が感じられる。中域はATH-W1000の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はAH-D5000の方が細くて粗がない。ATH-W1000の方が硬く金属的な音。分解能はほぼ同等。音の分離はATH-W1000の方がやや良いが、一つ一つの音の微細な描写はAH-D5000の方がしっかりこなしてくれる。音場感は比較的近いが、AH-D5000の方がやや広がりがあり、ATH-W1000の方がやや明確。原音忠実性はAH-D5000の方が上。一聴して違和感がないし、周波数特性にも癖がない。ATH-W1000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-W1000の方が上。厚みはATH-W1000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-D5000の方が感じられる。ノリの良さならATH-W1000、繊細さならAH-D5000。ATH-W1000は明るく軽快、AH-D5000は柔らかく心地よい。響きはAH-D5000の方が豊か。ATH-W1000の方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-W1000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。切れやスピード感に差がある。使い分けるなら、弦楽器やヴォーカルはAH-D5000、金管楽器や打楽器はATH-W1000。或いはアコースティックなものを自然に聴きたいならAH-D5000、そうでないならATH-W1000。

ATH-A900
ATH-W1000の方が高音より。ATH-W1000は澄んだ高域が魅力である一方、ATH-A900の方が低域が出る。分解能、音場感ともにATH-W1000の方が若干良い。ATH-A900は音の広がりと言う点では負けていないが、さすがに分が悪い。どちらも原音忠実とは少し違うが、ATH-W1000はある種の自然さがある。エッジは特にきつくはなく、聴き疲れしにくいが、ATH-A900はサ行の音等が痛い。どちらも明瞭といって良い部類に入ると思うが、この点についてはATH-W1000の方が大きく勝っている。明瞭さと透明感がATH-W1000の最大の特長。低域が出る分ATH-A900の方がノリが良いかと思いきや、線の細さが災いしてほぼ互角と言う印象。逆に、ATH-W1000は高音よりでありながら明瞭で芯の通った音でノリの良さを獲得している。ただし、どちらもaudio-technica独特のスカスカした感じがあるのは否めない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-W1000の方がやや良いが、どちらもいまいち。どちらも響きは適度で、伸びもいまいちのため、弦楽器の表現は得意とは言えない。金管楽器は、一概に良いとはいえないが、ATH-W1000は癖がありながら非常に楽しく聴かせてくれる。中でもハイハットやシンバルが鮮やか。ATH-A900も悪くはないのだが、ATH-W1000ほど芯の通った音でもなければ、鮮やかでもない。得意分野はATH-W1000はポップスまたはブラスメインのクラシック、ATH-A900はポップス。使い分けるならATH-A900でポップス、それ以外はATH-W1000となる。

DT660 Edition 2007
どちらもやや高音より。低域はATH-W1000の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。高域はDT660 Edition 2007の方が細く高いが、ATH-W1000の方が明るい感じで、どちらも高域が目立つ点は似ている。分解能はほぼ互角。音場感はDT660 Edition 2007の方が立体感があり明確。原音忠実性はDT660 Edition 2007の方が良い。AHT-W1000と比べて、原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等レベルだが、どちらかと言えばDT660 Edition 2007の方が若干エッジがきつい。明瞭さは低域が出ない分若干DT660 Edition 2007の方が良い印象。音の鮮やかさはATH-W1000の方が上。厚みはATH-W1000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT660 Edition 2007の方がやや上。ヴォーカルは、ATH-W1000の方が明るく瑞々しい鳴らし方で、艶っぽさとは別のベクトルの良さがある。どちらもノリの良さと繊細さを両立している感じだが、ATH-W1000は音そのものが明るくてノリが良いように感じるのに対して、DT660 Edition 2007は軽快で爽やかな鳴らし方でノリが良い。響きはATH-W1000の方がやや豊か。弦楽器はDT660 Edition 2007の方が繊細かつ心地よいが、ヴァイオリンの澄んだ感じを楽しみたいときや付帯音の少なさを求めるときにはATH-W1000の方が良いだろう。金管楽器は、DT660 Edition 2007の方が高い音なのだが、音の質感の違いでATH-W1000の方が鮮やかに感じられる。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。低域の量、冷たく硬めの音の質感が合う。ただし、DT660 Edition 2007もスピード感があり悪くない。使い分けるなら、低域が欲しい場合はATH-W1000、そうでもないならDT660 Edition 2007。あるいは、硬質で鮮やかな音を求めるならATH-W1000、爽やかな音を求めるならDT660 Edition 2007。

HP-DX1000
どちらもかなりフラットだが、ATH-W1000の方がやや高音より。低域はほぼ同量だが、どちらかと言えばHP-DX1000の方が全体的に出るし、厚みもある。ただ、ATH-W1000の方が柔らかい質感で、一概にどちらがどうとは判断できない部分もある。中域はどちらもややうわずり気味な感があるところは似ている。高域はATH-W1000の方が細くて硬い金属的な鳴り。分解能はほぼ互角。音場感はHP-DX1000の方が広くて立体感があり、一段上の力を持っている。ATH-W1000はかなり耳の近くで音が鳴っているのに対して、HP-DX1000はどちらかと言えば遠くで鳴っている。原音忠実性はHP-DX1000の方がやや勝っている。ただ、これはHP-DX1000が特に優れていると言うよりもATH-W1000の方が原音忠実に沿った音作りをしていないためだろう。ATH-W1000の方が全体的に線が細く、エッジもきついためやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-W1000の方が上。厚み、温かみはHP-DX1000の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさは線が細い分ATH-W1000の方が上に感じる。ノリの良さや繊細さという指標よりも、この2機種については音の近さや遠さという指標が根本にあって、その上で他の音質について議論されるべきだと感じた。正直、ATH-W1000が明るすぎると感じる人にはHP-DX1000はかなりお勧めできるし、HP-DX1000では鮮やかさや線の細さが足りないと感じる人にはATH-W1000がお勧めできる。ちなみに、スピード感はATH-W1000の方があるし、どちらがノリが良いかと言われれば、ATH-W1000だろう。響きはHP-DX1000の方がやや豊かだが、それでもさほど豊かなレベルではない。こもり感はHP-DX1000の方が気にならない。どちらもやや硬めの音だが、低域から中域はATH-W1000の方が柔らかく、中高域から高域はATH-W1000の方が硬い。弦楽器はどちらもやや明るめの表現で、繊細さは十分なのだが、心地よさという点では今一歩なところは良く似ている。金管楽器はATH-W1000の方が生き生きとした鳴らし方。ただ、これはHP-DX1000が不満というよりはATH-W1000の方が過剰な明るさと見るべきだろう。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。打ち込み系の音には、どちらかと言うと音が近い方が合うし、明るくウォームさの少ない音調がマッチしている。使い分けるなら、クラシックで音数の多いものや音場感を必要とするものはHP-DX1000、それ以外はATH-W1000。

K501
どちらも高音よりだが、ATH-W1000の方が低音より。特に超低域はATH-W1000の方がかなり出る。低域の厚みそのものはたいした差はない。高域は鳴らし方がかなり違うので意見が分かれるところだろうが、K501の方がやや強いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-W1000の方が上。ただし、ATH-W1000は音が耳の近くで鳴っているのが気になる。また、低域が出ないことを除けばK501の方が原音に近いと言える。どちらもやや聴き疲れする。明瞭さはK501の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-W1000の方がある。K501はとにかく繊細だが、ATH-W1000は繊細なだけでなく迫力やノリの良さも持ち合わせている。響きはATH-W1000の方が豊か。弦楽器は原音忠実性や生っぽさを求めるならK501だが、ATH-W1000の方が心地よく楽しめる。金管楽器はK501の方が一段高い音を鳴らすが、ATH-W1000の方が迫力はある。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら室内楽はK501、それ以外はATH-W1000か。ATH-W1000はオーケストラを非常にうまく鳴らしてくれる稀有な機種。

PROline750
ATH-W1000はやや高音より、PROline750はドンシャリ。低域は全体的にPROline750の方が出る。高域はほぼ同量だが、どちらもやや癖があるのでソースによってかなり違ってくるようだ。ATH-W1000の方が細く硬く澄んだ音。分解能や原音忠実性はATH-W1000の方が上。音場感はPROline750の方が上。PROline750の方が聴き疲れする。明瞭さはATH-W1000の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや温かみはPROline750の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さならPROline750、繊細さならATH-W1000。響きはPROline750の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにATH-W1000の方が自然で澄んでいる。ただ、低域は滑らかで心地よいもののやや少ないため、その部分はPROline750の方が良い。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなり。基本的にはATH-W1000の方が良いように感じるが、低域と音の厚みでPROline750の方がノリ良く楽しめるのは確か。ただ、PROline750はどうしてもウォームさがある分、相性が悪い。使い分けるならクラシックやジャズはATH-W1000、ポップスやロックはPROline750。

SR-325i
ATH-W1000はやや高音より、SR-325iはドンシャリ。低域は密閉型の分ATH-W1000の方が出るように感じがちだが、基本的にはSR-325iの方が大音量で鳴らしているし、一段低い音。ただ、SR-325iは抜けも良いので、どう感じるかは個人差がありそう。高域はATH-W1000の方が一段高い音を鳴らす。ATH-W1000はシャンシャン、SR-325iはキンキンといった感じの鳴らし方。分解能、音場感はATH-W1000の方がやや上、原音忠実性はSR-325iの方がやや上。ATH-W1000の方が聴き疲れする。特にヴォーカルのサ行の音や中域のキンキンした感じ等で差が出る。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-W1000の方がやや上。厚み、密度はSR-325iの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSR-325iの方がやや上。ノリの良さならSR-325i、繊細さならATH-W1000。響きはSR-325iの方がやや豊か。弦楽器はSR-325iの方が心地よく楽しめるが、ATH-W1000のやや腰高ながら澄み切った音も個性的で捨てがたい。金管楽器はATH-W1000の方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。SR-325iは抜けが良すぎる印象。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲、オーケストラ等はATH-W1000、ロックや弦楽器メインの曲はSR-325iか。ただし、弦楽器にしろ金管楽器にしろどちらも癖があるので、好みが分かれるかもしれない。どちらも高域に癖があり、元気な鳴らし方。


・AU-618
HDS-701
どちらもかまぼこ。低域はどちらも不足に感じるが、HDS-701の方が若干出るようだ。高域もHDS-701の方が出る。つまり、全体的に見てHDS-701の方がフラットと言える。分解能、音場感、原音忠実性すべてHDS-701の方がやや上。HDS-701の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHDS-701の方が上。HDS-701の方がノリが良くしかも繊細。AU-618は低域が出ないわりには曇っているように感じるのに対して、HDS-701はそんなことはない。弦楽器はほぼ互角の表現力。金管楽器や打ち込み系の音の表現はHDS-701の方がややうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHDS-701の方が良いだろう。

PX100
AU-618はややかまぼこ、PX100は低音より。低域も高域もPX100の方が出る。特に低域の量は段違い。AU-618と比べるとPX100がドンシャリに感じられるほど。そうは言っても、量だけでなく質も上なので、PX100が痛いようには感じない。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX100の方が上。どちらも聴き疲れしない。低域が出ない分、明瞭さはややAU-618の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはPX100の方が上。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPX100の方が上。特に密度は段違い。PX100の方がノリが良くしかも繊細。響きはPX100の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPX100の方が上。得意分野はAU-618がポップス、PX100がクラシック。ほとんど何を聴くにしてもPX100の方が良いように感じる。コストパフォーマンスはAU-618の方が良いが。

SD-2900CD
AU-618はややかまぼこ、SD-2900CDはやや低音より。低域はどちらも薄く不満が残るが、SD-2900CDの方がやや出る。高域もSD-2900CDの方が若干強いようだ。ただし、大抵のソースでは低域の曇りが邪魔をしてまともに聴けない。分解能、音場感、原音忠実性すべてSD-2900CDの方が上。どちらも聴き疲れしない。どちらもかなり曇りが気になるが、どちらかと言えばAU-618の方がマシ。低域が出ない分、明瞭さはややAU-618の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはSD-2900CDの方が上。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSD-2900CDの方が上。SD-2900CDの方が繊細。響きはSD-2900CDの方が豊か。AU-618の方が癖のない音。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSD-2900CDの方が上。金管楽器の音の高さだけ見ればAU-618の方が高いのだが、密度が薄く粗が目立つ。これは他の楽器においてもかなり致命的。得意分野はAU-618がポップス、SD-2900CDがクラシック。個人的には、ほとんど何を聴くにしてもSD-2900CDの方が良いように感じるが、曇りが嫌いで低域不足でも構わないという人にはAU-618の方が合うかもしれない。

SE-F3
どちらもややかまぼこ。低域は抜けが良いせいかどちらもかなり迫力不足に感じるが、どちらかと言えばAU-618の方が出るようだ。高域も量はかなり近いが、SE-F3の方がやや高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はSE-F3の方がやや上。音場感はどちらもいまいちで、ほぼ互角。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかと言えばSE-F3の方が疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてSE-F3の方がやや上。AU-618の方が密度が薄くスカスカに感じる。SE-F3の方がスピード感がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもSE-F3の方が上。SE-F3の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-F3の方がややうまい。弦楽器はSE-F3の方が線が細く曇りがない。金管楽器はSE-F3の方が一段高く鮮やかで、価格のわりには安っぽさを感じさせない音。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-F3の方が良いと思われる。どちらもロックをノリ良く聴きたいならかなり合わないので要注意。


・BA-PC15
HP-FX77
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はBA-PC15の方が若干量が多く低い音。中域はHP-FX77の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-FX77の方が高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角レベルだが、どちらかと言うとHP-FX77の方が良いように感じる。エッジのきつさはほぼ同等だが、BA-PC15の方が圧力があり聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX77の方がやや上。厚みはBA-PC15の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が良い。BA-PC15の方がノリが良い。響きはHP-FX77の方が豊か。BA-PC15の方がやや締まっていて、暗めの音調。弦楽器はHP-FX77の方が心地よいが、多少癖があっても澄んでいて生っぽい音が欲しいならBA-PC15の方が良いだろう。金管楽器はHP-FX77の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、厚みや圧力が欲しいならBA-PC15、明るさが欲しいならHP-FX77といった感じ。得意分野はBA-PC15がロック、HP-FX77がポップス。使い分けるなら、厚みや圧力が欲しいならBA-PC15、明るさや高域の質・量を求めるならHP-FX77。

HP-VX101
BA-PC15は低音よりのドンシャリ、HP-VX101は低音より。低域は量的にはあまり差がないが、BA-PC15の方がしっかり低い音を鳴らすし厚みもある。中域は、BA-PC15が低域の量に負ける感じなのに対して、HP-VX101は低域の曇りに覆われる感じ。高域はHP-VX101の方が金属的な音でありながらヴェールがかかったように鮮やかさがない。質的な違いはあるものの、どちらも高域が目立つとは言いがたい感じ。全体としては、HP-VX101は薄い低域が支配的なのに対して、BA-PC15は単に低音の量が多いだけで中域から高域もそれなりに鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてBA-PC15の方がやや上。エッジのきつさはほぼ同等だが、HP-VX101の方が低域の曇りや圧力のせいで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはBA-PC15の方が上。厚みはBA-PC15の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらも良くないが、どちらかと言えばBA-PC15の方が上。BA-PC15の方がメリハリがありノリが良いように感じる。響きは質が違うので判断が難しいが、HP-VX101の方が曇りやこもりで響いているように感じがちなのに対して、BA-PC15は普通に響いて消えていくのが感じられるという違いがある。弦楽器はBA-PC15の方がうまい。HP-VX101はとにかく生楽器を鳴らしている感じが全然しない。金管楽器は質は違うもののどちらも地味であることに変わりない印象。打ち込み系の音の表現はBA-PC15の方がうまい。HP-VX101はあまりにも切れが悪すぎる。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもBA-PC15の方が良いだろう。

SE-CL30
BA-PC15は低音よりのドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はBA-PC15の方が低い音で量も多い。中域はSE-CL30の方が低域に邪魔されない上、高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSE-CL30の方がかなり高く鋭い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等レベルだが、SE-CL30の方が線の細い音を鳴らすため分解能がやや高く感じがち。SE-CL30の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みはBA-PC15の方がある。温かみはBA-PC15の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。BA-PC15の方がノリが良い。低域の量だけでなく、音の圧力や厚みも勝っているため。響きは、低域はBA-PC15の方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。弦楽器は基本的にはBA-PC15の方が心地よく聴けるが、ヴァイオリン等の線の細い鳴らし方を求めるならSE-CL30の方が良いこともある。金管楽器はSE-CL30の方が高く鮮やかだが、作ったような不自然な感じがあるのは否めない。打ち込み系の音の表現は、低域はBA-PC15の方が良く、中域から高域はSE-CL30の方が良い。得意分野は、BA-PC15がロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら、低域重視ならBA-PC15、高域重視ならSE-CL30。


・Bose in-ear headphones
EG-ER50
Bose in-ear headphonesは低音より、EG-ER50は低音よりのドンシャリ。低域はBose in-ear headphonesの方が出る。中域は、Bose in-ear headphonesが低域に完全に埋もれるのに対して、EG-ER50は低域の曇りが気になる程度。高域はEG-ER50の方が高い音で、量も多い。分解能はEG-ER50の方が上。音の分離にしろ微細な表現にしろ上。音場感は外観どおりかなり異なるが、Bose in-ear headphonesの方が二次元的な広さがあり、EG-ER50の方が立体的。原音忠実性は、低域以外の癖のなさという点ではBose in-ear headphonesの方が上だが、原音の粗や生っぽさはEG-ER50の方が感じられる。EG-ER50の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方が上。厚みはEG-ER50の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらも良くないが、あえて差をつけるならBose in-ear headphonesの方が温かみがありEG-ER50の方がヴォーカルが艶っぽい、か。どちらも基本的にはノリが良い傾向。EG-ER50は粗があるが、Bose in-ear headphonesはある意味かなり粗がない。そういう意味では、Bose in-ear headphonesはかなり繊細と言っても良いのかもしれない。響きは、低域はBose in-ear headphonesの方が豊か、それ以外はEG-ER50の方が豊か。弦楽器はBose in-ear headphonesの方がおとなしく心地よいが、線の細さや生楽器らしさがまったくと言っていいほど感じられない。そういう意味ではまだEG-ER50の方が良いだろう。金管楽器はEG-ER50の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はEG-ER50の方がうまい。Bose in-ear headphonesは低音以外まったく聴こえてこない。使い分けるなら、低音しか聴こえてこなくても良いならBose in-ear headphones、多少癖があってドンシャリでも良いならEG-ER50。

HE580
Bose in-ear headphonesは低音より、HE580はやや低音より。低域はBose in-ear headphonesの方がかなりぼやけて量が多い。中域はHE580の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はどちらも目立たないが、HE580の方がかなり量が多い。全体的に、Bose in-ear headphonesは低音しか聴こえてこないが、HE580は低音よりとは言えそれなりにバランス良く聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHE580の方が上。HE580の方がエッジがきついが、Bose in-ear headphonesはあまりに低音が多すぎて疲れる面があるため、どちらが聴き疲れするかは人によって違ってくるだろう。また、HE580にしても、一般的に見てエッジがきつすぎるということはない。明瞭さ、音の鮮やかさはHE580の方が上。厚みは低音が出る上ぼやけた音を鳴らすBose in-ear headphonesの方があるように感じがちだが、そういう点を考慮して聴くと、むしろHE580の方が厚みがあるように感じる。温かみも同様で、Bose in-ear headphonesの方があるように感じがちだが、実際にはあまり違いはないだろう。ヴォーカルの艶っぽさはHE580の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHE580の方が上。Bose in-ear headphonesに決定的に欠けている締まりや線の細さが、HE580には多少なりとも感じられるため。響きは、低域はBose in-ear headphonesの方が豊か、それ以外はHE580の方が豊か。弦楽器はHE580の方が繊細で良い。Bose in-ear headphonesは生楽器らしさがまったく感じられない。金管楽器はHE580の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。Bose in-ear headphonesは低音の量が多いだけで、締まりやスピード感に欠ける。使い分けるなら、基本的にはHE580、よほど低音が欲しいときだけBose in-ear headphones。

MDR-E888LP
Bose in-ear headphonesは低音より、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はBose in-ear headphonesの方が圧倒的に多い。中域は、MDR-E888LPがはっきり聴こえてくるのに対して、Bose in-ear headphonesはまったく聴こえてこない。高域はMDR-E888LPの方が高い音を鳴らすし、量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E888LPの方が上。MDR-E888LPの方がエッジがきついが、Bose in-ear headphonesは低域が強すぎて疲れる面もあるので、どちらが聴き疲れするかは人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-E888LPの方が上。厚みはBose in-ear headphonesの方があるように感じるが、これはぼやけて太い音を鳴らすからで、MDR-E888LPの方が締まりのあるという見方もできるだろう。温かみは低音の量が多い分Bose in-ear headphonesの方が良いように感じがちだが、実際にはあまり違いはないだろう。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-E888LPの方が上。Bose in-ear headphonesは締まりや線の細さが感じられないが、MDR-E888LPはしっかり感じられる。響きは、低域はBose in-ear headphonesの方が豊か、それ以外はMDR-E888LPの方が豊か。弦楽器はMDR-E888LPの方が繊細で良い。Bose in-ear headphonesは生楽器らしさがまったく感じられない。金管楽器はMDR-E888LPの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-E888LPの方がうまい。Bose in-ear headphonesは低音の量が多いだけで、締まりやスピード感に欠ける。使い分けるなら、基本的にはMDR-E888LP、よほど低音が欲しいときだけBose in-ear headphones。


CDH-505
CDH-507
CDH-505はやや低音より、CDH-507はドンシャリ。低域・高域ともにCDH-507の方が出る。どちらもやや曇ったような感じがあるのは似ている。分解能、音場感ともにCDH-505の方が若干良い。どちらも原音とは程遠い音。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはすべてCDH-507の方が上。ただし、どちらも非常に癖があるため、人によってかなり感じ方が変わりそう。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも不足しているが、CDH-507の方がまだましか。CDH-507の方がノリが良いが、癖も強い。響きはCDH-505の方が豊かで、音に広がりがある。弦楽器はCDH-505の方が心地よく楽しめる。金管楽器はCDH-507の方が一段高い音で楽しめるが、ソースによっては安っぽくなる。打ち込み系の音の表現はCDH-507の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならロックやポップスはCDH-507、それ以外はCDH-505。CDH-505の方がフラットでオールマイティな印象。

MDR-XD400
どちらもやや低音よりだが、MDR-XD400の方が低域がかなり強い。高域も若干MDR-XD400の方が強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-XD400の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言うとMDR-XD400の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-XD400の方が上。MDR-XD400の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらもあまりうまくないが、まだMDR-XD400の方が良い。金管楽器はMDR-XD400の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現もMDR-XD400の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-XD400の方が良いだろう。

VR-403SV
CDH-505はやや低音より、VR-403SVはややドンシャリ。低域は量的にはほぼ同量だが、CDH-505の方がタイト。どちらもやや曇っているように感じるが、低域の曇りに限定すればVR-403SVの方が曇りが酷い。ただし、高域はVR-403SVの方がかなり出る。分解能、音場感はCDH-505の方がやや上。どちらも原音忠実とは言えないが、癖の無さという意味ではVR-403SVの方が良いだろう。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言うとVR-403SVの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはどちらかと言えばVR-403SVの方が上。ただし、前述の通り低域の曇りはVR-403SVの方がある。厚み、密度はCDH-505の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはVR-403SVの方が上。どちらも基本的にはノリが良いのだが、曇りや嫌味があり、今一つといった印象。響きはVR-403SVの方が豊かだが、イヤーパッドの材質の違いから抜けも良いため、こもり感も気にならない。弦楽器はどちらもうまくない。金管楽器はVR-403SVの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はVR-403SVの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。CDH-505の嫌味が気にならない人には、CDH-505の方が何を聴くにしても良さそうだが、VR-403SVの方が万人向けの音であるとは思う。


・CDH-507
CDH-505
CDH-505はやや低音より、CDH-507はドンシャリ。低域・高域ともにCDH-507の方が出る。どちらもやや曇ったような感じがあるのは似ている。分解能、音場感ともにCDH-505の方が若干良い。どちらも原音とは程遠い音。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはすべてCDH-507の方が上。ただし、どちらも非常に癖があるため、人によってかなり感じ方が変わりそう。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも不足しているが、CDH-507の方がまだましか。CDH-507の方がノリが良いが、癖も強い。響きはCDH-505の方が豊かで、音に広がりがある。弦楽器はCDH-505の方が心地よく楽しめる。金管楽器はCDH-507の方が一段高い音で楽しめるが、ソースによっては安っぽくなる。打ち込み系の音の表現はCDH-507の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならロックやポップスはCDH-507、それ以外はCDH-505。CDH-505の方がフラットでオールマイティな印象。

CDH-508
CDH-507はドンシャリ、CDH-508はやや低音より。低域はかなり鳴らし方が違うので判断に困るところ。ソースによってかなり印象が代わるが、基本的にはCDH-508の方が柔らかい表現。中高域から高域はCDH-507の方が一段高い。一聴してCDH-507の方が高域が目立つ。分解能はCDH-507の方が線が細い分やや上に感じる。音場感は若干CDH-508の方が上。どちらも原音忠実とは言えない。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCDH-507の方がやや上。CDH-508はやや曇っているように感じるが、CDH-507はそうでもない。温かみはCDH-508の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いが、刺激という意味ではCDH-507の方が上。響きはCDH-508の方が豊か。弦楽器はどちらもあまりうまくない。金管楽器、打ち込み系の音の表現はややCDH-507の方がうまい。得意分野はCDH-507はロック、CDH-508はジャズ。使い分けるなら、ジャンル以前にCDH-507の高域の癖とCDH-508の曇りの好みが問題だろう。

HPS5000
どちらもドンシャリで乾いた音を鳴らすところは似ているが、HPS5000の方が超低域は出ないし厚みもやや薄い。また、HPS5000の方が高音がおとなしくシャリつかない。つまりどちらがドンシャリかと問われれば、間違いなくCDH-507の方がドンシャリ。分解能、音場感ともにHPS5000の方が一歩勝る。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさに欠ける。HPS5000の方がヴォーカルはやや良いが温かみに欠けると感じる。ヴォーカルそのものがあまり聴こえてこない。HPS5000の方が明瞭で、非常に怜悧に感じる。一方、CDH-507は超低域が出るだけでなく中高域まで音がくもっているように感じる。その点、HPS5000はくもった感じはまったくない。切れは良いのだが、超低域が不足に感じる人もいるかもしれない。どちらもエッジがきつくあまり聴きやすいとは言えないが、HPS5000の方がまだ聴きやすい。どちらもクラシックを聴くのには絶対に使えない機種。得意分野はロックorポップスで、どちらにしてもHPS5000の方がやや良いように感じる。ただし、超低域は不足しているし装着感はCDH-507の方がまだまし。

Z headphones
どちらもドンシャリ。超低域はZ headphonesの方が出るが、低域の厚みはCDH-507の方が若干あるように感じる。Z headphonesは分厚い雲のような低音、CDH-507は硬い低音。高域の量はCDH-507の方が上、質はZ headphonesの方が幾分良い。分解能はほぼ互角。基本的な能力はZ headphonesの方が上なのだが、どうしても物凄い低音が邪魔をする。音場感はCDH-507の方が若干良い。Z headphonesの方が原音に近い。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。CDH-507はスカスカした感じがあるが、Z headphonesは皆無。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み等すべてCDH-507の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはZ headphonesの方が上。それでいてノリが良い。響きはややZ headphonesの方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにZ headphonesの方が原音に近い上楽しめる。打ち込み系の音の表現はCDH-507の方がうまい。得意分野はCDH-507はポップス、Z headphonesはロック。使い分けるならポップスはCDH-507、それ以外はZ headphones。ただし、ジャンルで使い分けるよりも、明瞭さが欲しいときはCDH-507、そうでないときはZ headphonesという使い分けの方が良いかもしれない。


・CDH-508
CDH-507
CDH-507はドンシャリ、CDH-508はやや低音より。低域はかなり鳴らし方が違うので判断に困るところ。ソースによってかなり印象が代わるが、基本的にはCDH-508の方が柔らかい表現。中高域から高域はCDH-507の方が一段高い。一聴してCDH-507の方が高域が目立つ。分解能はCDH-507の方が線が細い分やや上に感じる。音場感は若干CDH-508の方が上。どちらも原音忠実とは言えない。CDH-507の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCDH-507の方がやや上。CDH-508はやや曇っているように感じるが、CDH-507はそうでもない。温かみはCDH-508の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いが、刺激という意味ではCDH-507の方が上。響きはCDH-508の方が豊か。弦楽器はどちらもあまりうまくない。金管楽器、打ち込み系の音の表現はややCDH-507の方がうまい。得意分野はCDH-507はロック、CDH-508はジャズ。使い分けるなら、ジャンル以前にCDH-507の高域の癖とCDH-508の曇りの好みが問題だろう。

HP830
CDH-508は低音より、HP830はややドンシャリ。低域はCDH-508の方が量が多いが、厚みは薄い。中域はHP830の方がはっきり聴こえてくるし癖もない。CDH-508は中域まで低域の曇りに覆われる上にソースによっては嫌味が出る。高域はHP830の方がかなり強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方が上。HP830の方がエッジがきついが、CDH-508は曇りやこもり感が気になるため、どちらが聴き疲れするかは人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。HP830の方がノリが良くしかも繊細。響きはCDH-508の方がやや豊か。弦楽器はHP830の方が繊細かつ心地よい。CDH-508は曇りが気になる上にあまりに不自然。金管楽器はHP830の方が圧倒的に鮮やか。HP830の後ではCDH-508は聴けたものではない。打ち込み系の音の表現もHP830の方がうまい。CDH-508は低域の量はでるが、全体的に切れがまったく足りない。得意分野はCDH-508がジャズ、HP830がポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いように感じる。

HP-RX500
CDH-508はやや低音より、HP-RX500はかなりフラット。低域はCDH-508の方が量が多いし、やや低めの音を鳴らす。ただし、どちらも柔らかめな質感が感じられる点は似ている。中域はCDH-5008がかなり低域に覆われるのに対してHP-RX500はほとんどそんな感じを受けない。高域はHP-RX500の方がしっかり高い音を鳴らしてくれるし量も多い。分解能はほぼ互角。音場感はHP-RX500の方が立体低で明確。原音忠実性は癖のなさという意味でHP-RX500の方が上。HP-RX500の方がややエッジがきついが、CDH-508は低域の量が多くて疲れる部分があり、総合的な聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-RX500の方が上。厚みはCDH-508の方がある。温かみは低域が出る分CDH-508の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。CDH-508の方が圧力がありノリが良い。響きは、低域はCDH-508の方が豊か、高域はHP-RX500の方が豊か。弦楽器はCDH-508の方が厚手でマイルドな感じで心地よく楽しめる。金管楽器はHP-RX500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。音の相性そのものはHP-RX500の方が良いように感じるが、厚みや圧力ではCDH-508の方が勝っている。どちらが上と言うよりは好みだろう。得意分野はCDH-508はジャズ、HP-RX500はポップス。使い分けるなら、厚みや低域の量重視ならCDH-508、音場感重視で爽やかな鳴らし方を好むならHP-RX500。

MDR-Z700DJ
CDH-508はやや低音より、MDR-Z7000DJはドンシャリ。低域は量はほぼ同量だが、ややMDR-Z700DJの方が低い音を鳴らす。質的にはどちらもあまり締まっているとは言えないが、MDR-Z700DJの方がまだ締まっている。CDH-508はDJ用とは思えないほど柔らかい低域。高域はMDR-Z700DJの方が一段高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はMDR-Z700DJの方が上、音場感はCDH-508の方が上。どちらもそれほどエッジはきつくない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-Z700DJの方が上。温かみはCDH-508の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。MDR-Z700DJの方がノリが良い。響きはCDH-508の方がやや豊か。MDR-Z700DJの方がストレートに音が届く感じで、圧力や迫力でかなり勝っている。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-Z700DJの方がやや勝っているように感じる。得意分野はCDH-508がジャズ、MDR-Z700DJがポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-Z700DJの方が良いが、ジャズやクラシックはソースによってはCDH-508の方が良いだろう。

SE-MJ5
CDH-508はやや低音より。SE-MJ5はドンシャリ。低域はCDH-508の方が低い音で、柔らかい質感。量はほぼ同量。中域はSE-MJ5の方がはっきり聴こえてくる。逆に、CDH-508はかなり曇りが気になる。高域はSE-MJ5の方が高く硬く、量も多い。分解能、音場感ともにSE-MJ5の方がやや良い。原音忠実性はどちらもいまいち。CDH-508は曇りが気になるし、SE-MJ5は中高域から高域の癖が気になる。SE-MJ5の方がややエッジがきつい上に、音の圧力があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSE-MJ5の方がかなり上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCDH-508の方がかなり上。ノリの良さならSE-MJ5、繊細さならCDH-508。響きは曇りのせいかCDH-508の方が豊かに感じるが、高域はSE-MJ5の方が響く。CDH-508は柔らかい音、SE-MJ5は硬い音。弦楽器はCDH-508の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はSE-MJ5の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MJ5の方がうまい。音の圧力や厚みが良く合う。得意分野はCDH-508はジャズ、SE-MJ5はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはCDH-508、ポップスやロックはSE-MJ5。


・CPH7000
ATH-A500
ATH-A500はややドンシャリ、CPH7000はややかまぼこ。低域はATH-A500の方が量が多く、質的にもやや低めの音を鳴らす。中域はCPH7000の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-A500の方が細く高い音を鳴らす。分解能はATH-A500の方が上。音の分離はさほど差がないが、一つ一つの音の微細な描写はATH-A500の方がこなしてくれる。音場感はどちらも耳の近くで鳴らしている感じだが、どちらかと言えばATH-A500の方が広がりが感じられる。原音忠実性はほぼ互角。原音の粗や生っぽさはCPH7000の方がやや感じられるように思うが、中域が上ずって突き刺さってくる点はマイナス。ATH-A500の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さはCPH7000の方が上、音の鮮やかさはATH-A500の方が上。厚みはCPH7000の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-A500の方が感じられる。ATH-A500の方がノリが良くかつ繊細。響きはATH-A500の方が豊か。弦楽器はATH-A500の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-A500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低域が出る分ATH-A500の方が良いように感じる。使い分けるなら、基本的にはATH-A500、ATH-A500では低域の量が多すぎたり聴き疲れする場合にはCPH7000。

ATH-SX1
どちらもややかまぼこ。低域は、全体的な量はほぼ同じ。ローエンドはATH-SX1の方がやや出る一方、中低域はCPH7000の方が出る。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、ATH-SX1が癖がなく落ち着いた鳴らし方であるのに対して、CPH7000はうわずりキンキンと突き刺さってくる感じ。高域はCPH7000の方が目立つが、音の高さはソースによってはATH-SX1の方が高い。分解能はATH-SX1の方が上。音の分離はほぼ互角だが、微細な表現はATH-SX1の方がかなり上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はATH-SX1の方が上。中域の癖もないし、一聴して違和感のない鳴らし方。エッジのきつさはほぼ互角だが、CPH7000の方が中域が突き刺さってくるため聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはCPH7000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方が上。ノリの良さならCPH7000、繊細さならATH-SX1。CPH7000はモニター用にしてはかなりノリが良い。響きはATH-SX1の方がやや豊か。弦楽器はATH-SX1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はCPH7000の方が鮮やかで金属的な鳴りで楽しめるが、やや不自然な点もある。打ち込み系の音の表現はCPH7000の方が低域の質、明るさ、厚み等で勝っていてうまいように感じる。使い分けるなら、基本的にはATH-SX1、ブラスや打ち込み系の音をノリ良く聴きたいときにはCPH7000。

HD215
CPH7000はややかまぼこ、HD215はかなりフラット。HD215の方が、低い音は低く、高い音は高く鳴らすが、量にはそれほど差はない。中域はCPH7000の方がうわずっていてやや目立つ。分解能はほぼ互角だが、CPH7000の方が若干上か。音場感はHD215の方がやや広く明確。原音忠実性はほぼ互角。HD215の方が低域から高域まで素直に鳴らすが、CPH7000の方が原音の粗が感じられる。エッジのきつさはほぼ互角で聴き疲れも同等レベル。明瞭さは低域が少ない分CPH7000の方が上のように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはCPH7000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD215の方がやや上。音の厚みや圧力があるという意味ではCPH7000の方がノリが良いのだが、低域の量はHD215の方がある。繊細さにしても、CPH7000の方が粗のない密度の高い表現のように感じるが、細部まで描写しようとする努力は(それが成功しているかどうかはともかく)HD215の方が感じられるように思う。つまり、ノリの良さにしろ繊細さにしろ方向性が違い、微妙。響きはHD215の方がやや豊か。弦楽器はどちらもあまりうまくないが、HD215の方がまだ良いようだ。金管楽器はどちらも鮮やかで、かなり似た鳴らし方。CPH7000の方が若干力強く粗がない感じ。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまい。音の厚みをとるならCPH7000、低域の量をとるならHD215か。使い分けるなら、低域も高域も不足でいいから音の厚みを求めるというならCPH7000、周波数特性の癖のなさを求めるならHD215。ただ、かなり似ているのでどちらか片方持っていれば事足りる可能性が高い。

MDR-CD900ST
CPH7000はややかまぼこ、MDR-CD900STはかなりフラット。低域は、全体的にはMDR-CD900STの方が量が多いが、特定帯域だけは同等に感じる。CPH7000に癖があるようだ。質感はMDR-CD900STがややぼやけている感じ、CPH7000の方が締まりがある感じ。中域はCPH7000の方がはっきり聴こえる。これは、低域に邪魔されないのと、うわずっていて目立つこと、両方のせいだろう。高域はCPH7000の方が高い音でかなり目立つ。分解能はMDR-CD900STの方が上。音の分離は差を感じないが、微細な表現はかなり違う。音場感はCPH7000の方がやや良い。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。中域の癖のなさだけでなく、原音の粗を感じやすい点でも勝っている。MDR-CD900STの方が細かい音が耳に突き刺さる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCPH7000の方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方が上。CPH7000はややノリが良いのに対して、MDR-CD900STは極めてモニター的。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が癖がなくうまい。金管楽器はCPH7000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域の量ではMDR-CD900STに分があるが、単純な音の質感の相性ではCPH7000の方がかなり良い。使い分けるなら、明るく楽しみたいときや聴き疲れを嫌うときにはCPH7000、低域の量が欲しいときや中域の癖を嫌うときはMDR-CD900ST。

RH-200
CPH7000はややかまぼこ、RH-200は低音よりのドンシャリ。低域はRH-200の方がかなり量が多い。中域はCPH7000の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。中高域はCPH7000の方がしっかり出るが、高域はRH-200の方が細く尖った音を鳴らす。分解能はCPH7000の方がやや上。特に音の分離は差がある。音場感はCPH7000の方がやや上。RH-200は耳の近くで音が鳴っているのが気になるが、CPH7000は多少の空間を感じることが出来る。原音忠実性はCPH7000の方が上。RH-200はとにかく低域が出すぎ。RH-200の方がエッジがきつい上、低域の量が多くこもり感が気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCPH7000の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-200の方が上。RH-200の方がかなりノリが良い。CPH7000はRH-200と比べるとモニター的な冷静さがある。響きはRH-200の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はどちらもいまひとつといった感じだが、RH-200の方が低域の量が出ることから多少表現の幅は広いようだ。金管楽器はCPH7000の方がかなり鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、音の質感そのものはCPH7000の方が相性が良いが、低域の量が不足に感じる。逆に、RH-200は低域の量が多すぎるように感じる。使い分けるなら、低域が不要ならCPH7000、必要ならRH-200。

RP-HT560
CPH7000はややかまぼこ、RP-HT560はかなりフラット。低域はRP-HT560の方が出る。特にローエンドは差が大きい。中域はCPH7000の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域は量的にはあまり大きな差はないが、CPH7000の方がやや硬く金属的。分解能はCPH7000の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性は癖のなさという意味ではRP-HT560の方が上だが、原音の粗や生っぽさはCPH7000の方が感じられる。エッジのきつさはあまり差がない。どちらかと言えばRP-HT560の方がきついが、CPH7000の方が中域がキンキン突き刺さってくるため、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはCPH7000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT560の方が上。どちらも比較的冷静な鳴らし方。響きはRP-HT560の方が豊か。弦楽器はRP-HT560の方が心地よい。金管楽器はCPH7000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、厚みや切れを重視するならCPH7000、低域の量を重視するならRP-HT560が良いだろう。使い分けるなら、分解能や明瞭さを重視するならCPH7000、低域の量や癖のなさを重視するならRP-HT560。


・CX300
ATH-CK7
ATH-CK7はやや低音よりのドンシャリ、CX300は低音よりのドンシャリ。低域はCX300の方が量が多いし、低い音で厚みもある。ATH-CK7はCX300と比べるとローエンドが弱い印象。中域はATH-CK7がややうわずり気味なのに対して、CX300は癖がない。それでいてCX300の方がはっきり聴こえてくる。高域はどちらもかなり高い音を鳴らしてくれるが、CX300の方が細く粗がない。分解能及び原音忠実性はCX300の方がやや上。音場感は互角。エッジのきつさはほぼ互角だが、ATH-CK7は音が割れ気味で聴き疲れするのに対して、CX300は音の圧力で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCX300の方が上。ただし、これはどちらかと言うとATH-CK7が冷たいという見方の方が正しいだろう。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、CX300の方がやや上。響きはCX300の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はCX300の方が粗がなく繊細。金管楽器はどちらも鮮やかだが、CX300の方がしっかり芯の通った音。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、CX300の方が音に圧力があり楽しめる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはCX300、低域の量が多すぎると感じるときはATH-CK7。

HP-FX77
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなり量が多いが、CX300の方が若干タイトで制動のかかった低域。そのおかげで、中域もCX300の方が低域に埋もれず聴こえてくる。高域は、量や音の高さはかなり近いが、CX300の方がシャリつかない。メーカーが違う割には似た音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はCX300の方がやや上。音場感はほぼ互角。エッジのきつさはほぼ互角。CX300は音の圧力で聴き疲れする一方、HP-FX77はこもり感で聴き疲れする。ただし、どちらも使用に耐えないほどではない。明瞭さ、音の鮮やかさはCX300の方がやや上。厚みはCX300の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、CX300の方がやや勝っているように感じる。響きはほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が豊か。CX300の方がしっかりと安定した鳴らし方をしてくれる。弦楽器はCX300の方が繊細。金管楽器はCX300の方が芯の通った音で力強い。打ち込み系の音の表現はCX300の方がうまい。HP-FX77は低域の量だけといった感じなのに対して、CX300は音の厚みや圧力も十分ある。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもCX300の方が若干良いように感じる。下手に似ているだけに、どちらか片方持っていれば十分の機種。

IE-20 XB
どちらも低音よりのドンシャリ。基本的には、ある程度似た音を鳴らす。低域はIE-20 XBの方がややぼやけていて量が多い。中域はCX300の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はCX300の方がやや細く硬い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。CX300の方が原音の粗は感じられるが、IE-20 XBの方が癖が少ない。エッジのきつさはほぼ同レベルで、聴き疲れも同程度。明瞭さ、音の鮮やかさはCX300の方がやや上。厚みはほぼ同レベルだが、CX300の方が締まっている。どちらも圧力のある鳴らし方という点は似ている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはIE-20 XBの方がやや上。どちらもノリが良いが、CX300の方が明るくパンチがあり、IE-20 XBの方が重厚。響きはIE-20 XBの方が豊か。弦楽器はIE-20 XBの方がやや滑らかで心地よい。金管楽器はどちらもなかなか良いが、CX300の方がやや細く高い音で目立つ。打ち込み系の音の表現はCX300の方がうまい。IE-20 XBに欠けている締まりや軽快さといったものを、CX300は最低限は持っているように感じる。使い分けるなら、高音よりで明るい音を求めるならCX300、低音よりで穏やかな音を求めるならIE-20 XB。ただし、そうは言ってもメーカーが違う割には似ているので、どちらか片方持っていれば十分かもしれない。

MDR-NC11A
CX300は低音よりのドンシャリ、MDR-NC11Aは低音より。低域はMDR-NC11Aの方がぼやけた低域が多量に出る感じ。中域は、CX300が低域の量にやや負け気味ながらある程度聴こえてくるのに対して、MDR-NC11Aは低域の曇りに完全に覆われる。高域はCX300の方がやや高い音で、量はかなり多い。分解能及び原音忠実性はCX300の方が良い。MDR-NC11Aは、とにかく低域が支配的なのに対して、CX300はドンシャリながら破綻していない。音場感は、あまり差はないのかもしれないが、一つ一つの音がしっかり聴こえる分CX300の方が良く感じがち。CX300の方がエッジがきついが、MDR-NC11Aは低域の曇りとこもり感がひどいため、総合的な聴き疲れとしてはMDR-NC11Aの方が酷そう。明瞭さ、音の鮮やかさはCX300の方がかなり良い。厚みはCX300の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC11Aの方が良いように感じるが、これは低域の曇りのせいでそう感じるだけで、実力としてはむしろCX300の方が上なくらいだろう。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、CX300の方が上。響きは、低域はMDR-NC11Aの方が豊か、高域はCX300の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにCX300の方がうまい。MDR-NC11Aは生楽器を鳴らしているという感じがまったくしない。打ち込み系の音の表現もCX300の方がうまい。厚み、切れ、スピード感、何をとってもCX300の方が上。得意分野はCX300がポップス、MDR-NC11Aがロック。ほとんど何を聴くにしろCX300の方が良いだろう。


・DJ Pro 3000
ATH-PRO700
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方が高音より。低域はDJ Pro 3000の方がやや低めの音を鳴らすが、量はほぼ同量。高域はATH-PRO700の方がかなり強く細く硬い。分解能、音場感、原音忠実性はすべてATH-PRO700の方が上。ATH-PRO700の方が線が細い上に高域が出るためやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてATH-PRO700の方が上。DJ Pro 3000は無難な音なのだが、ATH-PRO700と比べるとどうしても曇っているように感じる。別の言い方をすると、ATH-PRO700にはそれなりの水気があるが、DJ Pro 3000は無い。温かみはDJ Pro 3000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろATH-PRO700の方が上。響きはATH-PRO700の方が豊か。弦楽器はATH-PRO700は弦楽器独特の繊細さを感じられるレベル、DJ Pro 3000は感じられないレベル。金管楽器はATH-PRO700の方が一段高くキラキラ輝くような音を鳴らす。打ち込み系の音の表現もATH-PRO700の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。基本的には何を聴くにしてもATH-PRO700の方が良いのだが、audio-technica独特のスカスカした感じや高域の癖があるので、その辺りが気になる人はDJ Pro 3000の方が良いかもしれない。

DJ1 PRO
どちらもドンシャリだが、DJ1 PROと比べるとDJ Pro 3000はフラットから低音よりという感じ。低域は、量はDJ PRO 3000の方がややあるのだが、厚みはDJ1 PROの方がかなりある。高域はDJ1 PROの方がかなり強い。分解能、音場感はDJ1 PROの方が上。原音忠実性は何とも言えない。DJ Pro 3000は全体的に低音よりで曇っているし、DJ1 PROはドンシャリで非常に明るい音調で原音忠実性などまったく意に介しない音作り。DJ1 PROの方が線が細い上に高域が出るためやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてDJ1 PROの方が上。温かみはDJ Pro 3000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはDJ1 PROの方が上。とは言ってもDJ Pro 3000の温かみはぬるま湯のようで、魅力的に感じない。ノリの良さにしろ繊細さにしろDJ1 PROの方が上。響きはどちらも適度。弦楽器はDJ1 PROは弦楽器独特の繊細さを感じられるレベル、DJ Pro 3000は感じられないレベル。金管楽器はDJ1 PROの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現もDJ1 PROの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。基本的には何を聴くにしてもDJ1 PROの方が良いのだが、独特の音場感と過度の明るさがあるので、その辺りが気になる人はDJ Pro 3000の方が無難と言えば無難。

MDR-Z700DJ
かなり近い音。どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方がやや高音より。超低域はDJ Pro 3000の方が若干強い。低域はほぼ同等。高域はMDR-Z700DJの方が出る。分解能はMDR-Z700DJの方が若干上、音場感や原音忠実性はほぼ同等。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばMDR-Z700DJの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、情報量はMDR-Z700DJの方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさは互角。MDR-Z700DJの方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらもあまりうまくない。金管楽器はMDR-Z700DJの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、MDR-Z700DJの方が明るくメリハリがある。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分の機種。

RP-DH1200
DJ Pro 3000は低音よりのドンシャリ、RP-DH1200は低音より。低域はRP-DH1200の方が量が多いし、低い音で厚みもある。中域はRP-DH1200が全体的に低い音で低域の量にかなり負けるのに対して、DJ Pro 3000は音の高さは普通だし量的にもRP-DH1200ほどは負けていない。高域はDJ Pro 3000の方が高い音で量も多い。分解能はDJ Pro 3000の方がやや上。音の分離、細部の描写いずれもやや勝っている。音場感、原音忠実性はどちらも良くないが、どちらかと言えばDJ Pro 3000の方が良い。どちらもエッジはきつくないが、低域が過剰で音の圧力があることからRP-DH1200の方が聴き疲れする。明瞭さは低域の量が少なく中域・高域ともに普通に鳴らしてくれるDJ Pro 3000の方が良いが、音の鮮やかさはそれほど差が無いように感じる。厚みはRP-DH1200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。RP-DH1200の方がノリが良いが、これはやりすぎと言う方が正しいだろう。低域の量が過剰で、音の厚み・圧力もかなりあるが、軽快でスピード感のある感じではない。響きはRP-DH1200の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はどちらもうまくない。生楽器を鳴らしているという感じがしない。金管楽器はDJ Pro 3000の方が高い音を鳴らしてくれるが、力強さではRP-DH1200の方が勝っている。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、RP-DH1200の方が厚み・圧力がある分ややうまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量が過剰でもいいから音の厚みや圧力を重視する場合にはRP-DH1200、それ以外はDJ Pro 3000。


・DJ1 PRO
ATH-PRO700
どちらもややドンシャリ。超低域はATH-PRO700の方が出るが、厚みはほぼ互角。大抵のソースではATH-PRO700の方がかなり低音が強く感じる。高域は若干DJ1 PROの方が強め。分解能、音場感、原音忠実性すべてDJ1 PROの方がやや上。どちらもエッジがきつめでやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてDJ1 PROの方が上。特に、明瞭さや鮮やかさは雲泥の差で、DJ1 PROの非常に明瞭な音に比べるとATH-PRO700が曇っているようにすら感じられる。低音が出る分ATH-PRO700の方がノリが良いように感じられるが、音の厚みや切れはDJ1 PROの方が上なので、聴き込むとDJ1 PROの方がノリ良く感じられる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDJ1 PROの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもDJ1 PROの方が良いように感じるが、低域の欲しいロック等はATH-PRO700の方が良いかもしれない。

DJ Pro 3000
どちらもドンシャリだが、DJ1 PROと比べるとDJ Pro 3000はフラットから低音よりという感じ。低域は、量はDJ PRO 3000の方がややあるのだが、厚みはDJ1 PROの方がかなりある。高域はDJ1 PROの方がかなり強い。分解能、音場感はDJ1 PROの方が上。原音忠実性は何とも言えない。DJ Pro 3000は全体的に低音よりで曇っているし、DJ1 PROはドンシャリで非常に明るい音調で原音忠実性などまったく意に介しない音作り。DJ1 PROの方が線が細い上に高域が出るためやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてDJ1 PROの方が上。温かみはDJ Pro 3000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはDJ1 PROの方が上。とは言ってもDJ Pro 3000の温かみはぬるま湯のようで、魅力的に感じない。ノリの良さにしろ繊細さにしろDJ1 PROの方が上。響きはどちらも適度。弦楽器はDJ1 PROは弦楽器独特の繊細さを感じられるレベル、DJ Pro 3000は感じられないレベル。金管楽器はDJ1 PROの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現もDJ1 PROの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。基本的には何を聴くにしてもDJ1 PROの方が良いのだが、独特の音場感と過度の明るさがあるので、その辺りが気になる人はDJ Pro 3000の方が無難と言えば無難。

HD25-1
どちらもややドンシャリ。低域はDJ1 PROの方が低く弾力のある鳴らし方をする。中域はどちらもドンシャリの割にははっきり聴こえてくるが、どちらかと言えばDJ1 PROの方が高い音ではっきり聴こえてくる。高域はDJ1 PROの方がかなり量が多い。分解能はほぼ互角だが、HD25-1の方が若干良いか。音の分離はDJ1 PROの方が良いように感じるが、微細な表現はHD25-1の方がうまい。音場感はDJ1 PROの方が広く明確。HD25-1も耳のせサイズの割には立体感があるが、やはりDJ1 PROには及ばない。原音忠実性はHD25-1の方が上。ただし、原音の実体感のようなものはDJ1 PROの方が感じられる。DJ1 PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDJ1 PROの方がかなり上。厚みはどちらもかなりあるが、どちらかと言えばDJ1 PROの方が上か。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方が上。DJ1 PROのヴォーカルは艶っぽいと言うよりは瑞々しいと言う表現がふさわしいように思う。どちらもノリが良いが、DJ1 PROの方が明るくテンションが高い。HD25-1のノリの良さは音の立ち上がりの良さや厚みからくるもので、音そのものの明るさや刺激はあまり感じられず、ある意味地味なノリの良さだろう。響きはHD25-1の方がやや豊かに感じるが、これはこもり感の影響でそう感じやすいだけで、実際にはほぼ同等なのかもしれない。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDJ1 PROの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、総合的に見るとDJ1 PROの方が上だろう。とにかく明るく楽しめる。得意分野はDJ1 PROはポップス、HD25-1はロック。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲はDJ1 PRO、ロックや弦楽器メインの曲はHD25-1。あるいは、明るさや音場感の良さを求めるならDJ1 PRO、粗がなく地味な良質さを求めるならHD25-1というような使い分けもありだろう。

HFI-650
どちらもややドンシャリだが、DJ1 PROの方がやや高音より。低域は全体的に出方がまったく違うので一概にどちらが出るとは言えない。ソースによってかなり違ってくる。どちらも超低域はやや弱めだが、HFI-650の方が若干出る。厚みはDJ1 PROの方があるようだ。高域はDJ1 PROの方がかなり出る。分解能、音場感ともにDJ1 PROの方がやや上。どちらも原音忠実とは言えない。DJ1 PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ等すべてDJ1 PROの方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、DJ1 PROの方が瑞々しく魅力的に感じる。どちらも切れの良い音。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDJ1 PROの方がやや上。得意分野はどちらもポップス。基本的には何を聴くにしてもDJ1 PROの方が魅力的に感じるが、明るすぎると感じることもあるし、HFI-650の方が癖がないことは確か。DJ1 PROに疲れたらHFI-650を使う、という使い分けがいいかもしれない。

HPS5000
どちらもドンシャリだが、DJ1 PROの方がやや高音より。超低域はHPS5000の方がやや出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はDJ1 PROの方がやや強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてDJ1 PROの方が上。DJ1 PROの方がややエッジがきつく疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDJ1 PROの方が上。どちらも非常にノリが良い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてDJ1 PROの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもDJ1 PROの方が良いように感じるが、低音が欲しいロック等はHPS5000の方が良いかもしれない。

K181DJ
DJ1 PROは高音よりのドンシャリ、K181DJは低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方がかなり量が多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、流石に低域の量が多いソースになるとK181DJは低域に邪魔されるのに対して、DJ1 PROはほとんど低域に邪魔される感じはしない。高域はDJ1 PROの方がやや高く、量も多くて目立つ。分解能及び音場感はDJ1 PROの方がやや上。ただし、細部の描写はK181DJの方が粗がなくしっかりこなしてくれる。原音忠実性はK181DJの方が上だが、低域が出すぎるし、原音の実体感だけならのDJ1 PROの方が良いだろう。DJ1 PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDJ1 PROの方が上。厚みはどちらもかなりある。厚みだけならDJ1 PROの方があるかもしれないが、圧力や低域の量でK181DJの方が勝っているため判断が難しいし、それほど差があるとも思えない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK181DJの方が上。どちらも非常にノリが良いが、DJ1 PROの方が軽快、K181DJの方が圧力がある。響きはK181DJの方が豊か。弦楽器はK181DJの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDJ1 PROの方が高く鮮やかだが、K181DJと比べると作ったような感じがあるのは否めない。打ち込み系の音の表現はDJ1 PROの方がうまいが、低域が不足に感じられたり、密閉型特有の圧力が欲しいときにはK181DJの方が良いだろう。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明瞭さや鮮やかさを求めるならDJ1 PRO、無難な表現・低域の量・圧力を求めるならK181DJ。

PROline750
非常に良く似ている。どちらもややドンシャリ。若干DJ1 PROの方が高音よりに感じるが、違いは微妙。分解能、音場感、原音忠実性はほぼ互角。どちらもややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは若干DJ1 PROの方が上、音の鮮やかさ、厚み、密度はほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPROline750の方が若干良い。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っているが、若干DJ1 PROの方がスピード感があるように感じる。響きはどちらも豊かで、ほぼ互角。DJ1 PROの方が濁りがなく澄んでいる一方、PROline750の方がウォームで人間味がある。弦楽器、金管楽器はPROline750の方が若干うまい。打ち込み系の音の表現はDJ1 PROの方がうまい。どちらもかなりオールマイティーだが、あえて使い分けるならポップス・ロックはDJ1 PRO、それ以外はPROline750か。

SP-K300
どちらもドンシャリだが、SP-K300の方が低音より。超低域はSP-K300の方が出るが、厚みはDJ1 PROの方がある。高域は圧倒的にDJ1 PROの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDJ1 PROの方が上。SP-K300の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDJ1 PROの方が上。どちらもノリが良い。響きはSP-K300の方が豊か。非常にこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDJ1 PROの方が魅力的。得意分野はDJ1 PROはポップス、SP-K300はロック。使い分けるならロックはSP-K300、それ以外はDJ1 PRO。


・dj1001
ATH-A900
ATH-A900はやや高音より、dj1001はややかまぼこ。低域は全体的にATH-A900の方がかなり出る。高域はほぼ同量だが、ATH-A900の方が硬くて細いため強く感じる。分解能、原音忠実性はATH-A900の方が良い。音場感はdj1001の方が良い。ATH-A900の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはdj1001の方が上だが、音の鮮やかさはATH-A900の方が上。厚みはdj1001の方があるが、情報量はATH-A900の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-A900の方が上。ATH-A900の方がノリが良くしかも繊細。響きはATH-A900の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにATH-A900の方がうまい。弦楽器は伸びが良く心地よいし、金管楽器は一段高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、dj1001の方が線が太く相性が良いように感じる。ただし、低域が不足に感じられることが多い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならポップスはdj1001、それ以外はATH-A900。ATH-A900では線が細く音に厚みが足りないと言う場合にはdj1001を使うのが良いかもしれない。

HFI-650
dj1001の方が高音より。dj1001は低域、特に超低域がかなり不足しているが、中域・高域は十分。HFI-650の方が低音が出るが、やはり超低域は弱め。かなり似た音を鳴らすが、あえて差をつけるなら、dj1001は乾いた古臭い音、HFI-650はdj1001よりは水気のある鮮やかな音。分解能及び音場感は非常に近い。どちらもあまり原音に近いとは言えないが、dj1001は原音忠実を気にかけた音作りになっている分まだ原音に近い。HFI-650は原音忠実ではなく如何にノリよく楽しく音楽を聴かせるかに重点を置いており、原音忠実性は二の次。どちらもエッジはあまりきつくなく、聴き疲れしないが、それでいて明瞭。明瞭さはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の方が上。dj1001の方が音の粒が細かく繊細。逆にHFI-650の方が芯の通った音で低域も出るため、ノリが良い。dj1001の方が響きが良く音に広がりがあるが、audio-technicaのようなスカスカした感じがある。弦楽器をこれらのヘッドホンで聴くのはあまりオススメできないが、意外なことに金管楽器はなかなか良い音を鳴らしてくれる。特に、dj1001のハイハットは独特の味があり美しい。ただし、金管楽器全般の一聴したときの違和感のなさはHFI-650の方がやや良い。得意分野はどちらもポップス等の打ち込み系の音楽。使い分けるなら、dj1001はハウスやラウンジ、HFI-650はトランスやユーロビートとなろうか。

HP-M1000
dj1001はややかまぼこ、HP-M1000はドンシャリ。低域は全体的にHP-M1000の方が出る。高域はほぼ同量、中域はdj1001の方が出る。分解能、音場感、原音忠実はすべてdj1001の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかと言えばdj1001の方が疲れるか。明瞭さ、厚み、密度はdj1001の方が上。鮮やかさや温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がある。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならdj1001。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はHP-M1000の方がマイルドで心地よく楽しめるが、原音に近いのはdj1001。金管楽器はdj1001の方が若干良い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低音が出る分HP-M1000の方がやや有利か。得意分野はどちらもポップス。分解能や音場感はdj1001の方が良いが、あまり音楽を楽しむのに向いてない音作り。逆に、HP-M1000は音楽を楽しむためだけに作られたような音。どちらを好むかで評価はまったく変わると思われる。

PC-100
非常に近い音だが、低域はPC-100の方がやや出る。高域はほぼ同等、ヴォーカル等の中域はややdj1001の方が出る。と言っても、PC-100が凹んでいると言うよりはdj1001が出ているという印象。違いは微妙。一番の違いは音の粒の粗さで、PC-100はかなり粗く、dj1001は細かい。高域はPC-100はシャリつくがdj1001はそんなことはない。分解能はdj1001の方が上、音場感はほぼ同じ。どちらもエッジはきつくなくそれなりに聴きやすいが、dj1001の方が聴き疲れは少ない。どちらも非常に明瞭で、明瞭さという意味では差はない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも不足気味だが、dj1001の方が若干良いか。どちらも響きがあっさりで、ノリ良く切れの良い音だが、低域が出るのと音の粗さからPC-100の方が若干ノリが良く感じる。どちらも打ち込み系の音と相性が良い。弦楽器はdj1001の方が繊細かつ自然。金管楽器はほぼ互角で、粗い感じが好きな人はPC-100、澄んだ感じが好きな人にはdj1001がオススメ。使い分けるなら、ロックやノリ重視のポップスはPC-100、それ以外はdj1001。

R/200
どちらもかまぼこだが、dj1001の方がフラット。低域はdj1001の方が全体的に出るし、高域はR/200の方が一段高い音だが量はdj1001の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてdj1001の方が上。R/200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてdj1001の方が上。dj1001の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてdj1001の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもdj1001の方が良い。

RP-DH1200
dj1001はややかまぼこ、RP-DH1200は低音よりのドンシャリ。低音は圧倒的にRP-DH1200の方が出る。逆に高域は圧倒的にdj1001の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてdj1001の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、低音が出るぶん大抵のソースではRP-DH1200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはdj1001の方が上。厚みはRP-DH1200の方があるが、密度は互角。温かみはRP-DH1200の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはdj1001の方が若干ある。ノリの良さならRP-DH1200、繊細さならdj1001。響きはRP-DH1200の方が豊かで、こもり感がすごい。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてdj1001の方が良い。ただし、何を聴くにしても若干低音が不足に感じられる恐れはある。それにしてもRP-DH1200の低音過多よりはましと思う人が多いだろう。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が欲しい人でなければdj1001の方が何を聴くにしても良いだろうが、dj1001も癖がある上、DJ用とは思えないほど低音がタイトなので、万人にすすめられるヘッドホンではない。人によってはスカスカな上に妙な嫌味があると感じるだろう。

SE-900D
SE-900Dはかなりフラット、dj1001はかまぼこ。特に超低域は差がある。dj1001はまったく足りていないが、SE-900Dは少なくとも必要最小限は出る。分解能、音場感はdj1001の方が若干良い。SE-900Dの方が原音忠実でしかもエッジがきつくなく聴きやすい。dj1001の方が明瞭だがSE-900Dの方が鮮やか。厚みはほぼ互角。温かみヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方が良い。SE-900Dの方がノリが良い。響きはSE-900Dの方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-900Dの方が良い。弦楽器は伸びが良く楽しめるし、金管楽器は一段高い音を鳴らしてくれる。ただし、金管楽器はPioneer独特の癖が出るし、打ち込み系の音は切れを求めるならdj1001の方が良いこともある。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-900Dの方が良いような気がするが、dj1001には独特の魅力があるのも確か。個人的には、常用にはSE-900Dを使って、たまにdj1001を聴くのが良いように思う。


・DJX-1
ATH-PRO700
ATH-PRO700はややドンシャリ、DJX-1は低音よりのドンシャリ。低域はDJX-1の方がややぼやけていて量も多い。中域はATH-PRO700の方がややうわずっている感じで目立つが、これはDJX-1の方が非常に落ち着いていることもそう感じる要因だろう。高域はATH-PRO700の方がやや高い音で量も多い。この2機種だけを見比べた場合、ATH-PRO700の方がやや高音よりと言えるだろう。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等レベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろほぼ互角。音場はどちらもDJ用にしては広い。ATH-PRO700はソースによっては中域がうわずっている感じが気になるが、DJX-1は低域がぼやけて量が多いのが気になる。ATH-PRO700の方がややエッジがきついがそれほど差はないし、DJX-1の方が低域が出すぎで疲れる感じもあり、総合的な聴き疲れは同レベルだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方がやや上。厚みはDJX-1の方があるように感じるが、これはATH-PRO700の方が締まっていて無駄のない鳴らし方であるため相対的にそう感じる面が大きいように思う。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJX-1の方が上。これはDJX-1の方が低域の量が多く中域が落ち着いた鳴らし方であるためだろう。どちらもノリが良いが、ATH-PRO700の方がやや切れがある感じ、DJX-1の方が低音で押す感じ。ATH-PRO700の方が打楽器や破裂音が目立つ。響きは、低域はDJX-1の方が豊か、高域はATH-PRO700の方が豊か。DJX-1の方がこもり感が気になる。弦楽器はDJX-1の方が心地よいが、ヴァイオリンの澄んだ感じ等を求めるならATH-PRO700の方が良いこともあるだろう。金管楽器はATH-PRO700の方が金属的で鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はATH-PRO700の方が良い。DJX-1は低域がぼやけて量が出すぎだし、中高域の鮮やかさもATH-PRO700に分がある。使い分けるなら、中域のうわずっている感じが気にならないならATH-PRO700、気になるならDJX-1。或いは、ロックやヴォーカルものを聴くならDJX-1、それ以外はATH-PRO700。

DT770PRO
どちらもドンシャリ。低域は全体的な量はDJX-1の方が多いが、DT770PROの方が重心が低く弾力のある鳴らし方。中域はDJX-1が低域の曇りにかなり覆われて目立たないのに対して、DT770PROははっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方が高い音で鋭い感じ。この2機種を見比べた場合DT770PROの方が高音よりと言える。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT770PROの方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろDT770PROが勝っているし、原音の粗や生っぽさも感じられる。音場はDT770PROの方が広く明確。DJX-1は耳のすぐ近くで鳴らしている感じだが、DT770PROはそんなことはない。DT770PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。ただし、DJX-1は低域の量とこもり感のせいで疲れる面があり、低域が多く高域が少ないソースでは聴き疲れは逆転しそう。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方がかなり上。厚みはDJX-1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が上。DJX-1の方がノリが良い感じ。響きはDJX-1の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はDJX-1の方が心地よいと感じる面もあるが、それは線が太くあまり原音の粗を出さないからで、普通の見方をするならDT770PROの方が繊細で原音らしさが感じられて良い。金管楽器はDT770PROの方が圧倒的に高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、線が太い点ではDJX-1の方が合うが、中域から高域の鮮やかさではDT770PROの方が合う。使い分けるなら、基本的にはDT770PRO、DT770PROでは高域が痛かったり線が細いと感じるときだけDJX-1。

K181DJ
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方が低い音で量も多い。K181DJの低域に比べるとDJX-1は厚みが薄く、曇っているように感じられる。中域はどちらも癖がなく好印象だが、K181DJの方が低域の曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる感じ。高域はどちらも良質でシャリついたりしないし、量も十分。質的にもかなり似ている。分解能はほぼ互角。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ、大きな差はない。音場はDJX-1の方が広く明確。原音忠実性はK181DJの低域が低く量も多い点を除けばほぼ互角。エッジのきつさ、聴き疲れはほぼ同等。明瞭さはK181DJの方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはK181DJの方が多少あるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJX-1の方がやや上。DJX-1の方がやや曇っているように感じられるが、それが温かみやヴォーカルの艶っぽさに繋がっているのだろう。K181DJの方が付帯音が少なくあっさりした鳴らし方。どちらもかなりノリが良い傾向。響きは、低域はK181DJの方が豊か、高域はほぼ同等。弦楽器はどちらもDJ用とは思えない能力を発揮してくれる。多少の違いはあるが、基本的には好みの差だろう。ただし、低域にはかなり違いがある。K181DJの方が過剰なくらい低い音で量も多い。DJX-1の方が素直。金管楽器はかなり近い鳴らし方だが、K181DJの方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はK181DJの方が良い。DJX-1はどうも低域の薄い感じや中域の目立たない感じが良くない。使い分けるなら、低域の質・量を重視するならK181DJ、それほどでもないならDJX-1。

RP-21
DJX-1は低音よりのドンシャリ、RP-21はややドンシャリ。低域はDJX-1の方がやや低い音で量も多い。DJX-1の低域の方が柔らかくぼやけている感じ。中域はRP-21の方がやや高い音で、低域に負けずはっきり聴こえてくる。高域はRP-21の方が高い音で量も多い。この2機種を比べるとRP-21の方が高音よりと言える。分解能はRP-21の方が上。音の分離に差がある。音場感はRP-21の方がやや広く明確。原音忠実性はRP-21の方が上。周波数特性的には低域に癖があるDJX-1、高域に癖があるRP-21という感じだが、原音の粗や生っぽさはRP-21の方が感じられる。RP-21の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-21の方が上。厚みはDJX-1の方がある。温かみはDJX-1の方が感じられる。これは、低域が多い上に音の質そのものも柔らかいため。ヴォーカルの艶っぽさは基本的には同等レベルだが、DJX-1の方が柔らかい音で艶っぽく感じられることもある。どちらもノリが良い傾向だが、DJX-1が低域の量で押す感じなのに対してRP-21は切れやスピード感がある感じ。響きはDJX-1の方が豊か。弦楽器はDJX-1の方が柔らかい音で心地よいと言えば心地よいのだが、RP-21の方が繊細で生っぽい感じも出してくれる。金管楽器はRP-21の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、低域の量だけ求めるならDJX-1の方が良いが、切れや中高域の鮮やかさではRP-21の方が良く、一般的にはRP-21の方がうまいと言えるだろう。使い分けるなら、低域の量が欲しいときにはDJX-1、それ以外はRP-21。あるいは、柔らかい音がいいときにはDJX-1、硬い音がいいときにはRP-21。

RP-DH1200
DJX-1は低音よりのドンシャリ、RP-DH1200は低音より。低域は全体的な量は同じくらいだが、RP-DH1200の方が低い音で圧力がある感じ。中域はどちらも低域に負けてあまり聴こえてこないが、どちらかと言えばDJX-1の方が聴こえる。ただ、RP-DH1200は中域に癖があるため、そのせいで聴こえてくるように感じることはある。高域はDJX-1の方がやや高い音で量も多い。分解能、音場感はDJX-1の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろDJX-1の方が良いし、音場はDJX-1の方が広く明確。原音忠実性はどちらもあまり良くなく、ほぼ同等レベル。ただ、中域の癖のなさ等を考えるとDJX-1の方がやや良いように感じる。DJX-1の方がややエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。それよりも、どちらも低域が出すぎで疲れることの方が多い。明瞭さ、音の鮮やかさはDJX-1の方がやや上。厚み、温かみはほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはDJX-1の方が感じられる。どちらも低域で押すような感じのノリの良さ。響きは、低域はRP-DH1200の方が豊か、高域はDJX-1の方が豊か。弦楽器はDJX-1の方が癖がないし生楽器を鳴らしている感じでも上。金管楽器はDJX-1の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は基本的にはほぼ互角だが、中域から高域の鮮やかさではDJX-1に分がある。使い分けるなら、基本的にはDJX-1、低域の質がRP-DH1200の方が合うと感じる場合にはRP-DH1200。


・DR150
DT990PRO
どちらもややドンシャリだが、DR150の方がフラット。低域はどちらも十分な量出るが、DT990PROの方が厚みがある。どちらも柔らかめの質感。中域はどちらもそれほど低域に埋もれたりはしないが、質的な問題でDT990PROの方がやや目立つ。高域はDT990PROの方がとがった音で量も多い。分解能はどちらかと言えばDT990PROの方がやや上。音場感はDR150の方が良い。原音忠実性はDR150の方が上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT990PROの方がやや上か。ただ、どちらもウォームさがあるので、あまり明るいとは言えない。厚みはDT990PROの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良い。サ行の痛さが気にならないならDT990PROの方が艶っぽいと感じるだろうが、無難なDR150の表現も悪くないし、十分魅力的。ノリの良さならDT990PRO、繊細さならDR150。ただし、どちらも聴き込むとやや粗があるところは似ている。響きはDT990PROの方がやや豊か。DT990PROの方が中域から高域の線が細くやや痛い。弦楽器はウッドベースの量感等はDT990PROの方が良いが、滑らかでローエンドまで伸びているDR150も悪くない。金管楽器はDT990PROの方が高く鮮やかだが、刺激が強すぎると感じる人も多いだろう。その点、DR150は適度な表現と言える。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、低域の厚みが欲しいときはDT990PROの方が合うだろうし、線の細さを嫌うときにはDR150の方が合うだろう。得意分野はDR150がクラシック、DT990PROがジャズ。使い分けるなら、刺激が欲しいならDT990PRO、無難な機種を望むのならDR150。

HD595
DR150はややドンシャリ、HD595はやや低音より。低域は質・量ともに非常に良く似ているが、DR150の方が若干低い音を鳴らす。また、どちらもやや曇りのようなものを感じるが、DR150の方が曇りが少ないように感じる。中域はどちらもおとなしいが低域に埋もれることはない。高域はDR150の方がかなり高く、量も多い。分解能はほぼ互角。音場感は若干HD595の方が良いように感じる。原音忠実性はDR150の方が若干良いように感じる。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。サ行の音等もやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方が上。厚みはDR150の方がある。温かみはHD595の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、サ行が多少痛くてもいいならDR150の方が良いだろう。ノリの良さならDR150、繊細さならHD595。響きはほぼ互角。DR150の方がやや細部に粗があるように感じるが、これはHD595のSENNHEIERらしいマイルドさによるところも大きいだろう。弦楽器はHD595の方が繊細で心地よいが、チェロ等の低域やヴァイオリンの澄んだ感じが欲しいときはDR150の方が良いだろう。金管楽器はDR150の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもそれほど得意ではないが、どちらかと言えばDR150の方が良いように感じる。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、高域が欲しいときにはDR150、粗を嫌うならHD595。

HFI-2200ULE
どちらもややドンシャリ。低域はHFI-2200ULEの方がやや低い音を鳴らすし、厚みもあるが、量はほぼ同量。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、多少低域の量に負け気味。中高域はDR150の方がやや高い音を鳴らすが、高域はHFI-2200ULEの方が高い音を鳴らす。全体的にはそれほど差は無いだろう。分解能はほぼ互角。音の分離はHFI-2200ULEの方が若干良いが、微細な表現はDR150の方が若干うまい。音場感はHFI-2200ULEの方が明確。原音忠実性はDR150の方が良いが、HFI-2200ULEの方が原音の実体感は感じられる。どちらもややエッジがきつく聴き疲れするが、どちらかと言えばDR150の方が疲れない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-2200ULEの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR150の方が上。ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならDR150。響きはDR150の方が豊か。HFI-2200ULEの方がメリハリがある。弦楽器はDR150の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDR150の方が若干高い音を鳴らしてくれるが、HFI-2200ULEの方が力強い。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がうまい。音の厚みや切れに違いがある。使い分けるなら、クラシックやジャズはDR150、ポップスやロックはHFI-2200ULE。

K501
DR150はややドンシャリ、K501は高音より。低域はDR150の方がかなり出る。特にローエンドは雲泥の差。中域はK501の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域は意外と似た鳴らし方だが、DR150の方が若干高く太い音を鳴らすように感じる。分解能は低域が出ない上に線が細い分K501の方が良いように感じる。音場感はほぼ互角。原音忠実性は基本的にはK501の方が上のように感じるが、低域の表現は微妙。DR150の方が若干エッジがきつめだが、K501の方が線が細く硬い音のため、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはK501の方が上。特に明瞭さは低域の量の違いがはっきり出る。厚みはDR150の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR150の方が上。特に温かみはかなり差がある。ノリの良さならDR150、繊細さならK501。響きはDR150の方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の表現と音の硬さ、細さ。DR150の方が遥かに豊かな低域で、K501の方が硬く線の細い鳴らし方。弦楽器はチェロ等の低域を楽しみたいならDR150の方が良いが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならK501の方が良い。金管楽器はどちらもしっかり鳴らしてくれるが、DR150の方が高く力強い鳴らし方なのに対して、K501は細く硬い鳴らし方。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、うまくない理由がまったく違う。DR150は切れが悪くウォーム過ぎるため、K501は低域が不足で線が細いため。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときにはDR150、そうでもないときはK501。

RP-HT770
DR150はややドンシャリ、RP-HT770はやや低音より。低域はDR150の方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はDR150が素直に出るのに対して、RP-HT770はやや低域の曇りに覆われ、しかも若干うわずり気味。高域はDR150の方が高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDR150の方が良い。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDR150の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろDR150の方が良い。響きはDR150の方がやや豊か。RP-HT770はDR150に比べると全体的に曇っていて明瞭さが無く、ただ何となく鳴らしているように感じる。弦楽器はDR150の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDR150の方がかなり鮮やか。打ち込み系の音の表現はDR150の方がややうまい。厚みや低域の量感で勝っているため。使い分けるなら、基本的にはDR150、よほど聴き疲れを避けたいときだけRP-HT770。


・DR-631
ATH-SX1
どちらもかまぼこだが、ATH-SX1の方がフラット。低域も高域もATH-SX1の方が出る。ただし、低域は出方が全然違う。ATH-SX1は普通に薄いのに対して、DR-631は中低域はしっかり鳴らすのに、それ以下はバッサリ鳴らないのに加えて、ある種の曇りがある。分解能はDR-631の方が若干上に感じるが、線の細さや音の粒の細かさを求めているならATH-SX1の方が良い。音場感、原音忠実性はATH-SX1の方がやや上。ATH-SX1の方が線が細く聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはATH-SX1の方が上。厚み、密度はDR-631の方がかなり上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方がかなり上。DR-631は極めてモニター的な鳴らし方なのに対して、ATH-SX1はモニター用とは思えないほど繊細で音楽鑑賞向きの音。響きはATH-SX1の方が豊かだが、これはDR-631がまったく響かないと言った方が適切だろう。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-SX1の方が魅力的。音楽鑑賞に使うなら何を聴くにしてもほとんどATH-SX1の方が良いだろう。モニター的な用途以外では、DR-631は使えない。

MDR-CD900ST
DR-631はかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域も高域もMDR-CD900STの方が出る。特に低域はMDR-CD900STの方がかなり出る。DR-631は中低域はしっかり鳴らすのに、それ以下はバッサリ鳴らない。分解能はDR-631の方が若干上に感じるが、線の細さや音の粒の細かさを求めているならMDR-CD900STの方が良い。音場感、原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはDR-631の方が上、音の鮮やかさはMDR-CD900STの方が上。厚み、密度はDR-631の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方がかなり上。DR-631は極めてモニター的な鳴らし方なのに対して、MDR-CD900STはモニター用にしてはフラットで響きが豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-CD900STの方が魅力的。音楽鑑賞に使うなら何を聴くにしてもほとんどMDR-CD900STの方が良いだろう。モニター的な用途以外では、DR-631は使えない。

MV1
DR-631はかなりかまぼこ、MV1は高音よりのかまぼこ。低域はどちらもかなり少ないが、どちらかと言えばMV1の方が量が多い。中域はMV1の方がはっきり聴こえてくる。これは低域の量云々よりも音の質としてMV1の方が高く癖のある音を鳴らすため。高域はDR-631の方が細く鋭い音だが、MV1の方が量が多く明るい。分解能はDR-631の方が上。音の分離はあまり差を感じないが、一つ一つの音の微細な描写はDR-631の方が上。音場感はDR-631の方が明確。原音忠実性はDR-631の方が上。周波数特性上の癖のなさだけでなく、原音の粗や生っぽさが感じられるという点でも上。エッジはDR-631の方がややきついが、MV1は中域から中高域にかけてキンキンするような感じがあり、総合的な聴き疲れとしてはあまり変わらない。明瞭さ、音の鮮やかさはMV1の方が上。厚みはMV1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR-631の方が上。響きはDR-631の方がやや豊か。弦楽器はDR-631の方が繊細かつ心地よい。ただ、これはMV1が悪いため相対的にDR-631が良く感じるのだろう。金管楽器はMV1の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMV1の方が良い。MV1の方が明るい表現。使い分けるなら、基本性能重視ならDR-631、明るい音の方が良いならMV1。

PRO/4AA
どちらもかまぼこ。超低域はPRO/4AAの方が出るが、低域はDR-631の方が出る。高域は量はほぼ同量だが、PRO/4AAの方がやや高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はDR-631の方が上、音場感はPRO/4AAの方が上。PRO/4AAの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはPRO/4AAの方が上。厚み、密度はDR-631の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも微塵もない。どちらも極めてモニターライクな鳴らし方。響きはあっさり。。DR-631は低域がでないのにどこか曇っているような音だが、逆にPRO/4AAは曇りがなさ過ぎる感じ。弦楽器はDR-631の方が心地よい。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はどちらかと言えばDR-631の方がうまい。どちらも音楽鑑賞には向かない。モニター的な用途ならDR-631の方が良いだろう。

ST-90
どちらもかなりのかまぼこだが、DR-631の方が高音より。低域はDR-631は本当にバッサリ鳴らないのに対してST-90は厚みが薄いものの最低限の量は出る。むしろ、中域も低域の曇りの覆われる感じ。逆に、DR-631の中域はうわずり気味で非常に前に出てくる。高域はDR-631の方が一段高い音で、量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてDR-631の方が上。どちらもエッジはきつくないが、DR-631はキンキンした中域で聴き疲れすることがあるのに対して、ST-90は低域の曇りとこもり感で聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはDR-631の方が上。温かみは低域が変に出る分ST-90の方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらも感じられないが、DR-631の方が繊細な部分があるため、多少はましに聴こえる。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない、極めてモニター的な鳴らし方。響きはST-90の方がやや豊か。弦楽器はDR-631の方が原音に近く瑞々しい部分があるが、曇っていてもいいから心地よさだけを求めるならST-90の方が良い。金管楽器はDR-631の方が高く鮮やか。ST-90はほとんど聴こえてこない。打ち込み系の音の表現はどちらも苦手。低域の量だけならST-90だが、切れや厚みではDR-631の方が上。使い分けるなら、インドアとアウトドア、もしくは中域重視か低域も少しは鳴らして欲しいか、だろう。


・DT231PRO
DT770PRO
どちらもドンシャリだが、DT770PROの方がフラット。ただし、基本的にはかなり近い音調で、どちらもbeyerdynamicらしい。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT770PROの方がやや上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、DT770PROの方がまだ疲れにくい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDT770PROの方が若干上。DT770PROの方がワンランク上の繊細さを持っている。DT231PROはDT770PROと比べるとやや曇っているように感じる。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDT770PROの方が若干うまい。得意分野はどちらもジャズ。ほとんど何を聴くにしてもDT770PROの方が良い。ただし、DT231PROは小型・軽量であることから、使い分けはできそう。コストパフォーマンスを考えるとDT231PROの方が良いように感じるし、beyerdynamicらしさはしっかり感じられる。

DTX900
どちらもややドンシャリだが、DT231PROの方がやや高音より。低域はDTX900の方が厚みがあるし、高域はDT231PROの方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT231PROの方が若干上。どちらもややエッジがきつく聴き疲れするが、DTX900は一般的に聴ける範囲、DT231PROはかなり厳しいレベル。サ行の音等もDT231PROの方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT231PROの方が上。厚みはDTX900の方がある。温かみはDTX900の方が上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、DT231PROはいささか擦れすぎにも感じる。どちらも一般的な意味では繊細と言って良いだろう。響きはどちらも適度。弦楽器はDTX900の方が滑らかで心地よいが、細い音を好む人にはDT231PROの方が合うかもしれない。金管楽器はDT231PROの方が一段高く鮮やか。上位機種ゆずりの見事な表現だが、一方DTX900はDT231PROと比べると極普通といった印象。、打ち込み系の音の表現はDTX900の方がうまい。DT231PROの方が高音よりでありながら、音が細くある種のウォームさがあるためだと思われる。得意分野はどちらもジャズ。使い分けるなら、ジャズはDT231PRO、それ以外はDTX900。DTX900は何でも聴けるが、DT231PROはジャズやクラシック以外には使えない。ただし、聴き疲れしないことに自信がある人ならDT231PROの方が一段上の実力を持っているように感じると思われる。

HP830
どちらもドンシャリだが、HP830の方がフラット。低域は、DT231PROの方がローエンドまで伸びていて薄い感じ、HP830の方がかなり厚みがある。高域はDT231PROの方が一段高く、細く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角だが、DT231PROの方が線が細いため、分解能は若干高いように感じる。DT231PROの方がかなり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP830の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは若干DT231PROの方が上。ただし、HP830も十分な温かみと艶っぽさを持っている。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにDT231PROの方がややうまいように感じる。ただし、金管楽器はあまりに細く高い音になるため、ソースによってはチープに感じられるし、HP830もなかなかうまいので人によって評価は逆転すると思われる。打ち込み系の音の表現はHP830の方がかなりうまい。得意分野はDT231PROがジャズ、HP830はポップス。使い分けるなら、ジャズはDT231PRO、それ以外はHP830。どちらもなかなかコストパフォーマンスが良い。ただ、DT231PROでポップスやロックは厳しい上かなり聴き疲れするのに対して、HP830は何でも聴ける上あまり聴き疲れしない。HP830の方が明らかにオールマイティー。

HP-D7
DT231PROはドンシャリ、HP-D7はやや低音より。低域はほぼ同量だが若干HP-D7の方が出る。量の差よりも、ソースによってHP-D7の方が一段低い音を鳴らすことの方が気になる。高域はDT231PROの方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT231PROの方が上。DT231PROの方がエッジがきつくかなり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT231PROの方が上。厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方が上。ノリの良さならHP-D7、繊細さならDT231PRO。響きはどちらも適度だが、HP-D7の方がやや豊か。弦楽器はDT231PROの方が繊細なのだが、線が細すぎるという人も多そう。金管楽器はDT231PROの方が高く鮮やか。雲泥の差。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野はDT231PROはジャズ、HP-D7はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT231PRO、ポップスやロックはHP-D7。

RP-HTX7
DT231PROは高音よりのドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はRP-HTX7の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるが、全体的な量はDT231PROの方がやや多く、柔らかくぼやけている。中域はRP-HTX7の方が低域の曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方がやや高い音を鳴らすが、量はDT231PROの方が多い。分解能は微妙。音の分離はRP-HTX7の方が良いが、微細な表現はDT231PROの方がうまい。音場感はRP-HTX7の方が明確で良い。原音忠実性はDT231PROの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる。DT231PROの方が若干エッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはRP-HTX7の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはRP-HTX7の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方がかなり上。RP-HTX7の方がノリが良い。響きはDT231PROの方が豊か。DT231PROがウォームかつ刺激的なのに対して、RP-HTX7は冷たくタイト。弦楽器はDT231PROの方が心地よい。金管楽器はどちらも鮮やかだが、DT231PROはやや音が割れすぎ、RP-HTX7はあっさりしすぎ。打ち込み系の音の表現はRP-HTX7の方がうまい。付帯音が少なく、タイトな鳴らし方。得意分野はDT231PROがジャズ、RP-HTX7がポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT231PRO、ポップスやロックはRP-HTX7。


・DT660 Edition 2007
ATH-W1000
どちらもやや高音より。低域はATH-W1000の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。高域はDT660 Edition 2007の方が細く高いが、ATH-W1000の方が明るい感じで、どちらも高域が目立つ点は似ている。分解能はほぼ互角。音場感はDT660 Edition 2007の方が立体感があり明確。原音忠実性はDT660 Edition 2007の方が良い。AHT-W1000と比べて、原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等レベルだが、どちらかと言えばDT660 Edition 2007の方が若干エッジがきつい。明瞭さは低域が出ない分若干DT660 Edition 2007の方が良い印象。音の鮮やかさはATH-W1000の方が上。厚みはATH-W1000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT660 Edition 2007の方がやや上。ヴォーカルは、ATH-W1000の方が明るく瑞々しい鳴らし方で、艶っぽさとは別のベクトルの良さがある。どちらもノリの良さと繊細さを両立している感じだが、ATH-W1000は音そのものが明るくてノリが良いように感じるのに対して、DT660 Edition 2007は軽快で爽やかな鳴らし方でノリが良い。響きはATH-W1000の方がやや豊か。弦楽器はDT660 Edition 2007の方が繊細かつ心地よいが、ヴァイオリンの澄んだ感じを楽しみたいときや付帯音の少なさを求めるときにはATH-W1000の方が良いだろう。金管楽器は、DT660 Edition 2007の方が高い音なのだが、音の質感の違いでATH-W1000の方が鮮やかに感じられる。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。低域の量、冷たく硬めの音の質感が合う。ただし、DT660 Edition 2007もスピード感があり悪くない。使い分けるなら、低域が欲しい場合はATH-W1000、そうでもないならDT660 Edition 2007。あるいは、硬質で鮮やかな音を求めるならATH-W1000、爽やかな音を求めるならDT660 Edition 2007。

DT770PRO
DT660 Edition 2007はやや高音より、DT770PROはドンシャリ。低域はDT770PROの方がかなり低い音で量も多い。中域はDT660 Edition 2007の方がややはっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方がやや高い音で鋭い感じ。分解能はほぼ互角。音場感はDT660 Edition 2007の方がやや耳の近くで鳴らしている感じはあるが、そのことを除けばほぼ互角。原音忠実性は周波数特性的にはDT660 Edition 2007の方が癖がなくて良いが、雰囲気の表現のようなところはDT770PROの方が良い。DT770PROの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはDT660 Edition 2007の方が上。音の鮮やかさ、厚みはほぼ同等レベル。温かみはDT770PROの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等レベルだが、湿り気のある感じが良いならDT770PROの方が合うだろう。DT660 Edition 2007の方が明るく爽やかでノリが良い。響きはDT770PROの方がやや豊か。弦楽器はDT770PROの方がある種の生っぽさがあるが、付帯音が少なく澄んだ感じを求めるならDT660 Edition 2007の方が良い。金管楽器はDT770PROの方がやや高い音だが、癖の強さも上。DT660 Edition 2007でも十分な鮮やかさを持っている。打ち込み系の音の表現はDT660 Edition 2007の方がうまい。全体的に明るく爽やかな点がDT770PROとは異なる。使い分けるなら、明るい音を求めるならDT660 Edition 2007、暗い音を求めるならDT7770PRO。あるいは低域の量感を求めるならDT770PRO、そうでもないならDT660 Edition 2007。

DT860
DT660 Edition 2007はやや高音より、DT860はやや高音よりのドンシャリ。かなり似た音を鳴らす。低域はDT860の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらも癖のない音ではっきり聴こえてくる。高域はほぼ同等の鳴らし方だが、どちらかと言うとDT660 Edition 2007の方がやや高い音で目立つ感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等だが、どちらかと言えばDT660 Edition 2007の方が音場が明確。エッジのきつさはほぼ互角だが、どちらかと言えばDT860の方がきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ互角だが、厚みはどちらかと言えばDT660 Edition 2007の方がある。どちらも爽やかでノリが良い感じ。響きはどちらもややあっさり。DT860の方が付帯音が多い感じで、サラサラした質感。弦楽器は低域が出るものはDT860が合うが、そうでなければほぼ同等。金管楽器はDT660 Edition 2007の方が若干鮮やかでかつ芯が通っている感じだが、基本的にはかなり似ている。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、音の太さが欲しいときにはDT660 Edition 2007、低域が欲しい場合にはDT860か。この2機種の最大の違いは低域の量(DT860の方がやや多い)。次いで音の太さ(DT660 Edition 2007の方がやや太い)。かなり似ているのでどちらか片方持っていれば十分な機種。

HP-M1000
DT660 Edition 2007はやや高音より、HP-M1000はややドンシャリ。低域はHP-M1000の方がかなり量が多くぼやけている感じ。中域はDT660 Edition 2007の方が低域に邪魔されない上やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はDT660 Edition 2007の方が高く鋭い音だが、意外と似た音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT660 Edition 2007の方が上。音の分離にしろ細部の描写にしろDT660 Edition 2007の方が勝っている。音場はDT660 Edition 2007の方が立体感があり明確。DT660 Edition 2007の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等。高域はDT660 Edition 2007の方が痛いが、サ行の音はHP-M1000の方が痛い。明瞭さはDT660 Edition 2007の方がかなり上、音の鮮やかさもDT660 Edition 2007方がやや上。厚みはHP-M1000の方があるように感じられるが、これは厚みと言うよりも音が太く低域の量が多いことが主な要因だろう。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT660 Edition 2007の方が上。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならDT660 Edition 2007。響きはHP-M1000の方が豊かで、こもり感がかなり気になる。どちらもある種の爽やかさがある点や付帯音が感じられる点は似ている。弦楽器はDT660 Edition 2007の方が繊細かつ心地よい。金管楽器は意外と近い鳴らし方だが、HP-M1000は余計な音を鳴らしすぎる感があり、基本的にはDT660 Edition 2007の方が良い。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。低域の量や音の太さがマッチする。ただ、DT660 Edition 2007の方が軽快でスピード感があるので、ソースによってはDT660 Edition 2007の方が良いと感じられることもある。使い分けるなら、基本的にはDT660 Edition 2007、低域が欲しいときにはHP-M1000。


・DT770PRO
DJX-1
どちらもドンシャリ。低域は全体的な量はDJX-1の方が多いが、DT770PROの方が重心が低く弾力のある鳴らし方。中域はDJX-1が低域の曇りにかなり覆われて目立たないのに対して、DT770PROははっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方が高い音で鋭い感じ。この2機種を見比べた場合DT770PROの方が高音よりと言える。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT770PROの方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろDT770PROが勝っているし、原音の粗や生っぽさも感じられる。音場はDT770PROの方が広く明確。DJX-1は耳のすぐ近くで鳴らしている感じだが、DT770PROはそんなことはない。DT770PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。ただし、DJX-1は低域の量とこもり感のせいで疲れる面があり、低域が多く高域が少ないソースでは聴き疲れは逆転しそう。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方がかなり上。厚みはDJX-1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が上。DJX-1の方がノリが良い感じ。響きはDJX-1の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はDJX-1の方が心地よいと感じる面もあるが、それは線が太くあまり原音の粗を出さないからで、普通の見方をするならDT770PROの方が繊細で原音らしさが感じられて良い。金管楽器はDT770PROの方が圧倒的に高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、線が太い点ではDJX-1の方が合うが、中域から高域の鮮やかさではDT770PROの方が合う。使い分けるなら、基本的にはDT770PRO、DT770PROでは高域が痛かったり線が細いと感じるときだけDJX-1。

DT231PRO
どちらもドンシャリだが、DT770PROの方がフラット。ただし、基本的にはかなり近い音調で、どちらもbeyerdynamicらしい。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT770PROの方がやや上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、DT770PROの方がまだ疲れにくい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDT770PROの方が若干上。DT770PROの方がワンランク上の繊細さを持っている。DT231PROはDT770PROと比べるとやや曇っているように感じる。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDT770PROの方が若干うまい。得意分野はどちらもジャズ。ほとんど何を聴くにしてもDT770PROの方が良い。ただし、DT231PROは小型・軽量であることから、使い分けはできそう。コストパフォーマンスを考えるとDT231PROの方が良いように感じるし、beyerdynamicらしさはしっかり感じられる。

DT660 Edition 2007
DT660 Edition 2007はやや高音より、DT770PROはドンシャリ。低域はDT770PROの方がかなり低い音で量も多い。中域はDT660 Edition 2007の方がややはっきり聴こえてくる。高域はDT770PROの方がやや高い音で鋭い感じ。分解能はほぼ互角。音場感はDT660 Edition 2007の方がやや耳の近くで鳴らしている感じはあるが、そのことを除けばほぼ互角。原音忠実性は周波数特性的にはDT660 Edition 2007の方が癖がなくて良いが、雰囲気の表現のようなところはDT770PROの方が良い。DT770PROの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはDT660 Edition 2007の方が上。音の鮮やかさ、厚みはほぼ同等レベル。温かみはDT770PROの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等レベルだが、湿り気のある感じが良いならDT770PROの方が合うだろう。DT660 Edition 2007の方が明るく爽やかでノリが良い。響きはDT770PROの方がやや豊か。弦楽器はDT770PROの方がある種の生っぽさがあるが、付帯音が少なく澄んだ感じを求めるならDT660 Edition 2007の方が良い。金管楽器はDT770PROの方がやや高い音だが、癖の強さも上。DT660 Edition 2007でも十分な鮮やかさを持っている。打ち込み系の音の表現はDT660 Edition 2007の方がうまい。全体的に明るく爽やかな点がDT770PROとは異なる。使い分けるなら、明るい音を求めるならDT660 Edition 2007、暗い音を求めるならDT7770PRO。あるいは低域の量感を求めるならDT770PRO、そうでもないならDT660 Edition 2007。

DT880
全体的に非常に近い音。DT770PROの方が低音の厚みがあるが、超低域はDT880の方が出る。また、ハイハット等の高域の鳴らし方の癖が似ている。低域の抜けと高域の透明感がDT880の方が若干良い印象。それによってDT880はDT770PROと比べてある種の空気感が楽しめる。分解能、音場感ともにほぼ互角。どちらも原音にかなり近いが、DT880の方が低域の自然な抜けや弦楽器の繊細さで一歩勝る。エッジのきつさ、聴き疲れのしやすさはほぼ同レベル。明瞭さはほぼ互角だが、超低域が強いソースではDT880の方が曇ってしまうため悪く、チェロやベース等の一般的な低域が強いソースではDT770PROの方が悪い。基本的にはどちらも非常に鮮やかで刺激的な音調。ヴォーカルの艶っぽさや温かみはほぼ互角。ソースによってはサ行の音がややきつく感じるところや、擦れ具合など非常に近い。どちらもノリの良さと繊細さを持ち合わせているが、低域の厚みがあるのと音自体にやや粗があるせいかD770PROの方がノリが良く感じる。響きはほぼ同じだが、低域を大音量で鳴らすとDT770PROは密閉型特有のこもり感が気になる。前述のとおり弦楽器の表現はDT880が勝っているが、金管楽器の美しさは互角で、どちらも非常に良い。得意分野はどちらもジャズだが、クラシックや女性ヴォーカルものもなかなか美しい。

HD25-1
どちらもドンシャリだが、DT770PROの方が低域も高域も出る。特に超低域と超高域の量はかなり違う。HD25-1はしまりがあるが、DT770PROは良く伸びている印象。分解能や原音忠実性はDT770PROの方が上。音場感はほぼ互角だが、HD25-1の小型さを考えれば驚異的と言えよう。DT770PROの方がエッジがきつく音が割れるような感じで聴き疲れする。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方が上だが、ウォームさがあるためどちらが明るい音調かという問題ならHD25-1の方が明るいだろう。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が上だが、サ行の痛さやかすれが気になる人からすると評価は逆転するだろう。ノリの良さならHD25-1、繊細さならDT770PRO。響きは以外にもHD25-1の方が豊か。こもり感はHD25-1の方が気になるし、曇っているようにも感じる。弦楽器はDT770PROの方が繊細だが、まったり聴きたいならHD25-1の方が良いときもあるかもしれない。金管楽器はDT770PROの方がかなり高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。DT770PROはどうしてもウォームに感じる。得意分野は、HD25-1はロック、DT770PROはジャズ。使い分けるならポップスやロックはHD25-1、クラシックやジャズはDT770PRO。これほど見事に使い分けができる2機種も珍しい。そういう意味では両方買っても損はしない。

HD590
DT770PROの方が高域が強く、超低域が弱い。低域の厚みそのものはDT770PROの方がある。分解能、音場感は両機種ともやや不満に感じる部分はあるが、致命的ではないレベル。DT770PROは当然密閉型特有のこもり感があるが、HD590はない。両機種ともやや刺激的として知られるが、それは各メーカーの標準から見たらそうなると言う話で、絶対的な見方でエッジのきつさ等から刺激的なのはDT770PROと言える。HD590の方がホワイトノイズが大きい。DT770PROの方が明瞭さはあるが、温かみや音そのものの自然さ、ヴォーカルの艶っぽさでは負ける。音の密度や鮮やかさではDT770PROの方が一枚上手。ヴォーカル曲はどちらもサ行の音等が痛く感じることがある。トランペットやシンバルなどの高音は、HD590はSENNHEISERのなかでは美しい方だがDT770PROはさらにその上を行くように感じる。ただ、同じ金管楽器でもホルンのような低音のものはHD590の方がふくよかで良いようだ。弦楽器や打楽器はHD590の方が総じて良い。特に低音の抜けの違いは大きい。ただ、ギターの高域などはDT770PROの方が一段高い音に聴こえ、刺激が強い。打ち込み系の音は両機種ともなかなか刺激的で面白い音を鳴らしてくれる。この2機種を使い分けるならジャズやブラスならDT770PRO、それ以外ではHD590という感じになるだろうか。

HP-DX3
HP-DX3の方が低音より。特に超低域にかなり差がある。HP-DX3は高域はまったく聴こえてこないが、DT770PROは低域同様非常に良く聴こえる。中域はHP-DX3は低域に流されるが、DT770PROはまったくそんなことはない。分解能、音場感ともにDT770PROの方が一段上。その上原音に近い。DT770PROの方がエッジがきつい上、サ行の音が痛くやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、情報量等DT770PROの方が圧倒的に上。温かみはHP-DX3の方がややあるが、ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が良い。DT770PROの方がノリの良く、それでいて繊細。響きはHP-DX3は豊か、DT770PROは適度。弦楽器、金管楽器ともにDT770PROの方が自然で魅力的。ただし、弦楽器はHP-DX3の方が伸びが良く、人によって評価が分かれるところだろう。金管楽器の差は圧倒的。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、DT770PROの方がまだ聴ける。得意分野はHP-DX3はクラシック(弦楽器)、DT770PROはジャズ。何を聴くにしてもDT770PROの方が上に感じるが、あえて使い分けるなら弦楽器だけはHP-DX3でそれ以外はDT770PRO。

K271studio
DT770PROはドンシャリ、K271studioはやや高音より。低域はDT770PROの方がかなり低い音を鳴らすし、量も多い。中域は、低域の多いソースではK271studioの方がはっきり聴こえてくることもあるが、基本的にはDT770PROの方が聴こえてくる。これはK271studioは低域の薄い曇りに覆われるように明瞭さがないため。高域はDT770PROの方がかなり高い音で、粗がある感じ。分解能及び音場感はDT770PROの方が上。ただし、微細な表現はK271studioの方が粗なくこなしてくれる。原音忠実性は微妙。K271studioの方が癖のない音だが、DT770PROの方が原音の粗は感じられる。DT770PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDT770PROの方が上。ノリの良さならDT770PRO、繊細さならK271studio。響きはDT770PROの方が豊か。弦楽器はK271studioの方がうまいのだが、DT770PROの方が艶があり情感豊かに鳴らしてくれるので、魅力という点ではむしろDT770PROの方が上回っているように感じる。金管楽器はDT770PROの方が高く鮮やかだが、癖や粗があるのは確かだし、上品な鳴らし方を好むならK271studioの方が良かろう。打ち込み系の音の表現はどちらもうまくないが、どちらかと言えばDT770PROの方がまし。得意分野はDT770PROはジャズ、K271studioはクラシック。使い分けるなら、粗があっても良いから魅力的な音楽を聴きたいならDT770PRO、上品さや繊細さを優先するならK271studio。

PROline750
どちらもドンシャリ。両機種とも高域・低域ともに癖がありどちらが量的に上かは判別しにくい。高域はDT770PROの方が細い音で一段高く聴こえる。低域はPROline750の方が超低域まで出ており、しかも粘りがある感じがする。PROline750の方が全体的に低音よりなのかもしれない。分解能、音場感ともにPROline750の方が良好。原音忠実性はDT770PROの方が上。どちらもエッジがややきつめで聴き疲れしやすいが、PROline750の方がおとなしい。特にヴォーカルのツの音等は、ソースによってはDT770PROの方がかなり痛い。明瞭さはDT770PROの方がやや上だが、音の厚みと鮮やかさではPROline750の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPROline750の方が上だが、DT770PROも十分だと感じる。どちもノリが良いが、PROline750の方がノリが良く、DT770PROの方が繊細。響きはどちらも適度だが、DT770PROの方がややあっさり気味か。弦楽器はPROline750の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はDT770PROの方が一段高く繊細な音を聴かせてくれる。打ち込み系の音とはPROline750の方が相性が良い。得意分野はPROline750はオールマイティ、DT770PROはジャズやブラスメインのオーケストラ等。使い分けするならDT770PROがジャズやブラスメインのオーケストラ、PROline750でそれ以外という感じ。


・DT860
DT660 Edition 2007
DT660 Edition 2007はやや高音より、DT860はやや高音よりのドンシャリ。かなり似た音を鳴らす。低域はDT860の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらも癖のない音ではっきり聴こえてくる。高域はほぼ同等の鳴らし方だが、どちらかと言うとDT660 Edition 2007の方がやや高い音で目立つ感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等だが、どちらかと言えばDT660 Edition 2007の方が音場が明確。エッジのきつさはほぼ互角だが、どちらかと言えばDT860の方がきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ互角だが、厚みはどちらかと言えばDT660 Edition 2007の方がある。どちらも爽やかでノリが良い感じ。響きはどちらもややあっさり。DT860の方が付帯音が多い感じで、サラサラした質感。弦楽器は低域が出るものはDT860が合うが、そうでなければほぼ同等。金管楽器はDT660 Edition 2007の方が若干鮮やかでかつ芯が通っている感じだが、基本的にはかなり似ている。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、音の太さが欲しいときにはDT660 Edition 2007、低域が欲しい場合にはDT860か。この2機種の最大の違いは低域の量(DT860の方がやや多い)。次いで音の太さ(DT660 Edition 2007の方がやや太い)。かなり似ているのでどちらか片方持っていれば十分な機種。

DT880
DT860の方が若干低音より。低域はDT860の方が厚みや弾力のある鳴らし方で、量も若干多いように感じる。中域はDT860の方がややうわずり気味ではっきり聴こえてくる。中高域はDT860の方が目立つが、高域はDT880の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT880の方が上。細部の描写はDT880の方がかなりうまいし、原音に近い。音場は、DT880の方がやや耳から離れたところで音を鳴らすおかげで把握しやすい。DT860の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT860の方が上。厚みはDT860の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT880の方が上。ノリの良さならDT860、繊細さならDT880。響きはDT880の方が豊か。DT860の方が音が粗く、サラサラした質感。DT860は明るく爽やか、DT880はしっとり落ち着いた鳴らし方。ただし、どちらも高域が刺激的な点は似ている。弦楽器はDT880の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDT880の方がしっかりと安心できる鳴らし方。DT860はDT880と比べるとチープに感じる。打ち込み系の音の表現はDT860の方がうまい。厚みや切れで勝っている。得意分野はDT860がポップス、DT880がジャズ。使い分けるなら、明るく楽しみたいときはDT860、そうでなければDT880。

HFI-2200ULE
DT860はやや高音よりのドンシャリ、HFI-2200ULEはやや低音よりのドンシャリ。低域の量はそれほど差がないが、HFI-2200ULEの方が低く厚みがある低域。中域はDT860の方がやや上ずっていてはっきり聴こえてくる。高域はかなり似ているが、HFI-2200ULEの方がやや高く独特の音を鳴らす。分解能はほぼ互角、音場感はHFI-2200ULEの方が上、原音忠実性はDT860の方が上。ただし、基本的にはどちらも原音忠実とは言い難い。癖のなさという意味ではDT860の方が原音に近いという程度のレベル。原音の実体感のようなものはHFI-2200ULEの方が感じられる。HFI-2200ULEの方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、それほど大きな差は無い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT860の方が若干上。厚みはHFI-2200ULEの方がある。温かみは低域が出ることもありHFI-2200ULEの方が上、ヴォーカルの艶っぽさはDT860の方が若干上。ただし、色気のある艶っぽさではなく、サラサラした質感が艶っぽさのように感じられるという程度。どちらも明るくノリが良いが、DT860の方が軽快で爽やか、HFI-2200ULEの方が勢いがあり元気。響きは、低域はHFI-2200ULEの方が豊か、高域はDT860の方が豊か。DT860の方が抜けが良く、音がどこまでも広がっていく感じ。逆に言えば、HFI-2200ULEの方が制動のきいたメリハリのある鳴らし方。弦楽器はどちらももう一歩繊細さが欲しいところだが、心地よさではHFI-2200ULEの方が上。金管楽器はどちらも鮮やかで意外と似た音を鳴らすが、DT860の方が癖のない音、HFI-2200ULEの方が力強い音。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がややうまい。厚み、切れ、低域の量感で勝っているため。使い分けるなら、癖のなさや聴き疲れのなさを求めるならDT860、低域の量感や音場感を求めるならHFI-2200ULE。

SE-A1000
DT860はやや高音よりのドンシャリ、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。全体的にDT860の方がややフラット。低域はSE-A1000の方が量が多い。中域はDT860がややうわずり気味ではっきり聴こえてくるのに対して、SE-A1000はやや低めの音で低域に埋もれ気味。高域はSE-A1000の方が高い音を鳴らすが、ややシャリつく。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT860の方が上。微細な描写、音の分離ともにDT860の方が上で、SE-A1000ほど作ったような感じはしない音。音場は、DT860の方が耳から離れたところで音を鳴らしてくれるだけでなく、明確。SE-A1000の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT860の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しい。DT860の方がタイト、SE-A1000の方がぼやけ気味。どちらもサラサラした質感がある点は似ている。温かみは低域の量が多く柔らかいことからSE-A1000の方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはDT860の方がやや上のように感じるが、それほど大きな差はない。ノリの良さにしろ繊細さにしろDT860の方がやや上。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器は心地よさではSE-A1000の方がやや上かもしれないが、繊細さはDT860に分がある。金管楽器はSE-A1000の方が高い音を鳴らすが、ややチープ。力強さではDT860の方が上。打ち込み系の音の表現はDT860の方がうまい。厚み、切れ、スピード感で上回る。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはDT860で、低域が欲しいときだけSE-A1000。

SR-225
どちらもやや高音よりのドンシャリ。低域はDT860の方がやや低く厚みがある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、SR-225の方が癖のない印象。高域はかなり似ているが、SR-225の方が若干高い音を鳴らすようだ。分解能はSR-225の方がやや上。音場感はほぼ互角。どちらも耳の近くで鳴っているものの明瞭な点は良く似ている。原音忠実性はSR-225の方が上。DT860はどの音域を鳴らすにしてもどこか癖がある。エッジのきつさはほぼ互角で、聴き疲れも同等。明瞭さは、低域が弱く抜けが良い点はSR-225の方が良いように感じるが、中域のはりだしはDT860の方が上で、総合的に見るとほとんど差は無いだろう。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはDT860の方があるように感じる。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはSR-225の方が若干良いように感じる。どちらも明るく爽やかでノリが良い。響きはSR-225の方がやや豊かだが、その分抜けも良いので、感じ方は人によって違ってきそう。メーカーが違う割には似ているが、DT860の方が圧力のある鳴らし方。弦楽器はSR-225の方が繊細で癖が無い。金管楽器はどちらも鮮やかだが、弦楽器同様SR-225の方が癖が無い。打ち込み系の音の表現はDT860の方がややうまい。低域の量感や圧力があるため。得意分野はDT860がポップス、SR-225がロック。使い分けるなら、癖が合っても良いから低域の量感や圧力を求めるならDT860、それ以外はSR-225。

UR/40
どちらもややドンシャリ。低域はUR/40の方がぼやけた感じでやや量が多いが、厚みや圧力はDT860の方がある。中域はDT860がややうわずり気味で癖があるのに対して、UR/40は極普通。中高域から高域はDT860の方が高い音で目立つ。分解能はDT860の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はどちらもいまいちだが、原音の実体感や粗はDT860の方が感じられる。ただし、基本的にはUR/40の方が癖のない音。DT860の方がエッジがきつい上に音に圧力があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはDT860の方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはUR/40の方が上。DT860が非常に元気でノリが良いのに比べると、UR/40はただ何となく鳴らしている印象。響きはUR/40の方が豊か。どちらもサラサラした質感があるが、UR/40の方がそういった質感は薄い。弦楽器はUR/40の方が癖がなく安心して聴けるが、表現力としてはDT860の方が勝っている。金管楽器はDT860の方が高く鮮やかでしかも力強いが、やや不自然な感は否めない。打ち込み系の音の表現はDT860の方がうまい。音の厚み、スピード感が違う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ヴォーカルを楽しみたいときや癖のない音を求めるときはUR/40、それ以外はDT860。


・DT880
DT770PRO
全体的に非常に近い音。DT770PROの方が低音の厚みがあるが、超低域はDT880の方が出る。また、ハイハット等の高域の鳴らし方の癖が似ている。低域の抜けと高域の透明感がDT880の方が若干良い印象。それによってDT880はDT770PROと比べてある種の空気感が楽しめる。分解能、音場感ともにほぼ互角。どちらも原音にかなり近いが、DT880の方が低域の自然な抜けや弦楽器の繊細さで一歩勝る。エッジのきつさ、聴き疲れのしやすさはほぼ同レベル。明瞭さはほぼ互角だが、超低域が強いソースではDT880の方が曇ってしまうため悪く、チェロやベース等の一般的な低域が強いソースではDT770PROの方が悪い。基本的にはどちらも非常に鮮やかで刺激的な音調。ヴォーカルの艶っぽさや温かみはほぼ互角。ソースによってはサ行の音がややきつく感じるところや、擦れ具合など非常に近い。どちらもノリの良さと繊細さを持ち合わせているが、低域の厚みがあるのと音自体にやや粗があるせいかD770PROの方がノリが良く感じる。響きはほぼ同じだが、低域を大音量で鳴らすとDT770PROは密閉型特有のこもり感が気になる。前述のとおり弦楽器の表現はDT880が勝っているが、金管楽器の美しさは互角で、どちらも非常に良い。得意分野はどちらもジャズだが、クラシックや女性ヴォーカルものもなかなか美しい。

DT860
DT860の方が若干低音より。低域はDT860の方が厚みや弾力のある鳴らし方で、量も若干多いように感じる。中域はDT860の方がややうわずり気味ではっきり聴こえてくる。中高域はDT860の方が目立つが、高域はDT880の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT880の方が上。細部の描写はDT880の方がかなりうまいし、原音に近い。音場は、DT880の方がやや耳から離れたところで音を鳴らすおかげで把握しやすい。DT860の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT860の方が上。厚みはDT860の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT880の方が上。ノリの良さならDT860、繊細さならDT880。響きはDT880の方が豊か。DT860の方が音が粗く、サラサラした質感。DT860は明るく爽やか、DT880はしっとり落ち着いた鳴らし方。ただし、どちらも高域が刺激的な点は似ている。弦楽器はDT880の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDT880の方がしっかりと安心できる鳴らし方。DT860はDT880と比べるとチープに感じる。打ち込み系の音の表現はDT860の方がうまい。厚みや切れで勝っている。得意分野はDT860がポップス、DT880がジャズ。使い分けるなら、明るく楽しみたいときはDT860、そうでなければDT880。

DT990PRO
かなり似た音だが、DT880の方がフラット。低域は、特に超低域がDT990PROの方が強く、大抵のソースでは一段低い音を鳴らすように感じる。高域は量はそれほど差がないが、DT990PROの方が細い。分解能、音場感はほぼ同等。原音忠実性はDT880の方がやや上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは低域が弱い分ややDT880の方が良いように感じる。音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも暗い音調でありながら高域が刺激的なのは良く似ている。どちらかと言えばDT990PROの方が荒削りでノリが良いように感じる。響きはどちらも適度。DT880の方が安心して聴ける。弦楽器はほぼ互角だが、低い楽器はDT990PROの方が心地よく楽しめる。金管楽器はどちらも非常に高く鮮やか。ただ、DT990PROはやや音が割れすぎか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、どちらかと言えばDT880のほうがうまい。得意分野はどちらもジャズ。使い分けるなら、単に低域が欲しいときや、高域が刺激的でも構わない場合にはDT990PRO、それ以外はDT880だろう。

HP1000
HP1000の方が低音より。低音はHP1000の方が出るが、高音はDT880の方が出る。分解能はDT880の方が良い。音場感はほぼ互角。原音忠実性ではDT880の方が一歩上。どちらもエッジが若干きつめだが、刺激として楽しめるレベル。明瞭さはDT880の方が上。HP1000は低域が支配的で明瞭とは言えない。ただし、それでもハイハットなどの高域は非常に良く聴こえてくる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばHP1000が良い。DT880はさわやかで刺激的な音調だが温かみはある、HP1000は温かみと刺激を両立した音調。どちらもノリが良いのだが、音の伸びが良いのとウォーム過ぎる嫌いがあり打ち込み系の曲には合わない。音の厚みはともかくスピード感に欠ける。響きはDT880はあっさりめ、HP1000は豊か。弦楽器はほぼ互角。金管楽器はDT880の方が良い。得意分野はどちらもジャズで、ジャズならDT880の方が一枚上手。HP1000は温かみと刺激を両立させ、しかも女性ヴォーカルが非常に美しいので、女性ヴォーカルをじっくり聴き込むのに適していると思う。

K701
DT880はやや高音より、K701はかなりフラット。低域は全体的にDT880の方が出る。質感的にはDT880の方が柔らかい。中域はどちらもはっきり聴こえてくるし癖もない点は良く似ている。高域はDT880の方が高く硬い音を鳴らすが、粗がある。こうして見ると、この2機種に限ればDT880の方がドンシャリ。分解能及び音場感はほぼ互角。DT880の方が細部の表現が優れているように感じるが、これはサラサラした質感で付帯音があるせいでもあるため、厳密にはどちらが上とは言いがたい。原音忠実性はK701の方が上だが、原音の粗はDT880の方が感じられる。DT880の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはK701の方がやや上。音の鮮やかさは、DT880の高域がかなり目立つためそこに目が行きがちだが、それを除けばほぼ互角。厚みはK701の方がややあるように感じるが、これはK701の方がやや芯の通った音であるためにそう感じる部分もあるし、それほど差はない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT880の方が上。どちらもノリの良さと繊細さを高いレベルで両立させているが、総合的に見るとどちらにせよK701の方が若干上のように感じる。その代わり、DT880にはK701にはない味わい深さがあるように感じる。響きはDT880の方が豊か。DT880は長所と短所があるのに対して、K701はとにかく無難な印象。弦楽器はK701の方が癖のない表現だが、DT880のサラサラした質感や低域の量感も素晴らしいものがあるので、ソースや好みによって評価が分かれるところだろう。金管楽器はDT880の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域が出る点ではDT880の方が良いように感じるが、それ以外の点についてはK701の方がややうまいように感じる。ただし、どちらにしてもそれほど相性が良いとは言えないだろう。得意分野はDT880がジャズ、K701がクラシック。使い分けるなら、ジャンル云々よりも、刺激が欲しいならDT880、無難な方が良いならK701という方法の方が良いだろう。

PROline2500
PROline2500の方が低音より。超低域、低域ともPROline2500の方が出る。PROline2500は厚み・量ともに十分、DT880は厚み・量ともに必要量は出るがそれほどでもない。高音はどちらもしっかり出るのだが、ややDT880の方が強い。分解能はDT880の方がやや良く、音場感はPROline2500の方がやや良い。原音に近いのはDT880。DT880は全音域に渡りかなり原音に近いが、PROline2500は逆に全音域にわたりかなり味付けされている。どちらもエッジがきつめだが、DT880の方がおとなしい。PROline2500はサ行の音がかなり痛いが、DT880はそんなことはない。高音よりであることもあり、DT880の方が明瞭に感じる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方が上だが、むしろPROline2500は暑苦しく、DT880は程よい温かさに感じる人も多いかもしれない。PROline2500は非常にノリが良く、DT880は程よいノリの良さという感じ。響きはPROline2500はかなり豊か、DT880は適度。弦楽器、金管楽器ともにDT880の方がやや上の表現力。使い分けるならジャズやクラシックはDT880、ポップスやロックはPROline2500になる。

SR-225
DT880の方が超低域が出るが、それ以外はかなり近い。どちらも高域を綺麗に出してくれるが、SR-225の方が若干高い。低域の厚みはSR-225の方がある。分解能及び音場の明確さはほぼ互角だが、音場の広さではDT880の方が上。DT880の方が原音に近い。どちらもエッジがきつめでやや聴き疲れするが、DT880の方がまだおとなしい。明瞭さや音の鮮やかさ、厚みはSR-225の方が若干良いようだが、両機種ともこの点は非常に良い。DT880の方が温かみがありヴォーカルも艶っぽい。これはDT880に水気があるだけでなく、SR-225が乾いているため。ノリの良さではSR-225、繊細さではDT880といった感じだが、どちらも刺激的ではある。響きはDT880の方が豊か。SR-225は音の立ち上がりが良い上、非常に切れがあり、抜けも良い。弦楽器は全般的にDT880の方が繊細で自然かつ温かみがある。金管楽器はほぼ互角で、どちらも非常に魅力的。低域のふくよかさが欲しいならDT880、トライアングルを聴きたいならSR-225。打ち込み系の音の表現は、両機種とも得意ではない。SR-225は抜けが良すぎてスカスカになってしまい、DT880はウォームな感じになってしまう。得意分野はSR-225はロック、DT880はジャズ。使い分けるならロックはSR-225、それ以外はDT880となるだろう。SR-225はソースによっては安っぽい音を鳴らすが、DT880はそんなことはない。


・DT990PRO
DR150
どちらもややドンシャリだが、DR150の方がフラット。低域はどちらも十分な量出るが、DT990PROの方が厚みがある。どちらも柔らかめの質感。中域はどちらもそれほど低域に埋もれたりはしないが、質的な問題でDT990PROの方がやや目立つ。高域はDT990PROの方がとがった音で量も多い。分解能はどちらかと言えばDT990PROの方がやや上。音場感はDR150の方が良い。原音忠実性はDR150の方が上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT990PROの方がやや上か。ただ、どちらもウォームさがあるので、あまり明るいとは言えない。厚みはDT990PROの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良い。サ行の痛さが気にならないならDT990PROの方が艶っぽいと感じるだろうが、無難なDR150の表現も悪くないし、十分魅力的。ノリの良さならDT990PRO、繊細さならDR150。ただし、どちらも聴き込むとやや粗があるところは似ている。響きはDT990PROの方がやや豊か。DT990PROの方が中域から高域の線が細くやや痛い。弦楽器はウッドベースの量感等はDT990PROの方が良いが、滑らかでローエンドまで伸びているDR150も悪くない。金管楽器はDT990PROの方が高く鮮やかだが、刺激が強すぎると感じる人も多いだろう。その点、DR150は適度な表現と言える。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、低域の厚みが欲しいときはDT990PROの方が合うだろうし、線の細さを嫌うときにはDR150の方が合うだろう。得意分野はDR150がクラシック、DT990PROがジャズ。使い分けるなら、刺激が欲しいならDT990PRO、無難な機種を望むのならDR150。

DT880
かなり似た音だが、DT880の方がフラット。低域は、特に超低域がDT990PROの方が強く、大抵のソースでは一段低い音を鳴らすように感じる。高域は量はそれほど差がないが、DT990PROの方が細い。分解能、音場感はほぼ同等。原音忠実性はDT880の方がやや上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは低域が弱い分ややDT880の方が良いように感じる。音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも暗い音調でありながら高域が刺激的なのは良く似ている。どちらかと言えばDT990PROの方が荒削りでノリが良いように感じる。響きはどちらも適度。DT880の方が安心して聴ける。弦楽器はほぼ互角だが、低い楽器はDT990PROの方が心地よく楽しめる。金管楽器はどちらも非常に高く鮮やか。ただ、DT990PROはやや音が割れすぎか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、どちらかと言えばDT880のほうがうまい。得意分野はどちらもジャズ。使い分けるなら、単に低域が欲しいときや、高域が刺激的でも構わない場合にはDT990PRO、それ以外はDT880だろう。

MDR-F1
DT990PROはドンシャリ、MDR-F1はかなりフラット。低域はDT990PROの方がかなり低い音を鳴らすし量も多い。中域はMDR-F1の方が低域に邪魔されずに聴こえる。中高域から高域はDT990PROの方がかなり高い音で量も多い。分解能はDT990PROの方が上。音の分離にはそれほど差がないように感じるが、微細な表現は雲泥の差。音場感はほぼ互角。原音忠実性は一概には言えない。DT990PROの方が原音の粗は感じられるが、MDR-F1の方がフラットで癖のない音。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはDT990PROの方が上。厚みはDT990PROの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT990PROの方がかなり感じられる。ノリの良さにしろ繊細さにしろDT990PROの方が上のように感じられる。響きはDT990PROの方が豊か。弦楽器はDT990PROの方が細部までで鳴らしてくれるし心地よいが、粗もある。金管楽器はDT990PROの方が高く鮮やかで力強いが、癖があるのも確か。打ち込み系の音の表現は微妙。DT990PROがウォームすぎて合わないのに対して、MDR-F1は鮮やかさや力強さが足りない。使い分けるなら、基本的にはDT990PRO、聴き疲れや過度の味付けを嫌うならMDR-F1。

PROline2500
どちらもドンシャリ。低域は質・量ともにかなり似ており、比較が難しいが、どちらかと言えばPROline2500の方がやや低い音を鳴らすように感じる。高域も意外と似ているが、DT990PROの方がやや細く、量も多い。分解能はほぼ互角。音場感はPROline2500の方が癖があるものの良い。原音忠実性はDT990PROの方が上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、PROline2500の方が多少疲れないか。この辺はソースによっても差が出そう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはPROline2500の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT990PROの方がやや上。どちらもかなりノリが良いが、繊細さも持ち合わせている点はよく似ている。響きはPROline2500の方がやや豊か。弦楽器はDT990PROの方が線が細くしかも心地よい。金管楽器はどちらも非常に鮮やかだが、DT990PROの方がやや高い音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はPROline2500の方がややうまい。DT990PROは線が細く音が割れたりするのが気になる。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT990PRO、ポップスやロックはPROline2500。ただし、音の厚みや線の細さという点でもかなりの差があるため、安直にジャンルで使い分けるべきではないようにも思う。

SE-A1000
どちらもドンシャリだが、SE-A1000の方がフラット。低域は、特に超低域がDT990PROの方が強く、大抵のソースでは一段低い音を鳴らすように感じる。高域は量はそれほど差がないが、DT990PROの方が細い高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT990PROの方が若干上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはDT990PROの方がやや上。厚みはSE-A1000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良い上、少し方向性の違う音なので表現に困るが、DT990PROは低域が強いわりには温かみより刺激が前面に出てくるのに対して、SE-A1000は音が太いわりには繊細さを感じさせる。SE-A1000の方がノリが良い。響きはSE-A1000の方が豊か。SE-A1000の方が太い音。弦楽器は原音に近いのはDT990PROだが、SE-A1000の方が心地よい。金管楽器はDT990PROの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方がうまい。得意分野はDT990PROがジャズ、SE-A1000がポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT990PRO、ポップスやロックはSE-A1000だと感じるが、聴き疲れしてもいいならDT990PRO、聴き疲れしたくないならSE-A1000という使い分けもかなり有効だろう。


DTX20
ATH-C602
ATH-C602はややドンシャリ、DTX20は高音より。低域はATH-C602の方が低い音で量も多い。中域は、ATH-C602が低域の曇りに覆われてあまりはっきりしないのに対して、DTX20はかなりはっきり聴こえてくる。中高域から高域はDTX20の方が高い音で量も多い。分解能及び音場感はDTX20の方が上。原音忠実性は、癖のなさと言う意味でATH-C602の方が上。DTX20の方がエッジがきつい上、音に芯が通っている感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDTX20の方が上。厚みはそれほど差があるとは思わないが、質はかなり違う。ATH-C602の方が線が太くぼやけ気味で、DTX20の方がシャープで締まっている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-C602の方がやや上。DTX20の方がノリが良いが、低域の量はATH-C602の方が多く線も太いため、人によって感じ方が違ってきそう。響きは、低域はATH-C602の方が豊か、高域はDTX20の方が豊か。弦楽器はATH-C602の方が心地よい。金管楽器はDTX20の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、基本的にはDTX20の方が相性が良いのだが、低域の量が不足。低域の量を重視するならATH-C602の方が良いだろう。使い分けるなら、癖のなさを優先するならATH-C602、低域の量が少なく雑然とした鳴らし方でも良いから基本能力の高さや明瞭さを重視するならDTX20。

ATH-CM7TI
どちらも高音より。低域はATH-CM7TIの方がタイトでやや低い音を鳴らすが、全体的な量はほぼ同等。中域はどちらも非常にはっきり聴こえてくる。中高域から高域はATH-CM7TIの方が高く硬い鳴らし方だが、量はDTX20の方が多いように感じる。分解能はATH-CM7TIの方が上。音の分離でかなり勝っているし、微細な表現でも負けてはいない。音場感はほぼ同等。原音忠実性はATH-CM7TIの方がやや上。ATH-CM7TIの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはATH-CM7TIの方が上、音の鮮やかさはほぼ同等。厚みや密度はATH-CM7TIの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDTX20の方が若干上。ATH-CM7TIがノリの良さと繊細さをある程度両立しているのに対して、DTX20はノリの良さにしろ繊細さにしろ不満。ただし、全体的な音楽の鳴らし方としてはDTX20も決して悪くない。響きはどちらも低域はあっさりで高域はやや豊か。ATH-CM7TIの方が全体的に硬く締まった音で、DTX20と比べて雑然とした感じがしない。弦楽器はATH-CM7TIの方が繊細。金管楽器はATH-CM7TIの方がやや高い音を鳴らしてくれるが、DTX20の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらも相性の良い鳴らし方でありながら低域の量が不足している点が良く似ている。使い分けるなら、基本的にはATH-CM7TI、ATH-CM7TIでは音が締まりすぎていたり、硬いと感じたりする場合はDTX20。

K14P
DTX20は高音より、K14Pはやや高音よりのドンシャリ。低域はK14Pの方がやや低い音を鳴らすが、量はほぼ同等。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。高域はK14Pの方がやや高い音を鳴らしてくれるが、DTX20の方が目立つ。分解能はK14Pの方が上。音の分離も微細な表現も勝っている。音場感はほぼ互角。原音忠実性はK14Pの方が上。DTX20は音が濁っている。K14Pの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK14Pの方がやや上。K14Pの方がノリが良いのだが、繊細な表現もDTX20以上にうまくこなしてくれる。響きはK14Pの方がやや豊か。弦楽器はK14Pの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらも鮮やかだが、K14Pの方がしっかり芯の通った鳴らし方で好印象。打ち込み系の音の表現はK14Pの方がうまい。音の厚みや低域の量感で勝っている。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもK14Pの方が良いように感じるが、シャープすぎるように感じるのであればDTX20の方が合うだろう。

MX500
どちらも高音より。低域はどちらも厚みが薄く量も少ないが、MX500の方が若干低い音を鳴らす。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、ソースによってはDTX20の方が若干うわずっているように感じる。中高域から高域はMX500の方が若干高い音だが、量はDTX20の方が多い。分解能はMX500の方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ同等。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ同等だが、どちらかと言えば若干DTX20の方が良いか。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMX500の方が若干上。どちらも、ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはMX500の方がやや豊か。DTX20の方が雑然としてまとまりがない感じ。弦楽器はMX500の方が繊細で落ち着いて聴ける。金管楽器はどちらもなかなか高く鮮やかだが、力強さではDTX20が勝っている。打ち込み系の音の表現は、どちらも質感は悪くないが低域不足に感じる点は似ている。ただし、どちらかと言えばDTX20の方がうまい。得意分野はDTX20はポップス、MX500はクラシック。使い分けるなら、明るさを求めるならDTX20、そうでなければMX500か。


・DTX50
AH-C700
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はDTX50の方が低い音で、ぼやけていて量が多い。AH-C700の方がまだ締まりや制動の効いた低域と言えるだろう。DTX50は特にベースが目立つのが印象的。中域はAH-C700の方が低域に邪魔されずやや高い音ではっきり聴こえて来る。高域はAH-C700の方が高い音で金属的。この2機種を比べた場合、AH-C700の方が高音よりと言えるだろう。DTX50は低域が強いソースでは明らかにはバランスが破綻するのに対して、AH-C700はそれなりにバランスが保たれる。分解能はAH-C700の方が上。音の分離に差がある。音場感はどちらかと言えばAH-C700の方が明確。原音忠実性はAH-C700の方が上。AH-C700の方が周波数特性的にの癖がないだけでなく、原音の生っぽさも感じられる。AH-C700の方がややエッジがきついが、DTX50の方が低域が出すぎで疲れるため、総合的な聴き疲れはソースによって変わってくる。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-C700の方が上。厚みはAH-C700の方がある。温かみはDTX50の方が感じられる。柔らかい音で低域の量も多いため。ヴォーカルの艶っぽさはAH-C700の方が感じられる。どちらもノリが良い傾向。響きは、低域はDTX50の方が豊か、高域はAH-C700の方が豊か。DTX50の方がこもりが気になる。弦楽器はAH-C700の方が繊細かつ生っぽさが感じられる表現で良い。金管楽器はAH-C700の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はAH-C700の方がうまい。音の質感がAH-C700の方が合うし、中高域の明るさでも差が出る。使い分けるなら、ベース重視等の理由で低域の質がはまる場合のみDTX50、それ以外はAH-C700。

HP-FX77
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらもぼやけていて量が多い点は似ていて基本的には質・量ともに近いのだが、DTX50の方が圧力があり、特にベースやバスドラが妙に目立つ。中域はどちらも低音の量に負けて控え目。高域はHP-FX77の方がやや量が多く、明るい表現。分解能及び原音忠実性はほぼ同等。音場感はDTX50の方が耳の近くで鳴らす感じ。エッジのきつさはほぼ互角だが、DTX50の方が圧力があり聴き疲れしやすいように感じる。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX77の方がやや上。厚みはDTX50の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。DTX50の方が圧力や勢いがありノリが良いように感じる。響きは、低域はDTX50の方が豊か、高域はHP-FX77の方が豊か。こもり感はDTX50の方が酷い。弦楽器はDTX50の方が心地よいが、どちらが良いと感じるかは好みの差だろう。金管楽器はHP-FX77の方が明るい表現、DTX50の方が力強い。打ち込み系の音の表現は、低域の質はDTX50の方が良いが、中高域はHP-FX77の方が明るくて良い。使い分けるなら、低域の質感重視ならDTX50、高域の明るさ重視ならHP-FX77。

RP-HJE70
DTX50は低音よりのドンシャリ、RP-HJE70はやや高音よりのドンシャリ。低域はDTX50の方がかなり量が多いし、低い音を鳴らす。中域はRP-HJE70の方がやや高い音で低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はRP-HJE70の方がかなり量が多く、高く金属的な音を鳴らす。RP-HJE70と比べると、DTX50は低域が支配的で曇りやこもりが酷いということが良く分かる。分解能はRP-HJE70の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ勝っている。ただし、ソースによっては音が割れることがある。DTX50はそういう音割れとは無縁。音場感はDTX50の方が耳の近くで鳴らしている感じ。原音忠実性はどちらも周波数特性に癖があるため微妙だが、原音の粗や生っぽさが感じられるのはRP-HJE70の方。RP-HJE70の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HJE70の方が上。厚みは質感が違うので比較が難しいが、DTX50の方が線が太く一聴して厚みがあるように感じる。温かみはDTX50の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは比較が難しいが、DTX50は低域の曇りのお陰で艶っぽい感じ、RP-HJE70は付帯音が多いお陰で艶っぽい感じ。どちらもノリが良いが、DTX50が低域出ごり押ししているのに対してRP-HJE70は適度な低域や切れの良さでノリが良い感じ。響きは、低域はDTX50の方が豊か、高域はRP-HJE70の方が豊か。DTX50の方がこもりが気になる。RP-HJE70の方が締まっていて硬い音。弦楽器はDTX50の方が心地よいが、RP-HJE70の方が繊細で原音の生っぽさが感じられる。金管楽器はRP-HJE70の方がかなり高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-HJE70の方がうまい。音の質感や切れ、高域の鮮やかさで勝っている。使い分けるなら、基本的にはRP-HJE70、余程低域重視でエッジのきつさを嫌うときだけDTX50。


・DTX900
DT231PRO
どちらもややドンシャリだが、DT231PROの方がやや高音より。低域はDTX900の方が厚みがあるし、高域はDT231PROの方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT231PROの方が若干上。どちらもややエッジがきつく聴き疲れするが、DTX900は一般的に聴ける範囲、DT231PROはかなり厳しいレベル。サ行の音等もDT231PROの方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT231PROの方が上。厚みはDTX900の方がある。温かみはDTX900の方が上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、DT231PROはいささか擦れすぎにも感じる。どちらも一般的な意味では繊細と言って良いだろう。響きはどちらも適度。弦楽器はDTX900の方が滑らかで心地よいが、細い音を好む人にはDT231PROの方が合うかもしれない。金管楽器はDT231PROの方が一段高く鮮やか。上位機種ゆずりの見事な表現だが、一方DTX900はDT231PROと比べると極普通といった印象。、打ち込み系の音の表現はDTX900の方がうまい。DT231PROの方が高音よりでありながら、音が細くある種のウォームさがあるためだと思われる。得意分野はどちらもジャズ。使い分けるなら、ジャズはDT231PRO、それ以外はDTX900。DTX900は何でも聴けるが、DT231PROはジャズやクラシック以外には使えない。ただし、聴き疲れしないことに自信がある人ならDT231PROの方が一段上の実力を持っているように感じると思われる。

HP-AK101
DTX900はややドンシャリ、HP-AK101はやや低音より。低域はどちらも超低域まで出る。高域は全体的にDTX900の方が良く聴こえる。分解能はDTX900の方が上、音場感はHP-AK101の方が上。DTX900の方が原音に近いが、エッジもきつい。明瞭さはほぼ互角だが音の鮮やかさや厚みはDTX900の方が上。密度や情報量、温かみやヴォーカルの艶っぽさもDTX900の方が上。DTX900の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-AK101の方が豊かだが、それでも適度というレベル。弦楽器、金管楽器はいずれもDTX900の方が自然で魅力的。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はDTX900がジャズ、HP-AK101がポップス。使い分けるならポップスはHP-AK101、それ以外はDTX900だが、ポップスにしても傾向が違うもののそれほど差はないように感じる。

RP-HT770
DTX900はややドンシャリ、RP-HT770はやや低音より。低域も高域もDTX900の方がしっかり出る。分解能はDTX900の方が上、音場感はほぼ互角。DTX900の方が原音に近いが、ややエッジがきつい。ただ、これはDTX900がきついというよりもRP-HT770がきつくないという表現の方が正しいだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDTX900の方が良い。RP-HT770は霞がかかったような曇った音で、ノリが悪く繊細さにも欠ける。響きはDTX900はあっさり、RP-HT770は適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDTX900の方がワンランク上の表現力。得意分野はDTX900がジャズ、RP-HT770がポップスだが、何を聴くにしてもDTX900の方が魅力的。

SR-60
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらも柔らかめで十分な量があり、基本的に良く似ている。量的にはSR-60の方が若干多めか。ただ、SR-60の方が抜けが良いので、それで帳消しになっている感がある。中域はどちらもやや低域に負けるが、それほど気にならないレベル。高域はDTX900の方が細く高い音で目立つ。分解能はDTX900の方がやや上。音場感はDTX900の方がやや広く立体感もある。原音忠実性は癖のなさという意味でSR-60の方が上。DTX900の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみはDTX900の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。SR-60の方がややノリが良い。響きはDTX900の方が豊か。DTX900の方が付帯音が多く、湿り気のある音。弦楽器はほぼ互角。金管楽器はDTX900の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばSR-60の方が楽しめる。得意分野はDTX900がジャズ、SR-60がロック。使い分けるなら、しっとり地味に聴きたいならDTX900、爽やかに明るめに聴きたいならSR-60。ただし、極端な違いはないし、どちらもあまり明るい傾向ではない。

UR/40
どちらもややドンシャリ。超低域はDTX900の方が出る上、厚みもある。高域はUR/40の方が全体的に出るが、超高域はほぼ互角。UR/40の方がかなりシャリつく。まったく異なる音調。DTX900は暗め、UR/40は非常に明るい。分解能はほぼ互角、音場感はUR/40の方が広く明確。原音忠実性はDTX900の方が良いが、これはDTX900が良いというよりもUR/40は原音忠実など二の次で如何に楽しく聴かせるかに重点を置いた音作りになっているため。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、UR/40の方がかなりシャープな音で聴き疲れする人もいるかもしれない。ただし、サ行の音はDTX900の方がきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはUR/40の方が上。厚みや密度はDTX900の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはDTX900の方が若干良い。ノリの良さならUR/40の方が上、繊細さならDTX900の方が上だが、どちらもなかなかバランスの良い音。DTX900は迫力がある一方、UR/40は若々しい。個人的にはUR/40の軽薄とも言える明るさが、他にはない魅力を持っているように思う。逆に、DTX900は落ち着いた安心感がある。響きはどちらもあっさり。弦楽器はDTX900の方が厚みがあり腰のすわった音で自然に感じられる。金管楽器はUR/40の方が鮮やかではあるのだが、粗があり聴き込むには向かない音。打ち込み系の音の表現はUR/40の方がうまい。力押しではなく、軽快で明瞭。得意分野はDTX900はジャズ、UR/40はポップス。使い分けるならクラシック・ジャズはDTX900、それ以外はUR/40。DTX900はなんでもそこそこ鳴らすが、UR/40はクラシックには元気が良すぎて大抵のソースには合わない。


・E2c
ATH-CK7
ATH-CK7はやや低音よりのドンシャリ、E2cはかなりフラット。低域はATH-CK7の方が一段低い音で、量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくるが、ATH-CK7はかなりうわずっているために目立つのに対して、E2cは癖がないため特に目立たない。高域はATH-CK7の方が一段高く量も多い。金属的な鳴り。分解能は、ATH-CK7の方が線が細いため若干良いように感じるが、実際はそれほど差がないだろう。音場感はATH-CK7の方が若干広く良い。原音忠実性はE2cの方が圧倒的に上。ATH-CK7は原音忠実というよりも音楽、主にポップスやブラスを楽しむための音作りに特化しているように感じる。中域から中高域にかけての癖は、人によっては我慢できないだろう。ATH-CK7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-CK7の方が上。特に鮮やかさについてはATH-CK7とE2cは対照的。温かみはどちらもあまり感じられないが、どちらかと言えばE2cの方が上か。ヴォーカルの艶っぽさは、線が細い分ATH-CK7の方が感じられる気がするが、痛さや音割れもあり、プラスマイナスゼロと言った印象。ATH-CK7の方がかなりノリが良い。中域の響きはE2cの方が豊かだが、高域はATH-CK7の方が豊か。弦楽器はE2cの方が変な癖がなく安心して聴ける。金管楽器はATH-CK7の方が高く鮮やかだが、かなり作ったような印象を受ける。打ち込み系の音の表現は、ATH-CK7は線が細く音割れが気になるし、E2cでは厚みや切れに欠ける気がする。一長一短だが、基本的にはATH-CK7の方が楽しめる。使い分けるならポップスやブラスを楽しみたいときはATH-CK7、それ以外はE2cか。

E4c
どちらもフラットだが、E2cの方がやや低音より。低域はE2cの方がぼやけ気味ではあるものの量は多い。E4cはE2cと比べると量的にはやや不足気味に感じるが、厚みはあるし、基本的に必要量は出る。中域はE4cの方がややうわずり気味ながら非常に明瞭に聴こえる。E4cに比べるとE2cは曇りがち。高域はE4cの方がやや強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてE4cの方が上。特に分解能は雲泥の差。どちらもそれほどエッジはきつくないが、どちらかといえばE4cの方がきつい。ただ、そうは言っても聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはE4cの方がかなり良い。これは低域の曇りだけの問題ではない。厚みはE4cの方が凝縮したような感じでしっかりと感じられる。E2cはE4cと比べて全体的にぼやけている。温かみは低域の曇った感じがうまく作用してE2cの方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらかと言えばE4cの方が上だが、かなり鳴らし方が違うので評価が分かれるところだろう。E4cの方が明るく曇りのない鳴らし方。E4cの方がノリが良くかつ繊細。響きはE4cの方が豊かだが、こもり感は別段感じないし、切れもしっかり感じられる。E4cの方が明るくスピード感がある。弦楽器はE4cの方が澄んだ表現で原音の生っぽさも感じられるが、まったり心地よく聴きたい場合にはE2cの方が向いているだろう。金管楽器はE4cの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はよほど低域の量が欲しい場合でなければE4cの方が良い。厚み、切れ、スピード感すべてにおいて勝っている。使い分けるなら基本的にはE4cで、E4cでは明るすぎたり中域のうわずりが気になる場合はE2cだろう。

ER-6
E2cはかなりフラット、ER-6はやや高音より。低域はE2cの方が全体的にかなり出る。中域はER-6の方がややうわずり気味ではっきり聴こえてくる。高域はER-6の方が細く高い音。分解能は線が細い分ER-6の方が若干良いように感じるが、単純に複数の音が重なったときの分離具合はほとんど差が無いように感じられる。ただし、低域が強いソースではER-6の方が有利。音場感はER-6の方が上。特に奥行きに差がある。原音忠実性は微妙。広い目で見ればE2cの方が癖のない音のように感じる。ER-6は中域がややうわずっているのが難点だが、線が細く細部の表現はうまい。ER-6の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、ほとんど問題ないレベル。明瞭さは低域が弱く線が細いER-6の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはE2cの方がやや上。温かみは低域が出る分E2cの方があるように感じるが、基本的にはどちらもあまり温かみがあるとは言い難い。ヴォーカルの艶っぽさはER-6の方が上。ノリの良さならE2c、繊細さならER-6。響きはどちらもあっさりだが、E2cの方がやや豊か。弦楽器はER-6の方が繊細だが、心地よさならE2cの方が良いだろう。金管楽器はER-6の方が高い音だが、E2cの方が力強く迫力がある。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。ER-6は低域の不足と線の細さが合わない。使い分けるなら基本的にはE2cで、室内楽や女性ヴォーカル、繊細さが欲しい曲はER-6か。

HP-FX77
E2cはかなりフラット、HP-FX77は低音よりのドンシャリ。低域はHP-FX77の方がかなり量が多い。中域はE2cが癖がなくはっきり聴こえてくるのに対して、HP-FX77は低域に埋もれる上やや低めの音。高域はHP-FX77の方が高い音で、シャリつくのが気になる。分解能、音場感、原音忠実性すべてE2cの方が上。特に原音忠実性は雲泥の差。HP-FX77の方がエッジがきつい上、こもり感のせいで聴き疲れする。明瞭さはE2cの方が上、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもあまり感じられない。E2cがモニター的な冷静な鳴らし方であるのに対して、HP-FX77は冷静さは感じられない。響きはHP-FX77の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにE2cの方が良い。HP-FX77はとにかく原音と違いすぎる。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。HP-FX77は低域の量だけという印象だが、E2cはそれなりに切れやスピード感がある。使い分けるなら、基本的にはE2c、よほど低域の量や刺激が欲しいときだけHP-FX77。

MDR-EX90SL
E2cはかなりフラット、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はMDR-EX90SLの方がかなり低い音で厚みもある。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。MDR-EX90SLの方がやや高い音で目立つ感じなのに対して、E2cは量が多くてはっきり聴こえる感じ。高域はMDR-EX90SLの方が高く金属的な鳴り。分解能はMDR-EX90SLの方が良いように感じる。これは、MDR-EX90SLに比べるとE2cはややヴェールがかかったように明るさがないため。音の分離にしろ、微細な表現にしろ、一聴してMDR-EX90SLの方がしっかり感じられるが、聴き込むとそれほど差はないように感じる。音場感はどちらも良いのだが、MDR-EX90SLの方が立体感がある。原音忠実性はE2cの方が良いように感じるが、これは低域と高域の味付けの無さで勝っているためで、原音の実体感や中域の癖のなさではMDR-EX90SLの方が良いように感じる。表現が難しいが、E2cは一部のモニター用ヘッドホンに見られるような中域の張り出したようなそれでいて曇っているような感じがある。MDR-EX90SLの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-EX90SLの方がかなり上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは質感の違いのために判断が難しいが、MDR-EX90SLの方があるように感じられる。MDR-EX90SLはどちらか言えばノリが良いのに対して、E2cはモニター的な冷静さがある。響きはMDR-EX90SLの方がやや豊かだが、この点も響き方がまったく違うため判断に困る。E2cは太く輪郭のはっきりしない音で、付帯音も少ない。MDR-EX90SLは他のSONY製イヤホンと基本的な音作りにあまり大きな違いを感じない。MDR-EX90SLに比べてE2cは平板でメリハリがない感じ。逆に言えば、MDR-EX90SLはE2cに比べてドンシャリでエッジがきつい。かなり違う音を鳴らすが、それゆえにどちらがどう勝っているか判断に困る点もある機種。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-EX90SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX90SLの方がうまい。厚み、スピード感、低域の量感で勝っている。使い分けるなら、低域や高域の味付けのない冷静な音を求めるならE2c、ノリ良く音楽を楽しみたいならMDR-EX90SLか。何にせよ、非常に違う音を鳴らす2機種なので、両方持っていてもおもしろいだろう。

MHP-EP3
E2cはかなりフラット、MHP-EP3はやや低音より。低域はMHP-EP3の方がやや低い音で量も多い。中域はMHP-EP3が低域の曇りに覆われるのに対してE2cはそんなことはない。高域はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らすが、量はほぼ同等。分解能、音場感、原音忠実性すべてE2cの方が上。MHP-EP3の方がややエッジがきつい上、曇りやこもり感のせいで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはE2cの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれほど差はないが、どちらかと言えばE2cの方が上だろう。どちらも特別ノリが良いわけでも繊細なわけでもない点は似ているが、ノリの良さにしろ繊細にしろE2cの方が勝っている。響きはMHP-EP3の方が豊か。弦楽器はE2cの方が繊細かつ心地よいし、何より原音に近い。金管楽器はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らすが、鮮やかさや力強さではE2cの方が勝っている。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。切れやスピード感で勝っている。使い分けるなら、基本的にはE2c、余程低域が欲しいときだけMHP-EP3か。

SHE9501
どちらもかなりフラット。低域はE2cの方がややぼやけていて量が多い。中域はSHE9501の方が低域の曇りに覆われず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSHE9501の方がやや高い音で量も多い。この2機種を広い目で見比べた場合、SHE9501の方が高音よりと言えよう。分解能はほぼ同等だが、どちらかと言えばSHE9501の方が上。音場感はSHE9501の方が見晴らしが良くすっきりしているが、広さや明確さには大きな差はない。原音忠実性はSHE9501の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられるという点で勝っている。SHE9501の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、どちらも問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはSHE9501の方が上。厚みはほぼ同等だが、E2cの方がぼやけて太い音なので厚く感じがち。温かみはE2cの方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。どちらも基本的に地味だが、SHE9501の方がやや派手。響きはE2cの方がやや豊か。弦楽器はE2cの方が温かみが感じられる傾向、SHE9501の方が澄んでいて原音の生っぽさが感じられる。金管楽器はSHE9501の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。E2cの方が低域の量が多い点は良いが、SHE9501の方が切れがある。使い分けるなら、低音よりが良いならE2c、高音よりが良いならSHE9501。或いは安定感が欲しいならE2c、明るさが欲しいならSHE9501という使い分けもありだろう。

Super.fi 5 Pro
全体的に、別メーカーにしてはかなり似た音を鳴らす。どちらもかなりフラットだが、どちらかと言うとE2cの方がドンシャリ。低域の量はほとんど同じだが、E2cの方が若干厚みがある。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、E2cの方が低域の曇りに邪魔されない感じ。高域も低域同様意外と似ていて、どちらもそれほど派手な表現ではないが、どちらかと言えばE2cの方が高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はほぼ互角だが、どちらかと言えばSuper.fi 5 Proの方が上。音場感はSuper.fi 5 Proの方が良い。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてE2cの方が若干上に感じる。かなり似てはいるものの、E2cの方がノリが良く、Super.fi 5 Proの方がモニター的。響きはSuper.fi 5 Proの方がやや豊か。Super.fi 5 Proの方がホワイトノイズがかなり大きい。弦楽器、金管楽器ともに良く似た鳴らし方ではあるが、個人的にはE2cの方が味付けがあるぶん楽しめるように感じる。そもそも、E2cの味付けもSuper.fi 5 Proと比べれば感じられるだけで、基本的にはかなり原音忠実だし、普通は問題にならないだろう。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。低域の厚みや音の切れがマッチする。価格の割にはあまり差が感じられない2機種。使い分けるなら、音場感や原音忠実性を重視するときはSuper.fi 5 Pro、それ以外はE2c。

ZEN AURVANA
どちらもかなりフラット。低域はE2cの方が量が多い。中域はZEN AURVANAの方が低域に邪魔されない上やや高い音で目立つ。高域はZEN AURVANAの方がやや高い音で量も多い。この2機種だけを比べた場合、E2cの方が低音よりと言って良いだろう。分解能はZEN AURVANAの方がやや上。微細な描写に差がある。音場感はZEN AURVANAの方が小振りだが明確にまとまっている。原音忠実性はZEN AURVANAの方が上。エッジのきつさはほぼ同等だが、どちらかと言えばZEN AURVANAの方がきつい。明瞭さはZEN AURVANAの方が上。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはE2cの方がある。温かみは低域が出る分E2cの方が感じられるが、そう大きな差ではない。ヴォーカルの艶っぽさはZEN AURVANAの方が上。E2cの方がノリが良く、ZEN AURVANAの方が繊細。響きはE2cの方が豊か。弦楽器はZEN AURVANAの方が繊細で、心地よさと言う意味でも負けていない。金管楽器はZEN AURVANAの方が高く鮮やかだが、力強さという点ではE2cに分がある。打ち込み系の音の表現は微妙。低域が出るという意味ではE2cの方が良いが、中高域の鮮やかさではZEN AURVANAの方が勝っている。使い分けるなら、低域の量やノリの良さ重視ならE2c、明瞭さや繊細さ重視ならZEN AURVANA。


・E4c
AH-C700
AH-C700は低音よりのドンシャリ、E4cはフラット。低域はAH-C700が柔らかく量も非常に多いのに対して、E4cは締まっていて量は適度。中域はE4cの方がやや高い音で低域に邪魔されずに非常にはっきり聴こえてくる。中高域から高域はAH-C700の方が細く高い音。E4cの方が太く明るく元気で目立つ。分解能はE4cの方が上。微細な描写はAH-C700も良いのだが、分離ではE4cの方がかなり上。音場感はE4cの方がやや明確に感じるが、それほど大きな差はない。原音忠実性は低域の量の多さを除けばAH-C700の方が良い。E4cは明るすぎて、原音の生っぽさ等があまり感じられない。E4cの方がエッジがきついが、AH-C700は低域の量が多すぎてこもりで聴き疲れするため、聴き疲れのしやすさはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはE4cの方がかなり上。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-C700の方が感じられる。どちらもノリが良い傾向だが、AH-C700は低域の量で押す感じなのに対して、E4cは音そのものが元気な鳴らし方。響きはAH-C700の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はAH-C700の方が心地よい。金管楽器はE4cの方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はE4cの方がうまい。切れやスピード感が段違い。使い分けるなら、低域が多すぎてもいいから心地よさを求めるならAH-C700、それ以外はE4c。

E2c
どちらもフラットだが、E2cの方がやや低音より。低域はE2cの方がぼやけ気味ではあるものの量は多い。E4cはE2cと比べると量的にはやや不足気味に感じるが、厚みはあるし、基本的に必要量は出る。中域はE4cの方がややうわずり気味ながら非常に明瞭に聴こえる。E4cに比べるとE2cは曇りがち。高域はE4cの方がやや強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてE4cの方が上。特に分解能は雲泥の差。どちらもそれほどエッジはきつくないが、どちらかといえばE4cの方がきつい。ただ、そうは言っても聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはE4cの方がかなり良い。これは低域の曇りだけの問題ではない。厚みはE4cの方が凝縮したような感じでしっかりと感じられる。E2cはE4cと比べて全体的にぼやけている。温かみは低域の曇った感じがうまく作用してE2cの方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらかと言えばE4cの方が上だが、かなり鳴らし方が違うので評価が分かれるところだろう。E4cの方が明るく曇りのない鳴らし方。E4cの方がノリが良くかつ繊細。響きはE4cの方が豊かだが、こもり感は別段感じないし、切れもしっかり感じられる。E4cの方が明るくスピード感がある。弦楽器はE4cの方が澄んだ表現で原音の生っぽさも感じられるが、まったり心地よく聴きたい場合にはE2cの方が向いているだろう。金管楽器はE4cの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はよほど低域の量が欲しい場合でなければE4cの方が良い。厚み、切れ、スピード感すべてにおいて勝っている。使い分けるなら基本的にはE4cで、E4cでは明るすぎたり中域のうわずりが気になる場合はE2cだろう。

ER-4S
どちらもかなりフラット。低域はER-4Sの方がローエンドまでしっかり鳴らす感じ。ただ、厚みや圧力はE4cの方がある。中域はER-4Sの方が癖がなく落ち着いた音。E4cはER-4Sと比べるとややうわずっているように感じる。高域はどちらも十分な量で非常に美しいが、質的にはかなり違う。E4cの方がやや太く硬く金属的、ER-4Sはコンデンサー型のような細い音。分解能はER-4Sの方が高い。同時に複数の音を鳴らしたときの分離具合はそれほど差が出ないようにも感じるが、一つ一つの音の緻密な描写ではかなり差が出る。音場感はどちらもかなり良いが、ER-4Sの方がやや立体感があるように感じる。この点は人によって評価が分かれそう。原音忠実性はER-4Sの方が上。E4cは中域がややうわずっているしローエンドも足りないのに対し、ER-4Sは文句の付けようがない。ER-4Sの方がやや線が細くエッジがきつく感じる部分もあるが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さは甲乙付け難い。音の鮮やかさはE4cの方が上。ER-4Sが明るくも暗くもないナチュラルなバランスであるのに対して、E4cはかなり明るい。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはER-4Sの方が上。ローエンドの出方と線の細さから考えて当然の結果だろう。ノリの良さならE4c、繊細さならER-4S。この点は完全に分かれる。響きはE4cの方が若干豊かか。ただ、残響音の最後の一粒まで感じられるのはER-4Sかもしれない。弦楽器はER-4Sの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はE4cの方が金属的で鮮やかな鳴りが楽しめるが、シンバル等はER-4Sの繊細さも素晴らしいものがある。この辺りは好みだろう。打ち込み系の音の表現はE4cの方がうまい。音の厚み、圧力、明るさで勝っているため。使い分けるならクラシックや原音忠実性が欲しいときはER-4S、ポップスやロックをノリ良く楽しみたいときはE4c。きれいに使い分けることの出来る2機種。

MDR-EXQ1
E4cはかなりフラット、MDR-EXQ1はややドンシャリ。低域はMDR-EXQ1の方がかなり低い音を鳴らすし量も多い。中域はE4cの方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけでなくややうわずっているため。中高域から高域はMDR-EXQ1の方が細く高い音を鳴らすが、量的にはE4cの方が多いこともある。分解能は低域が弱い分E4cの方が良いように感じるが、一つ一つの音の細部まで聴き取れるかはMDR-EXQ1の方が良い。音場感はあまり差が感じられない。どちらもなかなか良い。原音忠実性は、どちらも悪くないが、欠点もある。E4cは中域がうわずっているし、MDR-EXQ1はややドンシャリ。ただ、総合的に比較するならMDR-EXQ1の方が自然で良いと言えるだろう。MDR-EXQ1の方がエッジがきついが、E4cは音の圧力で疲れるため、どちらが聴き疲れるかはソースによって違ってくるだろう。明瞭さは低域が弱い分E4cの方が上だが、音の鮮やかさとしてはあまり差を感じない。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EXQ1の方が上。どちらもノリの良さと繊細さを兼ね備えている。E4cのノリの良さは音の圧力やスピード感によるもの、MDR-EXQ1のノリの良さは低域の量感によるものが大きい。E4cは粗がないと言う意味で繊細で、MDR-EXQ1は細部まで表現してくれるという意味で繊細。響きはMDR-EXQ1の方が豊か。弦楽器はMDR-EXQ1の方が線が細い上に低域が出るし、深みがある。金管楽器はE4cの方がストレートで力強い。ただし、シンバルやハイハットの割れる感じの表現はMDR-EXQ1の方がうまい。打ち込み系の音の表現は基本的にはE4cの方がうまいのだが、低域が不足に感じる人も多そう。その場合にはMDR-EXQ1の方が良いだろう。MDR-EXQ1も決して悪くない。むしろE4cがうますぎると言う方が適切だろう。使い分けるならポップスやロックで低域の量が程々で良いならE4c、それ以外はMDR-EXQ1。

Super.fi 5 Pro
どちらもかなりフラット。低域は、ローエンドはSuper.fi 5 Proの方が出るし、全体的な量も若干多いように感じるが、厚みや圧力はE4cの方がある。中域はE4cの方が低域に邪魔されず、しかもやや高めの音ではっきり聴こえてくる。高域は意外と似た鳴らし方だが、E4cの方がやや高く硬い音。分解能はほぼ互角だが、E4cに比べるとSuper.fi 5 Proは若干曇っているように感じるため、どちらかと言えばE4cの方が良く感じる。音場感はSuper.fi 5 Proの方がやや上。原音忠実性はSuper.fi 5 Proの方が上。E4cは作ったような明るさがあるが、Super.fi 5 Proはかなり味付けの少ない音。E4cの方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはE4cの方が上。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSuper.fi 5 Proの方が上。ノリの良さならE4c、繊細さならSuper.fi 5 Pro。響きはSuper.fi 5 Proの方がやや豊か。Super.fi 5 Proの方がホワイトノイズがかなり大きい。弦楽器はSuper.fi 5 Proの方が原音に近い上、心地よく楽しめる。金管楽器はE4cの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はE4cの方がうまい。音の厚み、切れ、スピード感が違う。使い分けるなら、ポップスやロック、ブラスメインの曲をノリ良く楽しみたいときはE4c、それ以外はSuper.fi 5 Pro。


・edition7
HFI-650
どちらもややドンシャリ。低域はedition7の方が低い音で量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。中高域から高域はかなり似た鳴らし方だが、edition7の方が若干高い音か。分解能はedition7の方が上。音場感はほぼ互角でかなり似ている。原音忠実性は基本的にはそれほど変わらないのだが、原音の実体感はedition7の方がかなり感じられる。エッジのきつさはほぼ同等だが、どちらかと言えばedition7の方がきつい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてedition7の方が上。特に音の鮮やかさや厚みはかなり差がある。edition7の方がノリが良くかつ繊細。響きはどちらも適度からややあっさりで、ほぼ互角。弦楽器は全体的にedition7の方がうまい。特にチェロ等の低域に差が出るし、ギターのエッジとうもedition7の方が楽しめる。金管楽器は、音の高さ等は似ているが、力強さや鮮やかさはedition7の方がかなり上。打ち込み系の音の表現もedition7の方がうまい。低域の質と量で勝っているのが大きい。ほとんど何を聴くにしてもedition7の方がいいだろう。

HP-DX1000
edition7はややドンシャリ、HP-DX1000はかなりフラット。低域は厚み・量ともにedition7の方がかなり上。中域はHP-DX1000の方がややうわずり気味ではっきり聴こえる。高域はedition7の方がやや高いが、HP-DX1000の方が明るい鳴らし方に感じる。分解能、原音忠実性はedition7の方がかなり上。音場はHP-DX1000の方が広いが、明確さはedition7の方が上。edition7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはHP-DX1000の方が上。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてedition7の方が上。どちらも基本的にノリが良いが、editoin7は重厚で迫力があるのに対して、HP-DX1000は軽快で明るい。響きはHP-DX1000の方が豊かで、広がりもあるのでそういう要素が必要な曲はHP-DX1000の方が楽しめるだろう。弦楽器はedition7の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHP-DX1000の方が明るく鮮やかだが、edition7と比べると作ったような感じは否めない。打ち込み系の音の表現はedition7の方がかなりうまい。使い分けるなら、音の広がりが必要な曲はHP-DX1000、それ以外はedition7。

PROline750
どちらもややドンシャリだが、edition7の方がフラット。低域はPROline750の方が一段低めの音を鳴らすが、中域付近はedition7の方が出るため、楽器によってはedition7の方が豊かな低域に感じることがある。中域はedition7の方がかなりはっきり聞こえてくる。高域はPROline750の方がやや高いが、粗もある。分解能及び原音忠実性はedition7の方がかなり良い。純粋な音場感はそれほど違いが無いように感じるが、定位の良さと一つ一つの音をしっかり描き分ける力がedition7の方が上なので、必然的に音場感もedition7の方が良いように感じがち。PROline750の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてedition7の方が上。edition7の方がノリが良くしかも繊細。ただ、いわゆる重低音はPROline750の方が出るため、人によってはPROline750の方がノリが良いように感じるかもしれない。響きはPROline750の方がやや豊かだが、PROline750と違ってedition7は残響音の最後の一粒まで聴き取ることができるため、edition7の方が響きが豊かなのではないかと感じることもある。弦楽器はedition7の方が原音に近くしかも心地よい。金管楽器はPROline750の方が高く派手だが、edition7の方が力強くしっかりした鳴らし方。打ち込み系の音の表現は、変な付帯音がないためかedition7の方がうまいように感じる。ほとんど何を聴くにしてもedition7の方が良いように感じる。


・EG-ER50
Bose in-ear headphones
Bose in-ear headphonesは低音より、EG-ER50は低音よりのドンシャリ。低域はBose in-ear headphonesの方が出る。中域は、Bose in-ear headphonesが低域に完全に埋もれるのに対して、EG-ER50は低域の曇りが気になる程度。高域はEG-ER50の方が高い音で、量も多い。分解能はEG-ER50の方が上。音の分離にしろ微細な表現にしろ上。音場感は外観どおりかなり異なるが、Bose in-ear headphonesの方が二次元的な広さがあり、EG-ER50の方が立体的。原音忠実性は、低域以外の癖のなさという点ではBose in-ear headphonesの方が上だが、原音の粗や生っぽさはEG-ER50の方が感じられる。EG-ER50の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方が上。厚みはEG-ER50の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらも良くないが、あえて差をつけるならBose in-ear headphonesの方が温かみがありEG-ER50の方がヴォーカルが艶っぽい、か。どちらも基本的にはノリが良い傾向。EG-ER50は粗があるが、Bose in-ear headphonesはある意味かなり粗がない。そういう意味では、Bose in-ear headphonesはかなり繊細と言っても良いのかもしれない。響きは、低域はBose in-ear headphonesの方が豊か、それ以外はEG-ER50の方が豊か。弦楽器はBose in-ear headphonesの方がおとなしく心地よいが、線の細さや生楽器らしさがまったくと言っていいほど感じられない。そういう意味ではまだEG-ER50の方が良いだろう。金管楽器はEG-ER50の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はEG-ER50の方がうまい。Bose in-ear headphonesは低音以外まったく聴こえてこない。使い分けるなら、低音しか聴こえてこなくても良いならBose in-ear headphones、多少癖があってドンシャリでも良いならEG-ER50。

HP-FX77
どちらも低音よりのドンシャリだが、EG-ER50の方がフラット。低域はHP-FX77の方が量が多い。中域は、EG-ER50は低域の曇りに覆われる感じ、HP-FX77は低域の量に埋もれる感じ。高域はHP-FX77の方が若干高く、目立つ。分解能はHP-FX77の方が上。音場感、原音忠実性はほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が良い。HP-FX77の方がややエッジがきつく、こもり感も気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX77の方がやや上。厚みはそれほど差がないが、どちらかと言えばHP-FX77の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さ・繊細さ共に不満があるが、HP-FX77の方がノリが良い。響きはHP-FX77の方がやや豊か。弦楽器はHP-FX77の方が繊細。金管楽器はほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-FX77の方がうまい。EG-ER50は低域の量感や明るさがかなり不満だが、HP-FX77はそれなりに良い。得意分野はEG-ER50がロック、HP-FX77がポップス。使い分けるなら、こもり感や聴き疲れを嫌うならEG-ER50、それ以外はHP-FX77。

HP-VX101
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、HP-VX101は低音より。低域はEG-ER50の方が存在感があるが、量はHP-VX101の方が多く、曇りが非常に気になる。中域はEG-ER50はそれなりに聴こえてくるのに対して、HP-VX101は全体的に低い音を鳴らし、低域に埋もれる。高域はEG-ER50の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてEG-ER50の方が良い。EG-ER50の方がエッジがきついが、HP-VX101の方が低域が過剰でこもり感が非常に気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方がかなり上。厚みは質感が異なるため判断に困る。HP-VX101の方がかなりぼわついた印象。温かみは低域が強い割にはどちらもほとんど感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはEG-ER50の方が良い。EG-ER50の方がノリが良くかつ繊細。HP-VX101はとにかく低域が支配的なだけで、鈍重でスピード感に欠ける。響きはEG-ER50の方がやや豊か。弦楽器はEG-ER50の方が繊細。HP-VX101は聴けたものではない。金管楽器はHP-VX101がまったく聴こえてこないのに対して、EG-ER50はそれなりに聴こえてくる。打ち込み系の音の表現はEG-ER50の方がうまい。HP-VX101はスピード感だけでなく切れもまったく足りない。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもEG-ER50の方が良いだろう。

MDR-NC11A
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、MDR-NC11Aは低音より。低域はMDR-NC11Aの方が一段低く、量も多い。EG-ER50もかなりの量だが、厚みは薄い。中域はEG-ER50の方が聴こえてくるが、癖も強い。逆にMDR-NC11Aはかなり低域に埋もれる。高域はEG-ER50の方が細く高く硬い音。分解能はEG-ER50の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はどちらも悪い。EG-ER50の方がエッジがきつい上に中域にこもり感のような癖があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方が上。厚みはMDR-NC11Aの方が上。温かみはどちらもほとんど感じられない。ヴォーカルの艶っぽさは線が細い分EG-ER50の方が感じられる。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きは低域はMDR-NC11Aの方が豊か、中域から高域はEG-ER50の方が豊かなようだが、ソースによってかなり変わってくる。弦楽器はどちらもうまくない。EG-ER50は原音と違って嫌味がでるし、MDR-NC11Aは繊細さがまったく感じられない。金管楽器はEG-ER50の方が高く鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現は一長一短。EG-ER50の方がメリハリがあるが、MDR-NC11Aの方が音に厚みがある。特に低域の質感の違いは大きい。得意分野はどちらもロック、使い分けるなら低域の量や厚みが欲しいときはMDR-NC11A、それ以外はEG-ER50か。

MHP-EP3
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、MHP-EP3はやや低音より。低域は、量はそれほど差が無いが、EG-ER50の方がかなり低く厚みのある音を鳴らす。中域はMHP-EP3が低域の薄い曇りに覆われて聴き取りづらいのに対して、EG-ER50はほとんど気にならない。高域はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、量はほぼ同量。分解能はEG-ER50の方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ互角で、どちらも良くない。EG-ER50の方が若干エッジがきついが、MHP-EP3はこもり感のせいで疲れるため、総合的な聴き疲れとしてはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはEG-ER50の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。EG-ER50の方がノリが良い。響きはMHP-EP3の方がやや豊か。弦楽器はどちらもうまくないが、EG-ER50の方がまだまし。MHP-EP3は生楽器を鳴らしている感じがまったくと言っていいほどしない。金管楽器はEG-ER50の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はEG-ER50の方がうまい。厚みと切れがある。使い分けるなら、基本的にはEG-ER50、よほどドンシャリを避けたいときだけMHP-EP3。

SE-CL30
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域の量はEG-ER50の方がかなり多いが、厚みはさほど変わらないように感じる。中域はSE-CL30の方が癖がなくしっかり聴こえてくる。中高域はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、量はSE-CL30の方がかなり多い。高域はSE-CL30の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能はSE-CL30の方が上。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばSE-CL30の方が良いか。原音忠実性はどちらもあまり良くない。SE-CL30の方がエッジがきついが、EG-ER50は低域が出すぎなのとこもり感で疲れるため、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みはほぼ互角。温かみはどちらもあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方がかなり上。どちらも繊細さに欠ける。SE-CL30の方がノリが良い。低域の量はEG-ER50の方が出るものの、SE-CL30の方が圧倒的にスピード感がある。響きはEG-ER50の方が豊か。EG-ER50は非常にこもり感が気になるが、SE-CL30はそれほど気にならない。弦楽器はSE-CL30の方が繊細。EG-ER50は聴けたものではない。金管楽器はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、SE-CL30の方がかなり量が多いし、鮮やか。打ち込み系の音の表現SE-CL30の方がうまい。EG-ER50はぼやけた低域が出すぎで切れが足りない。ただ、SE-CL30も低域がやや不足気味に感じるし、線が細い点が相性の悪さに繋がっているようにも感じる。得意分野はEG-ER50がロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら、どうしても低域の量が欲しいときはEG-ER50、それ以外はSE-CL30。

The Plug
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、The Plugは低音より。低域はThe Plugの方が一段低い音を鳴らすし、量が桁違い。中域はどちらも曇っていてあまりはっきり聴こえてこないが、まだEG-ER50の方が聴こえる。高域はThe Plugがまったく聴こえてこないのに対してEG-ER50はそれなりに聴こえてくるし、中高域は意外と高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてEG-ER50の方が上。EG-ER50の方がエッジがきついが、一般的な見方をするならそれほどきつくないと言って良いだろう。聴き疲れという意味ではThe Plugの方が低域が強すぎて疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方が上。あまりに違う音を鳴らすため厚みは判断しにくいが、柔らかく分厚い雲のような厚みを厚みがあると言うならThe Plugの方が厚みがあるだろう。ただし、芯の通った感じが必要だと言うなら、EG-ER50の方がある。温かみはどちらもほとんど感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはEG-ER50の方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きは、低域はThe Plugの方が豊か、中域から高域はEG-ER50の方が豊か。The Plugはこもり感が非常に気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてEG-ER50の方がうまい。The Plugは弦楽器の繊細さや金管楽器の鮮やかさ、打ち込み系の音のメリハリがまったくと言っていいほど感じられない。得意分野はどちらもロック。よほど低域の量が欲しいときを除いて、ほとんど何を聴くにしてもEG-ER50の方が良いだろう。

VR-101PB
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、VR-101PBは低音より。低域はEG-ER50の方が厚み、量ともにある。中域はVR-101PBが低域の曇りに覆われるのに対して、EG-ER50はそれなりに聴こえてくる。高域はEG-ER50の方がかなり量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてEG-ER50の方が良い。VR-101PBはとにかく薄い低域が支配的で微細な音はまったく聴き取れないし、原音らしさがまったく感じられない。エッジはEG-ER50の方がややきつい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてEG-ER50の方が良い。EG-ER50の方がノリが良くかつ繊細。響きはEG-ER50の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにEG-ER50の方がうまい。VR-101PBは生楽器を鳴らしているという感じがしない。打ち込み系の音の表現もEG-ER50の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもEG-ER50の方が良いように感じる。


・EH-95
ATH-T2
EH-95はややかまぼこ、ATH-T2は低音より。低域はATH-T2の方が圧倒的に出る。高域も、ATH-T2の方がしっかり高い音を鳴らしてくれる。ただし、その分シャリつく。分解能、音場感はATH-T2の方が良い。どちらも原音忠実とは言いがたい音。ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-T2の方が上。どちらもかなり曇っているが、まだATH-T2の方がまし。ATH-T2の方がノリが良くしかも繊細。響きはATH-T2の方がやや豊か。こもり感はATH-T2の方が低域が強い分かなり気になる。ATH-T2の方が力強い鳴らし方。EH-95はかなりスカスカに感じる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-T2の方が上。得意分野はATH-T2がロック、EH-95がポップスだが、ほとんど何を聴くにしてもATH-T2の方が良い。聴き疲れしたらEH-95を使う、という程度だろう。

HP430
どちらもややかまぼこ。低域はHP430の方がかなり出る。高域は、量はほぼ同量なのだが、HP430の方がやや高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP430の方が上。どちらも聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP430の方が上。HP430の方がノリが良くしかも繊細。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP430の方が上。得意分野はどちらもポップスだが、ほとんど何を聴くにしてもHP430の方が良い。

HPS3000
EH-95はややかまぼこ、HPS3000は低音より。低域はHPS3000の方が圧倒的に出る。高域は、量はほぼ同量なのだが、HPS3000の方がやや高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばHPS3000の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHPS3000の方が上。HPS3000の方がノリが良くしかも繊細。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS3000の方が上。得意分野はどちらもポップスだが、ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良い。


・EHP-820
HP-AL700
EHP-820はかなりフラット、HP-AL700はやや低音より。低域はHP-AL700の方がかなり量が多く低い音を鳴らす。中域は、EHP-820が低域の曇りに覆われる感じなのに対して、HP-AL700は低域の量に負ける印象。高域はEHP-820の方がやや硬く高い音を鳴らす。分解能及び音場感はHP-AL700の方が上。特に微細な表現は差がある。原音忠実性はどちらも良くない。HP-AL700は低域の曇りが支配的だし、HP-AL700は低域が多すぎる。EHP-820の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはHP-AL700の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHP-AL700の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもHP-AL700の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHP-AL700の方が良いように感じる。響きはEHP-820の方がやや豊か。弦楽器はHP-AL700の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-820の方が硬く鮮やかな音で楽しめるし、過度な味付けもない。打ち込み系の音の表現は、中域から高域の表現はEHP-820の方が相性が良いのだが、低域の厚みがかなり不足に感じるため、低域が欲しい場合にはHP-AL700の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ブラスメインの曲や低域をあまり重視しない打ち込み系の音はEHP-820、それ以外はHP-AL700。

KSC75
EHP-820はかなりフラット、KSC75はやや低音よりのドンシャリ。低域はKSC75の方がかなり低い音を鳴らしてくれるし、量もやや多い。中域はどちらも低域に負けるが、EHP-820は低域の薄い曇りに覆われる印象、KSC75は低域の量に負ける印象。高域はKSC75の方がかなり高い音を鳴らすし、目立つ。分解能及び音場感はKSC75の方が上。音の分離が良いだけでなく、細部の表現もうまい。原音忠実性はどちらも良くない。EHP-820はあまり変な癖はないのだが全体的に曇っていて細かい音を鳴らしてくれない感じ、KSC75は原音忠実性よりも音楽を楽しめるように徹底的に味付けしてある感じ。KSC75の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてKSC75の方が上。KSC75の方がかなりノリが良いが、それでいて繊細さもある。EHP-820はただ漠然と鳴らしている感じ。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はKSC75の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、付帯音の無さという意味ではEHP-820の方が相性が良いのだろうが、KSC75の方が低域をしっかり出してくれるし音の厚みやスピード感が上なので、総合的に見るとKSC75の方が良いだろう。得意分野はEHP-820がポップス、KSC75がロック。ほとんど何を聴くにしてもKSC75の方が良い。

SE-E33
EHP-820はかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はどちらも薄いが、量はEHP-820の方が出る。中域はSE-E33の方がハッキリ聴こえてくる。低域の曇りが無いし、やや上ずった音を鳴らすため。高域はEHP-820の方がやや高い音を鳴らす。分解能及び音場感はEHP-820の方がやや上。原音忠実性はどちらも良くない。EHP-820の方がエッジがきついが、SE-E33は芯の通った音で疲れるため、総合的な聴き疲れはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E33の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しい。EHP-820はややぼやけているのに対して、SE-E33は芯が通っている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-820の方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、ノリの良さならSE-E33、繊細さならEHP-820となるか。響きはEHP-820の方が豊か。弦楽器はEHP-820の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらも意外と良いが、どちらかと言えばEHP-820の方が良いか。打ち込み系の音の表現は、SE-E33の方が相性が良いのだが、かなり低域が不足に感じる。かと言って、EHP-820も低域の厚みがかなり薄いため、どちらもあまりうまいとは感じない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量が少しでも欲しいならEHP-820、不要ならSE-E33。


・EHP-CL430
AH-G100
AH-G100はややかまぼこ、EHP-CL430は低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が量が多い。質的には、ソースによってはAH-G100の方が低い音に感じることもあるが、基本的に大きな差はない。中域は、AH-G100がどこか曇っていて嫌味が出るのに対して、EHP-CL430は低音の量に負けて目立たない感じ。高域はEHP-CL430の方が量が多いし、質的にもやや高めで目立つ感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてEHP-CL430の方が若干良いように感じる。エッジのきつさはほぼ同等だが、EHP-CL430の方が低域・高域ともに量が多く、やや聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が出ない分AH-G100の方が良いと感じるが、低域のないソースならむしろEHP-CL430の方が良く感じるくらい。音の鮮やかさはEHP-CL430の方が上。厚みはEHP-CL430の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。EHP-CL430の方がノリが良い。響きはEHP-CL430の方が豊かでこもり感が気になる弦楽器はEHP-CL430の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-CL430の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、質的にはほぼ同レベルなのだが、低音が豊かな分EHP-CL430の方が良いと感じることが多い。使い分けるなら、基本的にはEHP-CL430、低域の量が多いと感じるならAH-G100。

ATH-ON3
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、EHP-CL430は低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方がかなり量が多く、しっかり低い音を鳴らす。中域は低域に邪魔されない分ATH-ON3の方がはっきり聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方が高い音で量も多い。分解能は同等レベル。音の分離はATH-ON3の方がやや良いが、一つ一つの音の微細な表現はEHP-CL430の方がやや良い。音場感はEHP-CL430の方がやや広い。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、ATH-ON3の方が原音の粗や生っぽさは感じられる。EHP-CL430の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さは低域が弱い分ATH-ON3の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはEHP-CL430の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が上。EHP-CL430の方がかなりノリが良い。響きはEHP-CL430の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はEHP-CL430の方が心地よいが、低域が鳴らなくてもいいから原音らしさを求めると言うならATH-ON3の方が良いだろう。金管楽器はどちらが良いというよりも傾向が違う。EHP-CL430の方がやや高い音だが、質感的にはATH-ON3の方が金属的。打ち込み系の音の表現は、音の質感はATH-ON3の方が合うが、あまりに低域が出ないので普通はEHP-CL430の方が良いだろう。使い分けるなら、低域が欲しいならEHP-CL430、低域は出なくていいから明瞭さが欲しいならATH-ON3。

HP-NC80
EHP-CL430は低音よりのドンシャリ、HP-NC80はややドンシャリ。低域はEHP-CL430の方がやや低い音で量も多い。中域はEHP-CL430の方がやや高い音で目立つ。高域はEHP-CL430の方が高い音で量も多い。この2機種を全体的に見比べると、HP-NC80の方がフラットで周波数特性に癖がないと言える。分解能及び音場感はEHP-CL430の方がやや上。原音忠実性はほぼ互角。EHP-CL430の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEHP-CL430の方がやや上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-NC80の方がやや上。EHP-CL430の方がノリが良く、HP-NC80の方がおとなしい。響きはEHP-CL430の方がやや豊か。弦楽器はHP-NC80の方が粗のない鳴らし方。金管楽器はEHP-CL430の方が明るい鳴らし方。打ち込み系の音の表現はEHP-CL430の方がややうまい。多少メリハリがある感じ。使い分けるなら、明るく聴きたいならEHP-CL430、派手さを嫌うならHP-NC80。

MDR-Z700DJ
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は、ローエンドはEHP-CL430の方がかなり出るが、それ以外はほぼ同量。MDR-Z700DJの方が厚みと圧力のある低域。中域はMDR-Z700DJの方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方が細く硬い鳴らし方。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z700DJの方がやや上。EHP-CL430の方がエッジがきつい上、こもり感が酷く聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-Z700DJの方が上。ただし高域はEHP-CL430の方が鮮やか。厚みはMDR-Z700DJの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。これはローエンドが出ることと、MDR-Z700DJと比べて中域の線が細いためだろう。どちらも繊細さは感じられない。ノリの良さならMDR-Z700DJの方が上。響きはEHP-CL430の方が豊か。弦楽器はどちらもうまくない。ただ何となく鳴らしてくれるだけでも違和感がない方がいいなら、EHP-CL430の方が向いているだろう。金管楽器はEHP-CL430の方が高い音を鳴らしてくれるが、線が細く力強さには欠けるし、聴き疲れの原因にもなっている。打ち込み系の音の表現はMDR-Z700DJの方がかなりうまい。音の厚み、圧力、切れ、迫力といったものが違う。得意分野はEHP-CL430がクラシック、MDR-Z700DJがポップス。使い分けるなら、基本的にはMDR-Z700DJ、厚みが薄くスカスカでもいいからローエンドや高域のとがった感じが欲しいならEHP-CL430。

RH-5Ma
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が量が多いが、RH-5Maの方が厚みがある。中域はRH-5Maの方が低域の曇りに埋もれずに聴こえてくる。高域は量は近いが、EHP-CL430の方が細い感じ、RH-5Maの方が硬く太い感じ。分解能はRH-5Maの方がやや上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はどちらも良くないが、曇りを除けばEHP-CL430の方が癖のない音。どちらもエッジはきつくないが、低域の量が多いため聴き疲れする点は似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-5Maの方が上。厚みはRH-5Maの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。どちらも繊細とは言えない。ノリの良さならRH-5Ma。響きはEHP-CL430の方が豊かで、こもり感も気になる。弦楽器はRH-5Maの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRH-5Maの方が力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はRH-5Maの方がうまい。スピード感はあまりないものの、音の厚みが効いている。得意分野はEHP-CL430がクラシック、RH-5Maがポップス。使い分けるなら、薄い音を聴きたいときはEHP-CL430、EHP-CL430の曇りが気になるときや濃い音を聴きたいときはRH-5Ma。

SE-MJ5
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が厚みが薄く、ローエンドまで出る感じ。EHP-CL430の方が低く、量も多いように感じるが、ぼやけて締まりがない。SE-MJ5はEHP-CL30と比べれば締まりがある。中域はSE-MJ5の方がはっきり聴こえてくる。EHP-CL430はかなり低域に埋もれる。高域はSE-MJ5の方が硬く高い音を鳴らす。分解能、音場感ともに若干SE-MJ5の方が良いか。原音忠実性はどちらも良くないが、原音の実体感のようなものはSE-MJ5の方が感じられる。EHP-CL430はただ何となく鳴らしている印象。SE-MJ5の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-MJ5の方が上。厚みはSE-MJ5の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方がやや上。繊細さが感じられないのはどちらも似たようなものだが、ノリの良さはSE-MJ5の方がかなり上。響きはEHP-CL430の方がやや豊かで、こもり感がかなり気になる。SE-MJ5の方が芯の通った圧力のある音。この点が一番の違いかもしれない。弦楽器はどちらもうまくない。SE-MJ5の方がくっきりした鳴らし方。ぼやけて繊細さがなくても良いならEHP-CL30でも聴けないことはないが、基本的にSE-MJ5の方がましだろう。金管楽器はSE-MJ5の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MJ5の方がかなりうまい。圧力やスピード感がまったく違う。得意分野はEHP-CL430がクラシック、SE-MJ5がポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-MJ5で、聴き疲れが気になるときや元気が良すぎると感じるときはEHP-CL430が良いだろう。


・EHP-IN200
ER-6
EHP-IN200はかまぼこ、ER-6はやや高音より。低域はどちらも控え目だが、ER-6は少ないながらも素直にローエンドまで出るのに対して、EHP-IN200はソースによってかなり質感がばらばらで、場合によっては紙のように薄い低域になる。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、EHP-IN200は変に癖があり悪い意味で目立つ。中高域は質的にも量的にも意外と似ている。高域はER-6の方が若干細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてER-6の方が圧倒的に上。どちらもエッジはきつくないが、EHP-IN200はソースによっては中域が硬くて痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてER-6の方が上。ER-6の方が圧倒的に繊細。響きはER-6の方がやや豊か。弦楽器はER-6の方が繊細かつ心地よい。金管楽器は意外と似た表現だが、ER-6の方が細部まで描写してくれる。打ち込み系の音の表現もER-6の方がうまい。EHP-IN200は音の厚みが薄すぎる。ほとんど何を聴くにしてもER-6の方が良いだろう。

SE-CL30
EHP-IN200はかまぼこ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はSE-CL30の方が低い音で量も多い。中域はEHP-IN200の方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけではなく、ややうわずり気味で芯の通った音だからだろう。高域はSE-CL30の方が細く硬く高い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-CL30の方が良いように感じる。ただ、かなり違う傾向の音なので、人によって判断は変わってきそう。特に原音忠実性はどちらも良くない上に、方向性がまったく違う。EHP-IN200は古臭い音で低域も高域も出ないのに対して、SE-CL30はいかにもドンシャリといった味付け。SE-CL30の方がエッジがきつく基本的には聴き疲れするが、EHP-IN200は中域が硬く芯の通った音なので、ソースによってはこちらの方が聴き疲れしそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-CL30の方が上。EHP-IN200はただ何となく鳴らしているだけなのに対して、SE-CL30はかなりノリが良い。響きはSE-CL30の方が豊か。弦楽器はSE-CL30の方が繊細かつ心地よい。EHP-IN200は心地よさがまったく感じられない。金管楽器はSE-CL30の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現もSE-CL30の方がうまい。低域の量や音の厚みが大きな差。ほとんど何を聴くにしてもSE-CL30の方が良いように感じる。

SHE9501
EHP-IN200はややかまぼこ、SHE9501はかなりフラット。低域はSHE9501の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし量もやや多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、SHE9501の方が癖がない。EHP-IN200は低域が弱いのに曇っていて、しかもうわずっているように感じる。高域はEHP-IN200の方がやや高い音を鳴らすが、量的にはSHE9501の方が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてSHE9501の方がかなり良い。特にEHP-IN200は一聴して違和感を感じるのに対して、SHE9501は非常に自然。SHE9501の方が多少エッジがきついのだが、変な癖や圧迫感でEHP-IN200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSHE9501の方が上。SHE9501の方がノリが良くかつ繊細。響きはほぼ同等。弦楽器はSHE9501の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-IN200の方が高い音だが、不自然で鮮やかさもない。打ち込み系の音の表現はSHE9501の方がうまい。厚み、切れ、低域の量感等で勝っている。ほとんど何を聴くにしてもSHE9501の方が良い。

VR-101PB
EHP-IN200はかまぼこ、VR-101PBは低音より。低域はVR-101PBの方が量が多いが、薄い低域で曇りが気になる。中域は、低域の曇りがないだけでなく上ずった音を鳴らすEHP-IN200の方が、良くも悪くもしっかり聴こえてくる。高域はEHP-IN200の方が高い音で量も多い。分解能はEHP-IN200の方がやや上。音場感、原音忠実性はどちらも同じくらい悪い。EHP-IN200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEHP-IN200の方が上。厚みは質感が違うため判断が難しい。EHP-IN200は硬くてザラザラした質感、VR-101PBは柔らかくぼやけた質感。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはVR-101PBの方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはVR-101PBの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はVR-101PBの方が心地よい。金管楽器はEHP-IN200の方が高く鮮やかだが、ややチープなのは否めない。打ち込み系の音の表現は、明るく硬めの音を鳴らすEHP-IN200の方が相性が良いが、いかんせん低域が不足しすぎ。低域が欲しいならVR-101PBの方が良いだろう。使い分けるなら、低域が不要ならEHP-IN200、低域が欲しいならVR-101PB。

ヘッドホン-3
どちらもかまぼこだが、EHP-IN200の方がフラット。低域はEHP-IN200の方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、EHP-IN200はキンキンした感じが気になるし、ヘッドホン-3は曇りが気になる。中高域はかなり似た音を鳴らすが、高域はEHP-IN200の方が高くとがった音を鳴らす。分解能、原音忠実性はEHP-IN200の方が上。音場感は、形が違うせいもありかなり違うが、どちらも良いとは言えない。EHP-IN200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてEHP-IN200の方がやや上。EHP-IN200の方がノリが良くかつ繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器はEHP-IN200の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-IN200の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現もEHP-IN200の方がうまい。低域の量や音の厚みが違う。ほとんど何を聴くにしてもEHP-IN200の方が良いように感じる。


・ER-4S
E4c
どちらもかなりフラット。低域はER-4Sの方がローエンドまでしっかり鳴らす感じ。ただ、厚みや圧力はE4cの方がある。中域はER-4Sの方が癖がなく落ち着いた音。E4cはER-4Sと比べるとややうわずっているように感じる。高域はどちらも十分な量で非常に美しいが、質的にはかなり違う。E4cの方がやや太く硬く金属的、ER-4Sはコンデンサー型のような細い音。分解能はER-4Sの方が高い。同時に複数の音を鳴らしたときの分離具合はそれほど差が出ないようにも感じるが、一つ一つの音の緻密な描写ではかなり差が出る。音場感はどちらもかなり良いが、ER-4Sの方がやや立体感があるように感じる。この点は人によって評価が分かれそう。原音忠実性はER-4Sの方が上。E4cは中域がややうわずっているしローエンドも足りないのに対し、ER-4Sは文句の付けようがない。ER-4Sの方がやや線が細くエッジがきつく感じる部分もあるが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さは甲乙付け難い。音の鮮やかさはE4cの方が上。ER-4Sが明るくも暗くもないナチュラルなバランスであるのに対して、E4cはかなり明るい。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはER-4Sの方が上。ローエンドの出方と線の細さから考えて当然の結果だろう。ノリの良さならE4c、繊細さならER-4S。この点は完全に分かれる。響きはE4cの方が若干豊かか。ただ、残響音の最後の一粒まで感じられるのはER-4Sかもしれない。弦楽器はER-4Sの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はE4cの方が金属的で鮮やかな鳴りが楽しめるが、シンバル等はER-4Sの繊細さも素晴らしいものがある。この辺りは好みだろう。打ち込み系の音の表現はE4cの方がうまい。音の厚み、圧力、明るさで勝っているため。使い分けるならクラシックや原音忠実性が欲しいときはER-4S、ポップスやロックをノリ良く楽しみたいときはE4c。きれいに使い分けることの出来る2機種。

ER-6
ER-4Sはフラット、ER-6はやや高音より。低域はER-4Sの方が若干強い。中域はどちらも非常にはっきり聴こえてくるが、ER-6の方がスカスカしているように感じる。高域は質・量ともに非常に近いが、ER-4Sの方が若干細く硬いか。分解能、音場感、原音忠実性すべてER-4Sの方が上。単純に複数の音を同時に鳴らすときの分離も良いし、一つ一つの音のディテールの描写も勝っている。ER-4Sの方がややエッジがきついが、聴き疲れするほどではない。明瞭さ、音の鮮やかさはER-4Sの方が上。これは周波数特性のバランスではなく、純粋に持っている能力が違う。厚みもER-4Sの方が上。ただ、これは厚みというよりも音の密度や実体感が上と言った方が適切だろう。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさともにER-4Sの方が上。低域がやや強くスカスカした感じがしない上、線が細いため。どちらも繊細だが、ER-4Sの方が段違いの繊細さを持っている。ただ、そうは言ってもER-6の繊細さも普通に考えればかなり高いレベル。響きはどちらもややあっさりでよく似ているが、ER-4Sの方が残響音の最後の一粒まで楽しめる。非常に密閉度が高い割には、こもり感はどちらもあまり気にならない。弦楽器、金管楽器ともにかなり似た音を鳴らすが、ER-4Sの方が総じてうまい。これは純粋に各楽器の細部までしっかりと描ききってくれるため。打ち込み系の音の表現は低域が出る分ER-4Sの方が合うが、線の細さが合わないときもある。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもER-4Sの方が良いように感じる。

MDR-EXQ1
ER-4Sはフラット、MDR-EXQ1はややドンシャリ。低域はMDR-EXQ1の方が一段低い音を鳴らすし量も多い。中域はER-4Sの方がはっきり聴こえてくる。高域はMDR-EXQ1の方が硬く金属的で目立つ。ER-4Sの方が細く繊細。分解能はER-4Sの方がやや上。音場感はどちらも良いが、どちらかと言えばER-4Sの方が奥行きがあるように感じられる。原音忠実性はER-4Sの方が上。MDR-EXQ1の方がややエッジがきついが、ER-4Sも線が細いため、聴き疲れとしてはあまり変わらない。明瞭さは低域が弱い分ER-4Sの方が上、音の鮮やかさは高域の金属的な鳴りがある分MDR-EXQ1の方が上のように感じる。厚みはMDR-EXQ1の方がある。温かみは低域が出る分MDR-EXQ1の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもかなり良いが、MDR-EXQ1の方がサ行の音がやや痛く、付帯音が多い印象。ノリの良さならMDR-EXQ1、繊細さならER-4S。響きはMDR-EXQ1の方が豊かで、その分こもり感も気になる。弦楽器はER-4Sの方が繊細でヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しむには良いが、チェロ等の低域はMDR-EXQ1の方が心地よい。金管楽器はMDR-EXQ1の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はMDR-EXQ1の方がうまい。これは低域の量がかなりのウエイトを占める。得意分野はER-4Sがクラシック、MDR-EXQ1がポップス。使い分けるなら繊細さや原音忠実性を求めるならER-4S、ノリの良さや低音の量を求めるならMDR-EXQ1。

Super.fi 5 Pro
どちらもかなりフラットだが、どちらかと言うとER-4Sの方がドンシャリか。低域はER-4Sの方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし厚みもある。Super.fi 5 Proの低域は薄く曇っているような印象。中域は曇りに邪魔されないだけでなく、やや高い音を鳴らすためER-4Sの方がはっきり聴こえてくる。高域はER-4Sの方が細く高い。分解能はER-4Sの方が上。音場感はどちらもインナーイヤーにしては非常に良い。あえて違いを探すなら、ER-4Sの方が奥行きがあり、Super.fi 5 Proの方が二次元的な広さがある。原音忠実性はSuper.fi 5 Proの方がやや上か。ER-4SはSuper.fi 5 Proと比べると若干音楽鑑賞向けの音作りになっているように感じる。ER-4Sの方がエッジがきついが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてER-4Sの方が上。ER-4Sは非常に繊細であるのに対して、Super.fi 5 Proはモニター的。響きは、低域はSuper.fi 5 Proの方が豊か、高域はER-4Sの方が豊か。Super.fi 5 Proの方がホワイトノイズがかなり大きい。弦楽器はER-4Sの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はER-4Sの方が細く硬い音で楽しめるが、力強さや原音忠実性を求めるならSuper.fi 5 Proの方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はSuper.fi 5 Proの方が若干うまいか。ER-4Sは音の細さが合わない。使い分けるなら、基本的にはER-4S、よほど原音忠実性や音場を重視するときはSuper.fi 5 Pro。


・ER-6
E2c
E2cはかなりフラット、ER-6はやや高音より。低域はE2cの方が全体的にかなり出る。中域はER-6の方がややうわずり気味ではっきり聴こえてくる。高域はER-6の方が細く高い音。分解能は線が細い分ER-6の方が若干良いように感じるが、単純に複数の音が重なったときの分離具合はほとんど差が無いように感じられる。ただし、低域が強いソースではER-6の方が有利。音場感はER-6の方が上。特に奥行きに差がある。原音忠実性は微妙。広い目で見ればE2cの方が癖のない音のように感じる。ER-6は中域がややうわずっているのが難点だが、線が細く細部の表現はうまい。ER-6の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、ほとんど問題ないレベル。明瞭さは低域が弱く線が細いER-6の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはE2cの方がやや上。温かみは低域が出る分E2cの方があるように感じるが、基本的にはどちらもあまり温かみがあるとは言い難い。ヴォーカルの艶っぽさはER-6の方が上。ノリの良さならE2c、繊細さならER-6。響きはどちらもあっさりだが、E2cの方がやや豊か。弦楽器はER-6の方が繊細だが、心地よさならE2cの方が良いだろう。金管楽器はER-6の方が高い音だが、E2cの方が力強く迫力がある。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。ER-6は低域の不足と線の細さが合わない。使い分けるなら基本的にはE2cで、室内楽や女性ヴォーカル、繊細さが欲しい曲はER-6か。

EHP-IN200
EHP-IN200はかまぼこ、ER-6はやや高音より。低域はどちらも控え目だが、ER-6は少ないながらも素直にローエンドまで出るのに対して、EHP-IN200はソースによってかなり質感がばらばらで、場合によっては紙のように薄い低域になる。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、EHP-IN200は変に癖があり悪い意味で目立つ。中高域は質的にも量的にも意外と似ている。高域はER-6の方が若干細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてER-6の方が圧倒的に上。どちらもエッジはきつくないが、EHP-IN200はソースによっては中域が硬くて痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてER-6の方が上。ER-6の方が圧倒的に繊細。響きはER-6の方がやや豊か。弦楽器はER-6の方が繊細かつ心地よい。金管楽器は意外と似た表現だが、ER-6の方が細部まで描写してくれる。打ち込み系の音の表現もER-6の方がうまい。EHP-IN200は音の厚みが薄すぎる。ほとんど何を聴くにしてもER-6の方が良いだろう。

ER-4S
ER-4Sはフラット、ER-6はやや高音より。低域はER-4Sの方が若干強い。中域はどちらも非常にはっきり聴こえてくるが、ER-6の方がスカスカしているように感じる。高域は質・量ともに非常に近いが、ER-4Sの方が若干細く硬いか。分解能、音場感、原音忠実性すべてER-4Sの方が上。単純に複数の音を同時に鳴らすときの分離も良いし、一つ一つの音のディテールの描写も勝っている。ER-4Sの方がややエッジがきついが、聴き疲れするほどではない。明瞭さ、音の鮮やかさはER-4Sの方が上。これは周波数特性のバランスではなく、純粋に持っている能力が違う。厚みもER-4Sの方が上。ただ、これは厚みというよりも音の密度や実体感が上と言った方が適切だろう。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさともにER-4Sの方が上。低域がやや強くスカスカした感じがしない上、線が細いため。どちらも繊細だが、ER-4Sの方が段違いの繊細さを持っている。ただ、そうは言ってもER-6の繊細さも普通に考えればかなり高いレベル。響きはどちらもややあっさりでよく似ているが、ER-4Sの方が残響音の最後の一粒まで楽しめる。非常に密閉度が高い割には、こもり感はどちらもあまり気にならない。弦楽器、金管楽器ともにかなり似た音を鳴らすが、ER-4Sの方が総じてうまい。これは純粋に各楽器の細部までしっかりと描ききってくれるため。打ち込み系の音の表現は低域が出る分ER-4Sの方が合うが、線の細さが合わないときもある。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもER-4Sの方が良いように感じる。

RP-HJE70
ER-6はやや高音より、RP-HJE70はやや高音よりのドンシャリ。低域はRP-HJE70の方が一段低い音で量もやや多い。中域はどちらもうわずり気味ながらはっきり聴こえてくる点は似ているが、そのうわずり方がまったく違う。中高域から高域はRP-HJE70の方が出る。細く硬く金属的な鳴り。分解能はER-6の方が若干上か。音場感はどちらもなかなか良い。奥行きはER-6の方がややあるように感じるが、二次元的な横の広がりはRP-HJE70の方があるように感じる。原音忠実性はER-6の方が圧倒的に上。これはRP-HJE70が原音忠実とはかけ離れた音作りになっているせいだろう。RP-HJE70は根本的に音楽を楽しむための音作りになっていて、原音忠実性は考えていないように感じる。RP-HJE70の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。サ行の音等も痛い。どちらもかなり明瞭だが、傾向が違うので優劣はつけにくい。ER-6は低域不足と分解能の高さから来る明瞭さ、RP-HJE70はエッジのきつさと明るさから来る明瞭さ。音の鮮やかさはRP-HJE70の方が上。ER-6は地味であるのに対して、RP-HJE70はかなり派手。厚みはRP-HJE70の方がある。温かみはどちらもあまり感じられない。低域が出る分RP-HJE70の方が温かみがあるようにも感じるが、作ったような明るさのせいで台無しになっている部分も多い。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもそれなり。ER-6は原音をそれほど脚色しないレベルの艶っぽさ、RP-HJE70は脚色しすぎでソースによってはかなり擦れが気になる艶っぽさ。ノリの良さならRP-HJE70、繊細さならER-6。RP-HJE70は元気が良すぎでソースによっては音割れが気になる。響きは全体的にRP-HJE70の方が豊か。それでいてRP-HJE70の方が硬い音。弦楽器はRP-HJE70の方が楽しめる。これは適度な低域があるだけでなく、しっかりした実力に裏づけされた魅力だろう。ただ、ER-6の表現も素晴らしいのは間違いない。人によって好み・評価が大きく分かれそうな点。金管楽器はRP-HJE70の方が高く鮮やかだが、不自然すぎて受け付けない人も多そう。打ち込み系の音の表現は低域の量と音の厚みでRP-HJE70の方が合うが、エッジのきつさがあるため厳しい部分もある。得意分野はER-6がクラシック、RP-HJE70がポップス。使い分けるなら破綻してもいいから楽しくノリ良く聴きたいときはRP-HJE70、そうでなければER-6。

ZEN AURVANA
ER-6はやや高音より、ZEN AURVANAはかなりフラット。低域はどちらも豊かな方ではないが、ZEN AURVANAの方がやや量が多い。中域はER-6の方がやや高い音で目立つ。高域はER-6の方がやや高い音を鳴らす。基本的にZEN AURVANAの方が低めの音で落ち着いた鳴らし方だが、全体の雰囲気はそれほど大きな差は無い。分解能はER-6の方がやや上。微細な描写に差がある。音場感はER-6の方がやや広く明確だが、大きな差は無い。原音忠実性は、周波数特性上の癖の無さはZEN AURVANAの方が良いが、原音の粗はER-6の方が感じられる。ER-6の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはER-6の方がやや上。厚みはZEN AURVANAの方がやや上。温かみは低域が出る分ZEN AURVANAの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。ER-6の方が線が細く良い場合もあるのだが、ややうわずり気味でキンキンした感じになることも多い。そういう意味ではZEN AURVANAの方が安心して聴ける。どちらもあまりノリが良い鳴らし方ではない。ER-6の方が線の細い鳴らし方、ZEN AURVANAの方が落ち着いた鳴らし方。響きはどちらもややあっさりだが、どちらかと言えばZEN AURVANAの方が豊か。弦楽器はER-6の方が繊細、ZEN AURVANAの方が心地よい。金管楽器はER-6の方がやや高い音を鳴らすが、基本的にあまり大きな差は無い。打ち込み系の音の表現はZEN AURVANAの方がうまい。ER-6は線が細すぎる。使い分けるなら、線の細さを求めるならER-6、線の細さはそこそこに心地よく安心して聴ける音を求めるならZEN AURVANA。


・Form2
K24P
K24Pはドンシャリ気味、Form2はかまぼこ気味。K24Pは全音域過不足なしという印象だが、Form2は高域も低域も不足に感じる。分解能、音場感ともにK24Pの方が若干良い。原音に近いのはForm2かもしれないが、それは粗や生っぽさ、ライブ感という意味で、自然な音はどちらかと言われればK24Pに軍配が上がる。どちらもある種の明瞭さはあり、純粋な明瞭さの比較は難しい。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK24Pの方が良いが、芯の通った音を求めるならForm2の方がいいかもしれない。K24Pは音が細めで繊細な部分があるが、Form2は塗り潰したように繊細さがない。ノリの良さという意味でも、K24Pは低音が十分で音の立ち上がりが良くスピード感があるのに対し、Form2は低域が出ない上にスピード感がない。K24Pは響きが豊か、Form2はあっさり。弦楽器、金管楽器ともにK24Pの方が圧倒的に魅力的。何を聴くにしてもK24Pの方が良いが、あえてForm2を使うならモニター的な用途には向いているかもしれない。

K501
Form2はかまぼこ、K501は高音より。超低域はForm2の方がかなり出るが、低域はほぼ同量。高域は全体的にK501の方がかなり出るし、一段高い音を鳴らす。ソースによってはどちらもスカスカで迫力のない音を鳴らすところは良く似ている。分解能、音場感、原音忠実性すべてK501の方が上。どちらかと言うとK501の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてK501の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK501の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもK501の方が良いが、Form2の方が低域が出るぶん違和感を感じにくいし、聴き疲れもしない。そのあたりの加減で使い分ければ良いと思う。

PortaPro
Form2はかまぼこ、PortaProはドンシャリ。見た目は近いものがあるが、音域傾向はまったく違う。分解能や音場感はほぼ互角だが、若干Form2の方が良いように感じる。PortaProの方がノリが良く、しかも原音忠実。一聴して違和感がなく楽しめる上、音に鮮やかさがあり、しかも温かみもある。ヴォーカルの艶っぽさではPortaProの方がはるかに上。どちらも響きが豊かでありながら音の抜けが良く、エッジもきつくないためあまり聴き疲れしない。トランペットやシンバルの美しさはほぼ互角だが、PortaProの方が低音が出る分やや邪魔されて明瞭さがない。弦楽器や打楽器はPortaProの方が総じて良い。このような理由でクラシックを聴くならややPortaProが良い。その上、ロックやポップスになるとForm2は低音が出ずノリが悪いので、結局PortaProの方が良い。何を聴くにもForm2はいまいちなようだ。価格を考えるとコストパフォーマンスの差は歴然。

SE-F3
どちらもややかまぼこだが、Form2の方がやや低音より。低域は抜けが良いせいかどちらもやや迫力不足に感じるが、Form2の方が出る。高域はSE-F3の方がやや高い音を鳴らすし量も多い。分解能、原音忠実性はForm2の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、Form2の方が立体感がある。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかと言えばSE-F3の方が疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-F3の方がやや上。ただし、これはSE-F3の方が高音よりのためにそう感じる部分が大きいと思われる。厚みや密度はどちらかと言えばForm2の方が上。Form2の方が上品でおとなしい鳴り。SE-F3の方がスピード感がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいい勝負だが、若干Form2の方が上か。ノリの良さならSE-F3、繊細さならForm2。響きはSE-F3の方がやや豊か。Form2の方が音に粗がない。弦楽器は好みの差程度だろう。個人的にはForm2の方が好印象。金管楽器はSE-F3の方が一段高く鮮やかで、価格のわりには安っぽさを感じさせない音。打ち込み径の音はSE-F3の方がややうまい。使い分けるなら、クラシックやジャズはForm2、ポップスやロックはSE-F3。全体的に見て、価格ほどの差は感じない。どちらもロックをノリ良く聴きたいならかなり合わないので要注意。


HD215
ATH-A500
ATH-A500はややドンシャリ、HD215はかなりフラット。低域はATH-A500の方がかなり出る。中域はどちらもしっかり聴こえてくるが、HD215の方が癖のない感じ。高域はATH-A500の方が細く硬く金属的な鳴り方をする。分解能はATH-A500の方が上、音場感はHD215の方が上、原音忠実性はほぼ互角。ATH-A500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはATH-A500の方が上。厚みはATH-A500の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD215の方がやや上。ATH-A500の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度だが、低域が出る分ATH-A500の方がこもり感が気になる。弦楽器はATH-A500の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-A500の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低域が出る分ATH-A500の方がやや相性が良いように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ジャンルよりも温かみやヴォーカルの艶っぽさが欲しいときはHD215、それ以外はATH-A500という使い分けが良さそう。

CPH7000
CPH7000はややかまぼこ、HD215はかなりフラット。HD215の方が、低い音は低く、高い音は高く鳴らすが、量にはそれほど差はない。中域はCPH7000の方がうわずっていてやや目立つ。分解能はほぼ互角だが、CPH7000の方が若干上か。音場感はHD215の方がやや広く明確。原音忠実性はほぼ互角。HD215の方が低域から高域まで素直に鳴らすが、CPH7000の方が原音の粗が感じられる。エッジのきつさはほぼ互角で聴き疲れも同等レベル。明瞭さは低域が少ない分CPH7000の方が上のように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはCPH7000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD215の方がやや上。音の厚みや圧力があるという意味ではCPH7000の方がノリが良いのだが、低域の量はHD215の方がある。繊細さにしても、CPH7000の方が粗のない密度の高い表現のように感じるが、細部まで描写しようとする努力は(それが成功しているかどうかはともかく)HD215の方が感じられるように思う。つまり、ノリの良さにしろ繊細さにしろ方向性が違い、微妙。響きはHD215の方がやや豊か。弦楽器はどちらもあまりうまくないが、HD215の方がまだ良いようだ。金管楽器はどちらも鮮やかで、かなり似た鳴らし方。CPH7000の方が若干力強く粗がない感じ。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまい。音の厚みをとるならCPH7000、低域の量をとるならHD215か。使い分けるなら、低域も高域も不足でいいから音の厚みを求めるというならCPH7000、周波数特性の癖のなさを求めるならHD215。ただ、かなり似ているのでどちらか片方持っていれば事足りる可能性が高い。

HD280Pro
HD215はかなりフラット、HD280Proはかまぼこ。低域はHD215の方が量があるが、音圧はHD280Proの方がある。中域はHD280Proの方が前に出てくる感じ。高域は質・量ともにかなり似ているが、HD215の方がやや粗く量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD280Proの方がやや上。HD280Proの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHD280Proの方が上。HD280Proの方が密度が濃く、安定した鳴らし方。ただし、バランスはHD215の方が多少良いようにも感じる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HD215の方が軽快である種のノリの良さはあるが、音圧はHD280Proの方があるので、ノリの良さを広義で考えた場合に、どちらがノリが良いかは微妙なところ。響きはHD215の方がやや豊か。こもり感はどちらもそれほど気にならない。弦楽器はHD280Proの方が低域の量が少ないにもかかわらず滑らかで心地よい。金管楽器はどちらも悪くない。HD280Proの方が原音に近く粗のないシンプルな音だが、HD215の方もそれはそれで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHD280Proの方が音圧と切れで勝っているが、低域の量が不満。ほとんど何を聴くにしてもHD280Proの方が良いように感じるが、HD215もバランスが良く軽快である点は魅力的なので、その長所を活かしたいところ。

HP830
HD215はかなりフラット、HP830はややドンシャリ。低域は量はそれほど差がないが、HP830の方がかなり低い音を鳴らす。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。高域はかなり似ているが、どちらかと言えばHD215の方が細くて硬い音を鳴らす。分解能はどちらも悪くないが、どちらかと言えばHP830の方が粗がないぶん良いように感じられる。音場感はHD215の方がやや良い。原音忠実性は価格を考えればどちらもなかなかのものを持っているが、HD215は軽すぎるし、HP830は低域がやや低すぎる印象。どちらもエッジはきつくなくそれほど聴き疲れしない。明瞭さは低域が出ない分HD215の方が上だが、音の鮮やかさはそれほど差がない。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP830の方が若干上。基本的にはHP830の方がノリが良くしかも繊細。ただ、HD215の方が軽快でスピード感がある。HP830の方が密度が高く音圧で押し出してくる感じ。響きはどちらも適度だが、どちらかと言えばHD215の方があっさり。弦楽器はHP830の方が粗がなく心地よい。金管楽器はどちらも悪くない。HD215の方が若干粗があるように感じる。ただ、このあたりは好みで評価が違ってきそう。打ち込み系の音の表現はHD215の方が無難な表現ではあるが、低域の量が足りないという人も多そう。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、スピード感や軽快さが欲しいときにはHD215、それ以外はHP830。

HP-M1000
HD215はかなりフラット、HP-M1000はドンシャリ。低域はHP-M1000の方がかなり量が多いし、一段低い音を鳴らす。中域はHD215の方がはっきり聴こえてくる。高域はHD215の方がやや線が細い感じ。どちらも十分量出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD215の方がやや上。HP-M1000の方がかなり耳の近くで音が鳴っている感じ。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さは低域が弱い分HD215の方がやや上に感じられるが、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上に感じられる。厚み、温かみはHP-M1000の方がかなり上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-M1000の方がノリが良い。響きはHP-M1000の方が豊か。低域が強いこともあり、こもり感はHP-M1000の方がかなり気になる。弦楽器はHP-M1000の方が心地よいが、ヴァイオリンの清涼さ等を求めているならHD215の方が良いだろう。金管楽器はどちらもなかなか鮮やか。HD215の方がやや高く細い鳴らし方。HP-M1000の方が力がある。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HP-M1000の方が一段上。低域が出るだけでなく、音の厚み、圧力等、様々な意味で勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスやロックはHP-M1000、それ以外はHD215。かなり違う鳴らし方をする2機種だが、粗がある等の類似点もあるので要注意。

MV1
HD215はかなりフラット、MV1は高音よりのかまぼこ。低域はHD215の方がやや強いが、質感は割と近く量も極端な差はない。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、MV1の方がうわずっていて無駄に目立つ印象。高域はHD215の方が細く高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はHD215の方が上。特に微細な表現はかなり差がある。音場感はほぼ互角。HD215の方がエッジがきついが、MV1は中域がキンキン突き刺さってくるため、総合的な聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはHD215の方が上。厚みはMV1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD215の方が上。HD215の方がノリが良くかつ繊細。響きはHD215の方が豊か。弦楽器はHD215の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHD215の方が高く鮮やかだが、力強さではMV1の方が上だろう。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまい。爽やかにバランス良く鳴らして欲しいならHD215、音の厚みが欲しいならMV1か。ただし、打ち込み系の曲をノリ良く楽しむにはどちらも低域が不足に感じる。その点はHD215の方がまだまし。使い分けるなら、基本的にはHD215、音の厚みが欲しいときはMV1。


・HD25-1
ATH-ES7
どちらもややドンシャリだが、ATH-ES7の方がやや低音よりか。低域はATH-ES7の方が一段低い音を鳴らす。ただし、厚みはHD25-1の方があるように感じる。中域はHD25-1の方がしっかり聴こえてくる。中高域はATH-ES7の方が明るく鳴らすし、高域も基本的にはATH-ES7の方が出るようだが、一部の高域はHD25-1の方が出るようにも感じる。ただ、基本的にATH-ES7の方が派手な鳴らし方なので、大抵の場合ATH-ES7の方が高音が強いように感じるだろう。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がやや上。HD25-1の方が聴き疲れしにくい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-ES7の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方が上。どちらもノリが良いが、ATH-ES7は明るく華のある感じ、HD25-1は地味ながら圧力・迫力があり安定した感じ。響きはHD25-1の方がやや豊か。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ES7の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。重低音や派手な明るさを楽しみたいならATH-ES7、そうでないならHD25-1といった感じか。得意分野はATH-ES7がポップス、HD25-1がロック。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲はATH-ES7、それ以外はHD25-1。

ATH-ON3
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、HD25-1はややドンシャリ。低域はHD25-1の方がかなり量が多い。中域はATH-ON3の方が低域に邪魔されない上、癖のある音ではっきり聴こえてくる。高域は意外と似た音を鳴らすが、ATH-ON3の方がやや金属的、HD25-1の方がやや量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がかなり上。一つ一つの音の微細な描写に差がある。ATH-ON3はあまりに低域が少なすぎる。HD25-1の方が若干エッジがきつく、圧力のある音で聴き疲れする。明瞭さは低域が出ない分ATH-ON3の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方がかなり上。HD25-1の方がノリが良くかつ繊細。響きはHD25-1の方がやや豊か。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHD25-1の方が力強く魅力的。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。音の質感としてはATH-ON3の方が良いくらいだが、音の厚みや低域の量感でHD25-1の方がかなり勝っている。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、HD25-1では余程低域の量が多いと感じるときだけATH-ON3。

DJ1 PRO
どちらもややドンシャリ。低域はDJ1 PROの方が低く弾力のある鳴らし方をする。中域はどちらもドンシャリの割にははっきり聴こえてくるが、どちらかと言えばDJ1 PROの方が高い音ではっきり聴こえてくる。高域はDJ1 PROの方がかなり量が多い。分解能はほぼ互角だが、HD25-1の方が若干良いか。音の分離はDJ1 PROの方が良いように感じるが、微細な表現はHD25-1の方がうまい。音場感はDJ1 PROの方が広く明確。HD25-1も耳のせサイズの割には立体感があるが、やはりDJ1 PROには及ばない。原音忠実性はHD25-1の方が上。ただし、原音の実体感のようなものはDJ1 PROの方が感じられる。DJ1 PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDJ1 PROの方がかなり上。厚みはどちらもかなりあるが、どちらかと言えばDJ1 PROの方が上か。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方が上。DJ1 PROのヴォーカルは艶っぽいと言うよりは瑞々しいと言う表現がふさわしいように思う。どちらもノリが良いが、DJ1 PROの方が明るくテンションが高い。HD25-1のノリの良さは音の立ち上がりの良さや厚みからくるもので、音そのものの明るさや刺激はあまり感じられず、ある意味地味なノリの良さだろう。響きはHD25-1の方がやや豊かに感じるが、これはこもり感の影響でそう感じやすいだけで、実際にはほぼ同等なのかもしれない。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDJ1 PROの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、総合的に見るとDJ1 PROの方が上だろう。とにかく明るく楽しめる。得意分野はDJ1 PROはポップス、HD25-1はロック。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲はDJ1 PRO、ロックや弦楽器メインの曲はHD25-1。あるいは、明るさや音場感の良さを求めるならDJ1 PRO、粗がなく地味な良質さを求めるならHD25-1というような使い分けもありだろう。

DT770PRO
どちらもドンシャリだが、DT770PROの方が低域も高域も出る。特に超低域と超高域の量はかなり違う。HD25-1はしまりがあるが、DT770PROは良く伸びている印象。分解能や原音忠実性はDT770PROの方が上。音場感はほぼ互角だが、HD25-1の小型さを考えれば驚異的と言えよう。DT770PROの方がエッジがきつく音が割れるような感じで聴き疲れする。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT770PROの方が上だが、ウォームさがあるためどちらが明るい音調かという問題ならHD25-1の方が明るいだろう。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が上だが、サ行の痛さやかすれが気になる人からすると評価は逆転するだろう。ノリの良さならHD25-1、繊細さならDT770PRO。響きは以外にもHD25-1の方が豊か。こもり感はHD25-1の方が気になるし、曇っているようにも感じる。弦楽器はDT770PROの方が繊細だが、まったり聴きたいならHD25-1の方が良いときもあるかもしれない。金管楽器はDT770PROの方がかなり高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。DT770PROはどうしてもウォームに感じる。得意分野は、HD25-1はロック、DT770PROはジャズ。使い分けるならポップスやロックはHD25-1、クラシックやジャズはDT770PRO。これほど見事に使い分けができる2機種も珍しい。そういう意味では両方買っても損はしない。

HD280Pro
HD25-1はややドンシャリ、HD280Proはややかまぼこ。個別に見るとそうなのだが、2台並べて比較するとHD25-1の方が全体的にやや低音よりなだけにも感じる。低域はHD25-1の方が量も厚みもある。高域はHD280Proの方がやや線が細く高い音を鳴らすように感じるが、量はほぼ互角。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD280Proの方が若干上。HD280Proの方がエッジがきつく聴き疲れする。HD25-1の方が音が太く、ストレートに伝わってくる感じ。明瞭さはHD280Proの方が若干上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みや密度はHD25-1の方がやや上。温かみはHD25-1の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはHD280Proの方がやや上。HD25-1の方がノリが良い。HD280Proは若干低域が不足に感じるし、モニター的な鳴らし方をする。響きはHD25-1の方が豊か。弦楽器はHD25-1の方が心地よい。金管楽器はHD280Proの方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまく、好みで分かれるところだろうが、低域が欲しいならHD25-1、明瞭さが欲しいならHD280Proだろう。使い分けるなら屋内と屋外が本来の姿なのだろうが、無理やりジャンルで使い分けるならロックはHD25-1、それ以外はHD280Pro。

HP-NC80
どちらもややドンシャリ。低域は、量的にはHP-NC80の方がやや多いが、HD25-1の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし厚みもかなりある。中域は、HP-NC80が低域の曇りに覆われるのに対して、HD25-1はそんなことはない。高域はHD25-1の方が金属的でやや高い音。分解能はHD25-1の方が上。音場感はHD25-1の方が明確。原音忠実性はHD25-1の方がかなり上。HD25-1の方が原音の粗や生っぽさをかなり感じさせる。HP-NC80の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHD25-1の方がやや上。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは、低域の曇りと味付けのせいでHP-NC80の方がやや上に感じられる。HD25-1の方がノリが良い。響きはHP-NC80の方が豊か。弦楽器はHD25-1の方がかなり原音の生っぽさを感じさせる傾向。HP-NC80の方が塗りつぶしたような質感のせいで心地よさを感じる面もあるが、原音とはかなり異なる。金管楽器はHD25-1の方がかなり力強い。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。低域の質感や音の厚みに差がある。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、余程HD25-1の原音忠実的な面を避けたいときだけHP-NC80。

K181DJ
HD25-1はややドンシャリ、K181DJは低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方がかなり量が多いし、低い音を鳴らす。中域はどちらも癖がなくはっきり聴こえてくる。K181DJの方がかなり低域の量が多い割には、低域に邪魔されず聴こえてくるのはある意味凄い。中高域はHD25-1の方が若干量が多いが、高域はK181DJの方がやや高い音を鳴らすし目立つ。分解能及び音場感はいずれもほぼ互角だが、どちらかと言えばHD25-1の方が良いか。原音忠実性はHD25-1の方が上。K181DJは低域が出すぎる。ただし、その点を除けば大差ないし、K181DJは低域の量が切り替えられるので、そうなると判断は微妙。K181DJの方が若干エッジがきつい上、低域の量が多く聴き疲れするが、低域の量が少ないソースならほとんど差はない。明瞭さ、音の鮮やかさはK181DJの方が上。厚みはどちらもかなりある。単純に厚みだけならHD25-1の方が上かもしれないが、音の圧力や低域の量でK181DJの方が勝っているため判断が難しいし、それほど差があるとは感じない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもこのタイプの機種にしてはかなりうまいと言って良いだろう。どちらも非常にノリが良い上、必要なだけの繊細さは持っている点は似ている。響きはK181DJの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角。それなりに心地よいが、繊細さにはやや欠ける。ただ、低域はK181DJがかなり過剰なため、基本的にはHD25-1の方が良いだろう。ただし、前述のとおりK181DJは低域の量が切り替えられるので、そうなると分からない。金管楽器はどちらも力強く聴きごたえがあるが、敢えて優劣をつけるならK181DJの方がやや鮮やかで良いだろう。打ち込み系の音の表現はどちらも非常にうまいが、低域の量が欲しいときはK181DJ、そうでもないときにはHD25-1だろう。基本的にはK181DJの方がやや派手で楽しめる。得意分野はHD25-1がロック、K181DJがポップス。ただし、どちらもロック、ポップスともに非常にうまいと言って良い。使い分けるなら、低域の量が欲しいときはK181DJ、そうでもないときにはHD25-1。或いは地味で無難な表現が欲しいときにはHD25-1、明るさや鮮やかさが欲しいときはK181DJという使い分けもありだろう。

K27i
HD25-1はややドンシャリ、K27iはかなり低音よりのドンシャリ。低域はK27iの方がかなり量が多いし、低い音を鳴らす。HD25-1はかなり締まった低域であるのに対して、K27iは締まりが感じられない。ただし、特別ぼやけているわけではない。中域はHD25-1の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、音の高さもK27iよりやや高い。これは、どちらかと言えばK27iが低めの音を鳴らすと言った方が適切かもしれない。高域は、HD25-1の方が若干高い音で、量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がかなり上。どちらもエッジはきつくないが、低域の量が多くこもり感が気になる分K27iの方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHD25-1の方が上。厚みはHD25-1の方がある。温かみはどちらもそれなりでほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方がやや良い。HD25-1の方がノリが良くかつ繊細。ただし、低域の量で押すという意味での迫力のようなものはK27iの方がある。響きはどちらも適度。弦楽器はHD25-1の方が繊細。金管楽器はHD25-1の方が力強い鳴らし方。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。音の厚み、低域の締まり、スピード感すべて上なのが効いている。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもHD25-1の方が良いだろう。

MDR-Z900
どちらもややドンシャリだが、MDR-Z900の方が低音より。低域はHD25-1は超低域がやや弱めの締まった低音、MDR-Z900は超低域まで容赦なく大音量で鳴らす物凄い低音。高域は、量はほぼ同量だが、MDR-Z900の方が一段高く細く硬い尖った音を鳴らす。HD25-1の方が中域が埋もれずに聴こえてくる。分解能、音場感はMDR-Z900の方がやや上。原音忠実性はHD25-1の方がやや上。MDR-Z900の方が尖った高域と物凄い低域で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHD25-1の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらもかなりノリが良い。響きはMDR-Z900の方がかなり豊か。どちらもこもり感が気になるが、HD25-1の方が超低域が弱めの上、切れが良いのでまだ気にならない。弦楽器、金管楽器ともにMDR-Z900の方がややうまい。ただしソースによってはかなり過剰な低域が気なる上、低域は低い音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。得意分野はどちらもロック。ただし、そのわりにはかなり違う音を鳴らしてくれるので、ロックが好きな人は両方持っていても損はないと思われる。ロックで使い分けるなら、締まった低域が欲しいならHD25-1、とにかく量が欲しいならMDR-Z900。ロック以外の曲を聴くのに使い分けるなら、打ち込み系の曲はHD25-1、それ以外はMDR-Z900か。ただし、MDR-Z900は低域が出すぎでNGという場合も多そうなので、ケースバイケース。全体的なバランスを考えれば、HD25-1の方がバランスが良い。

PX200
HD25-1はややドンシャリ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はHD25-1の方がかなり出る。中域はどちらも低域に埋もれたりはしないが、PX200の方がやや目立つ。高域は、量にはそれほど違いを感じないが、HD25-1の方がやや高い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方が上。特に音場はHD25-1の方が立体的で明確。音の実体感も段違い。エッジのきつさはほぼ同等だが、HD25-1の方が音に圧力があり聴き疲れする。明瞭さは低域が弱いことと線が細いことからPX200の方がやや上のように感じる。音の鮮やかさはHD25-1の方が上。厚みや密度はHD25-1の方がかなり上。温かみは低域がしっかり出る分HD25-1の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらかと言えばHD25-1の方が上。HD25-1の方がかなりノリが良い。PX200の方が線が細いのだが、密度が薄く粗も感じられるため、総合的な繊細さと言う意味ではHD25-1の方が良いように感じる。ただし、HD25-1単体で見るなら繊細ではなく圧倒的にノリの良さが全面に出てくる。響きはPX200の方が豊か。弦楽器はHD25-1の方が濃密で心地よい。金管楽器はHD25-1の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がかなりうまい。低域で質・量ともに勝っているし、厚みや圧力も素晴らしい。得意分野はHD25-1はロック、PX200はクラシック。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、HD25-1では低域が多すぎる場合や音の圧力を嫌う場合にはPX200。

ST-90
HD25-1はややドンシャリ。ST-90はかまぼこ。低域は厚み・量ともにHD25-1の方が圧倒的に上。それでいて中域もはっきり聴こえてくる。逆に、ST-90は低域の厚み・量ともにないのに、曇っているのが気になる。高域もHD25-1の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がかなり上。HD25-1の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、ノリの良さ、繊細さすべてHD25-1の方が上。響きはどちらも適度だがHD25-1の方がやや豊かか。弦楽器はHD25-1の方が繊細かつ心地よい。金管楽器もHD25-1の方が一段高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、低域の量だけでなく、厚み・切れ等どんな見方をしてもHD25-1の方が上のように感じる。ほとんど何を聴くにしてもHD25-1の方が良いように感じる。

TriPort
どちらもややドンシャリだが、HD25-1の方がフラット。超低域はTriPortの方がかなり出るが、低域はHD25-1の方がかなり出る。HD25-1の方が締まった低音。高域はTriPortの方がやや高く強い。TriPortの方が曇っているように感じる。HD25-1は曇りは感じられず、ストレートに音が届く感じ。分解能、原音忠実性はHD25-1の方がやや上。音場感はTriPortの方がやや上。ただし癖はある。どちらもそれほど聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHD25-1の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはTriPortの方が上。どちらもかなりノリが良い。響きはTriPortの方がかなり豊か。どちらもこもり感が気になるが、HD25-1の方が超低域が弱めの上、切れが良いのでまだ気にならない。弦楽器、金管楽器ともにTriPortの方が楽しめるが、原音に近いのはHD25-1だろう。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。得意分野はどちらもロックだが、ロックを聴くなら基本的にはHD25-1の方が良いように思う。HD25-1の装着感の悪さが苦にならない人は大抵の場合HD25-1の方がバランスよく聴けると思われるが、TriPortの方がかなり装着感が良い上に独特の音場感や豊かな低音等、HD25-1とは違った魅力があるのは確か。どちらもポップスやロック以外を聴くのには余り向かない。

Z headphones
どちらもややドンシャリだが、HD25-1の方が高音より。低域はZ headphonesの方が全体的にかなり出る。何を鳴らしても低めの音に感じる。高域はHD25-1の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方が上。どちらもエッジはきつくないのだが、Z headphonesは低域が強すぎて疲れるのに対してHD25-1はそれほどでもない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHD25-1の方が上。HD25-1の方がノリが良い。特にスピード感は雲泥の差。響きはZ headphonesの方が豊か。どちらもこもり感はあるが、HD25-1の方がまだまし。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHD25-1の方がうまい。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもHD25-1の方が良いと思われる。


・HD280Pro
ATH-SX1
どちらもかまぼこ。HD280Proの方がやや低音よりだが、かなり近い周波数特性。低域はHD280Proの方がややでる一方、高域はATH-SX1の方が若干出る。HD280Proの方が太い音で強い圧力を感じる。分解能はATH-SX1の方が若干良い。音場感はHD280Proの方がやや良い。どちらも非常に原音忠実だが、どちらか選ぶならATH-SX1か。HD280Proの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-SX1の方が上。厚み、密度はHD280Proの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD280Proの方が若干良い。響きはどちらも適度だが、どちらかと言えばHD280Proの方が豊か。弦楽器はHD280Proの方が濃い音で安心して聴ける。金管楽器はほぼ互角だが、どちらか選ぶならATH-SX1か。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、HD280Proの方が低音が出る分楽しく聴けるところはある。かなり似た機種なので使い分けるのは難しいが、聴き疲れの少ないATH-SX1をメインに、迫力が欲しいソースの時にはHD280Proを使うのがいいかもしれない。

HD215
HD215はかなりフラット、HD280Proはかまぼこ。低域はHD215の方が量があるが、音圧はHD280Proの方がある。中域はHD280Proの方が前に出てくる感じ。高域は質・量ともにかなり似ているが、HD215の方がやや粗く量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD280Proの方がやや上。HD280Proの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHD280Proの方が上。HD280Proの方が密度が濃く、安定した鳴らし方。ただし、バランスはHD215の方が多少良いようにも感じる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HD215の方が軽快である種のノリの良さはあるが、音圧はHD280Proの方があるので、ノリの良さを広義で考えた場合に、どちらがノリが良いかは微妙なところ。響きはHD215の方がやや豊か。こもり感はどちらもそれほど気にならない。弦楽器はHD280Proの方が低域の量が少ないにもかかわらず滑らかで心地よい。金管楽器はどちらも悪くない。HD280Proの方が原音に近く粗のないシンプルな音だが、HD215の方もそれはそれで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHD280Proの方が音圧と切れで勝っているが、低域の量が不満。ほとんど何を聴くにしてもHD280Proの方が良いように感じるが、HD215もバランスが良く軽快である点は魅力的なので、その長所を活かしたいところ。

HD25-1
HD25-1はややドンシャリ、HD280Proはややかまぼこ。個別に見るとそうなのだが、2台並べて比較するとHD25-1の方が全体的にやや低音よりなだけにも感じる。低域はHD25-1の方が量も厚みもある。高域はHD280Proの方がやや線が細く高い音を鳴らすように感じるが、量はほぼ互角。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD280Proの方が若干上。HD280Proの方がエッジがきつく聴き疲れする。HD25-1の方が音が太く、ストレートに伝わってくる感じ。明瞭さはHD280Proの方が若干上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みや密度はHD25-1の方がやや上。温かみはHD25-1の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはHD280Proの方がやや上。HD25-1の方がノリが良い。HD280Proは若干低域が不足に感じるし、モニター的な鳴らし方をする。響きはHD25-1の方が豊か。弦楽器はHD25-1の方が心地よい。金管楽器はHD280Proの方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまく、好みで分かれるところだろうが、低域が欲しいならHD25-1、明瞭さが欲しいならHD280Proだろう。使い分けるなら屋内と屋外が本来の姿なのだろうが、無理やりジャンルで使い分けるならロックはHD25-1、それ以外はHD280Pro。

HD590
HD280Proはかまぼこ、HD590はややドンシャリ。低音は圧倒的にHD590の方が出る。中域〜高域はほぼ同量だが若干HD590の方が出る。分解能、音場感はHD590の方が上、原音忠実性は若干HD280Proの方が上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、HD590の方がまだ疲れない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度はすべてHD280Proの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD590の方が上。ただ、ヴォーカルの艶っぽさの差はそれほど大きくない。ノリの良さはHD280Proの方が上。低域はHD590の方が出るのだが、スピード感が段違い。その代わり繊細さはHD590の方が上。響きはHD590の方がやや豊か。HD280Proの方が硬く芯の通った太い音。弦楽器はHD590の方が心地よい。金管楽器はほぼ互角だが、かなり違う鳴らし方。勢いのある音を求めるならHD280Pro、細く鮮やかな音を求めるならHD590。打ち込み系の音の表現はHD280Proの方がうまい。使い分けるならポップスはHD280Pro、それ以外はHD590。

SE-M870
HD280Proはかまぼこ、SE-M870はドンシャリ。超低域はSE-M870の方がかなり出るが、低域の厚みそのものはほぼ互角。高域はややSE-M870の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHD280Proの方が上。ただし、エッジがきつく聴き疲れする面もある。明瞭さはHD280Proの方がやや上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。HD280Proの方が芯の通った厚い音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方がやや良い上、ノリも良い。響きはSE-M870の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにHD280Proの方が原音に近いためやや良いように感じるが、単に楽しめるかどうかならほぼ互角。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、低音が出る分大抵のソースではSE-M870の方が良いように感じる。使い分けるならポップスはSE-M870、それ以外はHD280Pro。ただし、聴き疲れを考えると常用するのはつらい。

SE-MONITOR 10R
HD280Proはややかまぼこ、SE-MONITOR 10Rはややドンシャリ。低域、高域ともにSE-MONITOR 10Rの方が若干出る。中域はHD280Proの方がしっかり聴こえてくる。ただ、かまぼことドンシャリとは書いたがそれほどの差は感じられない。HD280Proはかまぼこと言うには低音が強いし、SE-MONITOR 10Rはドンシャリのわりには低音が弱めで高域が強いため。分解能はほぼ互角だがSE-MONITOR 10Rの方が芯の通った音で明瞭でもあるためやや良いように感じる。音場感はHD280Proの方がやや良い。HD280Proの方が原音忠実。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、HD280Proはやや濁りがあるため疲れ、SE-MONITOR 10Rは硬く芯が通りすぎで疲れるという違いがある。そのため、どちらが聴き疲れするかはソースによって違ってくる。明瞭さや音の鮮やかさはSE-MONITOR 10Rの方がある。どちらも厚みのある音を鳴らす。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD280Proの方が若干ある。響きはHD280Proの方が豊か。弦楽器はHD280Proの方が原音に近くしなやかで良い。金管楽器はSE-MONITOR 10Rの方が鮮やか。ただしソースによってはやや安っぽい音になる。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、どちらか選ぶならSE-MONITOR 10Rか。使い分けるなら、クラシックやジャズはHD280Pro、ポップスやロックはSE-MONITOR 10R。

T50RP
どちらもややかまぼこ。超低域はT50RPの方が出るが、低音の厚みはHD280Proの方がある。高域はHD280Proの方がかなり出る。分解能はHD280Proの方が上、音場はT50RPの方が広いが明確さという意味ではほぼ互角。HD280Proの方が原音忠実だが、エッジがきつく聴き疲れする。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてHD280Proの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、T50RPは生ぬるく、HD280Proはメリハリがある上での温かみ。ノリの良さならHD280Pro、繊細さならT50RP。響きはT50RPの方が豊か。弦楽器はT50RPの方が心地よいが、HD280Proの方が生っぽく良いという人も多そう。金管楽器や打ち込み系の音の表現はHD280Proの方が圧倒的に良い。使い分けるなら弦楽器はT50RP、それ以外はHD280Pro。


・HD435
HD497
どちらもやや低音よりだが、HD497の方がフラット。低域はHD435の方がかなり量が多く、柔らかい質感。中域はHD497の方が曇りなく聴こえてくる。高域はHD497の方が量は出るのだが、音の高さはHD435の方がやや高いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD497の方がやや上。HD497の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはHD497の方が上。厚みは質感が違うので比較が難しいが、それほど大きな差はないように感じる。温かみは低域が出る分HD435の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはHD497の方がやや上。HD497の方が繊細であり、軽快さも感じる。HD435は温かみはあるのだがどこか重く、切れもないし、曇りも気になる。響きはどちらも適度だが、HD435の方が豊かに感じやすい音調。弦楽器はHD435の方が心地よさはあるのだが、繊細さや澄んだ感じはHD497の方がかなり良い。金管楽器はHD497の方が鮮やかで前に出てくる。打ち込み系の音の表現はHD497の方がうまい。HD435は低域の量は多いのだが柔らかい質感が打ち込み系の音には合わないし、スピード感がない。得意分野はどちらもクラシックだが、HD497の方がポップス向きと言えよう。使い分けるなら、低域の量が欲しいときはHD435、それ以外はHD497。

HFI-15G
どちらも低音より。低域は全体的にはHD435の方が出るが、ソースによってはHFI-15Gの方が出るように感じることもある。中域はどちらも低域に引きずられている。高域はHD435の方が高い音を鳴らすし目立つ。分解能、音場感ともにHD435の方が若干良い。原音忠実性はほぼ互角。HD435の方がややエッジがきつい。明瞭さは低音が出ない分HFI-15Gの方が上のように感じるが、音の鮮やかさはHD435の方がやや上。厚みはどちらかと言えばHD435の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないところは良く似ている。響きはHD435の方がやや豊か。弦楽器はどちらも柔らかく心地よいが、曇っており澄んだ感じには欠ける。金管楽器はHD435の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくない。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら低域の量や高域の鮮やかさが欲しいときはHD435、そうでなければHFI-15Gか。

iGrado
どちらも低音より。全体的に、別メーカーの割には良く似ている。低域はどちらも柔らかくぼやけた感じな点が似ている。HD435の方がしっかり低い音、iGradoの方が薄くぼやけた音。中域はどちらも低域に負ける感じ。高域はHD435の方が細く高い音を鳴らすが、量的にはiGradoの方が多く、明るい。分解能および音場感はほぼ互角。原音忠実性は周波数特性の癖のなさからしてiGradoの方が若干良いが、これもあまり差はない。HD435の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、どちらかと言えばiGradoの方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばiGradoの方が上。ノリの良さならiGrado、繊細さならHD435。響きはiGradoの方がやや豊かだが、それでいて抜けも良い。弦楽器はどちらも心地よい感じの鳴らし方。どちらかと言えばHD435の方が繊細で安心して聴ける。金管楽器はiGradoの方が明るくて目立つ。ただ、音の高さ的にはHD435の方が高いように感じる。この2機種のもっとも分かりやすい違いはこの点だろう。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくない。切れやスピード感に欠ける。どちらか1台持っていれば十分な機種。

MUSIC SERIES ONE
HD435は低音より、MUSIC SERIES ONEは低音よりのドンシャリ。低域はHD435の方が若干低い音で、量はかなり多い。質感はどちらも柔らかく、似ている。中域はMUSIC SERIES ONEの方が曇りなくはっきり聴こえてくる。中高域から高域はかなり似ている。HD435の方が若干高い音だが、量はMUSIC SERIES ONEの方が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMUSIC SERIES ONEの方が若干良いように感じる。MUSIC SERIES ONEの方がややエッジがきついが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはMUSIC SERIES ONEの方が上。厚みもMUSIC SERIES ONEの方がある。温かみは低域が出る分HD435の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばMUSIC SERIES ONEの方が良い。MUSIC SERIES ONEの方がノリが良くかつ繊細。響きはMUSIC SERIES ONEの方がやや豊か。弦楽器は全体的にはMUSIC SERIES ONEの方が繊細で良いが、チェロ等の低域が欲しいときはHD435の方が良い。金管楽器はMUSIC SERIES ONEの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMUSIC SERIES ONEの方がややうまい。HD435は低域の量では勝っているのだが、スピード感に欠ける。得意分野はHD435がクラシック、MUSIC SERIES ONEがロック。ただし、別メーカーにしてはかなり似た音を鳴らす。使い分けるなら低域の量が欲しいときはHD435、それ以外はMUSIC SERIES ONEか。


・HD497
HD435
どちらもやや低音よりだが、HD497の方がフラット。低域はHD435の方がかなり量が多く、柔らかい質感。中域はHD497の方が曇りなく聴こえてくる。高域はHD497の方が量は出るのだが、音の高さはHD435の方がやや高いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD497の方がやや上。HD497の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはHD497の方が上。厚みは質感が違うので比較が難しいが、それほど大きな差はないように感じる。温かみは低域が出る分HD435の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはHD497の方がやや上。HD497の方が繊細であり、軽快さも感じる。HD435は温かみはあるのだがどこか重く、切れもないし、曇りも気になる。響きはどちらも適度だが、HD435の方が豊かに感じやすい音調。弦楽器はHD435の方が心地よさはあるのだが、繊細さや澄んだ感じはHD497の方がかなり良い。金管楽器はHD497の方が鮮やかで前に出てくる。打ち込み系の音の表現はHD497の方がうまい。HD435は低域の量は多いのだが柔らかい質感が打ち込み系の音には合わないし、スピード感がない。得意分野はどちらもクラシックだが、HD497の方がポップス向きと言えよう。使い分けるなら、低域の量が欲しいときはHD435、それ以外はHD497。

HD595
どちらもやや低音よりだが、どちらかというとHD497の方がやや高音より。低音はHD595の方が出るし、高音はHD497の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD595の方がやや上。HD497の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHD497の方がやや上、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD595の方がやや上。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っているが、HD595の方がノリの良さにしろ繊細さにしろ若干上。響きはどちらも適度だが、どちらかといえばHD595の方が豊か。弦楽器はHD595の方が安定した心地よい音を鳴らす。金管楽器はHD497の方が一段高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音とはHD497の方が相性が良い。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲はHD497、それ以外はHD595。ただし、HD595の方がかなり完成度が高いので、何を聴くにしても良いと言う人もいるだろう。

K101
どちらもやや低音よりだが、超低域はHD497の方がかなり出る。中域〜高域はほぼ互角。分解能、音場感ともにHD497の方が良い。原音忠実性はHD497の方がやや上だが、生の粗っぽさはK101のほうがある。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとK101の方が芯が通っていてしかも粗のある音で疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD497の方が上。K101はノリが良いわけでも繊細なわけでもないという印象を受けるが、HD497はノリの良さと繊細さを両立しているように感じる。K101は芯が通っているわりに超低域が不足していること等から、スカスカした感じがする。響きはHD497の方がやや豊か。K101の方が感度が低いためどうしてもボリュームを上げなければならず、ホワイトノイズが非常に気になる。弦楽器、金管楽器ともにHD497の方が魅力的。打ち込み系の音の表現もHD497の方がうまい。得意分野はHD497がクラシック、K101がポップス。ほとんど何を聴くにしてもHD497の方が良いように感じるが、あえてK101を使うなら芯の通った硬い感じが欲しいときくらいか。

RP-HT770
どちらもやや低音より。超低域はHD497の方が出るが、厚みは互角でどちらも程々。高域はHD497はそれなりに聴こえてくるがRP-HT770はあまり聴こえてこない。分解能はHD497の方が上、音場感はほぼ互角。HD497の方が圧倒的に原音に近く自然で魅力的。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、RP-HT770の方が曇っている分聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてHD497の方が上。HD497の方がノリが良くそれでいて繊細。響きはHD497の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにHD497の方が魅力的。弦楽器は生っぽさにはやや欠けるものの自然で伸びが良く温かみにあふれている。金管楽器にはSENNHEISERにありがちな曇った感じはなく、鮮やかで高い音を鳴らしてくれる。RP-HT770が曇っているため余計そう感じるのかもしれないが。打ち込み系の音の表現はHD497の方がうまい。得意分野はHD497がクラシック、RP-HT770がポップスだが、何を聴くにしてもHD497の方が上。使い分ける必要はない。

UR/40
HD497はやや低音より、UR/40はややドンシャリ。超低域〜低域はかなり近い感じだが、若干UR/40の方が出るか。高域〜超高域もUR/40の方がやや出る。分解能はHD497の方が若干上、音場感はUR/40の方がやや広い上に明確。HD497の方が原音に近い。UR/40は原音忠実は気にしていない音作り。どちらもエッジはきつくないが、HD497の方がややマイルドで聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、UR/40の方が若干良いか。厚み、密度はHD497の方が上。温かみはHD497の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さならUR/40、繊細さならHD497だが、どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っている。響きはHD497の方がやや豊か。弦楽器はHD497の方が滑らかな質感で伸びが良く魅力的。金管楽器はほぼ互角。どちらも非常に鮮やかで元気の良い音。打ち込み系の音の表現はUR/40の方がややうまい。まったく違う音調のこの2機種だが、ソースによっては非常に近い音を鳴らしたりする不思議な一面もある。HD497は超低域まで出て温かみにあふれているのに曇っている感じはしない。UR/40はサラサラした独特の感触が魅力。得意分野はHD497がクラシック、UR/40がポップスだが、どちらも何でもそこそこ聴ける。使い分けるならクラシックとジャズはHD497、ポップスとロックはUR/40。どちらも非常にコストパフォーマンスの良い機種。


・HD590
DT770PRO
DT770PROの方が高域が強く、超低域が弱い。低域の厚みそのものはDT770PROの方がある。分解能、音場感は両機種ともやや不満に感じる部分はあるが、致命的ではないレベル。DT770PROは当然密閉型特有のこもり感があるが、HD590はない。両機種ともやや刺激的として知られるが、それは各メーカーの標準から見たらそうなると言う話で、絶対的な見方でエッジのきつさ等から刺激的なのはDT770PROと言える。HD590の方がホワイトノイズが大きい。DT770PROの方が明瞭さはあるが、温かみや音そのものの自然さ、ヴォーカルの艶っぽさでは負ける。音の密度や鮮やかさではDT770PROの方が一枚上手。ヴォーカル曲はどちらもサ行の音等が痛く感じることがある。トランペットやシンバルなどの高音は、HD590はSENNHEISERのなかでは美しい方だがDT770PROはさらにその上を行くように感じる。ただ、同じ金管楽器でもホルンのような低音のものはHD590の方がふくよかで良いようだ。弦楽器や打楽器はHD590の方が総じて良い。特に低音の抜けの違いは大きい。ただ、ギターの高域などはDT770PROの方が一段高い音に聴こえ、刺激が強い。打ち込み系の音は両機種ともなかなか刺激的で面白い音を鳴らしてくれる。この2機種を使い分けるならジャズやブラスならDT770PRO、それ以外ではHD590という感じになるだろうか。

HD280Pro
HD280Proはかまぼこ、HD590はややドンシャリ。低音は圧倒的にHD590の方が出る。中域〜高域はほぼ同量だが若干HD590の方が出る。分解能、音場感はHD590の方が上、原音忠実性は若干HD280Proの方が上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、HD590の方がまだ疲れない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度はすべてHD280Proの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD590の方が上。ただ、ヴォーカルの艶っぽさの差はそれほど大きくない。ノリの良さはHD280Proの方が上。低域はHD590の方が出るのだが、スピード感が段違い。その代わり繊細さはHD590の方が上。響きはHD590の方がやや豊か。HD280Proの方が硬く芯の通った太い音。弦楽器はHD590の方が心地よい。金管楽器はほぼ互角だが、かなり違う鳴らし方。勢いのある音を求めるならHD280Pro、細く鮮やかな音を求めるならHD590。打ち込み系の音の表現はHD280Proの方がうまい。使い分けるならポップスはHD280Pro、それ以外はHD590。

HD595
周波数特性はかなり近いが、HD595の方がフラットで薄い低音が支配する感覚が少ない。分解能と音場感はいずれもHD595の方が若干良いように感じる。HD595の方がエッジがきつくなく、ホワイトノイズも小さく、聴き疲れしない。ヴォーカルの艶っぽさや温かみはほぼ互角だが、HD595の方がサ行の音等のきつさがなく聴きやすい。HD590の方が響き豊か。HD595の方が明瞭で繊細、HD590の方がノリが良い。金管楽器、弦楽器、打楽器いずれもかなり近い鳴らし方だが、ギターの高音はHD595の方がかなり高く、beyerdynamicに近い印象を受けた。打ち込み系のしゃきっとした音はHD595の方がエッジがきついわけでもないのにきれいに鳴らしてくれる。全体的に非常に近い音を鳴らす両機種だが、何を聴くにしてもHD595の方が若干向いているように感じた。ただ、HD590はSENNHEISERのなかでは刺激的であるという位置付けは残った形になったため、使い分けはできるかもしれない。

HD650
HD650は低音よりながらかなりフラット、HD590はHD650と比べてドンシャリ。超低域はHD590の方が出るが、厚みは同等。高域は若干HD590の方が出るようだ。ただし、そうは言っても多少不足には感じる。分解能、音場感、原音忠実性はHD650の方が上。HD590の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等はほぼ互角。厚み、密度、情報量はHD650の方が上。HD590はHD650と比べると刺激的でありながら、ソースによってはやや曇りがあるように感じられる。HD650の方が落ち着いて音程感があるが、HD590の方が明るく軽快という見方も出来る。HD590の方がノリの良く、HD650の方が繊細。響きはHD650の方が豊か。弦楽器はHD650の方が自然で伸びが良く心地よい。最高レベル。金管楽器はHD590の方が刺激があり楽しめるが、好みが分かれるかもしれない。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。基本的にはHD650だけあればいいが、HD590はSENNHEISERの中では非常に刺激的で鳴りっぷりが良く、ブラスや女性ヴォーカルがなかなか楽しめるので、SENNHEISERの音作りが好きな人は2台とも持っていても良いかもしれない。


・HD595
ATH-AD2000
どちらもかなりフラットだが、HD595の方がやや低音より。低域はどちらも薄い感じだが、HD595の方が全体的に出る。高域はほぼ互角だが、HD595の方が若干出るか。HD595はSENNHEISERにしてはかなり高音より、ATH-AD2000はaudio-technicaにしてはかなり高音がおとなしい。分解能、音場感はややATH-AD2000の方が良いが、耳の近くで音がなっているのが気になる。価格ほどの差は感じない。ATH-AD2000の方が若干原音に近い。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、ATH-AD2000の方がやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-AD2000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD595の方がやや良い。どちらもノリが良いというよりは繊細だが、どちらかと言えばATH-AD2000の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらも伸びが良く非常に心地よく楽しめる。それでいて金管楽器もなかなか鮮やかに鳴らしてくれる。弦楽器も金管楽器も好みのレベルだろう。甲乙つけがたい。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方がややうまい。HD595の方が透明感のある柔らかい音、ATH-AD2000の方が芯の通った硬い音。どちらも非常にオールマイティーなので、折角ならオーケストラ等の能力を存分に発揮できる曲を聴くのに使いたい。使い分けるなら、基本的にはATH-AD2000を使い、温かみが欲しいときにはHD595を使えば良いと思われる。

DR150
DR150はややドンシャリ、HD595はやや低音より。低域は質・量ともに非常に良く似ているが、DR150の方が若干低い音を鳴らす。また、どちらもやや曇りのようなものを感じるが、DR150の方が曇りが少ないように感じる。中域はどちらもおとなしいが低域に埋もれることはない。高域はDR150の方がかなり高く、量も多い。分解能はほぼ互角。音場感は若干HD595の方が良いように感じる。原音忠実性はDR150の方が若干良いように感じる。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。サ行の音等もやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはDR150の方が上。厚みはDR150の方がある。温かみはHD595の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、サ行が多少痛くてもいいならDR150の方が良いだろう。ノリの良さならDR150、繊細さならHD595。響きはほぼ互角。DR150の方がやや細部に粗があるように感じるが、これはHD595のSENNHEIERらしいマイルドさによるところも大きいだろう。弦楽器はHD595の方が繊細で心地よいが、チェロ等の低域やヴァイオリンの澄んだ感じが欲しいときはDR150の方が良いだろう。金管楽器はDR150の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもそれほど得意ではないが、どちらかと言えばDR150の方が良いように感じる。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、高域が欲しいときにはDR150、粗を嫌うならHD595。

HD497
どちらもやや低音よりだが、どちらかというとHD497の方がやや高音より。低音はHD595の方が出るし、高音はHD497の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD595の方がやや上。HD497の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHD497の方がやや上、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD595の方がやや上。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っているが、HD595の方がノリの良さにしろ繊細さにしろ若干上。響きはどちらも適度だが、どちらかといえばHD595の方が豊か。弦楽器はHD595の方が安定した心地よい音を鳴らす。金管楽器はHD497の方が一段高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音とはHD497の方が相性が良い。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲はHD497、それ以外はHD595。ただし、HD595の方がかなり完成度が高いので、何を聴くにしても良いと言う人もいるだろう。

HD590
周波数特性はかなり近いが、HD595の方がフラットで薄い低音が支配する感覚が少ない。分解能と音場感はいずれもHD595の方が若干良いように感じる。HD595の方がエッジがきつくなく、ホワイトノイズも小さく、聴き疲れしない。ヴォーカルの艶っぽさや温かみはほぼ互角だが、HD595の方がサ行の音等のきつさがなく聴きやすい。HD590の方が響き豊か。HD595の方が明瞭で繊細、HD590の方がノリが良い。金管楽器、弦楽器、打楽器いずれもかなり近い鳴らし方だが、ギターの高音はHD595の方がかなり高く、beyerdynamicに近い印象を受けた。打ち込み系のしゃきっとした音はHD595の方がエッジがきついわけでもないのにきれいに鳴らしてくれる。全体的に非常に近い音を鳴らす両機種だが、何を聴くにしてもHD595の方が若干向いているように感じた。ただ、HD590はSENNHEISERのなかでは刺激的であるという位置付けは残った形になったため、使い分けはできるかもしれない。

HFI-2200ULE
HD595はやや低音より、HFI-2200ULEはややドンシャリ。低域はかなり出方が違う。HD595はローエンドまでフラットな印象だが、HFI-2200ULEは山と谷がある。HFI-2200ULEの方が一段低い音を鳴らすし、厚みも上。高域はHFI-2200ULEの方がかなり出る。分解能は正直判断に困るが、音が滑らかな分HD595の方が不利なように感じる。単純な比較はできない。音場感は、ULTRASONE独特の癖があるもののHFI-2200ULEの方が上。原音忠実性はHD595の方が上。HFI-2200ULEの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-2200ULEの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD595の方が上。ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならHD595。響きはほぼ互角だが、どちらかと言えばHFI-2200ULEの方が豊か。弦楽器はHD595の方が滑らかで心地よく癖がない。金管楽器はHFI-2200ULEの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がうまいように感じる。使い分けるなら、刺激を求める場合にはHFI-2200ULE、心地よさを求める場合にはHD595といった感じか。無難で癖がないのを求めているなら間違いなくHD595。

HD650
音域傾向は非常に似ているが、HD650の方がやや低域が厚い。中域〜高域は若干HD595の方が出るようだが、質はHD650の方が上。分解能、音場感ともにHD650の圧勝。原音に近いのもHD650だろう。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、意外なことにHD650の方がややエッジがきつい。明瞭さはほぼ互角。低域が出ない分HD595の方が明瞭に感じる部分もあるが、HD650はそのぶん分解能が高いため。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD650の方が一段上。ノリの良さという見方ではほぼ互角だが、繊細さという見方ではHD650の方が良い。音の響きはどちらも適度で必要量はある。弦楽器、金管楽器いずれもHD650の方が一段上の表現力。HD650の方が音に厚みがあり、分解能・音場感ともに優れているため、何を聴くにしてもHD650の方が良いが、HD650の低域が出すぎと言う人にはHD595の薄さが丁度良いかもしれない。

HP1000
HP1000はややドンシャリ、HD595はやや低音より。低域はどちらも超低域までしっかり出るが、どちらかというとHD595の方が強めなようだ。高域はHP1000の方がかなり出る。分解能はほぼ互角、音場感や原音忠実性はHD595の方がやや良い。HP1000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはどちらもいまいちだが、若干HD595の方が良いか。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも非常に良いが、若干HP1000の方が勝っている。どちらもノリが良いというよりは繊細。響きはHP1000の方が豊か。弦楽器はどちらも非常に心地よく楽しめるが、どちらか選ぶならHD595か。金管楽器はHP1000の方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHD595の方がやや得意。得意分野はHP1000はジャズ、HD595はポップス。使い分けるならポップスや弦楽器メインの曲はHD595、それ以外はHP1000。


・HD650
ATH-AD2000
HD650の方がやや低音より。分解能、音場感ともにHD650の方が良い。どちらも原音忠実路線と言うよりは魅力的でしかも聴き疲れしないように味付けしてあるが、強いて言えばHD650の方が原音にやや近いように感じる。どちらもエッジはきつくなく非常に聴きやすいが、どちらかと言えばHD650の方が聴きやすい。明瞭さではATH-AD2000の方がやや上。ただし、これはHD650の方が低音が出る分どうしてもそう感じるだけで、低域のないソースではほぼ互角。どちらもあまり明瞭とは言えない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD650の方が一歩勝っているが、どちらも非常に良いレベル。ノリの良さはほぼ互角だが、HD650の方が低域に厚みがありノリが良いと感じることが多い。低域が余り必要のないソースで、しかも打ち込み系の場合には逆転する。響きはどちらも適度だが、HD650の方がやや豊か。弦楽器は全音域に渡りHD650の方が良いが、金管楽器はほぼ互角か、ソースによっては若干ATH-AD2000の方が良いように感じる。使い分けるなら、ポップスはATH-AD2000、それ以外はHD650が良いだろう。

HD590
HD650は低音よりながらかなりフラット、HD590はHD650と比べてドンシャリ。超低域はHD590の方が出るが、厚みは同等。高域は若干HD590の方が出るようだ。ただし、そうは言っても多少不足には感じる。分解能、音場感、原音忠実性はHD650の方が上。HD590の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等はほぼ互角。厚み、密度、情報量はHD650の方が上。HD590はHD650と比べると刺激的でありながら、ソースによってはやや曇りがあるように感じられる。HD650の方が落ち着いて音程感があるが、HD590の方が明るく軽快という見方も出来る。HD590の方がノリの良く、HD650の方が繊細。響きはHD650の方が豊か。弦楽器はHD650の方が自然で伸びが良く心地よい。最高レベル。金管楽器はHD590の方が刺激があり楽しめるが、好みが分かれるかもしれない。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。基本的にはHD650だけあればいいが、HD590はSENNHEISERの中では非常に刺激的で鳴りっぷりが良く、ブラスや女性ヴォーカルがなかなか楽しめるので、SENNHEISERの音作りが好きな人は2台とも持っていても良いかもしれない。

HD595
音域傾向は非常に似ているが、HD650の方がやや低域が厚い。中域〜高域は若干HD595の方が出るようだが、質はHD650の方が上。分解能、音場感ともにHD650の圧勝。原音に近いのもHD650だろう。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、意外なことにHD650の方がややエッジがきつい。明瞭さはほぼ互角。低域が出ない分HD595の方が明瞭に感じる部分もあるが、HD650はそのぶん分解能が高いため。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD650の方が一段上。ノリの良さという見方ではほぼ互角だが、繊細さという見方ではHD650の方が良い。音の響きはどちらも適度で必要量はある。弦楽器、金管楽器いずれもHD650の方が一段上の表現力。HD650の方が音に厚みがあり、分解能・音場感ともに優れているため、何を聴くにしてもHD650の方が良いが、HD650の低域が出すぎと言う人にはHD595の薄さが丁度良いかもしれない。

K701
HD650はやや低音より、K701はかなりフラット。低域はHD650の方が厚み・量ともにある。中域はK701の方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけでなく、HD650よりやや高い音を鳴らすため。中高域はHD650の方が若干量が多いように感じるが、微妙な差。高域はK701の方が若干多いように感じるが、これも微妙。量よりも質感の違いの方が大きい。HD650の方が硬く金属的、K701の方が細い。分解能はほぼ互角。低域の多いソースではK701の方が良く感じるだろうが、そうでなければHD650の方が良く感じる。細部の描写はHD650の方がやや上のように感じる。音場感はHD650の方がやや上。立体感があり明確。原音忠実性はどちらも良いが、メーカー独自の味付けを感じさせる点は良く似ている。HD650は心地よくそれでいて力強く、K701はあくまで繊細さを第一にしている印象。どちらもエッジはきつくないが、どちらかと言えばHD650の方がきつい。特にサ行の音等では差が出る。明瞭さはK701の方が上。これは低域がやや弱めなことと線の細さからきていると思われる。音の鮮やかさはHD650の方が上。厚みはHD650の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD650の方がやや上だが、K701も十分なものを持っている。どちらかと言うと、この点はHD650が味付けしすぎなのだろう。どちらもノリの良さと繊細さを高いレベルで両立しているが、ノリの良さならHD650、繊細さならK701。響きはHD650の方が豊か。弦楽器はどちらも非常にうまい。チェロ等を心地よく聴きたいならHD650、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならK701。HD650の方が厚手で滑らか、K701の方が線が細く繊細。金管楽器はHD650の方が金属的で力強く鮮やか。K701も悪くは無いが、HD650と比べるとどこか物足りない。ただ、シンバル等の鳴らし方はコンデンサー型のような鳴らし方を好むならK701の方が合うだろう。この辺りは好みで変わってくると思われる。打ち込み系の音の表現はHD650の方がうまい。低域の量や音の厚み・密度で勝っている点が有利。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときはHD650、そうでもないときはK701。クラシックに限るなら、オーケストラはHD650、室内楽はK701。力強さを重視するならHD650、繊細さを重視するならK701。どちらもかなりバランスの良い機種なので、聴く人やソースによって使い分け方も様々だろう。

SR-007+SRM-717
HD650はやや低音より、SR-007+SRM-717はかなりフラット。低域はHD650の方が全体的に量が多いし、低い音を鳴らすように感じる。中域はSR-007+SRM-717の方がはっきり聴こえてくる。中高域から高域はSR-007+SRM-717の方が細く高い鳴らし方で、量も多い。分解能はSR-007+SRM-717の方が上。音の分離でも微細な表現でも勝っている。音場感はどちらも非常に広く立体的で明確。ただ、やはり定点駆動のHD650と比べて全面駆動のSR-007+SRM-717の方が音の鳴り口が広く、一段有利なように感じる。原音忠実性は微妙。HD650はSENNHEISERらしいマイルドな味付けだし、SR-007+SRM-717はコンデンサー型特有の質感。ただ、原音の粗や生っぽさを考えるならHD650の方が原音忠実と言って良いだろう。SR-007+SRM-717の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-007+SRM-717の方が上。厚みはHD650の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも素晴らしいが、温かみならHD650、ヴォーカルの艶っぽさならSR-007+SRM-717の方が上。ダイナミック型は力強く、コンデンサー型は繊細というような表現が良くされるが、この2機種についてもそれは当てはまる。HD650は繊細ながらも意外と力強さを持っているのに対して、SR-007+SRM-717はHD650以上に繊細で透明感に溢れている。響きはHD650の方が豊か。弦楽器は基本的にはSR-007+SRM-717の方が繊細で良いが、チェロ等の低域の量感を楽しみたいならHD650の方が向いているだろう。金管楽器はSR-007+SRM-717の方が高く鮮やかだが、HD650の方が金属的で力強い鳴らし方なので、好みによって評価が別れるだろう。打ち込み系の音の表現はどちらも微妙。ノリの良さや厚みや圧力ではHD650に分があるのだが、明るさや鮮やかさではSR-007+SRM-717に分がある。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域の量感や温かみを求めるならHD650、明瞭さや音の鮮やかさを求めるならSR-007+SRM-717。あるいは、基本的にはSR-007+SRM-717で、力強さや温かみが欲しいときやコンデンサー型特有の質感を嫌うならHD650。

SRS-4040
HD650はやや低音より、SRS-4040はやや高音より。低域は厚み・量ともにHD650の方がかなりある。中域はSRS-4040の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はHD650の方がやや量が多く金属的な鳴りに感じる。SRS-4040の方が線が細い。こうして見ると、この2機種を比較した場合にはHD650の方がドンシャリという表現をした方が良いのかもしれない。ただ、高域の違いは質的なもので、全体的に見て低域ほど明確な差は無い。分解能、音場感ともにSRS-4040の方がやや上。分解能は低域に邪魔されない上に線の細いSRS-4040の方が上に感じる。音の細部の描写も上だろう。音場感は、平面的な広さや明確さは全面駆動型のSRS-4040に分があるが、立体感ではHD650も負けていない。原音忠実性は微妙。どちらも基本的には原音に近い音を鳴らしながら、音楽鑑賞に適した味付けがされている点は似ている。HD650は音を丸めて心地よさを増しているのに対して、SRS-4040は低域をやや控え目にした上で線の細さを上げている。どちらもエッジはきつくなく非常に聴きやすい。ただし、どちらもサ行の音等は若干気にはなる。明瞭さはSRS-4040の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHD650の方がかなりある。温かみはHD650の方がかなり上、ヴォーカルの艶っぽさはどちらも非常に良いが、どちらかと言えばSRS-4040の方が良い。どちらも繊細だが、HD650の方が力強く、SRS-4040の方が線が細く繊細。この辺りはダイナミック型とコンデンサー型の違いが非常に明確に出ている印象。響きはHD650の方が豊か。弦楽器はどちらもうまい。チェロ等の低域を楽しみたいならHD650、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならSRS-4040。金管楽器は、力強さを求めるならHD650、細部の表現力を求めるならSRS-4040。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、低域が出る上に力強く音も太いHD650の方が合うように感じる。ただ、シャープな鳴りを求めるならSRS-4040の方が良いだろう。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、分解能や音場感が欲しい場合や特に室内楽等のクラシックはSRS-4040、それ以外はHD650か。或いは低域が欲しい場合はHD650、それ以外はSRS-4040という使い分けも有りだろう。


・HDS-701
AU-618
どちらもかまぼこ。低域はどちらも不足に感じるが、HDS-701の方が若干出るようだ。高域もHDS-701の方が出る。つまり、全体的に見てHDS-701の方がフラットと言える。分解能、音場感、原音忠実性すべてHDS-701の方がやや上。HDS-701の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHDS-701の方が上。HDS-701の方がノリが良くしかも繊細。AU-618は低域が出ないわりには曇っているように感じるのに対して、HDS-701はそんなことはない。弦楽器はほぼ互角の表現力。金管楽器や打ち込み系の音の表現はHDS-701の方がややうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHDS-701の方が良いだろう。

HP430
どちらもかまぼこだが、HP430の方が低音より。HP430の低域は必要最低限は出るが、HDS-701は必要量に満たない感じ。高域はHDS-701の方が高く細い。分解能、音場感ともにHDS-701の方が上。原音忠実性は判断に困るところ。HDS-701は中域から中高域に癖があるし、HP430は低域が不自然。HDS-701の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHDS-701の方がやや上。厚み、温かみはHP430の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはHDS-701の方が上。。響きはHP430の方が豊か。HP430はやや曇りが気になるが、HDS-701はまったく気にならない。弦楽器はHP430の方が心地よいが、線の細さを求めるならHDS-701の方が上。金管楽器はHDS-701の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は低域が出ることもありHP430の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域が不要な場合にはHDS-701、それ以外はHP430。

K24P
HDS-701は高音よりのかまぼこ、K24Pはややドンシャリ。低域はK24Pの方がかなり量が多い。中域は、HDS-701はやや癖がある上に低域の量が少ないこともあってはっきり聴こえてくるのに対して、K24Pは癖が無く低域の量にやや負け気味。高域はK24Pの方がややとがっていて目立つが、全体的な量としては大差ない。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。音の分離はHDS-701の方が若干良いように感じるが、K24Pの方が密度が高く細部までしっかり表現してくれる。HDS-701は中域に癖があるのに対して、K24Pは低域・高域にやや癖がある。K24Pの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さは低域が少ない分HDS-701の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはK24Pの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK24Pの方がやや上。K24Pの方がドンシャリでノリが良いように感じるが、スピード感としてとらえるならHDS-701もさほど劣っていない。繊細さは、HDS-701の方が音が薄く粗いのを除けば、ほぼ互角に感じる。響きはK24Pの方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の量と、音の密度だろう。K24Pの方が低域の量が多くしっかりと音楽を支えてくれるし、密度も高く一つ一つの楽器の実体感のようなものが上。弦楽器はK24Pの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまい。癖のない素直な表現を求めるならHDS-701、力強さを求めるならK24P。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くは無いのだが、欠点がある。HDS-701は低域の量が不足、K24Pは低域の締まりのない質感が不満。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはK24P、K24Pでは低域の量が多すぎる場合にはHDS-701。

MGD-01
どちらも高音よりのかまぼこ。低域はHDS-701の方が出る。中域はMGD-01の方が低域に邪魔されないし、うわずった音ではっきり聴こえてくる。高域はMGD-01の方が量が多く金属的だが、かなり粗があるように感じる。分解能はHDS-701の方が上。音場感はHDS-701の方が広く明確。原音忠実性はHDS-701の方がかなり上。HDS-701はMGD-01のように違和感や粗のある音でははない。エッジのきつさはほぼ互角だが、MGD-01の方が粗のある音を耳のすぐ近くで鳴らす感じで疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMGD-01の方が上。厚みはMGD-01の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHDS-701の方が上。HDS-701の方がノリが良くかつ繊細。響きはMDG-01の方が豊か。弦楽器はHDS-701の方がうまい。MGD-01は繊細さや心地よさがまったく感じられない。金管楽器はHDS-701の方が金属的で鮮やかだが、粗や違和感が気になることにかわりはない。打ち込み系の音の表現は音の質感はMGD-01の方が合うが、低域がまったく出ないことと粗が気になるため、普通はHDS-701の方が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはHDS-701、粗や違和感があってもいいから明るく鳴らして欲しいならMGD-01。

SE-F3
どちらもかまぼこだが、低域・高域ともにHDS-701の方が若干強い。分解能、音場感、原音忠実性(自然さ)すべてHDS-701の方が若干上。HDS-701の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度はHDS-701の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。響きはどちらもややあっさり。HDS-701の方が芯の通った圧力のある音。SE-F3の方が粗が気になる。弦楽器はHDS-701の方が繊細で且つ心地よい。金管楽器、打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はどちらもポップス。使い分けは微妙だが、基本的にはHDS-701の方がいいだろう。


・HE580
A8
A8はやや高音よりのかまぼこ、HE580はやや低音より。低域はHE580の方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はA8の方がやや高めの音で低域の邪魔もないためはっきり聴こえる。高域はA8の方がやや細く高く、量も若干多い。分解能及び原音忠実性はA8の方がかなり良い。音場感は若干A8の方が良いように感じる。A8の方がエッジがきついが、絶対値的にはまったく問題ないレベルで、特に聴き疲れもしない。明瞭さ、音の鮮やかさはA8の方がかなり上。厚みは比較しにくい。A8が線の細い硬めの音であるのに対して、HE580は線の太い音。温かみは低域が出る分HE580の方が感じれる。ヴォーカルの艶っぽさはA8の方が上。ノリの良さならHE580、繊細さならA8。響きはA8の方がやや豊か。弦楽器はA8の方が圧倒的に繊細だが、チェロ等の低域が欲しい場合には物足りないだろう。金管楽器はA8の方が高く鮮やかだが、力強さと言う点ではHE580もなかなかのものを持っている。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、一長一短な面もある。A8は硬い質感は合うのだが線の細さと低域不足は合わないし、HE580は低域の量と音の太さは合うのだが切れに欠ける。使い分けるなら、基本的にはA8で、A8では低域が足りないときにはHE580だろう。

Bose in-ear headphones
Bose in-ear headphonesは低音より、HE580はやや低音より。低域はBose in-ear headphonesの方がかなりぼやけて量が多い。中域はHE580の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はどちらも目立たないが、HE580の方がかなり量が多い。全体的に、Bose in-ear headphonesは低音しか聴こえてこないが、HE580は低音よりとは言えそれなりにバランス良く聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHE580の方が上。HE580の方がエッジがきついが、Bose in-ear headphonesはあまりに低音が多すぎて疲れる面があるため、どちらが聴き疲れするかは人によって違ってくるだろう。また、HE580にしても、一般的に見てエッジがきつすぎるということはない。明瞭さ、音の鮮やかさはHE580の方が上。厚みは低音が出る上ぼやけた音を鳴らすBose in-ear headphonesの方があるように感じがちだが、そういう点を考慮して聴くと、むしろHE580の方が厚みがあるように感じる。温かみも同様で、Bose in-ear headphonesの方があるように感じがちだが、実際にはあまり違いはないだろう。ヴォーカルの艶っぽさはHE580の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHE580の方が上。Bose in-ear headphonesに決定的に欠けている締まりや線の細さが、HE580には多少なりとも感じられるため。響きは、低域はBose in-ear headphonesの方が豊か、それ以外はHE580の方が豊か。弦楽器はHE580の方が繊細で良い。Bose in-ear headphonesは生楽器らしさがまったく感じられない。金管楽器はHE580の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。Bose in-ear headphonesは低音の量が多いだけで、締まりやスピード感に欠ける。使い分けるなら、基本的にはHE580、よほど低音が欲しいときだけBose in-ear headphones。

K14P
HE580はやや低音より、K14Pはややドンシャリ。低域はHE580の方がかなり低い音で量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はK14Pの方が一段高く細く硬い音を鳴らす。HE580はそれほど高域が目立たないが、K14Pはそれなりに目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてK14Pの方が若干良いように感じるが、さほど差はない。K14Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK14Pの方がやや上。厚みはHE580の方がある。温かみは低域が出る分HE580の方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはK14Pの方が良い。ノリの良さならHE580、繊細さならK14P。ただ、K14Pにしても特別繊細というわけではなく、HE580と比べると線が細く一聴して繊細な印象を受けるという程度。響きはK14Pの方がやや豊か。HE580の方が線が太く安定した音。弦楽器は低域が出る分HE580の方が心地よいが、繊細さはK14Pの方がある。金管楽器はK14Pの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。低域が出るし、音の太さや圧力もマッチしている印象。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら低域が欲しいときや線の太い音が欲しいときはHE580、高域が欲しいときや線の細い音が欲しいときはK14Pか。

MDR-E888LP
HE580はやや低音より、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はHE580の方がかなり低い音で存在感があるが、量そのものは大差ない。中域はMDR-E888LPの方がはっきり聴こえてくる。高域はMDR-E888LPの方が細く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E888LPの方がやや上。MDR-E888LPの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-E888LPの方が上。厚みはHE580の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。ノリの良さならHE580、繊細さならMDR-E888LP。響きはMDR-E888LPの方が豊か。弦楽器はMDR-E888LPの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-E888LPの方が細部までしっかり表現してくれるし前に出てくる感じ。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。低域がしっかり出るし、音の太さが合う。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く聴きたいときや低域が欲しいときはHE580、それ以外はMDR-E888LP。

MDR-E931LP
HE580はやや低音より、MDR-E931LPはややドンシャリ。低域はHE580の方が低い音で量も多い。中域はどちらもやや低めの音でおとなしい。高域はMDR-E931LPの方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E931LPの方がやや上。MDR-E931LPの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは低域が弱い上に線が細いMDR-E931LPの方が上。厚みはHE580の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E931LPの方が上。ノリの良さならHE580、繊細さならMDR-E931LP。響きは、低域はHE580、高域はMDR-E931LPの方が豊か。弦楽器はMDR-E931LPの方が心地よい。金管楽器はMDR-E931LPの方が高く鮮やかだが、HE580の方が力強い。打ち込み系の音の表現はHE580の方が上。特に低域の質感で差が出る。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く聴きたいときや低域が欲しいときはHE580、それ以外はMDR-E931LP。

MX500
HE580はやや低音より、MX500はやや高音より。低域はHE580の方がかなり低い音で量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はMX500の方が一段高く硬い音を鳴らす。HE580はそれほど高域が目立たないが、MX500はそれなりに目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてMX500の方が若干良いように感じるが、さほど差はない。MX500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方がやや上。厚みはHE580の方がある。温かみは低域が出る分HE580の方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはMX500の方が良い。ノリの良さならHE580、繊細さならMX500。ただ、MX500にしても特別繊細というわけではなく、HE580と比べると線が細く一聴して繊細な印象を受けるという程度。響きはMX500の方がやや豊か。HE580の方が線が太く安定した音。弦楽器は低域が出る分HE580の方が心地よいが、繊細さはMX500の方がある。金管楽器はMX500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。低域が出るし、音の太さや圧力もマッチしている印象。得意分野はHE580がポップス、MX500がクラシック。使い分けるならポップスやロックはHE580、クラシックやジャズはMX500。低域が欲しいときはHE580、高域が欲しいときはMX500という使い分けもありだろう。

v-moda remix m-class
HE580は低音より、v-moda remix m-classはややドンシャリ。低域はHE580の方が量が多い。中域はv-moda remix m-classの方がやや高い音で目立つ。高域はv-moda remix m-classの方が高く硬い音で量も多い。分解能及び原音忠実性はv-moda remix m-classの方が上。音場感はv-moda remix m-classの方がやや明確に感じるがそれほど差はない。どちらもエッジはきつくなく、聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてv-moda remix m-classの方が良い。特に明瞭さや音の鮮やかさには差がある。どちらもノリが良いが、HE580は低域の量で押している感じ、v-moda remix m-classは厚みや切れ等、総合的に良い感じ。響きは低域はHE580の方が豊か、高域はv-moda remix m-classの方が豊か。弦楽器はv-moda remix m-classの方が粗がなく繊細。金管楽器はv-moda remix m-classの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、質感や締まり等v-moda remix m-classの方が相性が良いように感じる。使い分けるなら、基本的にはv-moda remix m-class、余程低域が欲しいときだけHE580。

ヘッドホン-3
HE580はやや低音より、ヘッドホン-3はかまぼこ。低域はHE580の方がかなり低い音を鳴らすし、量もやや多い。ヘッドホン-3はぼんやり曇っているだけで、まったく低い音を鳴らしてくれない。中域はヘッドホン-3の方が上ずっていて強いように感じるが、非常に曇っていて、実際には聴こえてこない。高域はHE580の方が量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHE580の方がかなり上。特に原音忠実性は、ヘッドホン-3がまったく聴けないレベルなのに対してHE580は普通に聴けるレベル。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHE580の方が上。HE580の方がノリが良くしかも繊細。ただ、ノリが良いと言ってもあまりスピード感はないように感じられる。響きはHE580の方がやや豊か。弦楽器はHE580の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHE580の方がかなり力強い。打ち込み系の音の表現は低域の量や音の厚みからHE580の方がうまい。何を聴くにしてもHE580の方が良いだろう。


・HFI-15G
HD435
どちらも低音より。低域は全体的にはHD435の方が出るが、ソースによってはHFI-15Gの方が出るように感じることもある。中域はどちらも低域に引きずられている。高域はHD435の方が高い音を鳴らすし目立つ。分解能、音場感ともにHD435の方が若干良い。原音忠実性はほぼ互角。HD435の方がややエッジがきつい。明瞭さは低音が出ない分HFI-15Gの方が上のように感じるが、音の鮮やかさはHD435の方がやや上。厚みはどちらかと言えばHD435の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないところは良く似ている。響きはHD435の方がやや豊か。弦楽器はどちらも柔らかく心地よいが、曇っており澄んだ感じには欠ける。金管楽器はHD435の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくない。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら低域の量や高域の鮮やかさが欲しいときはHD435、そうでなければHFI-15Gか。

HP-D7
どちらも低音より。低域は出方が違うので一概には言えないが、HFI-15Gの方がやや出るようだ。高域はHP-D7の方がかなり出るが、超高域の音の高さはほぼ同等。シャープさと柔らかさのバランスがかなり似ている。分解能、音場感、原音忠実性はほぼ互角。HP-D7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-D7の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。ノリの良さならHP-D7、繊細さならHFI-15G。響きはHFI-15Gの方が若干豊かだが、抜けも良いのであまり差はないように感じる。弦楽器はHFI-15Gの方が伸びが良く心地よい。金管楽器はHP-D7の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野は、HFI-15Gはクラシック、HP-D7はポップス。使い分けるなら、弦楽器メインの曲やヴォーカルものはHFI-15G、それ以外はHP-D7。

iCans
HFI-15Gは低音より、iCansは高音よりのドンシャリ。低域の量はHFI-15Gの方がかなり出るが、厚みはiCansの方がある。HFI-15Gは曇っているように感じる低域であるのに対して、iCansは曇りを感じない。どちらも中域はやや引っ込んでいるように感じる。高域はiCansの方がかなり強くしっかり聴こえてくる。分解能はほぼ同等、音場感はiCansの方が上。HFI-15Gは耳のすぐそばで音が鳴っているように感じるのに対して、iCansはそんなことはない。原音忠実性はHFI-15Gの方が上。低音よりではあるものの、おとなしく癖のない鳴らし方。iCansの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはiCansの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。iCansはかすれが気になる。iCansの方がかなりノリが良い。響きはHFI-15Gの方がやや豊か。切れはiCansの方が良い。弦楽器はHFI-15Gの方が癖がなく繊細で心地よい。金管楽器はiCansの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもそれほど得意とは言えないが、どちらかと言えばiCansの方がうまい。得意分野はHFI-15Gがクラシック、iCansがポップス。使い分けるなら、ポップスやロックはiCans、クラシックやジャズはHFI-15G。この2機種は同一メーカーながらまったく違う鳴らし方で、HFI-15GがHFIシリーズらしい鳴らし方とするなら、iCansはPROlineシリーズらしい鳴らし方。

PortaPro
HFI-15Gは低音より、PortaProはドンシャリ。低域はどちらも超低域までしっかり出るが、厚みはややPortaProの方がある。HFI-15Gは高域がまったく聴こえてこないが、PortaProはある程度聴こえる。中域はどちらも埋もれがち。分解能は互角、音場感はHFI-15Gの方がやや良い。どちらもあまり原音忠実とは言えない。HFI-15Gは高域が不足の上マイルドすぎ、PortaProは高域は出るが全体的に味付けしすぎ。どちらもエッジはきつくなくかなり聴きやすいが、HFI-15Gの方が高域が出ない上にサ行の音等も痛くなく、聴きやすさという点では上。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはすべてPortaProの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、柔らかさ重視ならHFI-15G、芯の通った感じ重視ならPortaPro。ただし、芯の通った感じというのはHFI-15Gに比べて、というだけで、一般的な見方をするならPortaProもあまり芯が通っているとはいえない。ノリの良さならPortaPro、繊細さならHFI-15Gの方が上。ただ、HFI-15Gはかなりノリが悪いのに比べて、PortaProはそれなりに繊細さもある。響きはHFI-15Gは適度、PortaProは豊か。弦楽器はHFI-15Gの方が伸びが良く繊細で心地よい。金管楽器は圧倒的にPortaProの方が鮮やかで魅力的。打ち込み系の音の表現はPortaProの方が得意。得意分野はHFI-15Gは弦楽器メインのクラシック、PortaProはロック。使い分けるなら、弦楽器メインのクラシックはHFI-15G、それ以外はPortaPro。ジャンルではなく、まったり聴きたいときはHFI-15G、ノリ良く聴きたいならPortaProという気分による使い分けの方が適しているかもしれない。

PX100
どちらも低音よりだが、PX100の方がやや高音より。超低域はHFI-15Gの方が出る上、高域〜超高域はPX100の方が出る。分解能はPX100の方が若干上、音場感はHFI-15Gの方が良い。どちらも低音が出すぎで原音忠実性はいまいちに感じるが、低音過多を除けばどちらもそれなりに原音に近い。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、PX100はソースによってはサ行の音が痛く感じる。明瞭さや音の鮮やかさはどちらもいまいちだが、PX100の方がやや良い。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良く、互角。どちらもノリが良いというよりは繊細で、繊細さという意味ではPX100の方が上手。響きは豊かだが、耳のせ開放型なので音の抜けが良くそれほど不快ではない。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よく楽しめる。その反面、金管楽器は鮮やかさが足りずいまいち。特にHFI-15Gはまったく鮮やかさがない。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、PX100の方がまだ楽しめる。得意分野はどちらもクラシック(弦楽器)。かなり似ているのでどちらか片方持っていれば十分の機種。基本的には何を聴くにもPX100の方が良いように思うが、HFI-15Gは耳のせ開放型としてはトップレベルの音場感を持っているのは確か。

SD-2900CD
どちらも低音より。低域、高域ともにHFI-15Gの方がやや強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHFI-15Gの方がやや上。どちらもエッジはきつくなく、聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHFI-15Gの方が上。HFI-15Gの方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもやや豊か。SD-2900CDは低音がそれほど強いわけでもないのに曇りが非常に気になるが、HFI-15Gは低音よりのわりにはそれほど気にならない。HFI-15Gの方が圧倒的に力強い鳴らし方をしてくれる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHFI-15Gの方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもHFI-15Gの方が良いように感じる。

SR-60
HFI-15Gは低音より、SR-60は低音よりのドンシャリ。低域は、開放型のわりにはHFI-15Gの方が重低音という表現が合う一段低い音を鳴らす。高域は基本的にはSR-60の方が出るのだが、超高域はほぼ同量に感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-60の方が若干上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSR-60の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。ノリの良さならSR-60、繊細さならHFI-15G。響きはどちらもやや豊かだが、どちらかと言えばSR-60の方があっさり。SR-60はGRADOの中では音の抜けが良いとは言えない部類に入るが、HFI-15Gと比べたら抜けが良い。弦楽器はHFI-15Gの方が線が細く柔らかい音で心地よい。金管楽器は、かなり違う音を鳴らすので好みが分かれるところだろう。HFI-15Gの方が高く細い感じ、SR-60の方が原音に近く太い感じ。HFI-15GはPioneerの高域に少し似た癖がある。打ち込み系の音の表現は厚みと切れで勝るSR-60の方がうまいように感じる。得意分野はHFI-15Gがクラシック、SR-60がロック。使い分けるなら、クラシックやジャズはHFI-15G、ロックやポップスはSR-60。


・HFI-2200ULE
DR150
どちらもややドンシャリ。低域はHFI-2200ULEの方がやや低い音を鳴らすし、厚みもあるが、量はほぼ同量。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、多少低域の量に負け気味。中高域はDR150の方がやや高い音を鳴らすが、高域はHFI-2200ULEの方が高い音を鳴らす。全体的にはそれほど差は無いだろう。分解能はほぼ互角。音の分離はHFI-2200ULEの方が若干良いが、微細な表現はDR150の方が若干うまい。音場感はHFI-2200ULEの方が明確。原音忠実性はDR150の方が良いが、HFI-2200ULEの方が原音の実体感は感じられる。どちらもややエッジがきつく聴き疲れするが、どちらかと言えばDR150の方が疲れない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-2200ULEの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR150の方が上。ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならDR150。響きはDR150の方が豊か。HFI-2200ULEの方がメリハリがある。弦楽器はDR150の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDR150の方が若干高い音を鳴らしてくれるが、HFI-2200ULEの方が力強い。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がうまい。音の厚みや切れに違いがある。使い分けるなら、クラシックやジャズはDR150、ポップスやロックはHFI-2200ULE。

DT860
DT860はやや高音よりのドンシャリ、HFI-2200ULEはやや低音よりのドンシャリ。低域の量はそれほど差がないが、HFI-2200ULEの方が低く厚みがある低域。中域はDT860の方がやや上ずっていてはっきり聴こえてくる。高域はかなり似ているが、HFI-2200ULEの方がやや高く独特の音を鳴らす。分解能はほぼ互角、音場感はHFI-2200ULEの方が上、原音忠実性はDT860の方が上。ただし、基本的にはどちらも原音忠実とは言い難い。癖のなさという意味ではDT860の方が原音に近いという程度のレベル。原音の実体感のようなものはHFI-2200ULEの方が感じられる。HFI-2200ULEの方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、それほど大きな差は無い。明瞭さ、音の鮮やかさはDT860の方が若干上。厚みはHFI-2200ULEの方がある。温かみは低域が出ることもありHFI-2200ULEの方が上、ヴォーカルの艶っぽさはDT860の方が若干上。ただし、色気のある艶っぽさではなく、サラサラした質感が艶っぽさのように感じられるという程度。どちらも明るくノリが良いが、DT860の方が軽快で爽やか、HFI-2200ULEの方が勢いがあり元気。響きは、低域はHFI-2200ULEの方が豊か、高域はDT860の方が豊か。DT860の方が抜けが良く、音がどこまでも広がっていく感じ。逆に言えば、HFI-2200ULEの方が制動のきいたメリハリのある鳴らし方。弦楽器はどちらももう一歩繊細さが欲しいところだが、心地よさではHFI-2200ULEの方が上。金管楽器はどちらも鮮やかで意外と似た音を鳴らすが、DT860の方が癖のない音、HFI-2200ULEの方が力強い音。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がややうまい。厚み、切れ、低域の量感で勝っているため。使い分けるなら、癖のなさや聴き疲れのなさを求めるならDT860、低域の量感や音場感を求めるならHFI-2200ULE。

HD595
HD595はやや低音より、HFI-2200ULEはややドンシャリ。低域はかなり出方が違う。HD595はローエンドまでフラットな印象だが、HFI-2200ULEは山と谷がある。HFI-2200ULEの方が一段低い音を鳴らすし、厚みも上。高域はHFI-2200ULEの方がかなり出る。分解能は正直判断に困るが、音が滑らかな分HD595の方が不利なように感じる。単純な比較はできない。音場感は、ULTRASONE独特の癖があるもののHFI-2200ULEの方が上。原音忠実性はHD595の方が上。HFI-2200ULEの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-2200ULEの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD595の方が上。ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならHD595。響きはほぼ互角だが、どちらかと言えばHFI-2200ULEの方が豊か。弦楽器はHD595の方が滑らかで心地よく癖がない。金管楽器はHFI-2200ULEの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHFI-2200ULEの方がうまいように感じる。使い分けるなら、刺激を求める場合にはHFI-2200ULE、心地よさを求める場合にはHD595といった感じか。無難で癖がないのを求めているなら間違いなくHD595。

PROline2500
基本的にかなり近い音。どちらもドンシャリだが、HFI-2200ULEの方がややフラット。どちらも低域は超低域まで出る上厚みも十分だが、PROline2500の方が若干低い音を鳴らす。特に差があるのは超低域だが、中域に至るまでPROline2500の方がやや低めの音を鳴らす。中域はHFI-2200ULEの方がしっかり聴こえてくる。中高域〜超高域はPROline2500の方が若干大きめ。ややシャリつくものの非常に良く聴こえてくる。分解能はPROline2500の方がやや上、音場感はほぼ同等、原音忠実性はHFI-2200ULEの方がやや上。PROline2500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。サ行の音等も痛い。明瞭さはHFI-2200ULEの方が若干上。どちらも非常に鮮やかで厚みのある音だが、鮮やかさにしろ厚みにしろPROline2500の方がやや上。温かみはPROine2500の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っている。響きはどちらも豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現はすべてほぼ同等。何でも鮮やかに瑞々しく鳴らしてくれる。どちらも魅力的だが、刺激を求めるならPROline2500、癖のなさを求めるならHFI-2200ULE。使い分けは好み次第だろうが、個人的にはジャズとロックはPROline2500、クラシックとポップスはHFI-2200ULEの方が好み。

SE-A1000
どちらもややドンシャリ。低域の量はかなり近いが、HFI-2200ULEの方が若干低い音を鳴らすし、厚みもある。SE-A1000の方が柔らかくぼやけている印象。中域はどちらもやや低域に負けるが、HFI-2200ULEの方が低域に埋もれないように感じる。高域はHFI-2200ULEの方がやや高くて目立つ。分解能及び音場感はHFI-2200ULEの方が上。原音忠実性は、癖のなさという意味ではSE-A1000の方が良いが、原音の実体感のようなものはHFI-2200ULEの方が感じられる。HFI-2200ULEの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-2200ULEの方が上。厚みはHFI-2200ULEの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは微妙。どちらもなかなか良いが、HFI-2200ULEはかすれが気になることがあるし、SE-A1000は柔らかい低域でぼやけた印象を受けることがある。どちらも基本的にノリが良く、それでいて繊細さも持っているが、ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならSE-A1000。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器はどちらも悪くないが、どちらかと言えばSE-A1000の方が繊細で、柔らかい質感で心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、HFI-2200ULEの方が鮮やかさで勝っているだけでなく力強い鳴らし方。打ち込み系の音の表現は、ウォームさや低域の締まりの無さが合わない点が良く似ているが、どちらかと言えばHFI-2200ULEの方が相性が良いように感じる。使い分けるなら、聴き疲れや癖を嫌うならSE-A1000、そうでなければHFI-2200ULE。


・HFI-650
ATH-A900
HFI-650は周波数特性にやや癖があるため一概には音域傾向を判断できないが、超低域はATH-A900、低域はHFI-650、超高域はATH-A900の方が出るように感じる。中域〜高域は互角。分解能は、線が細い分ATH-A900の方が良く感じる。特にハイハットなどの高音はaudio-technica独特の癖があるものの、ATH-A900の方が分かれて聴こえる。ただし、どうしてもシャリつくように感じる。音場感は癖があるもののHFI-650の方が明瞭で良い。原音に近いのはATH-A900だが、これはATH-A900が原音に近いと言うよりもHFI-650が原音忠実を二の次に作られた機種であるからのように感じる。エッジはATH-A900の方がきつく聴き疲れする。どちらも明瞭だが、ATH-A900の方が線が細く低域がおとなしめで明瞭。音の鮮やかさはほぼ互角、厚みはHFI-650の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の方がある。ノリの良さではHFI-650、繊細さではATH-A900。HFI-650の方が芯の通った音を鳴らし、切れが良い。逆に言えばATH-A900の方が広がりがある。弦楽器はHFI-650、金管楽器はATH-A900の方が若干良い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、ATH-A900はやや線が細すぎるように感じる。HFI-650は音に厚みがあり、切れが良く、非常に相性が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、打ち込み系の音やノリの良さ重視のポップスやトランス、それにロックはHFI-650、それ以外はATH-A900。

DJ1 PRO
どちらもややドンシャリだが、DJ1 PROの方がやや高音より。低域は全体的に出方がまったく違うので一概にどちらが出るとは言えない。ソースによってかなり違ってくる。どちらも超低域はやや弱めだが、HFI-650の方が若干出る。厚みはDJ1 PROの方があるようだ。高域はDJ1 PROの方がかなり出る。分解能、音場感ともにDJ1 PROの方がやや上。どちらも原音忠実とは言えない。DJ1 PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ等すべてDJ1 PROの方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、DJ1 PROの方が瑞々しく魅力的に感じる。どちらも切れの良い音。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDJ1 PROの方がやや上。得意分野はどちらもポップス。基本的には何を聴くにしてもDJ1 PROの方が魅力的に感じるが、明るすぎると感じることもあるし、HFI-650の方が癖がないことは確か。DJ1 PROに疲れたらHFI-650を使う、という使い分けがいいかもしれない。

dj1001
dj1001の方が高音より。dj1001は低域、特に超低域がかなり不足しているが、中域・高域は十分。HFI-650の方が低音が出るが、やはり超低域は弱め。かなり似た音を鳴らすが、あえて差をつけるなら、dj1001は乾いた古臭い音、HFI-650はdj1001よりは水気のある鮮やかな音。分解能及び音場感は非常に近い。どちらもあまり原音に近いとは言えないが、dj1001は原音忠実を気にかけた音作りになっている分まだ原音に近い。HFI-650は原音忠実ではなく如何にノリよく楽しく音楽を聴かせるかに重点を置いており、原音忠実性は二の次。どちらもエッジはあまりきつくなく、聴き疲れしないが、それでいて明瞭。明瞭さはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の方が上。dj1001の方が音の粒が細かく繊細。逆にHFI-650の方が芯の通った音で低域も出るため、ノリが良い。dj1001の方が響きが良く音に広がりがあるが、audio-technicaのようなスカスカした感じがある。弦楽器をこれらのヘッドホンで聴くのはあまりオススメできないが、意外なことに金管楽器はなかなか良い音を鳴らしてくれる。特に、dj1001のハイハットは独特の味があり美しい。ただし、金管楽器全般の一聴したときの違和感のなさはHFI-650の方がやや良い。得意分野はどちらもポップス等の打ち込み系の音楽。使い分けるなら、dj1001はハウスやラウンジ、HFI-650はトランスやユーロビートとなろうか。

edition7
どちらもややドンシャリ。低域はedition7の方が低い音で量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。中高域から高域はかなり似た鳴らし方だが、edition7の方が若干高い音か。分解能はedition7の方が上。音場感はほぼ互角でかなり似ている。原音忠実性は基本的にはそれほど変わらないのだが、原音の実体感はedition7の方がかなり感じられる。エッジのきつさはほぼ同等だが、どちらかと言えばedition7の方がきつい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてedition7の方が上。特に音の鮮やかさや厚みはかなり差がある。edition7の方がノリが良くかつ繊細。響きはどちらも適度からややあっさりで、ほぼ互角。弦楽器は全体的にedition7の方がうまい。特にチェロ等の低域に差が出るし、ギターのエッジとうもedition7の方が楽しめる。金管楽器は、音の高さ等は似ているが、力強さや鮮やかさはedition7の方がかなり上。打ち込み系の音の表現もedition7の方がうまい。低域の質と量で勝っているのが大きい。ほとんど何を聴くにしてもedition7の方がいいだろう。

HP-M1000
どちらもドンシャリ。超低域はHP-M1000の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はほぼ互角だが、どちらかといえばHF-650の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHFI-650の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さはHFI-650の方が上だが音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度はHFI-650の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。過度の味付けが気にならないならHP-M1000の方が良いが、そうでないならHFI-650の方が良い。どちらもノリが良いが、HFI-650は低域に頼らないノリの良さ、HP-M1000は低域にかなり頼ったノリの良さ。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はHFI-650の方が原音に近いが、マイルドな心地よさはHP-M1000の方がある。金管楽器はHFI-650の方が一段高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、HFI-650の方が切れが良くスピード感があるように感じる。得意分野はどちらもポップスで、どちらもドンシャリなのだが、意外に違う音調。HP-M1000は妙なウォームさやぼやけた感じがあるが、HFI-650はまったくそんなことはない。HP-M1000はサラサラした感触が楽しめるが、HFI-650は芯が通っていて余分な音はしない。ただ、ポップスを楽しむという視点で見るならどちらが特に良いということはない。使い分けるなら、ポップスはHP-M1000、それ以外はHFI-650だが、どちらも一癖ある音なので、好みが分かれるところだろう。

MDR-7506
どちらもややドンシャリ。低域はMDR-7506の方が低い音で量も多く、粘りがある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、MDR-7506の方が上ずっていて癖がある。高域はHFI-650の方がやや高い音で硬く粗のない感じ。この2機種を比べた場合、HFI-650の方が高音よりと言えるだろう。分解能はほぼ互角。音場感はHFI-650の方が広く明確。原音忠実性は同等レベル。周波数特性上の癖のなさではHFI-650の方が良いが、MDR-7506の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。HFI-650の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-650の方が上。厚みはどちらもしっかりある感じだが、音が太く低音の量が多い分MDR-7506の方がやや上のように感じる。温かみはどちらもあまり感じられないが、どちらかと言えばHFI-650の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、HFI-650は締まりや切れでノリが良い感じ、MDR-7506はHFI-650と比べるとやや低音の量で押す感じ。響きはどちらもややあっさりでほぼ同等レベル。弦楽器はHFI-650の方が癖がなく澄んだ音。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、HFI-650の方がやや高い音で不要な成分を鳴らさない感じで好印象。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。中域から高域の鮮やかさや締まりを重視するならHFI-650、低域の量感を求めるならMDR-7506といった感じ。使い分けるなら、低域の量感が欲しいならMDR-7506、そうでなければHFI-650。

MDR-D777SL
HFI-650はややドンシャリ、MDR-D777SLは低音より。低域はHFI-650の方がやや低い音で厚みや圧力がある。中域はHFI-650の方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHFI-650の方が高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHFI-650の方が上。音の分離にしても細部の表現にしてもHFI-650の方が圧倒的に上。HFI-650の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-650の方がかなり上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-D777SLの方が上のように感じるが、これは低域の薄い曇りによる部分が大きい。HFI-650の方がノリが良くかつ繊細。響きはMDR-D777SLの方が豊か。弦楽器はHFI-650の方が繊細。と言うより、MDR-D777SLは弦楽器を聴ける音ではない。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方が圧倒的にうまい。厚み、切れ、スピード感、低域の質感等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはHFI-650、余程聴き疲れを避けたいときだけMDR-D777SL。

PC-100
HFI-650の方が低音が出るが、中域・高域はほぼ同レベルで、全体的には良く似た音。PC-100は低域がでないこともありスカスカに感じる部分があるが、HFI-650はそんなことはない。分解能はHFI-650の方がやや上、音場感はほぼ同じ。エッジのきつさはほぼ同レベルで、どちらもそれほど聴き疲れはしない。明瞭さでは低音が出ない分PC-100の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の圧勝。どちらも響きはかなりあっさりでノリが良く切れの良い音。打ち込み系の音とかなり相性が良い。PC-100の方が粗い感じで、基本的にはHFI-650の方が一段上のクオリティーだが、PC-100の粗っぽさがうまくマッチして生き生きしてくれるソースもあることは確か。低域がもう少し出れば、ロックにはPC-100の方が向いていると断言できたと思われる。どちらもクラシックには向かない機種だが、どちらかを使うなら間違いなくHFI-650。弦楽器はどちらもあまり得意ではないが、HFI-650の方がまだ自然な印象を受ける。金管楽器は弦楽器ほどの差は感じられないが、それでもHFI-650の方がやや良い。大太鼓などの低音はPC-100はかなり不満だが、HFI-650はほぼ満足できる音。何を聴くにしてもHFI-650の方が良いと思われるが、あえて使い分けるならやはりロックにPC-100、それ以外にはHFI-650か。

RH-300
どちらもややドンシャリ。低域はHFI-650の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らす。中低域は良くも悪くもRH-300の方が量が多い。このため中域はHFI-650の方が低域に邪魔されずに聴こえてくる。また、中域から中高域はHFI-650の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はRH-300の方が細くて量が多い。分解能はほぼ互角。音の分離はHFI-650の方が若干良く感じるが、微細な描写はRH-300の方がこなしてくれる。音場感はHFI-650の方が広いが、同時に癖もある。原音忠実性は微妙。HFI-650の方が原音の実体感、粗、生っぽさといったものは感じられるが、周波数特性上の癖のなさはRH-300の方が上で一聴して違和感がない。エッジのきつさはほぼ同等レベルだが、HFI-650の方が芯の通ったような感じでやや聴き疲れする。明瞭さはHFI-650の方が上、音の鮮やかさはRH-300の方が上。厚みはHFI-650の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方がやや上。どちらもノリの良さがしっかり感じられる上モニター的な冷静さも備えている点は似ている。響きはRH-300の方がやや豊か。HFI-650の方が締まっていてぼやけた曖昧な感じがない。弦楽器はRH-300の方が繊細かつ心地よい。金管楽器は比較が難しい。低めの音はHFI-650の方がしっかり鮮やかに鳴らしてくれるが、高めの音はRH-300の方が量が多く明るい感じ。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、音の厚み、締まり、低域の質感等でHFI-650の方がやや勝っているため、どちらかと言えばHFI-650の方が上。ただ、RH-300の中域から中高域にかけてのふくよかでかつ鮮やかな表現も魅力的。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、フラットで癖のない音を求めるならRH-300、タイトでメリハリにある音を求めるならHFI-650。

RP-21
どちらもややドンシャリ。低域はRP-21の方がやや量が多い。質的にはHFI-650の方が締まっている。中域はHFI-650の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はどちらも尖っている感じだが、HFI-650の方が高い音で量も多い。この2機種を比べると、HFI-650の方が高音よりと言えよう。分解能はほぼ互角。音の分離はHFI-650の方が若干良いが、一つ一つの音の微細な描写はRP-21の方が若干良い。音場感は、HFI-650の方が立体的だが、RP-21も独特の明確さがあり、どちらが良いかは好みが分かれるだろう。原音忠実性はRP-21の方がやや上。RP-21の方が周波数特性的に癖がなく、細かいノイズまでしっかり拾う感じ。HFI-650の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-650の方が上。厚みはHFI-650の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-21の方が上。HFI-650の方が切れが良くノリの良い鳴らし方。響きはどちらもややあっさりだが、比較すると低域はRP-21の方が豊か、高域はHFI-650の方が豊か。弦楽器はRP-21の方がうまい。HFI-650では硬く感じるようなことが多いが、RP-21はほどほどに柔らかい表現をしてくれる。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方がうまい。音の質感や切れで勝っている。使い分けるなら、高音よりがいいならHFI-650、低音よりがいいならRP-21。あるいは、明瞭さや切れを重視するならHFI-650、温かみや全体的なバランスを重視するならRP-21。

SE-900D
SE-900Dはかなりフラット、HFI-650はややドンシャリ。超低域はSE-900Dの方が出るが、低域の厚みそのものはHFI-650の方がある。中域〜高域はほぼ同量。一聴して、HFI-650の方がドンシャリに感じる。分解能、音場感ともに若干HFI-650の方が良い。原音忠実性はSE-900Dの方がやや上。ただし、SE-900Dにしてもやや癖はある。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかといえばHFI-650の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-650の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方が上。ノリの良さならHFI-650、繊細さならSE-900D。響きはSE-900Dの方が豊か。弦楽器はSE-900Dの方が伸びが良く心地よく楽しめるが、音そのものが気に入らない人もいるかもしれない。そういう意味では若干HFI-650の方が良いだろう。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、厚みと切れでHFI-650の方がやや良いように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、弦楽器や女性ヴォーカルものはSE-900D、それ以外はHFI-650。

SK PRO
HFI-650はややドンシャリ、SK PROは低音よりのドンシャリ。低域はSK PROの方がぼやけていてかなり量が多い。中域はHFI-650の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。SK PROはかなり低域に埋もれる感じ。高域はHFI-650の方がやや高く硬い音を鳴らす。分解能はHFI-650の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ上。音場感はHFI-650の方が耳から離れたところで鳴らしていて広く感じる。原音忠実性はHFI-650の方が上。原音の粗や生っぽさにおいて勝っている。HFI-650の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-650の方が上。厚みはほぼ同等レベルだが、SK PROの方が太くぼやけた音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSK PROの方がやや上。どちらもノリが良いが、SK PROの方が低域の量で押すような感じ。響きはSK PROの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はSK PROの方が滑らかで心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならHFI-650の方が良い。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方がうまい。締まりがあり、テンションも高いように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の締まりや原音の生っぽさが欲しいならHFI-650、低域の量や滑らかな質感が欲しいならSK PRO。

TriPort
TriPortの方が低音より。特にHFI-650の超低域が控え目なのに対して、TriPortは超低域までしっかりでる。また、高域もHFI-650の方が一段高い音で鳴らす。特にブラスではその傾向が顕著。中域はどちらも埋もれずに聴こえる。分解能、音場感はHFI-650の方が一段上。音場感はどちらも癖があり、ある意味かなり明瞭。原音忠実性はどちらもいまいちだが、まだHFI-650の方が良い。どちらもエッジがきつくなく聴き疲れしない。明瞭さや音の鮮やかさはHFI-650の方が上、厚みはほぼ互角だがHFI-650は超低域が出ないため大抵のソースではTriPortの方が厚みがあるように感じられる。情報量はHFI-650の方がかなり上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはTriPortの方が上。音に丸みがあり、響きが豊かで超低域が出るため。どちらもノリが良いが、TriPortの方がノリの良さという点では上。その反面繊細さはHFI-650の方が上。響きはTriPortは豊か、HFI-650はあっさり。弦楽器は生っぽいのはHFI-650だが、TriPortの方が伸びも響きも良いため、「心地よく楽しめるのはどちらか?」という見方をするとTriPortになる。金管楽器はHFI-650の方が一段高い音で、なかなか鮮やか。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方がうまい。TriPortも悪くはないのだが、HFI-650は最高レベルの相性。厚みがあり切れが良い。得意分野はTriPortはロック、HFI-650はポップス。使い分けるならロックと弦楽器はTriPort、それ以外はHFI-650。


HN110
ATH-SX1
ATH-SX1はややかまぼこ、HN110は低音より。低域はHN110の方がかなり量が多いが、ATH-SX1の方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はATH-SX1が非常にはっきり聴こえてくるのに対して、HN110は低域の曇りに覆われる。高域はATH-SX1の方が細く硬く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-SX1の方がかなり上。ATH-SX1の方がエッジがきついが、HN110は低域の曇りのせいで変に聴き疲れすることがあるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-SX1の方が上。ATH-SX1の方がノリが良くかつ繊細。響きはHN110の方が豊か。ATH-SX1の方が高音よりとは言え、音に派手さが無いところ等、良く似ている部分も多い。弦楽器はATH-SX1は原音に近くしかも繊細で心地よいのに対して、HN110は原音と違う上に繊細さがまったく足りない。金管楽器はATH-SX1の方が圧倒的に鮮やか。打ち込み系の音の表現は低域の量だけ見ればHN110の方が良いが、基本的な相性はATH-SX1の方がかなり上だし、総合的に見てもうまい。ほとんど何を聴くにしてもATH-SX1の方が良いだろう。

HN-505
どちらも低音より。低域はどちらも厚みが薄く量があるところは似ているが、HN-505の方が変に癖がある上に量も多い。中域はどちらも低域に埋もれるが、HN110の方がまだはっきり聴こえてくる。高域も同様。分解能、音場感、原音忠実性すべてHN110の方がかなり上。どちらもエッジはきつくないが、HN-505の方が変な低域とこもり感で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHN110の方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHN110の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHN110の方が上。響きはHN-505の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHN110の方がうまい。HN-505は不自然で耳障りな音ばかり鳴らす傾向があるが、HN110は一応聴ける音を鳴らしてくれる。ほとんど何を聴くにしてもHN110の方が良いように感じる。

HP830
HN110は低音より、HP830はややドンシャリ。低域は、量にはそれほど差はないのだが、HP830の方が低く厚みのある低域。中域は、HN110が低域の薄い曇りに覆われるのに対して、HP830は低域に負けずはっきり聴こえてくる。高域はHN110がまったくと言っていいほど聴こえてこないのに対して、HP830はしっかり高く硬い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方がかなり上。HP830の方がエッジがきつく聴き疲れしやすいが、HN110は低域の曇りが支配的で別の意味で聴き疲れする人も多そう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。特に明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みは雲泥の差。HP830の方がノリが良くかつ繊細。響きはHN110の方が豊か。弦楽器はHP830の方が繊細かつ心地よい。HN110は弦楽器を鳴らしているという感じがしない。金管楽器はHP830の方が高く鮮やか。HN110は非常に地味で目立たない。打ち込み系の音の表現もHP830の方がうまい。厚み、圧力、スピード感、低域の質、すべてにおいて勝っている。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いだろう。

HPS3000
どちらも低音より。低域は、量はそれほど差はないのだが、HPS3000の方が低く厚みのある低域。中域はHN110が低域の曇りに覆われて聴こえてこないのに対して、HPS3000は低域に覆われたりはしないが、低域の豊かなソースでは量的に負ける。高域はHPS3000の方が硬く高くしっかり聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。HPS3000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHPS3000の方が上。ただし、塗りつぶしたような感触と薄い低域により、HN110の方がぬるい温かみはあるように感じられることもある。HPS3000の方がノリが良くかつ繊細。響きはHN110の方が豊か。弦楽器はHPS3000は一応聴けるレベルなのに対してHN110は聴けないレベル。繊細さがまったく足りない。金管楽器はHPS3000の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現もHPS3000の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いように感じる。

MDR-D777SL
どちらも低音より。低域は薄く曇っている点が良く似ている。量的にもかなり近い。中域があまり聴こえてこない点も同様。高域はどちらも地味だが、HN110の方が若干目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしにくい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ同等。どちらかと言えばHN110の方が若干明るめ。どちらもただ何となく鳴らしているような感じ。響きはHN110の方がやや豊か。メーカーが違う割にはかなり似た音。弦楽器はどちらも生っぽい感じがなく、するすると流れていってしまう感じ。金管楽器はHN110の方が若干鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまくない。かなり似た音を鳴らすし、独特の個性や魅力があるわけではないので、どちらか片方持っていれば十分の機種。

SE-MJ7NS
HN110は低音より、SE-MJ7NSは低音よりのドンシャリ。低域はHN110が薄く曇っている感じなのに対してSE-MJ7NSは分厚くしっかり低い音を鳴らすし量も多い。中域はどちらもあまりはっきり聴こえてこないが、HN110の方がまだ聴こえてくる感じ。高域はSE-MJ7NSの方が高い音で目立つ。分解能はほぼ互角。音場感はSE-MJ7NSの方がやや明確だが、耳の近くで鳴らす感じが気になる。原音忠実性はどちらも最低レベル。どちらもエッジはきつくないが低域のせいで疲れることがある点は似ている。明瞭さは低域の量が少ない分HN110の方がやや良いが、音の鮮やかさはSE-MJ7NSの方が良い。厚みはSE-MJ7NSの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-MJ7NSの方がやや上。SE-MJ7NSの方がノリが良い。響きはSE-MJ7NSの方が豊か。弦楽器はどちらもうまくないが、HN110の方が不自然さが少ないぶん良いかもしれない。金管楽器はSE-MJ7NSの方が高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MJ7NSの方が低域の量や音の厚みで勝っているため楽しめる。使い分けるなら、低域の量が欲しい場合にはSE-MJ7NS、低域の量よりバランスの良さを求める場合HN110。


・HN-505
ATH-T2
どちらも低音よりだが、ATH-T2の方が高音より。ただし、いずれにせよ高域は全然聴こえてこない上、低域が凄い量でしかもこもりも酷い。分解能、音場感、原音忠実性等、最低限。ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさどちらも欠けているが、まだATH-T2の方が良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良い方向性の機種。響きはHN-505の方が豊か。弦楽器はどちらも同じようなレベルだが、ATH-T2の方がまだ繊細さがある。金管楽器はATH-T2の方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-T2の方がややうまい。得意分野をあえて挙げるならATH-T2はロック、HN-505はポップス。ただし、どちらも音楽鑑賞に使えるレベルの機種ではない。

HN110
どちらも低音より。低域はどちらも厚みが薄く量があるところは似ているが、HN-505の方が変に癖がある上に量も多い。中域はどちらも低域に埋もれるが、HN110の方がまだはっきり聴こえてくる。高域も同様。分解能、音場感、原音忠実性すべてHN110の方がかなり上。どちらもエッジはきつくないが、HN-505の方が変な低域とこもり感で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHN110の方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHN110の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHN110の方が上。響きはHN-505の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHN110の方がうまい。HN-505は不自然で耳障りな音ばかり鳴らす傾向があるが、HN110は一応聴ける音を鳴らしてくれる。ほとんど何を聴くにしてもHN110の方が良いように感じる。

MDR-NC20
どちらも低音よりだが、MDR-NC20の方が低域が弱い上、高域も聴こえる。HN-505は低域の量が凄いだけで、中域〜高域はまったく聴こえてこない。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-NC20の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、MDR-NC20の方が線が細く高域も出るのでやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-NC20の方が圧倒的に上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方がやや上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-NC20の方が上。響きはどちらも適度。HN-505はとにかく曇っている。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-NC20の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもMDR-NC20の方が良いと思われるが、低音が好きな人がロックを聴く場合にHN-505の方が好みの音になる可能性はゼロではない。

HPS3000
どちらも低音よりだが、HPS3000の方が低域が若干弱い上、高域も聴こえる。HN-505は低域の量が凄いだけで、中域〜高域はまったく聴こえてこない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、HPS3000の方がややエッジがきつく高域も出るのでやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはHPS3000の方が圧倒的に上。温かみはほぼ互角だが、ヴォーカルの艶っぽさはHPS3000の方がかなり上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHPS3000の方が上。響きはどちらも適度。HN-505はとにかく曇っている。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS3000の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いと思われる。


・HP1000
DT880
HP1000の方が低音より。低音はHP1000の方が出るが、高音はDT880の方が出る。分解能はDT880の方が良い。音場感はほぼ互角。原音忠実性ではDT880の方が一歩上。どちらもエッジが若干きつめだが、刺激として楽しめるレベル。明瞭さはDT880の方が上。HP1000は低域が支配的で明瞭とは言えない。ただし、それでもハイハットなどの高域は非常に良く聴こえてくる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばHP1000が良い。DT880はさわやかで刺激的な音調だが温かみはある、HP1000は温かみと刺激を両立した音調。どちらもノリが良いのだが、音の伸びが良いのとウォーム過ぎる嫌いがあり打ち込み系の曲には合わない。音の厚みはともかくスピード感に欠ける。響きはDT880はあっさりめ、HP1000は豊か。弦楽器はほぼ互角。金管楽器はDT880の方が良い。得意分野はどちらもジャズで、ジャズならDT880の方が一枚上手。HP1000は温かみと刺激を両立させ、しかも女性ヴォーカルが非常に美しいので、女性ヴォーカルをじっくり聴き込むのに適していると思う。

HD595
HP1000はややドンシャリ、HD595はやや低音より。低域はどちらも超低域までしっかり出るが、どちらかというとHD595の方が強めなようだ。高域はHP1000の方がかなり出る。分解能はほぼ互角、音場感や原音忠実性はHD595の方がやや良い。HP1000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはどちらもいまいちだが、若干HD595の方が良いか。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも非常に良いが、若干HP1000の方が勝っている。どちらもノリが良いというよりは繊細。響きはHP1000の方が豊か。弦楽器はどちらも非常に心地よく楽しめるが、どちらか選ぶならHD595か。金管楽器はHP1000の方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHD595の方がやや得意。得意分野はHP1000はジャズ、HD595はポップス。使い分けるならポップスや弦楽器メインの曲はHD595、それ以外はHP1000。

HP830
どちらもややドンシャリ。超低域はHP1000の方がかなり出るが、厚みはHP830の方がある。中高域はHP830の方がかなり出るが、高域〜超高域はほぼ同量。HP830の方が高音よりといった方が分かりやすいかもしれない。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHP1000の方が上。HP830の方がややエッジがきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP830の方が上、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、繊細さはHP1000の方が上。響きはHP1000の方が豊か。弦楽器はHP1000の方が伸びが良く自然で心地よいが、金管楽器はHP830の方が一段高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP830の方がうまい。得意分野はHP830はポップス、HP1000はジャズ。使い分けるならポップスやロック、ブラスメインの曲はHP830、それ以外はHP1000。メーカーが同じにしてはかなり違う音を鳴らしてくれるので、使い分けしやすい。また、どちらもなかなかコストパフォーマンスが良い。

PROline2500
PROline2500の方がドンシャリ。低域の厚みにしろ、高域の量にしろ勝っている。PROline2500の高域は癖があり、非常に金属的な音だが、HP1000はかなり自然。分解能、音場感ともにPROline2500の方がやや良い。原音に近いのはHP1000だが、PROline2500の方が音に生っぽさがあり、実体感では負けていない。どちらもエッジがややきつめで刺激的だが、刺激と言う意味ではPROline2500の方が上。明瞭さはほぼ互角。PROline2500は低域がかなり出る分高域も出るのに比べて、HP1000は低域が薄めで高域もそれほど出ていない。音そのものの鮮明さではPROline2500の方が上だが、全体的にはバランスの良いHP1000も負けていない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、PROline2500はサ行の音等がかなり痛いのに比べてHP1000はそれほどでもない。ノリの良さならPROline2500、繊細さならHP1000だが、HP1000にしてもそれほど繊細と言うわけではない。響きはPROline2500の方がかなり豊か。弦楽器はPROline2500の方が芯の通った生っぽい音だが、HP1000の方が流麗で美しい。金管楽器はPROline2500の方が良い。どちらも打ち込み系よりは生楽器の方が得意だろう。この2機種は聴く音楽のジャンルによって使い分けると言うよりも、どの程度の刺激を求めるかで使い分けるほうがいいように思える。どちらも刺激的ではあるのだが、最高レベルの刺激はPROline2500、ほどほどの刺激はHP1000といった感じ。

SE-A1000
どちらもドンシャリ気味だが、低音の厚みは若干SE-A1000の方があるように感じる。これはどちらかというとHP1000が薄いようにも思う。HP1000は中域が凹んでいるわけではないが、SE-A1000はやや凹んでいる。分解能、音場感ともにHP1000の方が良好。どちらもあまり原音に近いとはいえず、意図的に味付けしてある。味付けは、SE-A1000が聴きやすさと迫力、HP1000が温かみと刺激。どちらかと言えばHP1000の方が自然で原音に近い。SE-A1000の方がエッジがきつくなく聴きやすいが、HP1000も刺激として楽しめる範囲。どちらもそこそこ明瞭だが、どちらかと言えばHP1000の方が明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP1000の方が上。ノリの良さでは低域の厚みがある分SE-A1000の方が上。響きはSE-A1000は豊か、HP1000は適度。弦楽器はHP1000、金管楽器はSE-A1000の方が美しい。使い分けるならSE-A1000は打ち込み系等のポップス、HP1000はそれ以外といった感じか。


・HP430
AH-G100
どちらもややかまぼこだが、HP430の方がフラット。低域はかなりHP430の方が出る。低域が出ない割にはAH-G100の方が曇っているように感じる。高域の量そのものはHP430の方が出るように感じるが、AH-G100の方が細く硬い音。分解能、原音忠実性はHP430の方がやや上。音場感はほぼ互角。どちらもエッジはきつくないが、どちらかというとAH-G100の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP430の方がやや上。HP430の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。AH-G100の方が粗くて軽い音。弦楽器はAH-G100では音が粗くて聴けたものではないが、HP430は何とか聴けるレベル。金管楽器はAH-G100の方が高い音を鳴らしてくれるが、チープに感じる。打ち込み系の音の表現はHP430の方がうまい。低域が強い点はやはり有利。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP430の方が良いだろう。

EH-95
どちらもややかまぼこ。低域はHP430の方がかなり出る。高域は、量はほぼ同量なのだが、HP430の方がやや高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP430の方が上。どちらも聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP430の方が上。HP430の方がノリが良くしかも繊細。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP430の方が上。得意分野はどちらもポップスだが、ほとんど何を聴くにしてもHP430の方が良い。

HDS-701
どちらもかまぼこだが、HP430の方が低音より。HP430の低域は必要最低限は出るが、HDS-701は必要量に満たない感じ。高域はHDS-701の方が高く細い。分解能、音場感ともにHDS-701の方が上。原音忠実性は判断に困るところ。HDS-701は中域から中高域に癖があるし、HP430は低域が不自然。HDS-701の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHDS-701の方がやや上。厚み、温かみはHP430の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはHDS-701の方が上。。響きはHP430の方が豊か。HP430はやや曇りが気になるが、HDS-701はまったく気にならない。弦楽器はHP430の方が心地よいが、線の細さを求めるならHDS-701の方が上。金管楽器はHDS-701の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は低域が出ることもありHP430の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域が不要な場合にはHDS-701、それ以外はHP430。

HP830
HP430はややかまぼこ、HP830はややドンシャリ。低域も高域もHP830の方が出るし、低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方が上。HP830の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、絶対評価では問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。HP830の方がノリの良くしかも繊細に感じる。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP830の方が一段上。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いように思う。

HP-NC80
HP430はややかまぼこ、HP-NC80はややドンシャリ。低域は、量はHP-NC80の方が若干多いが、HP430の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らす感じ。中域はどちらも多少低域の曇りに覆われて目立たない点が似ている。高域はHP-NC80の方がやや高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。音場感はHP-NC80の方が広く明確。原音忠実性はほほ互角。周波数特性の癖のなさはHP-NC80の方が上だが、原音の粗はHP430の方が感じられる。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ互角。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-NC80の方が若干上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-NC80の方がやや上。ノリの良さならHP430、繊細さならHP-NC80。響きはほぼ互角。弦楽器はHP-NC80の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHP-NC80の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の質感はHP430の方が合うが、中高域から高域はHP-NC80の方が明るく楽しめる。使い分けるなら、低域の締まり重視ならHP430、自然さ重視ならHP-NC80。

PX200
HP430はややかまぼこ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はHP430の方が多い。中域はPX200の方が曇りなくはっきり聴こえる。高域は、音の高さはそれほど差がないが、PX200の方が量が多い。分解能及び原音忠実性はPX200の方が上。音場感はHP430の方がやや上。エッジはPX200の方が若干きつい。明瞭さ、音の鮮やかさはPX200の方が上。厚みはHP430の方があるように感じるが、大きな差はない。温かみはどちらかと言えばHP430の方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が上。PX200の方が繊細。響きはHP430の方がやや豊か。意外と似た音を鳴らす2機種だが、PX200の方が低域が控え目で全音域に渡って曇りがなく、線が細い点が異なる。弦楽器はPX200の方が繊細だが、低域が不足な点が不満。金管楽器はPX200の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもいまひとつ。HP430は明るさがないし、PX200は低域が不足で線が細い。得意分野はHP430はポップス、PX200はクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときはHP430、曇りを避けたいときにはPX200。

RH-5Ma
HP430はややかまぼこ、RH-5Maは低音よりのドンシャリ。低域は全体的にRH-5Maの方がかなり出る。高域はRH-5Maの方がやや強い。分解能はRH-5Maの方がやや良いが、低域がかなり強いためソースによってはHP430の方が良いように感じることがある。音場感はどちらもいまいち。原音忠実性はHP430の方がやや上。RH-5Maの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはHP430の方がやや上、音の鮮やかさや厚みはRH-5Maの方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-5Maの方が上。RH-5Maの方がノリの良くしかも繊細に感じる。HP430はどちらかと言うとモニターライクな冷静な鳴らし方。響きはRH-5Maの方がかなり豊か。その分こもり感がかなり気になる。RH-5Maの方がかなり力強い鳴らし方。低域が強いだけではなく、全音域に渡り勢いがある。HP430はスカスカに感じることも多い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてRH-5Maの方が楽しめるように感じる。ただし、その大部分はHP430がかまぼこであるのに対してRH-5Maはドンシャリであることに起因していると思われる。RH-5Maの方が魅力もあるが欠点も大きいという印象。総合的にはほぼ互角の音質のように思う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならジャンル云々より、低域が欲しいときはRH-5Ma、そうでないならHP430。

ST-90
どちらもかまぼこだが、HP430の方がフラット。低域はHP430の方が厚み・量ともにあるが、ST-90の方が曇ったような感じがある。高域はHP430の方がやや高くはっきり聴こえてくる。分解能はHP430の方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ互角。曇りさえなければ、ST-90の方が原音に近い音を鳴らしているものと思われる。エッジはHP430の方がややきついが、聴き疲れしないレベル。むしろST-90のこもり感の方が聴き疲れするように感じる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP430の方が若干上のように感じる。HP430の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP430の方がやや豊か。こもり感はST-90の方が気になる。弦楽器はHP430の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はほぼ互角だが、どちらかと言えばHP430の方が鮮やかに感じる。打ち込み系の音の表現はHP430の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもHP430の方が良いように感じるが、細かい粗が気になるのも確か。そういう人にはST-90の方が根本的に合うかもしれない。


・HP830
ATH-A500
どちらもややドンシャリだが、HP830の方がフラット。低域はほぼ互角、超低域及び高域〜超高域はATH-A500の方が若干強い。分解能、音場感ともにATH-A500の方がやや良い。どちらも価格のわりにはかなり原音忠実だが、絶対的な評価ではやはりATH-A500の方が上。ただし、audio-technica特有の作ったような高域の癖があるので、それが気になる人も多いだろう。HP830の方がエッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さや音の鮮やかさはATH-A500の方がやや上。厚みはHP830の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP830の方がやや上。どちらも基本的にノリが良いが、それでいて繊細さも持ち合わせている。響きはどちらも適度で好印象だが、こもり感が気になる。特にATH-A500は低域の強いソースでは酷い。どちらも弦楽器、金管楽器ともになかなか魅力的で、価格を考えれば素晴らしいと言って良いレベル。ただ、弦楽器はどちらも違った癖があるので好みが分かれるところだろう。HP830の方が生っぽい粗があり、厚みのある音だが、繊細さや心地よさに欠ける。金管楽器はATH-A500の方がやや高い音で鮮やかだが、やや不自然で粗が目立つ部分がある。打ち込み系の音の表現はどちらも非常にうまい。刺激が欲しいならATH-A500、ノリよく気持ちよく聴きたいならHP830。得意分野はどちらもポップス。どちらもかなりオールマイティ。使い分けるなら、ジャンルよりも求める刺激の度合で分けるべきという気がする。

ATH-T44
どちらもややドンシャリ。低域は量はATH-T44の方がかなり出るのだが、HP830の方が一段低い音を鳴らすし、厚みと弾力があるように感じる。高域は量はATH-T44の方が出る上にシャリつくが、HP830の方がやや高い音を鳴らしてくれる上にシャリつかない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方が上。ATH-T44の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。HP830の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。ATH-T44の方が曇りやこもり感が気になる。HP830の方が明るくテンションが高い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP830の方がうまい。得意分野はATH-T44がロック、HP830はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いように感じる。

CDH-508
CDH-508は低音より、HP830はややドンシャリ。低域はCDH-508の方が量が多いが、厚みは薄い。中域はHP830の方がはっきり聴こえてくるし癖もない。CDH-508は中域まで低域の曇りに覆われる上にソースによっては嫌味が出る。高域はHP830の方がかなり強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方が上。HP830の方がエッジがきついが、CDH-508は曇りやこもり感が気になるため、どちらが聴き疲れするかは人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。HP830の方がノリが良くしかも繊細。響きはCDH-508の方がやや豊か。弦楽器はHP830の方が繊細かつ心地よい。CDH-508は曇りが気になる上にあまりに不自然。金管楽器はHP830の方が圧倒的に鮮やか。HP830の後ではCDH-508は聴けたものではない。打ち込み系の音の表現もHP830の方がうまい。CDH-508は低域の量はでるが、全体的に切れがまったく足りない。得意分野はCDH-508がジャズ、HP830がポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いように感じる。

DT231PRO
どちらもドンシャリだが、HP830の方がフラット。低域は、DT231PROの方がローエンドまで伸びていて薄い感じ、HP830の方がかなり厚みがある。高域はDT231PROの方が一段高く、細く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角だが、DT231PROの方が線が細いため、分解能は若干高いように感じる。DT231PROの方がかなり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP830の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは若干DT231PROの方が上。ただし、HP830も十分な温かみと艶っぽさを持っている。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにDT231PROの方がややうまいように感じる。ただし、金管楽器はあまりに細く高い音になるため、ソースによってはチープに感じられるし、HP830もなかなかうまいので人によって評価は逆転すると思われる。打ち込み系の音の表現はHP830の方がかなりうまい。得意分野はDT231PROがジャズ、HP830はポップス。使い分けるなら、ジャズはDT231PRO、それ以外はHP830。どちらもなかなかコストパフォーマンスが良い。ただ、DT231PROでポップスやロックは厳しい上かなり聴き疲れするのに対して、HP830は何でも聴ける上あまり聴き疲れしない。HP830の方が明らかにオールマイティー。

HD215
HD215はかなりフラット、HP830はややドンシャリ。低域は量はそれほど差がないが、HP830の方がかなり低い音を鳴らす。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。高域はかなり似ているが、どちらかと言えばHD215の方が細くて硬い音を鳴らす。分解能はどちらも悪くないが、どちらかと言えばHP830の方が粗がないぶん良いように感じられる。音場感はHD215の方がやや良い。原音忠実性は価格を考えればどちらもなかなかのものを持っているが、HD215は軽すぎるし、HP830は低域がやや低すぎる印象。どちらもエッジはきつくなくそれほど聴き疲れしない。明瞭さは低域が出ない分HD215の方が上だが、音の鮮やかさはそれほど差がない。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP830の方が若干上。基本的にはHP830の方がノリが良くしかも繊細。ただ、HD215の方が軽快でスピード感がある。HP830の方が密度が高く音圧で押し出してくる感じ。響きはどちらも適度だが、どちらかと言えばHD215の方があっさり。弦楽器はHP830の方が粗がなく心地よい。金管楽器はどちらも悪くない。HD215の方が若干粗があるように感じる。ただ、このあたりは好みで評価が違ってきそう。打ち込み系の音の表現はHD215の方が無難な表現ではあるが、低域の量が足りないという人も多そう。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、スピード感や軽快さが欲しいときにはHD215、それ以外はHP830。

HN110
HN110は低音より、HP830はややドンシャリ。低域は、量にはそれほど差はないのだが、HP830の方が低く厚みのある低域。中域は、HN110が低域の薄い曇りに覆われるのに対して、HP830は低域に負けずはっきり聴こえてくる。高域はHN110がまったくと言っていいほど聴こえてこないのに対して、HP830はしっかり高く硬い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方がかなり上。HP830の方がエッジがきつく聴き疲れしやすいが、HN110は低域の曇りが支配的で別の意味で聴き疲れする人も多そう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。特に明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みは雲泥の差。HP830の方がノリが良くかつ繊細。響きはHN110の方が豊か。弦楽器はHP830の方が繊細かつ心地よい。HN110は弦楽器を鳴らしているという感じがしない。金管楽器はHP830の方が高く鮮やか。HN110は非常に地味で目立たない。打ち込み系の音の表現もHP830の方がうまい。厚み、圧力、スピード感、低域の質、すべてにおいて勝っている。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いだろう。

HP1000
どちらもややドンシャリ。超低域はHP1000の方がかなり出るが、厚みはHP830の方がある。中高域はHP830の方がかなり出るが、高域〜超高域はほぼ同量。HP830の方が高音よりといった方が分かりやすいかもしれない。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHP1000の方が上。HP830の方がややエッジがきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP830の方が上、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、繊細さはHP1000の方が上。響きはHP1000の方が豊か。弦楽器はHP1000の方が伸びが良く自然で心地よいが、金管楽器はHP830の方が一段高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP830の方がうまい。得意分野はHP830はポップス、HP1000はジャズ。使い分けるならポップスやロック、ブラスメインの曲はHP830、それ以外はHP1000。メーカーが同じにしてはかなり違う音を鳴らしてくれるので、使い分けしやすい。また、どちらもなかなかコストパフォーマンスが良い。

HP430
HP430はややかまぼこ、HP830はややドンシャリ。低域も高域もHP830の方が出るし、低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP830の方が上。HP830の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、絶対評価では問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP830の方が上。HP830の方がノリの良くしかも繊細に感じる。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP830の方が一段上。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良いように思う。

HP-D7
HP830はドンシャリ、HP-D7は低音より。超低域はHP-D7の方が出るが、低域の厚みはHP830の方がある。高域はHP830の方が質・量ともに上。分解能、音場感はともにHP830の方が良い。HP830の方が原音に近いが、ややエッジがきつく聴き疲れする。そうは言っても基本的には聴き疲れしないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、繊細さ等、すべてHP830の方が上。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにHP830の方が良い。繊細でいて迫力もある。金管楽器は一段高い音に聴こえる。それでいて打ち込み系の音の表現もうまい。HP-D7も打ち込み系の音とは相性がいいのだが、それでもHP830の方が更に上を行く。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもHP830の方が良いように感じる。

K55
どちらもドンシャリだが、HP830の方がやや低音より。超低域はどちらもやや弱め、低域の厚みはHP830の方がかなりある。高域はどちらもしっかり聴こえてくるが、K55の方が高い音を鳴らす。分解能はHP830の方がやや上、音場感はほぼ互角。原音忠実性はHP830の方が上。K55の方がエッジがのきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP830の方が上。HP830の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP830の方がうまい。ただし、高域が高い方が好きな人はK55の方が良いと感じる部分もあるだろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良い。

RP-HT560
HP830はややドンシャリ、RP-HT560はかなりフラット。低域はHP830の方がしっかりと低い音を鳴らすが、量的にはあまり差はない。中域はどちらも低域に負けず、しかも変な癖もなくしっかり聴こえてくる。高域はHP830の方が若干高くとがった鳴らし方。分解能はHP830の方がやや上。音場感はほぼ互角。原音忠実性は癖のなさという意味ではRP-HT560の方が良いが、原音の実体感が感じられるという意味ではHP830の方が上。HP830の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP830の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT560の方がやや上。HP830の方がかなりノリが良い。HP830と比べると、RP-HT560はただ何となく鳴らしている感じに聴こえる。響きはほぼ同等だが、どちらかと言えばRP-HT560の方が豊か。弦楽器はチェロやコントラバス等を聴くならHP830の方が合うが、そうでなければRP-HT560の方が心地よく聴ける。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、力強さで勝るHP830の方が優れているように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HP830の方が楽しく聴ける。厚み、切れ、スピード感、すべてにおいて勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ノリ良く楽しみたいときにはHP830、癖なくおとなしく聴きたいときにはRP-HT560。

RP-HTX7
HP830はやや低音よりのドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなりしっかり低い音を鳴らしてくれるが、HP830の方がやや量が多い。中域はRP-HTX7の方がはっきり聴こえてくる。これは低域の量が少ない上、ややうわずり気味なため。高域はRP-HTX7の方が細く高い音を鳴らすが、量的にはやや少ないように感じる。分解能及び原音忠実性はHP830の方が上。音の分離にしろ微細な表現にしろ、HP830の方が良い。音場感はほぼ同等だが、どちらかと言えばHP830の方が良い。RP-HTX7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは低域の量が少ない分RP-HTX7の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ同等。厚みはHP830の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP830の方がかなり上。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、HP830の方が上。響きはHP830の方が豊か。RP-HTX7の方が全体的にタイトで硬い音を鳴らす。弦楽器はHP830の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRP-HTX7の方がやや高い音を鳴らすが、ソースによってはややチープに感じるし、HP830の方が力強い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低域の量感や音の厚みで勝っている分HP830の方がうまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはHP830、よほどタイトな音を求めるときだけRP-HTX7。

SE-M870
どちらもややドンシャリ。超低域はSE-M870の方が出るが、厚みそのものはHP830の方がかなりある。高域はHP830の方が若干出る。分解能はSE-M870の方がやや上。音場感や原音忠実性はHP830の方がやや上。どちらもあまり聴き疲れしないが、どちらかといえばHP830の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてHP830の方が若干上。SE-M870の方がノリが良い。響きはSE-M870の方が豊か。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よいが、原音に近い音を求めているならHP830の方が良い。、金管楽器はHP830の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、どちらかといえばSE-M870の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならポップスはSE-M870、それ以外はHP830。


・HP-AK101
DTX900
DTX900はややドンシャリ、HP-AK101はやや低音より。低域はどちらも超低域まで出る。高域は全体的にDTX900の方が良く聴こえる。分解能はDTX900の方が上、音場感はHP-AK101の方が上。DTX900の方が原音に近いが、エッジもきつい。明瞭さはほぼ互角だが音の鮮やかさや厚みはDTX900の方が上。密度や情報量、温かみやヴォーカルの艶っぽさもDTX900の方が上。DTX900の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-AK101の方が豊かだが、それでも適度というレベル。弦楽器、金管楽器はいずれもDTX900の方が自然で魅力的。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はDTX900がジャズ、HP-AK101がポップス。使い分けるならポップスはHP-AK101、それ以外はDTX900だが、ポップスにしても傾向が違うもののそれほど差はないように感じる。

HP-X122
HP-AK101はやや低音より、HP-X122はドンシャリ。低域はHP-X122の方がかなり出る。高域はほぼ同量。HP-AK101は周波数特性にかなり癖があり、中域がスカスカになる。分解能、音場感ともにHP-AK101の方が上。原音忠実性はHP-X122の方がやや上。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良い。響きはどちらも適度。HP-X122の方が癖がない音だが、こもり感がかなり気になる。弦楽器、金管楽器ともにHP-X122の方がうまい。HP-AK101はなにかと嫌味が出るし、金管楽器は高すぎてチープな音。打ち込み系の音の表現もHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。こもり感やドンシャリなところが気にならないならHP-X122を使えば良い。それが駄目ならHP-AK101もありだとは思う。

K101
どちらもやや低音より。超低域はHP-AK101の方が出るが、厚みはほぼ互角。高域はほぼ同量だが、若干HP-AK101の方が出る。分解能はK101の方が良く、音場感はHP-AK101の方が良い。K101の方が原音忠実。HP-AK101の方が聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてK101の方がやや良いように感じる。温かみはHP-AK101の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはK101の方がある。音の傾向は違うのだが、どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない、中途半端な音。どちらもある種のシャープさがあるのだが、HP-AK101は超低域が出る上、K101よりは多少丸い。響きはHP-AK101の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにK101の方が自然で良い。打ち込み系の音の表現は、HP-AK101の方が若干良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスとロックはHP-AK101、それ以外はK101。

MDR-F1
どちらもやや低音よりだが、HP-AK101の方がやや高音より。低域はMDR-F1の方が若干出る上、高域はHP-AK101の方がかなり出る。MDR-F1は周波数特性に癖がないが、HP-AK101は非常に癖がある。HP-AK101は中域の一部がごっそり欠けている。分解能、音場感はほぼ互角。原音忠実性はMDR-F1の方がかなり上。HP-AK101の方がエッジがきつく聴き疲れする。HP-AK101の方が線の細い音。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AK101の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-F1の方が上。どちらもノリが良いが、HP-AK101はスカスカになりがちな部分もある。響きはどちらも適度。MDR-F1の方が安定感がある。弦楽器はMDR-F1の方が嫌味が無く心地よい。金管楽器はMDR-F1の方が自然。HP-AK101はかなり高い音で鮮やかなのだが、あまりに不自然でチープ。打ち込み系の音の表現はMDR-F1の方がうまい。得意分野はHP-AK101はポップス、MDR-F1はロック。使い分けはジャンルではなく好みだろう。HP-AK101に嫌味を感じる人はMDR-F1が良い。

RP-HT770
どちらもやや低音より。低域、高域ともにHP-AK101の方が若干出る。基本的にはかなり近い周波数特性。分解能、音場感ともにHP-AK101の方がやや上。どちらも癖があり原音忠実性はいまいち。HP-AK101は独特の嫌味がありしかも粗がある。RP-HT770はHP-AK101ほど粗はないが、かすんでいる。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかといえばHP-AK101の方が疲れる。特にキンキンした女性ヴォーカル等はその傾向が顕著。明瞭さや音の鮮やかさはHP-AK101の方が上。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRP-HT770の方が若干上。ノリの良さならHP-AK101、繊細さならRP-HT770の方が上。響きはどちらも適度だが、HP-AK101の方が音に広がりがある。弦楽器はRP-HT770の方がマイルドで心地よい。金管楽器はHP-AK101の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-AK101の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら弦楽器メインのクラシックはRP-HT770、それ以外はHP-AK101といった感じか。ただ、基本的にはどちらもやや低音よりでしかも原音からは遠い音を鳴らすという似たところのある機種なので、どちらか片方あれば良い機種と言える。


・HP-AL1000
ATH-EM7
ATH-EM7はかまぼこ、HP-AL1000はやや高音より。低域はどちらも締まっていてほどほどの量だが、HP-AL1000の方が若干量が多く、質的にも低い音を鳴らす。中域はどちらもややうわずり気味な点は似ているが、どちらかと言えばATH-EM7の方がうわずりが少ない。高域はHP-AL1000の方が量が多く、質的にも高く硬い音を鳴らす。分解能はATH-EM7の方がやや上。HP-AL1000は細部の描写に粗がありすぎる。音場感はほぼ同等だが、HP-AL1000の方が臨場感がある感じ。原音忠実性はATH-EM7の方が上。付帯音が少なくシンプルな鳴らし方な点が好印象。HP-AL1000は原音忠実性よりもいかに楽しく聴かせるかという方向性の音作り。HP-AL1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-AL1000の方が上。厚みはHP-AL1000の方がある。温かみはHP-AL1000の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはATH-EM7の方がやや上。ノリの良さならHP-AL1000、繊細さならATH-EM7。響きはHP-AL1000の方がやや豊か。弦楽器はHP-AL1000の方がある種の心地よさがあるが、ATH-EM7の方が澄んでいてシンプルな鳴らし方。金管楽器はHP-AL1000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。低域の量、厚み、元気の良さ等で勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく楽しみたいならHP-AL1000、地味でも良いから余計な音を鳴らして欲しくないならATH-EM7。

HP-AL700
HP-AL1000はやや高音より、HP-AL700はやや低音より。低域はHP-AL700の方が量が多くぼやけている。HP-AL1000の方が締まっていて量もほどほど、それでいてある程度しっかり低い音を鳴らす。中域はHP-AL1000の方が低域の曇りに覆われず、しかも高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-AL1000の方がかなり高い音で量も多い。分解能はHP-AL1000の方が上。音場感はHP-AL700の方が広くて良い。原音忠実性はどちらもいまいちだが、方向性が違う。HP-AL1000は明るく楽しめるような味付け、HP-AL700はゆったりくつろげるような味付け。HP-AL1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AL1000の方が上。厚みは質感が違うので比較しにくい。HP-AL1000の方が締まっていて、HP-AL700の方がぼやけて太い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がやや上。ノリの良さならHP-AL1000、繊細さならHP-AL700。響きはHP-AL700の方が豊か。弦楽器はHP-AL700の方が心地よく安心して聴けるが、ヴァイオリン等の澄んだ感じはHP-AL1000の方が出る。金管楽器はHP-AL1000の方が高く鮮やか。やや作ったような感じはするものの、かなり楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。低域の質感、締まり、明るさ等がマッチする。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく元気よく楽しみたいならHP-AL1000、ゆったりくつろぎたいならHP-AL700。

OMX52
HP-AL1000はやや高音より、OMX52はかなりフラット。低域は量的にはあまり差がないが、OMX52の方が薄くぼやけている感じ。中域はHP-AL1000の方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-AL1000の方がかなり目立つ。分解能はHP-AL1000の方が上。単純に音の分離を見た場合、HP-AL1000に比べてOMX52はかなりかたまって聴こえる。音場感はHP-AL1000の方がやや立体感があり良い。原音忠実性は、癖のなさという意味ではOMX52の方が上だが、原音の生っぽさはHP-AL1000の方が感じられる。HP-AL1000の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AL1000の方がかなり上。厚みはHP-AL1000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはOMX52の方がやや上。HP-AL1000の方がかなりノリが良いが、そのぶん粗もあるように感じられる。響きはOMX52の方が豊か。弦楽器はOMX52の方が滑らかで心地よいが、HP-AL1000の方が澄んで生っぽい音を鳴らす。金管楽器はHP-AL1000の方がかなり鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。厚み、切れ、明るさ等に差がある。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく楽しみたいならHP-AL1000、地味もいいから癖のない音を聴きたいならOMX52。


・HP-AL700
EHP-820
EHP-820はかなりフラット、HP-AL700はやや低音より。低域はHP-AL700の方がかなり量が多く低い音を鳴らす。中域は、EHP-820が低域の曇りに覆われる感じなのに対して、HP-AL700は低域の量に負ける印象。高域はEHP-820の方がやや硬く高い音を鳴らす。分解能及び音場感はHP-AL700の方が上。特に微細な表現は差がある。原音忠実性はどちらも良くない。HP-AL700は低域の曇りが支配的だし、HP-AL700は低域が多すぎる。EHP-820の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはHP-AL700の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはHP-AL700の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもHP-AL700の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHP-AL700の方が良いように感じる。響きはEHP-820の方がやや豊か。弦楽器はHP-AL700の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-820の方が硬く鮮やかな音で楽しめるし、過度な味付けもない。打ち込み系の音の表現は、中域から高域の表現はEHP-820の方が相性が良いのだが、低域の厚みがかなり不足に感じるため、低域が欲しい場合にはHP-AL700の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ブラスメインの曲や低域をあまり重視しない打ち込み系の音はEHP-820、それ以外はHP-AL700。

HP-AL1000
HP-AL1000はやや高音より、HP-AL700はやや低音より。低域はHP-AL700の方が量が多くぼやけている。HP-AL1000の方が締まっていて量もほどほど、それでいてある程度しっかり低い音を鳴らす。中域はHP-AL1000の方が低域の曇りに覆われず、しかも高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-AL1000の方がかなり高い音で量も多い。分解能はHP-AL1000の方が上。音場感はHP-AL700の方が広くて良い。原音忠実性はどちらもいまいちだが、方向性が違う。HP-AL1000は明るく楽しめるような味付け、HP-AL700はゆったりくつろげるような味付け。HP-AL1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AL1000の方が上。厚みは質感が違うので比較しにくい。HP-AL1000の方が締まっていて、HP-AL700の方がぼやけて太い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がやや上。ノリの良さならHP-AL1000、繊細さならHP-AL700。響きはHP-AL700の方が豊か。弦楽器はHP-AL700の方が心地よく安心して聴けるが、ヴァイオリン等の澄んだ感じはHP-AL1000の方が出る。金管楽器はHP-AL1000の方が高く鮮やか。やや作ったような感じはするものの、かなり楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。低域の質感、締まり、明るさ等がマッチする。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく元気よく楽しみたいならHP-AL1000、ゆったりくつろぎたいならHP-AL700。

HP-D7
全体的にはかなり似た音。HP-D7の方がやや低音より。低域はHP-D7の方が全体的に出る感じだし、高域はHP-AL700の方が高い。ただし、中域から中高域は非常に似た音。分解能、原音忠実性はHP-D7の方がやや上。音場感は意外にもほぼ互角に感じた。HP-D7の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはHP-D7の方がやや上。音の鮮やかさ、厚み、温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを程よく両立させている感じがあるが、どちらかというとHP-D7の方が繊細か。響きはほぼ互角。HP-AL700の方がやや曇りが気になる。弦楽器、金管楽器ともにかなり近いが、若干HP-D7の方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら耳かけ型とオーバーヘッド型どちらを使いたいか、で良いだろう。それほど大きな違いは感じない。

HP-MD1
HP-AL700の方が低音より。低音は全体的にHP-AL700の方が出るし、そのせいでやや曇っている印象を受ける。中域〜高域はHP-MD1の方がやや強い。HP-MD1はヴォーカル等の中域にやや嫌味が出たり、低域が不足でスカスカに感じることがあるが、HP-AL700はそんなことはない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-AL700の方が上。HP-AL7000の方がエッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さは低域が弱い分HP-MD1の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がある。HP-AL700の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-AL700の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにHP-A700の方が楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、低域が出る分HP-AL700の方がやや良いように感じる。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-AL700の方が良いように感じるが、HP-AL700では低音が出すぎに感じたり、曇りが気になる人にはHP-MD1くらいのバランスの方が良いのかもしれない。

KSC75
HP-AL700はやや低音より、KSC75はややドンシャリ。低域はHP-AL700の方が量が多いが、厚みはKSC75の方があるように感じる。中域はKSC75の方が曇りなくしっかり聴こえてくる。高域はKSC75の方が細く高い音を鳴らす。分解能はKSC75の方が上、音場感はほぼ互角。原音忠実性はあまり差がない。HP-AL700は低域がやや支配的で曇っているように感じるし細部の表現が苦手。KSC75は元気が良すぎる。KSC75の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がかなりある。温かみはどちらかと言えばHP-AL700の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が感じられる。KSC75の方がノリが良くかつ繊細。響きはKSC75の方が豊かだが、HP-AL700は低域の量が多いこと等から響きが豊かと誤解を受けそうではある。弦楽器はKSC75の方が繊細で澄んでいる。金管楽器はKSC75の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現もKSC75の方がうまい。音の厚みやスピード感が段違い。得意分野はHP-AL700がポップス、KSC75がロック。ほとんど何を聴くにしてもKSC75の方が良いだろうが、よほど聴き疲れが気になる人はHP-AL700の穏やかな音を好むかもしれない。

MDR-Q36LW
どちらもかなりフラットだが、HP-AL700の方がやや低音より。低域は厚みはともかく、全体的な量としてHP-AL700の方が若干出る。中域は、MDR-Q36LWの場合ソースによって変な嫌味が出ることがあるのに対して、HP-AL700はそんなことはない。高域はMDR-Q36LWの方が若干強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-AL700の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはどちらもいまいち。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がやや上。HP-AL700の方がノリが良くしかも繊細。ただし、大きな差はない。響きはHP-AL700の方がやや豊か。弦楽器はどちらもやや曇りがちでまったりした味わい。澄んだ感じを楽しみたいならどちらもあまり向かないだろう。金管楽器はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばHP-AL700の方が良いか。打ち込み系の音の表現も同様で、あまり大きな差はないように思う。得意分野はどちらもポップス。大抵の場合にはHP-AL700の方が良いように思うが、傾向はかなり似ているので、微妙な好みの差で評価が変わってきそう。

OMX52
HP-AL700はやや低音より、OMX52はかなりフラット。低域はHP-AL700の方がかなり量が多い。中域は、低域の量が少ないだけでなくやや高めの音を鳴らすOMX52の方がはっきり聴こえてくる。高域はHP-AL700の方が高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はOMX52の方がやや上。音場感は、広さだけなら物理的にサイズの大きいHP-AL700に分があるが、明確さという点ではOMX52の方が上のように感じる。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはOMX52の方が上。厚みは質感がかなり違うので判断が難しい。OMX52の方がタイト。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方が上。低域の量が多くて線が太いHP-AL700の方がノリが良いように感じるが、切れや軽快さはOMX52の方が上。細部まで鳴らしてくれる感じのするHP-AL700の方が繊細に感じる部分もあるが、粗のなさではOMX52の方が上。響きはHP-AL700の方が豊か。HP-AL700の方が音が太くて柔らかく、付帯音も多いように感じる。弦楽器はHP-AL700の方が心地よいが、澄んだ感じはOMX52の方が上。金管楽器はHP-AL700の方が高く鮮やかだが粗がある。打ち込み系の音の表現は、低域が出る分HP-AL700の方が良いように感じがちだが、音の質感そのものはOMX52の方が相性が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量や温かみが欲しいならHP-AL700、それ以外はOMX52。


・HP-D7
AH-G500
AH-G500は高音より、HP-D7は低音より。低域は全体的にHP-D7の方が出る。ただし、HP-D7の方が量が豊かというだけで、やや薄いところなど質的には良く似ている。高域はAH-G500の方が出る。HP-D7は何を聴いてもやや低めの音を鳴らすが、AH-G500は低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべて若干AH-G500の方が良い。AH-G500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはAH-G500の方が上、厚み、密度はHP-D7の方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはAH-G500の方が上。HP-D7の方がノリが良く、AH-G500の方が繊細。AH-G500の方が線の細い音。響きはHP-D7の方が豊か。弦楽器、金管楽器はAH-G500の方が原音に近く自然。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野はAH-G500はクラシック、HP-D7はポップス。使い分けるなら、ポップスはHP-D7、それ以外はAH-G500。ただし、AH-G500は非常に聴き疲れするので、その場合にはHP-D7の方が良いだろう。

DT231PRO
DT231PROはドンシャリ、HP-D7はやや低音より。低域はほぼ同量だが若干HP-D7の方が出る。量の差よりも、ソースによってHP-D7の方が一段低い音を鳴らすことの方が気になる。高域はDT231PROの方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT231PROの方が上。DT231PROの方がエッジがきつくかなり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT231PROの方が上。厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方が上。ノリの良さならHP-D7、繊細さならDT231PRO。響きはどちらも適度だが、HP-D7の方がやや豊か。弦楽器はDT231PROの方が繊細なのだが、線が細すぎるという人も多そう。金管楽器はDT231PROの方が高く鮮やか。雲泥の差。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野はDT231PROはジャズ、HP-D7はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT231PRO、ポップスやロックはHP-D7。

HFI-15G
どちらも低音より。低域は出方が違うので一概には言えないが、HFI-15Gの方がやや出るようだ。高域はHP-D7の方がかなり出るが、超高域の音の高さはほぼ同等。シャープさと柔らかさのバランスがかなり似ている。分解能、音場感、原音忠実性はほぼ互角。HP-D7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-D7の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。ノリの良さならHP-D7、繊細さならHFI-15G。響きはHFI-15Gの方が若干豊かだが、抜けも良いのであまり差はないように感じる。弦楽器はHFI-15Gの方が伸びが良く心地よい。金管楽器はHP-D7の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野は、HFI-15Gはクラシック、HP-D7はポップス。使い分けるなら、弦楽器メインの曲やヴォーカルものはHFI-15G、それ以外はHP-D7。

HP830
HP830はドンシャリ、HP-D7は低音より。超低域はHP-D7の方が出るが、低域の厚みはHP830の方がある。高域はHP830の方が質・量ともに上。分解能、音場感はともにHP830の方が良い。HP830の方が原音に近いが、ややエッジがきつく聴き疲れする。そうは言っても基本的には聴き疲れしないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、繊細さ等、すべてHP830の方が上。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器ともにHP830の方が良い。繊細でいて迫力もある。金管楽器は一段高い音に聴こえる。それでいて打ち込み系の音の表現もうまい。HP-D7も打ち込み系の音とは相性がいいのだが、それでもHP830の方が更に上を行く。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもHP830の方が良いように感じる。

HP-DX3
どちらも低音よりだが、HP-D7の方が高音より。HP-DX3はとにかく低域が強くて高域はまったく聴こえないが、HP-D7は高域もそれなりに聴こえる。ただ、HP-DX3も高域の量が少ないだけでそれなりに高い音を鳴らす。分解能、音場感はHP-DX3の方が上。原音忠実性はHP-D7の方が上。ただし、低域が出すぎな点を除けばHP-DX3の方が上。HP-D7の方がエッジがきついがそれほど疲れないレベル。HP-DX3は低域が強すぎで疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-D7の方が上。厚みはどちらもあまりない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-DX3の方が上。HP-D7の方がノリが良い。響きはHP-DX3の方が豊か。弦楽器は低域が強いソースで無ければHP-DX3の方が良い。金管楽器はHP-D7の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野は、HP-D7はポップス、HP-DX3はクラシック。使い分けるなら弦楽器メインの曲やヴォーカルものはHP-DX3、それ以外はHP-D7。コストパフォーマンスはどう考えてもHP-D7の方が上。価格を無視しても、HP-D7の方が良いという人が多いだろう。HP-DX3は低域しか聴こえない上、低域も厚みも締まりも無い。

HP-AL700
全体的にはかなり似た音。HP-D7の方がやや低音より。低域はHP-D7の方が全体的に出る感じだし、高域はHP-AL700の方が高い。ただし、中域から中高域は非常に似た音。分解能、原音忠実性はHP-D7の方がやや上。音場感は意外にもほぼ互角に感じた。HP-D7の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはHP-D7の方がやや上。音の鮮やかさ、厚み、温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを程よく両立させている感じがあるが、どちらかというとHP-D7の方が繊細か。響きはほぼ互角。HP-AL700の方がやや曇りが気になる。弦楽器、金管楽器ともにかなり近いが、若干HP-D7の方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら耳かけ型とオーバーヘッド型どちらを使いたいか、で良いだろう。それほど大きな違いは感じない。

HP-M1000
HP-D7は低音より、HP-M1000はドンシャリ。超低域はHP-D7の方が若干強めだが、厚みはほぼ互角。高域はHP-M1000の方が若干出る上、低域に埋もれないためかなり差があるように感じられる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHP-M1000の方がやや上。ただし、どちらも原音忠実とは言いがたい。HP-M1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてHP-M1000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ただ、HP-M1000の方がやや芯の通った感じがある。HP-M1000の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-D7の方が豊か。HP-D7はHP-M1000と比べると曇っていてスピード感に欠ける。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-M1000の方が良いが、明るい音調が嫌なときはHP-D7の方が良いかもしれない。

HP-RX500
HP-D7はやや低音より、HP-RX500はかなりフラット。低域は全体的に見るとHP-D7の方がやや多く、厚みもある。ただし、超低域はHP-RX500の方が若干出るように感じる。それに対して中低域はHP-D7の方がかなり出る。HP-RX500は比較的ローエンドまでフラットな感じだが、HP-D7は若干山がある印象。中域はHP-D7の方が低域に覆われ気味。高域はHP-D7の方がやや高い音で量も多い。分解能及び原音忠実性はそれほど大きな差はないが、どちらかと言えばHP-D7の方が上。音場感はHP-RX500の方が上。HP-D7よりも遠くから音が鳴っていて立体感がある感じ。エッジのきつさはあまり差がないが、HP-D7の方が若干きついように感じるし、圧力もあるため聴き疲れする。明瞭さは低域が弱くあっさりした鳴らし方のHP-RX500の方が上のように感じるが、音の鮮やかさはHP-D7の方がやや良いように感じる。厚みはHP-D7の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、HP-D7の方が若干上に感じる。響きはHP-D7の方がやや豊か。弦楽器はHP-D7の方が癖がなく心地よい。これは中低域の量と音の密度の高さ両方が影響しているようだ。金管楽器はHP-D7の方が力強い鳴らし方で楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらも微妙。どちらも打ち込み系の音と相性が良いと言うにはややウォームで締まりや切れに欠けている。あえて優劣をつけるなら、中低域がしっかり出る上、厚みもあるHP-D7の方が良いか。ただ、あっさり聴きたいならHP-RX500もなかなか良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはHP-D7、音場や聴き疲れのなさ重視であっさり爽やかに音楽を楽しみたいならHP-RX500。

HPS3000
どちらもやや低音より。低域はHPS3000の方が若干強く、高域はHP-D7の方が強い。分解能、原音忠実性はHP-D7の方が上。音場感はほぼ互角。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方が上。ノリの良さならHPS3000、繊細さならHP-D7。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらもあまりうまくない。金管楽器はHP-D7の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなりにうまいが、どちらかと言えばHP-D7の方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-D7の方が良いような気がするが、ややウォームな部分があるので、ロック等で低音をきかせたい場合などはHPS3000の方が良いかもしれない。

MDR-CD480
どちらもやや低音よりだが、MDR-CD480の方が若干低音よりか。高域はほぼ同等。全体的に、別メーカーの作ったものとは思えないほど良く似た音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHP-D7の方が若干上に感じるが、差はほとんど無い。HP-D7の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-D7の方が若干上。厚み、密度はMDR-CD480の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方がやや上。ノリの良さならMDR-CD480、繊細さならHP-D7。響きはどちらも適度だが、MDR-CD480の方がやや豊か。HP-D7の方がやや線が細く、曇りのない音。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべて大きな差は無いもののHP-D7の方がうまい。得意分野はHP-D7はポップス、MDR-CD480はロック。使い分けならロックはMDR-CD480、それ以外はHP-D7。

MDR-XD400
HP-D7の方がドンシャリ、MDR-XD400は低音より。低域の厚みはHP-D7の方があり、高域もHP-D7の方が出る。分解能、音場感ともにMDR-XD400の方が良い。どちらもあまり原音忠実とは言えないが、エッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さ、鮮やかさ、厚み等すべてHP-D7の方が上。HP-D7は太い音、MDR-XD400は細い音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもそれなりといった感じで、ほぼ互角。ノリの良さならHP-D7、繊細さならMDR-XD400が上。響きはHP-D7は適度、MDR-XD400は豊か。音の広がりはMDR-XD400の方が圧倒的に良い。弦楽器はHP-D7はとにかく繊細さが足りない。その点、MDR-XD400はそこそこ繊細でしかも響きや伸びが良い。金管楽器は全般的にHP-D7の方が良い。特にブラスなどの中高音はHP-D7の方が一段高い音を鳴らすため美しく聴こえる。打ち込み系の音はHP-D7の方が良い。MDR-XD400は厚みに欠けるだけでなく、音の細さがいまいち合わない。得意分野はHP-D7は打ち込み系のポップス、MDR-XD400は生楽器系のポップス。使い分けるならジャンルよりもノリの良さを求めるならHP-D7、繊細さを求めるならMDR-XD400としたほうが良さそうだ。ただし、HP-D7はクラシックには合わない。

SP-K300
HP-D7はやや低音より、SP-K300はドンシャリ。低域、高域ともにSP-K300の方が出る。ただし、超低域はほぼ同量。HP-D7は低域が薄く、曇っているような印象を受けるが、SP-K300は低域の圧力の方が感じられる。分解能はSP-K300の方が上、音場感はHP-D7の方が上。どちらも原音忠実とは言いがたいが、まだHP-D7の方がまし。HP-D7の方がエッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSP-K300の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方がやや上。ノリの良さならSP-K300、繊細さならHP-D7。弦楽器はHP-D7の方が心地よく楽しめる。金管楽器はSP-K300の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野はHP-D7はポップス、SP-K300はロック。使い分けるならポップスや弦楽器メインの曲はHP-D7、それ以外はSP-K300。


・HP-DX1000
ATH-W1000
どちらもかなりフラットだが、ATH-W1000の方がやや高音より。低域はほぼ同量だが、どちらかと言えばHP-DX1000の方が全体的に出るし、厚みもある。ただ、ATH-W1000の方が柔らかい質感で、一概にどちらがどうとは判断できない部分もある。中域はどちらもややうわずり気味な感があるところは似ている。高域はATH-W1000の方が細くて硬い金属的な鳴り。分解能はほぼ互角。音場感はHP-DX1000の方が広くて立体感があり、一段上の力を持っている。ATH-W1000はかなり耳の近くで音が鳴っているのに対して、HP-DX1000はどちらかと言えば遠くで鳴っている。原音忠実性はHP-DX1000の方がやや勝っている。ただ、これはHP-DX1000が特に優れていると言うよりもATH-W1000の方が原音忠実に沿った音作りをしていないためだろう。ATH-W1000の方が全体的に線が細く、エッジもきついためやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-W1000の方が上。厚み、温かみはHP-DX1000の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさは線が細い分ATH-W1000の方が上に感じる。ノリの良さや繊細さという指標よりも、この2機種については音の近さや遠さという指標が根本にあって、その上で他の音質について議論されるべきだと感じた。正直、ATH-W1000が明るすぎると感じる人にはHP-DX1000はかなりお勧めできるし、HP-DX1000では鮮やかさや線の細さが足りないと感じる人にはATH-W1000がお勧めできる。ちなみに、スピード感はATH-W1000の方があるし、どちらがノリが良いかと言われれば、ATH-W1000だろう。響きはHP-DX1000の方がやや豊かだが、それでもさほど豊かなレベルではない。こもり感はHP-DX1000の方が気にならない。どちらもやや硬めの音だが、低域から中域はATH-W1000の方が柔らかく、中高域から高域はATH-W1000の方が硬い。弦楽器はどちらもやや明るめの表現で、繊細さは十分なのだが、心地よさという点では今一歩なところは良く似ている。金管楽器はATH-W1000の方が生き生きとした鳴らし方。ただ、これはHP-DX1000が不満というよりはATH-W1000の方が過剰な明るさと見るべきだろう。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。打ち込み系の音には、どちらかと言うと音が近い方が合うし、明るくウォームさの少ない音調がマッチしている。使い分けるなら、クラシックで音数の多いものや音場感を必要とするものはHP-DX1000、それ以外はATH-W1000。

edition7
edition7はややドンシャリ、HP-DX1000はかなりフラット。低域は厚み・量ともにedition7の方がかなり上。中域はHP-DX1000の方がややうわずり気味ではっきり聴こえる。高域はedition7の方がやや高いが、HP-DX1000の方が明るい鳴らし方に感じる。分解能、原音忠実性はedition7の方がかなり上。音場はHP-DX1000の方が広いが、明確さはedition7の方が上。edition7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはHP-DX1000の方が上。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてedition7の方が上。どちらも基本的にノリが良いが、editoin7は重厚で迫力があるのに対して、HP-DX1000は軽快で明るい。響きはHP-DX1000の方が豊かで、広がりもあるのでそういう要素が必要な曲はHP-DX1000の方が楽しめるだろう。弦楽器はedition7の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHP-DX1000の方が明るく鮮やかだが、edition7と比べると作ったような感じは否めない。打ち込み系の音の表現はedition7の方がかなりうまい。使い分けるなら、音の広がりが必要な曲はHP-DX1000、それ以外はedition7。

HP-DX3
HP-DX1000はかなりフラット、HP-DX3はかなり低音より。Victorの新フラグシップ機と旧フラグシップ機であるが、まったく別物。低域の量はHP-DX3の方がかなり出るが、厚みはほぼ互角。HP-DX1000は低域の動きが明確に把握できるが、HP-DX3はぼやけてまったく把握できない。中域はHP-DX1000の方がはっきり聴こえてくる。高域はHP-DX1000の方が一段高い音で、しっかり聴こえるしシャリついたりもしない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-DX1000の方が上。どちらもエッジはきつくないが、HP-DX3は低域の量が多すぎて聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-DX1000の方がかなり上。温かみは低域が出る分HP-DX3の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-DX1000の方がノリが良くかつ繊細。響きはHP-DX3の方がやや豊か。HP-DX1000の方が音に広がりがあり、こもり感も気にならない。HP-DX3はかなり柔らかい音であるのに対して、HP-DX1000はやや硬めの音。弦楽器はHP-DX1000の方が澄んだ音色。柔らかくて心地よければ他の点はどうでもいいというならHP-DX3の方が良いと感じる人もいるかもしれないが、そうでなければHP-DX1000の方が良いだろう。金管楽器はHP-DX1000の方が鮮やかで前面に出てくる感じ。打ち込み系の音の表現はHP-DX1000の方が切れのある表現でうまい。ほとんど何を聴くにしてもHP-DX1000の方が良いように感じるが、まったく違う2機種なので、一部の極端なソースにはHP-DX3の方が合うこともある。それにしても、全体的な能力ではHP-DX1000の方が圧倒的に高い。

MDR-CD3000
どちらもかなりフラット。低域は全体的な量はかなり近いが、HP-DX1000の方が厚みがある。ドンと前に出てくるような感じ。MDR-CD3000の方がローエンドまでフラットな印象。中域はHP-DX1000がややうわずり気味なのに対して、MDR-CD3000は癖がない。中高域から高域はMDR-CD3000の方が高くて細い、刺激的な音を鳴らす。分解能はどちらも高く、甲乙付け難いが、あえて上下をつけるならMDR-CD3000の方が若干上のように感じる。音場感もそれほど大きな差はないように感じるが、空間の広さや音の広がりはMDR-CD3000の方が上。ただし、明確さではむしろHP-DX1000の方が上のようにも感じる。原音忠実性は一概には言えない。一般的な意味で言うなら、低域から中域はMDR-CD3000の方が原音に近く、中高域から高域はHP-DX1000の方が原音に近い。原音の実体感という意味ではHP-DX1000の方が一段上。MDR-CD3000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-DX1000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD3000の方が上。ヴォーカルはMDR-CD3000がなかなか艶っぽいのに対して、HP-DX1000は瑞々しいという印象。ノリの良さはHP-DX1000の方が上。厚み、切れ、軽快さ、スピード感すべてにおいて勝っている。MDR-CD3000の方が線が細いが、広い意味で繊細さを考えたときに、どちらがより繊細かは微妙なところ。響きはほぼ互角だが、音域傾向の関係上MDR-CD3000の方が豊かに感じやすいようだ。音の広がり、こもり感のなさはMDR-CD3000の方がやや上。ただし、こもり感はHP-DX1000もほとんど気にならないレベル。HP-DX1000の方が明るくメリハリがあり、新しい音作りになっているように感じるが、硬いと感じる人も多そう。弦楽器はMDR-CD3000の方が心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならHP-DX1000の方が良い。金管楽器はHP-DX1000の方が力強い鳴らし方だが、ハイハット等はMDR-CD3000の方が刺激的で楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-DX1000の方がうまい。低域はHP-DX1000の方が厚み・締まりともに相性が良い。中高域から高域は、MDR-CD3000は細すぎるように感じる。使い分けるなら、地味な音を求めているときにはMDR-CD3000、明るい音を求めているときにはHP-DX1000か。どちらもかなりオールマイティーではあるが、空間表現のうまさから、クラシックが向いていると言えそう。あえてジャンルで使い分けるなら、クラシックはMDR-CD3000、それ以外はHP-DX1000という使い分けもありかもしれない。


・HP-DX3
DT770PRO
HP-DX3の方が低音より。特に超低域にかなり差がある。HP-DX3は高域はまったく聴こえてこないが、DT770PROは低域同様非常に良く聴こえる。中域はHP-DX3は低域に流されるが、DT770PROはまったくそんなことはない。分解能、音場感ともにDT770PROの方が一段上。その上原音に近い。DT770PROの方がエッジがきつい上、サ行の音が痛くやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、情報量等DT770PROの方が圧倒的に上。温かみはHP-DX3の方がややあるが、ヴォーカルの艶っぽさはDT770PROの方が良い。DT770PROの方がノリの良く、それでいて繊細。響きはHP-DX3は豊か、DT770PROは適度。弦楽器、金管楽器ともにDT770PROの方が自然で魅力的。ただし、弦楽器はHP-DX3の方が伸びが良く、人によって評価が分かれるところだろう。金管楽器の差は圧倒的。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、DT770PROの方がまだ聴ける。得意分野はHP-DX3はクラシック(弦楽器)、DT770PROはジャズ。何を聴くにしてもDT770PROの方が上に感じるが、あえて使い分けるなら弦楽器だけはHP-DX3でそれ以外はDT770PRO。

HP-D7
どちらも低音よりだが、HP-D7の方が高音より。HP-DX3はとにかく低域が強くて高域はまったく聴こえないが、HP-D7は高域もそれなりに聴こえる。ただ、HP-DX3も高域の量が少ないだけでそれなりに高い音を鳴らす。分解能、音場感はHP-DX3の方が上。原音忠実性はHP-D7の方が上。ただし、低域が出すぎな点を除けばHP-DX3の方が上。HP-D7の方がエッジがきついがそれほど疲れないレベル。HP-DX3は低域が強すぎで疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-D7の方が上。厚みはどちらもあまりない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-DX3の方が上。HP-D7の方がノリが良い。響きはHP-DX3の方が豊か。弦楽器は低域が強いソースで無ければHP-DX3の方が良い。金管楽器はHP-D7の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野は、HP-D7はポップス、HP-DX3はクラシック。使い分けるなら弦楽器メインの曲やヴォーカルものはHP-DX3、それ以外はHP-D7。コストパフォーマンスはどう考えてもHP-D7の方が上。価格を無視しても、HP-D7の方が良いという人が多いだろう。HP-DX3は低域しか聴こえない上、低域も厚みも締まりも無い。

HP-DX1000
HP-DX1000はかなりフラット、HP-DX3はかなり低音より。Victorの新フラグシップ機と旧フラグシップ機であるが、まったく別物。低域の量はHP-DX3の方がかなり出るが、厚みはほぼ互角。HP-DX1000は低域の動きが明確に把握できるが、HP-DX3はぼやけてまったく把握できない。中域はHP-DX1000の方がはっきり聴こえてくる。高域はHP-DX1000の方が一段高い音で、しっかり聴こえるしシャリついたりもしない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-DX1000の方が上。どちらもエッジはきつくないが、HP-DX3は低域の量が多すぎて聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-DX1000の方がかなり上。温かみは低域が出る分HP-DX3の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-DX1000の方がノリが良くかつ繊細。響きはHP-DX3の方がやや豊か。HP-DX1000の方が音に広がりがあり、こもり感も気にならない。HP-DX3はかなり柔らかい音であるのに対して、HP-DX1000はやや硬めの音。弦楽器はHP-DX1000の方が澄んだ音色。柔らかくて心地よければ他の点はどうでもいいというならHP-DX3の方が良いと感じる人もいるかもしれないが、そうでなければHP-DX1000の方が良いだろう。金管楽器はHP-DX1000の方が鮮やかで前面に出てくる感じ。打ち込み系の音の表現はHP-DX1000の方が切れのある表現でうまい。ほとんど何を聴くにしてもHP-DX1000の方が良いように感じるが、まったく違う2機種なので、一部の極端なソースにはHP-DX3の方が合うこともある。それにしても、全体的な能力ではHP-DX1000の方が圧倒的に高い。

SP-K300
HP-DX3は低音より、SP-K300は低音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなりしっかり低い音を鳴らしてくれるが、こと量に関してはHP-DX3の方がある。厚みはSP-K300の方があるように感じる。中域はSP-K300の方がはっきり聴こえてくる。HP-DX3は圧倒的な量の低域に埋没する。高域はSP-K300の方が高く硬い音で、量も多い。分解能はSP-K300の方が上。音の分離で勝っているし、微細な表現もHP-DX3ほどは低域に埋もれない。音場感はHP-DX3の方が良い。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、原音の粗や生っぽさはSP-K300の方が感じられる。SP-K300の方がエッジがきつく圧力のある音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSP-K300の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-DX3の方が上。ノリの良さならSP-K300、繊細さならHP-DX3。響きは、低域はHP-DX3、高域はSP-K300の方が豊か。弦楽器はHP-DX3の方が繊細で心地よいが、どんな音も低めに鳴らしてしまうのが難点。金管楽器はSP-K300の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はSP-K300の方がうまい。締まりのある音で、厚みや圧力もあるため。得意分野はHP-DX3はクラシック、SP-K300はロック。使い分けるなら、アコースティックな楽器はHP-DX3、それ以外はSP-K300。温かみやヴォーカルの艶っぽさを重視するならHP-DX3、音の鮮やかさや厚みを重視するならという使い分けもありだろう。


・HP-FX77
AH-C700
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は、柔らかくぼやけていて量がかなり多い点は似ているが、HP-FX77の方がやや量が多い。中域はAH-C700の方がかなりはっきり聴こえてくる。これは低域の量の問題よりも、基本的な能力の差が大きいだろう。高域はAH-C700の方がやや控え目で粗のない鳴らし方。分解能及び音場感はAH-C700の方が上。音の分離にかなり差がある。音場感はAH-C700の方が立体的で明確。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、どちらかと言えばAH-C700の方が上。HP-FX77の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはAH-C700の方が上。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはAH-C700の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いが、AH-C700の方が厚みや圧力で勝っているため総合的に見てノリの良さで勝っているし、粗の少ないしっかりした鳴らし方という点で繊細でもある。響きはどちらも豊かでほぼ同等レベル。弦楽器はAH-C700の方が粗がなく心地よい。金管楽器はHP-FX77の方が派手だが、AH-C700の方がしっかり芯の通った丁寧な鳴らし方。打ち込み系の音の表現はAH-C700の方がうまい。使い分けるなら、基本的にはAH-C700、粗があっても良いから派手さを求めるならHP-FX77。

BA-PC15
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はBA-PC15の方が若干量が多く低い音。中域はHP-FX77の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-FX77の方が高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角レベルだが、どちらかと言うとHP-FX77の方が良いように感じる。エッジのきつさはほぼ同等だが、BA-PC15の方が圧力があり聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX77の方がやや上。厚みはBA-PC15の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が良い。BA-PC15の方がノリが良い。響きはHP-FX77の方が豊か。BA-PC15の方がやや締まっていて、暗めの音調。弦楽器はHP-FX77の方が心地よいが、多少癖があっても澄んでいて生っぽい音が欲しいならBA-PC15の方が良いだろう。金管楽器はHP-FX77の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、厚みや圧力が欲しいならBA-PC15、明るさが欲しいならHP-FX77といった感じ。得意分野はBA-PC15がロック、HP-FX77がポップス。使い分けるなら、厚みや圧力が欲しいならBA-PC15、明るさや高域の質・量を求めるならHP-FX77。

CX300
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなり量が多いが、CX300の方が若干タイトで制動のかかった低域。そのおかげで、中域もCX300の方が低域に埋もれず聴こえてくる。高域は、量や音の高さはかなり近いが、CX300の方がシャリつかない。メーカーが違う割には似た音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はCX300の方がやや上。音場感はほぼ互角。エッジのきつさはほぼ互角。CX300は音の圧力で聴き疲れする一方、HP-FX77はこもり感で聴き疲れする。ただし、どちらも使用に耐えないほどではない。明瞭さ、音の鮮やかさはCX300の方がやや上。厚みはCX300の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、CX300の方がやや勝っているように感じる。響きはほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が豊か。CX300の方がしっかりと安定した鳴らし方をしてくれる。弦楽器はCX300の方が繊細。金管楽器はCX300の方が芯の通った音で力強い。打ち込み系の音の表現はCX300の方がうまい。HP-FX77は低域の量だけといった感じなのに対して、CX300は音の厚みや圧力も十分ある。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもCX300の方が若干良いように感じる。下手に似ているだけに、どちらか片方持っていれば十分の機種。

DTX50
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらもぼやけていて量が多い点は似ていて基本的には質・量ともに近いのだが、DTX50の方が圧力があり、特にベースやバスドラが妙に目立つ。中域はどちらも低音の量に負けて控え目。高域はHP-FX77の方がやや量が多く、明るい表現。分解能及び原音忠実性はほぼ同等。音場感はDTX50の方が耳の近くで鳴らす感じ。エッジのきつさはほぼ互角だが、DTX50の方が圧力があり聴き疲れしやすいように感じる。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX77の方がやや上。厚みはDTX50の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。DTX50の方が圧力や勢いがありノリが良いように感じる。響きは、低域はDTX50の方が豊か、高域はHP-FX77の方が豊か。こもり感はDTX50の方が酷い。弦楽器はDTX50の方が心地よいが、どちらが良いと感じるかは好みの差だろう。金管楽器はHP-FX77の方が明るい表現、DTX50の方が力強い。打ち込み系の音の表現は、低域の質はDTX50の方が良いが、中高域はHP-FX77の方が明るくて良い。使い分けるなら、低域の質感重視ならDTX50、高域の明るさ重視ならHP-FX77。

E2c
E2cはかなりフラット、HP-FX77は低音よりのドンシャリ。低域はHP-FX77の方がかなり量が多い。中域はE2cが癖がなくはっきり聴こえてくるのに対して、HP-FX77は低域に埋もれる上やや低めの音。高域はHP-FX77の方が高い音で、シャリつくのが気になる。分解能、音場感、原音忠実性すべてE2cの方が上。特に原音忠実性は雲泥の差。HP-FX77の方がエッジがきつい上、こもり感のせいで聴き疲れする。明瞭さはE2cの方が上、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもあまり感じられない。E2cがモニター的な冷静な鳴らし方であるのに対して、HP-FX77は冷静さは感じられない。響きはHP-FX77の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにE2cの方が良い。HP-FX77はとにかく原音と違いすぎる。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。HP-FX77は低域の量だけという印象だが、E2cはそれなりに切れやスピード感がある。使い分けるなら、基本的にはE2c、よほど低域の量や刺激が欲しいときだけHP-FX77。

EG-ER50
どちらも低音よりのドンシャリだが、EG-ER50の方がフラット。低域はHP-FX77の方が量が多い。中域は、EG-ER50は低域の曇りに覆われる感じ、HP-FX77は低域の量に埋もれる感じ。高域はHP-FX77の方が若干高く、目立つ。分解能はHP-FX77の方が上。音場感、原音忠実性はほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が良い。HP-FX77の方がややエッジがきつく、こもり感も気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-FX77の方がやや上。厚みはそれほど差がないが、どちらかと言えばHP-FX77の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さ・繊細さ共に不満があるが、HP-FX77の方がノリが良い。響きはHP-FX77の方がやや豊か。弦楽器はHP-FX77の方が繊細。金管楽器はほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-FX77の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-FX77の方がうまい。EG-ER50は低域の量感や明るさがかなり不満だが、HP-FX77はそれなりに良い。得意分野はEG-ER50がロック、HP-FX77がポップス。使い分けるなら、こもり感や聴き疲れを嫌うならEG-ER50、それ以外はHP-FX77。

m5
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は量的にはあまり大きな差はないが、m5の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし、厚みもある。中域はどちらも低域の量に負けるが、m5の方がやや高い音で低域と繋がっていないような感じがして、はっきり聴こえてくる。高域はm5の方がやや高く鋭い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はm5の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ上。原音の粗や生っぽさも感じられる。音場感はあまり大きな差はないが、m5の方が明確。m5の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはm5の方が上。厚みもm5の方がある。温かみはHP-FX77の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。m5の方がノリが良い。響きはHP-FX77の方がやや豊か。m5の方が明るく、音の輪郭がはっきりしている。弦楽器は、心地よさという点ではさほど差はないが、m5の方が繊細。特にヴァイオリンの澄んだ感じ等を楽しみたいならm5の方がかなり良い。金管楽器は、音の高さは大きな差はないが、m5の方が鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はm5の方がうまい。音の厚み、質感が合う。使い分けるなら、基本的にはm5、m5では派手すぎると感じるならHP-FX77。

MDR-EX71SL
どちらもドンシャリだが、HP-FX77の方が低音より。低域はどちらもしっかり出るが、HP-FX77の方が量が多い。中域は、MDR-EX71SLの方が低域に埋もれずしっかり聴こえる。高域はMDR-EX71SLの方がやや高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はMDR-EX71SLの方がやや上。音場感はほぼ互角。MDR-EX71SLの方がややエッジがきついが、HP-FX77は低域の量が多すぎるのとこもり感がひどいせいで疲れるため、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX71SLの方が上。厚みはMDR-EX71SLの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いが、HP-FX77は低域の量だけで押しているように感じるのに対して、MDR-EX71SLは低域だけでなく厚みと切れも良い。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-EX71SLの方が上のように感じる。響きはHP-FX77の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX71SLの方が厚みや締まりがあり、うまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、よほど低域の量が欲しいときだけHP-FX77、それ以外はMDR-EX71SL。


・HP-M1000
ATH-PRO700
どちらもややドンシャリだが、ATH-PRO700の方がやや高音より。低域は全体的にHP-M1000の方が若干出るし、高域はATH-PRO700の方が出る。高域はATH-PRO700の方が硬く澄んでいてシャリつかない。分解能はATH-PRO700の方が上、音場感はHP-M1000の方が上。ATH-PRO700の方が原音忠実だが、エッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはATH-PRO700の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度にはそれほど差は感じないが、HP-M1000はやや濁っているのに対してATH-PRO700はかなり澄んでいる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がやや良い。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならATH-PRO700。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はATH-PRO700の方が原音に近く生の粗っぽさが感じられるが、マイルドで心地よく聴けるのはHP-M1000。金管楽器はATH-PRO700の方が鮮やかで澄んでいる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。ATH-PRO700の方が芯が通っていて硬くシャープな鳴り方。見方を変えればHP-M1000の方がぼやけて濁っている。得意分野はどちらもポップス。基本的にどちらが優れたヘッドホンかと言われればATH-PRO700だと思うが、どちらが楽しく聴けるかと言われればHP-M1000。使い分けと言うより、そのあたりで好みが分かれる2機種だと思うので、あまり比較したくはない。

dj1001
dj1001はややかまぼこ、HP-M1000はドンシャリ。低域は全体的にHP-M1000の方が出る。高域はほぼ同量、中域はdj1001の方が出る。分解能、音場感、原音忠実はすべてdj1001の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかと言えばdj1001の方が疲れるか。明瞭さ、厚み、密度はdj1001の方が上。鮮やかさや温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がある。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならdj1001。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はHP-M1000の方がマイルドで心地よく楽しめるが、原音に近いのはdj1001。金管楽器はdj1001の方が若干良い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低音が出る分HP-M1000の方がやや有利か。得意分野はどちらもポップス。分解能や音場感はdj1001の方が良いが、あまり音楽を楽しむのに向いてない音作り。逆に、HP-M1000は音楽を楽しむためだけに作られたような音。どちらを好むかで評価はまったく変わると思われる。

DT660 Edition 2007
DT660 Edition 2007はやや高音より、HP-M1000はややドンシャリ。低域はHP-M1000の方がかなり量が多くぼやけている感じ。中域はDT660 Edition 2007の方が低域に邪魔されない上やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はDT660 Edition 2007の方が高く鋭い音だが、意外と似た音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT660 Edition 2007の方が上。音の分離にしろ細部の描写にしろDT660 Edition 2007の方が勝っている。音場はDT660 Edition 2007の方が立体感があり明確。DT660 Edition 2007の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等。高域はDT660 Edition 2007の方が痛いが、サ行の音はHP-M1000の方が痛い。明瞭さはDT660 Edition 2007の方がかなり上、音の鮮やかさもDT660 Edition 2007方がやや上。厚みはHP-M1000の方があるように感じられるが、これは厚みと言うよりも音が太く低域の量が多いことが主な要因だろう。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT660 Edition 2007の方が上。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならDT660 Edition 2007。響きはHP-M1000の方が豊かで、こもり感がかなり気になる。どちらもある種の爽やかさがある点や付帯音が感じられる点は似ている。弦楽器はDT660 Edition 2007の方が繊細かつ心地よい。金管楽器は意外と近い鳴らし方だが、HP-M1000は余計な音を鳴らしすぎる感があり、基本的にはDT660 Edition 2007の方が良い。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。低域の量や音の太さがマッチする。ただ、DT660 Edition 2007の方が軽快でスピード感があるので、ソースによってはDT660 Edition 2007の方が良いと感じられることもある。使い分けるなら、基本的にはDT660 Edition 2007、低域が欲しいときにはHP-M1000。

HD215
HD215はかなりフラット、HP-M1000はドンシャリ。低域はHP-M1000の方がかなり量が多いし、一段低い音を鳴らす。中域はHD215の方がはっきり聴こえてくる。高域はHD215の方がやや線が細い感じ。どちらも十分量出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD215の方がやや上。HP-M1000の方がかなり耳の近くで音が鳴っている感じ。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さは低域が弱い分HD215の方がやや上に感じられるが、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上に感じられる。厚み、温かみはHP-M1000の方がかなり上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-M1000の方がノリが良い。響きはHP-M1000の方が豊か。低域が強いこともあり、こもり感はHP-M1000の方がかなり気になる。弦楽器はHP-M1000の方が心地よいが、ヴァイオリンの清涼さ等を求めているならHD215の方が良いだろう。金管楽器はどちらもなかなか鮮やか。HD215の方がやや高く細い鳴らし方。HP-M1000の方が力がある。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HP-M1000の方が一段上。低域が出るだけでなく、音の厚み、圧力等、様々な意味で勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスやロックはHP-M1000、それ以外はHD215。かなり違う鳴らし方をする2機種だが、粗がある等の類似点もあるので要注意。

HFI-650
どちらもドンシャリ。超低域はHP-M1000の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はほぼ互角だが、どちらかといえばHF-650の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHFI-650の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さはHFI-650の方が上だが音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度はHFI-650の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。過度の味付けが気にならないならHP-M1000の方が良いが、そうでないならHFI-650の方が良い。どちらもノリが良いが、HFI-650は低域に頼らないノリの良さ、HP-M1000は低域にかなり頼ったノリの良さ。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器はHFI-650の方が原音に近いが、マイルドな心地よさはHP-M1000の方がある。金管楽器はHFI-650の方が一段高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、HFI-650の方が切れが良くスピード感があるように感じる。得意分野はどちらもポップスで、どちらもドンシャリなのだが、意外に違う音調。HP-M1000は妙なウォームさやぼやけた感じがあるが、HFI-650はまったくそんなことはない。HP-M1000はサラサラした感触が楽しめるが、HFI-650は芯が通っていて余分な音はしない。ただ、ポップスを楽しむという視点で見るならどちらが特に良いということはない。使い分けるなら、ポップスはHP-M1000、それ以外はHFI-650だが、どちらも一癖ある音なので、好みが分かれるところだろう。

HP-D7
HP-D7は低音より、HP-M1000はドンシャリ。超低域はHP-D7の方が若干強めだが、厚みはほぼ互角。高域はHP-M1000の方が若干出る上、低域に埋もれないためかなり差があるように感じられる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHP-M1000の方がやや上。ただし、どちらも原音忠実とは言いがたい。HP-M1000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてHP-M1000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ただ、HP-M1000の方がやや芯の通った感じがある。HP-M1000の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-D7の方が豊か。HP-D7はHP-M1000と比べると曇っていてスピード感に欠ける。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-M1000の方が良いが、明るい音調が嫌なときはHP-D7の方が良いかもしれない。

MDR-7506
どちらもややドンシャリ。低域はMDR-7506の方がやや低い音で厚みもあるが、全体的な量はHP-M1000の方が多い。HP-M1000の方が曇っているように感じる。中域はMDR-7506の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくるが、これはMDR-7506の中域がややうわずり気味なせいもあるかもしれない。中高域はMDR-7506の方がかなり出るが、高域はHP-M1000の方が細くて目立つ印象。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-7506の方が上。HP-M1000の方がややエッジがきつく聴き疲れするが、絶対値としては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方が上。どちらもノリが良いが、HP-M1000はとにかく楽しく聴かせる音作りになっているのに対して、MDR-7506は楽しく聴かせながらもモニター的な部分がしっかり感じられる。響きはどちらも適度だが、どちらかと言えばHP-M1000の方がやや豊かか。弦楽器はMDR-7506の方が繊細。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やかで楽しめるし原音に近い。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまい。HP-M1000では切れが足りないようならMDR-7506の方が合うだろうし、MDR-7506では低域の絶対量が不足に感じるならHP-M1000の方が合うだろう。使い分けるなら、基本的にはMDR-7506で、温かみやヴォーカルの艶っぽさが欲しいときにはHP-M1000。

MDR-Z700DJ
どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方が低音より。低域はどちらも超低域まで出るが、厚み・量ともにMDR-Z700DJの方がやや上。高域はHP-M100の方がかなり出る。中域はどちらもやや埋もれ気味。分解能はMDR-Z700DJの方が若干良いが、音場感はHP-M1000の方が上。どちらも原音忠実とは絶対に言えないが、味付けの少なさと言う観点から見るとMDR-Z700DJの方がまだ原音に近いと言える。どちらもエッジはきつくないが、MDR-Z700DJの方が低音よりで濁りもないため聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-M1000、厚み、密度はMDR-Z700DJの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がある。HP-M1000は濁っているという見方もできるが、好意的に解釈するならSE-A1000やUR/40に通じるサラサラした独特の感触が楽しめると言える。余韻が空気に溶けていく感じもなかなか楽しめる。どちらも非常にノリが良い。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方が楽しめる。ただし、少しでも原音に近いほうがいいなら前述の通りMDR-Z700DJの方が良いだろう。得意分野はどちらもポップス。使い分ける必要性は感じられない。どちらか片方持っていれば良い機種。

MDR-Z900
MDR-Z900は低音より、HP-M1000はドンシャリ。MDR-Z900の方が超低域はかなり出るし、厚みもやや上。高域は若干HP-M1000の方が強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z900の方が上。HP-M1000の方が聴き疲れしない。明瞭さはHP-M1000の方が上だが、音の鮮やかさは互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらもノリが良いが、HP-M1000の方が明るいノリ。響きはどちらもかなり豊か。弦楽器は基本的にはMDR-Z900の方が美しいが、低域の強いソースではHP-M1000の方が良い。金管楽器はHP-M1000の方が一段高く鮮やかだが、ソースによっては安っぽくなる。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。得意分野はMDR-Z900はロック、HP-M1000はポップス。使い分けるならポップスや金管楽器メインの曲はHP-M1000、それ以外はMDR-Z900。

SE-900D
SE-900Dはかなりフラット、HP-M1000はドンシャリ。低域は全体的にHP-M1000の方が出る。中域〜高域はほぼ同等。分解能、音場感、原音忠実性はSE-900Dの方がやや上。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすい。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上。厚み、密度はSE-900Dの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならSE-900D。響きはどちらも適度。SE-900Dは地味ながら安定感のある音。HP-M1000は明るく楽しめる音。弦楽器、金管楽器はSE-900Dの方がうまい。HP-M1000は余計な音を鳴らしすぎて原音とは違う感じ。ただ、全体の雰囲気は出る。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、HP-M1000の方が若干上。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならロックやポップスはHP-M1000、それ以外はSE-900D。

SP-K300
どちらもドンシャリ。低域はどちらも全体的にかなり出るが、SP-K300は密閉型特有のこもり感で量を稼いでいる感じ。実質的な出音はHP-M1000の方がある。高域は量的にはほぼ互角。中高域はHP-M1000の方が高く鮮やかだが、超高域はSP-K300の方が高い。全体的にはSP-K300の方がやや低音よりか。分解能、原音忠実性はSP-K300の方が上。音場感はHP-M1000の方がやや良い。SP-K300の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-M1000の方が上。どちらもかなりノリが良いが、HP-M1000の方が元気な鳴り。響きはSP-K300の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方がうまいが、純粋に原音忠実を求めるならSP-K300の方が良いだろう。得意分野はHP-M1000はポップス、SP-K300はロック。使い分けるならロックはSP-K300、それ以外はHP-M1000。


・HP-MD1
ATH-EM7
ATH-EM7はかまぼこ、HP-MD1はかなりフラット。低域はHP-MD1の方が一段低い音を鳴らしてくれる。ATH-EM7は低域の量がかなり不足に感じるが、HP-MD1はそれほど不足に感じない。高域はATH-EM7の方がシャリつかず、質がいい。分解能、原音忠実性はATH-EM7の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、どちらかというとHP-MD1の方が良い。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとATH-EM7の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-EM7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-EM7の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。HP-MD1はソースによってはやや曇っているように感じたり、嫌味が出たりするが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器は基本的にはATH-EM7の方が良いのだが、チェロ等の低域はまったくダメなので、多少繊細さを犠牲にしても低域の量が欲しいという人はHP-MD1の方が良いだろう。金管楽器はATH-EM7の方がやや鮮やかでaudio-technicaらしい金物っぽい鳴り。打ち込み系の音の表現もATH-EM7の方がうまいが、低域が足りないのが難点。低域が欲しい人はHP-MD1の方が合うかもしれない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、繊細さを選ぶならATH-EM7、低域の量を選ぶならHP-MD1。

HP-AL700
HP-AL700の方が低音より。低音は全体的にHP-AL700の方が出るし、そのせいでやや曇っている印象を受ける。中域〜高域はHP-MD1の方がやや強い。HP-MD1はヴォーカル等の中域にやや嫌味が出たり、低域が不足でスカスカに感じることがあるが、HP-AL700はそんなことはない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-AL700の方が上。HP-AL7000の方がエッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さは低域が弱い分HP-MD1の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がある。HP-AL700の方がノリが良くしかも繊細。響きはHP-AL700の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにHP-A700の方が楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、低域が出る分HP-AL700の方がやや良いように感じる。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-AL700の方が良いように感じるが、HP-AL700では低音が出すぎに感じたり、曇りが気になる人にはHP-MD1くらいのバランスの方が良いのかもしれない。

MDR-Q36LW
どちらもかなりフラット。別メーカーとは思えないほど非常に良く似た音を鳴らす。低域は質・量ともにかなり近いが、どちらかと言えばMDR-Q36LWの方が柔らかい質感。中域はどちらもやや嫌味がある点まで似ている。高域はHP-MD1の方が若干強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。どちらもエッジはきつくないが、中域の嫌味のせいでソースによっては聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-MD1の方が若干上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Q36LWの方が若干上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、価格の割にバランスが良い点が良く似ている。響きはMDR-Q36LWの方が豊か。この点が、この2機種の一番の違いかもしれない。弦楽器はMDR-Q36LWの方が若干うまい。金管楽器はHP-MD1の方が若干鮮やかで目立つ。打ち込み系の音の表現はどちらかと言えばMDR-Q36LWの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分な機種。

PHP-200
PHP-200の方がドンシャリ。低域の量は大差ないが、PHP-200の方が一段低い音を鳴らす。HP-MD1はヴォーカル等の中域にやや嫌味が出ることがあるが、PHP-200はそんなことはない。高域はPHP-200の方が細く硬い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はPHP-200の方がやや上。音場感はほぼ互角。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPHP-200の方が上。PHP-200の方がノリが良くしかも繊細。響きはPHP-200の方がやや豊か。HP-MD1は曇りが気になる。弦楽器はPHP-200の方が繊細で心地よい。金管楽器はPHP-200の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現は、低域が出ることもありPHP-200の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が良いだろう。

SE-E33
HP-MD1はかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はHP-MD1の方が一段低い音を鳴らしてくれる。SE-E33は低域の量がかなり不足に感じるわりには曇っている。高域もHP-MD1の方がやや高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-MD1の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-MD1の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。HP-MD1はソースによってはやや曇っているように感じたり、嫌味が出たりするが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-MD1の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-MD1の方が良いだろう。


HP-NC80
EHP-CL430
EHP-CL430は低音よりのドンシャリ、HP-NC80はややドンシャリ。低域はEHP-CL430の方がやや低い音で量も多い。中域はEHP-CL430の方がやや高い音で目立つ。高域はEHP-CL430の方が高い音で量も多い。この2機種を全体的に見比べると、HP-NC80の方がフラットで周波数特性に癖がないと言える。分解能及び音場感はEHP-CL430の方がやや上。原音忠実性はほぼ互角。EHP-CL430の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEHP-CL430の方がやや上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-NC80の方がやや上。EHP-CL430の方がノリが良く、HP-NC80の方がおとなしい。響きはEHP-CL430の方がやや豊か。弦楽器はHP-NC80の方が粗のない鳴らし方。金管楽器はEHP-CL430の方が明るい鳴らし方。打ち込み系の音の表現はEHP-CL430の方がややうまい。多少メリハリがある感じ。使い分けるなら、明るく聴きたいならEHP-CL430、派手さを嫌うならHP-NC80。

HD25-1
どちらもややドンシャリ。低域は、量的にはHP-NC80の方がやや多いが、HD25-1の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし厚みもかなりある。中域は、HP-NC80が低域の曇りに覆われるのに対して、HD25-1はそんなことはない。高域はHD25-1の方が金属的でやや高い音。分解能はHD25-1の方が上。音場感はHD25-1の方が明確。原音忠実性はHD25-1の方がかなり上。HD25-1の方が原音の粗や生っぽさをかなり感じさせる。HP-NC80の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHD25-1の方がやや上。厚みはHD25-1の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは、低域の曇りと味付けのせいでHP-NC80の方がやや上に感じられる。HD25-1の方がノリが良い。響きはHP-NC80の方が豊か。弦楽器はHD25-1の方がかなり原音の生っぽさを感じさせる傾向。HP-NC80の方が塗りつぶしたような質感のせいで心地よさを感じる面もあるが、原音とはかなり異なる。金管楽器はHD25-1の方がかなり力強い。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。低域の質感や音の厚みに差がある。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、余程HD25-1の原音忠実的な面を避けたいときだけHP-NC80。

HP430
HP430はややかまぼこ、HP-NC80はややドンシャリ。低域は、量はHP-NC80の方が若干多いが、HP430の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らす感じ。中域はどちらも多少低域の曇りに覆われて目立たない点が似ている。高域はHP-NC80の方がやや高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。音場感はHP-NC80の方が広く明確。原音忠実性はほほ互角。周波数特性の癖のなさはHP-NC80の方が上だが、原音の粗はHP430の方が感じられる。エッジのきつさや聴き疲れはほぼ互角。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-NC80の方が若干上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-NC80の方がやや上。ノリの良さならHP430、繊細さならHP-NC80。響きはほぼ互角。弦楽器はHP-NC80の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHP-NC80の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。低域の質感はHP430の方が合うが、中高域から高域はHP-NC80の方が明るく楽しめる。使い分けるなら、低域の締まり重視ならHP430、自然さ重視ならHP-NC80。

Z headphones
HP-NC80はややドンシャリ、Z headphonesは低音よりのドンシャリ。低域はZ headphonesの方が厚みがあり量も多い。中域は、HP-NC80は低域の曇りに覆われる感じ、Z headphonesは低域の量に負ける感じ。高域は量的には大差ないが、Z headphonesの方が太く金属的。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-NC80の方がやや上。音場感はHP-NC80の方が広くて良い。原音忠実性はほぼ同等。HP-NC80の方がややエッジがきついが、Z headphonesの方が低域の圧力で疲れる面があり、ソースや聴く人によって聴き疲れは変わってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはZ headphonesの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。Z headphonesの方がノリが良いが、軽快なテンポの良さではなく、迫力のある感じ。響きはZ headphonesの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角。金管楽器はHP-NC80の方が明るい鳴らし方。打ち込み系の音の表現はHP-NC80の方がやや良い。中高域から高域の質感が違う。使い分けるなら、低音は迫力重視ならZ headphones、そうでなければHP-NC80。


HP-RX500
ATH-AD700
ATH-AD700はやや高音より、HP-RX500はかなりフラット。低域はHP-RX500の方が若干低い音で量も多め。中域はどちらも癖がないが、どちらかと言えばATH-AD700の方がはっきり聴こえてくる。高域はATH-AD700の方が細く高い音を鳴らす。分解能はATH-AD700の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はほぼ互角だが、どちらかと言えばATH-AD700の方が上。エッジのきつさはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-AD700の方が上。厚みや温かみはほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方が上。基本的な方向性としては、ノリの良さならHP-RX500、繊細さならATH-AD700といった感じ。響きはほぼ同等。弦楽器はATH-AD700の方がかなり繊細で良い。金管楽器はATH-AD700の方が高い音を鳴らすが、HP-RX500方が太く力強い鳴らし方で、好みが分かれるかもしれない。打ち込み系の音の表現は、相性そのものはATH-AD700の方が良いのだが、低域の量はHP-RX500の方があるため、微妙。得意分野はATH-AD700はクラシック、HP-RX500はポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-AD700、低域の量や線の太さを求めるならHP-RX500。

CDH-508
CDH-508はやや低音より、HP-RX500はかなりフラット。低域はCDH-508の方が量が多いし、やや低めの音を鳴らす。ただし、どちらも柔らかめな質感が感じられる点は似ている。中域はCDH-5008がかなり低域に覆われるのに対してHP-RX500はほとんどそんな感じを受けない。高域はHP-RX500の方がしっかり高い音を鳴らしてくれるし量も多い。分解能はほぼ互角。音場感はHP-RX500の方が立体低で明確。原音忠実性は癖のなさという意味でHP-RX500の方が上。HP-RX500の方がややエッジがきついが、CDH-508は低域の量が多くて疲れる部分があり、総合的な聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-RX500の方が上。厚みはCDH-508の方がある。温かみは低域が出る分CDH-508の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。CDH-508の方が圧力がありノリが良い。響きは、低域はCDH-508の方が豊か、高域はHP-RX500の方が豊か。弦楽器はCDH-508の方が厚手でマイルドな感じで心地よく楽しめる。金管楽器はHP-RX500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は微妙。音の相性そのものはHP-RX500の方が良いように感じるが、厚みや圧力ではCDH-508の方が勝っている。どちらが上と言うよりは好みだろう。得意分野はCDH-508はジャズ、HP-RX500はポップス。使い分けるなら、厚みや低域の量重視ならCDH-508、音場感重視で爽やかな鳴らし方を好むならHP-RX500。

HP-D7
HP-D7はやや低音より、HP-RX500はかなりフラット。低域は全体的に見るとHP-D7の方がやや多く、厚みもある。ただし、超低域はHP-RX500の方が若干出るように感じる。それに対して中低域はHP-D7の方がかなり出る。HP-RX500は比較的ローエンドまでフラットな感じだが、HP-D7は若干山がある印象。中域はHP-D7の方が低域に覆われ気味。高域はHP-D7の方がやや高い音で量も多い。分解能及び原音忠実性はそれほど大きな差はないが、どちらかと言えばHP-D7の方が上。音場感はHP-RX500の方が上。HP-D7よりも遠くから音が鳴っていて立体感がある感じ。エッジのきつさはあまり差がないが、HP-D7の方が若干きついように感じるし、圧力もあるため聴き疲れする。明瞭さは低域が弱くあっさりした鳴らし方のHP-RX500の方が上のように感じるが、音の鮮やかさはHP-D7の方がやや良いように感じる。厚みはHP-D7の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、HP-D7の方が若干上に感じる。響きはHP-D7の方がやや豊か。弦楽器はHP-D7の方が癖がなく心地よい。これは中低域の量と音の密度の高さ両方が影響しているようだ。金管楽器はHP-D7の方が力強い鳴らし方で楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらも微妙。どちらも打ち込み系の音と相性が良いと言うにはややウォームで締まりや切れに欠けている。あえて優劣をつけるなら、中低域がしっかり出る上、厚みもあるHP-D7の方が良いか。ただ、あっさり聴きたいならHP-RX500もなかなか良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはHP-D7、音場や聴き疲れのなさ重視であっさり爽やかに音楽を楽しみたいならHP-RX500。

VR-403SV
HP-RX500はかなりフラット、VR-403SVはややドンシャリ。低域は、ローエンドはHP-RX500の方がやや出るように感じるが、基本的にはVR-403SVの方が強め。ただし、量の差よりも、質感の差の方が大きいように感じる。HP-RX500の方が柔らかく、抜けが悪い。中域は、HP-RX500が癖がなくおとなしいのに対して、VR-403SVはややうわずっていて目立つ。中高域はHP-RX500の方がやや強めだが、高域はVR-403SVの方が高い音で尖っている。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えばVR-403SVの方が上。音場感はHP-RX500の方が立体感があり明確。原音忠実性は、HP-RX500の方が癖がなくて良い。VR-403SVの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはVR-403SVの方が上。厚みはどちらも薄い。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばHP-RX500の方が良い。ノリの良さならVR-403SV、繊細さならHP-RX500。響きはどちらも適度でほぼ互角。弦楽器はHP-RX500の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はVR-403SVの方が明るい鳴らし方だが、HP-RX500の方が癖がなく好印象。打ち込み系の音の表現はVR-403SVの方がうまい。HP-RX500はVR-403SVと比べるとウォームでおとなしすぎる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはHP-RX500、欠点があっても良いから明るくシャープに楽しみたいならVR-403SV。


・HPS3000
AHP-505
どちらも低音よりだが、HPS3000の方がドンシャリ。低域はかなり鳴らし方が違うが、AHP-505は薄く曇っている感じ、HPS3000はぼわつき気味なものの薄くはない。高域はHPS3000の方が一段高く量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。どちらもそれほどエッジはきつくないが、どちらかと言えばHPS3000の方がきつい。ただし、AHP-505はエッジはきつくないのだが曇りで疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHPS3000の方が上。HPS3000の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。最大の違いはこもり感や曇り。AHP-505はそのせいで聴けたものではない。その上、HPS3000の方がスピード感がある。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS3000の方がうまい。得意分野はAHP-505はロック、HPS3000はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いように感じる。

ATH-T44
ATH-T44はドンシャリ、HPS3000は低音より。低域は量ほぼ同量だが、厚みはHPS3000の方がある。高域は量はATH-T44の方がやや出るが、HPS3000の方がやや高い音を鳴らす。してみると、HPS3000もそれほど低音よりではないのかもしれない。分解能、原音忠実性はHPS3000の方がやや上。音場感はATH-T44の方がやや上。ATH-T44の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHPS3000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HPS3000の方が繊細。ATH-T44の方が勢いがあり、バランス無視のドンシャリ加減がマッチするソースも、ポップスやロックには多い。無難さを求めるならHPS3000だろう。響きはどちらも適度。ATH-T44の方が曇りやこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器はHPS3000の方がややうまい。打ち込み系の音の表現はATH-T44の方がうまいようにも感じるが、曇った感じとこもり感が致命的。得意分野はATH-T44がロック、HPS3000はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いように感じるが、曇りが気にならない人はポップスやロックはATH-T44、クラシックやジャズはHPS3000と使い分けはできるかもしれない。ただし、どちらもクラシックには向かない機種であることは確か。

EH-95
EH-95はややかまぼこ、HPS3000は低音より。低域はHPS3000の方が圧倒的に出る。高域は、量はほぼ同量なのだが、HPS3000の方がやや高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばHPS3000の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHPS3000の方が上。HPS3000の方がノリが良くしかも繊細。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS3000の方が上。得意分野はどちらもポップスだが、ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良い。

HN110
どちらも低音より。低域は、量はそれほど差はないのだが、HPS3000の方が低く厚みのある低域。中域はHN110が低域の曇りに覆われて聴こえてこないのに対して、HPS3000は低域に覆われたりはしないが、低域の豊かなソースでは量的に負ける。高域はHPS3000の方が硬く高くしっかり聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。HPS3000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHPS3000の方が上。ただし、塗りつぶしたような感触と薄い低域により、HN110の方がぬるい温かみはあるように感じられることもある。HPS3000の方がノリが良くかつ繊細。響きはHN110の方が豊か。弦楽器はHPS3000は一応聴けるレベルなのに対してHN110は聴けないレベル。繊細さがまったく足りない。金管楽器はHPS3000の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現もHPS3000の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いように感じる。

HN-505
どちらも低音よりだが、HPS3000の方が低域が若干弱い上、高域も聴こえる。HN-505は低域の量が凄いだけで、中域〜高域はまったく聴こえてこない。分解能、音場感、原音忠実性すべてHPS3000の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、HPS3000の方がややエッジがきつく高域も出るのでやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはHPS3000の方が圧倒的に上。温かみはほぼ互角だが、ヴォーカルの艶っぽさはHPS3000の方がかなり上。ノリの良さにしろ繊細さにしろHPS3000の方が上。響きはどちらも適度。HN-505はとにかく曇っている。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS3000の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHPS3000の方が良いと思われる。

HP-D7
どちらもやや低音より。低域はHPS3000の方が若干強く、高域はHP-D7の方が強い。分解能、原音忠実性はHP-D7の方が上。音場感はほぼ互角。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方が上。ノリの良さならHPS3000、繊細さならHP-D7。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらもあまりうまくない。金管楽器はHP-D7の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなりにうまいが、どちらかと言えばHP-D7の方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-D7の方が良いような気がするが、ややウォームな部分があるので、ロック等で低音をきかせたい場合などはHPS3000の方が良いかもしれない。

HPS5000
HPS3000はやや低音より、HPS5000はドンシャリ。低域はHPS3000の方がかなり量があるが、厚みはほぼ互角かHPS5000の方がある。HPS5000の方がロック向きの、締まった良質な低音。高域はHPS5000の方がやや強い。分解能、原音忠実性はHPS5000の方がやや上。音場感はほぼ互角。HPS5000の方がエッジがきつく聴き疲れするが、ヴォーカルのサ行の音等はHPS3000の方が痛く感じる。明瞭さ、音の鮮やかさはHPS5000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、温かみはHPS3000、ヴォーカルの艶っぽさはHPS5000の方が若干良いようだ。どちらもノリが良いが、HPS5000は低音が不足に感じられるかもしれない。HPS5000はその構造上、頭の幅によって低音の量の感じ方にかなり個人差が出るため一概には言えないが。響きはHPS3000の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS5000の方がややうまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分け以前の問題として、HPS5000はかなり装着感が悪いため使用不能な可能性が高い。もし装着感が同レベルだと仮定して使い分けするなら、低音の量が欲しいときはHPS3000、それ以外はHPS5000。

HP-X122
HPS3000は低音よりHP-X122はドンシャリ。低音はHPS3000の方が全体的に出るし、高音はHP-X122の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角。HP-X122の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-X122の方が上。厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも基本的にはノリが良いが、HP-X122の方が全音域聴こえてくること、スピード感があることから、よりノリが良いように感じる。響きはHPS3000の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現いずれもHP-X122の方がややうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が楽しめる。HPS3000の方が低音よりなこともあり、ややおとなしい印象。


・HPS5000
CDH-507
どちらもドンシャリで乾いた音を鳴らすところは似ているが、HPS5000の方が超低域は出ないし厚みもやや薄い。また、HPS5000の方が高音がおとなしくシャリつかない。つまりどちらがドンシャリかと問われれば、間違いなくCDH-507の方がドンシャリ。分解能、音場感ともにHPS5000の方が一歩勝る。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさに欠ける。HPS5000の方がヴォーカルはやや良いが温かみに欠けると感じる。ヴォーカルそのものがあまり聴こえてこない。HPS5000の方が明瞭で、非常に怜悧に感じる。一方、CDH-507は超低域が出るだけでなく中高域まで音がくもっているように感じる。その点、HPS5000はくもった感じはまったくない。切れは良いのだが、超低域が不足に感じる人もいるかもしれない。どちらもエッジがきつくあまり聴きやすいとは言えないが、HPS5000の方がまだ聴きやすい。どちらもクラシックを聴くのには絶対に使えない機種。得意分野はロックorポップスで、どちらにしてもHPS5000の方がやや良いように感じる。ただし、超低域は不足しているし装着感はCDH-507の方がまだまし。

DJ1 PRO
どちらもドンシャリだが、DJ1 PROの方がやや高音より。超低域はHPS5000の方がやや出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はDJ1 PROの方がやや強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてDJ1 PROの方が上。DJ1 PROの方がややエッジがきつく疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDJ1 PROの方が上。どちらも非常にノリが良い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてDJ1 PROの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもDJ1 PROの方が良いように感じるが、低音が欲しいロック等はHPS5000の方が良いかもしれない。

HPS3000
HPS3000はやや低音より、HPS5000はドンシャリ。低域はHPS3000の方がかなり量があるが、厚みはほぼ互角かHPS5000の方がある。HPS5000の方がロック向きの、締まった良質な低音。高域はHPS5000の方がやや強い。分解能、原音忠実性はHPS5000の方がやや上。音場感はほぼ互角。HPS5000の方がエッジがきつく聴き疲れするが、ヴォーカルのサ行の音等はHPS3000の方が痛く感じる。明瞭さ、音の鮮やかさはHPS5000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、温かみはHPS3000、ヴォーカルの艶っぽさはHPS5000の方が若干良いようだ。どちらもノリが良いが、HPS5000は低音が不足に感じられるかもしれない。HPS5000はその構造上、頭の幅によって低音の量の感じ方にかなり個人差が出るため一概には言えないが。響きはHPS3000の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS5000の方がややうまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分け以前の問題として、HPS5000はかなり装着感が悪いため使用不能な可能性が高い。もし装着感が同レベルだと仮定して使い分けするなら、低音の量が欲しいときはHPS3000、それ以外はHPS5000。

HP-X122
どちらもドンシャリ。超低域は若干HP-X122の方が出るが、低域の厚みそのものはHPS5000の方がある。高域はほぼ同量だが、HPS5000の方が若干澄んだ感じがある。分解能はHPS5000の方が若干良い。音場感はHP-X122の方が広く明確。一聴して原音に近いのはHP-X122だが、生の粗っぽさはHPS5000の方が感じられる。どちらもエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてHPS5000の方がやや上。HPS5000はHP-X122を凝縮したような音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方が感じられる。どちらもノリが良いが、繊細さを求めるならHPS5000だろう。響きはHPS5000はあっさり、HP-X122は適度。弦楽器はHP-X122の方が心地よく楽しめる。金管楽器はどちらも同様の安っぽさがありいまいち。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HPS5000の方がシャープさや明瞭さが良くマッチするように思う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならポップスはHPS5000、それ以外はHP-X122だが、基本的にはHP-X122があればHPS5000は不要かもしれない。

RP-DJ700
どちらもドンシャリ。超低域はHPS5000の方がやや強いため低めの音を鳴らすことがあるが、全体的な低域の量としてはRP-DJ700の方が出る。HPS5000ではスカスカに感じるソースでも、RP-DJ700なら大抵バランスよく鳴らしてくれる。高域はRP-DJ700の方がやや細く高い。分解能、音場感はほぼ互角。原音忠実性はRP-DJ700の方が上。どちらもエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはHPS5000の方がやや上。音の鮮やかさはRP-DJ700の方がやや上。HPS5000の方が凝縮されたような音。良くも悪くも余分な部分がかなりそぎ落とされている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-DJ700の方が上。基本的にはRP-DJ700の方がノリが良いが、切れという意味ではHPS5000の方が上。HPS5000の方がしっかり芯の通った音。弦楽器はRP-DJ700の方がうまい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、細さが違う。割れるくらいが丁度いいならRP-DJ700、割れるのが嫌いならHPS5000の方が良い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、普通に聴く分にはRP-DJ700の方が低域も高域も適度に出してくれるし違和感がない。得意分野はどちらもポップス・ロック。使い分けるならロックはHPS5000、それ以外はRP-DJ700。

RP-HT510
どちらもドンシャリだが、HPS5000の方がやや低音より。ただし、HPS5000の低域の聴こえ方は頭の幅によってかなり違ってくるので参考程度。高域はRP-HT510の方がかなり強い。分解能及び原音忠実性はHPS5000の方が上。音場感はRP-HT510の方がやや良いように感じる。RP-HT510の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT510の方が若干上。どちらもかなりノリが良い。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS5000の方がうまい。金管楽器はRP-HT510の方が一段高い音を鳴らすのだが、いかんせん割れすぎでチープな音。得意分野はどちらもポップス。使い分け以前に、HPS5000は装着感が悪すぎてNG、RP-HT510は聴き疲れし過ぎでNGという人が多いだろう。

SR-225
どちらもドンシャリ。HPS5000の方が若干低音よりか。どちらも超低域がやや弱めでありながら低域の厚みはかなりあるところ等似ている。高域はどちらもかなり出るが、SR-225の方がシャープな鳴り方をする。分解能はSR-225の方が良い。音場感はどちらも狭いが明確、ほぼ互角。SR-225の方が原音忠実。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、SR-225の方がまだまし。明瞭さや音の鮮やかさはSR-225の方が上、厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、SR-225の方がまだ良い。どちらもノリが良く、繊細さはあまり感じられない。響きはどちらもあっさり、音の抜けはSR-225の方が良い。弦楽器、金管楽器はともにSR-225の方が魅力的。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、単なる相性ならHPS5000の方が良い。得意分野はSR-225はロック、HPS5000はポップス。ほとんど使い分ける必要なくSR-225を使えば良いが、一部のトランスやテクノはHPS5000の方が面白いかもしれない。

Z headphones
どちらもドンシャリだが、Z headphonesの方が低音より。低域はZ headphonesは超低域までしっかり大音量で鳴らすが、HPS5000は超低域が弱めでありながら厚みはかなりある。高域はHPS5000の方がかなり豊か。HPS5000は低域よりもむしろ高域が出るドンシャリと言える。Z headphonesは低域が物凄い量出るが、不思議なことに高域があまり埋もれずに聴こえてくる。分解能はHPS5000の方がやや上に感じるが、低域がまったくないソースではかなりいい勝負。音場感はどちらも狭いがそれなりに明確で、ほぼ互角の印象。原音忠実性はどちらもDJ用にしては良いといったレベル。Z headphonesは大抵のソースでは低域が出すぎだし、HPS5000はシャープすぎる印象。HPS5000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度等すべてHPS5000の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはZ headphonesの方が感じられる。Z headphonesの方がノリが良く、HPS5000の方が繊細。響きはZ headphonesの方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにHPS5000は安っぽくなってしまいいまいち。Z headphonesは低域が強すぎることを除けば悪くない。打ち込み系の音の表現はHPS5000の方が得意。得意分野はZ headphonesがロック、HPS5000はポップス。どちらの機種もジャズやクラシックには使わない方が良いだろう。その反面、得意分野の相性が良いソースと合わせると価格以上の価値を発揮する。特にZ headphonesの癖のある音と合うロックはたまらない。


・HP-SN51
MDR-A35SL
どちらもやや低音より。低域はHP-SN51の方が薄く曇っていてやや量が多い。中域はMDR-A35SLの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、HP-SN51の方がやや粗がある感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-A35SLの方が良い。エッジのきつさはほぼ同等だが、HP-SN51の方が変な曇りや癖があり疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-A35SLの方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-A35SLの方が上。響きはMDR-A35SLの方がやや豊か。弦楽器はMDR-A35SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器は音の高さや鮮やかさにはそれほど差はないが、不自然さがないという点でMDR-A35SLの方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はMDR-A35SLの方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもMDR-A35SLの方が良いだろう。

P9
HP-SN51はやや低音より、P9はかなりフラット。低域はHP-SN51の方が曇っていて量が多い。P9の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はP9の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はP9の方がやや高い音で目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてP9の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろP9の方が上。音場はP9の方がすっきりと広く、明確。HP-SN51は低域から中域にかけて癖が気になるが、P9はHP-SN51と比べると気にならない。P9の方がエッジがきついが、HP-SN51は曇りのせいで聴き疲れする面もあるので、どちらが疲れるかはソースや聴く人によるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはP9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。P9の方がノリが良くかつ繊細。響きはP9の方が豊かだが、HP-SN51は曇りのせいで響きが豊かと感じる人も多そう。弦楽器はP9の方がうまい。HP-SN51は生楽器を鳴らしている感触に乏しい。金管楽器はP9の方が鮮やかで、それほど不自然な感じもしない。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。低域の質感でかなり勝っている。ほとんど何を聴くにしてもP9の方が良いだろう。


・HP-VX101
BA-PC15
BA-PC15は低音よりのドンシャリ、HP-VX101は低音より。低域は量的にはあまり差がないが、BA-PC15の方がしっかり低い音を鳴らすし厚みもある。中域は、BA-PC15が低域の量に負ける感じなのに対して、HP-VX101は低域の曇りに覆われる感じ。高域はHP-VX101の方が金属的な音でありながらヴェールがかかったように鮮やかさがない。質的な違いはあるものの、どちらも高域が目立つとは言いがたい感じ。全体としては、HP-VX101は薄い低域が支配的なのに対して、BA-PC15は単に低音の量が多いだけで中域から高域もそれなりに鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてBA-PC15の方がやや上。エッジのきつさはほぼ同等だが、HP-VX101の方が低域の曇りや圧力のせいで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはBA-PC15の方が上。厚みはBA-PC15の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらも良くないが、どちらかと言えばBA-PC15の方が上。BA-PC15の方がメリハリがありノリが良いように感じる。響きは質が違うので判断が難しいが、HP-VX101の方が曇りやこもりで響いているように感じがちなのに対して、BA-PC15は普通に響いて消えていくのが感じられるという違いがある。弦楽器はBA-PC15の方がうまい。HP-VX101はとにかく生楽器を鳴らしている感じが全然しない。金管楽器は質は違うもののどちらも地味であることに変わりない印象。打ち込み系の音の表現はBA-PC15の方がうまい。HP-VX101はあまりにも切れが悪すぎる。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもBA-PC15の方が良いだろう。

EG-ER50
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、HP-VX101は低音より。低域はEG-ER50の方が存在感があるが、量はHP-VX101の方が多く、曇りが非常に気になる。中域はEG-ER50はそれなりに聴こえてくるのに対して、HP-VX101は全体的に低い音を鳴らし、低域に埋もれる。高域はEG-ER50の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてEG-ER50の方が良い。EG-ER50の方がエッジがきついが、HP-VX101の方が低域が過剰でこもり感が非常に気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方がかなり上。厚みは質感が異なるため判断に困る。HP-VX101の方がかなりぼわついた印象。温かみは低域が強い割にはどちらもほとんど感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはEG-ER50の方が良い。EG-ER50の方がノリが良くかつ繊細。HP-VX101はとにかく低域が支配的なだけで、鈍重でスピード感に欠ける。響きはEG-ER50の方がやや豊か。弦楽器はEG-ER50の方が繊細。HP-VX101は聴けたものではない。金管楽器はHP-VX101がまったく聴こえてこないのに対して、EG-ER50はそれなりに聴こえてくる。打ち込み系の音の表現はEG-ER50の方がうまい。HP-VX101はスピード感だけでなく切れもまったく足りない。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもEG-ER50の方が良いだろう。

MDR-EX71SL
HP-VX101は低音より、MDR-EX71SLはややドンシャリ。低域はHP-VX101の方が量が多いが、MDR-EX71SLの方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。HP-VX101は量が多いだけで薄く、曇りが非常に気になる。中域はMDR-EX71SLの方がはっきり聴こえてくる。高域はMDR-EX71SLの方が細く高く硬いし、量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方がかなり上。MDR-EX71SLの方がエッジがきついが、HP-VX101は低域の量が多すぎて疲れるため、聴き疲れはソースや聴く人によってかなり違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がノリが良くかつ繊細。響きはMDR-EX71SLの方が豊かだが、こもり感はHP-VX101の方がかなり気になる。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX71SLの方が厚み、切れ、スピード感に勝り、楽しめる。得意分野はHP-VX101がロック、MDR-EX71SLがポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良い。

The Plug
どちらも低音より。低域はThe Plugの方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。量はほぼ同量。中域はどちらも低域に埋もれて聴こえてこない。HP-VX101は低域の曇りに覆われる感じ、The Plugは低域の量に打ち消される感じ。高域はどちらもかなり控え目だが、どちらかと言えばHP-VX101の方が聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性はどちらも比較したくないほど悪い。どちらもエッジはきつくないが低域過多で聴き疲れする点は良く似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはどちらも悪い。厚みはThe Plugの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはThe Plugの方が感じられる。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはThe Plugの方が豊か。最大の違いは、HP-VX101が一応硬い部分が感じられるのに対して、The Plugは全体的に柔らかい点。弦楽器はどちらも繊細さがまったく感じられない。金管楽器はどちらもかなり控え目だが、HP-VX101の方がやや目立つ。打ち込み系の音の表現は低域をしっかり鳴らしてくれる点はThe Plugの方が合うのだが、音の硬さ的にはHP-VX101の方が合う。得意分野はどちらもロック。使い分けるならロックやしっかりした低域が欲しいときはThe Plug、それ以外はHP-VX101か。いずれにせよ使い分けなどしたくない悪音。

VR-101PB
どちらも低音よりだが、VR-101PBの方がフラット。低域はHP-VX101の方が厚み、量ともにある。中域はどちらもかなり低域に負けるが、どちらかと言えばHP-VX101の方が聴こえてくる。これは、VR-101PBの中域は霞がかかったように目立たないためだろう。中高域から高域はVR-101PBの方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能、音場感、原音忠実性どちらも同じくらい悪い。VR-101PBの方がややエッジがきついが、HP-VX101は過剰な低域とこもり感で疲れるため、総合的にはHP-VX101の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはどちらも悪い。HP-VX101は低域以外聴こえてこないし、VR-101PBは霞がかかったように曇っている。中高域から高域だけ見るならVR-101PBの方が明瞭で鮮やかと言えるだろう。厚みはHP-VX101の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-VX101の方がノリが良い。力強く圧力がある。響きはほぼ互角。HP-VX101の方がこもり感が気になる。弦楽器はどちらも非常に下手。金管楽器はVR-101PBの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまくない。HP-VX101は過剰な低域以外聴こえてこないし、VR-101PBは薄い低域が支配的でまったく楽しくない。使い分けるなら、低域が過剰でも良いならHP-VX101、そうでないならVR-101PB。


・HP-X122
AH-G100
AH-G100はややかまぼこ、HP-X122はドンシャリ。低域も高域もHP-X122の方が出る。特に低域はHP-X122の方が一段低く、量も多い。高域はHP-X122の方が細く高い。分解能、音場感、原音忠実すべてHP-X122の方が上。AH-G100の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、厚みはHP-X122の方が上。温かみは低域が強い分HP-X122の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。HP-X122の方がノリが良い。響きはほぼ互角。AH-G100はソースによってはスカスカした感じが気になるが、HP-X122はそんなことはない。弦楽器はHP-X122方が繊細でしかも心地よい。金管楽器はどちらも意外と悪くないが、HP-X122の方が力強い。打ち込み系の音の表現はかなり違う印象を受けるが、低域が出る分HP-X122の方が大抵の場合良いようだ。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が上のように感じる。

AHP-505
AHP-505は低音より、HP-X122はドンシャリ。低域も高域もHP-X122の方が出る。特に高域は雲泥の差。AHP-505では高域がまったく不足に感じるソースでも、HP-X122なら問題なく鳴らしてくれることが多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良くしかも繊細。響きはAHP-505の方がやや豊か。最大の違いはこもり感や曇り。AHP-505はそのせいで聴けたものではない。AHP-505を聴いた後でHP-X122を聴くと、まったく曇っていないと感じる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はAHP-505はロック、HP-X122はポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が良いように感じる。

ATH-T2
ATH-T2は低音より、HP-X122はドンシャリ。ATH-T2の方が低音より。低域はATH-T2の方が出るし、高域はHP-X122の方がでる。分解能はHP-X122の方が上、音場感はほぼ互角。どちらも原音からは程遠い上、エッジがきつく聴き疲れする。ただし、価格を考えればHP-X122は非常に原音に近い。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、ノリの良さ等すべてHP-X122の方が上。響きはHP-X122の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はATH-T2はロック、HP-X122はポップスだが、何を聴くにしてもHP-X122の方が良いような気がする。

HP-AK101
HP-AK101はやや低音より、HP-X122はドンシャリ。低域はHP-X122の方がかなり出る。高域はほぼ同量。HP-AK101は周波数特性にかなり癖があり、中域がスカスカになる。分解能、音場感ともにHP-AK101の方が上。原音忠実性はHP-X122の方がやや上。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良い。響きはどちらも適度。HP-X122の方が癖がない音だが、こもり感がかなり気になる。弦楽器、金管楽器ともにHP-X122の方がうまい。HP-AK101はなにかと嫌味が出るし、金管楽器は高すぎてチープな音。打ち込み系の音の表現もHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。こもり感やドンシャリなところが気にならないならHP-X122を使えば良い。それが駄目ならHP-AK101もありだとは思う。

HPS3000
HPS3000は低音よりHP-X122はドンシャリ。低音はHPS3000の方が全体的に出るし、高音はHP-X122の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角。HP-X122の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-X122の方が上。厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも基本的にはノリが良いが、HP-X122の方が全音域聴こえてくること、スピード感があることから、よりノリが良いように感じる。響きはHPS3000の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現いずれもHP-X122の方がややうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が楽しめる。HPS3000の方が低音よりなこともあり、ややおとなしい印象。

HPS5000
どちらもドンシャリ。超低域は若干HP-X122の方が出るが、低域の厚みそのものはHPS5000の方がある。高域はほぼ同量だが、HPS5000の方が若干澄んだ感じがある。分解能はHPS5000の方が若干良い。音場感はHP-X122の方が広く明確。一聴して原音に近いのはHP-X122だが、生の粗っぽさはHPS5000の方が感じられる。どちらもエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてHPS5000の方がやや上。HPS5000はHP-X122を凝縮したような音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方が感じられる。どちらもノリが良いが、繊細さを求めるならHPS5000だろう。響きはHPS5000はあっさり、HP-X122は適度。弦楽器はHP-X122の方が心地よく楽しめる。金管楽器はどちらも同様の安っぽさがありいまいち。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HPS5000の方がシャープさや明瞭さが良くマッチするように思う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならポップスはHPS5000、それ以外はHP-X122だが、基本的にはHP-X122があればHPS5000は不要かもしれない。

RP-HT510
どちらもドンシャリだが、RP-HT510の方が高音より。超低域はHP-X122の方がかなり出る上厚みもある。高域はRP-HT510の方が細く高い。分解能、原音忠実性はHP-X122の方が上、音場感はほぼ互角。RP-HT510は非常にエッジがきつくしかもホワイトノイズが大きいため聴き疲れするが、HP-X122はそれほどでもない。明瞭さや音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、ノリの良さはHP-X122の方が上。響きはどちらも適度だが、HP-X122の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方が上。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもHP-X122の方が良い。

RP-HTX7
HP-X122はドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はHP-X122の方が全体的に量が多いが、RP-HTX7の方がやや低い音でタイト。中域はRP-HTX7の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方が細く硬く高い音だが、量はそれほど差が無い。分解能はRP-HTX7の方が上。微細な表現はHP-X122の方が良いようにも感じるが、音の分離はRP-HTX7の方がかなり良い。音場感はRP-HTX7の方が立体的で明確。原音忠実性はHP-X122の方が上。RP-HTX7は中域がうわずっている上、低域が低くタイト過ぎるし、硬く芯が通り過ぎている。エッジのきつさはほぼ互角だが、RP-HTX7の方が硬く芯の通った音でやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HTX7の方が上。厚みは付帯音の量がかなり違うため判断しづらいが、基本的にはRP-HTX7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方がやや上。どちらもかなりノリが良い。響きはHP-X122の方が豊かでこもり感が気になる。RP-HTX7の方がタイトで付帯音の少ない音。弦楽器はHP-X122の方が心地よい。金管楽器はRP-HTX7の方が高く鮮やかだが、ソースによってはチープに感じる。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、RP-HTX7の方が低域のタイトさ、切れで勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、付帯音が多く多少ぼやけていても良いならHP-X122、付帯音が少なくタイトな音を求めるならRP-HTX7。もしくは、音場感を重視するならRP-HTX7、そうでも無いならHP-X122という使い分けもありだろう。

SE-M380
SE-M380は低音より、HP-X122はドンシャリ。超低域はSE-M380の方が出るが、低音の厚みそのものはHP-X122の方が若干上。中域〜高域はHP-X122の方が圧倒的に出る。分解能や原音忠実性はHP-X122の方がやや上、音場感はほぼ互角。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-X122の方が上。温かみはSE-M380の方がある。HP-X122も無いわけではないが、どうしても刺激や鮮やかさに目が行く。ヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方が良い。ノリの良さはHP-X122の方が上。響きはどちらも適度。弦楽器はHP-X122の方が繊細さがあり楽しめる。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が好きな人でなければ、HP-X122だけあれば良いだろう。

VR-4035V
どちらもドンシャリ。HP-X122の方が低域も高域も出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。VR-403SVはかなり曇っていて明瞭さにかけるが、HP-X122は明瞭。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-X122の方が上。HP-X122の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-X122の方が上。とにかく明瞭さがまったく違う。


・iCans
HFI-15G
HFI-15Gは低音より、iCansは高音よりのドンシャリ。低域の量はHFI-15Gの方がかなり出るが、厚みはiCansの方がある。HFI-15Gは曇っているように感じる低域であるのに対して、iCansは曇りを感じない。どちらも中域はやや引っ込んでいるように感じる。高域はiCansの方がかなり強くしっかり聴こえてくる。分解能はほぼ同等、音場感はiCansの方が上。HFI-15Gは耳のすぐそばで音が鳴っているように感じるのに対して、iCansはそんなことはない。原音忠実性はHFI-15Gの方が上。低音よりではあるものの、おとなしく癖のない鳴らし方。iCansの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはiCansの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。iCansはかすれが気になる。iCansの方がかなりノリが良い。響きはHFI-15Gの方がやや豊か。切れはiCansの方が良い。弦楽器はHFI-15Gの方が癖がなく繊細で心地よい。金管楽器はiCansの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもそれほど得意とは言えないが、どちらかと言えばiCansの方がうまい。得意分野はHFI-15Gがクラシック、iCansがポップス。使い分けるなら、ポップスやロックはiCans、クラシックやジャズはHFI-15G。この2機種は同一メーカーながらまったく違う鳴らし方で、HFI-15GがHFIシリーズらしい鳴らし方とするなら、iCansはPROlineシリーズらしい鳴らし方。

iGrado
iCansは高音よりのドンシャリ、iGradoは低音より。低域はiGradoの方が量が多いが、iCansの方がどっしりとした低い音を鳴らす。中域はiCansの方が低域の曇りに覆われず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はiCansの方がかなり高い音で量も多い。分解能はiCansの方がやや上。音場感はどちらも小型の耳のせのため大差ないと言えば大差ないのだが、iCansの方が多少広いように感じる。原音忠実性はiGradoの方が上。iCansはとにかく作ったように不自然。iCansの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはiCansの方が上。厚みはどちらもしっかり感じられるが、iCansの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはiGradoの方が上。どちらもノリが良いが、どちらかと言えばiGradoの方が粗がなく繊細。響きはiGradoの方が豊か。弦楽器はiGradoの方が心地よい。金管楽器はiCansの方がかなり高く鮮やかだが、癖のある音で受け入れられない人も多そう。打ち込み系の音の表現は、低域の質感や切れの無さが合わない部分があるものの、それなりに楽しく鳴らしてくれる点は似ている。得意分野はiCansはポップス、iGradoはロック。使い分けるなら、癖があってもいいから明るく楽しみたいならiCans、癖のなさや温かみを求めるならiGrado。

MUSIC SERIES ONE
iCansは高音よりのドンシャリ、MUSIC SERIES ONEは低音よりのドンシャリ。低域は、量はかなり近いが、iCansの方が一段低い音を鳴らす。中域はMUSIC SERIES ONEの方がはっきり聴こえてくるし癖もない。高域はかなり質が違うが、iCansの方が量が多く癖も強い印象。分解能はMUSIC SERIES ONEの方が上、音場感はiCansの方が上。原音忠実性はMUSIC SERIES ONEの方が上。iCansの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは、厚みはiCansの方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。どちらもノリが良いが、iCansはノリの良さだけといった感じなのに対して、MUSIC SERIES ONEは繊細さも十分持ち合わせている。響きはMUSIC SERIES ONEの方が豊か。弦楽器はMUSIC SERIES ONEの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまいが、鮮やかさや力強さならiCans、原音に近くうまくまとまっているのはMUSIC SERIES ONE。打ち込み系の音の表現はどちらも一長一短。iCansはある意味かなり魅力的なのだが、相性が良いとは言えないし、MUSIC SERIES ONEはiCansを聴いた後では刺激に欠けるように感じる。得意分野はiCansはポップス、MUSIC SERIES ONEはロック。基本的にはMUSIC SERIES ONEの方が癖がないしそつなく鳴らしてくれるので使いやすいが、刺激や独特の音場感が欲しくなったらiCansを使うといった感じか。

PROline2500
どちらもドンシャリ。全体的に見てかなり似た傾向の音。低域の量はiCansの方が若干出るようだが、PROline2500の方が若干低い音を鳴らすように感じる。中域はiCansの方がはっきり聴こえてくるが、これはうわずっていて癖がある点が大きいだろう。高域の鳴らし方はかなり似ているが、量はiCansの方がやや多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてPROline2500の方が上。特に原音の実体感は雲泥の差。どちらもややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは中域から高域が強い分iCansの方が上。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方が上。どちらもノリが良いが、PROline2500の方が圧力がある感じ。響きはほぼ同等。弦楽器はPROline2500の方が繊細で心地よい。金管楽器はかなり似た鳴らし方だが、iCansの方がチープ。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではない。この点は同レベルと見てよいだろう。ほとんど何を聴くにしてもPROline2500の方が上。iCansはPROline2500の小型・軽量版という印象。


・IE-20 XB
AH-C700
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらも量が多く、重低音がしっかり出る点等似ているが、AH-C700の方がやや重心が高め。中域はAH-C700の方が高い音ではっきり聴こえてくる。高域はどちらも質・量ともに十分出るが、AH-C700の方がやや細い感じ。分解能はほぼ互角。音場感はIE-20 XBの方がやや広いが、大きな差はない。原音忠実性はどちらも低音が出すぎでいまいちに感じるが、その点を除けば悪くないところも似ている。AH-C700の方がやや硬めで原音の粗や生っぽさが出る感じ。IE-20 XBの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはAH-C700の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはIE-20 XBの方がやや良い。どちらも圧力のある鳴らし方でノリが良い。響きはどちらも豊かでほぼ同等レベル。弦楽器はIE-20 XBの方が滑らかで心地よい反面、AH-C700の方が澄んでいて生っぽい音。金管楽器はどちらも高く鮮やかで甲乙つけがたいが、同じというわけではなく、IE-20 XBの方が太くて録音の粗が気になりにくい感じ。打ち込み系の音の表現は好みの差。どちらも低域の量や音の圧力が十分あり楽しく聴ける点は似ている。使い分けることもできるだろうが、基本的にどちらも重低音を非常にしっかり鳴らしてくれる機種ということで、どちらか片方持っているなら違う機種をすすめたい。

CX300
どちらも低音よりのドンシャリ。基本的には、ある程度似た音を鳴らす。低域はIE-20 XBの方がややぼやけていて量が多い。中域はCX300の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はCX300の方がやや細く硬い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。CX300の方が原音の粗は感じられるが、IE-20 XBの方が癖が少ない。エッジのきつさはほぼ同レベルで、聴き疲れも同程度。明瞭さ、音の鮮やかさはCX300の方がやや上。厚みはほぼ同レベルだが、CX300の方が締まっている。どちらも圧力のある鳴らし方という点は似ている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはIE-20 XBの方がやや上。どちらもノリが良いが、CX300の方が明るくパンチがあり、IE-20 XBの方が重厚。響きはIE-20 XBの方が豊か。弦楽器はIE-20 XBの方がやや滑らかで心地よい。金管楽器はどちらもなかなか良いが、CX300の方がやや細く高い音で目立つ。打ち込み系の音の表現はCX300の方がうまい。IE-20 XBに欠けている締まりや軽快さといったものを、CX300は最低限は持っているように感じる。使い分けるなら、高音よりで明るい音を求めるならCX300、低音よりで穏やかな音を求めるならIE-20 XB。ただし、そうは言ってもメーカーが違う割には似ているので、どちらか片方持っていれば十分かもしれない。

m5
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなり量が多くしっかり低い音を鳴らしてくれる点は似ているが、IE-20 XBの方がややぼやけて締まりがない感じ。m5の方が中低域が弱めで制動が効いている感じ。中域はどちらも低域の量が多い割に聴こえてくるが、m5の方が中低域が弱めな上にやや高い音を鳴らすため多少目立つ。高域は量的にはm5の方が多い。質的にはm5の方が細く鋭い感じ。IE-20 XBがチンと鳴らすところをm5はシャンと鳴らす感じ。この2機種を比べた場合、m5の方がやや高音よりと言って良いだろう。分解能はほぼ同等レベルだが、どちらかと言えばm5の方が微細な描写をこなしてくれる感じで良い。音場感はほぼ同等レベル。原音忠実性はm5の方が良い。IE-20 XBと比べて原音の粗や生っぽさが感じられる。m5の方がややエッジがきついが、サ行の音はIE-20 XBの方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはm5の方が上。厚みはIE-20 XBの方がある。温かみはIE-20 XBの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはm5の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、IE-20 XBの方がやや低音でごり押しする感じ、m5の方がやや軽快な感じ。響きはIE-20 XBの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はm5の方が繊細で原音らしさがあり良いが、ソースによっては中域にやや嫌味が出ることがある。金管楽器はm5の方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はm5の方がうまい。切れや中域〜高域の明るさに差がある。使い分けるなら、基本的にはm5、余程低域の量を求める場合や中域の上ずった感じが気になる場合はIE-20 XB。

Super.fi 5 Pro
IE-20 XBは低音よりのドンシャリ、Super.fi 5 Proはかなりフラット。低域はIE-20 XBの方が低い音で量も多い。特に、所謂重低音に大きな差がある。IE-20 XBに比べると、Super.fi 5 Proの低域は紙のように薄い。中域は、IE-20 XBが低音の量にかなり負ける感じなのに対して、Super.fi 5 Proは低域に曇りに少し覆われる感じ。高域はIE-20 XBの方が高い音で目立つ。分解能はほぼ互角。IE-20 XBの方がかなり低音の量が多いため、低域があるソースではSuper.fi 5 Proの方が音の分離がかなり良いように感じがちだが、低音がないソースならほぼ互角のものを持っているし、一つ一つの音の微細な描写はむしろIE-20 XBの方が勝っているように感じる。音場感はSuper.fi 5 Proの方がやや上。奥行きがあるし、低音のあるソースではどうしてもIE-20 XBの方が見通しが悪くなるため大抵のソースではSuper.fi 5 Proの方が良く感じがちになる。原音忠実性はSuper.fi 5 Proの方が上。IE-20 XBはとにかく低音の量が多すぎる。IE-20 XBの方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは、低域がある程度あるソースではSuper.fi 5 Proの方が上だが、低域のないソースではIE-20 XBの方が上。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてIE-20 XBの方が上。これは周波数特性の違いによるものではなく、音の質感そのものだけ比べたとしても同じ結果になる。IE-20 XBの方がノリが良い。響きはIE-20 XBの方が豊か。弦楽器はIE-20 XBの方が心地よい。粗のなさという点だけでいえばSuper.fi 5 Proの方が上だが、だからと言って繊細であるとか原音の生っぽさが感じられるとかではない。金管楽器はIE-20 XBの方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はIE-20 XBの方がうまい。Super.fi 5 Proは淡々と鳴らす感じで元気が足りないし、低域の量も不満。使い分けるなら、バランス良く聴きたいならSuper.fi 5 Pro、そうでないならIE-20 XB。


・iGrado
HD435
どちらも低音より。全体的に、別メーカーの割には良く似ている。低域はどちらも柔らかくぼやけた感じな点が似ている。HD435の方がしっかり低い音、iGradoの方が薄くぼやけた音。中域はどちらも低域に負ける感じ。高域はHD435の方が細く高い音を鳴らすが、量的にはiGradoの方が多く、明るい。分解能および音場感はほぼ互角。原音忠実性は周波数特性の癖のなさからしてiGradoの方が若干良いが、これもあまり差はない。HD435の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、どちらかと言えばiGradoの方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばiGradoの方が上。ノリの良さならiGrado、繊細さならHD435。響きはiGradoの方がやや豊かだが、それでいて抜けも良い。弦楽器はどちらも心地よい感じの鳴らし方。どちらかと言えばHD435の方が繊細で安心して聴ける。金管楽器はiGradoの方が明るくて目立つ。ただ、音の高さ的にはHD435の方が高いように感じる。この2機種のもっとも分かりやすい違いはこの点だろう。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくない。切れやスピード感に欠ける。どちらか1台持っていれば十分な機種。

iCans
iCansは高音よりのドンシャリ、iGradoは低音より。低域はiGradoの方が量が多いが、iCansの方がどっしりとした低い音を鳴らす。中域はiCansの方が低域の曇りに覆われず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はiCansの方がかなり高い音で量も多い。分解能はiCansの方がやや上。音場感はどちらも小型の耳のせのため大差ないと言えば大差ないのだが、iCansの方が多少広いように感じる。原音忠実性はiGradoの方が上。iCansはとにかく作ったように不自然。iCansの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはiCansの方が上。厚みはどちらもしっかり感じられるが、iCansの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはiGradoの方が上。どちらもノリが良いが、どちらかと言えばiGradoの方が粗がなく繊細。響きはiGradoの方が豊か。弦楽器はiGradoの方が心地よい。金管楽器はiCansの方がかなり高く鮮やかだが、癖のある音で受け入れられない人も多そう。打ち込み系の音の表現は、低域の質感や切れの無さが合わない部分があるものの、それなりに楽しく鳴らしてくれる点は似ている。得意分野はiCansはポップス、iGradoはロック。使い分けるなら、癖があってもいいから明るく楽しみたいならiCans、癖のなさや温かみを求めるならiGrado。

MGD-01
iGradoは低音より、MGD-01は高音よりのかまぼこ。低域はiGradoの方が圧倒的に量が多いし、しっかりと低い音を鳴らしてくれる。中域はMGD-01の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくるし、音そのものもやや高め。高域はMGD-01の方が量が多く、質的にも高い音を鳴らす。分解能は、MGD-01があまりに変わった鳴らし方をするので判断が難しいが、基本的にはiGradoの方が上だと考えて良いだろう。音場感はiGradoの方が広く自然。MGD-01は非常に頭内定位が気になるし、狭くて分かりづらい。原音忠実性はiGradoの方が圧倒的に上。MGD-01は一聴して非常に違和感がある音で、普通のヘッドホンではちょっとありえないくらいのレベルだが、iGradoは一応普通に聴ける感じ。また、MGD-01は粗のある音をエコーのかかったような感じで鳴らすところも、違和感の原因だろう。MGD-01の方がエッジがきつい上に少し音量を上げると振動がもろに肌に伝わるので疲れる。明瞭さはMGD-01の方が良い。これは、MGD-01は低域がばっさり鳴らないため。鮮やかさもMGD-01の方が上。これはMGD-01の中高域から高域がiGradoに比べればしっかり量があるため。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはiGradoの方が上。iGradoの方がノリが良くかつ繊細。響きは、低域はiGradoの方が豊か、高域はMGD-01の方が豊か。弦楽器はiGradoの方が圧倒的に心地よいし、MGD-01のような変な粗もない。金管楽器はMGD-01の方が明るくて量も多いが、とにかく粗と違和感があるので、普通に聴く分にはiGradoの方が良いだろう。打ち込み系の音の表現も同様で、低域が出ないことを除けば硬くて冷たい質感のMGD-01が合うようにも感じるが、粗と違和感のせいでとても聴けない音になる。使い分けるなら、基本的にはiGradoで、MGD-01の粗や違和感、低域が出ない点を気にせず金管楽器や打ち込み系の音を聴きたいときだけMGD-01。

PortaPro
iGradoは低音より、PortaProは低音よりのドンシャリ。低域はPortaProの方がやや量が多く低い音を鳴らす。中域はどちらも低域に負けるが、iGradoは低域の曇りに覆われる感じ、PortaProは低域の量に押される感じ。高域はPortaProの方が高い音で量も多い。分解能はPortaProの方がやや上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はiGradoの方が上。PortaProの方が付帯音が多く、作ったような音に感じる。PortaProの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはPortaProの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、iGradoの方がややすっきりした鳴らし方。どちらもノリが良いが、どちらかと言えばiGradoの方がおとなしい。響きはPortaProの方が豊か。弦楽器はPortaProの方が微細な表現までこなしてくれる感じで良い。金管楽器はPortaProの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はPortaProの方がうまい。どちらも低域の締まりが足りない点はマイナスだが、PortaProの方が明るく楽しめる。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、基本的にはPortaPro、PortaProでは聴き疲れや作ったような音が気になるときはiGrado。

SR-60
iGradoは低音より、SR-60は低音よりのドンシャリ。低域はどちらも十分出るが、多少違う鳴らし方。SR-60の方がやや低めの音で、抜けが良い。中域はSR-60の方が低域の曇りに覆われず、しっかり聴こえてくる。高域はSR-60の方がやや細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-60の方がやや上。SR-60の方が全体的に細めの音で、音の分離にしろ微細な表現にしろ上のように感じる。また、どちらかと言えばSR-60の方がフラットでバランスが良い。iGradoが耳のすぐ近くで音を鳴らすのに対して、SR-60の方がまだ耳との距離があいている。エッジのきつさはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-60の方がやや上。厚みはほぼ互角。温かみは低音が出る分iGradoの方が上に感じる。ヴォーカルの艶っぽさはSR-60の方が上。どちらもノリが良いが、どちらかと言えばSR-60の方が線が細く繊細。響きはほぼ同等。弦楽器はSR-60の方がうまい。iGradoはやや塗りつぶしたように繊細さに欠ける面がある。金管楽器はSR-60の方が高く鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現は好みによって評価が違ってきそう。iGradoの方が低音が多く圧力がある面は良いが、SR-60の方が切れやバランスが良い。得意分野はどちらもロック。基本的に似ているだけに、ほとんど何を聴くにしてもSR-60の方が良いように感じる。


・iPod付属イヤホン
MDR-E931LP
iPod付属イヤホンはフラット、MDR-E931LPはややドンシャリ。低域はMDR-E931LPの方がやや低い音で量も多い。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域は比較的似た鳴らし方だが、iPod付属イヤホンの方がやや明るい感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべて大きな差はないがどちらかと言えばMDR-E931LPの方が上。エッジのきつさはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E931LPの方がやや上。MDR-E931LPの方がノリが良い。iPod付属イヤホンはただ何となく鳴らしている感じで、無味乾燥に感じる。響きはほぼ同等。弦楽器はMDR-E931LPの方が生楽器らしい質感が出る。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はMDR-E931LPの方が元気があって良い。それなりに似た機種で、MDR-E931Pの方がやや優れているので、基本的にMDR-E931LPがあればiPod付属イヤホンは不要だろう。

MX500
iPod付属イヤホンはフラット、MX500はやや高音より。低域はiPod付属イヤホンの方が低い音で量も多い。中域はMX500の方がやや高い音で目立つ。高域はMX500の方が細く高い音を鳴らす。分解能はMX500の方がやや上。音場感はどちらもごく普通でほぼ互角。原音忠実性もほぼ同等。周波数特性の癖のなさではiPod付属イヤホンの方が上だが、原音の粗や生っぽさはMX500の方が感じられる。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方が上。厚みはiPod付属イヤホンの方がやや上。温かみはiPod付属イヤホンの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。MX500の方が明るくメリハリのある感じ。響きはiPod付属イヤホンの方がやや豊か。弦楽器はiPod付属イヤホンの方が心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいときはMX500の方が良い。金管楽器はMX500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は低域が出る点ではiPod付属イヤホンの方が良いが、中域から高域の明るい表現はMX500の方が魅力的。使い分けるなら、低音が欲しいときはiPod付属イヤホン、低音は控え目でも良いときはMX500。

サウンド-ヘッドホン-2
iPod付属イヤホンはフラット、サウンド-ヘッドホン-2はやや高音より。低域はiPod付属イヤホンの方が量が多いが、サウンド-ヘッドホン-2の方が存在感があるように感じることも多い。中域はサウンド-ヘッドホン-2の方が目立つ。低域に邪魔されない上、音そのものもやや高め。高域はサウンド-ヘッドホン-2の方が量が多く、明るい感じ。分解能はサウンド-ヘッドホン-2の方が良い。微細な描写に差がある。音場感はサウンド-ヘッドホン-2の方が広く音の広がりが感じられる。原音忠実性は、周波数特性の癖のなさではiPod付属イヤホンの方が上だが、原音の粗や生っぽさはサウンド-ヘッドホン-2の方が感じられる。サウンド-ヘッドホン-2の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはサウンド-ヘッドホン-2の方がかなり上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはiPod付属イヤホンの方が感じられる。サウンド-ヘッドホン-2の方がかなりノリが良い。響きはiPod付属イヤホンの方がやや豊か。弦楽器はiPod付属イヤホンの方が安心して聴けるが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを出したいならサウンド-ヘッドホン-2の方が良い。金管楽器はサウンド-ヘッドホン-2の方が鮮やかで良い。打ち込み系の音の表現は、低域の量が多く音に粗のないiPod付属イヤホンの方が無難な鳴らし方だが、サウンド-ヘッドホン-2の方がノリが良く楽しめる鳴らし方。使い分けるなら、地味で退屈でも癖がなく無難な鳴らし方を望むならiPod付属イヤホン、多少癖があっても明るく楽しめる鳴らし方を望むならサウンド-ヘッドホン-2。


・K101
HD497
どちらもやや低音よりだが、超低域はHD497の方がかなり出る。中域〜高域はほぼ互角。分解能、音場感ともにHD497の方が良い。原音忠実性はHD497の方がやや上だが、生の粗っぽさはK101のほうがある。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとK101の方が芯が通っていてしかも粗のある音で疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD497の方が上。K101はノリが良いわけでも繊細なわけでもないという印象を受けるが、HD497はノリの良さと繊細さを両立しているように感じる。K101は芯が通っているわりに超低域が不足していること等から、スカスカした感じがする。響きはHD497の方がやや豊か。K101の方が感度が低いためどうしてもボリュームを上げなければならず、ホワイトノイズが非常に気になる。弦楽器、金管楽器ともにHD497の方が魅力的。打ち込み系の音の表現もHD497の方がうまい。得意分野はHD497がクラシック、K101がポップス。ほとんど何を聴くにしてもHD497の方が良いように感じるが、あえてK101を使うなら芯の通った硬い感じが欲しいときくらいか。

HP-AK101
どちらもやや低音より。超低域はHP-AK101の方が出るが、厚みはほぼ互角。高域はほぼ同量だが、若干HP-AK101の方が出る。分解能はK101の方が良く、音場感はHP-AK101の方が良い。K101の方が原音忠実。HP-AK101の方が聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等すべてK101の方がやや良いように感じる。温かみはHP-AK101の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはK101の方がある。音の傾向は違うのだが、どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない、中途半端な音。どちらもある種のシャープさがあるのだが、HP-AK101は超低域が出る上、K101よりは多少丸い。響きはHP-AK101の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにK101の方が自然で良い。打ち込み系の音の表現は、HP-AK101の方が若干良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスとロックはHP-AK101、それ以外はK101。

K501
K101の方が低音より。全音域に渡って一段低い音に聴こえる。特に超低域はK101の方がかなり出る上、密閉型のようなこもり感がある。分解能、音場感ともにK501の方がかなり良い。K501の方が原音に近く、自然。どちらもあまりエッジがきつくなく聴きやすいが、高域が強くしかも線が細いK501の方がやや聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはK501の方がかなり良い。K101はK501と比べるとかなり曇っているように感じる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、K101の方がやや良い。K501は非常に繊細だが、K101は繊細と言うよりはノリが良い。響きはどちらも適度だが、K501の方がややあっさり。弦楽器、金管楽器ともにK501の方がワンランク上の音だが、低域が欲しい場合にはK101の方が良い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いのだが、線の細さや低域不足のためK501は総合的にはいまいち。得意分野はK101はポップス、K501はクラシック。使い分けるならポップスやロックはK101、それ以外はK501。

UR/40
K101はやや低音より、UR/40はややドンシャリ。超低域はUR/40の方が出るが、厚みはほぼ互角。高域は若干UR/40の方が強い。分解能はほぼ互角、音場感はUR/40の方が広く明確。K101の方が原音に近い。特に原音の粗っぽさがある。UR/40の方が聴き疲れしない。明瞭さや音の鮮やかさはUR/40の方が上、厚みや密度はK101の方が上。UR/40の方が温かみやヴォーカルの艶っぽさがある。K101の方が芯の通った感じがある。UR/40は良くも悪くも圧力が感じられない音。UR/40はノリの良さと繊細さを両立さえている感じだが、K101はノリのも繊細さもいまいち。響きはK101の方が若干豊か。弦楽器、金管楽器ともにUR/40の方が楽しめるが、生っぽい感じが欲しいときはK101の方が良い。打ち込み系の音の表現はUR/40の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ほとんどの場合UR/40だが、生っぽい感じが欲しいときや芯の通った実体感のある音が聴きたいときはK101。


・K14P
DTX20
DTX20は高音より、K14Pはやや高音よりのドンシャリ。低域はK14Pの方がやや低い音を鳴らすが、量はほぼ同等。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。高域はK14Pの方がやや高い音を鳴らしてくれるが、DTX20の方が目立つ。分解能はK14Pの方が上。音の分離も微細な表現も勝っている。音場感はほぼ互角。原音忠実性はK14Pの方が上。DTX20は音が濁っている。K14Pの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK14Pの方がやや上。K14Pの方がノリが良いのだが、繊細な表現もDTX20以上にうまくこなしてくれる。響きはK14Pの方がやや豊か。弦楽器はK14Pの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらも鮮やかだが、K14Pの方がしっかり芯の通った鳴らし方で好印象。打ち込み系の音の表現はK14Pの方がうまい。音の厚みや低域の量感で勝っている。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもK14Pの方が良いように感じるが、シャープすぎるように感じるのであればDTX20の方が合うだろう。

HE580
HE580はやや低音より、K14Pはややドンシャリ。低域はHE580の方がかなり低い音で量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はK14Pの方が一段高く細く硬い音を鳴らす。HE580はそれほど高域が目立たないが、K14Pはそれなりに目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてK14Pの方が若干良いように感じるが、さほど差はない。K14Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK14Pの方がやや上。厚みはHE580の方がある。温かみは低域が出る分HE580の方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはK14Pの方が良い。ノリの良さならHE580、繊細さならK14P。ただ、K14Pにしても特別繊細というわけではなく、HE580と比べると線が細く一聴して繊細な印象を受けるという程度。響きはK14Pの方がやや豊か。HE580の方が線が太く安定した音。弦楽器は低域が出る分HE580の方が心地よいが、繊細さはK14Pの方がある。金管楽器はK14Pの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。低域が出るし、音の太さや圧力もマッチしている印象。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら低域が欲しいときや線の太い音が欲しいときはHE580、高域が欲しいときや線の細い音が欲しいときはK14Pか。

MDR-E888LP
K14Pはややドンシャリ、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はMDR-E888LPの方が若干低い音で量もわずかに多い。中域はK14Pの方がストレートに聴こえてくる。高域はK14Pの方が細く硬く目立つ。してみると、この2台についてはK14Pは高音より、MDR-E888LPはやや低音よりと言った方が的確なのかもしれない。分解能はMDR-E888LPの方が若干良いか。音場感はほぼ互角。原音忠実性はMDR-E888LPの方が上。K14Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK14Pの方がかなり良い。厚みは質感がかなり違うので判断が難しいが、K14Pの方があるだろう。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。ノリの良さならK14P、繊細さならMDR-E888LP。響きはK14Pの方がやや豊か。K14Pの方がかなり硬い音。弦楽器はMDR-E888LPの方が心地よくかつ繊細。金管楽器はK14Pの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域が出る分MDR-E888LPの方がうまいようにも感じるが、音の硬さがK14Pの方がマッチする。使い分けるなら、ポップスや元気の良さが欲しいときはK14P、それ以外はMDR-E888LP。

MX500
どちらもかなりフラットだがK14Pはややドンシャリ、MX500はやや高音より。低域の量はほぼ同じだが、K14Pの方がやや低い音を鳴らす。中域はどちら埋もれずにしっかり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はMX500の方が若干出るように感じる。ただ、別メーカーにしては全体的にかなり近い音。分解能、原音忠実性はほぼ互角。音場感はK14Pの方がやや広く良い。エッジはどちらもそれほどきつくないが、元気が良い分K14Pの方が若干聴き疲れするかもしれない。明瞭さ、音の鮮やかさはK14Pの方がやや上。厚みはK14Pの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMX500の方がやや上。ノリの良さならK14P、繊細さならMX500。響きはほぼ互角でどちらも適度。弦楽器はMX500の方が若干心地よさで勝る。金管楽器はK14Pの方が力強いが、基本的に大きな差はない。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなりだが、K14Pの方がやや元気があり相性が良いように感じる。得意分野はK14Pがポップス、MX500がクラシック。使い分けるなら、元気が良い音が欲しい場合にはK14P、そうでなければMX500か。いずれにせよ、かなり近い音を鳴らすのでどちらか1台で事足りるように思った。

サウンド-ヘッドホン-2
K14Pはややドンシャリ、サウンド-ヘッドホン-2はやや高音より。低域はサウンド-ヘッドホン-2の方がしっかり低い音を鳴らす感じだが、全体的な量はK14Pの方が多い。中域はどちらも低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくるが、サウンド-ヘッドホン-2の方がややうわずっているように感じる。高域は量的には大差ないが、K14Pの方が線の細い鳴らし方。分解能はK14Pの方が上。音の分離といい一つ一つの音の微細な表現といい、根本的に勝っている。音場感はサウンド-ヘッドホン-2の方が上。広がりが良い。原音忠実性はK14Pの方が上。これはどちらかと言うと、サウンド-ヘッドホン-2の音作りが原音忠実性度外視であるように感じられる。K14Pの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはK14Pの方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK14Pの方が上。どちらもノリが良い傾向だが、K14Pは引き絞ったような張りがあるのに対して、サウンド-ヘッドホン-2は大味で元気が良い感じ。響きはK14Pの方がやや豊か。K14Pの方が澄んでいて無駄な音を鳴らさない感じ。弦楽器はK14Pの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらも明るく楽しめるが、K14Pの方が原音に近く、サウンド-ヘッドホン-2の方が個性的で他にはない魅力がある。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまい。シャープな鳴りを求めるならK14P、線の太い音を求めるならサウンド-ヘッドホン-2が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはK14P、楽しく鳴らしてくれることを最優先するならサウンド-ヘッドホン-2。

ヘッドホン-3
K14Pはやや高音よりのドンシャリ、ヘッドホン-3はかまぼこ。低域はK14Pの方がやや低い音を鳴らすし、量も多い。ヘッドホン-3はぼんやり曇っているだけで、まったく低い音を鳴らしてくれない。中域はヘッドホン-3の方が上ずっていて強いように感じるが、非常に曇っていて、実際には聴こえてこない。高域はK14Pの方がかなり細く硬いとがった音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてK14Pの方がかなり上。特に原音忠実性は、ヘッドホン-3がまったく聴けないレベルなのに対してK14Pは普通に聴けるレベル。K14Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてK14Pの方が上。K14Pの方がノリが良くしかも繊細。響きはK14Pの方が豊か。弦楽器はK14Pの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はK14Pの方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は低域の量や音の厚みからK14Pの方がうまい。何を聴くにしてもK14Pの方が良いだろう。


・K181DJ
DJ1 PRO
DJ1 PROは高音よりのドンシャリ、K181DJは低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方がかなり量が多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、流石に低域の量が多いソースになるとK181DJは低域に邪魔されるのに対して、DJ1 PROはほとんど低域に邪魔される感じはしない。高域はDJ1 PROの方がやや高く、量も多くて目立つ。分解能及び音場感はDJ1 PROの方がやや上。ただし、細部の描写はK181DJの方が粗がなくしっかりこなしてくれる。原音忠実性はK181DJの方が上だが、低域が出すぎるし、原音の実体感だけならのDJ1 PROの方が良いだろう。DJ1 PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDJ1 PROの方が上。厚みはどちらもかなりある。厚みだけならDJ1 PROの方があるかもしれないが、圧力や低域の量でK181DJの方が勝っているため判断が難しいし、それほど差があるとも思えない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK181DJの方が上。どちらも非常にノリが良いが、DJ1 PROの方が軽快、K181DJの方が圧力がある。響きはK181DJの方が豊か。弦楽器はK181DJの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDJ1 PROの方が高く鮮やかだが、K181DJと比べると作ったような感じがあるのは否めない。打ち込み系の音の表現はDJ1 PROの方がうまいが、低域が不足に感じられたり、密閉型特有の圧力が欲しいときにはK181DJの方が良いだろう。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明瞭さや鮮やかさを求めるならDJ1 PRO、無難な表現・低域の量・圧力を求めるならK181DJ。

DJX-1
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方が低い音で量も多い。K181DJの低域に比べるとDJX-1は厚みが薄く、曇っているように感じられる。中域はどちらも癖がなく好印象だが、K181DJの方が低域の曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる感じ。高域はどちらも良質でシャリついたりしないし、量も十分。質的にもかなり似ている。分解能はほぼ互角。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ、大きな差はない。音場はDJX-1の方が広く明確。原音忠実性はK181DJの低域が低く量も多い点を除けばほぼ互角。エッジのきつさ、聴き疲れはほぼ同等。明瞭さはK181DJの方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはK181DJの方が多少あるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDJX-1の方がやや上。DJX-1の方がやや曇っているように感じられるが、それが温かみやヴォーカルの艶っぽさに繋がっているのだろう。K181DJの方が付帯音が少なくあっさりした鳴らし方。どちらもかなりノリが良い傾向。響きは、低域はK181DJの方が豊か、高域はほぼ同等。弦楽器はどちらもDJ用とは思えない能力を発揮してくれる。多少の違いはあるが、基本的には好みの差だろう。ただし、低域にはかなり違いがある。K181DJの方が過剰なくらい低い音で量も多い。DJX-1の方が素直。金管楽器はかなり近い鳴らし方だが、K181DJの方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はK181DJの方が良い。DJX-1はどうも低域の薄い感じや中域の目立たない感じが良くない。使い分けるなら、低域の質・量を重視するならK181DJ、それほどでもないならDJX-1。

HD25-1
HD25-1はややドンシャリ、K181DJは低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方がかなり量が多いし、低い音を鳴らす。中域はどちらも癖がなくはっきり聴こえてくる。K181DJの方がかなり低域の量が多い割には、低域に邪魔されず聴こえてくるのはある意味凄い。中高域はHD25-1の方が若干量が多いが、高域はK181DJの方がやや高い音を鳴らすし目立つ。分解能及び音場感はいずれもほぼ互角だが、どちらかと言えばHD25-1の方が良いか。原音忠実性はHD25-1の方が上。K181DJは低域が出すぎる。ただし、その点を除けば大差ないし、K181DJは低域の量が切り替えられるので、そうなると判断は微妙。K181DJの方が若干エッジがきつい上、低域の量が多く聴き疲れするが、低域の量が少ないソースならほとんど差はない。明瞭さ、音の鮮やかさはK181DJの方が上。厚みはどちらもかなりある。単純に厚みだけならHD25-1の方が上かもしれないが、音の圧力や低域の量でK181DJの方が勝っているため判断が難しいし、それほど差があるとは感じない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもこのタイプの機種にしてはかなりうまいと言って良いだろう。どちらも非常にノリが良い上、必要なだけの繊細さは持っている点は似ている。響きはK181DJの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角。それなりに心地よいが、繊細さにはやや欠ける。ただ、低域はK181DJがかなり過剰なため、基本的にはHD25-1の方が良いだろう。ただし、前述のとおりK181DJは低域の量が切り替えられるので、そうなると分からない。金管楽器はどちらも力強く聴きごたえがあるが、敢えて優劣をつけるならK181DJの方がやや鮮やかで良いだろう。打ち込み系の音の表現はどちらも非常にうまいが、低域の量が欲しいときはK181DJ、そうでもないときにはHD25-1だろう。基本的にはK181DJの方がやや派手で楽しめる。得意分野はHD25-1がロック、K181DJがポップス。ただし、どちらもロック、ポップスともに非常にうまいと言って良い。使い分けるなら、低域の量が欲しいときはK181DJ、そうでもないときにはHD25-1。或いは地味で無難な表現が欲しいときにはHD25-1、明るさや鮮やかさが欲しいときはK181DJという使い分けもありだろう。

K271studio
K181DJは低音よりのドンシャリ、K271studioはやや高音より。低域は全体的にK181DJの方が量が多いし、厚みがありしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はK181DJの方がはっきり聴こえてくる。これは、K271studioの方が低域の薄い曇りが気になるのと、K181DJの方が輪郭がしっかりしているため。高域は意外と似た鳴らし方だが、K181DJの方がやや量が多い。分解能はK181DJの方がやや上。ただし、K271studioの方が線が細く微細な表現はうまい。音場感及び原音忠実性はK271studioの方がやや上。どちらもエッジはきつくないが、低域の量が多いせいでソースによってはK181DJの方がやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはK181DJの方が上。特に厚みはかなり差がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK271studioの方が上だが、それほど差は感じない。ノリの良さならK181DJ、繊細さならK271studio。響きはほぼ同等。K271studioの方が線が細く柔らかい音で、音に圧力や勢いがない。弦楽器はK271studioの方が線が細く心地よいが、K181DJも意外と悪くない鳴らし方をしてくれる。低域の量感が欲しいならむしろK181DJの方が好ましいと感じる人も多いだろう。金管楽器はそれほど大きな差はないが、K181DJの方が力強い鳴らし方。音そのものもやや高く鮮やかに感じる。打ち込み系の音の表現はK181DJの方がかなりうまい。低域の量、厚み、圧力等で勝っている。得意分野はK181DJはポップス、K271studioはクラシック。使い分けるなら、ポップスやロックはK181DJ、クラシックやジャズはK271studio。

MDR-Z700DJ
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方が低い音を鳴らすし、量も多い。中域はどちらも低域の量にやや負け気味だが、K181DJの方が低域の量が多い割には低域に埋もれない。高域はK181DJの方がやや高い音を鳴らす。分解能はK181DJの方が上。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばK181DJの方が良いか。原音忠実性はどちらもあまり良くない。癖が無くフラットと言う意味ではMDR-Z700DJの方が上だが、原音の実体感はK181DJの方がある。K181DJの方がややエッジがきつい上に低域が過剰で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK181DJの方が上。厚みはK181DJの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z700DJの方が若干上。どちらもノリが良いが、ことノリの良さに限ればK181DJの方に圧倒的に分がある。響きはどちらも適度。K181DJの方が低域が多い上、完全に耳のせ型で密封度が高いため、こもり感が気になる。弦楽器はK181DJの方が繊細かつ心地よいが、どちらにせよ弦楽器を聴くのに使う機種ではないだろう。金管楽器はK181DJの方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はK181DJの方がうまい。低域の量感、音の厚み、鮮やかさ、圧力、どれをとっても勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら基本的にはK181DJで、低域が過剰に感じるときやヴォーカルを聴きたいときだけMDR-Z700DJか。ただし、K181DJはBass boost switchで低域の量を減らせるため、低域が過剰に感じるときにはこれを使えば良いだろう。


・K240monitor
ATH-AD700
どちらもやや高音より。低域はK240monitorの方がやや低い音で量も多い。中域はATH-AD700の方が低域に邪魔されずに聴こえてくるが、K240monitorにしても十分聴こえてくる。高域はATH-AD700の方が金属的。この2機種を比べた場合、ATH-AD700の方が高音よりと言える。分解能はほぼ互角。音場感はATH-AD700の方が広い。原音忠実性はK240monitorの方が上。ATH-AD700の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-AD700の方が上。厚みはK240monitorの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方がやや上。どちらも繊細な傾向だが、K240monitorの方がおとなしくモニター的。響きはどちらも適度だが、ATH-AD700の方がやや豊か。ATH-AD700の方が全体的に明るい音調な上、艶のある音を鳴らす。弦楽器は基本的にはK240monitorの方が良いが、色付けされていて艶が乗ってもいいならATH-AD700の方が楽しめる面もある。金管楽器はATH-AD700の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、明るい分ATH-AD700の方が良いことが多いようだ。ただし線の細さを嫌うならK240monitorの方が良いだろう。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、明るさや華やかさを求めるならATH-AD700、原音忠実性やおとなしさを求めるならK240monitor。

K271studio
全体的に非常に良く似た音。どちらもやや高音よりながらかなりフラット。K240monitorの方が若干高音よりか。低域はK271studioの方が若干出るように感じるが、質・量ともにほぼ互角。中域〜高域は非常に似ている。分解能、原音忠実性はK240monitorの方が若干上か。音場感はほぼ互角。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばK240monitorの方が線が細いため疲れる。明瞭さはK240monitorの方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みは若干K271studioの方が上。温かみはK271studioの方が若干上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも繊細だが、K271studioの方がやや音がストレートでノリが良い。響きはK271studioの方が若干豊か。弦楽器はK271studioの方が心地よいように感じるが、繊細さを求めるならK240monitorの方が上。金管楽器はどちらもかなり高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、どちらかと言えばK271studioの方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら音質よりも密閉型とセミオープンの違いや装着感だろう。個人的にはK240monitorの方が装着感が良いように感じる。

MDR-CD900ST
どちらもかなりフラットだが、K240monitorの方がややかまぼこか。低域は密閉型特有のこもり感の影響もあるのだろうがMDR-CD900STの方が強いように感じる。中域〜高域はほぼ同量だが、超高域はMDR-CD900STの方が出るし、鋭く突き刺さってくる。分解能、原音忠実性はMDR-CD900STの方がやや上。音場感はK240monitorの方がやや良い。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度はMDR-CD900STの方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK240monitorの方が上。MDR-CD900STの方がノリが良い。響きはMDR-CD900STの方が豊か。MDR-CD900STはこもり感が気になるが、K240monitorはそんなことはない。MDR-CD900STの方がかなりスピード感のある鳴らし方。弦楽器はK240monitorの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、MDR-CD900STの方がやや音が太く圧力がある。打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方がうまい。使い分けるなら、まずは聴き疲れの程度だろう。MDR-CD900STは音楽鑑賞には聴き疲れしすぎる。聴き疲れの点を除けば、クラシックはK240monitor、それ以外はMDR-CD900STか。

T50RP
K240monitorはやや高音より。T50RPはややかまぼこ。低域はT50RPの方が全体的に出る印象だが、どちらも厚みは薄い。高域はK240monitorの方がかなり細く高い。分解能、原音忠実性はK240monitorの方が上。音場感はT50RPの方が上。基本的にはK240monitorの方が線が細いのだが、何故かT50RPの方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK240monitorの方がかなり上。厚みはどちらも薄めで、ほぼ互角。温かみはT50RPの方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはK240monitorの方がやや上。響きはT50RPの方がやや豊か。T50RPはかなり曇りが気になるが、K240monitorはそんなことはない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK240monitorの方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもK240monitorの方が良いように思うが、どうしても広い音場が欲しいときや、独特の曇りがマッチするソースではT50RPの方が良いこともある。


・K24P
Form2
K24Pはドンシャリ気味、Form2はかまぼこ気味。K24Pは全音域過不足なしという印象だが、Form2は高域も低域も不足に感じる。分解能、音場感ともにK24Pの方が若干良い。原音に近いのはForm2かもしれないが、それは粗や生っぽさ、ライブ感という意味で、自然な音はどちらかと言われればK24Pに軍配が上がる。どちらもある種の明瞭さはあり、純粋な明瞭さの比較は難しい。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK24Pの方が良いが、芯の通った音を求めるならForm2の方がいいかもしれない。K24Pは音が細めで繊細な部分があるが、Form2は塗り潰したように繊細さがない。ノリの良さという意味でも、K24Pは低音が十分で音の立ち上がりが良くスピード感があるのに対し、Form2は低域が出ない上にスピード感がない。K24Pは響きが豊か、Form2はあっさり。弦楽器、金管楽器ともにK24Pの方が圧倒的に魅力的。何を聴くにしてもK24Pの方が良いが、あえてForm2を使うならモニター的な用途には向いているかもしれない。

HDS-701
HDS-701は高音よりのかまぼこ、K24Pはややドンシャリ。低域はK24Pの方がかなり量が多い。中域は、HDS-701はやや癖がある上に低域の量が少ないこともあってはっきり聴こえてくるのに対して、K24Pは癖が無く低域の量にやや負け気味。高域はK24Pの方がややとがっていて目立つが、全体的な量としては大差ない。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。音の分離はHDS-701の方が若干良いように感じるが、K24Pの方が密度が高く細部までしっかり表現してくれる。HDS-701は中域に癖があるのに対して、K24Pは低域・高域にやや癖がある。K24Pの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さは低域が少ない分HDS-701の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはK24Pの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK24Pの方がやや上。K24Pの方がドンシャリでノリが良いように感じるが、スピード感としてとらえるならHDS-701もさほど劣っていない。繊細さは、HDS-701の方が音が薄く粗いのを除けば、ほぼ互角に感じる。響きはK24Pの方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の量と、音の密度だろう。K24Pの方が低域の量が多くしっかりと音楽を支えてくれるし、密度も高く一つ一つの楽器の実体感のようなものが上。弦楽器はK24Pの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまい。癖のない素直な表現を求めるならHDS-701、力強さを求めるならK24P。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くは無いのだが、欠点がある。HDS-701は低域の量が不足、K24Pは低域の締まりのない質感が不満。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはK24P、K24Pでは低域の量が多すぎる場合にはHDS-701。

PortaPro
K24Pの方が高音より。K24Pの方が線が細く鮮やかな高音を聴かせてくれる。分解能、音場感はほぼ互角だが、音の広がりはK24Pの方が良い。K24Pの方が若干エッジのきつい部分はあるが、原音に近い。明瞭さでもK24Pの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPortaProの方がやや上。K24Pの方が芯が通った硬めの音を鳴らす。どちらも響きが豊かだが、低域はPortaProの方が上、高域はK24Pの方が上といった感じ。音の立ち上がりやスピード感は互角だが、PortaProはさらに豊かな低音があるため、ノリの良さではK24Pはやや劣る。ソースによってはスカスカに聴こえてしまうだろう。弦楽器、金管楽器ともにK24Pの方が若干良い。ノリの良さ重視ならPortaPro、繊細さ重視ならK24Pといったところか。ただし、K24Pにしてもそれほど繊細と言うわけではないし、絶対的な見方をすればノリが良いとさえ言える。使い分けるならロックやポップスはPortaPro、ジャズやクラシックはK24Pだが、K24Pの方がオールマイティに使える。

PX100
PX100の方が低音より。ただし、低域はどちらも超低域まで延びていて、厚みはそれほどでもない。ただし、PX100は量が凄い。中域〜高域はK24Pの方が圧倒的に出る。分解能はK24Pの方が良い。音場感はほぼ同じ。K24Pの方がエッジがややきついがどちらもそれほど聴き疲れしないレベル。原音忠実性はK24Pの方がやや上か。K24Pの方が繊細でしかも明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が若干良い。どちらも響きが豊かでありながら、音の抜けも良いので、あまり不自然な響きにはなっていない。弦楽器はほぼ互角。どちらもなかなか音の伸びが良く、繊細さと温かみを保っている。PX100の方が低音よりで腰の据わった音を鳴らす。K24Pはややうわずり気味。金管楽器はK24Pの方がやや良いが、PX100も低音よりのわりにはなかなか鮮やかな音を聴かせてくれる。全体的にはK24Pの方がやや上をいっており、コストパフォーマンスを考えるとK24Pは素晴らしい機種と言える。得意分野はどちらもクラシックだと感じたが、K24Pはポップスもノリ良く鳴らしてくれる。逆に、PX100は低音が出すぎで生ぬるいためあまり合わない。しっとり系の女性ヴォーカルならPX100の方が向いていると思う。

RH-5Ma
どちらもドンシャリだが、K24Pの方がやや高音より。どちらも低域は全体的に非常に強いが、どちらかと言うとRH-5Maの方が出るか。高域はK24Pの方がかなり強い。特にハイハットやシンバルは差がある。また、RH-5Maは中域が埋もれ気味だが、K24Pはそれほど埋もれない。RH-5Maは大抵のソースでは曇っているように感じるが、K24Pはそんなことはない。分解能はK24Pの方が上、音場感や原音忠実性はどちらもいまいち。K24Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。ただし、低域の強いソースではRH-5Maの方が低音で疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてK24Pの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。K24Pの方がノリが良くしかも繊細。音域傾向云々よりも、スピード感がまったく違う。K24Pは非常にスピード感があるが、RH-5Maはむしろ鈍重。響きはRH-5Maの方が豊かで、かなりこもる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK24Pの方がうまい。特に金管楽器は一段高く鮮やかな音で楽しめる。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもK24Pの方が良いように感じるが、RH-5MaはZ headponesと似た独特の雰囲気がある。


・K271studio
AH-D5000
AH-D5000はかなりフラット、K271studioはやや高音より。低域はAH-D5000の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもある程度はっきり聴こえてくるが、K271studioの方が低域の薄い曇りに多少覆われる感じがする。高域はAH-D5000の方が金属的な音で目立つ。分解能はAH-D5000の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ勝っている。音場感はAH-D5000の方がやや広く明確。原音忠実性はAH-D5000の方が良い。低域の表現が自然だし、原音の粗や生っぽさも感じられる。ただし、高域の質感はK271studioの方がおとなしく良いと感じる人もいるかもしれない。AH-D5000の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、絶対値としてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみすべてAH-D5000の方が良い。特に音の鮮やかさに差がある。ヴォーカルの艶っぽさは大きな差はないが、どちらかと言えばAH-D5000の方が上だし、ヴォーカルの表現のうまさを広く捉えるならAH-D5000の方がかなり上。AH-D5000の方がノリが良く、しかも繊細さでも負けていない。響きはAH-D5000の方がやや豊か。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい上、ヴァイオリン等の澄んだ感じも楽しめる。金管楽器はAH-D5000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はAH-D5000の方がうまい。低域の量感や明るさで勝っている。ほとんど何を聴くにしてもAH-D5000の方が良いだろう。

ATH-A900
K271studioの方が若干低音よりか。ATH-A900はaudio-technica独特の高音の癖があるため高音よりに感じるが、それだけではなく低音の量もK271studioの方が多い。ATH-A900の方が高音が澄んでいて美しいが、ソースによってはややシャリつく。分解能、音場感ともにATH-A900の方が若干良い。ATH-A900の方が音に広がりがある。逆に言えば、K271studioの方がまとまりがある。原音忠実性はK271studioの方が上。ATH-A900の方がエッジがきつく聴き疲れする。ATH-A900の方が明瞭だが、音の厚みはK271studioの方がある。温かみはK271studioの方が感じられる一方、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらかと言えばK271studioの方が良い。ATH-A900の方がノリが良く、K271studioの方が繊細。響きはK271studioの方が豊かで、広がりはATH-A900の方が上。K271studioはこもり感が気になる。弦楽器は全般的にK271studioの方が良い。金管楽器は高域はATH-A900の方が鮮やかに聴こえるが、低域のふくよかさはK271studioの方が自然で豊か。打ち込み系の音の表現はATH-A900の方が得意。得意分野はK271studioはクラシック、ATH-A900はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズ等で自然な音を重視するならK271studio、ポップス等でノリ重視ならATH-A900。どちらもロックにはあまり向かない。

DT770PRO
DT770PROはドンシャリ、K271studioはやや高音より。低域はDT770PROの方がかなり低い音を鳴らすし、量も多い。中域は、低域の多いソースではK271studioの方がはっきり聴こえてくることもあるが、基本的にはDT770PROの方が聴こえてくる。これはK271studioは低域の薄い曇りに覆われるように明瞭さがないため。高域はDT770PROの方がかなり高い音で、粗がある感じ。分解能及び音場感はDT770PROの方が上。ただし、微細な表現はK271studioの方が粗なくこなしてくれる。原音忠実性は微妙。K271studioの方が癖のない音だが、DT770PROの方が原音の粗は感じられる。DT770PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDT770PROの方が上。ノリの良さならDT770PRO、繊細さならK271studio。響きはDT770PROの方が豊か。弦楽器はK271studioの方がうまいのだが、DT770PROの方が艶があり情感豊かに鳴らしてくれるので、魅力という点ではむしろDT770PROの方が上回っているように感じる。金管楽器はDT770PROの方が高く鮮やかだが、癖や粗があるのは確かだし、上品な鳴らし方を好むならK271studioの方が良かろう。打ち込み系の音の表現はどちらもうまくないが、どちらかと言えばDT770PROの方がまし。得意分野はDT770PROはジャズ、K271studioはクラシック。使い分けるなら、粗があっても良いから魅力的な音楽を聴きたいならDT770PRO、上品さや繊細さを優先するならK271studio。

K181DJ
K181DJは低音よりのドンシャリ、K271studioはやや高音より。低域は全体的にK181DJの方が量が多いし、厚みがありしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はK181DJの方がはっきり聴こえてくる。これは、K271studioの方が低域の薄い曇りが気になるのと、K181DJの方が輪郭がしっかりしているため。高域は意外と似た鳴らし方だが、K181DJの方がやや量が多い。分解能はK181DJの方がやや上。ただし、K271studioの方が線が細く微細な表現はうまい。音場感及び原音忠実性はK271studioの方がやや上。どちらもエッジはきつくないが、低域の量が多いせいでソースによってはK181DJの方がやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはK181DJの方が上。特に厚みはかなり差がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK271studioの方が上だが、それほど差は感じない。ノリの良さならK181DJ、繊細さならK271studio。響きはほぼ同等。K271studioの方が線が細く柔らかい音で、音に圧力や勢いがない。弦楽器はK271studioの方が線が細く心地よいが、K181DJも意外と悪くない鳴らし方をしてくれる。低域の量感が欲しいならむしろK181DJの方が好ましいと感じる人も多いだろう。金管楽器はそれほど大きな差はないが、K181DJの方が力強い鳴らし方。音そのものもやや高く鮮やかに感じる。打ち込み系の音の表現はK181DJの方がかなりうまい。低域の量、厚み、圧力等で勝っている。得意分野はK181DJはポップス、K271studioはクラシック。使い分けるなら、ポップスやロックはK181DJ、クラシックやジャズはK271studio。

K240monitor
全体的に非常に良く似た音。どちらもやや高音よりながらかなりフラット。K240monitorの方が若干高音よりか。低域はK271studioの方が若干出るように感じるが、質・量ともにほぼ互角。中域〜高域は非常に似ている。分解能、原音忠実性はK240monitorの方が若干上か。音場感はほぼ互角。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばK240monitorの方が線が細いため疲れる。明瞭さはK240monitorの方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みは若干K271studioの方が上。温かみはK271studioの方が若干上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも繊細だが、K271studioの方がやや音がストレートでノリが良い。響きはK271studioの方が若干豊か。弦楽器はK271studioの方が心地よいように感じるが、繊細さを求めるならK240monitorの方が上。金管楽器はどちらもかなり高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、どちらかと言えばK271studioの方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら音質よりも密閉型とセミオープンの違いや装着感だろう。個人的にはK240monitorの方が装着感が良いように感じる。

K501
K271studioの方がかなり低音より。高域〜超高域にかけてK501の方が出る上、超低域はK271studioの方が出る。K271studioの方が一段低い音を鳴らしているように感じる。分解能及び音場感はK501の方が上。本来の実力はかなり近いのかもしれないが、K501の方が低域が出ない上に開放型で、イヤーパッド内の空間が広いためか音に広がりがある。原音忠実性はK501の方が上。どちらも聴き疲れしにくいが、どちらかと言えばK501の方がやや疲れる。明瞭さや音の鮮やかさはK501の方が上だが、厚みはK271studioの方が上。K501の方が線の細い音。ヴォーカルの艶っぽさは互角だが、温かみはK271studioの方が感じられる。どちらも繊細だが、こと繊細さにかけてはK501の方が一枚上手。響きはK271studioの方が豊か。弦楽器は基本的にはK501の方が繊細で良いのだが、チェロなどの低域が足りないと感じる人も多いかもしれない。K271studioでは低域から高域まで楽しめるが、密閉型特有のこもり感がかなり気になるため、一概に良いとは言えない。金管楽器はK501の方が一段高い音で、澄んだ感じが楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、シャキシャキした感じを楽しみたいならK501、ノリ良く楽しむなら低域が出る分K271studioの方が良い。得意分野はどちらもクラシックで、クラシックを聴くならK501の方が一段上。使い分けるならクラシックはK501、それ以外はK271studioになるだろう。

MDR-7506
K271studioはやや高音より、MDR-7506はややドンシャリ。低域はMDR-7506の方がしっかり低い音を鳴らすし、量もやや多い。K271studioはMDR-7506と比べると曇っているように感じられる。中域はMDR-7506の方がしっかり聴こえてくるが、これはMDR-7506の中域がややうわずり気味であること、K271studioが曇り気味であることの両方が理由だろう。高域は量はそれほど差が無いが、K271studioの方がやや線の細い鳴らし方。分解能及び原音忠実性はMDR-7506の方がやや上。音場感はほぼ互角。エッジのきつさはほぼ互角で、どちらもそれほど聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方がやや上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK271studioの方が感じられる。ノリの良さならMDR-7506、繊細さならK271studio。響きはK271studioの方がやや豊か。弦楽器はK271studioの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はMDR-7506の方がうまい。低域の量感や音の厚みが合う。使い分けるなら、室内楽等の繊細さが欲しい場合やヴォーカルものはK271studio、それ以外はMDR-7506。

mix-style headphones
K271stuioはやや高音より、mix-style headphonesはかまぼこ。低域はK271studioの方がしっかり低い音を鳴らし、薄く曇ったような印象を受けない。中域はK271studioの方が低域の薄い曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はK271studioの方がやや高い音でかなり量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてK271studioの方がかなり上。音の分離にしろ微細な描写にしろK271stuidoの方が上。音場はK271studioの方が広く明確。mix-style headphonesは一聴して違和感があり原音の粗や生っぽさが感じられないが、K271studioはそんなことはない。K271sutdioの方がややエッジがきついが、mix-style headphonesはハウリングするような感じで疲れることも多いので、聴き疲れはソースや聴く人によって変わってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてK271studioの方が上。特に明瞭さや音の鮮やかさは雲泥の差。K271studioの方がノリが良くかつ繊細。響きはほぼ同等レベルだが、こもり感はmix-style headphonesの方がかなり気になる。弦楽器はK271studioの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はK271studioの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はK271studioの方がうまい。低域の量感や切れに差がある。ほとんど何を聴くにしてもK271studioの方が良いだろう。

SE-M870
K271studioはやや高音より、SE-M870はややドンシャリ。低域は量も厚みもSE-M870の方がある。K271studioは薄い雲のような低域。中高域〜高域はSE-M870の方が一段高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてK271studioの方がやや上。SE-M870の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSE-M870の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK271studioの方が上。ノリの良さならSE-M870、繊細さならK271studio。響きはK271studioの方がやや豊か。弦楽器はK271studioの方が繊細で且つ温かみがある。金管楽器はSE-M870の方が一段高く鮮やかな音を鳴らすが、どちらが原音に近いかと言われればK271studio。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。得意分野は、K271studioはクラシック、SE-M870はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはK271studio、ポップスやロックはSE-M870。


・K27i
ATH-ES7
ATH-ES7はややドンシャリ。K27iはかなり低音よりのドンシャリ。低域はK27iの方がやや量が多いが、厚みはATH-ES7の方があるように感じられる。K27iの方がかなり曇りが気になる。中域はATH-ES7の方が低域に埋もれずしっかり聴こえてくる。高域はATH-ES7の方がかなり硬く高い音を鳴らす。分解能、音場感ともにATH-ES7の方が良い。原音忠実性はどちらもいまいちだが、これはどちらの機種も原音忠実より楽しく聴かせることを優先したためだろう。原音の実体感はATH-ES7の方があるように感じる。ATH-ES7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-ES7の方がかなり良い。厚みはATH-ES7の方がややあるように感じられる。温かみはK27iの方が感じられる。低域の曇りがある点、音に硬さがない点が違う。ヴォーカルの艶っぽさは比較が難しい。ATH-ES7は線の細い感じが艶っぽさに繋がっているし、K27iはATH-ES7より音が柔らかく曇りがちな点が艶っぽさに繋がっている。ATH-ES7の方がノリが良くかつ繊細。響きはどちらも適度だが、こもり感はK27iの方が気になるし、切れという意味ではATH-ES7の方が上に感じられる。弦楽器はATH-ES7の方が繊細だが、心地よさはK27iの方が上に感じられる。金管楽器はATH-ES7の方が高く鮮やかで金属的な鳴り。打ち込み系の音の表現はATH-ES7の方がうまい。音の硬さや鮮やかさが合う。得意分野はATH-ES7がポップス、K27iがロック。使い分けるなら、基本的にはATH-ES7で、音の硬さや聴き疲れがいやなときにはK27iか。

HD25-1
HD25-1はややドンシャリ、K27iはかなり低音よりのドンシャリ。低域はK27iの方がかなり量が多いし、低い音を鳴らす。HD25-1はかなり締まった低域であるのに対して、K27iは締まりが感じられない。ただし、特別ぼやけているわけではない。中域はHD25-1の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、音の高さもK27iよりやや高い。これは、どちらかと言えばK27iが低めの音を鳴らすと言った方が適切かもしれない。高域は、HD25-1の方が若干高い音で、量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方がかなり上。どちらもエッジはきつくないが、低域の量が多くこもり感が気になる分K27iの方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHD25-1の方が上。厚みはHD25-1の方がある。温かみはどちらもそれなりでほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはHD25-1の方がやや良い。HD25-1の方がノリが良くかつ繊細。ただし、低域の量で押すという意味での迫力のようなものはK27iの方がある。響きはどちらも適度。弦楽器はHD25-1の方が繊細。金管楽器はHD25-1の方が力強い鳴らし方。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。音の厚み、低域の締まり、スピード感すべて上なのが効いている。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもHD25-1の方が良いだろう。

PX200
K27iは低音よりのドンシャリ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はK27iの方がかなり多い。中域はK27iが低域の量に負けるだけでなくやや低めの音を鳴らすのに対して、PX200は低域に負けることも低めの音を鳴らすこともない。高域は量はPX200の方が多いが、音の高さは判断が難しい。ただ、質感はK27iの方が金属的。分解能及び原音忠実性はPX200の方が上。音場感はほぼ互角。エッジのきつさはほぼ互角だが、K27iの方が低域の量が多くてこもり感が気になる上、音に圧力があるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはPX200の方が上。厚みはK27iの方が上。温かみは低域が出る分K27iの方が若干感じられるが、ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が良いように感じられる。ノリの良さならK27i、繊細さならPX200。響きは、低域はK27iの方が豊か、高域はPX200の方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の量と音の圧力だろう。K27iはこれらがやや過剰なくらいだが、PX200ではやや足りないように感じられる。弦楽器はPX200の方が繊細で基本的にはうまいが、低域の量感が欲しいときだけはK27iの方が良いだろう。金管楽器はK27iの方が力強い一方、PX200の鳴らし方も上品でありながらなかなか楽しめる。打ち込み系の音の表現はK27iの方がうまい。これは低域の量感と音の太さが決定的な差になっている。得意分野はK27iはロック、PX200はクラシック。使い分けるなら、ポップスやロックはK27i、クラシックやジャズはPX200。もしくは、低域が欲しい場合はK27i、それほどでもない場合はPX200という使い分けもありだろう。

ST-90
K27iはかなり低音よりのドンシャリ、ST-90はかまぼこ。低域は厚み、量ともにK27iの方が圧倒的に上。中域はどちらもはっきり聴こえてくるとは言えない。K27iは低域の量が多いため、ST-90は低域が出ないにもかかわらず曇りが支配的なため。そうは言っても、どちらかと言えばST-90の方が聴こえてくるか。ソースにもよると思われる。高域はK27iの方がかなり細く高い音。分解能、音場感ともにK27iの方が良い。原音忠実性はST-90の方が上。これは、ST-90は曇りを除けば色付けの少ない地味な音であるのに対して、K27iは原音忠実よりも楽しく聴かせることに重点を置いた機種であるからだと思われる。K27iの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてK27iの方が上。K27iの方がノリが良くかつ繊細。響きはK27iの方が豊かで、こもり感がかなり気になる。弦楽器はK27iの方が繊細で心地よい。金管楽器はK27iの方が高く鮮やかで楽しめるが、作ったような音がいやならばST-90の方が合うかもしれない。打ち込み系の音の表現はK27iの方がかなりうまい。低域の量、音の厚み、迫力、スピード感すべて上。使い分けるなら、基本的にはK27iで、よほどドンシャリがいやな場合はST-90。

Z headphones
どちらもかなり低音よりのドンシャリ。低域はK27iの方が厚みがあるが、量はZ Headphonesの方が多い。中域はどちらも低域に負けているが、K27iの方がまだ埋もれずに聴こえてくる。高域はK27iの方がやや細く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてK27iの方が良い。どちらもエッジはきつくないが、低域が出すぎでこもり感が気になり聴き疲れする点は良く似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはK27iの方が上。厚みはK27iの方がある。温かみはほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはややK27iの方が良い。よほど低域の量が欲しいのでなければ、K27iの方がノリが良くかつ繊細で良いだろう。響きはZ Headphonesの方がやや豊か。弦楽器はどちらもうまくないが、K27iの方がまだまし。金管楽器も同様。打ち込み系の音の表現は厚みと低域の締まりがある分K27iの方がうまい。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもK27iの方が良いだろう。


・K501
AH-G500
どちらも高音より。超低域はAH-G500の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はほぼ同量。分解能、音場感、原音忠実性はすべてK501の方が上。原音の粗はK501の方がかなり感じられるが、低域はAH-G500の方が原音に近いふくよかな感じが出る。AH-G500の方が高い音は高く、低い音は低く鳴らしてくれる。AH-G500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはAH-G500の方がやや上。どちらもかなり繊細だが、AH-G500はかなりウォーム、K501はかなりシャープで冷淡。響きはAH-G500の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK501の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。基本的には何を聴くにしてもK501の方が良いが、低域はAH-G500の方がかなり自然な感じに出るので、低域が欲しい場合はAH-G500の方が良い。これは、ロックやポップスだけでなく、クラシックについても当てはまる。

ATH-AD700
どちらも高音より。低域はATH-AD700の方がローエンドまで出るしやや量も多い。ATH-AD700は厚みは薄いものの柔らかい質感であるのに対して、K501は非常にタイトな低域。中域はK501の方が低域に邪魔されない上やや高い音なのではっきり聴こえてくる。中高域から高域はK501の方がやや高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性はすべてK501の方がやや上。音の分離にしろ微細な表現にしろK501の方が上。K501はローエンドが弱めで硬くシャープな質感である点が原音とは違うが、それでも全体的にはATH-AD700より原音に近いように感じる。エッジはどちらもきつくないが、どちらかといえば硬くシャープな音を鳴らすK501の方が聴き疲れする。明瞭さはK501の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはタイトながらK501の方があるように感じる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-AD700の方が上。どちらも基本的には繊細な方向性。響きは、低域はATH-AD700の方が豊か、高域はK501の方が豊か。弦楽器はK501の方が繊細で一枚上手の表現力を持っているが、ローエンドが不足のためチェロ等はATH-AD700の方が心地よく聴ける。金管楽器はK501の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらも難あり。ATH-AD700は低域が柔らかすぎるのが不満だし、K501は低域がタイトすぎるのと線の細さが合わない。ただ、どちらの相性が悪いかという話ならK501の方が悪いだろう。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域や温かみが欲しいときにはATH-AD700、シャープさや澄んだ表現を求めるならK501。

ATH-W1000
どちらも高音よりだが、ATH-W1000の方が低音より。特に超低域はATH-W1000の方がかなり出る。低域の厚みそのものはたいした差はない。高域は鳴らし方がかなり違うので意見が分かれるところだろうが、K501の方がやや強いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-W1000の方が上。ただし、ATH-W1000は音が耳の近くで鳴っているのが気になる。また、低域が出ないことを除けばK501の方が原音に近いと言える。どちらもやや聴き疲れする。明瞭さはK501の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-W1000の方がある。K501はとにかく繊細だが、ATH-W1000は繊細なだけでなく迫力やノリの良さも持ち合わせている。響きはATH-W1000の方が豊か。弦楽器は原音忠実性や生っぽさを求めるならK501だが、ATH-W1000の方が心地よく楽しめる。金管楽器はK501の方が一段高い音を鳴らすが、ATH-W1000の方が迫力はある。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら室内楽はK501、それ以外はATH-W1000か。ATH-W1000はオーケストラを非常にうまく鳴らしてくれる稀有な機種。

DR150
DR150はややドンシャリ、K501は高音より。低域はDR150の方がかなり出る。特にローエンドは雲泥の差。中域はK501の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域は意外と似た鳴らし方だが、DR150の方が若干高く太い音を鳴らすように感じる。分解能は低域が出ない上に線が細い分K501の方が良いように感じる。音場感はほぼ互角。原音忠実性は基本的にはK501の方が上のように感じるが、低域の表現は微妙。DR150の方が若干エッジがきつめだが、K501の方が線が細く硬い音のため、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはK501の方が上。特に明瞭さは低域の量の違いがはっきり出る。厚みはDR150の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR150の方が上。特に温かみはかなり差がある。ノリの良さならDR150、繊細さならK501。響きはDR150の方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の表現と音の硬さ、細さ。DR150の方が遥かに豊かな低域で、K501の方が硬く線の細い鳴らし方。弦楽器はチェロ等の低域を楽しみたいならDR150の方が良いが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならK501の方が良い。金管楽器はどちらもしっかり鳴らしてくれるが、DR150の方が高く力強い鳴らし方なのに対して、K501は細く硬い鳴らし方。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、うまくない理由がまったく違う。DR150は切れが悪くウォーム過ぎるため、K501は低域が不足で線が細いため。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときにはDR150、そうでもないときはK501。

Form2
Form2はかまぼこ、K501は高音より。超低域はForm2の方がかなり出るが、低域はほぼ同量。高域は全体的にK501の方がかなり出るし、一段高い音を鳴らす。ソースによってはどちらもスカスカで迫力のない音を鳴らすところは良く似ている。分解能、音場感、原音忠実性すべてK501の方が上。どちらかと言うとK501の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてK501の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK501の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもK501の方が良いが、Form2の方が低域が出るぶん違和感を感じにくいし、聴き疲れもしない。そのあたりの加減で使い分ければ良いと思う。

K101
K101の方が低音より。全音域に渡って一段低い音に聴こえる。特に超低域はK101の方がかなり出る上、密閉型のようなこもり感がある。分解能、音場感ともにK501の方がかなり良い。K501の方が原音に近く、自然。どちらもあまりエッジがきつくなく聴きやすいが、高域が強くしかも線が細いK501の方がやや聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはK501の方がかなり良い。K101はK501と比べるとかなり曇っているように感じる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、K101の方がやや良い。K501は非常に繊細だが、K101は繊細と言うよりはノリが良い。響きはどちらも適度だが、K501の方がややあっさり。弦楽器、金管楽器ともにK501の方がワンランク上の音だが、低域が欲しい場合にはK101の方が良い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いのだが、線の細さや低域不足のためK501は総合的にはいまいち。得意分野はK101はポップス、K501はクラシック。使い分けるならポップスやロックはK101、それ以外はK501。

K271studio
K271studioの方がかなり低音より。高域〜超高域にかけてK501の方が出る上、超低域はK271studioの方が出る。K271studioの方が一段低い音を鳴らしているように感じる。分解能及び音場感はK501の方が上。本来の実力はかなり近いのかもしれないが、K501の方が低域が出ない上に開放型で、イヤーパッド内の空間が広いためか音に広がりがある。原音忠実性はK501の方が上。どちらも聴き疲れしにくいが、どちらかと言えばK501の方がやや疲れる。明瞭さや音の鮮やかさはK501の方が上だが、厚みはK271studioの方が上。K501の方が線の細い音。ヴォーカルの艶っぽさは互角だが、温かみはK271studioの方が感じられる。どちらも繊細だが、こと繊細さにかけてはK501の方が一枚上手。響きはK271studioの方が豊か。弦楽器は基本的にはK501の方が繊細で良いのだが、チェロなどの低域が足りないと感じる人も多いかもしれない。K271studioでは低域から高域まで楽しめるが、密閉型特有のこもり感がかなり気になるため、一概に良いとは言えない。金管楽器はK501の方が一段高い音で、澄んだ感じが楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもあまりうまくないが、シャキシャキした感じを楽しみたいならK501、ノリ良く楽しむなら低域が出る分K271studioの方が良い。得意分野はどちらもクラシックで、クラシックを聴くならK501の方が一段上。使い分けるならクラシックはK501、それ以外はK271studioになるだろう。

K55
K501は高音より、K55はドンシャリ。低域は全体的にK55の方が出るが、特に超低域の差は大きい。高域はK55の方が出る上、若干高い音を鳴らす。K501はK55と比べるとかなりかまぼこに感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてK501の方が上。K55の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはK501の方が上。温かみはK55の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはK501の方が上。ノリの良さならK55、繊細さならK501。響きはK55の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにK501の方が自然で澄んだ音が楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低音が出る分どうしてもK55の方が良いように感じる。得意分野はK501はクラシック、K55はポップス。使い分けるならポップスやロックはK55、それ以外はK501。

K701
K501は高音より、K701はかなりフラット。低域は全体的にK701の方が出るし、柔らかい質感。中域はK501の方がやや高くはっきり聴こえてくる。高域はK501の方が硬く細い鳴らし方で、目立つ。分解能及び原音忠実性はK701の方がやや上。音場感はほぼ互角だが、音の広がり等まで含めるとK701の方が一枚上手。K501の方が硬く芯の通った音でやや聴き疲れする。明瞭さは低域が出ない上に硬い音を鳴らすK501の方がやや上に感じるが、音の鮮やかさではK701も負けていない。厚みはK701の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が上。この2機種の一番の違いはこの点と、音の硬さだろう。どちらも繊細だが、K701はノリの良さも感じさせるのに対してK501はただ繊細。響きはK701の方がやや豊か。弦楽器はヴァイオリンの硬く澄んだ感じを楽しみたいときはK501の方が良いだろうが、それ以外はK701。金管楽器はK501の方が硬い音を鳴らすため相性は良いが、K701の方が力強く余裕のある表現。打ち込み系の音の表現はK701の方がうまい。K501は音の硬さがマッチする部分もあるのだが、低域不足と音の細さが合わないことが多い。得意分野はどちらもクラシックだが、K701の方がよりオールマイティーと言えよう。使い分けるなら、基本的にはK701で、音の硬さが欲しいときだけK501。

MDR-SA5000
MDR-SA5000の方が低音より。超低域が出るし、高域もK501と比べると弱め。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方が良いが、価格ほどの差は感じない。MDR-SA5000は明確な音場だが狭く音楽を見下ろしている感じ、逆にK501はやや広いがMDR-SA5000ほどの明確さはない。どちらもかなり原音に近いが、単に原音に近いかどうかだけならK501の方が上。K501の方がややエッジがきついが、それでも聴き疲れしやすくはないレベル。どちらも非常に明瞭だが、あえて優劣をつけるなら分解能が高い分MDR-SA5000の方が上か。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、MDR-SA5000の方がまだ良い。基本的にはかなり似た傾向の音だが、MDR-SA5000はSONYらしい太めで濃い音、K501は細めで繊細な音。あまりノリが良いとは言えない。どちらも響きはあっさりでありながら音に広がりがある。弦楽器はほぼ互角の表現力だが低音の弦楽器はMDR-SA5000の方がやや良いし、金管楽器は全般的にMDR-SA5000の方が上。全体的にMDR-SA5000の方がバランスが良く、余裕のある鳴らしっぷりに感じる。使い分けるなら弦楽器メインの室内楽等はK501、それ以外はMDR-SA5000というところか。

R/200
K501は高音より、R/200はかまぼこ。低域はどちらも不足気味なのは似ているが、質感等はかなり違う。K501はローエンドが弱く厚みはそれなりにある硬い感じの低域だが、R/200は厚みが薄く柔らかい低域。中域から中高域はR/200の方がはっきり聴こえてくるが、これは非常に癖の強い上ずった音を鳴らすため。高域はK501の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてK501の方がかなり上。R/200の方が中域がキンキンした音で、しかも音割れするため、非常に聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてK501の方が上。K501の方がノリが良くかつ繊細。響きはR/200の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK501の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもK501の方が良いだろう。

SR-225
どちらも超低域がかなり弱く、高域が強いという点は非常に良く似ている。低域の厚みはSR-225の方がああり、高域の量もSR-225の方がやや上。分解能はほぼ互角、音場の広さはK501の圧勝だが、音場の明確さであればほぼ互角。原音忠実性はK501の方が良好。エッジはSR-225の方がきつく、聴き疲れしやすい。どちらも非常に明瞭で甲乙つけがたい。音の鮮やかさや厚みではSR-225の方が上だが、K501は音そのものが細く繊細。ノリの良さではSR-225、繊細さではK501の圧勝。響きはどちらもあっさり。ヴォーカルの艶っぽさはどちらも意外と良いが、K501の方がやや上。温かみはどちらもいまいちだが、SR-225の方がやや良い。弦楽器はK501の圧勝だが、金管楽器はほぼ互角。一般的にはまったく違う機種という印象の強いこの両機種だが、意外なことに似ている点もかなりあった。得意分野はK501はクラシック、SR-225はロック。使い分けるならクラシックはK501、それ以外はSR-225が良い。

SRS-2020
SRS-2020は超低域までフラットなのに対して、K501は超低域がまったく出ない。中域はほぼ同量、高域は若干K501の方が強い。高域の澄んだ感じはK501の方があるのだが、キンキンして硬すぎると感じる人も多いかもしれない。分解能、音場感ともにSRS-2020の方が一段上。原音忠実性はほぼ同等だが、生の粗っぽさならK501、自然さならSRS-2020といった感じ。どちらもエッジはあまりきつくないが、さすがにSRS-2020は非常に聴きやすくまったく聴き疲れしないマイルドさがある。明瞭さでは超低域が出ない分K501の方が上に感じるが、超低域がないソースでは互角。音の鮮やかさはSRS-2020の方がやや上で、厚みは互角、芯の通った感じはK501の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-2020の圧勝。どちらも非常に繊細だが、SRS-2020の方が上を行く。響きはSRS-2020は豊か、K501は適度。弦楽器は中域〜高域はほぼ互角だが、低域はSRS-2020の方が圧倒的に良い。K501は超低域がタイトすぎ、チェロ等の低域がまったく味気ない。金管楽器はSRS-2020の方が良い。澄んでいてしかも空気感も十分。K501も悪くないのだが、SRS-2020と聴き比べると芯が通り過ぎていて空気感が感じられず、チープに聴こえる。ただし、ロックやポップスを聴くにはSRS-2020は音が丸くてぬるく、響きが良すぎる。K501は超低域は足りないし音が細いという不満はあるが、SRS-2020よりは相性が良い。得意分野はどちらも間違いなくクラシック。クラシックなら何を聴くにもSRS-2020の方が上に感じるが、弦楽で生っぽさを感じたいならK501か。ロックやポップスはK501の方がノリ良く楽しめるが、K501を使うならもっと他の機種をおすすめしたい。


・K55
AH-G500
AH-G500は高音より、K55はドンシャリ。超低域はAH-G500の方が出るが、低域はK55の方が出る。高域はK55の方が強い。分解能はAH-G500の方が上、音場感はK55の方が上。AH-G500の方が原音忠実だがエッジがきつく非常に聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-G500の方が上。ノリの良さならK55、繊細さならAH-G500。AH-G500は音が細く割れ気味で痛い。K55は塗り潰したように繊細さがない。響きはAH-G500の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにAH-G500の方が自然で良い。打ち込み系の音の表現はK55の方がうまい。得意分野はAH-G500はクラシック、K55はポップス。使い分けるならポップスはK55、それ以外はAH-G500。ただし、AH-G500は非常に聴き疲れするので、常用するにはつらい。

HP830
どちらもドンシャリだが、HP830の方がやや低音より。超低域はどちらもやや弱め、低域の厚みはHP830の方がかなりある。高域はどちらもしっかり聴こえてくるが、K55の方が高い音を鳴らす。分解能はHP830の方がやや上、音場感はほぼ互角。原音忠実性はHP830の方が上。K55の方がエッジがのきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP830の方が上。HP830の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP830の方がうまい。ただし、高域が高い方が好きな人はK55の方が良いと感じる部分もあるだろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP830の方が良い。

K501
K501は高音より、K55はドンシャリ。低域は全体的にK55の方が出るが、特に超低域の差は大きい。高域はK55の方が出る上、若干高い音を鳴らす。K501はK55と比べるとかなりかまぼこに感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてK501の方が上。K55の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはK501の方が上。温かみはK55の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはK501の方が上。ノリの良さならK55、繊細さならK501。響きはK55の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにK501の方が自然で澄んだ音が楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低音が出る分どうしてもK55の方が良いように感じる。得意分野はK501はクラシック、K55はポップス。使い分けるならポップスやロックはK55、それ以外はK501。

SE-M870
どちらもややドンシャリだが、K55の方が高音より。低域はSE-M870の方が全体的に出るし、高域はK55の方がやや強い。分解能、原音忠実性はSE-M870の方が上、、音場感はK55の方が上。ただし、SE-M870は中高域に癖がある。K55の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはK55の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。SE-M870の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はK55の方がやや高い音で澄んでいる。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方が良い。K55も悪くないのだが、そういうソースを楽しむにはやや高音よりに感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、金管楽器メインの曲はK55、それ以外はSE-M870。

UR/29
K55はドンシャリ、UR/29はかまぼこ。特に高域はK55の方が比較にならないほど出る。UR/29は中高域が多少出るだけで他はごっそり抜け落ちているが、K55は全体的にかなり出る上、高い音を鳴らす。低域はUR/29の方が若干強い。UR/29の方がかなり曇っているように感じられる。分解能はK55の方が上、音場感はUR/29の方が若干良い。原音忠実性はK55の方が上だが、エッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK55の方が上。厚みはUR/29の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもあまり感じられない。K55の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK55の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ロックはUR/29、それ以外はK55。


・K701
ATH-AD2000
どちらもかなりフラットだが、ATH-AD2000の方がやや低音より。低域はどちらもローエンドまで出ている感じは似ているが、全体的にATH-AD2000の方が量が多い。中域はK701の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。これは、どちらかと言うとATH-AD2000の方が普通よりもやや低めの音で、低域の曇りが多少気になるせいもあるだろう。高域はK701の方が細く高い音を鳴らす。分解能はほぼ互角だが、細部の描写はK701の方がうまい。音場感はK701の方が上。ATH-AD2000は耳の近くで音が鳴っているのが致命的に感じるが、それさえ気にしなければむしろATH-AD2000の方が明確な音場と感じる。原音忠実性はK701の方が上。ただし、どちらも原音の粗や生っぽさをあまり感じない点は似ている。K701の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK701の方が上。厚みはATH-AD2000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が上。ノリの良さならATH-AD2000、繊細さならK701。響きはK701の方が豊か。弦楽器の表現力は基本的に何でもK701の方が良さそうだが、ATH-AD2000も独特の伸びの良さや低域があるので、心地よく弦楽器の低域を楽しみたいならATH-AD2000の方が良いように感じる。金管楽器はK701の方が高く鮮やかだが、力強さではATH-AD2000に分がある。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方がうまい。K701と比べて音が太く低域の量も多いし、何よりダイナミック。使い分けるならポップスやロックはATH-AD2000、クラシックやジャズはK701。どちらもかなりフラットな割には違う音を鳴らす2機種で、使い分けも楽しめる。

DT880
DT880はやや高音より、K701はかなりフラット。低域は全体的にDT880の方が出る。質感的にはDT880の方が柔らかい。中域はどちらもはっきり聴こえてくるし癖もない点は良く似ている。高域はDT880の方が高く硬い音を鳴らすが、粗がある。こうして見ると、この2機種に限ればDT880の方がドンシャリ。分解能及び音場感はほぼ互角。DT880の方が細部の表現が優れているように感じるが、これはサラサラした質感で付帯音があるせいでもあるため、厳密にはどちらが上とは言いがたい。原音忠実性はK701の方が上だが、原音の粗はDT880の方が感じられる。DT880の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはK701の方がやや上。音の鮮やかさは、DT880の高域がかなり目立つためそこに目が行きがちだが、それを除けばほぼ互角。厚みはK701の方がややあるように感じるが、これはK701の方がやや芯の通った音であるためにそう感じる部分もあるし、それほど差はない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT880の方が上。どちらもノリの良さと繊細さを高いレベルで両立させているが、総合的に見るとどちらにせよK701の方が若干上のように感じる。その代わり、DT880にはK701にはない味わい深さがあるように感じる。響きはDT880の方が豊か。DT880は長所と短所があるのに対して、K701はとにかく無難な印象。弦楽器はK701の方が癖のない表現だが、DT880のサラサラした質感や低域の量感も素晴らしいものがあるので、ソースや好みによって評価が分かれるところだろう。金管楽器はDT880の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域が出る点ではDT880の方が良いように感じるが、それ以外の点についてはK701の方がややうまいように感じる。ただし、どちらにしてもそれほど相性が良いとは言えないだろう。得意分野はDT880がジャズ、K701がクラシック。使い分けるなら、ジャンル云々よりも、刺激が欲しいならDT880、無難な方が良いならK701という方法の方が良いだろう。

HD650
HD650はやや低音より、K701はかなりフラット。低域はHD650の方が厚み・量ともにある。中域はK701の方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけでなく、HD650よりやや高い音を鳴らすため。中高域はHD650の方が若干量が多いように感じるが、微妙な差。高域はK701の方が若干多いように感じるが、これも微妙。量よりも質感の違いの方が大きい。HD650の方が硬く金属的、K701の方が細い。分解能はほぼ互角。低域の多いソースではK701の方が良く感じるだろうが、そうでなければHD650の方が良く感じる。細部の描写はHD650の方がやや上のように感じる。音場感はHD650の方がやや上。立体感があり明確。原音忠実性はどちらも良いが、メーカー独自の味付けを感じさせる点は良く似ている。HD650は心地よくそれでいて力強く、K701はあくまで繊細さを第一にしている印象。どちらもエッジはきつくないが、どちらかと言えばHD650の方がきつい。特にサ行の音等では差が出る。明瞭さはK701の方が上。これは低域がやや弱めなことと線の細さからきていると思われる。音の鮮やかさはHD650の方が上。厚みはHD650の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD650の方がやや上だが、K701も十分なものを持っている。どちらかと言うと、この点はHD650が味付けしすぎなのだろう。どちらもノリの良さと繊細さを高いレベルで両立しているが、ノリの良さならHD650、繊細さならK701。響きはHD650の方が豊か。弦楽器はどちらも非常にうまい。チェロ等を心地よく聴きたいならHD650、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならK701。HD650の方が厚手で滑らか、K701の方が線が細く繊細。金管楽器はHD650の方が金属的で力強く鮮やか。K701も悪くは無いが、HD650と比べるとどこか物足りない。ただ、シンバル等の鳴らし方はコンデンサー型のような鳴らし方を好むならK701の方が合うだろう。この辺りは好みで変わってくると思われる。打ち込み系の音の表現はHD650の方がうまい。低域の量や音の厚み・密度で勝っている点が有利。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときはHD650、そうでもないときはK701。クラシックに限るなら、オーケストラはHD650、室内楽はK701。力強さを重視するならHD650、繊細さを重視するならK701。どちらもかなりバランスの良い機種なので、聴く人やソースによって使い分け方も様々だろう。

K501
K501は高音より、K701はかなりフラット。低域は全体的にK701の方が出るし、柔らかい質感。中域はK501の方がやや高くはっきり聴こえてくる。高域はK501の方が硬く細い鳴らし方で、目立つ。分解能及び原音忠実性はK701の方がやや上。音場感はほぼ互角だが、音の広がり等まで含めるとK701の方が一枚上手。K501の方が硬く芯の通った音でやや聴き疲れする。明瞭さは低域が出ない上に硬い音を鳴らすK501の方がやや上に感じるが、音の鮮やかさではK701も負けていない。厚みはK701の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK701の方が上。この2機種の一番の違いはこの点と、音の硬さだろう。どちらも繊細だが、K701はノリの良さも感じさせるのに対してK501はただ繊細。響きはK701の方がやや豊か。弦楽器はヴァイオリンの硬く澄んだ感じを楽しみたいときはK501の方が良いだろうが、それ以外はK701。金管楽器はK501の方が硬い音を鳴らすため相性は良いが、K701の方が力強く余裕のある表現。打ち込み系の音の表現はK701の方がうまい。K501は音の硬さがマッチする部分もあるのだが、低域不足と音の細さが合わないことが多い。得意分野はどちらもクラシックだが、K701の方がよりオールマイティーと言えよう。使い分けるなら、基本的にはK701で、音の硬さが欲しいときだけK501。

RS-1
K701はかなりフラット、RS-1はややドンシャリ。低域はRS-1の方がしっかり低い音を鳴らすが、全体的な量はほぼ同量。K701の方がローエンドまでフラットでやや曇っているような感じ。中域はRS-1の方がはっきり聴こえてくる。低域の曇りとは無縁なことと、K701よりも若干高めの音を鳴らすため。高域は、RS-1の方がややとがった高い音。分解能はRS-1の方が上。音の分離、細部の表現ともにやや勝っている。音場感は単純な優劣はつけられない。二次元的な広さではK701に分があるが、RS-1は奥行きがあり明確。3次元的な広さ、平面的あるいは立体的明確さ、残響音の利用の仕方等まですべて含めるとRS-1の方が上だろう。原音忠実性はどちらも良いが、どちらかと言えばRS-1の方が上。K701は曇っているように感じる部分があるし、原音の粗や生っぽさが感じられない。RS-1の方がエッジがきついが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。むしろK701のエッジが無さすぎと言うべきだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはRS-1の方が上。低域の曇りが無く、抜けが良く、どの音域も明確に聴こえてくる。それでいて輪郭が過剰に明確であるということがない。厚みは単純には比較できない。RS-1の方が全体的にタイト。どちらも音の圧力はしっかりある。温かみはK701の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方がやや上。ノリの良さならRS-1、繊細さならK701。ただし、どちらもノリの良さと繊細さを非常に高いレベルで両立しており、総合的に見てRS-1は若干ノリの良い側へ、K701は若干繊細な側へバランスが振れているように感じる、と言った程度。RS-1の方が爽やかでテンションが高い。K701の方がしっとりしているがそれでいて圧力では負けていない。響きはRS-1の方がやや豊かだが、抜けも良いため、一聴してK701の方が響きが豊かと感じる人も多そう。RS-1はしっかり音が抜けていくのに対して、K701は意外と高い圧力で叩きつけられた音が抜けずに潰れる印象。弦楽器は低域の質感から、心地よさではK701の方が上に感じられるが、基本的な表現力はRS-1の方が勝っている。金管楽器はどちらもうまいが、RS-1の方がやや高く鮮やか。細部の音の割れ方までしっかり表現してくれるし、何より聴いていて楽しい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、どこか物足りない。K701は明るさやテンションの高さが足りないし、RS-1は低域の量やどこかソフトな感じが不満。どちらもかなりオールマイティーと言ってよい。使い分けるなら、基本的にはRS-1、RS-1ではテンションが高すぎたり抜けが良すぎたりする場合にはK701。

SR-007+SRM-717
どちらもかなりフラット。低域は、量はそれほど差がないが、質感がかなり違う。SR-007+SRM-717の方が柔らかく、K701の方が圧力がある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、K701の方がやや高い音。中高域は低域と同じで、量よりも質に違いが出る。K701の方が金属的。高域はSR-007+SRM-717の方が細く高い音を鳴らすため目立つ。分解能及び音場感はSR-007+SRM-717の方が上。音の分離にしろ、微細な表現にしろ、SR-007+SRM-717の方が一段上。音場はSR-007+SRM-717の方が広く立体的な上に全面駆動の音の鳴り口の広さが加わっているため、差が明確。原音忠実性はどちらも良いが、癖のなさという意味ではK701の方が良く、コンデンサー型独特の質感を除けばSR-007+SRM-717の方が良いように感じる。ただし、どちらも原音の粗は感じられない。SR-007+SRM-717の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-007+SRM-717の方が上。曇りのない表現。厚みはそれほど差がないが、圧力はK701の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSR-007+SRM-717の方が上。どちらも繊細だが、やはりダイナミック型のK701の方がノリの良さという点では分がある。響きはSR-007+SRM-717の方がやや豊か。弦楽器はSR-007+SRM-717の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はK701の方が力強く、SR-007+SRM-717の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はK701の方がややうまい。音に圧力があるだけでなく、締まりもあるため。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、基本的にはSR-007+SRM-717、余程音の圧力が欲しいときやコンデンサー型の質感を嫌うときはK701。


・KSC75
EHP-820
EHP-820はかなりフラット、KSC75はやや低音よりのドンシャリ。低域はKSC75の方がかなり低い音を鳴らしてくれるし、量もやや多い。中域はどちらも低域に負けるが、EHP-820は低域の薄い曇りに覆われる印象、KSC75は低域の量に負ける印象。高域はKSC75の方がかなり高い音を鳴らすし、目立つ。分解能及び音場感はKSC75の方が上。音の分離が良いだけでなく、細部の表現もうまい。原音忠実性はどちらも良くない。EHP-820はあまり変な癖はないのだが全体的に曇っていて細かい音を鳴らしてくれない感じ、KSC75は原音忠実性よりも音楽を楽しめるように徹底的に味付けしてある感じ。KSC75の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてKSC75の方が上。KSC75の方がかなりノリが良いが、それでいて繊細さもある。EHP-820はただ漠然と鳴らしている感じ。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はKSC75の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、付帯音の無さという意味ではEHP-820の方が相性が良いのだろうが、KSC75の方が低域をしっかり出してくれるし音の厚みやスピード感が上なので、総合的に見るとKSC75の方が良いだろう。得意分野はEHP-820がポップス、KSC75がロック。ほとんど何を聴くにしてもKSC75の方が良い。

HP-AL700
HP-AL700はやや低音より、KSC75はややドンシャリ。低域はHP-AL700の方が量が多いが、厚みはKSC75の方があるように感じる。中域はKSC75の方が曇りなくしっかり聴こえてくる。高域はKSC75の方が細く高い音を鳴らす。分解能はKSC75の方が上、音場感はほぼ互角。原音忠実性はあまり差がない。HP-AL700は低域がやや支配的で曇っているように感じるし細部の表現が苦手。KSC75は元気が良すぎる。KSC75の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がかなりある。温かみはどちらかと言えばHP-AL700の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が感じられる。KSC75の方がノリが良くかつ繊細。響きはKSC75の方が豊かだが、HP-AL700は低域の量が多いこと等から響きが豊かと誤解を受けそうではある。弦楽器はKSC75の方が繊細で澄んでいる。金管楽器はKSC75の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現もKSC75の方がうまい。音の厚みやスピード感が段違い。得意分野はHP-AL700がポップス、KSC75がロック。ほとんど何を聴くにしてもKSC75の方が良いだろうが、よほど聴き疲れが気になる人はHP-AL700の穏やかな音を好むかもしれない。

OMX52
KSC75はやや低音よりのドンシャリ、OMX52はかなりフラット。低域はKSC75の方がかなり出る。中域はOMX52の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はKSC75の方がかなり高く尖った音を鳴らす。分解能は音の傾向がかなり違うため判断が難しいが、KSC75の方がやや上か。音場感はKSC75の方が上。原音忠実性はOMX52の方が上。KSC75の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはOMX52の方がやや上、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が上。KSC75の方がノリが良い。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はOMX52の方が粗のない鳴らし方。金管楽器はKSC75の方が高く鮮やかだが、癖がありすぎて受け付けない人も多そう。打ち込み系の音の表現はKSC75の方がうまい。得意分野はKSC75はロック、OMX52はポップス。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならKSC75、癖のなさ重視ならOMX52。

PHP-200
KSC75はやや低音よりのドンシャリ、PHP-200はやや高音よりのドンシャリ。低域はKSC75の方が若干低い音でかなり量が多い。中域はPHP-200の方が低域の邪魔がない上、うわずり気味ではっきり聴こえてくる。高域はPHP-200の方がやや高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。音場感、原音忠実性はKSC75の方がやや上。PHP-200の方がエッジがきつい上に硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは低域の量の少なさと音の硬さからPHP-200の方がやや良いように感じる。厚みは音の質感がかなり違うため比較が難しい。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方がかなり上。どちらもノリが良いが、KSC75は繊細さも持ち合わせている反面PHP-200は繊細さはない。響きはKSC75の方がやや豊か。一番の違いは、KSC75がやや柔らかい音であるのに対して、PHP-200がかなり硬い音であることだろう。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はPHP-200の方が鮮やかで金属的な鳴りが楽しめるが、ソースによってはチープに感じる。打ち込み系の音の表現はPHP-200の方がややうまい。音の硬さがマッチしている印象。得意分野はKSC75がロック、PHP-200がポップス。使い分けるなら、打ち込み系の音を明るく硬い音で楽しみたいときやブラスメインの曲はPHP-200、それ以外はKSC75。

PortaPro
どちらもやや低音よりのドンシャリ。非常に良く似た音。低域はPortaProの方がやや量が多いが、質は良く似ている。中域は低域が弱い分KSC75の方が多少はっきり聴こえてくる感じ。中高域はほとんど同じ音だが、高域はPortaProの方が若干とがった音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等。エッジのきつさもほぼ互角だが、低域の量が多いことと高域のとがりのせいでPortaProの方が若干聴き疲れするかもしれない。明瞭さは低域が出ない分KSC75の方がやや上、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもほぼ互角。どちらもノリが良いが、最低限の繊細さは持ち合わせている点も良く似ている。単にノリの良さだけなら低域が出る分PortaProの方がやや良いか。響きはほぼ互角。やや柔らかめな音。弦楽器はどちらもそれなりに心地よいが、繊細さがやや足りない。PortaProは低域が出すぎだろう。金管楽器はどちらも力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現は低域の締まりのなさが合わない感はあるが、ノリの良さで乗り切っている。得意分野はどちらもロック。装着方法の違いだけで、音はほとんど同じなので、装着方法で使い分けるのが良いだろう。あえて音で使い分けるなら、低域の量が欲しいときはPortaPro、そうでもないときはKSC75。

SE-EX9
どちらもややドンシャリ。低域は、量的には大きな差はないが、KSC75の方が柔らかくぼやけている感じ。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、SE-EX9の方が低域と分かれるような感じで多少目立つ。高域はSE-EX9の方が硬く金属的な鳴らし方。分解能はほぼ互角。音の分離はSE-EX9の方がやや良いが、微細な描写はKSC75の方がやや良い。音場感はSE-EX9の方が立体的で明確。原音忠実性は微妙。全体的な周波数特性の癖のなさではKSC75の方が良いが、原音の粗や生っぽさはSE-EX9の方が感じられる。KSC75の方がエッジがきついが、SE-EX9の方が音の圧力があるので、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-EX9の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しいが、基本的にはSE-EX9の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が上。どちらもノリが良い。KSC75は勢いや元気の良さがある感じ、SE-EX9は厚みや切れがある感じ。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はKSC75の方が心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかで甲乙付け難い。打ち込み系の音の表現はSE-EX9の方がうまい。低域の質感、厚み、切れ、冷たい感じが合う。得意分野はKSC75がロック、SE-EX9がポップス。使い分けるなら、柔らかい音を求めるならKSC75、硬い音を求めるならSE-EX9。


・m5
HP-FX77
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は量的にはあまり大きな差はないが、m5の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし、厚みもある。中域はどちらも低域の量に負けるが、m5の方がやや高い音で低域と繋がっていないような感じがして、はっきり聴こえてくる。高域はm5の方がやや高く鋭い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はm5の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ上。原音の粗や生っぽさも感じられる。音場感はあまり大きな差はないが、m5の方が明確。m5の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはm5の方が上。厚みもm5の方がある。温かみはHP-FX77の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。m5の方がノリが良い。響きはHP-FX77の方がやや豊か。m5の方が明るく、音の輪郭がはっきりしている。弦楽器は、心地よさという点ではさほど差はないが、m5の方が繊細。特にヴァイオリンの澄んだ感じ等を楽しみたいならm5の方がかなり良い。金管楽器は、音の高さは大きな差はないが、m5の方が鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はm5の方がうまい。音の厚み、質感が合う。使い分けるなら、基本的にはm5、m5では派手すぎると感じるならHP-FX77。

IE-20 XB
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなり量が多くしっかり低い音を鳴らしてくれる点は似ているが、IE-20 XBの方がややぼやけて締まりがない感じ。m5の方が中低域が弱めで制動が効いている感じ。中域はどちらも低域の量が多い割に聴こえてくるが、m5の方が中低域が弱めな上にやや高い音を鳴らすため多少目立つ。高域は量的にはm5の方が多い。質的にはm5の方が細く鋭い感じ。IE-20 XBがチンと鳴らすところをm5はシャンと鳴らす感じ。この2機種を比べた場合、m5の方がやや高音よりと言って良いだろう。分解能はほぼ同等レベルだが、どちらかと言えばm5の方が微細な描写をこなしてくれる感じで良い。音場感はほぼ同等レベル。原音忠実性はm5の方が良い。IE-20 XBと比べて原音の粗や生っぽさが感じられる。m5の方がややエッジがきついが、サ行の音はIE-20 XBの方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはm5の方が上。厚みはIE-20 XBの方がある。温かみはIE-20 XBの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはm5の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、IE-20 XBの方がやや低音でごり押しする感じ、m5の方がやや軽快な感じ。響きはIE-20 XBの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はm5の方が繊細で原音らしさがあり良いが、ソースによっては中域にやや嫌味が出ることがある。金管楽器はm5の方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はm5の方がうまい。切れや中域〜高域の明るさに差がある。使い分けるなら、基本的にはm5、余程低域の量を求める場合や中域の上ずった感じが気になる場合はIE-20 XB。

MDR-EXQ1
m5は低音よりのドンシャリ、MDR-EXQ1はややドンシャリ。低域はm5の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくる。MDR-EXQ1はm5と比べて低域の量が少ないために聴こえてくるのに対して、m5の方はやや癖がある感じで聴こえてくる。高域はMDR-EXQ1の方がやや高い音で明るいが、量的にはあまり大きな差はない。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ同等レベル。ただし、音場はどちらかと言えばMDR-EXQ1の方が明確に感じる。原音の粗や生っぽさは同等レベルだが、周波数特性上の癖の少なさや原音の実体感が感じられるという点で、どちらかと言えばMDR-EXQ1の方が原音忠実と言える。m5の方がエッジがきついが、サ行の音はMDR-EXQ1の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EXQ1の方が上。低域が少ない上に高域も明るいため。厚みはMDR-EXQ1の方がやや上。温かみはMDR-EXQ1の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等レベル。どちらもノリが良い傾向だが、m5の方が低音で押す感じ、MDR-EXQ1の方が厚みと切れがある感じ。響きはMDR-EXQ1の方がやや豊か。弦楽器は繊細さや心地よさという点ではあまり差はないが、m5はソースによって中域に嫌味が出るため、MDR-EXQ1の方が良いように感じることがある。金管楽器はMDR-EXQ1の方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現は好みの差だろう。低音の量を重視するならm5、切れや明るさを重視するならMDR-EXQ1。使い分けるなら、基本的にはMDR-EXQ1、低域の量が欲しい場合にはm5。


・MDR-7506
HFI-650
どちらもややドンシャリ。低域はMDR-7506の方が低い音で量も多く、粘りがある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、MDR-7506の方が上ずっていて癖がある。高域はHFI-650の方がやや高い音で硬く粗のない感じ。この2機種を比べた場合、HFI-650の方が高音よりと言えるだろう。分解能はほぼ互角。音場感はHFI-650の方が広く明確。原音忠実性は同等レベル。周波数特性上の癖のなさではHFI-650の方が良いが、MDR-7506の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。HFI-650の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-650の方が上。厚みはどちらもしっかりある感じだが、音が太く低音の量が多い分MDR-7506の方がやや上のように感じる。温かみはどちらもあまり感じられないが、どちらかと言えばHFI-650の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、HFI-650は締まりや切れでノリが良い感じ、MDR-7506はHFI-650と比べるとやや低音の量で押す感じ。響きはどちらもややあっさりでほぼ同等レベル。弦楽器はHFI-650の方が癖がなく澄んだ音。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、HFI-650の方がやや高い音で不要な成分を鳴らさない感じで好印象。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。中域から高域の鮮やかさや締まりを重視するならHFI-650、低域の量感を求めるならMDR-7506といった感じ。使い分けるなら、低域の量感が欲しいならMDR-7506、そうでなければHFI-650。

HP-M1000
どちらもややドンシャリ。低域はMDR-7506の方がやや低い音で厚みもあるが、全体的な量はHP-M1000の方が多い。HP-M1000の方が曇っているように感じる。中域はMDR-7506の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくるが、これはMDR-7506の中域がややうわずり気味なせいもあるかもしれない。中高域はMDR-7506の方がかなり出るが、高域はHP-M1000の方が細くて目立つ印象。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-7506の方が上。HP-M1000の方がややエッジがきつく聴き疲れするが、絶対値としては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方が上。どちらもノリが良いが、HP-M1000はとにかく楽しく聴かせる音作りになっているのに対して、MDR-7506は楽しく聴かせながらもモニター的な部分がしっかり感じられる。響きはどちらも適度だが、どちらかと言えばHP-M1000の方がやや豊かか。弦楽器はMDR-7506の方が繊細。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やかで楽しめるし原音に近い。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまい。HP-M1000では切れが足りないようならMDR-7506の方が合うだろうし、MDR-7506では低域の絶対量が不足に感じるならHP-M1000の方が合うだろう。使い分けるなら、基本的にはMDR-7506で、温かみやヴォーカルの艶っぽさが欲しいときにはHP-M1000。

K271studio
K271studioはやや高音より、MDR-7506はややドンシャリ。低域はMDR-7506の方がしっかり低い音を鳴らすし、量もやや多い。K271studioはMDR-7506と比べると曇っているように感じられる。中域はMDR-7506の方がしっかり聴こえてくるが、これはMDR-7506の中域がややうわずり気味であること、K271studioが曇り気味であることの両方が理由だろう。高域は量はそれほど差が無いが、K271studioの方がやや線の細い鳴らし方。分解能及び原音忠実性はMDR-7506の方がやや上。音場感はほぼ互角。エッジのきつさはほぼ互角で、どちらもそれほど聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方がやや上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはK271studioの方が感じられる。ノリの良さならMDR-7506、繊細さならK271studio。響きはK271studioの方がやや豊か。弦楽器はK271studioの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はMDR-7506の方がうまい。低域の量感や音の厚みが合う。使い分けるなら、室内楽等の繊細さが欲しい場合やヴォーカルものはK271studio、それ以外はMDR-7506。

MDR-CD900ST
MDR-7506はややドンシャリ、MDR-CD900STはかなりフラット。低域は、量はそれほど差がないように感じるが、MDR-7506の方が低く厚みのある音を鳴らす。中域はMDR-7506の方が曇りなくはっきり聴こえてくる。これは、MDR-7506の方が中域がやや高めの音を鳴らすのと、MDR-CD900STは低域の薄い曇りが気になるせいだろう。高域はかなり似ているが、MDR-7506の方が若干量が多い。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えば曇りに邪魔されない分MDR-7506の方が良いか。音場感はMDR-7506の方がやや良い。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつい上、こもり感が気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもソースの持っているもの以上は出さない感じだが、MDR-CD900STの方がやや良いように感じる。どちらもモニターライクな鳴らし方ではあるが、MDR-7506の方がノリが良く楽しめる。響きはMDR-CD900STの方がやや豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が原音に近く、繊細さや心地よさでもMDR-7506にも負けていない。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-7506の方がかなりうまい。音の厚みとドンシャリ具合がマッチする。使い分けるなら、聴き疲れしてもいいから原音忠実性を保ちたいときにはMDR-CD900ST、それ以外はMDR-7506。

RH-300
どちらもややドンシャリ。低域は、MDR-7506が低く塊のような鳴らし方であるのに対して、RH-300は自然な鳴らし方。中低域はRH-300の方が出る。中域はMDR-7506がやや上ずっているのに対して、RH-300はかなりおとなしい。中高域から高域はRH-300の方が細く高い鳴らし方。分解能は微妙。音の分離はMDR-7506の方が良いように感じるが、微細な表現はRH-300の方がこなしてくれる。音場感はRH-300の方が広く明確で良い。原音忠実性は方向性が違う。原音の粗はMDR-7506の方が感じられるが、不自然さがないのはRH-300の方だろう。RH-300の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはRH-300の方が上。厚みはMDR-7506の方がややあるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方が上。どちらも基本的にはノリが良いが、ノリの良さならMDR-7506、繊細さならRH-300の方が上。響きはRH-300の方がやや豊か。弦楽器はRH-300の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまいが、RH-300の方がやや高く金属的で楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまい。好みで評価が分かれるだろう。MDR-7506の方が圧力がありメリハリのある鳴らし方、RH-300の方が癖がなくて聴きやすくそれでいて鮮やかな鳴らし方。使い分けるなら、原音の粗や厚み重視ならMDR-7506、温かみやヴォーカルの艶っぽさ重視ならRH-300。

RP-HTX7
MDR-7506はやや低音よりのドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はRP-HTX7の方がやや低い音を鳴らすが、全体的な量はMDR-7506の方がかなり多いし、厚みや弾力のある鳴らし方。中域はRP-HTX7の方がややはっきり聴こえてくるが、これは低域の量云々よりもうわずっているためだろう。中高域から高域はRP-HTX7の方が細く硬く高い音を鳴らすが、全体的な量はMDR-7506の方がやや多いように感じる。分解能及び原音忠実性はMDR-7506の方がかなり上。音場感はほぼ互角。RP-HTX7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは低域の量がかなり少ない分RP-HTX7の方がやや良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-7506の方が上。MDR-7506の方がノリが良い。響きはMDR-7506の方が豊か。RP-HTX7の方がタイトで付帯音が無い。あまりにも飾り気の無い音。弦楽器はMDR-7506の方が原音に近い上、心地よい。金管楽器はRP-HTX7の方が高い音を鳴らすがソースによってはチープに感じる。MDR-7506の方が力強く原音に近い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、RP-HTX7は低域がタイトすぎて量が足りない気がする。使い分けるなら、基本的にはMDR-7506、よほど低域のタイトさが欲しいときや付帯音の無さが欲しいときだけRP-HTX7。

SP-K300
MDR-7506はややドンシャリ、SP-K300は低音よりのドンシャリ。低域はMDR-7506の方が低い音を鳴らすが、量はSP-K300の方がかなり多い。中域はMDR-7506の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はSP-K300の方がややとがった鳴らし方。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-7506の方が良い。SP-K300の方がエッジがきつい上、こもり感が気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、どちらかと言えば低域の曇りがあるSP-K300の方が良いように感じてしまう。MDR-7506はノリが良いながらもモニター的であるのに対して、SP-K300は低域で押してくる単純にノリが良い機種。響きはSP-K300の方が豊か。弦楽器はMDR-7506の方が繊細。金管楽器はSP-K300の方がやや高い音を鳴らすが、作ったような感じがする。原音忠実を求めるならMDR-7506の方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はMDR-7506の方がうまい。音の厚みと低域の締まりが合う。使い分けるなら、基本的にはMDR-7506、聴き疲れや低域の曇りがあってもいいから温かみやヴォーカルの艶っぽさを求めるならSP-K300。


・MDR-A35SL
HP-SN51
どちらもやや低音より。低域はHP-SN51の方が薄く曇っていてやや量が多い。中域はMDR-A35SLの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、HP-SN51の方がやや粗がある感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-A35SLの方が良い。エッジのきつさはほぼ同等だが、HP-SN51の方が変な曇りや癖があり疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-A35SLの方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-A35SLの方が上。響きはMDR-A35SLの方がやや豊か。弦楽器はMDR-A35SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器は音の高さや鮮やかさにはそれほど差はないが、不自然さがないという点でMDR-A35SLの方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はMDR-A35SLの方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもMDR-A35SLの方が良いだろう。

PX10
MDR-A35SLははやや低音より、PX10はやや高音より。低域はMDR-A35SLの方が量が多くぼやけている。PX10の方がタイトですっきりした鳴らし方。中域はPX10の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPX10の方が高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はPX10の方がやや上。音場感はほぼ互角。PX10の方がややエッジがきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはPX10の方が上。厚みは質感の違いはあるものの基本的にMDR-A35SLの方があるように感じられる。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはPX10の方がやや上。両機種ともどちらかと言えばノリが良い傾向だが、MDR-A35SLは低域で押す感じ、PX10は軽快でパンチのある感じ。響きはMDR-A35SLの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角の表現だが、低域の量がある分MDR-A35SLの方がやや良いように感じることもある。金管楽器はPX10の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は基本的にはPX10の方がうまいが、やや低音の量が不足に感じることもある。その場合にはMDR-A35SLの方が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはPX10、低音の量重視ならMDR-A35SL。


・MDR-CD3000
AH-D5000
どちらもかなりフラットだが、AH-D5000の方がやや低音より。低域はどちらも柔らかめな点は似ているが、AH-D5000の方が若干低くて量も多い。中域はどちらも癖なくはっきり聴こえてくるが、どちらかと言うとMDR-CD3000の方が低域に邪魔されず聴こえてくる。高域は比較的似ているが、MDR-CD3000の方がやや細くとがった音で目立つ。分解能はほぼ同等。音の分離にしろ微細な描写にしろ大きな差はない。音場感はMDR-CD3000の方が広く、遠くで音を鳴らしている感じ。原音忠実性はAH-D5000の方がやや上。AH-D5000の方が癖が中高域から高域の癖が少ない。ただ、原音の粗はMDR-CD3000の方が感じられる。MDR-CD3000の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さは低域が少なく高域が目立つMDR-CD3000の方がやや上に感じられる。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはほぼ互角だが、MDR-CD3000の方が広い空間で鳴らしているため密度的に薄く感じがち。温かみはAH-D5000の方がやや上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、MDR-CD3000の方がサ行の音等が痛い。どちらもノリの良さと繊細さをかなりのレベルで両立しているが、AH-D5000の方がやや繊細でおとなしい。響きはAH-D5000の方がやや豊か。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-CD3000の方がやや高い音で派手。打ち込み系の音の表現はほぼ互角で、どちらも微妙。AH-D5000はややおとなしい鳴らし方だし、MDR-CD3000は遠くから鳴らしていて迫力が足りない感じがする。全体的に、音場を除くと比較的近い音を鳴らす。使い分けるなら、音場重視ならMDR-CD3000、それ以外はAH-D5000。

HP-DX1000
どちらもかなりフラット。低域は全体的な量はかなり近いが、HP-DX1000の方が厚みがある。ドンと前に出てくるような感じ。MDR-CD3000の方がローエンドまでフラットな印象。中域はHP-DX1000がややうわずり気味なのに対して、MDR-CD3000は癖がない。中高域から高域はMDR-CD3000の方が高くて細い、刺激的な音を鳴らす。分解能はどちらも高く、甲乙付け難いが、あえて上下をつけるならMDR-CD3000の方が若干上のように感じる。音場感もそれほど大きな差はないように感じるが、空間の広さや音の広がりはMDR-CD3000の方が上。ただし、明確さではむしろHP-DX1000の方が上のようにも感じる。原音忠実性は一概には言えない。一般的な意味で言うなら、低域から中域はMDR-CD3000の方が原音に近く、中高域から高域はHP-DX1000の方が原音に近い。原音の実体感という意味ではHP-DX1000の方が一段上。MDR-CD3000の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP-DX1000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD3000の方が上。ヴォーカルはMDR-CD3000がなかなか艶っぽいのに対して、HP-DX1000は瑞々しいという印象。ノリの良さはHP-DX1000の方が上。厚み、切れ、軽快さ、スピード感すべてにおいて勝っている。MDR-CD3000の方が線が細いが、広い意味で繊細さを考えたときに、どちらがより繊細かは微妙なところ。響きはほぼ互角だが、音域傾向の関係上MDR-CD3000の方が豊かに感じやすいようだ。音の広がり、こもり感のなさはMDR-CD3000の方がやや上。ただし、こもり感はHP-DX1000もほとんど気にならないレベル。HP-DX1000の方が明るくメリハリがあり、新しい音作りになっているように感じるが、硬いと感じる人も多そう。弦楽器はMDR-CD3000の方が心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならHP-DX1000の方が良い。金管楽器はHP-DX1000の方が力強い鳴らし方だが、ハイハット等はMDR-CD3000の方が刺激的で楽しめる。打ち込み系の音の表現はHP-DX1000の方がうまい。低域はHP-DX1000の方が厚み・締まりともに相性が良い。中高域から高域は、MDR-CD3000は細すぎるように感じる。使い分けるなら、地味な音を求めているときにはMDR-CD3000、明るい音を求めているときにはHP-DX1000か。どちらもかなりオールマイティーではあるが、空間表現のうまさから、クラシックが向いていると言えそう。あえてジャンルで使い分けるなら、クラシックはMDR-CD3000、それ以外はHP-DX1000という使い分けもありかもしれない。

MDR-SA5000
MDR-SA5000の方が高音より。特に超低域に差があり、MDR-SA5000はかなり弱いのに対し、MDR-CD3000はしっかり出る。また、高域はMDR-SA5000の方がやや強く、一段高い音に聴こえる。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方が良好。超低域が弱めなせいもあるが、それだけでなく単純な音の分離という点においてMDR-SA5000の方が勝っている。音場はどちらも遠くで鳴らしていて明確という共通点があるが、MDR-SA5000の方がより一層把握しやすい音場。原音に近いのはMDR-SA5000だが、MDR-CD3000の方が心地よく聴ける味付けがなされているといった感じで、音楽を楽しむという意味においてはその差はあまり大きくないように思える。MDR-SA5000の方が若干エッジがきつく、高音よりで分解能が高く非常に明瞭でもあるため、やや聴き疲れする。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD3000の方が良いが、ソースによってはサ行の音やブレスの音が若干気になる。ノリの良さはMDR-CD300の方が若干上。MDR-CD3000は低域をしっかり鳴らしてくれるのに対して、MDR-SA5000は切れが良くしかも芯の通った音で対抗しているが、低域の不足は否めない。ただし、どちらもそれほどノリが良いわけではない。かと言ってそれほど繊細なわけでもなく、ある種のモニター的冷静さが特徴。響きはMDR-CD3000は適度、MDR-SA5000は控えめといった感じ。どちらも弦楽器、金管楽器ともにある種の癖があり、どんなソースであっても共通の色が出る。ただしその癖そのものには違いがあり、MDR-CD3000は聴きやすさ重視のマイルドさ、MDR-SA5000は原音の粗や生っぽさ重視の骨太さといった感じ。どちらもかなりオールマイティで、ジャンルを選ばない。

PROline750
MDR-CD3000はフラット、PROline750はドンシャリ。超低域はどちらも若干弱めだがMDR-CD3000の方が出る。厚みはPROline750の方がかなりある。高域は若干PROline750の方が出る。分解能や原音忠実性はMDR-CD3000の方がやや良い。音場感はPROline750の方が良い。PROline750の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはPROline750の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさは好みが分かれるところだろう。MDR-CD3000の方が癖がないことは確か。MDR-CD3000はモニター的な冷静さがあるが、PROline750は元気が良く明るい。弦楽器、金管楽器ともに原音忠実を求めるならMDR-CD3000の方が良いが、PROline750にはMDR-CD3000にはない魅力があるのも確か。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、PROline750の方が楽しめる。毛色は違うが、どちらも別の意味でかなりオールマイティー。ジャンルごとに使い分けるのではなく、基本はMDR-CD3000で、刺激が足りないときや飽きたときはPROline750を使うのが良さそう。

SE-900D
どちらもかなりフラット。SE-900Dの方がかまぼこ。低域は全体的にMDR-CD3000の方が出る。高域も若干MDR-CD3000の方が強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-CD3000の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかといえばMDR-CD3000の方が疲れる。明瞭さはほぼ互角だが、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてMDR-CD3000の方が上。MDR-CD3000の方がノリが良くしかも繊細。響きはMDR-CD3000の方が豊かだが、こもり感は感じない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-CD3000の方がうまい。何を聴くにしてもMDR-CD3000の方が良いだろう。


・MDR-CD480
HP-D7
どちらもやや低音よりだが、MDR-CD480の方が若干低音よりか。高域はほぼ同等。全体的に、別メーカーの作ったものとは思えないほど良く似た音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHP-D7の方が若干上に感じるが、差はほとんど無い。HP-D7の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-D7の方が若干上。厚み、密度はMDR-CD480の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方がやや上。ノリの良さならMDR-CD480、繊細さならHP-D7。響きはどちらも適度だが、MDR-CD480の方がやや豊か。HP-D7の方がやや線が細く、曇りのない音。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべて大きな差は無いもののHP-D7の方がうまい。得意分野はHP-D7はポップス、MDR-CD480はロック。使い分けならロックはMDR-CD480、それ以外はHP-D7。

MDR-NC20
どちらも低音より。基本的にはかなり近い音。超低域はMDR-NC20の方がやや出るが、厚みはMDR-CD480の方がある。中域〜高域はほとんど互角だが、若干MDR-CD480の方が出る。分解能、音場感、エッジのきつさはほぼ同等。MDR-NC20の方が原音にやや近い。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-CD480の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方がやや上。MDR-CD480の方がノリが良い。響きはMDR-NC20の方がやや豊かで、非常にこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器はMDR-NC20の方が原音に近くしかも心地よく聴けるが、曇りが気になる。打ち込み系の音の表現はMDR-CD480の方がうまい。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら音漏れとノイズキャンセル機能から考えて本来はインドアがMDR-CD480、アウトドアがMDR-NC20なのだろうが、ジャンルで分けるならクラシックやジャズはMDR-NC20、ポップスやロックはMDR-CD480か。

SE-M380
どちらも低音より。超低域はSE-M380の方が出るが、低音の厚みそのものは若干MDR-CD480の方がある。高音は基本的にはMDR-CD480の方が埋もれないが、超高域はSE-M380の方が出る。全体的にはMDR-CD480の方が高音より。分解能、音場感、原音忠実性等すべてMDR-CD480の方が若干良い。ただし、低音が出ないソースでは分解能や原音忠実性は逆転する。MDR-CD480の方がエッジがきつめ。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-CD480の方が上。かなり曇ってはいるものの、温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-M380の方が感じられるMDR-CD480は芯が通り過ぎている。MDR-CD480の方がノリが良くしかも繊細。ただし、低域はSE-M380の方が出るので、人によってはノリの良さの評価は違ってきそう。響きはどちらも適度で、MDR-CD480は布製イヤーパッドでSE-M380は特殊な構造で音が抜けるにもかかわらず、こもり感が気になる。弦楽器はMDR-CD480の方が繊細で楽しめる。金管楽器はややSE-M380の方が良いか。MDR-CD480はかなり安っぽい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、MDR-CD480の方がバランスよく楽しめる。得意分野はSE-M380がポップス、MDR-CD480がロック。使い分けるなら一部のポップスやブラスメインのものはSE-M380、それ以外はMDR-CD480。


・MDR-CD900ST
ATH-M40fs
ATH-M40fsはかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域は全体的にMDR-CD900STの方が出る。高域はaudio-technica独特の癖があるためATH-M40fsの方が高い音に聴こえるが、量的にはほぼ互角。MDR-CD900STの方が若干分解能が良く原音忠実。音場感は互角。どちらもエッジがきつく非常に聴き疲れするが、響きが豊かで低音が出る分大抵のソースではMDR-CD900STの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-M40fsの方が上。厚みや密度はMDR-CD900STの方が上。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさには欠ける。モニター用らしい冷静な鳴らし方。弦楽器はMDR-CD900STの方が原音に近くしかも伸びも良い。金管楽器や打ち込み系の音の表現はATH-M40fsの方がうまい。使い分けるなら打ち込み系の曲やブラスメインの曲はATH-M40fs、それ以外はMDR-CD900ST。特に低音が欲しい場合にはMDR-CD900STの方が良い。

ATH-SX1
ATH-SX1はややかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域は全体的にMDR-CD900STの方が出る。高域はほぼ互角だが、若干ATH-SX1の方が出る。分解能はMDR-CD900STの方が良いか。音場感はややATH-SX1の方が良い。どちらも非常に原音忠実だが、MDR-CD900STはやや低音よりなところがあり、ATH-SX1は高域に癖がある。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-SX1の方がやや上。厚み、密度は若干MDR-CD900STの方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方がある。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が生っぽいのだが、心地よく音楽鑑賞できるのはATH-SX1。金管楽器はATH-SX1の方が鮮やかで良い。打ち込み系の音の表現もATH-SX1の方がうまい。メーカーが違うわりにはかなり似た機種なので、使い分けるのは難しいが、聴き疲れの少ないATH-SX1をメインにして、MDR-CD900STは原音忠実性が厳密に要求されるところで使いたい。

CPH7000
CPH7000はややかまぼこ、MDR-CD900STはかなりフラット。低域は、全体的にはMDR-CD900STの方が量が多いが、特定帯域だけは同等に感じる。CPH7000に癖があるようだ。質感はMDR-CD900STがややぼやけている感じ、CPH7000の方が締まりがある感じ。中域はCPH7000の方がはっきり聴こえる。これは、低域に邪魔されないのと、うわずっていて目立つこと、両方のせいだろう。高域はCPH7000の方が高い音でかなり目立つ。分解能はMDR-CD900STの方が上。音の分離は差を感じないが、微細な表現はかなり違う。音場感はCPH7000の方がやや良い。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。中域の癖のなさだけでなく、原音の粗を感じやすい点でも勝っている。MDR-CD900STの方が細かい音が耳に突き刺さる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCPH7000の方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方が上。CPH7000はややノリが良いのに対して、MDR-CD900STは極めてモニター的。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が癖がなくうまい。金管楽器はCPH7000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域の量ではMDR-CD900STに分があるが、単純な音の質感の相性ではCPH7000の方がかなり良い。使い分けるなら、明るく楽しみたいときや聴き疲れを嫌うときにはCPH7000、低域の量が欲しいときや中域の癖を嫌うときはMDR-CD900ST。

DR-631
DR-631はかまぼこ、MDR-CD900STはフラット。低域も高域もMDR-CD900STの方が出る。特に低域はMDR-CD900STの方がかなり出る。DR-631は中低域はしっかり鳴らすのに、それ以下はバッサリ鳴らない。分解能はDR-631の方が若干上に感じるが、線の細さや音の粒の細かさを求めているならMDR-CD900STの方が良い。音場感、原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはDR-631の方が上、音の鮮やかさはMDR-CD900STの方が上。厚み、密度はDR-631の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方がかなり上。DR-631は極めてモニター的な鳴らし方なのに対して、MDR-CD900STはモニター用にしてはフラットで響きが豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-CD900STの方が魅力的。音楽鑑賞に使うなら何を聴くにしてもほとんどMDR-CD900STの方が良いだろう。モニター的な用途以外では、DR-631は使えない。

K240monitor
どちらもかなりフラットだが、K240monitorの方がややかまぼこか。低域は密閉型特有のこもり感の影響もあるのだろうがMDR-CD900STの方が強いように感じる。中域〜高域はほぼ同量だが、超高域はMDR-CD900STの方が出るし、鋭く突き刺さってくる。分解能、原音忠実性はMDR-CD900STの方がやや上。音場感はK240monitorの方がやや良い。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや密度はMDR-CD900STの方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK240monitorの方が上。MDR-CD900STの方がノリが良い。響きはMDR-CD900STの方が豊か。MDR-CD900STはこもり感が気になるが、K240monitorはそんなことはない。MDR-CD900STの方がかなりスピード感のある鳴らし方。弦楽器はK240monitorの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、MDR-CD900STの方がやや音が太く圧力がある。打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方がうまい。使い分けるなら、まずは聴き疲れの程度だろう。MDR-CD900STは音楽鑑賞には聴き疲れしすぎる。聴き疲れの点を除けば、クラシックはK240monitor、それ以外はMDR-CD900STか。

MDR-7506
MDR-7506はややドンシャリ、MDR-CD900STはかなりフラット。低域は、量はそれほど差がないように感じるが、MDR-7506の方が低く厚みのある音を鳴らす。中域はMDR-7506の方が曇りなくはっきり聴こえてくる。これは、MDR-7506の方が中域がやや高めの音を鳴らすのと、MDR-CD900STは低域の薄い曇りが気になるせいだろう。高域はかなり似ているが、MDR-7506の方が若干量が多い。分解能はほぼ互角だが、どちらかと言えば曇りに邪魔されない分MDR-7506の方が良いか。音場感はMDR-7506の方がやや良い。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつい上、こもり感が気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもソースの持っているもの以上は出さない感じだが、MDR-CD900STの方がやや良いように感じる。どちらもモニターライクな鳴らし方ではあるが、MDR-7506の方がノリが良く楽しめる。響きはMDR-CD900STの方がやや豊か。弦楽器はMDR-CD900STの方が原音に近く、繊細さや心地よさでもMDR-7506にも負けていない。金管楽器はMDR-7506の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-7506の方がかなりうまい。音の厚みとドンシャリ具合がマッチする。使い分けるなら、聴き疲れしてもいいから原音忠実性を保ちたいときにはMDR-CD900ST、それ以外はMDR-7506。

MDR-D777SL
MDR-CD900STはかなりフラット、MDR-D777SLは低音より。低域はMDR-CD900STの方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はMDR-CD900STの方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMDR-CD900STの方が高い音で量も多い。分解能はMDR-CD900STの方がかなり上。音場感はMDR-D777SLの方がやや立体感がある。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-CD900STの方が上。温かみはMDR-D777SLの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、MDR-CD900STはモニター的な冷静さを感じさせるのに対して、MDR-D777SLは本当にただ何となく鳴らしているだけに感じる。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-D777SLの方が心地よいが、作った心地よさ以外のものをすべて放棄してしまっている感じなので、普通に聴くならMDR-CD900STの方が良いだろう。金管楽器はMDR-CD900STの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方がうまい。使い分けるなら、基本的にはMDR-CD900ST、余程聴き疲れを嫌う場合や少しでも音場感を優先したい場合だけMDR-D777SL。

PRO/4AA
MDR-CD900STはフラット、PRO/4AAはかまぼこ。低域は圧倒的にMDR-CD900STの方が出るが、これはむしろPRO/4AAの低域が出なさ過ぎと言うべきだろう。高域はほぼ同量だが、様々な理由によりPRO/4AAの方が出るように感じられる。どちらもモニター用だが一聴して全然違う音調。分解能はほぼ互角だが、若干MDR-CD900STの方が良いか。音場感はPRO/4AAの方が良い。MDR-CD900STの方が原音忠実。どちらもかなり聴き疲れするが、エッジのきつさではMDR-CD900STの方が上。PRO/4AAは硬く芯が通り過ぎていて疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはPRO/4AAの方が良い。厚み、密度、情報量等はほぼ互角だが、かなり違う方向性なので、比較しないほうがいいかもしれない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方がある。PRO/4AAはよほどうがった聴き方をしない限り温かみやヴォーカルの艶っぽさはゼロと言って良い。響きはMDR-CD900STの方が圧倒的に豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてMDR-CD900STの方が上。使い分けは難しい。まったく違う音なので気分で変えるのが良いかもしれないが、基本的には何を聴くにしてもMDR-CD900STの方が良いだろう。

RP-21
MDR-CD900STはかなりフラット、RP-21はややドンシャリ。低域は量的にはあまり差はない。MDR-CD900STの方が柔らかくぼやけている感じ、RP-21の方がタイトでパンチがある感じ。中域はRP-21の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はRP-21の方が高く鋭い音で目立つ。分解能はRP-21の方が若干上。一つ一つの音の微細な描写にはあまり差がないが、音の分離はRP-21の方が良い。音場感はRP-21の方が広く明確。原音忠実性はどちらも良いが、原音の粗はMDR-CD900STの方が感じられる。エッジは基本的にはMDR-CD900STの方がきついが、サ行の音はRP-21の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-21の方が上。厚みはRP-21の方がある。温かみはMDR-CD900STの方が感じられる。これは、MDR-CD900STの方が低域が柔らかくぼやけていることと、RP-21の方がやや硬くて冷たい質感であることが原因。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。RP-21の方がメリハリがある鳴らし方で、ノリが良い。響きは、低域はMDR-CD900STの方が豊か、高域はRP-21の方が豊か。MDR-CD900STの方がかなりこもり感が気になる。弦楽器は好みの差だろう。RP-21では硬く冷たいと感じるならMDR-CD900STが良いだろうし、MDR-CD900STではベースがぼやけていたりヴァイオリンの澄んだ感じが出ないと感じるならRP-21の方が良いだろう。金管楽器はRP-21の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-21の方がうまい。音の質感や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはRP-21、高域の癖を避けたいときや低域の柔らかい感じが欲しいときはMDR-CD900ST。

T50RP
MDR-CD900STはフラット、T50RPはややかまぼこ。超低域はほぼ同量だが、低域・高域ともにMDR-CD900STの方が若干出る。分解能はMDR-CD900STの方が良い。音場感はT50RPの方が広く明確。MDR-CD900STの方が原音忠実だが、エッジがきつくかなり聴き疲れする。ホワイトノイズも大きい。明瞭さ音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてMDR-CD900STの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。T50RPの方が生ぬるい印象。ヴォーカルはMDR-CD900STの方が芯が通っている。どちらもモニター用の音作りで、ノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、あえて分けるならノリの良さならMDR-CD900ST、繊細さならT50RP。響きはどちらも豊か。弦楽器はT50RPの方が心地よく聴ける。金管楽器や打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方が良い。原音に近く鮮やか。もっともそれはT50RPが曇っているだけかもしれないが。何を聴くにしてもMDR-CD900STの方が若干良いように感じるが、聴き疲れするのは確か。T50RPを使うのは、MDR-CD900STに聴き疲れしたときや広い音場を楽しみたいときくらいか。

TR-HP03B
MDR-CD900STはかなりフラット、TR-HP03Bはややドンシャリ。低域はMDR-CD900STの方がやや量が多いが、TR-HP03Bの方がしっかり低い音を鳴らす。中域はTR-HP03Bの方が低域に埋もれない感じで明確に聴こえてくる。高域はTR-HP03Bの方がやや高い音で量も多い。分解能はMDR-CD900STの方が上。音の分離はさほど違いを感じないが、細かい部分はMDR-CD900STの方が分かる。音場感はTR-HP03Bの方が上。明確で広がりがある。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。特に原音の粗を強く感じられる点が違う。MDR-CD900STの方がかなり聴き疲れする。これはエッジのきつさよりもこもり感の酷さの影響が大きいようだ。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてTR-HP03Bの方が上。TR-HP03Bの方がノリが良い。響きはMDR-CD900STの方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はTR-HP03Bの方が粗のない表現で心地よく聴ける。金管楽器はTR-HP03Bの方が鮮やかで力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はTR-HP03Bの方がうまい。音の厚みや低域の質感で勝っている。使い分けるなら、ほとんど何を聴くにしてもTR-HP03Bの方が良いだろう。


・MDR-D777SL
HFI-650
HFI-650はややドンシャリ、MDR-D777SLは低音より。低域はHFI-650の方がやや低い音で厚みや圧力がある。中域はHFI-650の方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHFI-650の方が高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHFI-650の方が上。音の分離にしても細部の表現にしてもHFI-650の方が圧倒的に上。HFI-650の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-650の方がかなり上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-D777SLの方が上のように感じるが、これは低域の薄い曇りによる部分が大きい。HFI-650の方がノリが良くかつ繊細。響きはMDR-D777SLの方が豊か。弦楽器はHFI-650の方が繊細。と言うより、MDR-D777SLは弦楽器を聴ける音ではない。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方が圧倒的にうまい。厚み、切れ、スピード感、低域の質感等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはHFI-650、余程聴き疲れを避けたいときだけMDR-D777SL。

HN110
どちらも低音より。低域は薄く曇っている点が良く似ている。量的にもかなり近い。中域があまり聴こえてこない点も同様。高域はどちらも地味だが、HN110の方が若干目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしにくい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ同等。どちらかと言えばHN110の方が若干明るめ。どちらもただ何となく鳴らしているような感じ。響きはHN110の方がやや豊か。メーカーが違う割にはかなり似た音。弦楽器はどちらも生っぽい感じがなく、するすると流れていってしまう感じ。金管楽器はHN110の方が若干鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまくない。かなり似た音を鳴らすし、独特の個性や魅力があるわけではないので、どちらか片方持っていれば十分の機種。

MDR-CD900ST
MDR-CD900STはかなりフラット、MDR-D777SLは低音より。低域はMDR-CD900STの方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はMDR-CD900STの方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMDR-CD900STの方が高い音で量も多い。分解能はMDR-CD900STの方がかなり上。音場感はMDR-D777SLの方がやや立体感がある。原音忠実性はMDR-CD900STの方が上。MDR-CD900STの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-CD900STの方が上。温かみはMDR-D777SLの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、MDR-CD900STはモニター的な冷静さを感じさせるのに対して、MDR-D777SLは本当にただ何となく鳴らしているだけに感じる。響きはMDR-CD900STの方が豊か。弦楽器はMDR-D777SLの方が心地よいが、作った心地よさ以外のものをすべて放棄してしまっている感じなので、普通に聴くならMDR-CD900STの方が良いだろう。金管楽器はMDR-CD900STの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はMDR-CD900STの方がうまい。使い分けるなら、基本的にはMDR-CD900ST、余程聴き疲れを嫌う場合や少しでも音場感を優先したい場合だけMDR-D777SL。

mix-style headphones
MDR-D777SLは低音より、mix-style headphonesはかまぼこ。低域はどちらも薄く曇っているような感じは似ているが、MDR-D777SLの方が多少厚みがある。中域はどちらも低域の曇りに覆われるが、MDR-D777SLの方が癖がない。中高域はMDR-D777SLの方がしっかり出るが、高域はmix-style headphonesの方が高い音で目立つ。分解能は大きな差はないが、MDR-D777SLの方がやや上。音場感はMDR-D777SLの方が明確。原音忠実性はMDR-D777SLの方がやや良い。主に中域の癖のなさで勝っている。どちらもエッジはきつくないが、mix-style headphonesの方がハウリングするような感じで疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ同等。厚みはMDR-D777SLの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-D777SLの方がやや上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもなく、ただ何となく鳴らしているだけに感じる。響きはMDR-D777SLの方がやや豊かだが、こもり感としてはそれほど変わらない。MDR-D777SLの方が安定感がある。弦楽器はMDR-D777SLの方が滑らか。金管楽器はMDR-D777SLの方がしっかり鳴らしてくれるが、それにしても良いとは言い難い。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。低域の量感や音の厚みはMDR-D777SLの方が良いが、高域の鮮やかさはmix-style headphonesの方が良い。使い分けるなら、余程高域が聴きたい場合だけmix-style headphones、それ以外はMDR-D777SL。

TriPort
MDR-D777SLは低音より、TriPortは低音よりのドンシャリ。低域はTriPortの方が低い音で厚みもある。MDR-D777SLは薄く曇っていて量だけは多い感じ。中域はTriPortの方がはっきり聴こえてくる。MDR-D777SLは低域の薄い曇りに覆われる感じ、TriPortは低域の多いソースでは低域の量に負ける感じ。高域はTriPortの方が高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてTriPortの方が上。音の分離にしろ細部の描写にしろTriPortの方が上だし、音場は明確で立体感がある。MDR-D777SLはとにかく薄い低域が支配的で何を鳴らしても生楽器らしさが皆無だが、TriPortはそこまで低域が支配的でもないし生楽器らしさも多少なりとも感じられる。TriPortの方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはTriPortの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばTriPortの方が上。TriPortの方がノリが良い。響きはTriPortの方が豊かだが、MDR-D777SLの薄い低域に支配された音も響きが豊かと錯覚しやすい。弦楽器はTriPortの方が良い。MDR-D777SLは生楽器を鳴らしているという感じが皆無。金管楽器はTriPortの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はTriPortの方がうまい。低域の量感や元気のある鳴らし方が合う。ほとんど何を聴くにしてもTriPortの方が良いだろう。


・MDR-E888LP
A8
A8はやや高音よりのかまぼこ、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はMDR-E888LPの方がローエンドまで素直に出る。A8はローエンドが不足。低域の量そのものにはそれほど差は無い。中域はA8の方が前に出てくる。高域はA8の方がやや高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はA8の方が上。音場感はMDR-E888LPの方がやや上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばA8の方が芯の通った硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはA8の方が上。厚みは質感が違うので判断しにくい。温かみはMDR-E888LPの方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さをある程度両立しているが、低域が出る分MDR-E888LPの方がノリが良いと感じる人が多いだろうし、微細な音の表現がうまい分A8の方が繊細だと感じる人が多いだろう。ただし、芯の通った感じはA8の方がノリの良さに繋がっているし、柔らかい質感はMDR-E888LPの方が繊細さに繋がっている。ソースや聴く人によって感じ方が変わってくるだろう。響きは、低域はMDR-E888LPの方が豊か、高域はA8の方が豊か。A8の方が硬くて冷たく輪郭のはっきりした音。弦楽器はMDR-E888LPの方が心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならA8の方が合うだろう。金管楽器はA8の方が高く硬く鮮やかな鳴り。打ち込み系の音の表現はA8の方が相性が良いが、低音が不足に感じられる人が多そう。その場合にはMDR-E888LPの方がいいかもしれない。使い分けるなら、硬い音が好きならA8、柔らかい音が好きならMDR-E888LPか。

ATH-CM7TI
ATH-CM7TIは高音より、MDR-E888LPはかなりフラット。低域は基本的にMDR-E888LPの方がかなり量が多いが、一部ATH-CM7TIの方が低い音を鳴らすことがあるし、タイト。中域はATH-CM7TIの方が高い音で目立つ。中高域から高域はATH-CM7TIの方がかなり高い音で、細く硬く金属的な鳴り。分解能はATH-CM7TIの方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はMDR-E888LPの方がやや上のように感じる。とにかくフラットで自然。ただし、付帯音や音楽鑑賞向けの味付けの無さだけを求めるなら、ATH-CM7TIの方が良いだろう。ATH-CM7TIの方がエッジがきつい上、芯の通った硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CM7TIの方が上。これは低域の量によるものだけではない。厚みは判断が難しいが、ATH-CM7TIの方がタイト、MDR-E888LPの方が丸みのある柔らかい音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。どちらもノリの良さと繊細さをある程度両立しているが、ATH-CM7TIは低域不足、MDR-E888LPは音の硬さや圧力が不足。響きはMDR-E888LPの方が豊か。ATH-CM7TIが非常に硬い質感であるのに対して、MDR-E888LPは適度に柔らかい質感。この点が最大の違いだろう。弦楽器はK501のような細く硬く澄んだ音を求めるならATH-CM7TIの方が良いが、MDR-E888LPの方が心地よく楽しめる。金管楽器はATH-CM7TIの方がかなり高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、ATH-CM7TIの方が硬くて切れの良い音で相性が良いのだが、低域の量が不足のため、大抵のソースではどちらの機種も一長一短に感じる。使い分けるなら、高域の表現や分解能が欲しいならATH-CM7TI、自然さや音の柔らかさが欲しいならMDR-E888LP。

Bose in-ear headphones
Bose in-ear headphonesは低音より、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はBose in-ear headphonesの方が圧倒的に多い。中域は、MDR-E888LPがはっきり聴こえてくるのに対して、Bose in-ear headphonesはまったく聴こえてこない。高域はMDR-E888LPの方が高い音を鳴らすし、量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E888LPの方が上。MDR-E888LPの方がエッジがきついが、Bose in-ear headphonesは低域が強すぎて疲れる面もあるので、どちらが聴き疲れするかは人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-E888LPの方が上。厚みはBose in-ear headphonesの方があるように感じるが、これはぼやけて太い音を鳴らすからで、MDR-E888LPの方が締まりのあるという見方もできるだろう。温かみは低音の量が多い分Bose in-ear headphonesの方が良いように感じがちだが、実際にはあまり違いはないだろう。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-E888LPの方が上。Bose in-ear headphonesは締まりや線の細さが感じられないが、MDR-E888LPはしっかり感じられる。響きは、低域はBose in-ear headphonesの方が豊か、それ以外はMDR-E888LPの方が豊か。弦楽器はMDR-E888LPの方が繊細で良い。Bose in-ear headphonesは生楽器らしさがまったく感じられない。金管楽器はMDR-E888LPの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-E888LPの方がうまい。Bose in-ear headphonesは低音の量が多いだけで、締まりやスピード感に欠ける。使い分けるなら、基本的にはMDR-E888LP、よほど低音が欲しいときだけBose in-ear headphones。

HE580
HE580はやや低音より、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はHE580の方がかなり低い音で存在感があるが、量そのものは大差ない。中域はMDR-E888LPの方がはっきり聴こえてくる。高域はMDR-E888LPの方が細く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E888LPの方がやや上。MDR-E888LPの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-E888LPの方が上。厚みはHE580の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。ノリの良さならHE580、繊細さならMDR-E888LP。響きはMDR-E888LPの方が豊か。弦楽器はMDR-E888LPの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-E888LPの方が細部までしっかり表現してくれるし前に出てくる感じ。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。低域がしっかり出るし、音の太さが合う。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く聴きたいときや低域が欲しいときはHE580、それ以外はMDR-E888LP。

K14P
K14Pはややドンシャリ、MDR-E888LPはかなりフラット。低域はMDR-E888LPの方が若干低い音で量もわずかに多い。中域はK14Pの方がストレートに聴こえてくる。高域はK14Pの方が細く硬く目立つ。してみると、この2台についてはK14Pは高音より、MDR-E888LPはやや低音よりと言った方が的確なのかもしれない。分解能はMDR-E888LPの方が若干良いか。音場感はほぼ互角。原音忠実性はMDR-E888LPの方が上。K14Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK14Pの方がかなり良い。厚みは質感がかなり違うので判断が難しいが、K14Pの方があるだろう。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E888LPの方が上。ノリの良さならK14P、繊細さならMDR-E888LP。響きはK14Pの方がやや豊か。K14Pの方がかなり硬い音。弦楽器はMDR-E888LPの方が心地よくかつ繊細。金管楽器はK14Pの方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、低域が出る分MDR-E888LPの方がうまいようにも感じるが、音の硬さがK14Pの方がマッチする。使い分けるなら、ポップスや元気の良さが欲しいときはK14P、それ以外はMDR-E888LP。

MDR-E931LP
全体的にはかなり似た傾向の音。MDR-E888LPはかなりフラット、MDR-E931LPはややドンシャリ。低域はMDR-E931LPの方がややぼやけ気味で量が多い。MDR-E888LPの方がしっかりローエンドまで鳴らしていてくれるように感じる。中域はMDR-E888LPの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はMDR-E888LPの方が粗がない。量はMDR-E931LPの方が若干多いか。分解能及び原音忠実性はMDR-E888LPの方がやや上。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-E888LPの方が良いように感じる。エッジのきつさはほぼ互角で、どちらも聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さはMDR-E888LPの方が若干上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはMDR-E888LPの方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-E888LPの方が良いように感じる。MDR-E888LPの方が繊細で、それでいてノリの良さも負けていない。MDR-E888LPの方が自然。MDR-E931LPはどこか作ったようなノリの良さに感じる。響きはどちらも適度でほぼ同量。弦楽器は大きな差はないが、MDR-E888LPの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-E931LPの方が若干金属的で楽しめる部分もあるが、基本能力ではMDR-E888LPの方が勝っている。打ち込み系の音の表現はほぼ同等。ほとんどの部分が互角か、MDR-E888LPの方が若干良い感じなので、何を聴くにしてもMDR-E888LPの方が良いだろう。

MX500
MDR-E888LPはかなりフラット、MX500はやや高音より。低域はMDR-E888LPの方が量が多いが、音の低さはさほど変わらない。中域はMX500がやや上ずっているのに対して、MDR-E888LPは落ち着いた鳴り。高域はMX500の方が細くとがった鳴らし方。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E888LPの方が若干上のように感じる。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方が若干上。厚みはMDR-E888LPの方がある。温かみはMDR-E888LPの方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。MDR-E888LPの方がノリが良い上、繊細さでも負けていない。響きはMX500の方がやや豊かだが、抜けが良いためあまり差は感じられない。MX500の方が軽く爽やかな音調。弦楽器はMDR-E888LPの方が心地よいが、もう少し線の細さが欲しかったところ。金管楽器はMX500の方が高く鮮やかだが、ソースによってはチープに感じるだろう。その点、MDR-E888LPは力強く落ち着いた鳴りで良くも悪くも安心して聴ける感じ。打ち込み系の音の表現はMDR-E888LPの方がうまい。低域が出る上、MX500と比べて線が太く、打ち込み系の音との相性が良い。使い分けるなら、基本的にはMDR-E888LPで、線の細さが欲しいときはMX500か。

v-moda remix m-class
MDR-E888LPはかなりフラット、v-moda remix m-classはややドンシャリ。低域は、量はそれほど差がないが厚みはv-moda remix m-classの方がある。中域はどちらも癖がなくはっきり聴こえてくる。高域はv-moda remix m-classの方がやや硬く鮮やかな鳴らし方。分解能はほぼ互角。音の分離はv-moda remix m-classの方がやや良いように感じるが、微細な表現はMDR-E888LPの方が良いように感じられる。音場感はMDR-E888LPの方がやや広い。原音忠実性はMDR-E888LPの方がやや上。作ったような感じがしない。MDR-E888LPの方がややエッジがきついが、v-moda remix m-classの方が音に圧力があり、聴き疲れとしてはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはv-moda remix m-classの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。v-moda remix m-classの方がノリが良く、MDR-E888LPの方が自然。響きはほぼ同等。弦楽器はMDR-E888LPの方が自然だが、v-moda remix m-classの方が粗がない感じ。金管楽器はv-moda remix m-classの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はv-moda remix m-classの方がうまい。厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、自然さを求めるならMDR-E888LP、ノリの良さを求めるならv-moda remix m-class。


・MDR-E931LP
ATH-C602
どちらもややドンシャリだが、MDR-E931LPの方がフラット。低域はATH-C602の方がやや量が多い。厚みが特別厚くない点は似ている。中域はMDR-E931LPの方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。ATH-C602は低域の曇りが気になる。高域はATH-C602の方が高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべて大きな差はないが、どちらかといえばMDR-E931LPの方が良い。MDR-E931LPの方が音の分離も微細な表現も若干上。音場感はMDR-E931LPの方が自然な広がりがある。どちらかと言えばMDR-E931LPの方がエッジがきついが、大きな差はない。明瞭さはMDR-E931LPの方が上、音の鮮やかさや厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばATH-C602の方が良い。どちらも特にノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはMDR-E931LPの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角の表現。金管楽器はATH-C602の方がやや高くて粗のある表現。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-E931LPの方が低域の曇りがなく良いように感じる。使い分けるなら、ドンシャリでもいいから温かみや高域の刺激が欲しいならATH-C602、フラットで癖のない方が良いならMDR-E931LP。

HE580
HE580はやや低音より、MDR-E931LPはややドンシャリ。低域はHE580の方が低い音で量も多い。中域はどちらもやや低めの音でおとなしい。高域はMDR-E931LPの方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E931LPの方がやや上。MDR-E931LPの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは低域が弱い上に線が細いMDR-E931LPの方が上。厚みはHE580の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E931LPの方が上。ノリの良さならHE580、繊細さならMDR-E931LP。響きは、低域はHE580、高域はMDR-E931LPの方が豊か。弦楽器はMDR-E931LPの方が心地よい。金管楽器はMDR-E931LPの方が高く鮮やかだが、HE580の方が力強い。打ち込み系の音の表現はHE580の方が上。特に低域の質感で差が出る。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く聴きたいときや低域が欲しいときはHE580、それ以外はMDR-E931LP。

iPod付属イヤホン
iPod付属イヤホンはフラット、MDR-E931LPはややドンシャリ。低域はMDR-E931LPの方がやや低い音で量も多い。中域はどちらも低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域は比較的似た鳴らし方だが、iPod付属イヤホンの方がやや明るい感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべて大きな差はないがどちらかと言えばMDR-E931LPの方が上。エッジのきつさはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E931LPの方がやや上。MDR-E931LPの方がノリが良い。iPod付属イヤホンはただ何となく鳴らしている感じで、無味乾燥に感じる。響きはほぼ同等。弦楽器はMDR-E931LPの方が生楽器らしい質感が出る。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はMDR-E931LPの方が元気があって良い。それなりに似た機種で、MDR-E931Pの方がやや優れているので、基本的にMDR-E931LPがあればiPod付属イヤホンは不要だろう。

MDR-E888LP
全体的にはかなり似た傾向の音。MDR-E888LPはかなりフラット、MDR-E931LPはややドンシャリ。低域はMDR-E931LPの方がややぼやけ気味で量が多い。MDR-E888LPの方がしっかりローエンドまで鳴らしていてくれるように感じる。中域はMDR-E888LPの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はMDR-E888LPの方が粗がない。量はMDR-E931LPの方が若干多いか。分解能及び原音忠実性はMDR-E888LPの方がやや上。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-E888LPの方が良いように感じる。エッジのきつさはほぼ互角で、どちらも聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さはMDR-E888LPの方が若干上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはMDR-E888LPの方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-E888LPの方が良いように感じる。MDR-E888LPの方が繊細で、それでいてノリの良さも負けていない。MDR-E888LPの方が自然。MDR-E931LPはどこか作ったようなノリの良さに感じる。響きはどちらも適度でほぼ同量。弦楽器は大きな差はないが、MDR-E888LPの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-E931LPの方が若干金属的で楽しめる部分もあるが、基本能力ではMDR-E888LPの方が勝っている。打ち込み系の音の表現はほぼ同等。ほとんどの部分が互角か、MDR-E888LPの方が若干良い感じなので、何を聴くにしてもMDR-E888LPの方が良いだろう。

MX500
MDR-E931LPはややドンシャリ、MX500はやや高音より。低域はMDR-E931LPの方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はMDR-E931LPがおとなしく低域の豊かなソースでは低域に負ける傾向であるのに対して、MX500はやや高めの音で目立つ。高域はMX500の方が細く硬く尖った音で量も多い。分解能はMX500の方が若干上か。音場感はほぼ互角だが、MX500の方がやや広いように感じる。原音忠実性は、MDR-E931LPの方が癖がなく良い。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E931LPの方が上。MDR-E931LPの方がノリが良い。響きはあまり差がないが、低域はMDR-E931LPの方が豊か、高域はMX500の方が豊か。弦楽器はMDR-E931LPの方が心地よい。金管楽器はMX500の方が高く鮮やか。MDR-E931LPの方が太い音で力強い感じ。打ち込み系の音の表現はMDR-E931LPの方がうまい。MX500はとにかく低域の量が不満。使い分けるなら、低域が弱くてもいいから線の細さや明瞭さを求めるならMX500、それ以外はMDR-E931LP。


・MDR-EX71SL
ATH-CK7
どちらもややドンシャリだが、どちらかと言うとATH-CK7の方がフラット。低域の量はほぼ互角だが、MDR-EX71SLの方が若干低い音。中域はATH-CK7の方がややうわずり気味のせいかはっきり聴こえてくる。高域はMDR-EX71SLの方が若干高く粗がある音。分解能、音場感ともにATH-CK7の方が若干良いが、価格分の差があるかどうかは微妙。原音忠実性はほぼ互角。基本的にはATH-CK7の方が良いのだが、中域のうわずり気味な部分が致命的に感じる。MDR-EX71SLの中域は癖がない。エッジのきつさ、聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-CK7の方がやや上。厚みはほぼ互角。温かみはMDR-EX71SLの方が感じられる。ATH-CK7はaudio-technicaらしい硬く冷たい音。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、ATH-CK7の方がキンキンした硬さがあり、MDR-EX71SLの方が若干サ行の音が痛い。どちらもノリが良い。粗のなさという点ではATH-CK7の方が若干上。響きはどちらも適度であまり差はない。弦楽器はATH-CK7の方が原音の生っぽさが感じられるように思うが、基本的に大きな差はない。金管楽器はどちらもかなり高く鮮やかだが、鮮やかさという点ではATH-CK7の方が上。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。得意分野はどちらもポップス、使い分けるならロックはMDR-EX71SL、それ以外はATH-CK7だろう。ただし、ATH-CK7の癖を受け付けない人にとっては、何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いかもしれない。

HP-FX77
どちらもドンシャリだが、HP-FX77の方が低音より。低域はどちらもしっかり出るが、HP-FX77の方が量が多い。中域は、MDR-EX71SLの方が低域に埋もれずしっかり聴こえる。高域はMDR-EX71SLの方がやや高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はMDR-EX71SLの方がやや上。音場感はほぼ互角。MDR-EX71SLの方がややエッジがきついが、HP-FX77は低域の量が多すぎるのとこもり感がひどいせいで疲れるため、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX71SLの方が上。厚みはMDR-EX71SLの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良いが、HP-FX77は低域の量だけで押しているように感じるのに対して、MDR-EX71SLは低域だけでなく厚みと切れも良い。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-EX71SLの方が上のように感じる。響きはHP-FX77の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX71SLの方が厚みや締まりがあり、うまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、よほど低域の量が欲しいときだけHP-FX77、それ以外はMDR-EX71SL。

HP-VX101
HP-VX101は低音より、MDR-EX71SLはややドンシャリ。低域はHP-VX101の方が量が多いが、MDR-EX71SLの方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。HP-VX101は量が多いだけで薄く、曇りが非常に気になる。中域はMDR-EX71SLの方がはっきり聴こえてくる。高域はMDR-EX71SLの方が細く高く硬いし、量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方がかなり上。MDR-EX71SLの方がエッジがきついが、HP-VX101は低域の量が多すぎて疲れるため、聴き疲れはソースや聴く人によってかなり違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がノリが良くかつ繊細。響きはMDR-EX71SLの方が豊かだが、こもり感はHP-VX101の方がかなり気になる。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX71SLの方が厚み、切れ、スピード感に勝り、楽しめる。得意分野はHP-VX101がロック、MDR-EX71SLがポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良い。

MDR-EXQ1
全体的に非常に良く似た傾向。どちらもややドンシャリ。低域はMDR-EXQ1の方がやや低く厚みのある音を鳴らしてくれる。中域はどちらもやや弱めだが、それほど引っ込んでいるわけではない。高域は質・量ともにかなり似ているが、MDR-EXQ1の方が多少粗がない。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EXQ1の方がやや上。基本的に価格ほどの差はないと思われるが、同時に複数の音を鳴らしたときの音の分離だけはそれなりの差が感じられる。エッジのきつさはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EXQ1の方が若干上。厚みはMDR-EXQ1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもMDR-EXQ1の方が感じられるが、ヴォーカルについてはあまり差を感じない。MDR-EXQ1の方がノリが良くかつ繊細。響きはほぼ同等だが、どちらかと言えばMDR-EXQ1の方が豊かか。非常に良く似た機種だが、音の密度や粗のなさに違いが出る。弦楽器、金管楽器ともにかなり似た音を鳴らすが、MDR-EXQ1の方が若干自然で粗がなく素直に楽しめる。打ち込み系の音の表現は低域が出ることもありMDR-EXQ1の方が合う。得意分野はどちらもポップス。非常に似ているだけに、ほとんど何を聴くにしても基本性能に勝るMDR-EXQ1の方が良いように感じる。

MDR-NC11A
MDR-EX71SLは高音よりのドンシャリ。MDR-NC11Aは低音より。低域はMDR-NC11Aの方がぼやけた低域がかなりの量出る。中域はMDR-EX71SLの方がしっかり聴こえてくるし、MDR-NC11Aと比べて曇ったりもしていない。高域はMDR-EX71SLの方が圧倒的に高く鮮やかな音を大音量で鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がエッジがきついがそれほど聴き疲れしないレベル。MDR-NC11Aはエッジはまったくきつくないが、低域の量が多くこもり感も気になるため、そういう意味でやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX71SLの方がかなり上。厚みは判断が難しいが、MDR-EX71SLの方が好印象。温かみは低域が出る分MDR-NC11Aの方があるのかもしれないが、それだけ。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLはノリが良いが、MDR-NC11Aはただ曇った低域が支配的なだけでスピード感や切れがまったく足りない。響きは低域はMDR-NC11Aの方が豊か、中域から高域はMDR-EX71SLの方が豊か。MDR-NC11Aの方がかなりこもり感が気になる。弦楽器はMDR-NC11Aはまったく繊細さが足りないのに対してMDR-EX71SLはそこそこ聴かせてくれる。金管楽器は、MDR-EX71SLの方が圧倒的に鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はよほど低域の量が欲しい場合を除いてMDR-EX71SLの方がスピード感があり楽しめる。得意分野はMDR-EX71SLがポップス、MDR-NC11Aがロック。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いように感じる。

SE-CL30
MDR-EX71SLはややドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はMDR-EX71SLの方が一段低くしっかりした厚みのある音を鳴らす。SE-CL30の方が薄く中域までぼんやり覆う感じ。中域はMDR-EX71SLの方が癖がなくしっかり聴こえてくる。高域もMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方が上。エッジのきつさはほぼ互角でどちらも多少聴き疲れするが、十分許容範囲だろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がノリが良い。響きはどちらも適度だが、高域はMDR-EX71SLの方が豊かでシンバル等が楽しめる。こもり感はSE-CL30の方がやや気になる。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細かつ心地よい。MDR-EX71SLはチェロ等の量感もしっかり感じられるのに対してSE-CL30はいまいち。金管楽器もMDR-EX71SLの方が鮮やか。SE-CL30も悪くはないのだが、薄い低域の影響を受けているのか、どこか垢抜けないように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらも可も不可もなくと言った感じだが、厚みと切れがある分MDR-EX71SLの方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いだろう。

SHE9501
MDR-EX71SLはややドンシャリ、SHE9501はかなりフラット。低域はMDR-EX71SLの方がやや低い音で量も多め。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、低域・高域との関係が違う。MDR-EX71SLが低域・高域と隔絶された感じで鳴るのに対して、SHE9501は自然に繋がっている。高域はMDR-EX71SLの方が細く高い音を鳴らす。全体的に、MDR-EX71SLの方が低い音は低く、高い音は高く鳴らす感じ。分解能はほぼ同等。MDR-EX71SLの方が細かい音まで鳴らしてくれるように感じる部分もあるが、これは付帯音が多いことに由来する面も多い。分離はSHE9501の方が良い。音場感はSHE9501の方が良い。見晴らしが良く、圧迫感がない。原音忠実性はSHE9501の方が上。MDR-EX71SLはドンシャリ気味の味付けがされている。周波数特性上の癖のなさだけ見てもSHE9501の方が良いが、さらに原音の粗や生っぽさが感じられるという点でもやや上。MDR-EX71SLの方がエッジがきつくかなり聴き疲れしやすいように感じるが、これはどちらかと言えばSHE9501が聴き疲れしにくいと言うべきだろう。明瞭さはSHE9501の方が上、音の鮮やかさはMDR-EX71SLの方が上。厚みはMDR-EX71SLの方がやや厚め。温かみは低域が出る分MDR-EX71SLの方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは、MDR-EX71SLの方が味付けが多いので上に感じがちだが、基本的にはほぼ同等だろう。MDR-EX71SLの方がノリが良く、SHE9501の方が繊細で冷静。ただし、SHE9501にしてもノリが悪いわけではない。響きはMDR-EX71SLの方が豊か。弦楽器はMDR-EX71SLの方が味付けされていて良いように感じることもあるが、SHE9501の方が原音の生っぽさは感じられるし、楽器の音色そのものの魅力では上。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高い音を鳴らすが、不自然さもあるのは否めない。SHE9501の方が地味ではあるが、原音に近いとは言える。打ち込み系の音の表現はドンシャリな分MDR-EX71SLの方が良いように感じがちだが、その点を除けばほぼ同等レベル。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く聴きたいならMDR-EX71SL、生楽器を味付け少なく聴きたいならSHE9501。

SPARKPLUG
MDR-EX71SLはややドンシャリ、SPARKPLUGは低音より。低域はSPARKPLUGの方がかなり出るが、質的にはMDR-EX71SLの方が良い。中域はSPARKPLUGは低域に埋もれるのに対してMDR-EX71SLはしっかり聴こえる。高域はMDR-EX71SLの方が細く高く鮮やか。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方が圧倒的に上。MDR-EX71SLの方がエッジがきついが、SPARKPLUGは低域が強すぎて聴き疲れするので、総合的な聴き疲れはソースや人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がノリが良く且つ繊細。響きは低域から中域はSPARKPLUGの方が豊か、高域はMDR-EX71SLの方が豊か。SPARKPLUGは非常にこもり感が気になるが、MDR-EX71SLはほとんど気にならない。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細且つ心地よい。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX71SLの方が良質な低域と切れで楽しめる。得意分野はMDR-EX71SLがポップス、SPARKPLUGがロック。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いように感じる。


・MDR-EX90SL
AH-C700
AH-C700は低音よりのドンシャリ、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はAH-C700の方がやや低く量も多い。中域はMDR-EX90SLの方が癖がなくはっきり聴こえてくる。AH-C700は中域から中高域にかけて潰れてキンキンと痛いような傾向がある。高域はMDR-EX90SLの方が細く尖っている。分解能はMDR-EX90SLの方がやや上。音場感はMDR-EX90SLの方が広く明確。原音忠実性はMDR-EX90SLの方がかなり上。AH-C700の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX90SLの方が上。厚みはAH-C700の方がある。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方が上。どちらもノリが良い傾向だが、ノリの良さならAH-C700、繊細さならMDR-EX90SLといった感じ。響きはMDR-EX90SLの方が豊か。自然に音が広がって消えていくのが分かる。こもり感はAH-C700の方が気になる。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細。金管楽器はどちらもそれなりに鳴らしてくれるが、MDR-EX90SLの方が高い音でしかも自然な感じ。打ち込み系の音の表現はどちらも低域の質感や切れに不満がある点は似ている。低域の量や音の圧力が欲しいならAH-C700、バランスの良さを求めるならMDR-EX90SLか。使い分けるなら、基本的にはMDR-EX90SLで、余程低域の量や音の厚みが欲しいときだけAH-C700。

ATH-CK7
どちらもやや低音よりのドンシャリ。低域はATH-CK7の方が低く厚みがあるが、量そのものはMDR-EX90SLの方が多い。中域はATH-CK7の方が低域がタイトな上、うわずり気味ではっきり聴こえてくる。中高域はATH-CK7の方が高く金属的な鳴りだが、高域はMDR-EX90SLの方が自然に良く伸びている。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX90SLの方が上。音の分離はATH-CK7の方がやや上のようにも感じるが、微細な描写のうまさでMDR-EX90SLが圧倒的に勝っている。ATH-CK7が原音忠実など眼中に無い音作りであるのに対して、MDR-EX90SLは基本的に原音忠実路線のように感じる。ATH-CK7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-CK7の方が上。ただし、すべて原音忠実を犠牲にした上でのもの。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX90SLの方がかなり良い。ATH-CK7がノリが良いのに対して、MDR-EX90SLはノリの良さと繊細さを両立させている。響きはMDR-EX90SLの方が豊か。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-CK7の方が鮮やかで金属的な鳴りが楽しめるが、ソースによってはチープに感じるし原音と違いすぎる。MDR-EX90SLはそれほど原音とかけ離れていない音で鮮やかさを必要量持っている感じ。打ち込み系の音の表現はATH-CK7の方がうまい。低域の厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-EX90SL、原音忠実などどうでも良いからポップスやロックをノリ良く楽しみたいならATH-CK7。

E2c
E2cはかなりフラット、MDR-EX90SLはややドンシャリ。低域はMDR-EX90SLの方がかなり低い音で厚みもある。中域はどちらもはっきり聴こえてくる。MDR-EX90SLの方がやや高い音で目立つ感じなのに対して、E2cは量が多くてはっきり聴こえる感じ。高域はMDR-EX90SLの方が高く金属的な鳴り。分解能はMDR-EX90SLの方が良いように感じる。これは、MDR-EX90SLに比べるとE2cはややヴェールがかかったように明るさがないため。音の分離にしろ、微細な表現にしろ、一聴してMDR-EX90SLの方がしっかり感じられるが、聴き込むとそれほど差はないように感じる。音場感はどちらも良いのだが、MDR-EX90SLの方が立体感がある。原音忠実性はE2cの方が良いように感じるが、これは低域と高域の味付けの無さで勝っているためで、原音の実体感や中域の癖のなさではMDR-EX90SLの方が良いように感じる。表現が難しいが、E2cは一部のモニター用ヘッドホンに見られるような中域の張り出したようなそれでいて曇っているような感じがある。MDR-EX90SLの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-EX90SLの方がかなり上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは質感の違いのために判断が難しいが、MDR-EX90SLの方があるように感じられる。MDR-EX90SLはどちらか言えばノリが良いのに対して、E2cはモニター的な冷静さがある。響きはMDR-EX90SLの方がやや豊かだが、この点も響き方がまったく違うため判断に困る。E2cは太く輪郭のはっきりしない音で、付帯音も少ない。MDR-EX90SLは他のSONY製イヤホンと基本的な音作りにあまり大きな違いを感じない。MDR-EX90SLに比べてE2cは平板でメリハリがない感じ。逆に言えば、MDR-EX90SLはE2cに比べてドンシャリでエッジがきつい。かなり違う音を鳴らすが、それゆえにどちらがどう勝っているか判断に困る点もある機種。弦楽器はMDR-EX90SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMDR-EX90SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX90SLの方がうまい。厚み、スピード感、低域の量感で勝っている。使い分けるなら、低域や高域の味付けのない冷静な音を求めるならE2c、ノリ良く音楽を楽しみたいならMDR-EX90SLか。何にせよ、非常に違う音を鳴らす2機種なので、両方持っていてもおもしろいだろう。

MDR-EXQ1
どちらもややドンシャリだが、MDR-EX90SLの方がややフラット。低域はMDR-EXQ1の方が低く厚みがありタイト。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、MDR-EXQ1に比べるとMDR-EX90SLはやや曇っているように感じる。中高域から高域はMDR-EXQ1の方がやや高い音を鳴らすが、量は大差ない。分解能は微妙。音の分離はMDR-EXQ1の方が良いが、微細な表現はMDR-EX90SLの方がややうまいかもしれない。音場感はMDR-EX90SLの方がやや良い。特殊ではあるが、明瞭。原音忠実性はMDR-EX90SLの方が癖がなく良いように感じる。ただし、原音の実体感のようなものはMDR-EXQ1の方が感じられる。MDR-EXQ1の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-EXQ1の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-EX90SLの方が良いか。MDR-EXQ1がどちらかと言えばノリの良い感じなのに対して、MDR-EX90SLは冷静な鳴らし方。響きはMDR-EX90SLの方が若干豊か。弦楽器、金管楽器ともに癖のない音を求めるならMDR-EX90SLの方が良いだろうが、魅力的に感じる音となるとMDR-EXQ1の方が良いように感じる。これは原音の実体感、厚み、鮮やかさ、心地よさ等で勝っているためだろう。MDR-EXQ1の方が弦楽器は心地よく、金管楽器は高く鮮やか。ただ、総合的に見てそれほど差があるとは思わない。打ち込み系の音の表現はMDR-EXQ1の方がうまい。低域の量感や厚みで勝っているため。使い分けるなら、癖のない音を求めるならMDR-EX90SL、ドンシャリでも良いから魅力的に音楽を楽しみたいならMDR-EXQ1。


・MDR-EXQ1
E4c
E4cはかなりフラット、MDR-EXQ1はややドンシャリ。低域はMDR-EXQ1の方がかなり低い音を鳴らすし量も多い。中域はE4cの方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけでなくややうわずっているため。中高域から高域はMDR-EXQ1の方が細く高い音を鳴らすが、量的にはE4cの方が多いこともある。分解能は低域が弱い分E4cの方が良いように感じるが、一つ一つの音の細部まで聴き取れるかはMDR-EXQ1の方が良い。音場感はあまり差が感じられない。どちらもなかなか良い。原音忠実性は、どちらも悪くないが、欠点もある。E4cは中域がうわずっているし、MDR-EXQ1はややドンシャリ。ただ、総合的に比較するならMDR-EXQ1の方が自然で良いと言えるだろう。MDR-EXQ1の方がエッジがきついが、E4cは音の圧力で疲れるため、どちらが聴き疲れるかはソースによって違ってくるだろう。明瞭さは低域が弱い分E4cの方が上だが、音の鮮やかさとしてはあまり差を感じない。厚みはE4cの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EXQ1の方が上。どちらもノリの良さと繊細さを兼ね備えている。E4cのノリの良さは音の圧力やスピード感によるもの、MDR-EXQ1のノリの良さは低域の量感によるものが大きい。E4cは粗がないと言う意味で繊細で、MDR-EXQ1は細部まで表現してくれるという意味で繊細。響きはMDR-EXQ1の方が豊か。弦楽器はMDR-EXQ1の方が線が細い上に低域が出るし、深みがある。金管楽器はE4cの方がストレートで力強い。ただし、シンバルやハイハットの割れる感じの表現はMDR-EXQ1の方がうまい。打ち込み系の音の表現は基本的にはE4cの方がうまいのだが、低域が不足に感じる人も多そう。その場合にはMDR-EXQ1の方が良いだろう。MDR-EXQ1も決して悪くない。むしろE4cがうますぎると言う方が適切だろう。使い分けるならポップスやロックで低域の量が程々で良いならE4c、それ以外はMDR-EXQ1。

ER-4S
ER-4Sはフラット、MDR-EXQ1はややドンシャリ。低域はMDR-EXQ1の方が一段低い音を鳴らすし量も多い。中域はER-4Sの方がはっきり聴こえてくる。高域はMDR-EXQ1の方が硬く金属的で目立つ。ER-4Sの方が細く繊細。分解能はER-4Sの方がやや上。音場感はどちらも良いが、どちらかと言えばER-4Sの方が奥行きがあるように感じられる。原音忠実性はER-4Sの方が上。MDR-EXQ1の方がややエッジがきついが、ER-4Sも線が細いため、聴き疲れとしてはあまり変わらない。明瞭さは低域が弱い分ER-4Sの方が上、音の鮮やかさは高域の金属的な鳴りがある分MDR-EXQ1の方が上のように感じる。厚みはMDR-EXQ1の方がある。温かみは低域が出る分MDR-EXQ1の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもかなり良いが、MDR-EXQ1の方がサ行の音がやや痛く、付帯音が多い印象。ノリの良さならMDR-EXQ1、繊細さならER-4S。響きはMDR-EXQ1の方が豊かで、その分こもり感も気になる。弦楽器はER-4Sの方が繊細でヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しむには良いが、チェロ等の低域はMDR-EXQ1の方が心地よい。金管楽器はMDR-EXQ1の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はMDR-EXQ1の方がうまい。これは低域の量がかなりのウエイトを占める。得意分野はER-4Sがクラシック、MDR-EXQ1がポップス。使い分けるなら繊細さや原音忠実性を求めるならER-4S、ノリの良さや低音の量を求めるならMDR-EXQ1。

m5
m5は低音よりのドンシャリ、MDR-EXQ1はややドンシャリ。低域はm5の方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくる。MDR-EXQ1はm5と比べて低域の量が少ないために聴こえてくるのに対して、m5の方はやや癖がある感じで聴こえてくる。高域はMDR-EXQ1の方がやや高い音で明るいが、量的にはあまり大きな差はない。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ同等レベル。ただし、音場はどちらかと言えばMDR-EXQ1の方が明確に感じる。原音の粗や生っぽさは同等レベルだが、周波数特性上の癖の少なさや原音の実体感が感じられるという点で、どちらかと言えばMDR-EXQ1の方が原音忠実と言える。m5の方がエッジがきついが、サ行の音はMDR-EXQ1の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EXQ1の方が上。低域が少ない上に高域も明るいため。厚みはMDR-EXQ1の方がやや上。温かみはMDR-EXQ1の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等レベル。どちらもノリが良い傾向だが、m5の方が低音で押す感じ、MDR-EXQ1の方が厚みと切れがある感じ。響きはMDR-EXQ1の方がやや豊か。弦楽器は繊細さや心地よさという点ではあまり差はないが、m5はソースによって中域に嫌味が出るため、MDR-EXQ1の方が良いように感じることがある。金管楽器はMDR-EXQ1の方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現は好みの差だろう。低音の量を重視するならm5、切れや明るさを重視するならMDR-EXQ1。使い分けるなら、基本的にはMDR-EXQ1、低域の量が欲しい場合にはm5。

MDR-EX71SL
全体的に非常に良く似た傾向。どちらもややドンシャリ。低域はMDR-EXQ1の方がやや低く厚みのある音を鳴らしてくれる。中域はどちらもやや弱めだが、それほど引っ込んでいるわけではない。高域は質・量ともにかなり似ているが、MDR-EXQ1の方が多少粗がない。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EXQ1の方がやや上。基本的に価格ほどの差はないと思われるが、同時に複数の音を鳴らしたときの音の分離だけはそれなりの差が感じられる。エッジのきつさはほぼ同等。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EXQ1の方が若干上。厚みはMDR-EXQ1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもMDR-EXQ1の方が感じられるが、ヴォーカルについてはあまり差を感じない。MDR-EXQ1の方がノリが良くかつ繊細。響きはほぼ同等だが、どちらかと言えばMDR-EXQ1の方が豊かか。非常に良く似た機種だが、音の密度や粗のなさに違いが出る。弦楽器、金管楽器ともにかなり似た音を鳴らすが、MDR-EXQ1の方が若干自然で粗がなく素直に楽しめる。打ち込み系の音の表現は低域が出ることもありMDR-EXQ1の方が合う。得意分野はどちらもポップス。非常に似ているだけに、ほとんど何を聴くにしても基本性能に勝るMDR-EXQ1の方が良いように感じる。

MDR-EX90SL
どちらもややドンシャリだが、MDR-EX90SLの方がややフラット。低域はMDR-EXQ1の方が低く厚みがありタイト。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、MDR-EXQ1に比べるとMDR-EX90SLはやや曇っているように感じる。中高域から高域はMDR-EXQ1の方がやや高い音を鳴らすが、量は大差ない。分解能は微妙。音の分離はMDR-EXQ1の方が良いが、微細な表現はMDR-EX90SLの方がややうまいかもしれない。音場感はMDR-EX90SLの方がやや良い。特殊ではあるが、明瞭。原音忠実性はMDR-EX90SLの方が癖がなく良いように感じる。ただし、原音の実体感のようなものはMDR-EXQ1の方が感じられる。MDR-EXQ1の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-EXQ1の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばMDR-EX90SLの方が良いか。MDR-EXQ1がどちらかと言えばノリの良い感じなのに対して、MDR-EX90SLは冷静な鳴らし方。響きはMDR-EX90SLの方が若干豊か。弦楽器、金管楽器ともに癖のない音を求めるならMDR-EX90SLの方が良いだろうが、魅力的に感じる音となるとMDR-EXQ1の方が良いように感じる。これは原音の実体感、厚み、鮮やかさ、心地よさ等で勝っているためだろう。MDR-EXQ1の方が弦楽器は心地よく、金管楽器は高く鮮やか。ただ、総合的に見てそれほど差があるとは思わない。打ち込み系の音の表現はMDR-EXQ1の方がうまい。低域の量感や厚みで勝っているため。使い分けるなら、癖のない音を求めるならMDR-EX90SL、ドンシャリでも良いから魅力的に音楽を楽しみたいならMDR-EXQ1。

Super.fi 5 Pro
MDR-EXQ1はややドンシャリ、Super.fi 5 Proはかなりフラット。低域はMDR-EXQ1の方がかなり低い音で厚みもある。中域は量的にはSuper.fi 5 Proの方が出るのだが、MDR-EXQ1の方が良く聴こえがち。Super.fi 5 Proの低域の薄い曇りと、MDR-EXQ1のやや硬い音がそう感じさせるようだ。高域はMDR-EXQ1の方が硬く高い音を鳴らす。分解能はSuper.fi 5 Proの方が良いのだろうが、低域の薄い曇りと塗りつぶしたような繊細さのなさのためにMDR-EXQ1の方が良いように感じがち。音場感はSuper.fi 5 Proの方が良い。原音忠実性はSuper.fi 5 Proの方が良いが、原音の実体感のようなものはMDR-EXQ1の方が感じられる。MDR-EXQ1の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EXQ1の方が良いように感じる。ただし、これはSuper.fi 5 Proと比べて味付けが多いためだと思われる。MDR-EXQ1はかなりノリが良いのに対して、Super.fi 5 Proはモニター的で冷静な鳴らし方。響きはMDR-EXQ1の方が豊か。Super.fi 5 Proの方がホワイトノイズがかなり大きい。弦楽器はSuper.fi 5 Proの方が原音に近いのだが、心地よさはMDR-EXQ1の方が上。金管楽器はMDR-EXQ1の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はかなり違うので評価が別れそう。MDR-EXQ1はしっかりした低域と音の厚みがマッチする反面、線の細い感じや響きの豊かさが合わない。Super.fi 5 Proは響きがあっさりでスマートに鳴らしてくれるが、厚みやスピード感には欠ける。使い分けるなら、刺激的にノリ良く音楽を楽しみたいならMDR-EXQ1、刺激やノリの良さは不要で無難に鳴らして欲しいならSuper.fi 5 Pro。


・MDR-F1
DT990PRO
DT990PROはドンシャリ、MDR-F1はかなりフラット。低域はDT990PROの方がかなり低い音を鳴らすし量も多い。中域はMDR-F1の方が低域に邪魔されずに聴こえる。中高域から高域はDT990PROの方がかなり高い音で量も多い。分解能はDT990PROの方が上。音の分離にはそれほど差がないように感じるが、微細な表現は雲泥の差。音場感はほぼ互角。原音忠実性は一概には言えない。DT990PROの方が原音の粗は感じられるが、MDR-F1の方がフラットで癖のない音。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはDT990PROの方が上。厚みはDT990PROの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT990PROの方がかなり感じられる。ノリの良さにしろ繊細さにしろDT990PROの方が上のように感じられる。響きはDT990PROの方が豊か。弦楽器はDT990PROの方が細部までで鳴らしてくれるし心地よいが、粗もある。金管楽器はDT990PROの方が高く鮮やかで力強いが、癖があるのも確か。打ち込み系の音の表現は微妙。DT990PROがウォームすぎて合わないのに対して、MDR-F1は鮮やかさや力強さが足りない。使い分けるなら、基本的にはDT990PRO、聴き疲れや過度の味付けを嫌うならMDR-F1。

HP-AK101
どちらもやや低音よりだが、HP-AK101の方がやや高音より。低域はMDR-F1の方が若干出る上、高域はHP-AK101の方がかなり出る。MDR-F1は周波数特性に癖がないが、HP-AK101は非常に癖がある。HP-AK101は中域の一部がごっそり欠けている。分解能、音場感はほぼ互角。原音忠実性はMDR-F1の方がかなり上。HP-AK101の方がエッジがきつく聴き疲れする。HP-AK101の方が線の細い音。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AK101の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-F1の方が上。どちらもノリが良いが、HP-AK101はスカスカになりがちな部分もある。響きはどちらも適度。MDR-F1の方が安定感がある。弦楽器はMDR-F1の方が嫌味が無く心地よい。金管楽器はMDR-F1の方が自然。HP-AK101はかなり高い音で鮮やかなのだが、あまりに不自然でチープ。打ち込み系の音の表現はMDR-F1の方がうまい。得意分野はHP-AK101はポップス、MDR-F1はロック。使い分けはジャンルではなく好みだろう。HP-AK101に嫌味を感じる人はMDR-F1が良い。

MDR-XD400
どちらもやや低音よりだが、MDR-F1の方がフラット。低音はMDR-XD400の方がかなり出る。高域はほぼ同量だが、MDR-XD400の方がやや高い音を鳴らしてくれるように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-XD4000の方が若干良いように感じる。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかと言えばMDR-XD400の方が疲れる。明瞭さはMDR-F1の方が上だが、音の鮮やかさはMDR-XD400の方が上。厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-XD4000の方が上。MDR-XD400の方が水気が感じられる。MDR-XD400の方がノリが良い。スピード感があり、しかも力強さを感じる。響きはMDR-XD400の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-XD400の方がうまい。こもり感を気にしなければ、ほぼ何を聴くにしてもMDR-XD400の方が良いように感じる。コストパフォーマンスはMDR-XD400の方がかなり良いと言えるだろう。

RP-HT770
どちらもやや低音より。超低域は若干MDR-F1の方が出るが、全体的にはRP-HT770の方が出る。鳴らし方が違うのでソースによって違ってくる。ただ、大抵のソースではRP-HT770の方が曇ったような感じになる。高域はほぼ同量だが、若干RP-HT770の方が出るか。分解能はどちらもいまいちだが、MFR-F1の方が若干良い。音場感、原音忠実性はMDR-F1の方が上。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、どちらかといえばRP-HT770の方が疲れる。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-F1の方がやや良い。厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-F1の方がある。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはどちらもやや豊か出ほぼ互角。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべて若干MDR-F1の方が良い。弦楽器にしろ金管楽器にしろ、どちらもやや原音とは違う上に嫌味のある癖が出てしまうが、RP-HT770の方がやや癖が強い。どちらも得意というほど得意なジャンルはないような気がするが、あえて挙げるならMDR-F1はロック、RP-HT770はポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-F1の方が良いだろう。コストパフォーマンスは明らかにRP-HT770の方が上だが、価格を考えなければ若干MDR-F1の方が音質的なものは上。

SE-A1000
MDR-F1は低音より、SE-A1000はドンシャリ。低域は全体的にSE-A1000の方が出るが、特に厚みは段違い。高域もSE-A1000の方がかなり出る。SE-A1000の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-A1000の方が上。どちらも聴きやすいが、どちらかと言うとSE-A1000の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-A1000の方が上。SE-A1000の方がノリが良くしかも繊細。MDR-F1は曇ったような不鮮明さが気になる。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音すべてSE-A1000の方が魅力的。得意分野はMDR-F1はロック、SE-A1000はポップス。何を聴くにしてもSE-A1000の方がいいように感じる。


・MDR-NC11A
CX300
CX300は低音よりのドンシャリ、MDR-NC11Aは低音より。低域はMDR-NC11Aの方がぼやけた低域が多量に出る感じ。中域は、CX300が低域の量にやや負け気味ながらある程度聴こえてくるのに対して、MDR-NC11Aは低域の曇りに完全に覆われる。高域はCX300の方がやや高い音で、量はかなり多い。分解能及び原音忠実性はCX300の方が良い。MDR-NC11Aは、とにかく低域が支配的なのに対して、CX300はドンシャリながら破綻していない。音場感は、あまり差はないのかもしれないが、一つ一つの音がしっかり聴こえる分CX300の方が良く感じがち。CX300の方がエッジがきついが、MDR-NC11Aは低域の曇りとこもり感がひどいため、総合的な聴き疲れとしてはMDR-NC11Aの方が酷そう。明瞭さ、音の鮮やかさはCX300の方がかなり良い。厚みはCX300の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC11Aの方が良いように感じるが、これは低域の曇りのせいでそう感じるだけで、実力としてはむしろCX300の方が上なくらいだろう。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、CX300の方が上。響きは、低域はMDR-NC11Aの方が豊か、高域はCX300の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにCX300の方がうまい。MDR-NC11Aは生楽器を鳴らしているという感じがまったくしない。打ち込み系の音の表現もCX300の方がうまい。厚み、切れ、スピード感、何をとってもCX300の方が上。得意分野はCX300がポップス、MDR-NC11Aがロック。ほとんど何を聴くにしろCX300の方が良いだろう。

EG-ER50
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、MDR-NC11Aは低音より。低域はMDR-NC11Aの方が一段低く、量も多い。EG-ER50もかなりの量だが、厚みは薄い。中域はEG-ER50の方が聴こえてくるが、癖も強い。逆にMDR-NC11Aはかなり低域に埋もれる。高域はEG-ER50の方が細く高く硬い音。分解能はEG-ER50の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はどちらも悪い。EG-ER50の方がエッジがきつい上に中域にこもり感のような癖があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはEG-ER50の方が上。厚みはMDR-NC11Aの方が上。温かみはどちらもほとんど感じられない。ヴォーカルの艶っぽさは線が細い分EG-ER50の方が感じられる。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きは低域はMDR-NC11Aの方が豊か、中域から高域はEG-ER50の方が豊かなようだが、ソースによってかなり変わってくる。弦楽器はどちらもうまくない。EG-ER50は原音と違って嫌味がでるし、MDR-NC11Aは繊細さがまったく感じられない。金管楽器はEG-ER50の方が高く鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現は一長一短。EG-ER50の方がメリハリがあるが、MDR-NC11Aの方が音に厚みがある。特に低域の質感の違いは大きい。得意分野はどちらもロック、使い分けるなら低域の量や厚みが欲しいときはMDR-NC11A、それ以外はEG-ER50か。

MDR-EX71SL
MDR-EX71SLは高音よりのドンシャリ。MDR-NC11Aは低音より。低域はMDR-NC11Aの方がぼやけた低域がかなりの量出る。中域はMDR-EX71SLの方がしっかり聴こえてくるし、MDR-NC11Aと比べて曇ったりもしていない。高域はMDR-EX71SLの方が圧倒的に高く鮮やかな音を大音量で鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がエッジがきついがそれほど聴き疲れしないレベル。MDR-NC11Aはエッジはまったくきつくないが、低域の量が多くこもり感も気になるため、そういう意味でやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-EX71SLの方がかなり上。厚みは判断が難しいが、MDR-EX71SLの方が好印象。温かみは低域が出る分MDR-NC11Aの方があるのかもしれないが、それだけ。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLはノリが良いが、MDR-NC11Aはただ曇った低域が支配的なだけでスピード感や切れがまったく足りない。響きは低域はMDR-NC11Aの方が豊か、中域から高域はMDR-EX71SLの方が豊か。MDR-NC11Aの方がかなりこもり感が気になる。弦楽器はMDR-NC11Aはまったく繊細さが足りないのに対してMDR-EX71SLはそこそこ聴かせてくれる。金管楽器は、MDR-EX71SLの方が圧倒的に鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はよほど低域の量が欲しい場合を除いてMDR-EX71SLの方がスピード感があり楽しめる。得意分野はMDR-EX71SLがポップス、MDR-NC11Aがロック。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いように感じる。

SE-CL30
MDR-NC11Aは低音より、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はMDR-NC11Aの方がかなり低い音を鳴らすし、量も多い。中域はSE-CL30の方がはっきり聴こえるが、どちらも基本的にやや曇っている印象。高域はSE-CL30の方がかなり高い音で、量も多い。分解能はSE-CL30の方が上。音場感はMDR-NC11Aの方が上。どちらも原音忠実とは言えない。MDR-NC11Aはとにかく低域が支配的。SE-CL30は中高域から高域にPioneer独特の色付けが濃い。SE-CL30の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。かなり違う音を鳴らすので厚みは比較が難しい。MDR-NC11Aの方が太くて柔らかく、SE-CL30の方が細くて硬い。温かみはどちらも感じられないが、低域が強い分MDR-NC11Aの方がまだ温かみがあるように感じられるかもしれない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が上。どちらも繊細さに欠け、ノリの良さ重視の傾向があるが、MDR-NC11Aは低域の量だけの鈍重な感じ、SE-CL30は鮮やかだが粗も多い高域に重点を置いた感じ。響きは低域はMDR-NC11Aの方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。こもり感はMDR-NC11Aの方が気になる。弦楽器はSE-CL30の方がうまい。MDR-NC11Aは繊細さが全く感じられない。金管楽器はSE-CL30の方が高く鮮やか。わざとらしい音作りが気になるものの、MDR-NC11Aのように全く聴こえてこないよりは良いと感じる。打ち込み系の音の表現は全く違うので比較が難しいが、低域重視ならMDR-NC11A、メリハリ重視ならSE-CL30か。得意分野はMDR-NC11Aがロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら低域が欲しいときはMDR-NC11A、それ以外はSE-CL30。

The Plug
どちらも低音よりだがMDR-NC11Aの方がやや高音よりか。低域の量はThe Plugの方がかなり出るが、MDR-NC11Aの方が若干低い音を鳴らす。中域はどちらも低域に埋もれるが、まだMDR-NC11Aの方が聴こえてくる。高域はMDR-NC11Aの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-NC11Aの方がやや上。どちらもエッジはきつくないが、どちらかと言えばMDR-NC11Aの方がきつい。ただし、The Plugの方が低音過多とこもり感のせいで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-NC11Aの方が上。温かみはどちらも感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC11Aの方が若干上。どちらも繊細さがまったく足りない。低域が強いためノリが良いことは良いのだが、低域の音圧だけの鈍重な感じ。響きは低域から中域はThe Plugの方が豊か、高域はMDR-NC11Aの方が豊か。どちらもこもり感や曇りが気になるが、MDR-NC11Aの方がまだマシ。弦楽器はMDR-NC11Aの方が繊細。金管楽器はどちらも鮮やかさに欠けるしはっきり聴こえてこない。打ち込み系の音の表現は、線が太い方がいいならThe Plugの方が良いだろうが、普通の感覚ならMDR-NC11Aの方がうまいと感じるだろう。得意分野はどちらもロック。基本的にはMDR-NC11Aを使用すれば良いだろうが、どうしても低域の量が欲しい場合はThe Plug。


・MDR-NC20
ATH-T2
どちらも低音より。低域はほぼ互角。どちらも超低域が若干弱め、厚みはそれなり、ただしこもり感があるため実際よりかなり出ているように感じる。高域はどちらもあまり出ない。超高域はATH-T2の方が若干出る模様。分解能はMDR-NC20の方が若干良いが、音場感はATH-T2の方が上。どちらも原音とは程遠い。ATH-T2の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量等、どちらも最低レベル。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方が若干良い。弦楽器はMDR-NC20の方が心地よい。金管楽器や打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野をあえて挙げるならどちらもロックだが、それ以前にあまり使用したくない。

HN-505
どちらも低音よりだが、MDR-NC20の方が低域が弱い上、高域も聴こえる。HN-505は低域の量が凄いだけで、中域〜高域はまったく聴こえてこない。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-NC20の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、MDR-NC20の方が線が細く高域も出るのでやや疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-NC20の方が圧倒的に上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方がやや上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-NC20の方が上。響きはどちらも適度。HN-505はとにかく曇っている。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-NC20の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもMDR-NC20の方が良いと思われるが、低音が好きな人がロックを聴く場合にHN-505の方が好みの音になる可能性はゼロではない。

MDR-CD480
どちらも低音より。基本的にはかなり近い音。超低域はMDR-NC20の方がやや出るが、厚みはMDR-CD480の方がある。中域〜高域はほとんど互角だが、若干MDR-CD480の方が出る。分解能、音場感、エッジのきつさはほぼ同等。MDR-NC20の方が原音にやや近い。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-CD480の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-NC20の方がやや上。MDR-CD480の方がノリが良い。響きはMDR-NC20の方がやや豊かで、非常にこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器はMDR-NC20の方が原音に近くしかも心地よく聴けるが、曇りが気になる。打ち込み系の音の表現はMDR-CD480の方がうまい。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら音漏れとノイズキャンセル機能から考えて本来はインドアがMDR-CD480、アウトドアがMDR-NC20なのだろうが、ジャンルで分けるならクラシックやジャズはMDR-NC20、ポップスやロックはMDR-CD480か。


・MDR-Q36LW
HP-AL700
どちらもかなりフラットだが、HP-AL700の方がやや低音より。低域は厚みはともかく、全体的な量としてHP-AL700の方が若干出る。中域は、MDR-Q36LWの場合ソースによって変な嫌味が出ることがあるのに対して、HP-AL700はそんなことはない。高域はMDR-Q36LWの方が若干強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-AL700の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはどちらもいまいち。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方がやや上。HP-AL700の方がノリが良くしかも繊細。ただし、大きな差はない。響きはHP-AL700の方がやや豊か。弦楽器はどちらもやや曇りがちでまったりした味わい。澄んだ感じを楽しみたいならどちらもあまり向かないだろう。金管楽器はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばHP-AL700の方が良いか。打ち込み系の音の表現も同様で、あまり大きな差はないように思う。得意分野はどちらもポップス。大抵の場合にはHP-AL700の方が良いように思うが、傾向はかなり似ているので、微妙な好みの差で評価が変わってきそう。

HP-MD1
どちらもかなりフラット。別メーカーとは思えないほど非常に良く似た音を鳴らす。低域は質・量ともにかなり近いが、どちらかと言えばMDR-Q36LWの方が柔らかい質感。中域はどちらもやや嫌味がある点まで似ている。高域はHP-MD1の方が若干強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。どちらもエッジはきつくないが、中域の嫌味のせいでソースによっては聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-MD1の方が若干上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Q36LWの方が若干上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、価格の割にバランスが良い点が良く似ている。響きはMDR-Q36LWの方が豊か。この点が、この2機種の一番の違いかもしれない。弦楽器はMDR-Q36LWの方が若干うまい。金管楽器はHP-MD1の方が若干鮮やかで目立つ。打ち込み系の音の表現はどちらかと言えばMDR-Q36LWの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分な機種。

PHP-200
MDR-Q36LWはかなりフラット、PHP-200はややドンシャリ。低域の量はほぼ同量だが、PHP-200の方が低い音を鳴らす。高域はPHP-200の方がかなり出る上、シャリつくので余計強く感じる。分解能はPHP-200の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばPHP-200の方が良い。原音忠実性はどちらもいまいち。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPHP-200の方が上。特に音の鮮やかさは段違い。ただし、かなり粗があるのも確か。ノリの良さならPHP-200、繊細さならMDR-Q36LW。響きはPHP-200の方がやや豊か。弦楽器はPHP-200の方が線が細くワンランク上の表現だが、曇りがちな心地よさや伸びを求めるのならMDR-Q36LWの方が良いと言う人もいるかもしれない。金管楽器はPHP-200の方が圧倒的に鮮やかで元気が良い。打ち込み系の音の表現も同様で、PHP-200の方が楽しめる。これは、単にドンシャリだからというレベルを超えた話。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が楽しめるように感じるが、チープな機器で再生する場合には非常に粗が気になると思われるので、その場合にはMDR-Q36LWを使うというのも選択肢ではあると思う。

SE-E33
MDR-Q36LWはかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はMDR-Q36LWの方が一段低い音で、量もかなり差がある。中域はどちらもソースによっては嫌味が出たりするが、そういう意味ではSE-E33の方がまだまし。高域は量的にはそれほど変わりないように感じるが、MDR-Q36LWの方が細く硬い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてどちらも大差ないレベル。どちらもエッジはきつくないが、SE-E33の方が中域に芯の通った感じが痛くて聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E33の方がやや上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Q36LWの方がやや上。どちらもただ音を鳴らすだけの機種といった感じで、ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはMDR-Q36LWの方がやや豊か。MDR-Q36LWの方が迫力がある反面、SE-E33の方が軽快。弦楽器はどちらもやや癖が強く、最低レベル。金管楽器はSE-E33の方が芯の通った力強い鳴りで魅力的。打ち込み系の音の表現は、基本的にはSE-E33の方がうまいが、低域が出る分MDR-Q36LWの方が楽しめることも多い。総合的にはほぼ互角か。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域が欲しい場合やロックを聴く場合にはMDR-Q36LW、それ以外はSE-E33か。


・MDR-SA5000
ATH-SX1
MDR-SA5000はやや高音より、ATH-SX1はかまぼこ。超低域はATH-SX1の方が若干出るが、低域の厚みそのものはMDR-SA5000の方がある。高域はMDR-SA5000の方がやや強い。分解能、音場感はMDR-SA5000の方が上。原音忠実性はほぼ互角。どちらも基本的にはかなり原音に近いのだが、MDR-SA5000は弦楽器の鳴らし方に、ATH-SX1は高域の金属音の鳴らし方にそれぞれ癖がある。どちらもエッジのきつさはほどほどなのだが、芯が通っているためかやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はすべてMDR-SA5000の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、ATH-SX1の方が若干上か。どちらもモニター的な冷静な鳴らし方。響きはATH-SX1の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-SA5000の方が若干うまい。どちらもかなりオールマイティー。ほとんど何を聴くにしてもMDR-SA5000の方が良い。

K501
MDR-SA5000の方が低音より。超低域が出るし、高域もK501と比べると弱め。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方が良いが、価格ほどの差は感じない。MDR-SA5000は明確な音場だが狭く音楽を見下ろしている感じ、逆にK501はやや広いがMDR-SA5000ほどの明確さはない。どちらもかなり原音に近いが、単に原音に近いかどうかだけならK501の方が上。K501の方がややエッジがきついが、それでも聴き疲れしやすくはないレベル。どちらも非常に明瞭だが、あえて優劣をつけるなら分解能が高い分MDR-SA5000の方が上か。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、MDR-SA5000の方がまだ良い。基本的にはかなり似た傾向の音だが、MDR-SA5000はSONYらしい太めで濃い音、K501は細めで繊細な音。あまりノリが良いとは言えない。どちらも響きはあっさりでありながら音に広がりがある。弦楽器はほぼ互角の表現力だが低音の弦楽器はMDR-SA5000の方がやや良いし、金管楽器は全般的にMDR-SA5000の方が上。全体的にMDR-SA5000の方がバランスが良く、余裕のある鳴らしっぷりに感じる。使い分けるなら弦楽器メインの室内楽等はK501、それ以外はMDR-SA5000というところか。

MDR-CD3000
MDR-SA5000の方が高音より。特に超低域に差があり、MDR-SA5000はかなり弱いのに対し、MDR-CD3000はしっかり出る。また、高域はMDR-SA5000の方がやや強く、一段高い音に聴こえる。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方が良好。超低域が弱めなせいもあるが、それだけでなく単純な音の分離という点においてMDR-SA5000の方が勝っている。音場はどちらも遠くで鳴らしていて明確という共通点があるが、MDR-SA5000の方がより一層把握しやすい音場。原音に近いのはMDR-SA5000だが、MDR-CD3000の方が心地よく聴ける味付けがなされているといった感じで、音楽を楽しむという意味においてはその差はあまり大きくないように思える。MDR-SA5000の方が若干エッジがきつく、高音よりで分解能が高く非常に明瞭でもあるため、やや聴き疲れする。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD3000の方が良いが、ソースによってはサ行の音やブレスの音が若干気になる。ノリの良さはMDR-CD300の方が若干上。MDR-CD3000は低域をしっかり鳴らしてくれるのに対して、MDR-SA5000は切れが良くしかも芯の通った音で対抗しているが、低域の不足は否めない。ただし、どちらもそれほどノリが良いわけではない。かと言ってそれほど繊細なわけでもなく、ある種のモニター的冷静さが特徴。響きはMDR-CD3000は適度、MDR-SA5000は控えめといった感じ。どちらも弦楽器、金管楽器ともにある種の癖があり、どんなソースであっても共通の色が出る。ただしその癖そのものには違いがあり、MDR-CD3000は聴きやすさ重視のマイルドさ、MDR-SA5000は原音の粗や生っぽさ重視の骨太さといった感じ。どちらもかなりオールマイティで、ジャンルを選ばない。

PROline2500
MDR-SA5000はやや高音より、PROline2500はややドンシャリ。低域はPROline2500の方が圧倒的に低い音を鳴らすし、量も多い。中域はMDR-SA5000の方が低域に邪魔されずにはっきり前に出て聴こえてくる。高域はかなり違う音なので一概には言えないが、どちらかと言えばPROline2500の方が高い音で太い。分解能はMDR-SA5000の方が上。特に音の分離はかなり差がある。ただ、MDR-SA5000は微細な表現が殺ぎ落としたように味気なくなるのに対して、PROline2500はかなり過剰な味が感じられる。音場感はどちらも非常に良い。MDR-SA5000が高くから見下ろすように把握しやすいのに対して、PROline2500は広く臨場感がある。原音忠実性はMDR-SA5000の方が上。PROline2500は癖がありすぎる。PROline2500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはMDR-SA5000の方が良いが、音の鮮やかさはPROline2500の方が上。厚みはPROilne2500の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方が上。PROline2500が非常にノリが良いのに対して、MDR-SA5000は冷静である種モニター的。響きはPROline2500の方が豊か。弦楽器はウォームな感じを楽しみたいならPROline2500、シャープに澄んだ感じを楽しみたいならMDR-SA5000。金管楽器はPROline2500の方が高く力強い鳴らし方だが、癖がある。打ち込み系の音の表現は、質感的にはMDR-SA5000の方が相性が良いが、いかんせん低域が不足しすぎ。単に楽しみたいならPROline2500の方が良いだろう。使い分けるなら、付帯音のなさやシャープさを求めるならMDR-SA5000、低域の量感や音の厚みを求めるならPROline2500。

RS-1
RS-1はややドンシャリ、MDR-SA5000はやや高音より。どちらも超低域が弱めなところは良く似ているが、ややRS-1の方が出るし、低域の厚みもRS-1の方がある。高域はほぼ互角で、どちらも質・量ともに非常に充実している。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方が若干良い。ただし、音場感はどちらもかなり個性的で、RS-1はハウジング内で一つのホールが形成されている感じ、MDR-SA5000は2階席からステージを見下ろしている感じ。RS-1の方が癖がなく原音に近い自然な音。しかもエッジがきつくなく聴き疲れしない。明瞭さは低音が出ない分ややMDR-SA5000の方が良いが、音の鮮やかさはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方が上。RS-1の方がノリが良くしかも繊細。MDR-SA5000はある種モニター的な冷静さがある。MDR-SA5000の方が芯の通った音。響きはRS-1の方が豊か。弦楽器はRS-1の方が心地よく楽しめる。金管楽器、打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか鮮やかで、ほぼ互角。どちらも非常にオールマイティーだが、単純に音楽を楽しみたいならRS-1の方がほとんどの場合に向いているように感じる。

SRS-2020
どちらもやや高音より。超低域はSRS-2020の方が出るが、低域の厚みそのものはMDR-SA5000の方がある。高域はどちらも質・量とも非常に充実している。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方がやや良い。ただし、音場の広さだけならSRS-2020の方が上。どちらもかなり原音に近いが、SRS-2020は綺麗になりすぎている分やや原音とは違う。MDR-SA5000は特に弦楽器に共通の癖が出るが、それを除けば非常に原音に近い。聴き疲れのしなさはSRS-2020の方が上。MDR-SA5000が悪いわけではないが、SRS-2020と比べるとエッジがきつく原音の粗が目立つ。どちらも非常に明瞭だが、超低域が出る分SRS-2020の方がやや曇っているように感じる。SRS-2020は音の粒が細かくサラサラした感触である一方、MDR-SA5000はSONYにしては線が細いながら芯の通った音。音の鮮やかさ、厚みともにMDR-SA5000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-2020の方がかなり良い。どちらもあまりノリが良いとは言えないが、響きがあっさりで芯の通った音を鳴らすMDR-SA5000の方がやや良く感じる。ただし超低域の量は不満。弦楽器は、チェロなどの低域にしろヴァイオリンなどの高域にしろSRS-2020の方が繊細で魅力的。MDR-SA5000は繊細さがあまり感じられず、やや癖がある。金管楽器は、SRS-2020は低域のふくよかな感じから高域の透明な感じまで非常に良いが力強さにやや欠ける。MDR-SA5000は低域のふくよかな感じはかなり不満ではあるが、トランペットなどの力強さではSRS-2020より上。打ち込み系の音の表現はMDR-SA5000の方が良い。得意分野はSRS-2020はクラシック、MDR-SA5000はオールマイティで、特にない。使い分けるならSRS-2020でクラシックとジャズ、それ以外はMDR-SA5000だろう。コストパフォーマンスを考えると、やはりSRS-2020は素晴らしいと言える。


・MDR-XD400
CDH-505
どちらもやや低音よりだが、MDR-XD400の方が低域がかなり強い。高域も若干MDR-XD400の方が強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-XD400の方が上。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言うとMDR-XD400の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-XD400の方が上。MDR-XD400の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらもあまりうまくないが、まだMDR-XD400の方が良い。金管楽器はMDR-XD400の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現もMDR-XD400の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-XD400の方が良いだろう。

HP-D7
HP-D7の方がドンシャリ、MDR-XD400は低音より。低域の厚みはHP-D7の方があり、高域もHP-D7の方が出る。分解能、音場感ともにMDR-XD400の方が良い。どちらもあまり原音忠実とは言えないが、エッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さ、鮮やかさ、厚み等すべてHP-D7の方が上。HP-D7は太い音、MDR-XD400は細い音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもそれなりといった感じで、ほぼ互角。ノリの良さならHP-D7、繊細さならMDR-XD400が上。響きはHP-D7は適度、MDR-XD400は豊か。音の広がりはMDR-XD400の方が圧倒的に良い。弦楽器はHP-D7はとにかく繊細さが足りない。その点、MDR-XD400はそこそこ繊細でしかも響きや伸びが良い。金管楽器は全般的にHP-D7の方が良い。特にブラスなどの中高音はHP-D7の方が一段高い音を鳴らすため美しく聴こえる。打ち込み系の音はHP-D7の方が良い。MDR-XD400は厚みに欠けるだけでなく、音の細さがいまいち合わない。得意分野はHP-D7は打ち込み系のポップス、MDR-XD400は生楽器系のポップス。使い分けるならジャンルよりもノリの良さを求めるならHP-D7、繊細さを求めるならMDR-XD400としたほうが良さそうだ。ただし、HP-D7はクラシックには合わない。

MDR-F1
どちらもやや低音よりだが、MDR-F1の方がフラット。低音はMDR-XD400の方がかなり出る。高域はほぼ同量だが、MDR-XD400の方がやや高い音を鳴らしてくれるように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-XD4000の方が若干良いように感じる。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかと言えばMDR-XD400の方が疲れる。明瞭さはMDR-F1の方が上だが、音の鮮やかさはMDR-XD400の方が上。厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-XD4000の方が上。MDR-XD400の方が水気が感じられる。MDR-XD400の方がノリが良い。スピード感があり、しかも力強さを感じる。響きはMDR-XD400の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-XD400の方がうまい。こもり感を気にしなければ、ほぼ何を聴くにしてもMDR-XD400の方が良いように感じる。コストパフォーマンスはMDR-XD400の方がかなり良いと言えるだろう。

MDR-Z700DJ
MDR-XD400はやや低音より、MDR-Z700DJはドンシャリ。低域はほぼ同量だが、厚みはMDR-Z700DJの方がある。高域は若干MDR-Z700DJの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-XD400の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかと言えばMDR-XD400の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-XD400の方がやや上。厚みはMDR-Z700DJの方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-XD400の方が上。ノリの良さならMDR-Z700DJ、繊細さならMDR-XD400。MDR-XD400の方が線が細い。MDR-Z700DJはかなり圧力とスピード感がある。響きはMDR-XD400の方が豊かで、音に広がりがある。弦楽器、金管楽器ともにMDR-XD400の方がうまい。MDR-Z700DJは音が太すぎて楽しめない。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、どちらかといえばMDR-Z700DJの方が合う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはMDR-XD400、ポップスやロックはMDR-Z700DJ。クラシックやジャズはMDR-Z700DJでは厳しいのに対して、ポップスやロックはMDR-XD400でも十分使える。

SE-M870
SE-M870はドンシャリ、MDR-XD400は低音より。超低域はMDR-XD400の方が出るが、低域の厚み自体はSE-M870の方がある。MDR-XD400は高域があまり聴こえてこないが、SE-M870はしっかり聴こえる。どちらも中域はやや弱め。分解能はSE-M870の方が上、音場感はMDR-XD400の方が上。SE-M870は耳の近くで音が鳴っているのが気になるが、MDR-XD400はそんなことはない。SE-M870の方が原音忠実。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、どちらかといえばMDR-XD400の方が聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてSE-M870の方が上。SE-M870はノリが良い上に最低限の繊細さはあるが、MDR-XD400はどちらにも欠けるバランスとなっている。響きはSE-M870は適度、MDR-XD400は豊か。弦楽器、金管楽器ともにSE-M870の方が魅力的。特に金管楽器の鮮やかさの差は明白。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもSE-M870の方が良いような気がするが、MDR-XD400は音場が明確で立体感がある上に聴き疲れしないので、映画鑑賞等に向いていると思われる。


・MDR-Z700DJ
ATH-PRO700
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方がやや高音より。低域は全体的に若干MDR-Z700DJの方が出るし、高域はATH-PRO700の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-PRO700の方が若干良い。ATH-PRO700の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚み、密度はMDR-Z00DJの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z700DJの方が若干良い。ノリの良さならMDR-Z700DJ、繊細さならATH-PRO700。響きはMDR-Z700DJの方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器、金管楽器ともにATH-PRO700の方が良い。特にブラスの輝きは段違い。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。低音が欲しい人はMDR-Z700DJの方が良く感じるだろうが、そうでなければATH-PRO700の方がシャープで良いと思われる。得意分野はどちらもポップス。使い分けと言うよりは、高域のキンキンした感じが嫌いな人や低域が欲しい人、厚みのある安定した音を求める人はMDR-Z700DJ、それ以外の人はATH-PRO700を使えば良いだろう。

CDH-508
CDH-508はやや低音より、MDR-Z7000DJはドンシャリ。低域は量はほぼ同量だが、ややMDR-Z700DJの方が低い音を鳴らす。質的にはどちらもあまり締まっているとは言えないが、MDR-Z700DJの方がまだ締まっている。CDH-508はDJ用とは思えないほど柔らかい低域。高域はMDR-Z700DJの方が一段高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はMDR-Z700DJの方が上、音場感はCDH-508の方が上。どちらもそれほどエッジはきつくない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはMDR-Z700DJの方が上。温かみはCDH-508の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。MDR-Z700DJの方がノリが良い。響きはCDH-508の方がやや豊か。MDR-Z700DJの方がストレートに音が届く感じで、圧力や迫力でかなり勝っている。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-Z700DJの方がやや勝っているように感じる。得意分野はCDH-508がジャズ、MDR-Z700DJがポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-Z700DJの方が良いが、ジャズやクラシックはソースによってはCDH-508の方が良いだろう。

DJ Pro 3000
かなり近い音。どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方がやや高音より。超低域はDJ Pro 3000の方が若干強い。低域はほぼ同等。高域はMDR-Z700DJの方が出る。分解能はMDR-Z700DJの方が若干上、音場感や原音忠実性はほぼ同等。どちらもそれほど聴き疲れしないが、どちらかと言えばMDR-Z700DJの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、情報量はMDR-Z700DJの方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさは互角。MDR-Z700DJの方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器はどちらもあまりうまくない。金管楽器はMDR-Z700DJの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、MDR-Z700DJの方が明るくメリハリがある。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分の機種。

EHP-CL430
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は、ローエンドはEHP-CL430の方がかなり出るが、それ以外はほぼ同量。MDR-Z700DJの方が厚みと圧力のある低域。中域はMDR-Z700DJの方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はEHP-CL430の方が細く硬い鳴らし方。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z700DJの方がやや上。EHP-CL430の方がエッジがきつい上、こもり感が酷く聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-Z700DJの方が上。ただし高域はEHP-CL430の方が鮮やか。厚みはMDR-Z700DJの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。これはローエンドが出ることと、MDR-Z700DJと比べて中域の線が細いためだろう。どちらも繊細さは感じられない。ノリの良さならMDR-Z700DJの方が上。響きはEHP-CL430の方が豊か。弦楽器はどちらもうまくない。ただ何となく鳴らしてくれるだけでも違和感がない方がいいなら、EHP-CL430の方が向いているだろう。金管楽器はEHP-CL430の方が高い音を鳴らしてくれるが、線が細く力強さには欠けるし、聴き疲れの原因にもなっている。打ち込み系の音の表現はMDR-Z700DJの方がかなりうまい。音の厚み、圧力、切れ、迫力といったものが違う。得意分野はEHP-CL430がクラシック、MDR-Z700DJがポップス。使い分けるなら、基本的にはMDR-Z700DJ、厚みが薄くスカスカでもいいからローエンドや高域のとがった感じが欲しいならEHP-CL430。

HP-M1000
どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方が低音より。低域はどちらも超低域まで出るが、厚み・量ともにMDR-Z700DJの方がやや上。高域はHP-M100の方がかなり出る。中域はどちらもやや埋もれ気味。分解能はMDR-Z700DJの方が若干良いが、音場感はHP-M1000の方が上。どちらも原音忠実とは絶対に言えないが、味付けの少なさと言う観点から見るとMDR-Z700DJの方がまだ原音に近いと言える。どちらもエッジはきつくないが、MDR-Z700DJの方が低音よりで濁りもないため聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-M1000、厚み、密度はMDR-Z700DJの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-M1000の方がある。HP-M1000は濁っているという見方もできるが、好意的に解釈するならSE-A1000やUR/40に通じるサラサラした独特の感触が楽しめると言える。余韻が空気に溶けていく感じもなかなか楽しめる。どちらも非常にノリが良い。響きはHP-M1000の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方が楽しめる。ただし、少しでも原音に近いほうがいいなら前述の通りMDR-Z700DJの方が良いだろう。得意分野はどちらもポップス。使い分ける必要性は感じられない。どちらか片方持っていれば良い機種。

K181DJ
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はK181DJの方が低い音を鳴らすし、量も多い。中域はどちらも低域の量にやや負け気味だが、K181DJの方が低域の量が多い割には低域に埋もれない。高域はK181DJの方がやや高い音を鳴らす。分解能はK181DJの方が上。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばK181DJの方が良いか。原音忠実性はどちらもあまり良くない。癖が無くフラットと言う意味ではMDR-Z700DJの方が上だが、原音の実体感はK181DJの方がある。K181DJの方がややエッジがきつい上に低域が過剰で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはK181DJの方が上。厚みはK181DJの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z700DJの方が若干上。どちらもノリが良いが、ことノリの良さに限ればK181DJの方に圧倒的に分がある。響きはどちらも適度。K181DJの方が低域が多い上、完全に耳のせ型で密封度が高いため、こもり感が気になる。弦楽器はK181DJの方が繊細かつ心地よいが、どちらにせよ弦楽器を聴くのに使う機種ではないだろう。金管楽器はK181DJの方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はK181DJの方がうまい。低域の量感、音の厚み、鮮やかさ、圧力、どれをとっても勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら基本的にはK181DJで、低域が過剰に感じるときやヴォーカルを聴きたいときだけMDR-Z700DJか。ただし、K181DJはBass boost switchで低域の量を減らせるため、低域が過剰に感じるときにはこれを使えば良いだろう。

MDR-XD400
MDR-XD400はやや低音より、MDR-Z700DJはドンシャリ。低域はほぼ同量だが、厚みはMDR-Z700DJの方がある。高域は若干MDR-Z700DJの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-XD400の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかと言えばMDR-XD400の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-XD400の方がやや上。厚みはMDR-Z700DJの方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-XD400の方が上。ノリの良さならMDR-Z700DJ、繊細さならMDR-XD400。MDR-XD400の方が線が細い。MDR-Z700DJはかなり圧力とスピード感がある。響きはMDR-XD400の方が豊かで、音に広がりがある。弦楽器、金管楽器ともにMDR-XD400の方がうまい。MDR-Z700DJは音が太すぎて楽しめない。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、どちらかといえばMDR-Z700DJの方が合う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはMDR-XD400、ポップスやロックはMDR-Z700DJ。クラシックやジャズはMDR-Z700DJでは厳しいのに対して、ポップスやロックはMDR-XD400でも十分使える。

MDR-Z900
どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方がやや高音より。低域はMDR-Z900の方が全体的に出る。特に超低域はかなり差がある。高域は基本的にはMDR-Z700DJの方が出るのだが、超高域の高さ・硬さはMDR-Z900の方がある。分解能、音場感、原音忠実性はMDR-Z900の方が上。MDR-Z900の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはMDR-Z700DJの方がやや上のように感じるが、音の鮮やかさはMDR-Z900の方が上。厚みはMDR-Z700DJの方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方がかなり上。どちらもノリが良いが、低音重視ならMDR-Z900、厚みと圧力重視ならMDR-Z700DJ。響きはMDR-Z900の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにMDR-Z900の方が楽しめる。弦楽器は伸びが良く繊細。金管楽器は自然で鮮やか、曇りも無い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、相性はMDR-Z700DJの方が良い。得意分野はMDR-Z700DJはポップス、MDR-Z900はロック。ほとんど何を聴くにしてもMDR-Z900の方が良いように感じる。とにかく情報量が根本的に違う。MDR-Z700DJを使うなら、打ち込み系で太い音で響きがあっさりなものを求めるときくらいか。

RH-5Ma
どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方がフラット。低域・高域ともにRH-5Maの方が出る。ただし、超高域はほぼ同量。分解能はRH-5Maの方が上。音場感はほぼ互角。低域を除けばRH-5Maの方が原音忠実だが、逆に言えば低域が台無しにしているとも言える。RH-5Maの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはMDR-Z700DJの方が上だが、音の鮮やかさはRH-5Maの方が上。厚みはMDR-Z700DJの方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRH-5Maの方が上。どちらもノリが良いが、RH-5Maの方がまだ繊細さが感じられる。響きはRH-5Maの方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにRH-5Maの方が自然で鮮やか。ただし、低域が出すぎでこもり感が酷いという欠点がある。打ち込み系の音の表現はMDR-Z700DJの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスはMDR-Z700DJ、それ以外はRH-5Ma。低域が出すぎに感じないソースであれば基本的にはRH-5Maで良いと思われるが、MDR-Z700DJの方が無難な音を鳴らすことも確か。

RP-DH1200
MDR-Z700DJはドンシャリ、RP-DH1200は低音より。超低域はRP-DH1200の方が出る上、高域はMDR-Z700DJのほうが出る。RP-DH1200はドンシャリと言うよりも一聴して物凄い低音が印象的。分解能はほぼ互角だが、低音が弱いぶん若干MDR-Z700DJの方が良いか。音場感はRP-DH1200の方がやや良い。MDR-Z700DJの方が原音忠実。RP-DH1200の方がエッジがきつくなくサ行の音等も痛くないが、大抵のソースでは低音が出すぎで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-Z700DJの方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z700DJの方がある。ノリの良さはMDR-Z700DJの方が上。低音はRP-DH1200の方が出るが、高域が聴こえてこない上に切れが悪くノリはいまいち。響きはRP-DH1200の方が豊か。低域が非常に出ることもあり、こもり感がかなり気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音すべてMDR-Z700DJの方が良い。RP-DH1200は低域が出すぎでしかも響くため低域が強いソースではまともに聴き取れないし、高域が聴こえてこないし鮮やかさも足りない。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもRP-DH1200は低域が強すぎに感じるが、とにかく低域が欲しいだけなら最高レベル。

TriPort
どちらもかなりのドンシャリ。超低域はTriPortの方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。高域はほぼ同量。MDR-Z700DJはかなり低音に引っ張られているような印象を受けるが、TriPortは低音が出るわりに高域もくっきり分かれて聴こえる。分解能、音場感は全体的には若干TriPortの方が良いが、非常に癖があるためソースによってかなり変わる。安定感という意味ではMDR-Z700DJの方が良い。MDR-Z700DJの方が原音に近い。MDR-Z700DJの方がエッジがきつく聴き疲れするが、TriPortもサ行の音等はかなりきついし低域が出すぎでソースによっては疲れる。明瞭さはMDR-Z700DJの方がやや上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちでほぼ互角。ノリが良く繊細さに欠ける。響きはTriPortの方が豊かで、低域が強いソースでは非常にこもり感が気になる。どちらも弦楽器は苦手。金管楽器はTriPortの方が鮮やかで魅力的。打ち込み系の音の表現はMDR-Z700DJの方がややうまい。得意分野はTriPortはロック、MDR-Z700DJはポップス。使い分けるならポップスはMDR-Z700DJ、それ以外はTriPortだが、TriPortは非常に個性的なので他にどんな機種を持っていても楽しめる。


・MDR-Z900
HD25-1
どちらもややドンシャリだが、MDR-Z900の方が低音より。低域はHD25-1は超低域がやや弱めの締まった低音、MDR-Z900は超低域まで容赦なく大音量で鳴らす物凄い低音。高域は、量はほぼ同量だが、MDR-Z900の方が一段高く細く硬い尖った音を鳴らす。HD25-1の方が中域が埋もれずに聴こえてくる。分解能、音場感はMDR-Z900の方がやや上。原音忠実性はHD25-1の方がやや上。MDR-Z900の方が尖った高域と物凄い低域で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHD25-1の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらもかなりノリが良い。響きはMDR-Z900の方がかなり豊か。どちらもこもり感が気になるが、HD25-1の方が超低域が弱めの上、切れが良いのでまだ気にならない。弦楽器、金管楽器ともにMDR-Z900の方がややうまい。ただしソースによってはかなり過剰な低域が気なる上、低域は低い音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がうまい。得意分野はどちらもロック。ただし、そのわりにはかなり違う音を鳴らしてくれるので、ロックが好きな人は両方持っていても損はないと思われる。ロックで使い分けるなら、締まった低域が欲しいならHD25-1、とにかく量が欲しいならMDR-Z900。ロック以外の曲を聴くのに使い分けるなら、打ち込み系の曲はHD25-1、それ以外はMDR-Z900か。ただし、MDR-Z900は低域が出すぎでNGという場合も多そうなので、ケースバイケース。全体的なバランスを考えれば、HD25-1の方がバランスが良い。

HP-M1000
MDR-Z900は低音より、HP-M1000はドンシャリ。MDR-Z900の方が超低域はかなり出るし、厚みもやや上。高域は若干HP-M1000の方が強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z900の方が上。HP-M1000の方が聴き疲れしない。明瞭さはHP-M1000の方が上だが、音の鮮やかさは互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらもノリが良いが、HP-M1000の方が明るいノリ。響きはどちらもかなり豊か。弦楽器は基本的にはMDR-Z900の方が美しいが、低域の強いソースではHP-M1000の方が良い。金管楽器はHP-M1000の方が一段高く鮮やかだが、ソースによっては安っぽくなる。打ち込み系の音の表現はHP-M1000の方がうまい。得意分野はMDR-Z900はロック、HP-M1000はポップス。使い分けるならポップスや金管楽器メインの曲はHP-M1000、それ以外はMDR-Z900。

MDR-Z700DJ
どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方がやや高音より。低域はMDR-Z900の方が全体的に出る。特に超低域はかなり差がある。高域は基本的にはMDR-Z700DJの方が出るのだが、超高域の高さ・硬さはMDR-Z900の方がある。分解能、音場感、原音忠実性はMDR-Z900の方が上。MDR-Z900の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはMDR-Z700DJの方がやや上のように感じるが、音の鮮やかさはMDR-Z900の方が上。厚みはMDR-Z700DJの方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方がかなり上。どちらもノリが良いが、低音重視ならMDR-Z900、厚みと圧力重視ならMDR-Z700DJ。響きはMDR-Z900の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにMDR-Z900の方が楽しめる。弦楽器は伸びが良く繊細。金管楽器は自然で鮮やか、曇りも無い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、相性はMDR-Z700DJの方が良い。得意分野はMDR-Z700DJはポップス、MDR-Z900はロック。ほとんど何を聴くにしてもMDR-Z900の方が良いように感じる。とにかく情報量が根本的に違う。MDR-Z700DJを使うなら、打ち込み系で太い音で響きがあっさりなものを求めるときくらいか。

SE-M870
MDR-Z900は低音より、SE-M870はドンシャリ。低域は全体的にMDR-Z900の方がかなり出る。高域は若干SE-M870の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z900の方が上。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、MDR-Z900は低域が出すぎの上こもり感が酷いため疲れる。明瞭さはSE-M870の方が上。音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等はすべてMDR-Z900の方が上。どちらもノリが良いが、勢いのあるSE-M870、厚みと低音のMDR-Z900といった違いがある。響きはMDR-Z900の方が豊かで、こもり感もMDR-Z900の方がかなり気になる。弦楽器はどちらもなかなか良いが、それぞれ欠点がある。SE-M870はやや原音から離れている点、MDR-Z900は低音が出すぎの上こもり感が酷いためチェロ等の低音は聴けたものではない点。金管楽器はSE-M870の方が一段高い音で楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。低音がどのくらい欲しいかによって、評価が変わりそうだが、一般的にはMDR-Z900は出過ぎ、SE-M870は適度だろう。得意分野はMDR-Z900はロック、SE-M870はポップス。使い分ける以前の問題として、MDR-Z900の過剰な低音が許容できるかどうか。

SK PRO
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は量的にはそれほど差はないが、MDR-Z900の方が粘りがある。中域はどちらも低域に負けてはっきり聴こえてこない。高域はMDR-Z900の方がやや高く金属的。分解能はMDR-Z900の方がやや上。音場感はほぼ同等。どちらも広がりのない感じは似ている。原音忠実性はどちらも良くないが、周波数特性的な癖の少なさからSK PROの方がやや良いか。エッジのきつさはほぼ同等で聴き疲れも同程度。明瞭さ、音の鮮やかさはSK PROの方がやや上。厚みはMDR-Z900の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。どちらもノリが良いが、MDR-Z900の方が古臭く地味な感じがある。響きはMDR-Z900の方が豊か。弦楽器はどちらも塗りつぶしたような質感であまり生っぽさが感じられない点が似ている。金管楽器はMDR-Z900の方がやや高い音を鳴らす。打ち込み系の音の表現は、響きが少なく線の太いSK PROの方がややうまいように感じる。使い分けるなら、少しでも線の細い感じを求めるならMDR-Z900、響きの豊かさやこもり感を避けたいならSK PRO。

SP-K300
どちらもドンシャリ。MDR-Z900の方が低域がかなり豊か。高域は量的にはほぼ同量だが、SP-K300の方がやや高く硬い音を鳴らす。分解能、音場感はMDR-Z900の方が良い。どちらも原音忠実とは言いがたい。エッジのきつさはそれほどでもないが、低域が強すぎて疲れるところは良く似ている。明瞭さはSP-K300の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはMDR-Z900の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらも低音を押し出す感じでかなりノリが良いが、軽快ではなく重厚。響きはMDR-Z900の方が豊か。弦楽器は基本的にはMDR-Z900の方が良いが、チェロ等の低域はSP-K300の方が良い。金管楽器はSP-K300の方が高く明瞭。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなり。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、金管楽器メインの曲はSP-K300、それ以外はMDR-Z900。ただし、どちらも低域が強すぎるので、あまり常用には向かない。

TriPort
どちらも低音よりのドンシャリだが、TriPortの方がやや高音より。全体的に、MDR-Z900の方がやや低い音を鳴らす。どちらもかなり豊かな低音で、締まっているとは言いがたいが、どちらかと言えばMDR-Z900の方がぼやけていない低音。高域はTriPortの方がしっかり聴こえる。MDR-Z900は低域がかなり支配的だが、TriPortはそうでもない。分解能はMDR-Z900の方が上、音場感はTriPortの方が上。ただし、癖はある。どちらも原音忠実とは言いがたい。どちらも低音過多で疲れる傾向にあるが、どちらかと言えばTriPortの方が疲れない。明瞭さはTriPortの方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはMDR-Z900の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらも低音を押し出す感じでかなりノリが良いが、軽快ではなく重厚。響きはどちらも豊かだが、TriPortの方が若干あっさり。弦楽器はMDR-Z900の方が良い。金管楽器はどちらも意外とそつなく鳴らすが、中高域はMDR-Z900の方、高域はTriPortの方が若干良い。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなり。得意分野はどちらもロック。使い分けるならポップスはTriPort、それ以外はMDR-Z900か。ただし、どちらも他にはない魅力を持っている機種なのは確か。


・MGD-01
HDS-701
どちらも高音よりのかまぼこ。低域はHDS-701の方が出る。中域はMGD-01の方が低域に邪魔されないし、うわずった音ではっきり聴こえてくる。高域はMGD-01の方が量が多く金属的だが、かなり粗があるように感じる。分解能はHDS-701の方が上。音場感はHDS-701の方が広く明確。原音忠実性はHDS-701の方がかなり上。HDS-701はMGD-01のように違和感や粗のある音でははない。エッジのきつさはほぼ互角だが、MGD-01の方が粗のある音を耳のすぐ近くで鳴らす感じで疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMGD-01の方が上。厚みはMGD-01の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHDS-701の方が上。HDS-701の方がノリが良くかつ繊細。響きはMDG-01の方が豊か。弦楽器はHDS-701の方がうまい。MGD-01は繊細さや心地よさがまったく感じられない。金管楽器はHDS-701の方が金属的で鮮やかだが、粗や違和感が気になることにかわりはない。打ち込み系の音の表現は音の質感はMGD-01の方が合うが、低域がまったく出ないことと粗が気になるため、普通はHDS-701の方が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはHDS-701、粗や違和感があってもいいから明るく鳴らして欲しいならMGD-01。

iGrado
iGradoは低音より、MGD-01は高音よりのかまぼこ。低域はiGradoの方が圧倒的に量が多いし、しっかりと低い音を鳴らしてくれる。中域はMGD-01の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくるし、音そのものもやや高め。高域はMGD-01の方が量が多く、質的にも高い音を鳴らす。分解能は、MGD-01があまりに変わった鳴らし方をするので判断が難しいが、基本的にはiGradoの方が上だと考えて良いだろう。音場感はiGradoの方が広く自然。MGD-01は非常に頭内定位が気になるし、狭くて分かりづらい。原音忠実性はiGradoの方が圧倒的に上。MGD-01は一聴して非常に違和感がある音で、普通のヘッドホンではちょっとありえないくらいのレベルだが、iGradoは一応普通に聴ける感じ。また、MGD-01は粗のある音をエコーのかかったような感じで鳴らすところも、違和感の原因だろう。MGD-01の方がエッジがきつい上に少し音量を上げると振動がもろに肌に伝わるので疲れる。明瞭さはMGD-01の方が良い。これは、MGD-01は低域がばっさり鳴らないため。鮮やかさもMGD-01の方が上。これはMGD-01の中高域から高域がiGradoに比べればしっかり量があるため。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはiGradoの方が上。iGradoの方がノリが良くかつ繊細。響きは、低域はiGradoの方が豊か、高域はMGD-01の方が豊か。弦楽器はiGradoの方が圧倒的に心地よいし、MGD-01のような変な粗もない。金管楽器はMGD-01の方が明るくて量も多いが、とにかく粗と違和感があるので、普通に聴く分にはiGradoの方が良いだろう。打ち込み系の音の表現も同様で、低域が出ないことを除けば硬くて冷たい質感のMGD-01が合うようにも感じるが、粗と違和感のせいでとても聴けない音になる。使い分けるなら、基本的にはiGradoで、MGD-01の粗や違和感、低域が出ない点を気にせず金管楽器や打ち込み系の音を聴きたいときだけMGD-01。

SE-E33
どちらもかまぼこ。低域はSE-E33の方が量が多いし、やや低い音を鳴らす。中域はMGD-01の方が低域に邪魔されない上やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMGD-01の方が量が多く、高く金属的。分解能はMGD-01の方が上。SE-E33は音の分離が悪いし微細な表現もこなしてくれないが、MGD-01は粗があるものの一応鳴らそうとはしてくれる感じ。音場感はSE-E33の方が明確。原音忠実性はSE-E33の方が上。MGD-01はとにかく一聴して違和感があるのに対して、SE-E33は普通に聴ける。ただし、原音の生っぽさはMGD-01の方がやや良いかもしれない。SE-E33の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMGD-01の方が上。厚みはMGD-01の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-E33の方が上。どちらもただ何となく鳴らしているだけの機種だが、SE-E33の方が低域が出るため多少ノリが良いように感じる。響きは、低域はSE-E33の方が豊か、高域はMGD-01の方が豊か。弦楽器はSE-E33の方が心地よいが、塗りつぶしたように繊細さがない。金管楽器はMGD-01の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、低域が出るという意味ではSE-E33の方が良いが、音の質感はMGD-01の方が相性が良いように感じる(ただし、それでも粗は気になる)。使い分けるなら、粗や違和感を気にするならSE-E33、粗や違和感があっても良いから明るさや高域の量を重視するならMGD-01。


MHP-EP3
E2c
E2cはかなりフラット、MHP-EP3はやや低音より。低域はMHP-EP3の方がやや低い音で量も多い。中域はMHP-EP3が低域の曇りに覆われるのに対してE2cはそんなことはない。高域はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らすが、量はほぼ同等。分解能、音場感、原音忠実性すべてE2cの方が上。MHP-EP3の方がややエッジがきつい上、曇りやこもり感のせいで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはE2cの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれほど差はないが、どちらかと言えばE2cの方が上だろう。どちらも特別ノリが良いわけでも繊細なわけでもない点は似ているが、ノリの良さにしろ繊細にしろE2cの方が勝っている。響きはMHP-EP3の方が豊か。弦楽器はE2cの方が繊細かつ心地よいし、何より原音に近い。金管楽器はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らすが、鮮やかさや力強さではE2cの方が勝っている。打ち込み系の音の表現はE2cの方がうまい。切れやスピード感で勝っている。使い分けるなら、基本的にはE2c、余程低域が欲しいときだけMHP-EP3か。

EG-ER50
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、MHP-EP3はやや低音より。低域は、量はそれほど差が無いが、EG-ER50の方がかなり低く厚みのある音を鳴らす。中域はMHP-EP3が低域の薄い曇りに覆われて聴き取りづらいのに対して、EG-ER50はほとんど気にならない。高域はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、量はほぼ同量。分解能はEG-ER50の方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ互角で、どちらも良くない。EG-ER50の方が若干エッジがきついが、MHP-EP3はこもり感のせいで疲れるため、総合的な聴き疲れとしてはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはEG-ER50の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。EG-ER50の方がノリが良い。響きはMHP-EP3の方がやや豊か。弦楽器はどちらもうまくないが、EG-ER50の方がまだまし。MHP-EP3は生楽器を鳴らしている感じがまったくと言っていいほどしない。金管楽器はEG-ER50の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はEG-ER50の方がうまい。厚みと切れがある。使い分けるなら、基本的にはEG-ER50、よほどドンシャリを避けたいときだけMHP-EP3。

VR-101PB
MHP-EP3はやや低音より、VR-101PBは低音より。低域はMHP-EP3の方がやや低い音だが、量はVR-101PBの方が多い。中域はどちらも低域の曇りに覆われ気味だが、MHP-EP3の方がまだ聴こえてくる。高域はMHP-EP3の方がやや高い音を鳴らす。この2機種の大きな違いは、薄い低域が支配的で曇っている度合いだろう。分解能、音場感、原音忠実性すべてMHP-EP3の方が上。エッジのきつさはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMHP-EP3の方がやや上。どちらもただ何となく鳴らしているだけの機種。響きはほぼ同等。MHP-EP3と比べて、VR-101PBは不自然で違和感のある音を鳴らす。弦楽器はどちらもうまくないが、MHP-EP3の方がまだまし。VR-1010PBは変な嫌味がある。金管楽器はMHP-EP3の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMHP-EP3の方がうまい。厚みやメリハリに差がある。ほとんど何を聴くにしてもMHP-EP3の方が良いだろう。

ZEN AURVANA
MHP-EP3はやや低音より、ZEN AURVANAはかなりフラット。低域はMHP-EP3の方がかなりぼやけていて量が多い。中域はZEN AURVANAの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、癖もない。高域はMHP-EP3の方が金属的、ZEN AURVANAの方が線が細い。分解能はZEN AURVANAの方が圧倒的に上。音の分離にしろ微細な描写にしろ段違い。音場感はZEN AURVANAの方が明確。原音忠実性はZEN AURVANAの方がかなり上。周波数特性上の癖もないし、原音の生っぽさも感じられる。エッジのきつさはほぼ同等レベルだが、MHP-EP3の方がこもり感がひどく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはZEN AURVANAの方がかなり上。厚みはMHP-EP3の方がやや上。温かみは低域の量が多い分MHP-EP3の方があるように感じがちだが、それ以上の差はない。ヴォーカルの艶っぽさはZEN AURVANAの方が上。ZEN AURVANAの方が繊細な鳴らし方。響きはMHP-EP3の方が豊か。弦楽器はZEN AURVANAの方が圧倒的に繊細だし、生楽器らしい感じも遥かに上。金管楽器はMHP-EP3の方が金属的で楽しめる部分もあるが、粗や癖があるので、無難に聴きたいならZEN AURVANAの方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はZEN AURVANAの方がうまい。切れやスピード感が違う。使い分けるなら、基本的にはZEN AURVANA、よほど低域の量が欲しいときだけMHP-EP3。


・mix-style headphones
K271studio
K271stuioはやや高音より、mix-style headphonesはかまぼこ。低域はK271studioの方がしっかり低い音を鳴らし、薄く曇ったような印象を受けない。中域はK271studioの方が低域の薄い曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はK271studioの方がやや高い音でかなり量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてK271studioの方がかなり上。音の分離にしろ微細な描写にしろK271stuidoの方が上。音場はK271studioの方が広く明確。mix-style headphonesは一聴して違和感があり原音の粗や生っぽさが感じられないが、K271studioはそんなことはない。K271sutdioの方がややエッジがきついが、mix-style headphonesはハウリングするような感じで疲れることも多いので、聴き疲れはソースや聴く人によって変わってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてK271studioの方が上。特に明瞭さや音の鮮やかさは雲泥の差。K271studioの方がノリが良くかつ繊細。響きはほぼ同等レベルだが、こもり感はmix-style headphonesの方がかなり気になる。弦楽器はK271studioの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はK271studioの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はK271studioの方がうまい。低域の量感や切れに差がある。ほとんど何を聴くにしてもK271studioの方が良いだろう。

MDR-D777SL
MDR-D777SLは低音より、mix-style headphonesはかまぼこ。低域はどちらも薄く曇っているような感じは似ているが、MDR-D777SLの方が多少厚みがある。中域はどちらも低域の曇りに覆われるが、MDR-D777SLの方が癖がない。中高域はMDR-D777SLの方がしっかり出るが、高域はmix-style headphonesの方が高い音で目立つ。分解能は大きな差はないが、MDR-D777SLの方がやや上。音場感はMDR-D777SLの方が明確。原音忠実性はMDR-D777SLの方がやや良い。主に中域の癖のなさで勝っている。どちらもエッジはきつくないが、mix-style headphonesの方がハウリングするような感じで疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ同等。厚みはMDR-D777SLの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-D777SLの方がやや上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもなく、ただ何となく鳴らしているだけに感じる。響きはMDR-D777SLの方がやや豊かだが、こもり感としてはそれほど変わらない。MDR-D777SLの方が安定感がある。弦楽器はMDR-D777SLの方が滑らか。金管楽器はMDR-D777SLの方がしっかり鳴らしてくれるが、それにしても良いとは言い難い。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。低域の量感や音の厚みはMDR-D777SLの方が良いが、高域の鮮やかさはmix-style headphonesの方が良い。使い分けるなら、余程高域が聴きたい場合だけmix-style headphones、それ以外はMDR-D777SL。

RP-HTX7
mix-style headphonesは低音よりのかまぼこ、RP-HTX7はややドンシャリ。低域は量的にはそれほど差を感じないが、RP-HTX7の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし厚みが圧倒的に上。中域はRP-HTX7の方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方が圧倒的に高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-HTX7の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろRP-HTX7の方がかなり上。音場はRP-HTX7の方が立体感があり明確。mix-style headphonesは原音の粗や生っぽさがまったく感じられないが、RP-HTX7はそれなりに感じられる。RP-HTX7の方がエッジがきつく基本的には聴き疲れしやすいが、mix-style headphonesはハウリングするような感じでRP-HTX7より疲れる面もある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてRP-HTX7の方が上。特に明瞭さや音の鮮やかさは雲泥の差。RP-HTX7の方がかなりノリが良く、繊細さでも負けていない。響きはmix-style headphonesの方がやや豊かで、非常にこもり感が気になる。弦楽器はRP-HTX7の方が繊細で澄んでいる。金管楽器はRP-HTX7の方が高く鮮やかで楽しめる。mix-style headphonesはまったくと言っていいほど聴こえてこない。打ち込み系の音の表現はRP-HTX7の方がうまい。厚み、切れ、低域の質感等、様々な点で勝っている。ほとんど何を聴くにしてもRP-HTX7の方が良いだろう。

UR/29
どちらもかまぼこ。低域はどちらも薄く曇っている点は似ているが、どちらかと言うとmix-style headphonesの方がぼやけて量が多い。中域はUR/29の方がはっきり聴こえてくるし変な癖もない。高域はUR/29の方がやや高い音で量も多い。分解能はどちらも良くないが、どちらかと言えばUR/29の方が上。音の分離が良い。音場感はUR/29の方が明確で、mix-style headphonesほど頭内定位は気にならない。原音忠実性はUR/29の方が上。mix-style headphonesは中域の癖と高域の極端な不足のせいでソースによっては原音とかなり違う音になる。どちらもエッジはきつくないが、mix-style headphonesはハウリングするような感じで聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべて微妙にUR/29の方が良い。どちらも中途半端な鳴らし方だが、どちらかと言えばUR/29の方がノリが良い。響きはmix-style headphonesの方がやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器はほぼ同等レベルの鳴らし方だが、どちらかと言えばUR/29の方が澄んだ音。金管楽器はUR/29の方が高くて目立つが、いずれにせよあまり良いとは言えない。打ち込み系の音の表現はあまり大きな差はないが、どちらかと言えばUR/29の方がメリハリがあって良い。それなりに似ている上、様々な点について微妙にUR/29の方が勝っているので、UR/29があればmix-style headphonesは不要だろう。


・MUSIC SERIES ONE
ATH-AD700
ATH-AD700はやや高音より、MUSIC SERIES ONEは低音よりのドンシャリ。低域はMUSIC SERIES ONEの方がやや低い音で量も多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域は意外と似た表現だが、MUSIC SERIES ONEの方がやや力強く線が太い。分解能はあまり大きな差は感じられないが、どちらかと言えばATH-AD700の方が上か。線の細さが有利なようだ。音場感はどちらも耳の近くで音が鳴っている感覚が気になるし、価格の割にはあまり良くないが、ATH-AD700の方がまだ良いだろう。原音忠実性はMUSIC SERIES ONEの方がやや上。ATH-AD700の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さは低域が弱く線が細い分ATH-AD700の方がやや上。音の鮮やかさははMUSIC SERIES ONEの方が上のように感じる。厚みはMUSIC SERIES ONEの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方が上。ノリの良さならMUSIC SERIES ONE、繊細さならATH-AD700。響きはMUSIC SERIES ONEの方が豊か。弦楽器は基本的にはMUSIC SERIES ONEの方が心地よく、ギター等も楽しめるが、ヴァイオリン等の繊細で澄んだ感じはATH-AD700の方が良いだろう。金管楽器は音そのものにはそれほど違いはないように感じるが、MUSIC SERIES ONEの方が力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現は、一長一短。ATH-AD700は低域の量や圧力に欠ける上、線が細い点が合わないし、MUSIC SERIES ONEは低域の締まりに欠ける。得意分野はATH-AD700がクラシック、MUSIC SERIES ONEがロック。使い分けるなら、線の細さや音の硬さが欲しいときはATH-AD700、それ以外はMUSIC SERIES ONE。

HD435
HD435は低音より、MUSIC SERIES ONEは低音よりのドンシャリ。低域はHD435の方が若干低い音で、量はかなり多い。質感はどちらも柔らかく、似ている。中域はMUSIC SERIES ONEの方が曇りなくはっきり聴こえてくる。中高域から高域はかなり似ている。HD435の方が若干高い音だが、量はMUSIC SERIES ONEの方が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMUSIC SERIES ONEの方が若干良いように感じる。MUSIC SERIES ONEの方がややエッジがきついが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはMUSIC SERIES ONEの方が上。厚みもMUSIC SERIES ONEの方がある。温かみは低域が出る分HD435の方があるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばMUSIC SERIES ONEの方が良い。MUSIC SERIES ONEの方がノリが良くかつ繊細。響きはMUSIC SERIES ONEの方がやや豊か。弦楽器は全体的にはMUSIC SERIES ONEの方が繊細で良いが、チェロ等の低域が欲しいときはHD435の方が良い。金管楽器はMUSIC SERIES ONEの方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMUSIC SERIES ONEの方がややうまい。HD435は低域の量では勝っているのだが、スピード感に欠ける。得意分野はHD435がクラシック、MUSIC SERIES ONEがロック。ただし、別メーカーにしてはかなり似た音を鳴らす。使い分けるなら低域の量が欲しいときはHD435、それ以外はMUSIC SERIES ONEか。

iCans
iCansは高音よりのドンシャリ、MUSIC SERIES ONEは低音よりのドンシャリ。低域は、量はかなり近いが、iCansの方が一段低い音を鳴らす。中域はMUSIC SERIES ONEの方がはっきり聴こえてくるし癖もない。高域はかなり質が違うが、iCansの方が量が多く癖も強い印象。分解能はMUSIC SERIES ONEの方が上、音場感はiCansの方が上。原音忠実性はMUSIC SERIES ONEの方が上。iCansの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは、厚みはiCansの方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。どちらもノリが良いが、iCansはノリの良さだけといった感じなのに対して、MUSIC SERIES ONEは繊細さも十分持ち合わせている。響きはMUSIC SERIES ONEの方が豊か。弦楽器はMUSIC SERIES ONEの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまいが、鮮やかさや力強さならiCans、原音に近くうまくまとまっているのはMUSIC SERIES ONE。打ち込み系の音の表現はどちらも一長一短。iCansはある意味かなり魅力的なのだが、相性が良いとは言えないし、MUSIC SERIES ONEはiCansを聴いた後では刺激に欠けるように感じる。得意分野はiCansはポップス、MUSIC SERIES ONEはロック。基本的にはMUSIC SERIES ONEの方が癖がないしそつなく鳴らしてくれるので使いやすいが、刺激や独特の音場感が欲しくなったらiCansを使うといった感じか。

PortaPro
どちらも低音よりのドンシャリだが、PortaProの方が低音より。低音はPortaProの方が一段低い音で、量も出る。高音はMUSIC SERIES ONEの方が細く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMUSIC SERIES ONEの方がやや上。MUSIC SERIES ONEの方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。厚みや密度はPortaProの方がやや上。温かみは低音が出る分PortaProの方がやや上か。ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。どちらもノリが良いが、単純にノリの良さだけならPortaProの方が上。PortaProは繊細さが足りないのに対してMUSIC SERIES ONEは繊細さも十分。響きはPortaProの方が豊か。MUSIC SERIES ONEの方が線の細い音で、曇りも感じない。弦楽器はMUSIC SERIES ONEの方が繊細で楽しめる。金管楽器はMUSIC SERIES ONEの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、MUSIC SERIES ONEでは線が細くてしかも低音が不足気味に感じる人もいるかもしれない。逆にPortaProは低音が出すぎな気もする。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、基本的にはMUSICSERIESONEを使い、線が細すぎるとか低音が足りないとかいう場合だけPortaProか。

SR-225
かなり近い音。どちらもドンシャリだが、SR-225の方がやや高音より。低域は抜けが悪いせいかMUSIC SERIES ONEの方が出るように感じる。高域はほぼ互角だが、SR-225の方が若干細く高いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてSR-225の方がやや上。SR-225の方が線が細くやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-225の方がやや上。厚み、密度はほぼ互角。温かみはMUSIC SERIES ONEの方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもかなりノリが良い。響きはMUSIC SERIES ONEの方がやや豊か。弦楽器はSR-225の方が線が細く繊細だが、MUSIC SERIES ONEの方が心地よさでは勝っているように感じる。金管楽器はどちらもうまく、ほぼ互角の表現力。打ち込み系の音の表現は、線が太く低域が強めに感じる分MUSIC SERIES ONEの方がうまいように感じる。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、低域が欲しいときはMUSIC SERIES ONE、それ以外はSR-225か。

SR-60
どちらも低音よりのドンシャリだが、SR-60の方がやや低音より。質は似ているが、低音はSR-60の方が量が出るし、高音はMUSIC SERIES ONEの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMUSIC SERIES ONEの方がやや上。MUSIC SERIES ONEの方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。厚みや密度はほぼ互角。温かみは低音が出る分SR-60の方がやや上か。ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。どちらもノリが良い。SR-60は繊細さが足りないのに対してMUSIC SERIES ONEは繊細さも十分。響きはSR-60の方がやや豊か。MUSIC SERIES ONEの方が線の細い音で、曇りも感じない。弦楽器はSR-60の方が心地良いが、純粋に原音に近く澄んだ音を楽しみたいならMUSIC SERIES ONEの方が良い。金管楽器はMUSIC SERIES ONEの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなりだが、MUSIC SERIES ONEでは線が細くてしかも低音が不足気味に感じる人もいるかもしれない。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、基本的にはMUSICSERIESONEを使い、線が細すぎるとか低音が足りないとかいう場合だけSR-60か。


・MV1
ATH-A900
ATH-A900はやや高音より、MV1は高音よりのかまぼこ。低域はATH-A900の方がかなり出る。中域は、低域が出ないこととうわずっていることからMV1の方がはっきり聴こえてくる。高域はATH-A900の方がやや高い音で、細くとがっていて目立つ。分解能及び原音忠実性はATH-A900の方がかなり上。特に微細な表現には差が出る。音場感はほぼ互角。ATH-A900の方がエッジがきついが、MV1は中域が近々と耳に突き刺さってきて疲れるため、総合的な聴き疲れとしてはMV1の方が悪いだろう。明瞭さはMV1の方が若干上、音の鮮やかさはATH-A900の方が上。ATH-A900に比べると、MV1は低域が弱いにもかかわらず曇っているように感じることがある。厚みはMV1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-A900の方がかなり上。ATH-A900の方がかなり繊細で、ノリの良さにしてもいい勝負。響きはATH-A900の方が豊か。弦楽器はATH-A900の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-A900の方が高く鮮やかだが、力強さならMV1に分がある。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、MV1は低域の量がまったく足りない。ATH-A900は低域の量はそれほど不足ではないが、質や音の低さには不満が残る。使い分けるなら、基本的にはATH-A900、よほど音の太さや厚みが欲しいときやATH-A900では高域が痛いときだけMV1。

DR-631
DR-631はかなりかまぼこ、MV1は高音よりのかまぼこ。低域はどちらもかなり少ないが、どちらかと言えばMV1の方が量が多い。中域はMV1の方がはっきり聴こえてくる。これは低域の量云々よりも音の質としてMV1の方が高く癖のある音を鳴らすため。高域はDR-631の方が細く鋭い音だが、MV1の方が量が多く明るい。分解能はDR-631の方が上。音の分離はあまり差を感じないが、一つ一つの音の微細な描写はDR-631の方が上。音場感はDR-631の方が明確。原音忠実性はDR-631の方が上。周波数特性上の癖のなさだけでなく、原音の粗や生っぽさが感じられるという点でも上。エッジはDR-631の方がややきついが、MV1は中域から中高域にかけてキンキンするような感じがあり、総合的な聴き疲れとしてはあまり変わらない。明瞭さ、音の鮮やかさはMV1の方が上。厚みはMV1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDR-631の方が上。響きはDR-631の方がやや豊か。弦楽器はDR-631の方が繊細かつ心地よい。ただ、これはMV1が悪いため相対的にDR-631が良く感じるのだろう。金管楽器はMV1の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はMV1の方が良い。MV1の方が明るい表現。使い分けるなら、基本性能重視ならDR-631、明るい音の方が良いならMV1。

HD215
HD215はかなりフラット、MV1は高音よりのかまぼこ。低域はHD215の方がやや強いが、質感は割と近く量も極端な差はない。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、MV1の方がうわずっていて無駄に目立つ印象。高域はHD215の方が細く高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はHD215の方が上。特に微細な表現はかなり差がある。音場感はほぼ互角。HD215の方がエッジがきついが、MV1は中域がキンキン突き刺さってくるため、総合的な聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはHD215の方が上。厚みはMV1の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHD215の方が上。HD215の方がノリが良くかつ繊細。響きはHD215の方が豊か。弦楽器はHD215の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHD215の方が高く鮮やかだが、力強さではMV1の方が上だろう。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまい。爽やかにバランス良く鳴らして欲しいならHD215、音の厚みが欲しいならMV1か。ただし、打ち込み系の曲をノリ良く楽しむにはどちらも低域が不足に感じる。その点はHD215の方がまだまし。使い分けるなら、基本的にはHD215、音の厚みが欲しいときはMV1。

PRO/4AA
どちらも高音よりのかまぼこ。低域は曇っているような感じがあるためPRO/4AAの方が出るように感じるが、ほぼ同量。中域はどちらもうわずって突き刺さるようにはっきり聴こえてくる点は良く似ている。高域はMV1の方がやや高い音を鳴らす。分解能はほぼ互角。どちらも音の分離は良いが微細な表現が下手なところは似ている。音場感はMV1の方が上。原音忠実性はPRO/4AAの方が上。どちらもエッジはきつくないが、中域がキンキンと突き刺さってくるため疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMV1の方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもほとんど感じられないが、どちらかと言えばPRO/4AAの方が良いようだ。どちらもある種モニターライクな鳴らし方。響きはどちらもあっさりだが、どちらかと言えばPRO/4AAの方が豊か。弦楽器はどちらもうまくない。硬く芯が通っていて心地よさがまったく感じられない。金管楽器はMV1の方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMV1の方がうまい。明るく切れがある。多少の違いはあるが、広い目で見ると似ている機種と言えよう。どちらか1台持っていれば十分な機種。

SE-900D
MV1は高音よりのかまぼこ、SE-900Dはややかまぼこ。低域はSE-900Dの方がかなり出る。中域は低域が出ないことと上ずっていることからMV1の方がかなり目立つ。高域はSE-900Dの方が高い音を鳴らすが、量的な差はあまり感じない。分解能及び原音忠実性はSE-900Dの方が上。MV1はとにかく低域が弱すぎるし、音の分離はともかく微細な表現ではSE-900Dの方がかなり上。音場感はMV1の方がやや上。SE-900Dの方がややエッジがきついが、MV1は中域がキンキンと突き刺さってくるのが痛く、総合的な聴き疲れはMV1の方が悪いだろう。明瞭さは低域が弱いことと中域が上ずっていることからMV1の方がやや良いように感じるが、音の鮮やかさはどちらもやや不満が残る。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方がかなり上。ノリの良さにしろ繊細さにしろSE-900Dの方が良いように感じる。響きはSE-900Dの方が豊か。弦楽器はSE-900Dの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかで力強いが、SE-900Dの方が高い音を鳴らしてくれるぶん楽しめる印象。打ち込み系の音の表現は、質感的にはどちらもなかなか相性が良いが、MV1は低域が不足しすぎ。その点、SE-900Dは適度な低域がある。使い分けるなら、基本的にはSE-900D、余程SE-900Dの高域の癖や音場感の悪さが気になるときだけMV1。


・MX500
A8
A8はやや高音よりのかまぼこ、MX500はやや高音より。低域はA8の方が厚みがありしっかり鳴らしてくれる。MX500は厚みが薄く何となく鳴らしている印象。中域はどちらもかなりはっきり聴こえてくる。高域はどちらかもしっかり高い音を鳴らしてくれるが、A8の方が若干高いか。分解能、原音忠実性はA8の方が上。音場感はほぼ互角。MX500の方がややエッジがきつい印象だが、A8の方が硬く芯の通った音で疲れるため、総合的な聴き疲れはほぼ互角。いずれにせよ、どちらもそれほど聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかはA8の方が上。厚みはA8の方がかなりある。温かみはMX500の方がやや感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。A8の方がノリが良くかつ繊細。響きはどちらも適度でほぼ互角。弦楽器はBGMとしてでしゃばらないMX500の鳴らし方も悪くないが、しっかり聴き込むにはA8の方が良いだろう。金管楽器はどちらもなかなか高く鮮やかだが、A8の方がやや上の表現力を持っている。打ち込み系の音の表現はA8の方がうまい。音の厚みや切れが合う。使い分けるなら、基本的にはA8、A8の冷たい印象が嫌ならMX500か。

ATH-CM7TI
ATH-CM7TIは高音より、MX500はやや高音より。低域は、全体的な量はMX500の方が若干多いように感じるが、ATH-CM7TIの方がタイトでやや低い音を鳴らす。中域から中高域は、MX500の方がやや高く上ずったような音を鳴らす。高域はどちらもしっかり出るが、ATH-CM7TIの方が細く硬く金属的な鳴りで、粗がない。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-CM7TIの方が上。音の細部の描写、音の自然な広がりや抜け、付帯音の無さ等もATH-CM7TIの方が良いように感じる。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはどちらもかなり良く、ほぼ互角。音の鮮やかさはATH-CM7TIの方がやや上。厚みはATH-CM7TIの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもATH-CM7TIの方がやや良いように感じるが、価格ほどの差はないように感じる。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、ATH-CM7TIの方が上のように感じる。響きはMX500の方が豊か。弦楽器はATH-CM7TIの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、ATH-CM7TIの方が芯が通っていてシャリつかないため、基本的には良いだろう。打ち込み系の音の表現はATH-CM7TIの方がうまい。低域の音の低さと音の厚みで差がついている印象。ほとんど何を聴くにしてもATH-CM7TIの方が良いように感じる。

DTX20
どちらも高音より。低域はどちらも厚みが薄く量も少ないが、MX500の方が若干低い音を鳴らす。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、ソースによってはDTX20の方が若干うわずっているように感じる。中高域から高域はMX500の方が若干高い音だが、量はDTX20の方が多い。分解能はMX500の方がやや上。音場感、原音忠実性はほぼ同等。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ同等だが、どちらかと言えば若干DTX20の方が良いか。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMX500の方が若干上。どちらも、ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはMX500の方がやや豊か。DTX20の方が雑然としてまとまりがない感じ。弦楽器はMX500の方が繊細で落ち着いて聴ける。金管楽器はどちらもなかなか高く鮮やかだが、力強さではDTX20が勝っている。打ち込み系の音の表現は、どちらも質感は悪くないが低域不足に感じる点は似ている。ただし、どちらかと言えばDTX20の方がうまい。得意分野はDTX20はポップス、MX500はクラシック。使い分けるなら、明るさを求めるならDTX20、そうでなければMX500か。

HE580
HE580はやや低音より、MX500はやや高音より。低域はHE580の方がかなり低い音で量も多い。中域はどちらもしっかり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はMX500の方が一段高く硬い音を鳴らす。HE580はそれほど高域が目立たないが、MX500はそれなりに目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてMX500の方が若干良いように感じるが、さほど差はない。MX500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方がやや上。厚みはHE580の方がある。温かみは低域が出る分HE580の方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはMX500の方が良い。ノリの良さならHE580、繊細さならMX500。ただ、MX500にしても特別繊細というわけではなく、HE580と比べると線が細く一聴して繊細な印象を受けるという程度。響きはMX500の方がやや豊か。HE580の方が線が太く安定した音。弦楽器は低域が出る分HE580の方が心地よいが、繊細さはMX500の方がある。金管楽器はMX500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHE580の方がうまい。低域が出るし、音の太さや圧力もマッチしている印象。得意分野はHE580がポップス、MX500がクラシック。使い分けるならポップスやロックはHE580、クラシックやジャズはMX500。低域が欲しいときはHE580、高域が欲しいときはMX500という使い分けもありだろう。

iPod付属イヤホン
iPod付属イヤホンはフラット、MX500はやや高音より。低域はiPod付属イヤホンの方が低い音で量も多い。中域はMX500の方がやや高い音で目立つ。高域はMX500の方が細く高い音を鳴らす。分解能はMX500の方がやや上。音場感はどちらもごく普通でほぼ互角。原音忠実性もほぼ同等。周波数特性の癖のなさではiPod付属イヤホンの方が上だが、原音の粗や生っぽさはMX500の方が感じられる。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方が上。厚みはiPod付属イヤホンの方がやや上。温かみはiPod付属イヤホンの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。MX500の方が明るくメリハリのある感じ。響きはiPod付属イヤホンの方がやや豊か。弦楽器はiPod付属イヤホンの方が心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいときはMX500の方が良い。金管楽器はMX500の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は低域が出る点ではiPod付属イヤホンの方が良いが、中域から高域の明るい表現はMX500の方が魅力的。使い分けるなら、低音が欲しいときはiPod付属イヤホン、低音は控え目でも良いときはMX500。

K14P
どちらもかなりフラットだがK14Pはややドンシャリ、MX500はやや高音より。低域の量はほぼ同じだが、K14Pの方がやや低い音を鳴らす。中域はどちら埋もれずにしっかり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はMX500の方が若干出るように感じる。ただ、別メーカーにしては全体的にかなり近い音。分解能、原音忠実性はほぼ互角。音場感はK14Pの方がやや広く良い。エッジはどちらもそれほどきつくないが、元気が良い分K14Pの方が若干聴き疲れするかもしれない。明瞭さ、音の鮮やかさはK14Pの方がやや上。厚みはK14Pの方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMX500の方がやや上。ノリの良さならK14P、繊細さならMX500。響きはほぼ互角でどちらも適度。弦楽器はMX500の方が若干心地よさで勝る。金管楽器はK14Pの方が力強いが、基本的に大きな差はない。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなりだが、K14Pの方がやや元気があり相性が良いように感じる。得意分野はK14Pがポップス、MX500がクラシック。使い分けるなら、元気が良い音が欲しい場合にはK14P、そうでなければMX500か。いずれにせよ、かなり近い音を鳴らすのでどちらか1台で事足りるように思った。

MDR-E888LP
MDR-E888LPはかなりフラット、MX500はやや高音より。低域はMDR-E888LPの方が量が多いが、音の低さはさほど変わらない。中域はMX500がやや上ずっているのに対して、MDR-E888LPは落ち着いた鳴り。高域はMX500の方が細くとがった鳴らし方。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-E888LPの方が若干上のように感じる。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方が若干上。厚みはMDR-E888LPの方がある。温かみはMDR-E888LPの方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。MDR-E888LPの方がノリが良い上、繊細さでも負けていない。響きはMX500の方がやや豊かだが、抜けが良いためあまり差は感じられない。MX500の方が軽く爽やかな音調。弦楽器はMDR-E888LPの方が心地よいが、もう少し線の細さが欲しかったところ。金管楽器はMX500の方が高く鮮やかだが、ソースによってはチープに感じるだろう。その点、MDR-E888LPは力強く落ち着いた鳴りで良くも悪くも安心して聴ける感じ。打ち込み系の音の表現はMDR-E888LPの方がうまい。低域が出る上、MX500と比べて線が太く、打ち込み系の音との相性が良い。使い分けるなら、基本的にはMDR-E888LPで、線の細さが欲しいときはMX500か。

MDR-E931LP
MDR-E931LPはややドンシャリ、MX500はやや高音より。低域はMDR-E931LPの方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はMDR-E931LPがおとなしく低域の豊かなソースでは低域に負ける傾向であるのに対して、MX500はやや高めの音で目立つ。高域はMX500の方が細く硬く尖った音で量も多い。分解能はMX500の方が若干上か。音場感はほぼ互角だが、MX500の方がやや広いように感じる。原音忠実性は、MDR-E931LPの方が癖がなく良い。MX500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMX500の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-E931LPの方が上。MDR-E931LPの方がノリが良い。響きはあまり差がないが、低域はMDR-E931LPの方が豊か、高域はMX500の方が豊か。弦楽器はMDR-E931LPの方が心地よい。金管楽器はMX500の方が高く鮮やか。MDR-E931LPの方が太い音で力強い感じ。打ち込み系の音の表現はMDR-E931LPの方がうまい。MX500はとにかく低域の量が不満。使い分けるなら、低域が弱くてもいいから線の細さや明瞭さを求めるならMX500、それ以外はMDR-E931LP。

ヘッドホン-3
MX500はやや高音より、ヘッドホン-3はかまぼこ。低域はMX500の方がかなり低い音を鳴らすし、量も多い。ヘッドホン-3はぼんやり曇っているだけで、まったく低い音を鳴らしてくれない。中域はヘッドホン-3の方が上ずっていて強いように感じるが、非常に曇っていて、実際には聴こえてこない。高域はMX500の方が細く硬いとがった音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてMX500の方がかなり上。特に原音忠実性は、ヘッドホン-3がまったく聴けないレベルなのに対してMX500は普通に聴けるレベル。MX500の方がエッジがきついが、ヘッドホン-3は粗く上ずった中域が痛いため、総合的な聴き疲れは人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMX500の方が上。MX500の方がノリが良くしかも繊細。響きはMX500の方が豊か。弦楽器はMX500の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はMX500の方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は低域の量や音の厚みからMX500の方がうまい。何を聴くにしてもMX500の方が良いだろう。


・OMX52
ATH-EM7
ATH-EM7はかまぼこ、OMX52はかなりフラット。低域はOMX52の方がやや量が多くぼやけた感じ。ATH-EM7の方が締まりがある。中域はATH-EM7の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-EM7の方がやや高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はATH-EM7の方が上。音場感はほぼ互角。ATH-EM7の方がエッジがきつい上、中域がキンキン突き刺さってくる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはATH-EM7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはOMX52の方が上。ATH-EM7の方がノリが良い。OMX52がただ何となく鳴らしているのに対して、ATH-EM7はメリハリがある。響きはOMX52の方がやや豊か。弦楽器はOMX52の方が心地よい。金管楽器はATH-EM7の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-EM7の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-EM7、中域の癖が気になるときや温かみが欲しいときはOMX52。

HP-AL1000
HP-AL1000はやや高音より、OMX52はかなりフラット。低域は量的にはあまり差がないが、OMX52の方が薄くぼやけている感じ。中域はHP-AL1000の方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はHP-AL1000の方がかなり目立つ。分解能はHP-AL1000の方が上。単純に音の分離を見た場合、HP-AL1000に比べてOMX52はかなりかたまって聴こえる。音場感はHP-AL1000の方がやや立体感があり良い。原音忠実性は、癖のなさという意味ではOMX52の方が上だが、原音の生っぽさはHP-AL1000の方が感じられる。HP-AL1000の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-AL1000の方がかなり上。厚みはHP-AL1000の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはOMX52の方がやや上。HP-AL1000の方がかなりノリが良いが、そのぶん粗もあるように感じられる。響きはOMX52の方が豊か。弦楽器はOMX52の方が滑らかで心地よいが、HP-AL1000の方が澄んで生っぽい音を鳴らす。金管楽器はHP-AL1000の方がかなり鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-AL1000の方がうまい。厚み、切れ、明るさ等に差がある。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、明るく楽しみたいならHP-AL1000、地味もいいから癖のない音を聴きたいならOMX52。

HP-AL700
HP-AL700はやや低音より、OMX52はかなりフラット。低域はHP-AL700の方がかなり量が多い。中域は、低域の量が少ないだけでなくやや高めの音を鳴らすOMX52の方がはっきり聴こえてくる。高域はHP-AL700の方が高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はOMX52の方がやや上。音場感は、広さだけなら物理的にサイズの大きいHP-AL700に分があるが、明確さという点ではOMX52の方が上のように感じる。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさはOMX52の方が上。厚みは質感がかなり違うので判断が難しい。OMX52の方がタイト。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-AL700の方が上。低域の量が多くて線が太いHP-AL700の方がノリが良いように感じるが、切れや軽快さはOMX52の方が上。細部まで鳴らしてくれる感じのするHP-AL700の方が繊細に感じる部分もあるが、粗のなさではOMX52の方が上。響きはHP-AL700の方が豊か。HP-AL700の方が音が太くて柔らかく、付帯音も多いように感じる。弦楽器はHP-AL700の方が心地よいが、澄んだ感じはOMX52の方が上。金管楽器はHP-AL700の方が高く鮮やかだが粗がある。打ち込み系の音の表現は、低域が出る分HP-AL700の方が良いように感じがちだが、音の質感そのものはOMX52の方が相性が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量や温かみが欲しいならHP-AL700、それ以外はOMX52。

KSC75
KSC75はやや低音よりのドンシャリ、OMX52はかなりフラット。低域はKSC75の方がかなり出る。中域はOMX52の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はKSC75の方がかなり高く尖った音を鳴らす。分解能は音の傾向がかなり違うため判断が難しいが、KSC75の方がやや上か。音場感はKSC75の方が上。原音忠実性はOMX52の方が上。KSC75の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはOMX52の方がやや上、音の鮮やかさはKSC75の方が上。厚みはKSC75の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が上。KSC75の方がノリが良い。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はOMX52の方が粗のない鳴らし方。金管楽器はKSC75の方が高く鮮やかだが、癖がありすぎて受け付けない人も多そう。打ち込み系の音の表現はKSC75の方がうまい。得意分野はKSC75はロック、OMX52はポップス。使い分けるなら、ノリの良さ重視ならKSC75、癖のなさ重視ならOMX52。


・P9
HP-SN51
HP-SN51はやや低音より、P9はかなりフラット。低域はHP-SN51の方が曇っていて量が多い。P9の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らしてくれる。中域はP9の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はP9の方がやや高い音で目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてP9の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろP9の方が上。音場はP9の方がすっきりと広く、明確。HP-SN51は低域から中域にかけて癖が気になるが、P9はHP-SN51と比べると気にならない。P9の方がエッジがきついが、HP-SN51は曇りのせいで聴き疲れする面もあるので、どちらが疲れるかはソースや聴く人によるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはP9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。P9の方がノリが良くかつ繊細。響きはP9の方が豊かだが、HP-SN51は曇りのせいで響きが豊かと感じる人も多そう。弦楽器はP9の方がうまい。HP-SN51は生楽器を鳴らしている感触に乏しい。金管楽器はP9の方が鮮やかで、それほど不自然な感じもしない。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。低域の質感でかなり勝っている。ほとんど何を聴くにしてもP9の方が良いだろう。

PX10
P9はかなりフラット、PX10はやや高音より。低域は大きな差はないが、P9の方が締まっていてやや低い音を鳴らす。中域はP9の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域は量よりも質が違う感じ。P9の方が硬く金属的。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角レベルだが、音場感はどちらかと言えばP9、原音忠実性はどちらかと言えばPX10の方が上のように感じる。P9の方が若干エッジがきつく、元気な鳴らし方なので聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはP9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばPX10の方が良いように感じる。ノリの良さならP9、繊細さならPX10。響きはP9の方がやや豊か。弦楽器はPX10の方が繊細で滑らかな感じ。金管楽器はP9の方が鮮やかで元気が良い鳴らし方で楽しめる。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、明るく元気に楽しみたいならP9、あくまで自然に聴きたいならPX10。

SX10
P9はかなりフラット、SX10はやや低音より。低域はSX10の方がかなり量が多いが、薄く曇っている感じで、P9の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らす感じ。中域はP9の方が低域の曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はP9の方が高い音で目立つ。分解能はP9の方が上。音場感はほぼ互角だがどちらかと言うとP9の方が良いように感じる。原音忠実性はP9の方が上。SX10は低域の曇りが致命的に感じるし、原音の粗が感じられない。P9の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはP9の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しいが、基本的にはP9の方があるように感じる。温かみはSX10の方が感じられるが、これは低域の質感によるもので、それを除けば大差ない。ヴォーカルの艶っぽさはP9の方が上。どちらも基本的にノリが良い傾向。P9はメリハリがあり、SX10は圧力がある。響きはP9の方がやや豊か。弦楽器はSX10の方が滑らかで心地よいが、生楽器を鳴らしているという感じがほとんどしない。そういう意味ではP9の方が良い。ただし、多少粗っぽい。金管楽器はP9の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。SX10は切れがまったく感じられない。使い分けるなら、基本的にはP9、余程低域の量や音の圧力が欲しい場合だけSX10。


・PC-100
ATH-PRO700
ATH-PRO700はややドンシャリ、PC-100はやや高音より。低域は全体的にATH-PRO700の方が出る。中域はPC-100の方がやや出ている感触。高域はほぼ互角だが、ATH-PRO700の方がaudio-technica独特の金属めいた鳴り方があるためやや出るように感じがち。分解能はATH-PRO700、音場感はPC-100の方が良い。ATH-PRO700の方が原音忠実だがエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはATH-PRO700の方が上。厚みや密度はPC-100の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはATH-PRO700の方が上。ATH-PRO700の方がノリが良くしかも繊細さもある。響きはATH-PRO700の方が豊か。弦楽器、金管楽器はいずれもATH-PRO700の方が良い。PC-100は塗り潰したような癖がありいまいち。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、どちらかと言えばATH-PRO700の方が良い。低音が出る上、音にシャープさがあるため。ただし、音に厚みがあるほうが好きならPC-100の方が良いかもしれない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならテクノやトランスでPC-100の音の粗さや厚みにマッチするソースにはPC-100、それ以外はATH-PRO700。

dj1001
非常に近い音だが、低域はPC-100の方がやや出る。高域はほぼ同等、ヴォーカル等の中域はややdj1001の方が出る。と言っても、PC-100が凹んでいると言うよりはdj1001が出ているという印象。違いは微妙。一番の違いは音の粒の粗さで、PC-100はかなり粗く、dj1001は細かい。高域はPC-100はシャリつくがdj1001はそんなことはない。分解能はdj1001の方が上、音場感はほぼ同じ。どちらもエッジはきつくなくそれなりに聴きやすいが、dj1001の方が聴き疲れは少ない。どちらも非常に明瞭で、明瞭さという意味では差はない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも不足気味だが、dj1001の方が若干良いか。どちらも響きがあっさりで、ノリ良く切れの良い音だが、低域が出るのと音の粗さからPC-100の方が若干ノリが良く感じる。どちらも打ち込み系の音と相性が良い。弦楽器はdj1001の方が繊細かつ自然。金管楽器はほぼ互角で、粗い感じが好きな人はPC-100、澄んだ感じが好きな人にはdj1001がオススメ。使い分けるなら、ロックやノリ重視のポップスはPC-100、それ以外はdj1001。

HFI-650
HFI-650の方が低音が出るが、中域・高域はほぼ同レベルで、全体的には良く似た音。PC-100は低域がでないこともありスカスカに感じる部分があるが、HFI-650はそんなことはない。分解能はHFI-650の方がやや上、音場感はほぼ同じ。エッジのきつさはほぼ同レベルで、どちらもそれほど聴き疲れはしない。明瞭さでは低音が出ない分PC-100の方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-650の圧勝。どちらも響きはかなりあっさりでノリが良く切れの良い音。打ち込み系の音とかなり相性が良い。PC-100の方が粗い感じで、基本的にはHFI-650の方が一段上のクオリティーだが、PC-100の粗っぽさがうまくマッチして生き生きしてくれるソースもあることは確か。低域がもう少し出れば、ロックにはPC-100の方が向いていると断言できたと思われる。どちらもクラシックには向かない機種だが、どちらかを使うなら間違いなくHFI-650。弦楽器はどちらもあまり得意ではないが、HFI-650の方がまだ自然な印象を受ける。金管楽器は弦楽器ほどの差は感じられないが、それでもHFI-650の方がやや良い。大太鼓などの低音はPC-100はかなり不満だが、HFI-650はほぼ満足できる音。何を聴くにしてもHFI-650の方が良いと思われるが、あえて使い分けるならやはりロックにPC-100、それ以外にはHFI-650か。

RP-DH1200
PC-100はやや高音より、RP-DH1200は低音よりのドンシャリ。低音は圧倒的にRP-DH1200の方が出る。逆に高域は圧倒的にPC-100の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてPC-100の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、低音が出るぶん大抵のソースではRP-DH1200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはPC-100の方が上。厚みはRP-DH1200の方があるが、密度は互角。温かみはRP-DH1200の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはPC-100の方が若干ある。ノリの良さならRP-DH1200、繊細さならPC-100。響きはRP-DH1200の方が豊かで、こもり感がすごい。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPC-100の方が良い。ただし、何を聴くにしても若干低音が不足に感じられる恐れはあるし、粗がありマイルドさに欠ける。それにしてもRP-DH1200の低音過多よりはましと思う人が多いだろう。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が欲しい人でなければPC-100の方が何を聴くにしても良いだろう。


・PHP-200
ATH-EM7
ATH-EM7はかまぼこ、PHP-200はややドンシャリながらかなりフラット。低域は圧倒的にPHP-200の方が出る。ATH-EM7は低域が不足に感じることが多いが、PHP-200はそんなことはない。音そのものも、一段低いしっかりした低音。高域もPHP-200の方が出るが、低域ほどの差はない。分解能、原音忠実性はATH-EM7の方がやや上、音場感はほぼ互角。ATH-EM7の方が線が細いのだが、PHP-200の方がサ行の音等が痛く、全体的な聴き疲れのレベルとしてはほぼ互角。明瞭さはATH-EM7の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みはPHP-200の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPHP-200の方がやや上。ノリの良さならPHP-200、繊細さならATH-EM7。響きはPHP-200の方が豊か。弦楽器の表現はほぼ互角だが、チェロ等の低域が欲しい場合にはPHP-200の方が良い。金管楽器はどちらも悪くないが、PHP-200の方が力強く前に出てくる印象。打ち込み系の音の表現は、基本的にはATH-EM7の方がうまいのだが、大抵のソースでは低域不足に感じるため、単にノリ良く楽しみたいならPHP-200の方が良いことが多い。得意分野は、どちらもポップス。個人的には、ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が楽しめる気がするが、ATH-EM7と比べて粗削りなので、クラシック等で繊細さが欲しい場合はATH-EM7の方が良いだろう。コストパフォーマンスはPHP-200の方がかなり良い。

HP-MD1
PHP-200の方がドンシャリ。低域の量は大差ないが、PHP-200の方が一段低い音を鳴らす。HP-MD1はヴォーカル等の中域にやや嫌味が出ることがあるが、PHP-200はそんなことはない。高域はPHP-200の方が細く硬い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はPHP-200の方がやや上。音場感はほぼ互角。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPHP-200の方が上。PHP-200の方がノリが良くしかも繊細。響きはPHP-200の方がやや豊か。HP-MD1は曇りが気になる。弦楽器はPHP-200の方が繊細で心地よい。金管楽器はPHP-200の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現は、低域が出ることもありPHP-200の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が良いだろう。

KSC75
KSC75はやや低音よりのドンシャリ、PHP-200はやや高音よりのドンシャリ。低域はKSC75の方が若干低い音でかなり量が多い。中域はPHP-200の方が低域の邪魔がない上、うわずり気味ではっきり聴こえてくる。高域はPHP-200の方がやや高い音で量も多い。分解能はほぼ互角。音場感、原音忠実性はKSC75の方がやや上。PHP-200の方がエッジがきつい上に硬い音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさは低域の量の少なさと音の硬さからPHP-200の方がやや良いように感じる。厚みは音の質感がかなり違うため比較が難しい。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方がかなり上。どちらもノリが良いが、KSC75は繊細さも持ち合わせている反面PHP-200は繊細さはない。響きはKSC75の方がやや豊か。一番の違いは、KSC75がやや柔らかい音であるのに対して、PHP-200がかなり硬い音であることだろう。弦楽器はKSC75の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はPHP-200の方が鮮やかで金属的な鳴りが楽しめるが、ソースによってはチープに感じる。打ち込み系の音の表現はPHP-200の方がややうまい。音の硬さがマッチしている印象。得意分野はKSC75がロック、PHP-200がポップス。使い分けるなら、打ち込み系の音を明るく硬い音で楽しみたいときやブラスメインの曲はPHP-200、それ以外はKSC75。

MDR-Q36LW
MDR-Q36LWはかなりフラット、PHP-200はややドンシャリ。低域の量はほぼ同量だが、PHP-200の方が低い音を鳴らす。高域はPHP-200の方がかなり出る上、シャリつくので余計強く感じる。分解能はPHP-200の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばPHP-200の方が良い。原音忠実性はどちらもいまいち。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPHP-200の方が上。特に音の鮮やかさは段違い。ただし、かなり粗があるのも確か。ノリの良さならPHP-200、繊細さならMDR-Q36LW。響きはPHP-200の方がやや豊か。弦楽器はPHP-200の方が線が細くワンランク上の表現だが、曇りがちな心地よさや伸びを求めるのならMDR-Q36LWの方が良いと言う人もいるかもしれない。金管楽器はPHP-200の方が圧倒的に鮮やかで元気が良い。打ち込み系の音の表現も同様で、PHP-200の方が楽しめる。これは、単にドンシャリだからというレベルを超えた話。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもPHP-200の方が楽しめるように感じるが、チープな機器で再生する場合には非常に粗が気になると思われるので、その場合にはMDR-Q36LWを使うというのも選択肢ではあると思う。

SE-EX9
どちらもややドンシャリ。低域は質・量ともに極端な違いはないが、SE-EX9の方が厚みや弾力がある。中域はPHP-200の方が嫌味がある感じではっきり聴こえてくる。SE-EX9は普通に聴こえてくる感じ。高域はSE-EX9の方が粗がなく金属的。どちらもやや高めの音で量も多い点は似ている。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-EX9の方が上。音の分離にしろ微細な表現にしろSE-EX9の方が上だし、PHP-200のような中域の嫌味やザラザラした質感等の癖がない。音場は広くしかも立体的。PHP-200が小型の密閉型とするなら、SE-EX9は大型の開放型のような音場の違いがある。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ互角。音の鮮やかさはSE-EX9の方がやや上。厚みはSE-EX9の方がある。温かみはSE-EX9の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもそれなりに良いが、SE-EX9の方が痛さがない分良いように感じる。どちらもノリの良い傾向。響きはSE-EX9の方がやや豊か。SE-EX9の方が柔らかめの音で、しかもダイナミックな鳴らし方。弦楽器はSE-EX9の方が粗がなく柔らかい。金管楽器はSE-EX9の方が鮮やかで澄んでいる。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、力強さを重視するならSE-EX9、締まりを重視するならPHP-200といった感じか。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-EX9、余程音に締まりが欲しいときだけPHP-200。


・PortaPro
Form2
Form2はかまぼこ、PortaProはドンシャリ。見た目は近いものがあるが、音域傾向はまったく違う。分解能や音場感はほぼ互角だが、若干Form2の方が良いように感じる。PortaProの方がノリが良く、しかも原音忠実。一聴して違和感がなく楽しめる上、音に鮮やかさがあり、しかも温かみもある。ヴォーカルの艶っぽさではPortaProの方がはるかに上。どちらも響きが豊かでありながら音の抜けが良く、エッジもきつくないためあまり聴き疲れしない。トランペットやシンバルの美しさはほぼ互角だが、PortaProの方が低音が出る分やや邪魔されて明瞭さがない。弦楽器や打楽器はPortaProの方が総じて良い。このような理由でクラシックを聴くならややPortaProが良い。その上、ロックやポップスになるとForm2は低音が出ずノリが悪いので、結局PortaProの方が良い。何を聴くにもForm2はいまいちなようだ。価格を考えるとコストパフォーマンスの差は歴然。

HFI-15G
HFI-15Gは低音より、PortaProはドンシャリ。低域はどちらも超低域までしっかり出るが、厚みはややPortaProの方がある。HFI-15Gは高域がまったく聴こえてこないが、PortaProはある程度聴こえる。中域はどちらも埋もれがち。分解能は互角、音場感はHFI-15Gの方がやや良い。どちらもあまり原音忠実とは言えない。HFI-15Gは高域が不足の上マイルドすぎ、PortaProは高域は出るが全体的に味付けしすぎ。どちらもエッジはきつくなくかなり聴きやすいが、HFI-15Gの方が高域が出ない上にサ行の音等も痛くなく、聴きやすさという点では上。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはすべてPortaProの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良いが、柔らかさ重視ならHFI-15G、芯の通った感じ重視ならPortaPro。ただし、芯の通った感じというのはHFI-15Gに比べて、というだけで、一般的な見方をするならPortaProもあまり芯が通っているとはいえない。ノリの良さならPortaPro、繊細さならHFI-15Gの方が上。ただ、HFI-15Gはかなりノリが悪いのに比べて、PortaProはそれなりに繊細さもある。響きはHFI-15Gは適度、PortaProは豊か。弦楽器はHFI-15Gの方が伸びが良く繊細で心地よい。金管楽器は圧倒的にPortaProの方が鮮やかで魅力的。打ち込み系の音の表現はPortaProの方が得意。得意分野はHFI-15Gは弦楽器メインのクラシック、PortaProはロック。使い分けるなら、弦楽器メインのクラシックはHFI-15G、それ以外はPortaPro。ジャンルではなく、まったり聴きたいときはHFI-15G、ノリ良く聴きたいならPortaProという気分による使い分けの方が適しているかもしれない。

iGrado
iGradoは低音より、PortaProは低音よりのドンシャリ。低域はPortaProの方がやや量が多く低い音を鳴らす。中域はどちらも低域に負けるが、iGradoは低域の曇りに覆われる感じ、PortaProは低域の量に押される感じ。高域はPortaProの方が高い音で量も多い。分解能はPortaProの方がやや上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はiGradoの方が上。PortaProの方が付帯音が多く、作ったような音に感じる。PortaProの方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはPortaProの方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、iGradoの方がややすっきりした鳴らし方。どちらもノリが良いが、どちらかと言えばiGradoの方がおとなしい。響きはPortaProの方が豊か。弦楽器はPortaProの方が微細な表現までこなしてくれる感じで良い。金管楽器はPortaProの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はPortaProの方がうまい。どちらも低域の締まりが足りない点はマイナスだが、PortaProの方が明るく楽しめる。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、基本的にはPortaPro、PortaProでは聴き疲れや作ったような音が気になるときはiGrado。

K24P
K24Pの方が高音より。K24Pの方が線が細く鮮やかな高音を聴かせてくれる。分解能、音場感はほぼ互角だが、音の広がりはK24Pの方が良い。K24Pの方が若干エッジのきつい部分はあるが、原音に近い。明瞭さでもK24Pの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPortaProの方がやや上。K24Pの方が芯が通った硬めの音を鳴らす。どちらも響きが豊かだが、低域はPortaProの方が上、高域はK24Pの方が上といった感じ。音の立ち上がりやスピード感は互角だが、PortaProはさらに豊かな低音があるため、ノリの良さではK24Pはやや劣る。ソースによってはスカスカに聴こえてしまうだろう。弦楽器、金管楽器ともにK24Pの方が若干良い。ノリの良さ重視ならPortaPro、繊細さ重視ならK24Pといったところか。ただし、K24Pにしてもそれほど繊細と言うわけではないし、絶対的な見方をすればノリが良いとさえ言える。使い分けるならロックやポップスはPortaPro、ジャズやクラシックはK24Pだが、K24Pの方がオールマイティに使える。

KSC75
どちらもやや低音よりのドンシャリ。非常に良く似た音。低域はPortaProの方がやや量が多いが、質は良く似ている。中域は低域が弱い分KSC75の方が多少はっきり聴こえてくる感じ。中高域はほとんど同じ音だが、高域はPortaProの方が若干とがった音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等。エッジのきつさもほぼ互角だが、低域の量が多いことと高域のとがりのせいでPortaProの方が若干聴き疲れするかもしれない。明瞭さは低域が出ない分KSC75の方がやや上、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもほぼ互角。どちらもノリが良いが、最低限の繊細さは持ち合わせている点も良く似ている。単にノリの良さだけなら低域が出る分PortaProの方がやや良いか。響きはほぼ互角。やや柔らかめな音。弦楽器はどちらもそれなりに心地よいが、繊細さがやや足りない。PortaProは低域が出すぎだろう。金管楽器はどちらも力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現は低域の締まりのなさが合わない感はあるが、ノリの良さで乗り切っている。得意分野はどちらもロック。装着方法の違いだけで、音はほとんど同じなので、装着方法で使い分けるのが良いだろう。あえて音で使い分けるなら、低域の量が欲しいときはPortaPro、そうでもないときはKSC75。

MUSIC SERIES ONE
どちらも低音よりのドンシャリだが、PortaProの方が低音より。低音はPortaProの方が一段低い音で、量も出る。高音はMUSIC SERIES ONEの方が細く高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMUSIC SERIES ONEの方がやや上。MUSIC SERIES ONEの方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。厚みや密度はPortaProの方がやや上。温かみは低音が出る分PortaProの方がやや上か。ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。どちらもノリが良いが、単純にノリの良さだけならPortaProの方が上。PortaProは繊細さが足りないのに対してMUSIC SERIES ONEは繊細さも十分。響きはPortaProの方が豊か。MUSIC SERIES ONEの方が線の細い音で、曇りも感じない。弦楽器はMUSIC SERIES ONEの方が繊細で楽しめる。金管楽器はMUSIC SERIES ONEの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、MUSIC SERIES ONEでは線が細くてしかも低音が不足気味に感じる人もいるかもしれない。逆にPortaProは低音が出すぎな気もする。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、基本的にはMUSICSERIESONEを使い、線が細すぎるとか低音が足りないとかいう場合だけPortaProか。

PX100
PortaProの方がドンシャリ。低域、高域ともにPortaProの方が出る。その上ヴォーカル等の中域も凹んでいない。どちらも超低域まで出ているのは似ている。これは耳のせ開放型特有の抜けのよさから来ている模様。分解能はほぼ同等、音場感はPortaProの方がやや明確で良いと感じる。どちらもエッジがきつくなくかなり聴きやすいが、どちらかといえばPortaProの方が刺激的。明瞭さではややPortaProの方が上。PX100がぬるすぎると言う方が的確かもしれない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。PortaProの方がノリが良く、PX100の方が繊細。PX100だとスカスカに感じるソースでもPortaProだとそんなことはない。どちらも低域〜中域の響きは豊かだが、高域はPX100は豊かでPortaProはあっさり。弦楽器はPX100の方が表現がうまい。金管楽器はPortaProの方が鮮やかな音を鳴らしてくれるが、響きが欲しい場合にはPX100の方が良い。使い分けするなら、クラシックはPX100、それ以外はPortaProといった感じか。PX100は低域が支配的過ぎて相性のいいソースが限られてくる。


・PRO/4AA
ATH-SX1
どちらもかまぼこ。低域は全体的にATH-SX1の方が出る。中域〜高域はほぼ同量。分解能はほぼ互角だがATH-SX1の方が若干良いか。音場感はPRO/4AAの方が良い。ATH-SX1の方が原音忠実。PRO/4AAの方がしっかり芯の通った硬い音でしかもエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはATH-SX1の方がある。響きはATH-SX1の方が豊かだが、これはPRO/4AAがあっさりすぎと言うべきだろう。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてATH-SX1の方が上。何を聴くにしてもATH-SX1の方が良いような気がするが、PRO/4AAはちょっと他にはない音なので、気分転換に聴くのは楽しそうだ。

DR-631
どちらもかまぼこ。超低域はPRO/4AAの方が出るが、低域はDR-631の方が出る。高域は量はほぼ同量だが、PRO/4AAの方がやや高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はDR-631の方が上、音場感はPRO/4AAの方が上。PRO/4AAの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはPRO/4AAの方が上。厚み、密度はDR-631の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも微塵もない。どちらも極めてモニターライクな鳴らし方。響きはあっさり。。DR-631は低域がでないのにどこか曇っているような音だが、逆にPRO/4AAは曇りがなさ過ぎる感じ。弦楽器はDR-631の方が心地よい。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はどちらかと言えばDR-631の方がうまい。どちらも音楽鑑賞には向かない。モニター的な用途ならDR-631の方が良いだろう。

MDR-CD900ST
MDR-CD900STはフラット、PRO/4AAはかまぼこ。低域は圧倒的にMDR-CD900STの方が出るが、これはむしろPRO/4AAの低域が出なさ過ぎと言うべきだろう。高域はほぼ同量だが、様々な理由によりPRO/4AAの方が出るように感じられる。どちらもモニター用だが一聴して全然違う音調。分解能はほぼ互角だが、若干MDR-CD900STの方が良いか。音場感はPRO/4AAの方が良い。MDR-CD900STの方が原音忠実。どちらもかなり聴き疲れするが、エッジのきつさではMDR-CD900STの方が上。PRO/4AAは硬く芯が通り過ぎていて疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはPRO/4AAの方が良い。厚み、密度、情報量等はほぼ互角だが、かなり違う方向性なので、比較しないほうがいいかもしれない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-CD900STの方がある。PRO/4AAはよほどうがった聴き方をしない限り温かみやヴォーカルの艶っぽさはゼロと言って良い。響きはMDR-CD900STの方が圧倒的に豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてMDR-CD900STの方が上。使い分けは難しい。まったく違う音なので気分で変えるのが良いかもしれないが、基本的には何を聴くにしてもMDR-CD900STの方が良いだろう。

MV1
どちらも高音よりのかまぼこ。低域は曇っているような感じがあるためPRO/4AAの方が出るように感じるが、ほぼ同量。中域はどちらもうわずって突き刺さるようにはっきり聴こえてくる点は良く似ている。高域はMV1の方がやや高い音を鳴らす。分解能はほぼ互角。どちらも音の分離は良いが微細な表現が下手なところは似ている。音場感はMV1の方が上。原音忠実性はPRO/4AAの方が上。どちらもエッジはきつくないが、中域がキンキンと突き刺さってくるため疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさはMV1の方が上。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもほとんど感じられないが、どちらかと言えばPRO/4AAの方が良いようだ。どちらもある種モニターライクな鳴らし方。響きはどちらもあっさりだが、どちらかと言えばPRO/4AAの方が豊か。弦楽器はどちらもうまくない。硬く芯が通っていて心地よさがまったく感じられない。金管楽器はMV1の方がやや高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMV1の方がうまい。明るく切れがある。多少の違いはあるが、広い目で見ると似ている機種と言えよう。どちらか1台持っていれば十分な機種。

R/200
どちらもかまぼこ。PRO/4AAの方が低域も高域も出る。R/200はPRO/4AAをさらに腰高にしたような感じで、しかも高域が出ない。分解能はPRO/4AAの方が上、音場感はR/200の方が上。どちらもある意味原音とは程遠い音だが、まだPRO/4AAの方が原音の名残が感じられる。R/200の方がエッジがきつく、音が割れる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてPRO/4AAの方が上。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさは微塵もない。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはあっさり。古いラジカセに似たスカスカで曇っているような癖があるが、その癖の度合いはR/200の方が上。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPRO/4AAの方がうまい。正直言ってどちらも音楽鑑賞にはあまり使いたくない。

SE-MONITOR 10R
PRO/4AAはかまぼこ、SE-MONITOR 10Rはややドンシャリ。低域、高域ともにSE-MONITOR 10Rの方が出る。分解能、音場感ともにほぼ互角だが、若干SE-MONITOR 10Rの方が良いか。原音忠実性はどちらもモニター用にしてはいまいちだが、まだSE-MONITOR 10Rの方が良い。エッジのきつさはほぼ互角、どちらもエッジと言うより芯が通り過ぎていて聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角だが、音の鮮やかさはSE-MONITOR 10Rの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-MONITOR 10Rの方がかなりある。SE-MONITOR 10Rの方がノリの良く、音楽鑑賞向き。響きはどちらもかなりあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてSE-MONITOR 10Rの方が上。何を聴くにしてもSE-MONITOR 10Rの方が良いと思われるが、PRO/4AAには独特の魅力があるのも確か。

UR/40
PRO/4AAはかまぼこ、UR/40はドンシャリ。低域はPRO/4AAは全然足りないが、UR/40は十分。中高域〜高域はPRO/4AAの方が出るが、超高域はほぼ同等。分解能や原音忠実性はPRO/4AAの方が上、音場感はUR/40の方が上。エッジはUR/40の方がきついのだが、PRO/4AAの方がキンキンしてかなり疲れる。明瞭さは低音が出ない分PRO/4AAの方が上だが、音の鮮やかさはUR/40の方が上。厚みはPRO/4AAの方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはUR/40の方がかなり上。UR/40の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもあっさりだが、どちらかと言えばUR/40の方が豊か。どちらもある意味シャープな音だが、それでいてここまで違う音になるのも凄い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてUR/40の方がうまい。弦楽器は伸びが良く繊細で楽しめる。金管楽器は非常に高く鮮やかな音。打ち込み系の音はやや力感に欠けるが、それ以上にスピード感があり楽しめる。何を聴くにしてもUR/40の方が魅力的。PRO/4AAは何を聴いてもスカスカ、キンキンした音になる。


・PROline2500
DT880
PROline2500の方が低音より。超低域、低域ともPROline2500の方が出る。PROline2500は厚み・量ともに十分、DT880は厚み・量ともに必要量は出るがそれほどでもない。高音はどちらもしっかり出るのだが、ややDT880の方が強い。分解能はDT880の方がやや良く、音場感はPROline2500の方がやや良い。原音に近いのはDT880。DT880は全音域に渡りかなり原音に近いが、PROline2500は逆に全音域にわたりかなり味付けされている。どちらもエッジがきつめだが、DT880の方がおとなしい。PROline2500はサ行の音がかなり痛いが、DT880はそんなことはない。高音よりであることもあり、DT880の方が明瞭に感じる。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方が上だが、むしろPROline2500は暑苦しく、DT880は程よい温かさに感じる人も多いかもしれない。PROline2500は非常にノリが良く、DT880は程よいノリの良さという感じ。響きはPROline2500はかなり豊か、DT880は適度。弦楽器、金管楽器ともにDT880の方がやや上の表現力。使い分けるならジャズやクラシックはDT880、ポップスやロックはPROline2500になる。

DT990PRO
どちらもドンシャリ。低域は質・量ともにかなり似ており、比較が難しいが、どちらかと言えばPROline2500の方がやや低い音を鳴らすように感じる。高域も意外と似ているが、DT990PROの方がやや細く、量も多い。分解能はほぼ互角。音場感はPROline2500の方が癖があるものの良い。原音忠実性はDT990PROの方が上。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、PROline2500の方が多少疲れないか。この辺はソースによっても差が出そう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはPROline2500の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT990PROの方がやや上。どちらもかなりノリが良いが、繊細さも持ち合わせている点はよく似ている。響きはPROline2500の方がやや豊か。弦楽器はDT990PROの方が線が細くしかも心地よい。金管楽器はどちらも非常に鮮やかだが、DT990PROの方がやや高い音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はPROline2500の方がややうまい。DT990PROは線が細く音が割れたりするのが気になる。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT990PRO、ポップスやロックはPROline2500。ただし、音の厚みや線の細さという点でもかなりの差があるため、安直にジャンルで使い分けるべきではないようにも思う。

HFI-2200ULE
基本的にかなり近い音。どちらもドンシャリだが、HFI-2200ULEの方がややフラット。どちらも低域は超低域まで出る上厚みも十分だが、PROline2500の方が若干低い音を鳴らす。特に差があるのは超低域だが、中域に至るまでPROline2500の方がやや低めの音を鳴らす。中域はHFI-2200ULEの方がしっかり聴こえてくる。中高域〜超高域はPROline2500の方が若干大きめ。ややシャリつくものの非常に良く聴こえてくる。分解能はPROline2500の方がやや上、音場感はほぼ同等、原音忠実性はHFI-2200ULEの方がやや上。PROline2500の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。サ行の音等も痛い。明瞭さはHFI-2200ULEの方が若干上。どちらも非常に鮮やかで厚みのある音だが、鮮やかさにしろ厚みにしろPROline2500の方がやや上。温かみはPROine2500の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っている。響きはどちらも豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現はすべてほぼ同等。何でも鮮やかに瑞々しく鳴らしてくれる。どちらも魅力的だが、刺激を求めるならPROline2500、癖のなさを求めるならHFI-2200ULE。使い分けは好み次第だろうが、個人的にはジャズとロックはPROline2500、クラシックとポップスはHFI-2200ULEの方が好み。

HP1000
PROline2500の方がドンシャリ。低域の厚みにしろ、高域の量にしろ勝っている。PROline2500の高域は癖があり、非常に金属的な音だが、HP1000はかなり自然。分解能、音場感ともにPROline2500の方がやや良い。原音に近いのはHP1000だが、PROline2500の方が音に生っぽさがあり、実体感では負けていない。どちらもエッジがややきつめで刺激的だが、刺激と言う意味ではPROline2500の方が上。明瞭さはほぼ互角。PROline2500は低域がかなり出る分高域も出るのに比べて、HP1000は低域が薄めで高域もそれほど出ていない。音そのものの鮮明さではPROline2500の方が上だが、全体的にはバランスの良いHP1000も負けていない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、PROline2500はサ行の音等がかなり痛いのに比べてHP1000はそれほどでもない。ノリの良さならPROline2500、繊細さならHP1000だが、HP1000にしてもそれほど繊細と言うわけではない。響きはPROline2500の方がかなり豊か。弦楽器はPROline2500の方が芯の通った生っぽい音だが、HP1000の方が流麗で美しい。金管楽器はPROline2500の方が良い。どちらも打ち込み系よりは生楽器の方が得意だろう。この2機種は聴く音楽のジャンルによって使い分けると言うよりも、どの程度の刺激を求めるかで使い分けるほうがいいように思える。どちらも刺激的ではあるのだが、最高レベルの刺激はPROline2500、ほどほどの刺激はHP1000といった感じ。

iCans
どちらもドンシャリ。全体的に見てかなり似た傾向の音。低域の量はiCansの方が若干出るようだが、PROline2500の方が若干低い音を鳴らすように感じる。中域はiCansの方がはっきり聴こえてくるが、これはうわずっていて癖がある点が大きいだろう。高域の鳴らし方はかなり似ているが、量はiCansの方がやや多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてPROline2500の方が上。特に原音の実体感は雲泥の差。どちらもややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは中域から高域が強い分iCansの方が上。音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方が上。どちらもノリが良いが、PROline2500の方が圧力がある感じ。響きはほぼ同等。弦楽器はPROline2500の方が繊細で心地よい。金管楽器はかなり似た鳴らし方だが、iCansの方がチープ。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではない。この点は同レベルと見てよいだろう。ほとんど何を聴くにしてもPROline2500の方が上。iCansはPROline2500の小型・軽量版という印象。

MDR-SA5000
MDR-SA5000はやや高音より、PROline2500はややドンシャリ。低域はPROline2500の方が圧倒的に低い音を鳴らすし、量も多い。中域はMDR-SA5000の方が低域に邪魔されずにはっきり前に出て聴こえてくる。高域はかなり違う音なので一概には言えないが、どちらかと言えばPROline2500の方が高い音で太い。分解能はMDR-SA5000の方が上。特に音の分離はかなり差がある。ただ、MDR-SA5000は微細な表現が殺ぎ落としたように味気なくなるのに対して、PROline2500はかなり過剰な味が感じられる。音場感はどちらも非常に良い。MDR-SA5000が高くから見下ろすように把握しやすいのに対して、PROline2500は広く臨場感がある。原音忠実性はMDR-SA5000の方が上。PROline2500は癖がありすぎる。PROline2500の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはMDR-SA5000の方が良いが、音の鮮やかさはPROline2500の方が上。厚みはPROilne2500の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方が上。PROline2500が非常にノリが良いのに対して、MDR-SA5000は冷静である種モニター的。響きはPROline2500の方が豊か。弦楽器はウォームな感じを楽しみたいならPROline2500、シャープに澄んだ感じを楽しみたいならMDR-SA5000。金管楽器はPROline2500の方が高く力強い鳴らし方だが、癖がある。打ち込み系の音の表現は、質感的にはMDR-SA5000の方が相性が良いが、いかんせん低域が不足しすぎ。単に楽しみたいならPROline2500の方が良いだろう。使い分けるなら、付帯音のなさやシャープさを求めるならMDR-SA5000、低域の量感や音の厚みを求めるならPROline2500。

PROline750
基本的に非常に近い音調。密閉型と開放型という違いがあるとは思えないほど。どちらもややドンシャリだが、PROline2500の方が若干低音より。どちらも低域は超低域まで出る上厚みも十分だが、PROline2500の方が若干出る。特に差があるのは超低域だが、中域に至るまでPROline2500の方がやや低めの音を鳴らす。中高域〜超高域はPROline750の方が若干大きめ。ややシャリつくものの非常に良く聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性、エッジのきつさはすべてほぼ互角。明瞭さはPROline750の方が若干上。どちらも非常に鮮やかで厚みのある音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方がやや上。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っている。響きは豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現はすべてほぼ同等。何でも鮮やかに瑞々しく鳴らしてくれる。どちらも魅力的だが、非常に似ているため、どちらか1台持っていれば十分の機種。

SE-A1000
どちらもドンシャリで、開放型とは思えないほど低音が豊か。どちらも超低域まで出るが、全体的にPROline2500の方が若干大きめ。高域は若干PROline2500の方が出る。分解能、音場感はPROline2500の方がやや良い。どちらも原音忠実性より如何に楽しく聴かせるかを狙った音作り。PROline2500の方がエッジがきつくサ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みや密度はPROline2500の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを両立させている。響きはPROline2500の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器いずれもPROline2500の方が若干良いように感じる。SE-A1000も悪くはないが、ソースによっては安っぽくなってしまう。打ち込み系の音の表現は若干PROline2500の方がうまい。SE-A1000は独特のサラサラした感じが魅力なのに対して、PROline2500は厚みのある濃い音が魅力。どちらもかなりオールマイティーだが、あえて得意分野を挙げるならポップス。使い分けるなら、ジャンルで分けるよりも気分で使い分けたほうが良さそう。


・PROline750
ATH-W1000
ATH-W1000はやや高音より、PROline750はドンシャリ。低域は全体的にPROline750の方が出る。高域はほぼ同量だが、どちらもやや癖があるのでソースによってかなり違ってくるようだ。ATH-W1000の方が細く硬く澄んだ音。分解能や原音忠実性はATH-W1000の方が上。音場感はPROline750の方が上。PROline750の方が聴き疲れする。明瞭さはATH-W1000の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みや温かみはPROline750の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さならPROline750、繊細さならATH-W1000。響きはPROline750の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにATH-W1000の方が自然で澄んでいる。ただ、低域は滑らかで心地よいもののやや少ないため、その部分はPROline750の方が良い。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなり。基本的にはATH-W1000の方が良いように感じるが、低域と音の厚みでPROline750の方がノリ良く楽しめるのは確か。ただ、PROline750はどうしてもウォームさがある分、相性が悪い。使い分けるならクラシックやジャズはATH-W1000、ポップスやロックはPROline750。

DJ1 PRO
非常に良く似ている。どちらもややドンシャリ。若干DJ1 PROの方が高音よりに感じるが、違いは微妙。分解能、音場感、原音忠実性はほぼ互角。どちらもややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは若干DJ1 PROの方が上、音の鮮やかさ、厚み、密度はほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPROline750の方が若干良い。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っているが、若干DJ1 PROの方がスピード感があるように感じる。響きはどちらも豊かで、ほぼ互角。DJ1 PROの方が濁りがなく澄んでいる一方、PROline750の方がウォームで人間味がある。弦楽器、金管楽器はPROline750の方が若干うまい。打ち込み系の音の表現はDJ1 PROの方がうまい。どちらもかなりオールマイティーだが、あえて使い分けるならポップス・ロックはDJ1 PRO、それ以外はPROline750か。

DT770PRO
どちらもドンシャリ。両機種とも高域・低域ともに癖がありどちらが量的に上かは判別しにくい。高域はDT770PROの方が細い音で一段高く聴こえる。低域はPROline750の方が超低域まで出ており、しかも粘りがある感じがする。PROline750の方が全体的に低音よりなのかもしれない。分解能、音場感ともにPROline750の方が良好。原音忠実性はDT770PROの方が上。どちらもエッジがややきつめで聴き疲れしやすいが、PROline750の方がおとなしい。特にヴォーカルのツの音等は、ソースによってはDT770PROの方がかなり痛い。明瞭さはDT770PROの方がやや上だが、音の厚みと鮮やかさではPROline750の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPROline750の方が上だが、DT770PROも十分だと感じる。どちもノリが良いが、PROline750の方がノリが良く、DT770PROの方が繊細。響きはどちらも適度だが、DT770PROの方がややあっさり気味か。弦楽器はPROline750の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はDT770PROの方が一段高く繊細な音を聴かせてくれる。打ち込み系の音とはPROline750の方が相性が良い。得意分野はPROline750はオールマイティ、DT770PROはジャズやブラスメインのオーケストラ等。使い分けするならDT770PROがジャズやブラスメインのオーケストラ、PROline750でそれ以外という感じ。

edition7
どちらもややドンシャリだが、edition7の方がフラット。低域はPROline750の方が一段低めの音を鳴らすが、中域付近はedition7の方が出るため、楽器によってはedition7の方が豊かな低域に感じることがある。中域はedition7の方がかなりはっきり聞こえてくる。高域はPROline750の方がやや高いが、粗もある。分解能及び原音忠実性はedition7の方がかなり良い。純粋な音場感はそれほど違いが無いように感じるが、定位の良さと一つ一つの音をしっかり描き分ける力がedition7の方が上なので、必然的に音場感もedition7の方が良いように感じがち。PROline750の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてedition7の方が上。edition7の方がノリが良くしかも繊細。ただ、いわゆる重低音はPROline750の方が出るため、人によってはPROline750の方がノリが良いように感じるかもしれない。響きはPROline750の方がやや豊かだが、PROline750と違ってedition7は残響音の最後の一粒まで聴き取ることができるため、edition7の方が響きが豊かなのではないかと感じることもある。弦楽器はedition7の方が原音に近くしかも心地よい。金管楽器はPROline750の方が高く派手だが、edition7の方が力強くしっかりした鳴らし方。打ち込み系の音の表現は、変な付帯音がないためかedition7の方がうまいように感じる。ほとんど何を聴くにしてもedition7の方が良いように感じる。

MDR-CD3000
MDR-CD3000はフラット、PROline750はドンシャリ。超低域はどちらも若干弱めだがMDR-CD3000の方が出る。厚みはPROline750の方がかなりある。高域は若干PROline750の方が出る。分解能や原音忠実性はMDR-CD3000の方がやや良い。音場感はPROline750の方が良い。PROline750の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはPROline750の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさは好みが分かれるところだろう。MDR-CD3000の方が癖がないことは確か。MDR-CD3000はモニター的な冷静さがあるが、PROline750は元気が良く明るい。弦楽器、金管楽器ともに原音忠実を求めるならMDR-CD3000の方が良いが、PROline750にはMDR-CD3000にはない魅力があるのも確か。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、PROline750の方が楽しめる。毛色は違うが、どちらも別の意味でかなりオールマイティー。ジャンルごとに使い分けるのではなく、基本はMDR-CD3000で、刺激が足りないときや飽きたときはPROline750を使うのが良さそう。

PROline2500
基本的に非常に近い音調。密閉型と開放型という違いがあるとは思えないほど。どちらもややドンシャリだが、PROline2500の方が若干低音より。どちらも低域は超低域まで出る上厚みも十分だが、PROline2500の方が若干出る。特に差があるのは超低域だが、中域に至るまでPROline2500の方がやや低めの音を鳴らす。中高域〜超高域はPROline750の方が若干大きめ。ややシャリつくものの非常に良く聴こえてくる。分解能、音場感、原音忠実性、エッジのきつさはすべてほぼ互角。明瞭さはPROline750の方が若干上。どちらも非常に鮮やかで厚みのある音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPROline2500の方がやや上。どちらもノリの良さと繊細さを併せ持っている。響きは豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現はすべてほぼ同等。何でも鮮やかに瑞々しく鳴らしてくれる。どちらも魅力的だが、非常に似ているため、どちらか1台持っていれば十分の機種。


・PX10
MDR-A35SL
MDR-A35SLははやや低音より、PX10はやや高音より。低域はMDR-A35SLの方が量が多くぼやけている。PX10の方がタイトですっきりした鳴らし方。中域はPX10の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPX10の方が高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はPX10の方がやや上。音場感はほぼ互角。PX10の方がややエッジがきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはPX10の方が上。厚みは質感の違いはあるものの基本的にMDR-A35SLの方があるように感じられる。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはPX10の方がやや上。両機種ともどちらかと言えばノリが良い傾向だが、MDR-A35SLは低域で押す感じ、PX10は軽快でパンチのある感じ。響きはMDR-A35SLの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角の表現だが、低域の量がある分MDR-A35SLの方がやや良いように感じることもある。金管楽器はPX10の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は基本的にはPX10の方がうまいが、やや低音の量が不足に感じることもある。その場合にはMDR-A35SLの方が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはPX10、低音の量重視ならMDR-A35SL。

P9
P9はかなりフラット、PX10はやや高音より。低域は大きな差はないが、P9の方が締まっていてやや低い音を鳴らす。中域はP9の方が低域に邪魔されない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域は量よりも質が違う感じ。P9の方が硬く金属的。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角レベルだが、音場感はどちらかと言えばP9、原音忠実性はどちらかと言えばPX10の方が上のように感じる。P9の方が若干エッジがきつく、元気な鳴らし方なので聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはP9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかと言えばPX10の方が良いように感じる。ノリの良さならP9、繊細さならPX10。響きはP9の方がやや豊か。弦楽器はPX10の方が繊細で滑らかな感じ。金管楽器はP9の方が鮮やかで元気が良い鳴らし方で楽しめる。打ち込み系の音の表現はP9の方がうまい。厚みや切れで勝っている。使い分けるなら、明るく元気に楽しみたいならP9、あくまで自然に聴きたいならPX10。

SX10
PX10はやや高音より、SX10はやや低音より。低域はSX10の方が量が多くぼやけている。中域はPX10の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPX10の方が高い音で量も多い。分解能及び原音忠実性はPX10の方が上。音場感はほぼ同等。PX10の方がエッジがきついが、SX10の方が圧力のある鳴らし方で、どちらか聴き疲れしやすいかはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはPX10の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しいが、基本的にはSX10の方があるように感じられる。温かみは低域の量が多い分SX10の方があるように感じがちだが、その点を除けばあまり差はない。ヴォーカルの艶っぽさはPX10の方が上。ノリの良さならSX10、繊細さならPX10。響きはSX10の方がやや豊か。弦楽器はPX10の方が繊細でうまい。金管楽器はPX10の方が高い音で楽しめる。打ち込み系の音の表現はPX10の方がうまいが、低域が不足に感じることもある。使い分けるなら、基本的にはPX10、余程低域の量が欲しいときだけSX10。


・PX100
AU-618
AU-618はややかまぼこ、PX100は低音より。低域も高域もPX100の方が出る。特に低域の量は段違い。AU-618と比べるとPX100がドンシャリに感じられるほど。そうは言っても、量だけでなく質も上なので、PX100が痛いようには感じない。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX100の方が上。どちらも聴き疲れしない。低域が出ない分、明瞭さはややAU-618の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはPX100の方が上。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPX100の方が上。特に密度は段違い。PX100の方がノリが良くしかも繊細。響きはPX100の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPX100の方が上。得意分野はAU-618がポップス、PX100がクラシック。ほとんど何を聴くにしてもPX100の方が良いように感じる。コストパフォーマンスはAU-618の方が良いが。

HFI-15G
どちらも低音よりだが、PX100の方がやや高音より。超低域はHFI-15Gの方が出る上、高域〜超高域はPX100の方が出る。分解能はPX100の方が若干上、音場感はHFI-15Gの方が良い。どちらも低音が出すぎで原音忠実性はいまいちに感じるが、低音過多を除けばどちらもそれなりに原音に近い。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、PX100はソースによってはサ行の音が痛く感じる。明瞭さや音の鮮やかさはどちらもいまいちだが、PX100の方がやや良い。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良く、互角。どちらもノリが良いというよりは繊細で、繊細さという意味ではPX100の方が上手。響きは豊かだが、耳のせ開放型なので音の抜けが良くそれほど不快ではない。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よく楽しめる。その反面、金管楽器は鮮やかさが足りずいまいち。特にHFI-15Gはまったく鮮やかさがない。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、PX100の方がまだ楽しめる。得意分野はどちらもクラシック(弦楽器)。かなり似ているのでどちらか片方持っていれば十分の機種。基本的には何を聴くにもPX100の方が良いように思うが、HFI-15Gは耳のせ開放型としてはトップレベルの音場感を持っているのは確か。

K24P
PX100の方が低音より。ただし、低域はどちらも超低域まで延びていて、厚みはそれほどでもない。ただし、PX100は量が凄い。中域〜高域はK24Pの方が圧倒的に出る。分解能はK24Pの方が良い。音場感はほぼ同じ。K24Pの方がエッジがややきついがどちらもそれほど聴き疲れしないレベル。原音忠実性はK24Pの方がやや上か。K24Pの方が繊細でしかも明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が若干良い。どちらも響きが豊かでありながら、音の抜けも良いので、あまり不自然な響きにはなっていない。弦楽器はほぼ互角。どちらもなかなか音の伸びが良く、繊細さと温かみを保っている。PX100の方が低音よりで腰の据わった音を鳴らす。K24Pはややうわずり気味。金管楽器はK24Pの方がやや良いが、PX100も低音よりのわりにはなかなか鮮やかな音を聴かせてくれる。全体的にはK24Pの方がやや上をいっており、コストパフォーマンスを考えるとK24Pは素晴らしい機種と言える。得意分野はどちらもクラシックだと感じたが、K24Pはポップスもノリ良く鳴らしてくれる。逆に、PX100は低音が出すぎで生ぬるいためあまり合わない。しっとり系の女性ヴォーカルならPX100の方が向いていると思う。

PortaPro
PortaProの方がドンシャリ。低域、高域ともにPortaProの方が出る。その上ヴォーカル等の中域も凹んでいない。どちらも超低域まで出ているのは似ている。これは耳のせ開放型特有の抜けのよさから来ている模様。分解能はほぼ同等、音場感はPortaProの方がやや明確で良いと感じる。どちらもエッジがきつくなくかなり聴きやすいが、どちらかといえばPortaProの方が刺激的。明瞭さではややPortaProの方が上。PX100がぬるすぎると言う方が的確かもしれない。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。PortaProの方がノリが良く、PX100の方が繊細。PX100だとスカスカに感じるソースでもPortaProだとそんなことはない。どちらも低域〜中域の響きは豊かだが、高域はPX100は豊かでPortaProはあっさり。弦楽器はPX100の方が表現がうまい。金管楽器はPortaProの方が鮮やかな音を鳴らしてくれるが、響きが欲しい場合にはPX100の方が良い。使い分けするなら、クラシックはPX100、それ以外はPortaProといった感じか。PX100は低域が支配的過ぎて相性のいいソースが限られてくる。

SD-2900CD
どちらも低音より。低域、高域ともにPX100の方がやや強い。PX100の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX100の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく、聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPX100の方が上。PX100の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもやや豊か。SD-2900CDは低音がそれほど強いわけでもないのに曇りが非常に気になるが、PX100は低音よりのわりにはそれほど気にならない。PX100の方が圧倒的に力強く繊細。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPX100の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもPX100の方が良いように感じる。

Z headphones
どちらも低音よりだが、Z headphonesの方が低音より。密閉型のようなこもり感があり中域以下はすべてその低域に飲み込まれる。PX100は低音はしっかり抜けるし、中高域もそれなりに聴こえる。分解能、音場感ともにPX100の方が良好。どちらもそれほど原音に近いわけではないが、PX100はそれなりに原音に近い、Z headphonesはまったく原音に近くない。意図的に味付けしたとは思えない無茶苦茶な音。どちらもあまり明瞭ではないが、低域がまったくないソースではZ headphones、それ以外ではPX100の方が明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはPX100の方が圧倒的に良い。ノリの良さはZ headphonesの方が良いが、それでもかすんだような音であまりノリが良いとは言えない。響きはPX100の方が圧倒的に豊か。弦楽器、金管楽器いずれもPX100の方が良い。Z headphonesはまったく自然さがないため、生楽器は全般的に向かない。使い分けるならポップスとロックをノリ良く聴きたいならZ headphones、それ以外はPX100。


・PX200
ATH-ON3
ATH-ON3は高音よりのかまぼこ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はPX200の方がやや低い音で量も多い。中域はATH-ON3の方が低域に邪魔されない上、嫌味のある音ではっきり聴こえてくる。高域はATH-ON3の方がやや高い音で量も多い。この2機種を見比べた場合、ATH-ON3の方が高音よりと言えるだろう。分解能はほぼ同レベルだが、一つ一つの音の微細な描写はPX200の方がやや良いように感じられる。音場感はほぼ同レベル。原音忠実性はPX200の方が上。PX200の方が周波数特性上の癖が小さい。ATH-ON3の方がややエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはPX200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が上。PX200の方が繊細。響きはPX200の方がやや豊か。弦楽器はPX200の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はATH-ON3の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、音の質感はATH-ON3の方が合うが、あまりに低域が出ないのでPX200の方が普通に聴ける感じ。使い分けるなら、明るさや高域の質・量を求めるならATH-ON3、繊細さや低域の質・量を求めるならPX200。

HD25-1
HD25-1はややドンシャリ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はHD25-1の方がかなり出る。中域はどちらも低域に埋もれたりはしないが、PX200の方がやや目立つ。高域は、量にはそれほど違いを感じないが、HD25-1の方がやや高い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてHD25-1の方が上。特に音場はHD25-1の方が立体的で明確。音の実体感も段違い。エッジのきつさはほぼ同等だが、HD25-1の方が音に圧力があり聴き疲れする。明瞭さは低域が弱いことと線が細いことからPX200の方がやや上のように感じる。音の鮮やかさはHD25-1の方が上。厚みや密度はHD25-1の方がかなり上。温かみは低域がしっかり出る分HD25-1の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらかと言えばHD25-1の方が上。HD25-1の方がかなりノリが良い。PX200の方が線が細いのだが、密度が薄く粗も感じられるため、総合的な繊細さと言う意味ではHD25-1の方が良いように感じる。ただし、HD25-1単体で見るなら繊細ではなく圧倒的にノリの良さが全面に出てくる。響きはPX200の方が豊か。弦楽器はHD25-1の方が濃密で心地よい。金管楽器はHD25-1の方が鮮やかかつ力強い。打ち込み系の音の表現はHD25-1の方がかなりうまい。低域で質・量ともに勝っているし、厚みや圧力も素晴らしい。得意分野はHD25-1はロック、PX200はクラシック。使い分けるなら、基本的にはHD25-1、HD25-1では低域が多すぎる場合や音の圧力を嫌う場合にはPX200。

HP430
HP430はややかまぼこ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はHP430の方が多い。中域はPX200の方が曇りなくはっきり聴こえる。高域は、音の高さはそれほど差がないが、PX200の方が量が多い。分解能及び原音忠実性はPX200の方が上。音場感はHP430の方がやや上。エッジはPX200の方が若干きつい。明瞭さ、音の鮮やかさはPX200の方が上。厚みはHP430の方があるように感じるが、大きな差はない。温かみはどちらかと言えばHP430の方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が上。PX200の方が繊細。響きはHP430の方がやや豊か。意外と似た音を鳴らす2機種だが、PX200の方が低域が控え目で全音域に渡って曇りがなく、線が細い点が異なる。弦楽器はPX200の方が繊細だが、低域が不足な点が不満。金管楽器はPX200の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもいまひとつ。HP430は明るさがないし、PX200は低域が不足で線が細い。得意分野はHP430はポップス、PX200はクラシック。使い分けるなら、低域が欲しいときはHP430、曇りを避けたいときにはPX200。

K27i
K27iは低音よりのドンシャリ、PX200はやや高音よりのかまぼこ。低域はK27iの方がかなり多い。中域はK27iが低域の量に負けるだけでなくやや低めの音を鳴らすのに対して、PX200は低域に負けることも低めの音を鳴らすこともない。高域は量はPX200の方が多いが、音の高さは判断が難しい。ただ、質感はK27iの方が金属的。分解能及び原音忠実性はPX200の方が上。音場感はほぼ互角。エッジのきつさはほぼ互角だが、K27iの方が低域の量が多くてこもり感が気になる上、音に圧力があるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはPX200の方が上。厚みはK27iの方が上。温かみは低域が出る分K27iの方が若干感じられるが、ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が良いように感じられる。ノリの良さならK27i、繊細さならPX200。響きは、低域はK27iの方が豊か、高域はPX200の方が豊か。この2機種の大きな違いは、低域の量と音の圧力だろう。K27iはこれらがやや過剰なくらいだが、PX200ではやや足りないように感じられる。弦楽器はPX200の方が繊細で基本的にはうまいが、低域の量感が欲しいときだけはK27iの方が良いだろう。金管楽器はK27iの方が力強い一方、PX200の鳴らし方も上品でありながらなかなか楽しめる。打ち込み系の音の表現はK27iの方がうまい。これは低域の量感と音の太さが決定的な差になっている。得意分野はK27iはロック、PX200はクラシック。使い分けるなら、ポップスやロックはK27i、クラシックやジャズはPX200。もしくは、低域が欲しい場合はK27i、それほどでもない場合はPX200という使い分けもありだろう。

ST-90
PX200はやや高音よりのかまぼこ、ST-90はかまぼこ。低域はST-90の方が曇っていて量が多いように感じるが、その点を除いた実質としてはほぼ同量に感じる。中域はPX200の方が曇りに覆われず高い音ではっきり聴こえてくる。高域はPX200の方が高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX200の方が上。PX200の方がエッジがきついが、ST-90は曇りで疲れる面があるため、総合的にどちらが疲れるかはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはPX200の方がかなり上。厚みは質感が違うので判断に困るが、そう大きな差はない。ただ、PX200の方が分解能の高さや明瞭さのせいでスカスカに感じることはある。温かみは曇りがある分ST-90の方が良いように感じがちだが、良く聴いてみると実際はむしろPX200の方が温かみがあるように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはPX200の方が上。PX200の方がノリが良くかつ繊細。ST-90は暗く地味で何となく鳴らしているだけに感じる。響きは曇りのせいで一聴してST-90の方が豊かに感じがちだが、しっかり聴くとPX200の方が豊か。弦楽器はPX200の方が繊細で楽しめる。ST-90は生楽器を鳴らしている感じがしない。金管楽器はPX200の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はPX200の方がうまい。ST-90は暗く、聴いていて全然楽しめない。使い分けるなら、基本的にはPX200、よほど派手さやスカスカした感じを嫌うならST-90。


・R/200
dj1001
どちらもかまぼこだが、dj1001の方がフラット。低域はdj1001の方が全体的に出るし、高域はR/200の方が一段高い音だが量はdj1001の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてdj1001の方が上。R/200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてdj1001の方が上。dj1001の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてdj1001の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもdj1001の方が良い。

K501
K501は高音より、R/200はかまぼこ。低域はどちらも不足気味なのは似ているが、質感等はかなり違う。K501はローエンドが弱く厚みはそれなりにある硬い感じの低域だが、R/200は厚みが薄く柔らかい低域。中域から中高域はR/200の方がはっきり聴こえてくるが、これは非常に癖の強い上ずった音を鳴らすため。高域はK501の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてK501の方がかなり上。R/200の方が中域がキンキンした音で、しかも音割れするため、非常に聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてK501の方が上。K501の方がノリが良くかつ繊細。響きはR/200の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK501の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもK501の方が良いだろう。

PRO/4AA
どちらもかまぼこ。PRO/4AAの方が低域も高域も出る。R/200はPRO/4AAをさらに腰高にしたような感じで、しかも高域が出ない。分解能はPRO/4AAの方が上、音場感はR/200の方が上。どちらもある意味原音とは程遠い音だが、まだPRO/4AAの方が原音の名残が感じられる。R/200の方がエッジがきつく、音が割れる感じで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてPRO/4AAの方が上。どちらも温かみやヴォーカルの艶っぽさは微塵もない。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはあっさり。古いラジカセに似たスカスカで曇っているような癖があるが、その癖の度合いはR/200の方が上。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPRO/4AAの方がうまい。正直言ってどちらも音楽鑑賞にはあまり使いたくない。

UR/29
どちらもかまぼこだが、UR/29の方が低音より。低域はややUR/29の方がやや強い。R/200は中高域が非常に強いため、バランスが悪く感じる。高域はR/200の方が一段高い音。分解能、音場感はR/200の方が上。原音忠実性はUR/29の方がかなり上。R/200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはR/200の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはUR/29の方が上。UR/29の方がノリが良い。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてUR/29の方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもUR/29の方が良いのだが、分解能や音場感といった基本的な能力はR/200の方が上。R/200はとにかくスカスカでしかもエッジがきつく音が割れるため、聴いていられない。


・RH-200
CPH7000
CPH7000はややかまぼこ、RH-200は低音よりのドンシャリ。低域はRH-200の方がかなり量が多い。中域はCPH7000の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。中高域はCPH7000の方がしっかり出るが、高域はRH-200の方が細く尖った音を鳴らす。分解能はCPH7000の方がやや上。特に音の分離は差がある。音場感はCPH7000の方がやや上。RH-200は耳の近くで音が鳴っているのが気になるが、CPH7000は多少の空間を感じることが出来る。原音忠実性はCPH7000の方が上。RH-200はとにかく低域が出すぎ。RH-200の方がエッジがきつい上、低域の量が多くこもり感が気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはCPH7000の方が上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-200の方が上。RH-200の方がかなりノリが良い。CPH7000はRH-200と比べるとモニター的な冷静さがある。響きはRH-200の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はどちらもいまひとつといった感じだが、RH-200の方が低域の量が出ることから多少表現の幅は広いようだ。金管楽器はCPH7000の方がかなり鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、音の質感そのものはCPH7000の方が相性が良いが、低域の量が不足に感じる。逆に、RH-200は低域の量が多すぎるように感じる。使い分けるなら、低域が不要ならCPH7000、必要ならRH-200。

RH-300
RH-200は低音よりのドンシャリ、RH-300はややドンシャリ。低域はRH-200の方がかなり量が多い。中域はRH-300の方が低域に邪魔されずに聴こえるし、癖がない。中高域はRH-300の方が量が多く目立つが、高域はRH-200に癖があり比較しずらい。分解能、音場感、原音忠実性すべてRH-300の方がやや上。RH-200は低域が出すぎてこもり感が気になるし、耳の近くで音が鳴るのもマイナス。その点、RH-300はかなりフラットで耳の近くで音を鳴らすということもない。エッジのきつさはほぼ互角だが、RH-200の方が低域が多くこもり感がひどいため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-300の方がかなり上。厚みは低域の量感が豊かなせいでRH-200の方があるように感じがちだが、基本的にはほぼ互角。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方がやや上。RH-200の方が低域でごり押しするようなノリの良さがあり繊細さは感じられないのに対して、RH-300は音の立ち上がりや切れに基づくノリノリの良さがある。その上、繊細さもあるし、モニター的な冷静さも備えている。響きはRH-200の方が豊か。弦楽器はどちらもそれなり。RH-200が豊かな低域を楽しめるのに対して、RH-300は癖のない音。金管楽器はRH-300の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はRH-300の方がうまい。RH-200の方が低域の量が多くある種の迫力はあるが、音そのものの相性やバランスはRH-300の方が上。得意分野はRH-200はロック、RH-300はポップス。使い分けるなら、基本的にはRH-300、余程低域の量が欲しいときだけRH-200。

RP-DH1200
RH-200は低音よりのドンシャリ、RP-DH1200は低音より。低域の量はRP-DH1200の方が多いが、RH-200の方がやや低い音を鳴らす。中域はRH-200の方がはっきり聴こえてくるし変な癖もない。RP-DH1200は低域の曇りがかなり気になる。高域はRH-200の方が細く硬く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてRH-200の方が上。RH-200の方がエッジがきついが、RP-DH1200は低域が出すぎで疲れるので、総合的な聴き疲れはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-200の方が上。厚みはRP-DH1200の方が上。低域の量が出るだけで、温かみはどちらもあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはRH-200の方が上。どちらもノリが良いが、RP-DH1200は低域の量だけなのに対して、RH-200はそんなことはない。響きはどちらもやや豊か。低域はRP-DH1200、高域はRH-200の方が響きが豊かに感じるが、これは量の差に影響されていると思われる。こもり感はRP-DH1200の方が気になる。弦楽器はRH-200の方が繊細。RP-DH1200は線が太くて聴けたものではない。金管楽器はRH-200の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は好みが分かれるところだろう。特に高域はまったく鳴らし方が違うので要注意。RH-200の方が細く硬く鋭い音で相性としてはやや悪いように感じる一方、RP-DH1200はあまり聴こえてこない。得意分野はRH-200がロック、RP-DH1200がポップス。使い分けるなら低域の量が欲しくて高域は不要な場合はRP-DH1200、それ以外はRH-200。

SE-M870
どちらも低音よりのドンシャリだが、RH-200の方が低音より。低域はRH-200の方が一段低い音で量も出る。中高域から高域はSE-M870の方が線が細く一段高い音を鳴らす。分解能はSE-M870の方が高い。音場感、原音忠実性はどちらもいまいちでほぼ互角。SE-M870の方がエッジがきついが、RH-200は低域が強くて聴き疲れするので、総合的な聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M870の方が上。厚み、密度はRH-200の方がやや上。温かみは低域が強い分RH-200の方が若干上か。ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。ノリの良さならRH-200、繊細さならSE-M870。響きはRH-200の方が豊か。RH-200の方がこもり感が気になる。弦楽器はSE-M870の方が細く繊細だが、単に低域の心地よさだけ求めるならRH-200の方が良いと感じる人もいるだろう。金管楽器はソースによっては安っぽくなる部分があるものの基本的にはSE-M870の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。得意分野はRH-200がロック、SE-M870はポップス。使い分けるならロックはRH-200、それ以外はSE-M870。

SK PRO
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はRH-200の方がやや低く厚みのある音を鳴らす。中域はRH-200の方がやや高い音で低域と切り離されたような感じで聴こえてくる。高域はSK PROの方がやや量が多いのだが、RH-200の方が金属的な質感で目立つことがある。分解能はほぼ同等。音場感はSK PROの方が立体的で明確。原音忠実性は周波数特性の癖のなさではSK PROの方が良いが、RH-200の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等だが、RH-200の方が圧力のある音を耳の近くで鳴らすため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-200の方がやや上。SK PROは薄く曇っていておとなしい感じが付きまとう。厚みはRH-200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSK PROの方が感じられる。どちらもノリが良い傾向だが、RH-200の方が厚みや迫力がある。響きはRH-200の方がやや豊か。弦楽器はSK PROの方が心地よく聴ける。RH-200はどこか嫌味が出ることも多い。金管楽器はRH-200の方が金属的でしかも力強さがあるが、不自然でいまひとつ鮮やかさに足りない感もある。SK PROは力強さもない代わりそれなりに自然な感じ。打ち込み系の音の表現は、音の濃さだけを求めるならRH-200の方が良いだろうが、SK PROの方が癖がない鳴らし方。使い分けるなら、厚みや迫力を求めるならRH-200、癖のなさや温かみを求めるならSK PRO。

SP-K300
全体的に非常に良く似た音。どちらも低音よりのドンシャリ。低域は若干RH-200の方が出る。高域はSP-K300の方が細く硬い金属的な鳴り。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。どちらもエッジがきついせいというより、低音が出すぎで疲れる傾向がある。明瞭さはSP-K300の方がやや上。音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてほぼ互角。低音が出る分RH-200の方がノリが良いように感じる。響きはどちらもやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてほぼ互角。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、低域が欲しいときはRH-200、そうでなければSP-K300か。どちらか1台持っていれば十分の機種。


・RH-300
AH-D5000
AH-D5000はかなりフラット、RH-300はややドンシャリ。低域はAH-D5000の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし量もやや多いのだが、RH-300の方がパンチがある。中域はどちらも癖が少なくはっきり聴こえてくるが、RH-300の方がやや低域の曇りに覆われるような感じになることがある。癖のなさという意味でもAH-D5000の方がやや上。高域はある程度似ていてどちらもしっかり高い音を鳴らしてくれるが、AH-D5000の方が金属的な感じ、RH-300の方が細く鋭い感じ。分解能はAH-D5000の方がやや上。音の分離はほぼ同レベルだが、一つ一つの音の微細な描写はAH-D5000の方が上。音場感及び原音忠実性はほぼ互角。RH-300の方がややエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはAH-D5000の方が上。ノリの良さならRH-300、繊細さならAH-D5000。AH-D5000の方が柔らかく落ち着いた感じ、RH-300の方が硬くて冷たい感じ。響きはAH-D5000の方が豊か。弦楽器はAH-D5000の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもかなりうまい。ほぼ互角で、あとは好みの違いだろう。打ち込み系の音の表現はRH-300の方がうまい。冷たい質感や音の圧力がマッチする。使い分けるなら、生楽器メインのときはAH-D5000、そうでないならRH-300。

ATH-A900
ATH-A900はやや高音より、RH-300はややドンシャリ。低域はATH-A900の方が低い音で量も多いように感じがちだが、中低域はRH-300の方が充実している。中域はどちらも癖がなくはっきり聴こえてくるが、どちらかと言えばATH-A900の方が高い音。高域はATH-A900の方が線が細い。音の高さはRH-300の方が高い。分解能はほぼ互角。音の分離といい微細な表現といい、大きな差はない。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばATH-A900の方が良いか。原音忠実性はRH-300の方が良い。ATH-A900はRH-300と比べると低域の周波数特性がフラットではないし、高域は線が細くやや癖がある。エッジのきつさ、聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべて大きな差はないが、どちらかと言えばRH-300の方が良いように感じる。ノリの良さならRH-300、繊細さならATH-A900。響きはどちらも適度でほぼ同量。弦楽器はほぼ互角だが、ベースやチェロの低域の量感が欲しいならATH-A900の方が良いだろう。ただし、フラットで癖のない表現を望むならRH-300の方が良い。金管楽器はRH-300の方が力強くかつ鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、音の厚みや中高域の鮮やかさでRH-300の方が一歩勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、繊細さ重視ならATH-A900、ノリの良さ重視ならRH-300。あるいは、中低域が控え目なぐらいが良いならATH-A900、少し出すぎなくらいでも良いならRH-300。

HFI-650
どちらもややドンシャリ。低域はHFI-650の方が締まっていてしっかり低い音を鳴らす。中低域は良くも悪くもRH-300の方が量が多い。このため中域はHFI-650の方が低域に邪魔されずに聴こえてくる。また、中域から中高域はHFI-650の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はRH-300の方が細くて量が多い。分解能はほぼ互角。音の分離はHFI-650の方が若干良く感じるが、微細な描写はRH-300の方がこなしてくれる。音場感はHFI-650の方が広いが、同時に癖もある。原音忠実性は微妙。HFI-650の方が原音の実体感、粗、生っぽさといったものは感じられるが、周波数特性上の癖のなさはRH-300の方が上で一聴して違和感がない。エッジのきつさはほぼ同等レベルだが、HFI-650の方が芯の通ったような感じでやや聴き疲れする。明瞭さはHFI-650の方が上、音の鮮やかさはRH-300の方が上。厚みはHFI-650の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方がやや上。どちらもノリの良さがしっかり感じられる上モニター的な冷静さも備えている点は似ている。響きはRH-300の方がやや豊か。HFI-650の方が締まっていてぼやけた曖昧な感じがない。弦楽器はRH-300の方が繊細かつ心地よい。金管楽器は比較が難しい。低めの音はHFI-650の方がしっかり鮮やかに鳴らしてくれるが、高めの音はRH-300の方が量が多く明るい感じ。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、音の厚み、締まり、低域の質感等でHFI-650の方がやや勝っているため、どちらかと言えばHFI-650の方が上。ただ、RH-300の中域から中高域にかけてのふくよかでかつ鮮やかな表現も魅力的。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、フラットで癖のない音を求めるならRH-300、タイトでメリハリにある音を求めるならHFI-650。

MDR-7506
どちらもややドンシャリ。低域は、MDR-7506が低く塊のような鳴らし方であるのに対して、RH-300は自然な鳴らし方。中低域はRH-300の方が出る。中域はMDR-7506がやや上ずっているのに対して、RH-300はかなりおとなしい。中高域から高域はRH-300の方が細く高い鳴らし方。分解能は微妙。音の分離はMDR-7506の方が良いように感じるが、微細な表現はRH-300の方がこなしてくれる。音場感はRH-300の方が広く明確で良い。原音忠実性は方向性が違う。原音の粗はMDR-7506の方が感じられるが、不自然さがないのはRH-300の方だろう。RH-300の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはRH-300の方が上。厚みはMDR-7506の方がややあるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方が上。どちらも基本的にはノリが良いが、ノリの良さならMDR-7506、繊細さならRH-300の方が上。響きはRH-300の方がやや豊か。弦楽器はRH-300の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまいが、RH-300の方がやや高く金属的で楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまい。好みで評価が分かれるだろう。MDR-7506の方が圧力がありメリハリのある鳴らし方、RH-300の方が癖がなくて聴きやすくそれでいて鮮やかな鳴らし方。使い分けるなら、原音の粗や厚み重視ならMDR-7506、温かみやヴォーカルの艶っぽさ重視ならRH-300。

RH-200
RH-200は低音よりのドンシャリ、RH-300はややドンシャリ。低域はRH-200の方がかなり量が多い。中域はRH-300の方が低域に邪魔されずに聴こえるし、癖がない。中高域はRH-300の方が量が多く目立つが、高域はRH-200に癖があり比較しずらい。分解能、音場感、原音忠実性すべてRH-300の方がやや上。RH-200は低域が出すぎてこもり感が気になるし、耳の近くで音が鳴るのもマイナス。その点、RH-300はかなりフラットで耳の近くで音を鳴らすということもない。エッジのきつさはほぼ互角だが、RH-200の方が低域が多くこもり感がひどいため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-300の方がかなり上。厚みは低域の量感が豊かなせいでRH-200の方があるように感じがちだが、基本的にはほぼ互角。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方がやや上。RH-200の方が低域でごり押しするようなノリの良さがあり繊細さは感じられないのに対して、RH-300は音の立ち上がりや切れに基づくノリノリの良さがある。その上、繊細さもあるし、モニター的な冷静さも備えている。響きはRH-200の方が豊か。弦楽器はどちらもそれなり。RH-200が豊かな低域を楽しめるのに対して、RH-300は癖のない音。金管楽器はRH-300の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はRH-300の方がうまい。RH-200の方が低域の量が多くある種の迫力はあるが、音そのものの相性やバランスはRH-300の方が上。得意分野はRH-200はロック、RH-300はポップス。使い分けるなら、基本的にはRH-300、余程低域の量が欲しいときだけRH-200。

RP-HT560
RH-300はややドンシャリ、RP-HT560はかなりフラット。低域の量はあまり差がないが、RP-HT560の方が若干低い音でかつ軽い音。RH-300の方が凹凸無く低域と中域が繋がっている感じ。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、RP-HT560の方がやや高い音で目立つ。ただ、これはどちらかと言うとRH-300の音が低めと言った方が適切だろう。高域はかなり似た音だが、RH-300の方がやや金属的。分解能はRH-300の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はRH-300の方が上。RP-HT560の方がやや作ったような明るさがある。RP-HT560の方が若干エッジがきつめだが、ほとんど差は無い。どちらもそれほど聴き疲れしないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、どちらかと言えば作ったような明るさのあるRP-HT560の方が良いように感じる。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、RP-HT560の方が軽快で明るい感じがする。RH-300の方が多少モニター的な冷静さがある。響きはRP-HT560の方がやや豊か。RH-300の方が密度が高く圧力のある鳴らし方。RH-300と比べてRP-HT560がそれほど劣るとは感じないが、やはりどこか軽く軽薄な音に感じる。弦楽器はRH-300の方が心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまい。実体感を重視するならRH-300、明るさを重視するならRP-HT560といった感じだろうか。打ち込み系の音の表現も、どちらもかなりうまい。厚みや圧力を重視するならRH-300、明るさを重視するならRP-HT560か。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはRH-300で、明るさが欲しいときにはRP-HT560か。とは言っても、かなり似ている傾向の機種ではある。

TriPort
RH-300はややドンシャリ、TriPortは低音よりのドンシャリ。低域はTriPortの方が低い音で量も多い。中域は、RH-300がおとなしくそれでいて低域に埋もれたりしないのに対して、TriPortはかなり低域に埋もれる。中高域から高域は、RH-300の方が高い音でかなり目立つ。分解能及び原音忠実性はRH-300の方が上。周波数特性に癖がない上、原音の粗や生っぽさが感じやすい。音場感はTriPortの方が癖があるが明確なことは明確。この癖を受け入れられるかどうかで評価が変わってきそう。エッジはRH-300の方がきついが、TriPortはこもり感で聴き疲れするため、どちらが聴き疲れするかはソースによって変わってくる。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-300の方が上。厚みは、低域の量が多いせいでTriPortの方があるように感じがちだが、基本的にはRH-300の方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、TriPortが低音の量だけで押しているの対してRH-300は厚みと切れで押してくる。繊細さについては、RH-300の方が上。響きはTriPortの方が豊かで、こもり感がかなり気になる。弦楽器は、チェロ等の低域を楽しみたいならTriPortの方が良いだろうが、基本的にはRH-300の方が原音に近く無難な表現をしてくれる。金管楽器はRH-300の方が高い音でかなり鮮やか。打ち込み系の音の表現はRH-300の方がうまい。音そのものの相性が良いし、低域の量は適度、高域は硬く鮮やかで、低域の量の多さ以外の点ではTriPortより断然うまい。得意分野は、RH-300はポップス、TriPortはロック。使い分けるなら、基本的にはRH-300、低域の量が欲しいならTriPort。


・RH-5Ma
EHP-CL430
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が量が多いが、RH-5Maの方が厚みがある。中域はRH-5Maの方が低域の曇りに埋もれずに聴こえてくる。高域は量は近いが、EHP-CL430の方が細い感じ、RH-5Maの方が硬く太い感じ。分解能はRH-5Maの方がやや上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はどちらも良くないが、曇りを除けばEHP-CL430の方が癖のない音。どちらもエッジはきつくないが、低域の量が多いため聴き疲れする点は似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-5Maの方が上。厚みはRH-5Maの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方が感じられる。どちらも繊細とは言えない。ノリの良さならRH-5Ma。響きはEHP-CL430の方が豊かで、こもり感も気になる。弦楽器はRH-5Maの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRH-5Maの方が力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はRH-5Maの方がうまい。スピード感はあまりないものの、音の厚みが効いている。得意分野はEHP-CL430がクラシック、RH-5Maがポップス。使い分けるなら、薄い音を聴きたいときはEHP-CL430、EHP-CL430の曇りが気になるときや濃い音を聴きたいときはRH-5Ma。

HP430
HP430はややかまぼこ、RH-5Maは低音よりのドンシャリ。低域は全体的にRH-5Maの方がかなり出る。高域はRH-5Maの方がやや強い。分解能はRH-5Maの方がやや良いが、低域がかなり強いためソースによってはHP430の方が良いように感じることがある。音場感はどちらもいまいち。原音忠実性はHP430の方がやや上。RH-5Maの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはHP430の方がやや上、音の鮮やかさや厚みはRH-5Maの方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-5Maの方が上。RH-5Maの方がノリの良くしかも繊細に感じる。HP430はどちらかと言うとモニターライクな冷静な鳴らし方。響きはRH-5Maの方がかなり豊か。その分こもり感がかなり気になる。RH-5Maの方がかなり力強い鳴らし方。低域が強いだけではなく、全音域に渡り勢いがある。HP430はスカスカに感じることも多い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてRH-5Maの方が楽しめるように感じる。ただし、その大部分はHP430がかまぼこであるのに対してRH-5Maはドンシャリであることに起因していると思われる。RH-5Maの方が魅力もあるが欠点も大きいという印象。総合的にはほぼ互角の音質のように思う。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならジャンル云々より、低域が欲しいときはRH-5Ma、そうでないならHP430。

K24P
どちらもドンシャリだが、K24Pの方がやや高音より。どちらも低域は全体的に非常に強いが、どちらかと言うとRH-5Maの方が出るか。高域はK24Pの方がかなり強い。特にハイハットやシンバルは差がある。また、RH-5Maは中域が埋もれ気味だが、K24Pはそれほど埋もれない。RH-5Maは大抵のソースでは曇っているように感じるが、K24Pはそんなことはない。分解能はK24Pの方が上、音場感や原音忠実性はどちらもいまいち。K24Pの方がエッジがきつく聴き疲れする。ただし、低域の強いソースではRH-5Maの方が低音で疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量すべてK24Pの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。K24Pの方がノリが良くしかも繊細。音域傾向云々よりも、スピード感がまったく違う。K24Pは非常にスピード感があるが、RH-5Maはむしろ鈍重。響きはRH-5Maの方が豊かで、かなりこもる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてK24Pの方がうまい。特に金管楽器は一段高く鮮やかな音で楽しめる。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもK24Pの方が良いように感じるが、RH-5MaはZ headponesと似た独特の雰囲気がある。

MDR-Z700DJ
どちらもドンシャリだが、MDR-Z700DJの方がフラット。低域・高域ともにRH-5Maの方が出る。ただし、超高域はほぼ同量。分解能はRH-5Maの方が上。音場感はほぼ互角。低域を除けばRH-5Maの方が原音忠実だが、逆に言えば低域が台無しにしているとも言える。RH-5Maの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはMDR-Z700DJの方が上だが、音の鮮やかさはRH-5Maの方が上。厚みはMDR-Z700DJの方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRH-5Maの方が上。どちらもノリが良いが、RH-5Maの方がまだ繊細さが感じられる。響きはRH-5Maの方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにRH-5Maの方が自然で鮮やか。ただし、低域が出すぎでこもり感が酷いという欠点がある。打ち込み系の音の表現はMDR-Z700DJの方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ポップスはMDR-Z700DJ、それ以外はRH-5Ma。低域が出すぎに感じないソースであれば基本的にはRH-5Maで良いと思われるが、MDR-Z700DJの方が無難な音を鳴らすことも確か。

Z headphones
どちらもドンシャリだが、RH-5Maの方がやや高音より。低域の質は良く似ているが、量はZ headphonesの方がかなり出る。ただし、厚みはRH-5Maの方がある。高域はRH-5Maの方が全体的にかなり出る。量はともかく、音程的なものとしてRH-5Maの方が高い音は高く、低い音は低く鳴らす。分解能及び原音忠実性はRH-5Maの方が上。音場感、聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-5Maの方が上、厚みはZ headphonesの方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはRH-5Maの方がやや上。ノリの良さならZ headphones、繊細さならRH-5Ma。響きはZ headphonesの方がやや豊か。Z headphonesはとにかく分厚い雲のような低域が酷く、曇っていることしか印象に残らないが、RH-5Maはそれほどではない。ただ、Z headphonesの方がストレートに音が届くという矛盾したような印象も受ける。弦楽器はRH-5Maの方が繊細で良い。金管楽器はRH-5Maの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現も、よほど低域が欲しいのでなければRH-5Maの方がうまい。得意分野は、RH-5Maはポップス、Z headphonesはロック。使い分けるならロックはZ headphones、それ以外はRH-5Maだが、そもそもZ headphonesはヘッドバンドが短すぎてまともに装着できない人がかなり多そう。


・RP-21
DJX-1
DJX-1は低音よりのドンシャリ、RP-21はややドンシャリ。低域はDJX-1の方がやや低い音で量も多い。DJX-1の低域の方が柔らかくぼやけている感じ。中域はRP-21の方がやや高い音で、低域に負けずはっきり聴こえてくる。高域はRP-21の方が高い音で量も多い。この2機種を比べるとRP-21の方が高音よりと言える。分解能はRP-21の方が上。音の分離に差がある。音場感はRP-21の方がやや広く明確。原音忠実性はRP-21の方が上。周波数特性的には低域に癖があるDJX-1、高域に癖があるRP-21という感じだが、原音の粗や生っぽさはRP-21の方が感じられる。RP-21の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-21の方が上。厚みはDJX-1の方がある。温かみはDJX-1の方が感じられる。これは、低域が多い上に音の質そのものも柔らかいため。ヴォーカルの艶っぽさは基本的には同等レベルだが、DJX-1の方が柔らかい音で艶っぽく感じられることもある。どちらもノリが良い傾向だが、DJX-1が低域の量で押す感じなのに対してRP-21は切れやスピード感がある感じ。響きはDJX-1の方が豊か。弦楽器はDJX-1の方が柔らかい音で心地よいと言えば心地よいのだが、RP-21の方が繊細で生っぽい感じも出してくれる。金管楽器はRP-21の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、低域の量だけ求めるならDJX-1の方が良いが、切れや中高域の鮮やかさではRP-21の方が良く、一般的にはRP-21の方がうまいと言えるだろう。使い分けるなら、低域の量が欲しいときにはDJX-1、それ以外はRP-21。あるいは、柔らかい音がいいときにはDJX-1、硬い音がいいときにはRP-21。

HFI-650
どちらもややドンシャリ。低域はRP-21の方がやや量が多い。質的にはHFI-650の方が締まっている。中域はHFI-650の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はどちらも尖っている感じだが、HFI-650の方が高い音で量も多い。この2機種を比べると、HFI-650の方が高音よりと言えよう。分解能はほぼ互角。音の分離はHFI-650の方が若干良いが、一つ一つの音の微細な描写はRP-21の方が若干良い。音場感は、HFI-650の方が立体的だが、RP-21も独特の明確さがあり、どちらが良いかは好みが分かれるだろう。原音忠実性はRP-21の方がやや上。RP-21の方が周波数特性的に癖がなく、細かいノイズまでしっかり拾う感じ。HFI-650の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-650の方が上。厚みはHFI-650の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-21の方が上。HFI-650の方が切れが良くノリの良い鳴らし方。響きはどちらもややあっさりだが、比較すると低域はRP-21の方が豊か、高域はHFI-650の方が豊か。弦楽器はRP-21の方がうまい。HFI-650では硬く感じるようなことが多いが、RP-21はほどほどに柔らかい表現をしてくれる。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方がうまい。音の質感や切れで勝っている。使い分けるなら、高音よりがいいならHFI-650、低音よりがいいならRP-21。あるいは、明瞭さや切れを重視するならHFI-650、温かみや全体的なバランスを重視するならRP-21。

MDR-CD900ST
MDR-CD900STはかなりフラット、RP-21はややドンシャリ。低域は量的にはあまり差はない。MDR-CD900STの方が柔らかくぼやけている感じ、RP-21の方がタイトでパンチがある感じ。中域はRP-21の方が低域の曇りに覆われずはっきり聴こえてくる。高域はRP-21の方が高く鋭い音で目立つ。分解能はRP-21の方が若干上。一つ一つの音の微細な描写にはあまり差がないが、音の分離はRP-21の方が良い。音場感はRP-21の方が広く明確。原音忠実性はどちらも良いが、原音の粗はMDR-CD900STの方が感じられる。エッジは基本的にはMDR-CD900STの方がきついが、サ行の音はRP-21の方が痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-21の方が上。厚みはRP-21の方がある。温かみはMDR-CD900STの方が感じられる。これは、MDR-CD900STの方が低域が柔らかくぼやけていることと、RP-21の方がやや硬くて冷たい質感であることが原因。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。RP-21の方がメリハリがある鳴らし方で、ノリが良い。響きは、低域はMDR-CD900STの方が豊か、高域はRP-21の方が豊か。MDR-CD900STの方がかなりこもり感が気になる。弦楽器は好みの差だろう。RP-21では硬く冷たいと感じるならMDR-CD900STが良いだろうし、MDR-CD900STではベースがぼやけていたりヴァイオリンの澄んだ感じが出ないと感じるならRP-21の方が良いだろう。金管楽器はRP-21の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-21の方がうまい。音の質感や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはRP-21、高域の癖を避けたいときや低域の柔らかい感じが欲しいときはMDR-CD900ST。

SE-M870
どちらもややドンシャリ。低域は質的にも量的にも似ているが、RP-21の方がやや締まっている感じ。中域はどちらもあまり癖がなくしっかり聴こえてくるが、どちらかと言えばSE-M870の方が低域に負ける。高域はSE-M870の方が高く鋭い音。分解能はほぼ同等レベル。音場感はどちらも耳の近くで鳴らしている感じがあるが、明確さという意味ではRP-21の方が上。原音忠実性はRP-21の方が良い。周波数特性の癖のなさで勝っているし、原音らしさが感じられるという意味でも上。SE-M870の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、鮮やかさはSE-M870の方がやや上のように感じられる。厚みはSE-M870の方がやや厚い。温かみはSE-M870の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良い傾向だが、RP-21の方がやや冷静。響きはSE-M870の方がやや豊か。弦楽器は原音忠実性を求めるならRP-21だが、SE-M870の方が柔らかくて心地よいと感じることも多い。金管楽器はSE-M870の方が高く鮮やかだが、これは少しやりすぎな感があり、むしろRP-21ぐらいの方が適度。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。RP-21の方がバランスが良いが、SE-M870の方が楽しめる。使い分けるなら、高域の量や刺激を求めるならSE-M870、そうでないならRP-21。あるいは、バランスの良さを求めるならRP-21、突き抜けたものを求めるならSE-M870。


・RP-DH1200
DJ Pro 3000
DJ Pro 3000は低音よりのドンシャリ、RP-DH1200は低音より。低域はRP-DH1200の方が量が多いし、低い音で厚みもある。中域はRP-DH1200が全体的に低い音で低域の量にかなり負けるのに対して、DJ Pro 3000は音の高さは普通だし量的にもRP-DH1200ほどは負けていない。高域はDJ Pro 3000の方が高い音で量も多い。分解能はDJ Pro 3000の方がやや上。音の分離、細部の描写いずれもやや勝っている。音場感、原音忠実性はどちらも良くないが、どちらかと言えばDJ Pro 3000の方が良い。どちらもエッジはきつくないが、低域が過剰で音の圧力があることからRP-DH1200の方が聴き疲れする。明瞭さは低域の量が少なく中域・高域ともに普通に鳴らしてくれるDJ Pro 3000の方が良いが、音の鮮やかさはそれほど差が無いように感じる。厚みはRP-DH1200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。RP-DH1200の方がノリが良いが、これはやりすぎと言う方が正しいだろう。低域の量が過剰で、音の厚み・圧力もかなりあるが、軽快でスピード感のある感じではない。響きはRP-DH1200の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はどちらもうまくない。生楽器を鳴らしているという感じがしない。金管楽器はDJ Pro 3000の方が高い音を鳴らしてくれるが、力強さではRP-DH1200の方が勝っている。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、RP-DH1200の方が厚み・圧力がある分ややうまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量が過剰でもいいから音の厚みや圧力を重視する場合にはRP-DH1200、それ以外はDJ Pro 3000。

dj1001
dj1001はややかまぼこ、RP-DH1200は低音よりのドンシャリ。低音は圧倒的にRP-DH1200の方が出る。逆に高域は圧倒的にdj1001の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてdj1001の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、低音が出るぶん大抵のソースではRP-DH1200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはdj1001の方が上。厚みはRP-DH1200の方があるが、密度は互角。温かみはRP-DH1200の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはdj1001の方が若干ある。ノリの良さならRP-DH1200、繊細さならdj1001。響きはRP-DH1200の方が豊かで、こもり感がすごい。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてdj1001の方が良い。ただし、何を聴くにしても若干低音が不足に感じられる恐れはある。それにしてもRP-DH1200の低音過多よりはましと思う人が多いだろう。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が欲しい人でなければdj1001の方が何を聴くにしても良いだろうが、dj1001も癖がある上、DJ用とは思えないほど低音がタイトなので、万人にすすめられるヘッドホンではない。人によってはスカスカな上に妙な嫌味があると感じるだろう。

DJX-1
DJX-1は低音よりのドンシャリ、RP-DH1200は低音より。低域は全体的な量は同じくらいだが、RP-DH1200の方が低い音で圧力がある感じ。中域はどちらも低域に負けてあまり聴こえてこないが、どちらかと言えばDJX-1の方が聴こえる。ただ、RP-DH1200は中域に癖があるため、そのせいで聴こえてくるように感じることはある。高域はDJX-1の方がやや高い音で量も多い。分解能、音場感はDJX-1の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろDJX-1の方が良いし、音場はDJX-1の方が広く明確。原音忠実性はどちらもあまり良くなく、ほぼ同等レベル。ただ、中域の癖のなさ等を考えるとDJX-1の方がやや良いように感じる。DJX-1の方がややエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。それよりも、どちらも低域が出すぎで疲れることの方が多い。明瞭さ、音の鮮やかさはDJX-1の方がやや上。厚み、温かみはほぼ互角。ヴォーカルの艶っぽさはDJX-1の方が感じられる。どちらも低域で押すような感じのノリの良さ。響きは、低域はRP-DH1200の方が豊か、高域はDJX-1の方が豊か。弦楽器はDJX-1の方が癖がないし生楽器を鳴らしている感じでも上。金管楽器はDJX-1の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は基本的にはほぼ互角だが、中域から高域の鮮やかさではDJX-1に分がある。使い分けるなら、基本的にはDJX-1、低域の質がRP-DH1200の方が合うと感じる場合にはRP-DH1200。

MDR-Z700DJ
MDR-Z700DJはドンシャリ、RP-DH1200は低音より。超低域はRP-DH1200の方が出る上、高域はMDR-Z700DJのほうが出る。RP-DH1200はドンシャリと言うよりも一聴して物凄い低音が印象的。分解能はほぼ互角だが、低音が弱いぶん若干MDR-Z700DJの方が良いか。音場感はRP-DH1200の方がやや良い。MDR-Z700DJの方が原音忠実。RP-DH1200の方がエッジがきつくなくサ行の音等も痛くないが、大抵のソースでは低音が出すぎで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-Z700DJの方が上。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z700DJの方がある。ノリの良さはMDR-Z700DJの方が上。低音はRP-DH1200の方が出るが、高域が聴こえてこない上に切れが悪くノリはいまいち。響きはRP-DH1200の方が豊か。低域が非常に出ることもあり、こもり感がかなり気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音すべてMDR-Z700DJの方が良い。RP-DH1200は低域が出すぎでしかも響くため低域が強いソースではまともに聴き取れないし、高域が聴こえてこないし鮮やかさも足りない。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもRP-DH1200は低域が強すぎに感じるが、とにかく低域が欲しいだけなら最高レベル。

PC-100
PC-100はやや高音より、RP-DH1200は低音よりのドンシャリ。低音は圧倒的にRP-DH1200の方が出る。逆に高域は圧倒的にPC-100の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてPC-100の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、低音が出るぶん大抵のソースではRP-DH1200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはPC-100の方が上。厚みはRP-DH1200の方があるが、密度は互角。温かみはRP-DH1200の方があるが、ヴォーカルの艶っぽさはPC-100の方が若干ある。ノリの良さならRP-DH1200、繊細さならPC-100。響きはRP-DH1200の方が豊かで、こもり感がすごい。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPC-100の方が良い。ただし、何を聴くにしても若干低音が不足に感じられる恐れはあるし、粗がありマイルドさに欠ける。それにしてもRP-DH1200の低音過多よりはましと思う人が多いだろう。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が欲しい人でなければPC-100の方が何を聴くにしても良いだろう。

RH-200
RH-200は低音よりのドンシャリ、RP-DH1200は低音より。低域の量はRP-DH1200の方が多いが、RH-200の方がやや低い音を鳴らす。中域はRH-200の方がはっきり聴こえてくるし変な癖もない。RP-DH1200は低域の曇りがかなり気になる。高域はRH-200の方が細く硬く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてRH-200の方が上。RH-200の方がエッジがきついが、RP-DH1200は低域が出すぎで疲れるので、総合的な聴き疲れはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-200の方が上。厚みはRP-DH1200の方が上。低域の量が出るだけで、温かみはどちらもあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはRH-200の方が上。どちらもノリが良いが、RP-DH1200は低域の量だけなのに対して、RH-200はそんなことはない。響きはどちらもやや豊か。低域はRP-DH1200、高域はRH-200の方が響きが豊かに感じるが、これは量の差に影響されていると思われる。こもり感はRP-DH1200の方が気になる。弦楽器はRH-200の方が繊細。RP-DH1200は線が太くて聴けたものではない。金管楽器はRH-200の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は好みが分かれるところだろう。特に高域はまったく鳴らし方が違うので要注意。RH-200の方が細く硬く鋭い音で相性としてはやや悪いように感じる一方、RP-DH1200はあまり聴こえてこない。得意分野はRH-200がロック、RP-DH1200がポップス。使い分けるなら低域の量が欲しくて高域は不要な場合はRP-DH1200、それ以外はRH-200。

RP-DJ700
RP-DH1200は低音より、RP-DJ700はドンシャリ。低域はRP-DH1200の方がかなり量が多い。質的にもRP-DH1200の方がかなりズシンと響くようなしっかりした低音。ただし、RP-DJ700も十分しっかりした低音の鳴らし方をする。中域はRP-DJ700の方が埋もれずに聴こえてくる。中高域から高域はRP-DJ700の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感はRP-DH1200の方が上。ただし、分解能は低域が強いソースでは逆転する。原音忠実性はRP-DJ700の方が上。基本的にはRP-DJ700の方がエッジがきつく聴き疲れするが、ソースによってはRP-DH1200の方が低域が出過ぎで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-DJ700の方が上、厚みや温かみはRP-DH1200の方が上。ヴォーカルは鳴らし方がまるで違うので判断に困るが、RP-DJ700はキンキンしたり割れたりうわずったりすることがあるのに対して、RP-DH1200はそんなことはない。そういう意味でRP-DH1200の方が安心して聴ける。RP-DH1200の方がノリが良い。これは低域が強いというだけでなく、音の圧力が段違い。響きはRP-DH1200の方が豊かで、しかも物凄い量の低域でこもり感が気になる。RP-DH1200の方が太くて安定感のある音。RP-DJ700はDJ用にしては線が細く粗っぽい。弦楽器はRP-DH1200の方が滑らかな質感で心地よい。金管楽器は基本的にはRP-DJ700の方が高く鮮やかなのだが、シャリつくし、ソースによってはかなり安っぽくなってしまう。打ち込み系の音の表現はRP-DH1200の方がうまい。得意分野はどちらもポップス・ロック。使い分けるなら高域の量が欲しいときや過剰な低域が嫌なときはRP-DJ700、それ以外はRP-DH1200。


・RP-DJ700
ATH-ES7
どちらもややドンシャリだが、ATH-ES7の方がやや低音より。低域はATH-ES7の方が一段低い音で厚み・量ともに上。中域は量的にはRP-DJ700の方が出ているようだが、どこか曇っていたり嫌味が出たりする。同様に高域もRP-DJ700の方が出ているが、どこか曇っていて一聴してATH-ES7の方が高域が目立つ。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-ES7の方が上。どちらもややエッジがきつめ。聴き疲れは同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-ES7の方が上。ATH-ES7の方がノリが良くしかも繊細。響きはATH-ES7の方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はどちらもあまり得意ではないが、どちらかと言えばATH-ES7の方が自然。金管楽器はATH-ES7の方が圧倒的に鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-ES7の方がうまい。低域の質、音圧、切れ、どれをとってもATH-ES7の方が上。得意分野はATH-ES7がポップス、RP-DJ700がロックだが、ほとんど何を聴くにしてもATH-ES7の方が良いように感じる。

HPS5000
どちらもドンシャリ。超低域はHPS5000の方がやや強いため低めの音を鳴らすことがあるが、全体的な低域の量としてはRP-DJ700の方が出る。HPS5000ではスカスカに感じるソースでも、RP-DJ700なら大抵バランスよく鳴らしてくれる。高域はRP-DJ700の方がやや細く高い。分解能、音場感はほぼ互角。原音忠実性はRP-DJ700の方が上。どちらもエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さはHPS5000の方がやや上。音の鮮やかさはRP-DJ700の方がやや上。HPS5000の方が凝縮されたような音。良くも悪くも余分な部分がかなりそぎ落とされている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-DJ700の方が上。基本的にはRP-DJ700の方がノリが良いが、切れという意味ではHPS5000の方が上。HPS5000の方がしっかり芯の通った音。弦楽器はRP-DJ700の方がうまい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、細さが違う。割れるくらいが丁度いいならRP-DJ700、割れるのが嫌いならHPS5000の方が良い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、普通に聴く分にはRP-DJ700の方が低域も高域も適度に出してくれるし違和感がない。得意分野はどちらもポップス・ロック。使い分けるならロックはHPS5000、それ以外はRP-DJ700。

RP-DH1200
RP-DH1200は低音より、RP-DJ700はドンシャリ。低域はRP-DH1200の方がかなり量が多い。質的にもRP-DH1200の方がかなりズシンと響くようなしっかりした低音。ただし、RP-DJ700も十分しっかりした低音の鳴らし方をする。中域はRP-DJ700の方が埋もれずに聴こえてくる。中高域から高域はRP-DJ700の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感はRP-DH1200の方が上。ただし、分解能は低域が強いソースでは逆転する。原音忠実性はRP-DJ700の方が上。基本的にはRP-DJ700の方がエッジがきつく聴き疲れするが、ソースによってはRP-DH1200の方が低域が出過ぎで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-DJ700の方が上、厚みや温かみはRP-DH1200の方が上。ヴォーカルは鳴らし方がまるで違うので判断に困るが、RP-DJ700はキンキンしたり割れたりうわずったりすることがあるのに対して、RP-DH1200はそんなことはない。そういう意味でRP-DH1200の方が安心して聴ける。RP-DH1200の方がノリが良い。これは低域が強いというだけでなく、音の圧力が段違い。響きはRP-DH1200の方が豊かで、しかも物凄い量の低域でこもり感が気になる。RP-DH1200の方が太くて安定感のある音。RP-DJ700はDJ用にしては線が細く粗っぽい。弦楽器はRP-DH1200の方が滑らかな質感で心地よい。金管楽器は基本的にはRP-DJ700の方が高く鮮やかなのだが、シャリつくし、ソースによってはかなり安っぽくなってしまう。打ち込み系の音の表現はRP-DH1200の方がうまい。得意分野はどちらもポップス・ロック。使い分けるなら高域の量が欲しいときや過剰な低域が嫌なときはRP-DJ700、それ以外はRP-DH1200。

SE-MJ5
どちらもドンシャリだが、RP-DJ700の方がやや低音より。低域はRP-DJ700の方がやや低い音を鳴らすが、圧力はSE-MJ5の方がある。量はほぼ同量。中域はどちらもそれほど低域に埋もれたりしない。RP-DJ700の方がやや曇りがちではあるが落ち着いた音を鳴らす。中高域から高域はSE-MJ5の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能、音場感はほぼ同等だが、音場感はSE-MJ5の方が若干良いか。原音忠実性はRP-DJ700の方がやや良い。SE-MJ5はPioneer独特の高域の癖がある。SE-MJ5の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-MJ5の方がやや上。厚みはSE-MJ5の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-DJ700の方が上。SE-MJ5の方が太く硬い音で、ノリが良い。言い換えれば、RP-DJ700の方が線が細く繊細。響きはSE-MJ5の方がやや豊か。弦楽器はRP-DJ700の方が柔らかくて心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならSE-MJ5の方が良いだろう。金管楽器はSE-MJ5の方が一段高く、量も多い。打ち込み系の音の表現はSE-MJ5の方が得意。音の厚みや圧力、スピード感が上。得意分野はRP-DJ700がロック、SE-MJ5がポップス。使い分けるならポップスやブラスメインの曲はSE-MJ5、それ以外はRP-DJ700。

Z headphones
Z headphonesは低音より、RP-DJ700はドンシャリ。低域はZ headphonesの方がやや量が多い。特に超低域は差がある。ただし、RP-DJ700も十分しっかりした低音の鳴らし方をする。中域はRP-DJ700の方が埋もれずに聴こえてくる。Z headphonesはかなり中域が埋もれる。中高域から高域はRP-DJ700の方が細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-DJ700の方が上。基本的にはRP-DJ700の方がエッジがきつく聴き疲れするが、ソースによってはZ headphonesの方が低域が出過ぎで聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-DJ700の方が上、厚みや温かみはほぼ互角。ヴォーカルは、RP-DJ700はキンキンしたり割れたりうわずったりするのが欠点、Z headphonesはとにかく曇りが欠点。艶っぽさという意味ではZ headphonesの方がやや上のように感じる。どちらもかなりノリが良いが、RP-DJ700の方が軽快、Z headphonesはスピード感に欠けるものの重みを感じる。響きはZ headphonesの方が豊かで、しかも物凄い量の低域でこもり感が気になる。弦楽器はRP-DJ700の方が線が細く表現もうまい。金管楽器はRP-DJ700の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現もRP-DJ700の方が明るく好印象。得意分野はどちらもポップス・ロック。ロックはZ headphones、それ以外はRP-DJ700。


・RP-HJE70
ATH-CK7
ATH-CK7はやや低音よりのドンシャリ、RP-HJE70はやや高音よりのドンシャリ。低域はATH-CK7の方がやや強い。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、低域や高域よりはやや弱めな印象。ATH-CK7はやや嫌味があるが、PR-HJE70はない。高域はRP-HJE70の方が細く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-HJE70の方がやや上。RP-HJE70の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HJE70の方が上。厚みはほぼ互角。温かみはどちらもあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはRP-HJE70の方がやや上。どちらもノリが良い。響きはどちらもややあっさりから適度だが、どちらかと言えばRP-HJE70の方が豊か。どちらもこもり感はあまり気にならない。硬い音を鳴らす点は良く似ているが、どちらかと言えばATH-CK7の方が柔らかい。弦楽器はどちらもあまりうまくない。特に温かみが足りないように感じる。繊細さはRP-HJE70の方が上。金管楽器はRP-HJE70の方が高く鮮やか。しっかり芯が通っていて気持ちよい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、どちらかと言えばATH-CK7の方がうまい。ATH-CK7の方が低域が出るし、RP-HJE70は線が細い感じが合わない。得意分野はどちらもポップス、RP-HJE70の聴き疲れが嫌ならATH-CK7、ATH-CK7の中域の嫌味や不自然さが気になるならRP-HJE70を使えば良いだろう。

DTX50
DTX50は低音よりのドンシャリ、RP-HJE70はやや高音よりのドンシャリ。低域はDTX50の方がかなり量が多いし、低い音を鳴らす。中域はRP-HJE70の方がやや高い音で低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はRP-HJE70の方がかなり量が多く、高く金属的な音を鳴らす。RP-HJE70と比べると、DTX50は低域が支配的で曇りやこもりが酷いということが良く分かる。分解能はRP-HJE70の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ勝っている。ただし、ソースによっては音が割れることがある。DTX50はそういう音割れとは無縁。音場感はDTX50の方が耳の近くで鳴らしている感じ。原音忠実性はどちらも周波数特性に癖があるため微妙だが、原音の粗や生っぽさが感じられるのはRP-HJE70の方。RP-HJE70の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HJE70の方が上。厚みは質感が違うので比較が難しいが、DTX50の方が線が太く一聴して厚みがあるように感じる。温かみはDTX50の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは比較が難しいが、DTX50は低域の曇りのお陰で艶っぽい感じ、RP-HJE70は付帯音が多いお陰で艶っぽい感じ。どちらもノリが良いが、DTX50が低域出ごり押ししているのに対してRP-HJE70は適度な低域や切れの良さでノリが良い感じ。響きは、低域はDTX50の方が豊か、高域はRP-HJE70の方が豊か。DTX50の方がこもりが気になる。RP-HJE70の方が締まっていて硬い音。弦楽器はDTX50の方が心地よいが、RP-HJE70の方が繊細で原音の生っぽさが感じられる。金管楽器はRP-HJE70の方がかなり高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-HJE70の方がうまい。音の質感や切れ、高域の鮮やかさで勝っている。使い分けるなら、基本的にはRP-HJE70、余程低域重視でエッジのきつさを嫌うときだけDTX50。

ER-6
ER-6はやや高音より、RP-HJE70はやや高音よりのドンシャリ。低域はRP-HJE70の方が一段低い音で量もやや多い。中域はどちらもうわずり気味ながらはっきり聴こえてくる点は似ているが、そのうわずり方がまったく違う。中高域から高域はRP-HJE70の方が出る。細く硬く金属的な鳴り。分解能はER-6の方が若干上か。音場感はどちらもなかなか良い。奥行きはER-6の方がややあるように感じるが、二次元的な横の広がりはRP-HJE70の方があるように感じる。原音忠実性はER-6の方が圧倒的に上。これはRP-HJE70が原音忠実とはかけ離れた音作りになっているせいだろう。RP-HJE70は根本的に音楽を楽しむための音作りになっていて、原音忠実性は考えていないように感じる。RP-HJE70の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。サ行の音等も痛い。どちらもかなり明瞭だが、傾向が違うので優劣はつけにくい。ER-6は低域不足と分解能の高さから来る明瞭さ、RP-HJE70はエッジのきつさと明るさから来る明瞭さ。音の鮮やかさはRP-HJE70の方が上。ER-6は地味であるのに対して、RP-HJE70はかなり派手。厚みはRP-HJE70の方がある。温かみはどちらもあまり感じられない。低域が出る分RP-HJE70の方が温かみがあるようにも感じるが、作ったような明るさのせいで台無しになっている部分も多い。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもそれなり。ER-6は原音をそれほど脚色しないレベルの艶っぽさ、RP-HJE70は脚色しすぎでソースによってはかなり擦れが気になる艶っぽさ。ノリの良さならRP-HJE70、繊細さならER-6。RP-HJE70は元気が良すぎでソースによっては音割れが気になる。響きは全体的にRP-HJE70の方が豊か。それでいてRP-HJE70の方が硬い音。弦楽器はRP-HJE70の方が楽しめる。これは適度な低域があるだけでなく、しっかりした実力に裏づけされた魅力だろう。ただ、ER-6の表現も素晴らしいのは間違いない。人によって好み・評価が大きく分かれそうな点。金管楽器はRP-HJE70の方が高く鮮やかだが、不自然すぎて受け付けない人も多そう。打ち込み系の音の表現は低域の量と音の厚みでRP-HJE70の方が合うが、エッジのきつさがあるため厳しい部分もある。得意分野はER-6がクラシック、RP-HJE70がポップス。使い分けるなら破綻してもいいから楽しくノリ良く聴きたいときはRP-HJE70、そうでなければER-6。

SE-CL30
どちらも高音よりのドンシャリ。低域の量はそれほど変わらないが、RP-HJE70の方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。SE-CL30は厚みが薄く曇っている印象。そのため、中域はRP-HJE70の方がはっきり聴こえてくる。高域はどちらもなかなかしっかり鳴らしてくれるが、RP-HJE70の方がやや明るく硬く粗がない。分解能、音場感ともにRP-HJE70の方がかなり良い。原音忠実性はどちらも良くないが、原音の実体感といったものはRP-HJE70の方が感じられる。SE-CL30はただ何となく鳴らしている印象。RP-HJE70の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてRP-HJE70の方が上。RP-HJE70の方がノリが良くしかも繊細。響きはRP-HJE70の方が豊かだが、ぼやけたような感じはなくむしろ硬い。弦楽器はSE-CL30が曇っているだけなのに対して、RP-HJE70は原音の生っぽさや心地よさがそれなりに感じられる。金管楽器はどちらもかなり高い音で好印象だが、比較するとRP-HJE70の方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-HJE70の方がうまい。厚みと切れに差がある。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもRP-HJE70の方が良いだろう。


・RP-HT510
HPS5000
どちらもドンシャリだが、HPS5000の方がやや低音より。ただし、HPS5000の低域の聴こえ方は頭の幅によってかなり違ってくるので参考程度。高域はRP-HT510の方がかなり強い。分解能及び原音忠実性はHPS5000の方が上。音場感はRP-HT510の方がやや良いように感じる。RP-HT510の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT510の方が若干上。どちらもかなりノリが良い。響きはどちらもあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHPS5000の方がうまい。金管楽器はRP-HT510の方が一段高い音を鳴らすのだが、いかんせん割れすぎでチープな音。得意分野はどちらもポップス。使い分け以前に、HPS5000は装着感が悪すぎてNG、RP-HT510は聴き疲れし過ぎでNGという人が多いだろう。

HP-X122
どちらもドンシャリだが、RP-HT510の方が高音より。超低域はHP-X122の方がかなり出る上厚みもある。高域はRP-HT510の方が細く高い。分解能、原音忠実性はHP-X122の方が上、音場感はほぼ互角。RP-HT510は非常にエッジがきつくしかもホワイトノイズが大きいため聴き疲れするが、HP-X122はそれほどでもない。明瞭さや音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ、ノリの良さはHP-X122の方が上。響きはどちらも適度だが、HP-X122の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-X122の方が上。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもHP-X122の方が良い。

RP-HT560
RP-HT510は高音よりのドンシャリ、RP-HT560はかなりフラット。低域は、量は大差ないがRP-HT510の方が不自然に低くて厚みがある。中域はRP-HT510の方がうわずっていて嫌味がある。高域はRP-HT510の方が細く高く突き刺さってくるような音。分解能はRP-HT510の方がやや良いように感じるが、音が細く割れているだけにも思える。音場感はほぼ同等。原音忠実性はRP-HT560の方が上。RP-HT510の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRP-HT510の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT560の方がやや上。RP-HT510の方がノリが良く、RP-HT560の方が粗がない。響きはどちらもややあっさりでほぼ同等。弦楽器はRP-HT560の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRP-HT510の方が高く鮮やかだが、非常に聴き疲れするので、普通に聴くならRP-HT560の方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はRP-HT510の方がややうまいように感じるが、中高域から高域は金管楽器同様非常に聴き疲れするので、普通はRP-HT560を推す。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、RP-HT510はあまりに聴き疲れするので、基本的にはRP-HT560、聴き疲れを度外視して明るさやノリの良さを重視するならRP-HT510。

VR-403SV
どちらもドンシャリだが、VR-403SVの方がフラット。低域は、全体的な量はほぼ同量だが、厚みはRP-HT510の方がかなりある。と言うより、むしろVR-403SVが薄いと言う方が的確なのかもしれない。高域は圧倒的にRP-HT510の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-HT510の方がやや上。RP-HT510の方がエッジがきつく聴き疲れする。高域がかなり強い上、音が割れて突き刺さってくる感じ。その反面、VR-403SVは曇っている。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はRP-HT510の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはVR-403SVの方がやや上。RP-HT510の方がノリが良い。響きはVR-403SVの方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてRP-HT510の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならジャンルではなく、聴き疲れしてもいいならRP-HT510、聴き疲れしたくないならVR-403SVという方法が良いだろう。RP-HT510はとにかく疲れるし、音が割れる。


・RP-HT560
CPH7000
CPH7000はややかまぼこ、RP-HT560はかなりフラット。低域はRP-HT560の方が出る。特にローエンドは差が大きい。中域はCPH7000の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域は量的にはあまり大きな差はないが、CPH7000の方がやや硬く金属的。分解能はCPH7000の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性は癖のなさという意味ではRP-HT560の方が上だが、原音の粗や生っぽさはCPH7000の方が感じられる。エッジのきつさはあまり差がない。どちらかと言えばRP-HT560の方がきついが、CPH7000の方が中域がキンキン突き刺さってくるため、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはCPH7000の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT560の方が上。どちらも比較的冷静な鳴らし方。響きはRP-HT560の方が豊か。弦楽器はRP-HT560の方が心地よい。金管楽器はCPH7000の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現は、厚みや切れを重視するならCPH7000、低域の量を重視するならRP-HT560が良いだろう。使い分けるなら、分解能や明瞭さを重視するならCPH7000、低域の量や癖のなさを重視するならRP-HT560。

HP830
HP830はややドンシャリ、RP-HT560はかなりフラット。低域はHP830の方がしっかりと低い音を鳴らすが、量的にはあまり差はない。中域はどちらも低域に負けず、しかも変な癖もなくしっかり聴こえてくる。高域はHP830の方が若干高くとがった鳴らし方。分解能はHP830の方がやや上。音場感はほぼ互角。原音忠実性は癖のなさという意味ではRP-HT560の方が良いが、原音の実体感が感じられるという意味ではHP830の方が上。HP830の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHP830の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT560の方がやや上。HP830の方がかなりノリが良い。HP830と比べると、RP-HT560はただ何となく鳴らしている感じに聴こえる。響きはほぼ同等だが、どちらかと言えばRP-HT560の方が豊か。弦楽器はチェロやコントラバス等を聴くならHP830の方が合うが、そうでなければRP-HT560の方が心地よく聴ける。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、力強さで勝るHP830の方が優れているように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、HP830の方が楽しく聴ける。厚み、切れ、スピード感、すべてにおいて勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、ノリ良く楽しみたいときにはHP830、癖なくおとなしく聴きたいときにはRP-HT560。

RH-300
RH-300はややドンシャリ、RP-HT560はかなりフラット。低域の量はあまり差がないが、RP-HT560の方が若干低い音でかつ軽い音。RH-300の方が凹凸無く低域と中域が繋がっている感じ。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、RP-HT560の方がやや高い音で目立つ。ただ、これはどちらかと言うとRH-300の音が低めと言った方が適切だろう。高域はかなり似た音だが、RH-300の方がやや金属的。分解能はRH-300の方が上。音場感はほぼ互角。原音忠実性はRH-300の方が上。RP-HT560の方がやや作ったような明るさがある。RP-HT560の方が若干エッジがきつめだが、ほとんど差は無い。どちらもそれほど聴き疲れしないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、どちらかと言えば作ったような明るさのあるRP-HT560の方が良いように感じる。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRH-300の方が上。どちらもノリが良い傾向だが、RP-HT560の方が軽快で明るい感じがする。RH-300の方が多少モニター的な冷静さがある。響きはRP-HT560の方がやや豊か。RH-300の方が密度が高く圧力のある鳴らし方。RH-300と比べてRP-HT560がそれほど劣るとは感じないが、やはりどこか軽く軽薄な音に感じる。弦楽器はRH-300の方が心地よい。金管楽器はどちらもなかなかうまい。実体感を重視するならRH-300、明るさを重視するならRP-HT560といった感じだろうか。打ち込み系の音の表現も、どちらもかなりうまい。厚みや圧力を重視するならRH-300、明るさを重視するならRP-HT560か。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはRH-300で、明るさが欲しいときにはRP-HT560か。とは言っても、かなり似ている傾向の機種ではある。

RP-HT510
RP-HT510は高音よりのドンシャリ、RP-HT560はかなりフラット。低域は、量は大差ないがRP-HT510の方が不自然に低くて厚みがある。中域はRP-HT510の方がうわずっていて嫌味がある。高域はRP-HT510の方が細く高く突き刺さってくるような音。分解能はRP-HT510の方がやや良いように感じるが、音が細く割れているだけにも思える。音場感はほぼ同等。原音忠実性はRP-HT560の方が上。RP-HT510の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRP-HT510の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT560の方がやや上。RP-HT510の方がノリが良く、RP-HT560の方が粗がない。響きはどちらもややあっさりでほぼ同等。弦楽器はRP-HT560の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRP-HT510の方が高く鮮やかだが、非常に聴き疲れするので、普通に聴くならRP-HT560の方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はRP-HT510の方がややうまいように感じるが、中高域から高域は金管楽器同様非常に聴き疲れするので、普通はRP-HT560を推す。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、RP-HT510はあまりに聴き疲れするので、基本的にはRP-HT560、聴き疲れを度外視して明るさやノリの良さを重視するならRP-HT510。

SK PRO
RP-HT560はかなりフラット、SK PROは低音よりのドンシャリ。低域はSK PROの方がやや量が多いが、質的にぼやけ気味なところは似ている。中域はPR-HT560の方が低域に邪魔されない上若干高い音ではっきり聴こえてくる。高域はほぼ同量で、質的にも近いが、RP-HT560の方がやや金属的な鳴り。分解能はRP-HT560の方が上。音場感はほぼ同等。原音忠実性はPR-HT560の方が上。エッジのきつさはほぼ同等で、聴き疲れも同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HT560の方が上。厚みはSK PROの方がある。温かみは低域が出る分SK PROの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良い傾向ではあるのだが、RP-HT560の方が軽くて爽やか、SK PROの方が骨太で圧力があるという違いがある。響きは、低域はSK PROの方が豊か、高域はRP-HT560の方が豊か。弦楽器はSK PROの方が滑らかで心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを求めるならRP-HT560の方が良い。金管楽器はRP-HT560の方が明るいが、SK PROに比べると軽薄な感じに聴こえる。打ち込み系の音の表現も同様で、圧力や迫力を求めるならSK PROの方が良いだろう。使い分けるなら、明るく爽やかに聴きたいならRP-HT560、厚みや低域の量を求めるならSK PRO。


・RP-HT770
DR150
DR150はややドンシャリ、RP-HT770はやや低音より。低域はDR150の方が低い音を鳴らすし量も多い。中域はDR150が素直に出るのに対して、RP-HT770はやや低域の曇りに覆われ、しかも若干うわずり気味。高域はDR150の方が高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてDR150の方が良い。DR150の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDR150の方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろDR150の方が良い。響きはDR150の方がやや豊か。RP-HT770はDR150に比べると全体的に曇っていて明瞭さが無く、ただ何となく鳴らしているように感じる。弦楽器はDR150の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はDR150の方がかなり鮮やか。打ち込み系の音の表現はDR150の方がややうまい。厚みや低域の量感で勝っているため。使い分けるなら、基本的にはDR150、よほど聴き疲れを避けたいときだけRP-HT770。

DTX900
DTX900はややドンシャリ、RP-HT770はやや低音より。低域も高域もDTX900の方がしっかり出る。分解能はDTX900の方が上、音場感はほぼ互角。DTX900の方が原音に近いが、ややエッジがきつい。ただ、これはDTX900がきついというよりもRP-HT770がきつくないという表現の方が正しいだろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDTX900の方が良い。RP-HT770は霞がかかったような曇った音で、ノリが悪く繊細さにも欠ける。響きはDTX900はあっさり、RP-HT770は適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDTX900の方がワンランク上の表現力。得意分野はDTX900がジャズ、RP-HT770がポップスだが、何を聴くにしてもDTX900の方が魅力的。

HD497
どちらもやや低音より。超低域はHD497の方が出るが、厚みは互角でどちらも程々。高域はHD497はそれなりに聴こえてくるがRP-HT770はあまり聴こえてこない。分解能はHD497の方が上、音場感はほぼ互角。HD497の方が圧倒的に原音に近く自然で魅力的。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、RP-HT770の方が曇っている分聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてHD497の方が上。HD497の方がノリが良くそれでいて繊細。響きはHD497の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにHD497の方が魅力的。弦楽器は生っぽさにはやや欠けるものの自然で伸びが良く温かみにあふれている。金管楽器にはSENNHEISERにありがちな曇った感じはなく、鮮やかで高い音を鳴らしてくれる。RP-HT770が曇っているため余計そう感じるのかもしれないが。打ち込み系の音の表現はHD497の方がうまい。得意分野はHD497がクラシック、RP-HT770がポップスだが、何を聴くにしてもHD497の方が上。使い分ける必要はない。

HP-AK101
どちらもやや低音より。低域、高域ともにHP-AK101の方が若干出る。基本的にはかなり近い周波数特性。分解能、音場感ともにHP-AK101の方がやや上。どちらも癖があり原音忠実性はいまいち。HP-AK101は独特の嫌味がありしかも粗がある。RP-HT770はHP-AK101ほど粗はないが、かすんでいる。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかといえばHP-AK101の方が疲れる。特にキンキンした女性ヴォーカル等はその傾向が顕著。明瞭さや音の鮮やかさはHP-AK101の方が上。厚み、密度、情報量はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRP-HT770の方が若干上。ノリの良さならHP-AK101、繊細さならRP-HT770の方が上。響きはどちらも適度だが、HP-AK101の方が音に広がりがある。弦楽器はRP-HT770の方がマイルドで心地よい。金管楽器はHP-AK101の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-AK101の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら弦楽器メインのクラシックはRP-HT770、それ以外はHP-AK101といった感じか。ただ、基本的にはどちらもやや低音よりでしかも原音からは遠い音を鳴らすという似たところのある機種なので、どちらか片方あれば良い機種と言える。

MDR-F1
どちらもやや低音より。超低域は若干MDR-F1の方が出るが、全体的にはRP-HT770の方が出る。鳴らし方が違うのでソースによって違ってくる。ただ、大抵のソースではRP-HT770の方が曇ったような感じになる。高域はほぼ同量だが、若干RP-HT770の方が出るか。分解能はどちらもいまいちだが、MFR-F1の方が若干良い。音場感、原音忠実性はMDR-F1の方が上。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすいが、どちらかといえばRP-HT770の方が疲れる。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-F1の方がやや良い。厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-F1の方がある。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはどちらもやや豊か出ほぼ互角。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべて若干MDR-F1の方が良い。弦楽器にしろ金管楽器にしろ、どちらもやや原音とは違う上に嫌味のある癖が出てしまうが、RP-HT770の方がやや癖が強い。どちらも得意というほど得意なジャンルはないような気がするが、あえて挙げるならMDR-F1はロック、RP-HT770はポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-F1の方が良いだろう。コストパフォーマンスは明らかにRP-HT770の方が上だが、価格を考えなければ若干MDR-F1の方が音質的なものは上。

SE-A1000
SE-A1000はドンシャリ、RP-HT770は低音より。超低域はSE-A1000の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。ただ、どちらもやや癖があるようで、SE-A1000はややぼわつく感じ、RP-HT770はかなり曇った感じになる。高域は圧倒的にSE-A1000の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-A1000の方が上。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、RP-HT770の方が芯の通った感じがありやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はSE-A1000の方がかなり良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかといえばSE-A1000の方が上。SE-A1000はノリの良さと繊細さを併せ持っているという感じだが、RP-HT770はノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはSE-A1000の方が豊か。SE-A1000は良くも悪くもサラサラした感触があるが、RP-HT770はない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-A1000の方が魅力的。弦楽器はRP-HT770には嫌味のある癖が出るが、SE-A1000はない。金管楽器はSE-A1000にはPioneerらしい癖があるが、それが気にならない人には非常に魅力的といえるだろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-A1000の方が上。RP-HT770は曇った感じと嫌味がかなりマイナス。

T50RP
RP-HT770はやや低音より、T50RPは低音よりのかまぼこ。低域はどちらも薄く全体的に鳴らす感じだが、どちらかと言えばRP-HT770の方が厚いか。高域はRP-HT770の方がかなり出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてT50RPの方がやや上。どちらも聴き疲れしないレベルだが、どちらかと言えばT50RPの方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRP-HT770の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはT50RPの方が上。どちらも曇りが気になるが、RP-HT770の方がまだマシ。RP-HT770の方が明るくノリが良い。響きはT50RPの方が豊か。弦楽器はどちらもいまいちだが、T50RPの方がまだ聴ける。RP-HT770は曇っているのにうわずっている独特の癖がある。金管楽器はRP-HT770の方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-HT770の方が明るく、うまい。使い分けるなら、ポップスやロック、ブラスメインの曲はRP-HT770、それ以外はT50RPか。


・RP-HTX7
DT231PRO
DT231PROは高音よりのドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はRP-HTX7の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるが、全体的な量はDT231PROの方がやや多く、柔らかくぼやけている。中域はRP-HTX7の方が低域の曇りに邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方がやや高い音を鳴らすが、量はDT231PROの方が多い。分解能は微妙。音の分離はRP-HTX7の方が良いが、微細な表現はDT231PROの方がうまい。音場感はRP-HTX7の方が明確で良い。原音忠実性はDT231PROの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる。DT231PROの方が若干エッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはRP-HTX7の方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはRP-HTX7の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはDT231PROの方がかなり上。RP-HTX7の方がノリが良い。響きはDT231PROの方が豊か。DT231PROがウォームかつ刺激的なのに対して、RP-HTX7は冷たくタイト。弦楽器はDT231PROの方が心地よい。金管楽器はどちらも鮮やかだが、DT231PROはやや音が割れすぎ、RP-HTX7はあっさりしすぎ。打ち込み系の音の表現はRP-HTX7の方がうまい。付帯音が少なく、タイトな鳴らし方。得意分野はDT231PROがジャズ、RP-HTX7がポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT231PRO、ポップスやロックはRP-HTX7。

HP830
HP830はやや低音よりのドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなりしっかり低い音を鳴らしてくれるが、HP830の方がやや量が多い。中域はRP-HTX7の方がはっきり聴こえてくる。これは低域の量が少ない上、ややうわずり気味なため。高域はRP-HTX7の方が細く高い音を鳴らすが、量的にはやや少ないように感じる。分解能及び原音忠実性はHP830の方が上。音の分離にしろ微細な表現にしろ、HP830の方が良い。音場感はほぼ同等だが、どちらかと言えばHP830の方が良い。RP-HTX7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは低域の量が少ない分RP-HTX7の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ同等。厚みはHP830の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP830の方がかなり上。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、HP830の方が上。響きはHP830の方が豊か。RP-HTX7の方が全体的にタイトで硬い音を鳴らす。弦楽器はHP830の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRP-HTX7の方がやや高い音を鳴らすが、ソースによってはややチープに感じるし、HP830の方が力強い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、低域の量感や音の厚みで勝っている分HP830の方がうまいように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはHP830、よほどタイトな音を求めるときだけRP-HTX7。

HP-X122
HP-X122はドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はHP-X122の方が全体的に量が多いが、RP-HTX7の方がやや低い音でタイト。中域はRP-HTX7の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方が細く硬く高い音だが、量はそれほど差が無い。分解能はRP-HTX7の方が上。微細な表現はHP-X122の方が良いようにも感じるが、音の分離はRP-HTX7の方がかなり良い。音場感はRP-HTX7の方が立体的で明確。原音忠実性はHP-X122の方が上。RP-HTX7は中域がうわずっている上、低域が低くタイト過ぎるし、硬く芯が通り過ぎている。エッジのきつさはほぼ互角だが、RP-HTX7の方が硬く芯の通った音でやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HTX7の方が上。厚みは付帯音の量がかなり違うため判断しづらいが、基本的にはRP-HTX7の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方がやや上。どちらもかなりノリが良い。響きはHP-X122の方が豊かでこもり感が気になる。RP-HTX7の方がタイトで付帯音の少ない音。弦楽器はHP-X122の方が心地よい。金管楽器はRP-HTX7の方が高く鮮やかだが、ソースによってはチープに感じる。打ち込み系の音の表現はどちらもかなりうまいが、RP-HTX7の方が低域のタイトさ、切れで勝っている。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、付帯音が多く多少ぼやけていても良いならHP-X122、付帯音が少なくタイトな音を求めるならRP-HTX7。もしくは、音場感を重視するならRP-HTX7、そうでも無いならHP-X122という使い分けもありだろう。

MDR-7506
MDR-7506はやや低音よりのドンシャリ、RP-HTX7はやや高音よりのドンシャリ。低域はRP-HTX7の方がやや低い音を鳴らすが、全体的な量はMDR-7506の方がかなり多いし、厚みや弾力のある鳴らし方。中域はRP-HTX7の方がややはっきり聴こえてくるが、これは低域の量云々よりもうわずっているためだろう。中高域から高域はRP-HTX7の方が細く硬く高い音を鳴らすが、全体的な量はMDR-7506の方がやや多いように感じる。分解能及び原音忠実性はMDR-7506の方がかなり上。音場感はほぼ互角。RP-HTX7の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さは低域の量がかなり少ない分RP-HTX7の方がやや良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-7506の方が上。MDR-7506の方がノリが良い。響きはMDR-7506の方が豊か。RP-HTX7の方がタイトで付帯音が無い。あまりにも飾り気の無い音。弦楽器はMDR-7506の方が原音に近い上、心地よい。金管楽器はRP-HTX7の方が高い音を鳴らすがソースによってはチープに感じる。MDR-7506の方が力強く原音に近い。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、RP-HTX7は低域がタイトすぎて量が足りない気がする。使い分けるなら、基本的にはMDR-7506、よほど低域のタイトさが欲しいときや付帯音の無さが欲しいときだけRP-HTX7。

mix-style headphones
mix-style headphonesは低音よりのかまぼこ、RP-HTX7はややドンシャリ。低域は量的にはそれほど差を感じないが、RP-HTX7の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし厚みが圧倒的に上。中域はRP-HTX7の方が低域の曇りに覆われない上、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はRP-HTX7の方が圧倒的に高い音で量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてRP-HTX7の方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろRP-HTX7の方がかなり上。音場はRP-HTX7の方が立体感があり明確。mix-style headphonesは原音の粗や生っぽさがまったく感じられないが、RP-HTX7はそれなりに感じられる。RP-HTX7の方がエッジがきつく基本的には聴き疲れしやすいが、mix-style headphonesはハウリングするような感じでRP-HTX7より疲れる面もある。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてRP-HTX7の方が上。特に明瞭さや音の鮮やかさは雲泥の差。RP-HTX7の方がかなりノリが良く、繊細さでも負けていない。響きはmix-style headphonesの方がやや豊かで、非常にこもり感が気になる。弦楽器はRP-HTX7の方が繊細で澄んでいる。金管楽器はRP-HTX7の方が高く鮮やかで楽しめる。mix-style headphonesはまったくと言っていいほど聴こえてこない。打ち込み系の音の表現はRP-HTX7の方がうまい。厚み、切れ、低域の質感等、様々な点で勝っている。ほとんど何を聴くにしてもRP-HTX7の方が良いだろう。


・RS-1
K701
K701はかなりフラット、RS-1はややドンシャリ。低域はRS-1の方がしっかり低い音を鳴らすが、全体的な量はほぼ同量。K701の方がローエンドまでフラットでやや曇っているような感じ。中域はRS-1の方がはっきり聴こえてくる。低域の曇りとは無縁なことと、K701よりも若干高めの音を鳴らすため。高域は、RS-1の方がややとがった高い音。分解能はRS-1の方が上。音の分離、細部の表現ともにやや勝っている。音場感は単純な優劣はつけられない。二次元的な広さではK701に分があるが、RS-1は奥行きがあり明確。3次元的な広さ、平面的あるいは立体的明確さ、残響音の利用の仕方等まですべて含めるとRS-1の方が上だろう。原音忠実性はどちらも良いが、どちらかと言えばRS-1の方が上。K701は曇っているように感じる部分があるし、原音の粗や生っぽさが感じられない。RS-1の方がエッジがきついが、聴き疲れとしてはまったく問題ないレベル。むしろK701のエッジが無さすぎと言うべきだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはRS-1の方が上。低域の曇りが無く、抜けが良く、どの音域も明確に聴こえてくる。それでいて輪郭が過剰に明確であるということがない。厚みは単純には比較できない。RS-1の方が全体的にタイト。どちらも音の圧力はしっかりある。温かみはK701の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方がやや上。ノリの良さならRS-1、繊細さならK701。ただし、どちらもノリの良さと繊細さを非常に高いレベルで両立しており、総合的に見てRS-1は若干ノリの良い側へ、K701は若干繊細な側へバランスが振れているように感じる、と言った程度。RS-1の方が爽やかでテンションが高い。K701の方がしっとりしているがそれでいて圧力では負けていない。響きはRS-1の方がやや豊かだが、抜けも良いため、一聴してK701の方が響きが豊かと感じる人も多そう。RS-1はしっかり音が抜けていくのに対して、K701は意外と高い圧力で叩きつけられた音が抜けずに潰れる印象。弦楽器は低域の質感から、心地よさではK701の方が上に感じられるが、基本的な表現力はRS-1の方が勝っている。金管楽器はどちらもうまいが、RS-1の方がやや高く鮮やか。細部の音の割れ方までしっかり表現してくれるし、何より聴いていて楽しい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、どこか物足りない。K701は明るさやテンションの高さが足りないし、RS-1は低域の量やどこかソフトな感じが不満。どちらもかなりオールマイティーと言ってよい。使い分けるなら、基本的にはRS-1、RS-1ではテンションが高すぎたり抜けが良すぎたりする場合にはK701。

MDR-SA5000
RS-1はややドンシャリ、MDR-SA5000はやや高音より。どちらも超低域が弱めなところは良く似ているが、ややRS-1の方が出るし、低域の厚みもRS-1の方がある。高域はほぼ互角で、どちらも質・量ともに非常に充実している。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方が若干良い。ただし、音場感はどちらもかなり個性的で、RS-1はハウジング内で一つのホールが形成されている感じ、MDR-SA5000は2階席からステージを見下ろしている感じ。RS-1の方が癖がなく原音に近い自然な音。しかもエッジがきつくなく聴き疲れしない。明瞭さは低音が出ない分ややMDR-SA5000の方が良いが、音の鮮やかさはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方が上。RS-1の方がノリが良くしかも繊細。MDR-SA5000はある種モニター的な冷静さがある。MDR-SA5000の方が芯の通った音。響きはRS-1の方が豊か。弦楽器はRS-1の方が心地よく楽しめる。金管楽器、打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか鮮やかで、ほぼ互角。どちらも非常にオールマイティーだが、単純に音楽を楽しみたいならRS-1の方がほとんどの場合に向いているように感じる。

SR-007+SRM-717
RS-1はややドンシャリ、SR-007+SRM-717はフラット。低域はSR-007+SRM-717の方がローエンドまで出るが、厚みはRS-1の方があるし、全体的な量もRS-1の方が多い。中域はRS-1の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSR-007+SRM-717の方がやや高い音だが、量はRS-1の方が多い。分解能はどちらも非常に良いが、SR-007+SRM-717の方が若干粗がなく良好。音場感は、立体感はほぼ互角だが、SR-007+SRM-717の方が全体的に広く明確。原音忠実性はRS-1の方が良いように感じる。SR-007+SRM-717はコンデンサー型独特の質感がある上、原音の粗や生っぽさが感じづらく、低い音は低く高い音は高く鳴らしすぎる傾向があるように感じるが、RS-1はその点においてより癖がなく自然。エッジのきつさはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRS-1の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSR-007+SRM-717の方が上。ノリの良さならRS-1、繊細さならSR-007+SRM-717。響きはSR-007+SRM-717の方が豊か。RS-1の方がかなり抜けが良い。弦楽器はSR-007+SRM-717の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRS-1の方が鮮やかで力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はRS-1の方がうまい。何と言ってもテンションの高さが違う。使い分けるなら、明るく楽しみたいときはRS-1、しっとりじっくり聴きたいときはSR-007+SRM-717。

SR-225
どちらもややドンシャリ。全体的に非常に近い音。超低域は弱めだが、厚みはかなりある。高域はかなり強め。違いは微妙だが、RS-1の方が若干低音が出るようだ。分解能はRS-1の方がやや上。音場感はほぼ同等だが、RS-1はSR-225にはない独特の空気感があり、立体感があるようにも感じる。どちらも意外と原音に近いが、原音忠実性という意味ではRS-1の方が若干上。SR-225の方がややエッジがきつく粗があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みは互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方が上。ノリの良さならSR-225、繊細さならRS-1。響きはRS-1の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにRS-1の方が心地よく楽しめる。打ち込み系の音の表現は互角。RS-1の方が柔らかく水気のある音。豊潤で情緒がある。一方SR-225は粗のある乾いた音。RS-1はかなりオールマイティー、SR-225はロックが得意。使い分けるならロックはSR-225、それ以外はRS-1。まったく違う音という評価を耳にするわりにはかなり似た音を鳴らす。簡単に言うと、明らかに同一メーカーと分かる音。ただし、聴きこむと決定的な違いがあるのも確か。

SR-325i
かなり良く似た音だが、聴き込むと決定的に違う傾向であることが分かる。SR-325iの方が高域がやや強めか。周波数特性そのものは非常に近い。分解能はRS-1の方が上、音場感はほぼ互角だが、RS-1にはSR-325iにはない独特の空気感がある。原音忠実性はほぼ互角。RS-1は意図的に原音の痛さを消しているように感じるし、SR-325iは原音忠実性ではなくピーキーさのあるテンションの高さを重視した音作りになっている。SR-325iの方が硬い音で、しかも高域も強めなため、聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-325iの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方が上。ノリの良さならSR-325i、繊細さならRS-1。響きはRS-1の方が豊か。弦楽器はRS-1の方が心地よく聴ける。金管楽器は、シンバル等に金物的な鳴りを求めるならSR-325iの方が上だが、そうでないならほぼ互角。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。SR-325iはテンションの高さ、RS-1は柔らかな心地よさが売りのように思う。使い分けはその『売り』と気分に合わせてすれば良いだろう。

SRS-4040
RS-1はややドンシャリ、SRS-4040はやや高音より。超低域はSRS-4040の方がかなり出るが、厚みはRS-1の方がある。高域はどちらも質・量ともに最高レベル。分解能、音場感はSRS-4040の方が若干上。原音忠実性はRS-1の方がやや上。RS-1の方が原音の粗が感じられるし、コンデンサー型のような独特の質感も無い。どちらも聴き疲れしないが、どちらかといえばRS-1の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRS-1の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-4040の方が若干上。どちらも非常に繊細で柔らかい。ただ、RS-1はノリの良さもあるのに対して、SRS-4040は芯までとろけきった柔らかさ。響きはどちらも豊か。弦楽器はどちらも伸びが良く楽しめるが、SRS-4040の方がまろやかで心地よい。金管楽器はRS-1の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもあまり得意ではないが、どちらかといえばRS-1の方がメリハリがありうまい。RS-1はオールマイティー、SRS-4040はクラシックが非常に得意。使い分けるならポップスやロックはRS-1、それ以外はSRS-4040。


・SD-2900CD
AU-618
AU-618はややかまぼこ、SD-2900CDはやや低音より。低域はどちらも薄く不満が残るが、SD-2900CDの方がやや出る。高域もSD-2900CDの方が若干強いようだ。ただし、大抵のソースでは低域の曇りが邪魔をしてまともに聴けない。分解能、音場感、原音忠実性すべてSD-2900CDの方が上。どちらも聴き疲れしない。どちらもかなり曇りが気になるが、どちらかと言えばAU-618の方がマシ。低域が出ない分、明瞭さはややAU-618の方が良いように感じるが、音の鮮やかさはSD-2900CDの方が上。厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSD-2900CDの方が上。SD-2900CDの方が繊細。響きはSD-2900CDの方が豊か。AU-618の方が癖のない音。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSD-2900CDの方が上。金管楽器の音の高さだけ見ればAU-618の方が高いのだが、密度が薄く粗が目立つ。これは他の楽器においてもかなり致命的。得意分野はAU-618がポップス、SD-2900CDがクラシック。個人的には、ほとんど何を聴くにしてもSD-2900CDの方が良いように感じるが、曇りが嫌いで低域不足でも構わないという人にはAU-618の方が合うかもしれない。

HFI-15G
どちらも低音より。低域、高域ともにHFI-15Gの方がやや強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHFI-15Gの方がやや上。どちらもエッジはきつくなく、聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHFI-15Gの方が上。HFI-15Gの方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもやや豊か。SD-2900CDは低音がそれほど強いわけでもないのに曇りが非常に気になるが、HFI-15Gは低音よりのわりにはそれほど気にならない。HFI-15Gの方が圧倒的に力強い鳴らし方をしてくれる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHFI-15Gの方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもHFI-15Gの方が良いように感じる。

PX100
どちらも低音より。低域、高域ともにPX100の方がやや強い。PX100の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてPX100の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく、聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてPX100の方が上。PX100の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらもやや豊か。SD-2900CDは低音がそれほど強いわけでもないのに曇りが非常に気になるが、PX100は低音よりのわりにはそれほど気にならない。PX100の方が圧倒的に力強く繊細。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてPX100の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもPX100の方が良いように感じる。


・SE-900D
ATH-M40fs
どちらもややかまぼこ。低域はSE-900Dの方が低い音。ATH-M40fsの方が薄く曇ったような低域。中域はSE-900Dの方がやや高い音で、低域と繋がっていないような感じではっきり聴こえてくる。高域はSE-900Dの方がやや高い音。分解能はほぼ互角。音場感はどちらもあまり良くはないが、SE-900Dの方がやや上。原音忠実性はATH-M40fsの方が上。ATH-M40fsの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはSE-900Dの方が低域の曇りがなく、かなり上。音の鮮やかさもどちらかと言えばSE-900Dの方が上。厚みはSE-900Dの方がしっかりある。温かみはSE-900Dの方が多少感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは表現の違いはあるがほぼ同レベル。ノリの良さにしろ繊細さにしろ、SE-900Dの方がやや上のように感じられる。ATH-M40fsはモニター的で冷静な鳴らし方。響きはSE-900Dの方がやや豊か。弦楽器はSE-900Dの方が心地よい。ATH-M40fsはかなり味気なく冷たい感じ。金管楽器はSE-900Dの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-900Dの方がうまい。厚み、切れ、低域の質感等で勝っている。使い分けるなら、基本的にはSE-900D、原音忠実性を最優先するならATH-M40fs。

ATH-SX1
SE-900Dはかなりフラット、ATH-SX1はかまぼこ。超低域はATH-SX1の方が出るが、低域の厚みはSE-900Dの方がある。高域はほぼ互角だが、中高域はSE-900Dの方がやや高い。分解能はATH-SX1の方が若干上、音場感はSE-900Dの方が若干上。ATH-SX1の方が原音に近いが、エッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等ほぼ互角。SE-900Dの方がノリが良い。響きはSE-900Dの方が豊か。SE-900Dの方が線の太い音。ATH-SX1の方が細く硬い芯の通った音。弦楽器はSE-900Dの方が伸びが良く楽しめる。金管楽器はやや低めながらATH-SX1の方が魅力的。打ち込み系の音の表現はATH-SX1の方がややうまい。使い分けは難しい。強いて言うなら気分。

dj1001
SE-900Dはかなりフラット、dj1001はかまぼこ。SE-900Dの方が低域も高域も出る。特に超低域は差がある。dj1001はまったく足りていないが、SE-900Dは少なくとも必要最小限は出る。分解能、音場感はdj1001の方が若干良い。SE-900Dの方が原音忠実でしかもエッジがきつくなく聴きやすい。dj1001の方が明瞭だがSE-900Dの方が鮮やか。厚みはほぼ互角。温かみヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方が良い。SE-900Dの方がノリが良い。響きはSE-900Dの方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-900Dの方が良い。弦楽器は伸びが良く楽しめるし、金管楽器は一段高い音を鳴らしてくれる。ただし、金管楽器はPioneer独特の癖が出るし、打ち込み系の音は切れを求めるならdj1001の方が良いこともある。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-900Dの方が良いような気がするが、dj1001には独特の魅力があるのも確か。個人的には、常用にはSE-900Dを使って、たまにdj1001を聴くのが良いように思う。

HFI-650
SE-900Dはかなりフラット、HFI-650はややドンシャリ。超低域はSE-900Dの方が出るが、低域の厚みそのものはHFI-650の方がある。中域〜高域はほぼ同量。一聴して、HFI-650の方がドンシャリに感じる。分解能、音場感ともに若干HFI-650の方が良い。原音忠実性はSE-900Dの方がやや上。ただし、SE-900Dにしてもやや癖はある。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかといえばHFI-650の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはHFI-650の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方が上。ノリの良さならHFI-650、繊細さならSE-900D。響きはSE-900Dの方が豊か。弦楽器はSE-900Dの方が伸びが良く心地よく楽しめるが、音そのものが気に入らない人もいるかもしれない。そういう意味では若干HFI-650の方が良いだろう。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やかな音を鳴らす。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、厚みと切れでHFI-650の方がやや良いように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、弦楽器や女性ヴォーカルものはSE-900D、それ以外はHFI-650。

HP-M1000
SE-900Dはかなりフラット、HP-M1000はドンシャリ。低域は全体的にHP-M1000の方が出る。中域〜高域はほぼ同等。分解能、音場感、原音忠実性はSE-900Dの方がやや上。どちらもエッジがきつくなく非常に聴きやすい。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはHP-M1000の方が上。厚み、密度はSE-900Dの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さならHP-M1000、繊細さならSE-900D。響きはどちらも適度。SE-900Dは地味ながら安定感のある音。HP-M1000は明るく楽しめる音。弦楽器、金管楽器はSE-900Dの方がうまい。HP-M1000は余計な音を鳴らしすぎて原音とは違う感じ。ただ、全体の雰囲気は出る。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、HP-M1000の方が若干上。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならロックやポップスはHP-M1000、それ以外はSE-900D。

MDR-CD3000
どちらもかなりフラット。SE-900Dの方がかまぼこ。低域は全体的にMDR-CD3000の方が出る。高域も若干MDR-CD3000の方が強い。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-CD3000の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかといえばMDR-CD3000の方が疲れる。明瞭さはほぼ互角だが、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてMDR-CD3000の方が上。MDR-CD3000の方がノリが良くしかも繊細。響きはMDR-CD3000の方が豊かだが、こもり感は感じない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてMDR-CD3000の方がうまい。何を聴くにしてもMDR-CD3000の方が良いだろう。

MV1
MV1は高音よりのかまぼこ、SE-900Dはややかまぼこ。低域はSE-900Dの方がかなり出る。中域は低域が出ないことと上ずっていることからMV1の方がかなり目立つ。高域はSE-900Dの方が高い音を鳴らすが、量的な差はあまり感じない。分解能及び原音忠実性はSE-900Dの方が上。MV1はとにかく低域が弱すぎるし、音の分離はともかく微細な表現ではSE-900Dの方がかなり上。音場感はMV1の方がやや上。SE-900Dの方がややエッジがきついが、MV1は中域がキンキンと突き刺さってくるのが痛く、総合的な聴き疲れはMV1の方が悪いだろう。明瞭さは低域が弱いことと中域が上ずっていることからMV1の方がやや良いように感じるが、音の鮮やかさはどちらもやや不満が残る。厚みはほぼ互角。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方がかなり上。ノリの良さにしろ繊細さにしろSE-900Dの方が良いように感じる。響きはSE-900Dの方が豊か。弦楽器はSE-900Dの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかで力強いが、SE-900Dの方が高い音を鳴らしてくれるぶん楽しめる印象。打ち込み系の音の表現は、質感的にはどちらもなかなか相性が良いが、MV1は低域が不足しすぎ。その点、SE-900Dは適度な低域がある。使い分けるなら、基本的にはSE-900D、余程SE-900Dの高域の癖や音場感の悪さが気になるときだけMV1。

SE-M870
SE-900Dはかなりフラット、SE-M870はややドンシャリ。低域は全体的にSE-M870の方が出る。高域はSE-M870の方が一段高い音に聴こえる。特に中高域のなり方に違いが出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべて若干SE-900Dの方が良いようだが、価格ほどの違いは感じられない。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さはSE-900Dの方がやや上、音の鮮やかさや厚みはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、低域が出るぶん温かみはSE-M870の方が若干上、ヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方が若干上。ノリの良さならSE-M870、繊細さならSE-M870。響きはどちらも豊かでほぼ互角。全体的に非常に近い音だが、SE-M870の方が微妙に嫌味のある芯の通った感じがあり、こもり感も気になる。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よい。金管楽器は好みのレベルだが、SE-M870の方が高く鮮やか。ただし、やや癖がある。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、ドンシャリの分SE-M870の方が相性がいいようだ。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分だが、使い分けるならノリの良さを求めるときはSE-M870、それ以外はSE-900D。

TR-HP03B
SE-900Dはややかまぼこ、TR-HP03Bはややドンシャリ。低域はTR-HP03Bの方がやや量が多く低い音で、弾力がある感じ。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、どちらかと言えばSE-900Dの方が低域が少ない上に高い音で目立つ。高域はSE-900Dの方が細く高い音で癖がある感じ。量的にはTR-HP03Bの方が多い。分解能及び音場感はほぼ互角。SE-900Dの方がシャープで分離が良いが、微細な描写はTR-HP03Bの方がしっかりこなしてくれる。どちらも耳の近くで音が鳴る点は似ている。ただ、TR-HP03Bの方が多少広がりがあるようだ。原音忠実性はTR-HP03Bの方が上。SE-900Dは特に高域の癖が原音とは違うように感じるが、TR-HP03Bはそこまでの癖はない。エッジのきつさはほぼ互角だが、SE-900Dは中域がキンキン突き刺さってくる感じで聴き疲れするのに対して、TR-HP03Bはそんなことはない。明瞭さはほぼ互角、音の鮮やかさはTR-HP03Bの方が上。厚みはSE-900Dの方がある。温かみはTR-HP03Bの方が上。これは低域が出るだけでなく、質感そのものにも差がある。ヴォーカルの艶っぽさは大きな差はないが、TR-HP03Bの方がやや上。ノリの良さならSE-900D、繊細さならTR-HP03B。響きはTR-HP03Bの方が豊か。SE-900Dの方が全体的に締まった音。弦楽器はTR-HP03Bの方が繊細かつ心地よい。弦を爪弾いた瞬間の感じや弦の振るえる様の描写にかなり差がある。金管楽器はSE-900Dの方がやや高い音だが、どこか地味で、鮮やかさや明るさという見方をするならTR-HP03Bの方が良いかもしれない。打ち込み系の音の表現は、音そのものの相性はSE-900Dの方が良いが、低域がやや足りないため、低域が欲しい場合にはTR-HP03Bの方が合う。使い分けるなら、基本的にはTR-HP03B、締まりやノリの良さを重視するならSE-900D。


・SE-A1000
DT860
DT860はやや高音よりのドンシャリ、SE-A1000は低音よりのドンシャリ。全体的にDT860の方がややフラット。低域はSE-A1000の方が量が多い。中域はDT860がややうわずり気味ではっきり聴こえてくるのに対して、SE-A1000はやや低めの音で低域に埋もれ気味。高域はSE-A1000の方が高い音を鳴らすが、ややシャリつく。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT860の方が上。微細な描写、音の分離ともにDT860の方が上で、SE-A1000ほど作ったような感じはしない音。音場は、DT860の方が耳から離れたところで音を鳴らしてくれるだけでなく、明確。SE-A1000の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはDT860の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しい。DT860の方がタイト、SE-A1000の方がぼやけ気味。どちらもサラサラした質感がある点は似ている。温かみは低域の量が多く柔らかいことからSE-A1000の方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはDT860の方がやや上のように感じるが、それほど大きな差はない。ノリの良さにしろ繊細さにしろDT860の方がやや上。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器は心地よさではSE-A1000の方がやや上かもしれないが、繊細さはDT860に分がある。金管楽器はSE-A1000の方が高い音を鳴らすが、ややチープ。力強さではDT860の方が上。打ち込み系の音の表現はDT860の方がうまい。厚み、切れ、スピード感で上回る。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはDT860で、低域が欲しいときだけSE-A1000。

DT990PRO
どちらもドンシャリだが、SE-A1000の方がフラット。低域は、特に超低域がDT990PROの方が強く、大抵のソースでは一段低い音を鳴らすように感じる。高域は量はそれほど差がないが、DT990PROの方が細い高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてDT990PROの方が若干上。DT990PROの方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さや音の鮮やかさはDT990PROの方がやや上。厚みはSE-A1000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもなかなか良い上、少し方向性の違う音なので表現に困るが、DT990PROは低域が強いわりには温かみより刺激が前面に出てくるのに対して、SE-A1000は音が太いわりには繊細さを感じさせる。SE-A1000の方がノリが良い。響きはSE-A1000の方が豊か。SE-A1000の方が太い音。弦楽器は原音に近いのはDT990PROだが、SE-A1000の方が心地よい。金管楽器はDT990PROの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方がうまい。得意分野はDT990PROがジャズ、SE-A1000がポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはDT990PRO、ポップスやロックはSE-A1000だと感じるが、聴き疲れしてもいいならDT990PRO、聴き疲れしたくないならSE-A1000という使い分けもかなり有効だろう。

HFI-2200ULE
どちらもややドンシャリ。低域の量はかなり近いが、HFI-2200ULEの方が若干低い音を鳴らすし、厚みもある。SE-A1000の方が柔らかくぼやけている印象。中域はどちらもやや低域に負けるが、HFI-2200ULEの方が低域に埋もれないように感じる。高域はHFI-2200ULEの方がやや高くて目立つ。分解能及び音場感はHFI-2200ULEの方が上。原音忠実性は、癖のなさという意味ではSE-A1000の方が良いが、原音の実体感のようなものはHFI-2200ULEの方が感じられる。HFI-2200ULEの方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-2200ULEの方が上。厚みはHFI-2200ULEの方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさは微妙。どちらもなかなか良いが、HFI-2200ULEはかすれが気になることがあるし、SE-A1000は柔らかい低域でぼやけた印象を受けることがある。どちらも基本的にノリが良く、それでいて繊細さも持っているが、ノリの良さならHFI-2200ULE、繊細さならSE-A1000。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器はどちらも悪くないが、どちらかと言えばSE-A1000の方が繊細で、柔らかい質感で心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかだが、HFI-2200ULEの方が鮮やかさで勝っているだけでなく力強い鳴らし方。打ち込み系の音の表現は、ウォームさや低域の締まりの無さが合わない点が良く似ているが、どちらかと言えばHFI-2200ULEの方が相性が良いように感じる。使い分けるなら、聴き疲れや癖を嫌うならSE-A1000、そうでなければHFI-2200ULE。

HP1000
どちらもドンシャリ気味だが、低音の厚みは若干SE-A1000の方があるように感じる。これはどちらかというとHP1000が薄いようにも思う。HP1000は中域が凹んでいるわけではないが、SE-A1000はやや凹んでいる。分解能、音場感ともにHP1000の方が良好。どちらもあまり原音に近いとはいえず、意図的に味付けしてある。味付けは、SE-A1000が聴きやすさと迫力、HP1000が温かみと刺激。どちらかと言えばHP1000の方が自然で原音に近い。SE-A1000の方がエッジがきつくなく聴きやすいが、HP1000も刺激として楽しめる範囲。どちらもそこそこ明瞭だが、どちらかと言えばHP1000の方が明瞭。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP1000の方が上。ノリの良さでは低域の厚みがある分SE-A1000の方が上。響きはSE-A1000は豊か、HP1000は適度。弦楽器はHP1000、金管楽器はSE-A1000の方が美しい。使い分けるならSE-A1000は打ち込み系等のポップス、HP1000はそれ以外といった感じか。

MDR-F1
MDR-F1は低音より、SE-A1000はドンシャリ。低域は全体的にSE-A1000の方が出るが、特に厚みは段違い。高域もSE-A1000の方がかなり出る。SE-A1000の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-A1000の方が上。どちらも聴きやすいが、どちらかと言うとSE-A1000の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-A1000の方が上。SE-A1000の方がノリが良くしかも繊細。MDR-F1は曇ったような不鮮明さが気になる。響きはSE-A1000の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音すべてSE-A1000の方が魅力的。得意分野はMDR-F1はロック、SE-A1000はポップス。何を聴くにしてもSE-A1000の方がいいように感じる。

PROline2500
どちらもドンシャリで、開放型とは思えないほど低音が豊か。どちらも超低域まで出るが、全体的にPROline2500の方が若干大きめ。高域は若干PROline2500の方が出る。分解能、音場感はPROline2500の方がやや良い。どちらも原音忠実性より如何に楽しく聴かせるかを狙った音作り。PROline2500の方がエッジがきつくサ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角、厚みや密度はPROline2500の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリの良さと繊細さを両立させている。響きはPROline2500の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器いずれもPROline2500の方が若干良いように感じる。SE-A1000も悪くはないが、ソースによっては安っぽくなってしまう。打ち込み系の音の表現は若干PROline2500の方がうまい。SE-A1000は独特のサラサラした感じが魅力なのに対して、PROline2500は厚みのある濃い音が魅力。どちらもかなりオールマイティーだが、あえて得意分野を挙げるならポップス。使い分けるなら、ジャンルで分けるよりも気分で使い分けたほうが良さそう。

RP-HT770
SE-A1000はドンシャリ、RP-HT770は低音より。超低域はSE-A1000の方がかなり出るが、低域の厚みはほぼ互角。ただ、どちらもやや癖があるようで、SE-A1000はややぼわつく感じ、RP-HT770はかなり曇った感じになる。高域は圧倒的にSE-A1000の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-A1000の方が上。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、RP-HT770の方が芯の通った感じがありやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はSE-A1000の方がかなり良い。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、どちらかといえばSE-A1000の方が上。SE-A1000はノリの良さと繊細さを併せ持っているという感じだが、RP-HT770はノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはSE-A1000の方が豊か。SE-A1000は良くも悪くもサラサラした感触があるが、RP-HT770はない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-A1000の方が魅力的。弦楽器はRP-HT770には嫌味のある癖が出るが、SE-A1000はない。金管楽器はSE-A1000にはPioneerらしい癖があるが、それが気にならない人には非常に魅力的といえるだろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-A1000の方が上。RP-HT770は曇った感じと嫌味がかなりマイナス。

SR-60
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は鳴らし方がかなり違うので一概には言えないが、SR-60の方が素直に全体的に鳴らす印象。高域はSE-A1000の方がやや強め。分解能はSE-A1000の方が若干良い。音場感はSE-A1000の方がかなり広く明確。原音忠実性はSR-60の方がやや上に感じられる。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてほぼ互角だが、SE-A1000の方が若干良いように思う。どちらも基本的にはノリが良いのだが、繊細さも持ち合わせている。響きはSE-A1000の方が豊かで、音に広がりがある。SR-60の方が音がやや太く、ストレートに耳に届く。弦楽器はSE-A1000の方が繊細で心地よい。金管楽器は基本的にはSE-A1000の方が高く鮮やかなのだが、Pioneer独特の癖があるのは確か。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方が若干うまいように感じる。得意分野はSE-A1000がポップス、SR-60がロック。使い分けるなら、ロックはSR-60、それ以外はSE-A1000か。ただし、SE-A1000よりSR-60の方が癖のない音ではあるので、SE-A1000はSR-60と比べると合わないと言う人も多そう。


・SE-CL30
BA-PC15
BA-PC15は低音よりのドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はBA-PC15の方が低い音で量も多い。中域はSE-CL30の方が低域に邪魔されない上、高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSE-CL30の方がかなり高く鋭い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ同等レベルだが、SE-CL30の方が線の細い音を鳴らすため分解能がやや高く感じがち。SE-CL30の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みはBA-PC15の方がある。温かみはBA-PC15の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。BA-PC15の方がノリが良い。低域の量だけでなく、音の圧力や厚みも勝っているため。響きは、低域はBA-PC15の方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。弦楽器は基本的にはBA-PC15の方が心地よく聴けるが、ヴァイオリン等の線の細い鳴らし方を求めるならSE-CL30の方が良いこともある。金管楽器はSE-CL30の方が高く鮮やかだが、作ったような不自然な感じがあるのは否めない。打ち込み系の音の表現は、低域はBA-PC15の方が良く、中域から高域はSE-CL30の方が良い。得意分野は、BA-PC15がロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら、低域重視ならBA-PC15、高域重視ならSE-CL30。

EG-ER50
EG-ER50は低音よりのドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域の量はEG-ER50の方がかなり多いが、厚みはさほど変わらないように感じる。中域はSE-CL30の方が癖がなくしっかり聴こえてくる。中高域はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、量はSE-CL30の方がかなり多い。高域はSE-CL30の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能はSE-CL30の方が上。音場感はほぼ互角だが、どちらかと言えばSE-CL30の方が良いか。原音忠実性はどちらもあまり良くない。SE-CL30の方がエッジがきついが、EG-ER50は低域が出すぎなのとこもり感で疲れるため、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みはほぼ互角。温かみはどちらもあまり感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方がかなり上。どちらも繊細さに欠ける。SE-CL30の方がノリが良い。低域の量はEG-ER50の方が出るものの、SE-CL30の方が圧倒的にスピード感がある。響きはEG-ER50の方が豊か。EG-ER50は非常にこもり感が気になるが、SE-CL30はそれほど気にならない。弦楽器はSE-CL30の方が繊細。EG-ER50は聴けたものではない。金管楽器はEG-ER50の方がやや高い音を鳴らすが、SE-CL30の方がかなり量が多いし、鮮やか。打ち込み系の音の表現SE-CL30の方がうまい。EG-ER50はぼやけた低域が出すぎで切れが足りない。ただ、SE-CL30も低域がやや不足気味に感じるし、線が細い点が相性の悪さに繋がっているようにも感じる。得意分野はEG-ER50がロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら、どうしても低域の量が欲しいときはEG-ER50、それ以外はSE-CL30。

EHP-IN200
EHP-IN200はかまぼこ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はSE-CL30の方が低い音で量も多い。中域はEHP-IN200の方がはっきり聴こえてくる。これは低域に邪魔されないだけではなく、ややうわずり気味で芯の通った音だからだろう。高域はSE-CL30の方が細く硬く高い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-CL30の方が良いように感じる。ただ、かなり違う傾向の音なので、人によって判断は変わってきそう。特に原音忠実性はどちらも良くない上に、方向性がまったく違う。EHP-IN200は古臭い音で低域も高域も出ないのに対して、SE-CL30はいかにもドンシャリといった味付け。SE-CL30の方がエッジがきつく基本的には聴き疲れするが、EHP-IN200は中域が硬く芯の通った音なので、ソースによってはこちらの方が聴き疲れしそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-CL30の方が上。EHP-IN200はただ何となく鳴らしているだけなのに対して、SE-CL30はかなりノリが良い。響きはSE-CL30の方が豊か。弦楽器はSE-CL30の方が繊細かつ心地よい。EHP-IN200は心地よさがまったく感じられない。金管楽器はSE-CL30の方が鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現もSE-CL30の方がうまい。低域の量や音の厚みが大きな差。ほとんど何を聴くにしてもSE-CL30の方が良いように感じる。

MDR-EX71SL
MDR-EX71SLはややドンシャリ、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はMDR-EX71SLの方が一段低くしっかりした厚みのある音を鳴らす。SE-CL30の方が薄く中域までぼんやり覆う感じ。中域はMDR-EX71SLの方が癖がなくしっかり聴こえてくる。高域もMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方が上。エッジのきつさはほぼ互角でどちらも多少聴き疲れするが、十分許容範囲だろう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がノリが良い。響きはどちらも適度だが、高域はMDR-EX71SLの方が豊かでシンバル等が楽しめる。こもり感はSE-CL30の方がやや気になる。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細かつ心地よい。MDR-EX71SLはチェロ等の量感もしっかり感じられるのに対してSE-CL30はいまいち。金管楽器もMDR-EX71SLの方が鮮やか。SE-CL30も悪くはないのだが、薄い低域の影響を受けているのか、どこか垢抜けないように感じる。打ち込み系の音の表現はどちらも可も不可もなくと言った感じだが、厚みと切れがある分MDR-EX71SLの方が良い。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いだろう。

MDR-NC11A
MDR-NC11Aは低音より、SE-CL30は高音よりのドンシャリ。低域はMDR-NC11Aの方がかなり低い音を鳴らすし、量も多い。中域はSE-CL30の方がはっきり聴こえるが、どちらも基本的にやや曇っている印象。高域はSE-CL30の方がかなり高い音で、量も多い。分解能はSE-CL30の方が上。音場感はMDR-NC11Aの方が上。どちらも原音忠実とは言えない。MDR-NC11Aはとにかく低域が支配的。SE-CL30は中高域から高域にPioneer独特の色付けが濃い。SE-CL30の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。かなり違う音を鳴らすので厚みは比較が難しい。MDR-NC11Aの方が太くて柔らかく、SE-CL30の方が細くて硬い。温かみはどちらも感じられないが、低域が強い分MDR-NC11Aの方がまだ温かみがあるように感じられるかもしれない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が上。どちらも繊細さに欠け、ノリの良さ重視の傾向があるが、MDR-NC11Aは低域の量だけの鈍重な感じ、SE-CL30は鮮やかだが粗も多い高域に重点を置いた感じ。響きは低域はMDR-NC11Aの方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。こもり感はMDR-NC11Aの方が気になる。弦楽器はSE-CL30の方がうまい。MDR-NC11Aは繊細さが全く感じられない。金管楽器はSE-CL30の方が高く鮮やか。わざとらしい音作りが気になるものの、MDR-NC11Aのように全く聴こえてこないよりは良いと感じる。打ち込み系の音の表現は全く違うので比較が難しいが、低域重視ならMDR-NC11A、メリハリ重視ならSE-CL30か。得意分野はMDR-NC11Aがロック、SE-CL30がポップス。使い分けるなら低域が欲しいときはMDR-NC11A、それ以外はSE-CL30。

RP-HJE70
どちらも高音よりのドンシャリ。低域の量はそれほど変わらないが、RP-HJE70の方がしっかり低い音を鳴らしてくれる。SE-CL30は厚みが薄く曇っている印象。そのため、中域はRP-HJE70の方がはっきり聴こえてくる。高域はどちらもなかなかしっかり鳴らしてくれるが、RP-HJE70の方がやや明るく硬く粗がない。分解能、音場感ともにRP-HJE70の方がかなり良い。原音忠実性はどちらも良くないが、原音の実体感といったものはRP-HJE70の方が感じられる。SE-CL30はただ何となく鳴らしている印象。RP-HJE70の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてRP-HJE70の方が上。RP-HJE70の方がノリが良くしかも繊細。響きはRP-HJE70の方が豊かだが、ぼやけたような感じはなくむしろ硬い。弦楽器はSE-CL30が曇っているだけなのに対して、RP-HJE70は原音の生っぽさや心地よさがそれなりに感じられる。金管楽器はどちらもかなり高い音で好印象だが、比較するとRP-HJE70の方が明るく鮮やか。打ち込み系の音の表現はRP-HJE70の方がうまい。厚みと切れに差がある。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもRP-HJE70の方が良いだろう。

SPARKPLUG
SE-CL30は高音よりのドンシャリ、SPARKPLUGは低音より。低域はSPARKPLUGの方がかなり量が多い。中域はSE-CL30がはっきり聴こえてくるのに対して、SPARKPLUGは完全に低域に埋もれる。高域はSE-CL30の方が一段高く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-CL30の方が良い。SE-CL30の方がエッジがきついが、SPARKPLUGは低域の量が多すぎて聴き疲れすることが多いため、どちらが疲れるかはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みは判断が難しい。SE-CL30の方が芯の通った音、SPARKPLUGは非常に太くぼやけた音。どちらも温かみは感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が上。SPARKPLUGの方が低域の量が多いためノリが良く感じる人も多そうだが、実際はただ低域の量が多いだけでかなり鈍重。軽快さは圧倒的にSE-CL30の方が上。SPARKPLUGは繊細さがまったく感じられないのに対して、SE-CL30は最低限はあるように思う。響きは低域から中域はSPARKPLUGの方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。SPARKPLUG野方がかなりこもり感が気になる。弦楽器はSE-CL30の方が繊細。SPARKPLUGは聴けたものではないが、SE-CL30は何とか聴ける。金管楽器は、SPARKPLUGはまったく聴こえてこないのに対してSE-CL30はなかなか鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-CL30の方がうまい。切れがまったく違う。得意分野はSE-CL30がポップス、SPARKPLUGがロック。よほど低域の量が欲しいときを除いて、ほとんど何を聴くにしてもSE-CL30の方が良いように感じる。


・SE-E33
ATH-EM7
どちらもかまぼこだが、ATH-EM7の方がやや高音より。低域はSE-E33の方が若干強い印象。ただ、曇っているためにそう感じる部分もあることは否めない。いずれにせよ、両機種とも不足に感じることに変わりはない。高域はATH-EM7の方がシャリつかないし、量も出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-EM7の方が上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすいが、どちらかというとATH-EM7の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてATH-EM7の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。SE-E33はソースによってはやや曇っているように感じるが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器は、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてATH-EM7の方がうまい。特に金管楽器の鮮やかさは段違い。AHT-EM7はもう少し低域が出れば非常に良い機種になっただろう。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもATH-EM7の方が良いだろう。

EHP-820
EHP-820はかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はどちらも薄いが、量はEHP-820の方が出る。中域はSE-E33の方がハッキリ聴こえてくる。低域の曇りが無いし、やや上ずった音を鳴らすため。高域はEHP-820の方がやや高い音を鳴らす。分解能及び音場感はEHP-820の方がやや上。原音忠実性はどちらも良くない。EHP-820の方がエッジがきついが、SE-E33は芯の通った音で疲れるため、総合的な聴き疲れはほぼ互角だろう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E33の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しい。EHP-820はややぼやけているのに対して、SE-E33は芯が通っている。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-820の方が上。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもないが、ノリの良さならSE-E33、繊細さならEHP-820となるか。響きはEHP-820の方が豊か。弦楽器はEHP-820の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はどちらも意外と良いが、どちらかと言えばEHP-820の方が良いか。打ち込み系の音の表現は、SE-E33の方が相性が良いのだが、かなり低域が不足に感じる。かと言って、EHP-820も低域の厚みがかなり薄いため、どちらもあまりうまいとは感じない。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の量が少しでも欲しいならEHP-820、不要ならSE-E33。

HP-MD1
HP-MD1はかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はHP-MD1の方が一段低い音を鳴らしてくれる。SE-E33は低域の量がかなり不足に感じるわりには曇っている。高域もHP-MD1の方がやや高い。分解能、音場感、原音忠実性すべてHP-MD1の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-MD1の方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない半端な印象。響きはどちらもあっさり。HP-MD1はソースによってはやや曇っているように感じたり、嫌味が出たりするが、ATH-EM7はそういうことはない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-MD1の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもHP-MD1の方が良いだろう。

MDR-Q36LW
MDR-Q36LWはかなりフラット、SE-E33はかまぼこ。低域はMDR-Q36LWの方が一段低い音で、量もかなり差がある。中域はどちらもソースによっては嫌味が出たりするが、そういう意味ではSE-E33の方がまだまし。高域は量的にはそれほど変わりないように感じるが、MDR-Q36LWの方が細く硬い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてどちらも大差ないレベル。どちらもエッジはきつくないが、SE-E33の方が中域に芯の通った感じが痛くて聴き疲れすることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-E33の方がやや上。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはMDR-Q36LWの方がやや上。どちらもただ音を鳴らすだけの機種といった感じで、ノリが良いわけでも繊細なわけでもない。響きはMDR-Q36LWの方がやや豊か。MDR-Q36LWの方が迫力がある反面、SE-E33の方が軽快。弦楽器はどちらもやや癖が強く、最低レベル。金管楽器はSE-E33の方が芯の通った力強い鳴りで魅力的。打ち込み系の音の表現は、基本的にはSE-E33の方がうまいが、低域が出る分MDR-Q36LWの方が楽しめることも多い。総合的にはほぼ互角か。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域が欲しい場合やロックを聴く場合にはMDR-Q36LW、それ以外はSE-E33か。

MGD-01
どちらもかまぼこ。低域はSE-E33の方が量が多いし、やや低い音を鳴らす。中域はMGD-01の方が低域に邪魔されない上やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はMGD-01の方が量が多く、高く金属的。分解能はMGD-01の方が上。SE-E33は音の分離が悪いし微細な表現もこなしてくれないが、MGD-01は粗があるものの一応鳴らそうとはしてくれる感じ。音場感はSE-E33の方が明確。原音忠実性はSE-E33の方が上。MGD-01はとにかく一聴して違和感があるのに対して、SE-E33は普通に聴ける。ただし、原音の生っぽさはMGD-01の方がやや良いかもしれない。SE-E33の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMGD-01の方が上。厚みはMGD-01の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-E33の方が上。どちらもただ何となく鳴らしているだけの機種だが、SE-E33の方が低域が出るため多少ノリが良いように感じる。響きは、低域はSE-E33の方が豊か、高域はMGD-01の方が豊か。弦楽器はSE-E33の方が心地よいが、塗りつぶしたように繊細さがない。金管楽器はMGD-01の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は、低域が出るという意味ではSE-E33の方が良いが、音の質感はMGD-01の方が相性が良いように感じる(ただし、それでも粗は気になる)。使い分けるなら、粗や違和感を気にするならSE-E33、粗や違和感があっても良いから明るさや高域の量を重視するならMGD-01。


・SE-EX9
ATH-EM7
ATH-EM7はかまぼこ、SE-EX9はややドンシャリ。低域はSE-EX9の方がかなりしっかり鳴らしてくれる。中域は、低域に邪魔されないだけでなくややうわずっているATH-EM7の方がはっきり聴こえてくる。中高域はSE-EX9の方が高い音を鳴らす。高域はSE-EX9の方が量が多い。分解能はSE-EX9の方がやや上。音場感はSE-EX9の方が広くしかも立体的。原音忠実性は比較しずらい。かまぼことドンシャリという違いを除けば、ほぼ同等レベルだろう。SE-EX9の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、ATH-EM7はソースによっては中域がうわずって痛いので、聴き疲れはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さは低域が出ない分ATH-EM7の方が上。音の鮮やかさ、厚みはSE-EX9の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-EX9の方が上。SE-EX9の方がノリが良い。響きはSE-EX9の方が豊か。弦楽器はSE-EX9の方が心地よい。金管楽器はSE-EX9の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現は、音の質感としてはどちらもなかなか良いが、ATH-EM7は決定的に低域の量が不足しているので、そういう点まで含めるとSE-EX9の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-EX9、低域の量が控え目な方が良い場合にはATH-EM7。

KSC75
どちらもややドンシャリ。低域は、量的には大きな差はないが、KSC75の方が柔らかくぼやけている感じ。中域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、SE-EX9の方が低域と分かれるような感じで多少目立つ。高域はSE-EX9の方が硬く金属的な鳴らし方。分解能はほぼ互角。音の分離はSE-EX9の方がやや良いが、微細な描写はKSC75の方がやや良い。音場感はSE-EX9の方が立体的で明確。原音忠実性は微妙。全体的な周波数特性の癖のなさではKSC75の方が良いが、原音の粗や生っぽさはSE-EX9の方が感じられる。KSC75の方がエッジがきついが、SE-EX9の方が音の圧力があるので、どちらが聴き疲れするかはソースや聴く人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-EX9の方が上。厚みは質感が違うので判断が難しいが、基本的にはSE-EX9の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはKSC75の方が上。どちらもノリが良い。KSC75は勢いや元気の良さがある感じ、SE-EX9は厚みや切れがある感じ。響きはKSC75の方が豊か。弦楽器はKSC75の方が心地よい。金管楽器はどちらもなかなか鮮やかで甲乙付け難い。打ち込み系の音の表現はSE-EX9の方がうまい。低域の質感、厚み、切れ、冷たい感じが合う。得意分野はKSC75がロック、SE-EX9がポップス。使い分けるなら、柔らかい音を求めるならKSC75、硬い音を求めるならSE-EX9。

PHP-200
どちらもややドンシャリ。低域は質・量ともに極端な違いはないが、SE-EX9の方が厚みや弾力がある。中域はPHP-200の方が嫌味がある感じではっきり聴こえてくる。SE-EX9は普通に聴こえてくる感じ。高域はSE-EX9の方が粗がなく金属的。どちらもやや高めの音で量も多い点は似ている。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-EX9の方が上。音の分離にしろ微細な表現にしろSE-EX9の方が上だし、PHP-200のような中域の嫌味やザラザラした質感等の癖がない。音場は広くしかも立体的。PHP-200が小型の密閉型とするなら、SE-EX9は大型の開放型のような音場の違いがある。PHP-200の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さはほぼ互角。音の鮮やかさはSE-EX9の方がやや上。厚みはSE-EX9の方がある。温かみはSE-EX9の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはどちらもそれなりに良いが、SE-EX9の方が痛さがない分良いように感じる。どちらもノリの良い傾向。響きはSE-EX9の方がやや豊か。SE-EX9の方が柔らかめの音で、しかもダイナミックな鳴らし方。弦楽器はSE-EX9の方が粗がなく柔らかい。金管楽器はSE-EX9の方が鮮やかで澄んでいる。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、力強さを重視するならSE-EX9、締まりを重視するならPHP-200といった感じか。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-EX9、余程音に締まりが欲しいときだけPHP-200。


SE-F3
AU-618
どちらもややかまぼこ。低域は抜けが良いせいかどちらもかなり迫力不足に感じるが、どちらかと言えばAU-618の方が出るようだ。高域も量はかなり近いが、SE-F3の方がやや高い音を鳴らす。分解能、原音忠実性はSE-F3の方がやや上。音場感はどちらもいまいちで、ほぼ互角。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかと言えばSE-F3の方が疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてSE-F3の方がやや上。AU-618の方が密度が薄くスカスカに感じる。SE-F3の方がスピード感がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさもSE-F3の方が上。SE-F3の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも適度。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-F3の方がややうまい。弦楽器はSE-F3の方が線が細く曇りがない。金管楽器はSE-F3の方が一段高く鮮やかで、価格のわりには安っぽさを感じさせない音。得意分野はどちらもポップス。ほとんど何を聴くにしてもSE-F3の方が良いと思われる。どちらもロックをノリ良く聴きたいならかなり合わないので要注意。

Form2
どちらもややかまぼこだが、Form2の方がやや低音より。低域は抜けが良いせいかどちらもやや迫力不足に感じるが、Form2の方が出る。高域はSE-F3の方がやや高い音を鳴らすし量も多い。分解能、原音忠実性はForm2の方がやや上。音場感はどちらもいまいちだが、Form2の方が立体感がある。どちらもエッジはきつくなく聴き疲れしないが、どちらかと言えばSE-F3の方が疲れる。サ行の音等も痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-F3の方がやや上。ただし、これはSE-F3の方が高音よりのためにそう感じる部分が大きいと思われる。厚みや密度はどちらかと言えばForm2の方が上。Form2の方が上品でおとなしい鳴り。SE-F3の方がスピード感がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはいい勝負だが、若干Form2の方が上か。ノリの良さならSE-F3、繊細さならForm2。響きはSE-F3の方がやや豊か。Form2の方が音に粗がない。弦楽器は好みの差程度だろう。個人的にはForm2の方が好印象。金管楽器はSE-F3の方が一段高く鮮やかで、価格のわりには安っぽさを感じさせない音。打ち込み径の音はSE-F3の方がややうまい。使い分けるなら、クラシックやジャズはForm2、ポップスやロックはSE-F3。全体的に見て、価格ほどの差は感じない。どちらもロックをノリ良く聴きたいならかなり合わないので要注意。

HDS-701
どちらもかまぼこだが、低域・高域ともにHDS-701の方が若干強い。分解能、音場感、原音忠実性(自然さ)すべてHDS-701の方が若干上。HDS-701の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度はHDS-701の方がやや上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。響きはどちらもややあっさり。HDS-701の方が芯の通った圧力のある音。SE-F3の方が粗が気になる。弦楽器はHDS-701の方が繊細で且つ心地よい。金管楽器、打ち込み系の音の表現はほぼ互角。得意分野はどちらもポップス。使い分けは微妙だが、基本的にはHDS-701の方がいいだろう。


・SE-M380
AHP-505
どちらも低音よりだが、SE-M380の方が低域も高域も強い。それでいてAHP-505の方が曇りが気になる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-,M380の方が上。SE-M380の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSE-M380の方が上。SE-M380の方がノリが良くしかも繊細。響きはどちらも豊かでこもり感が気になるが、SE-M380の方がまだまし。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSE-M380の方が一段上の表現力。ほとんど何を聴くにしてもSE-M380の方が良いように感じる。

ATH-T2
どちらも低音よりだが、どちらかと言えばATH-T2の方が高音より。ただし、いずれにせよ高域は全然聴こえてこない上、低域が凄い量でしかもこもりも酷い。分解能、音場感、原音忠実性等、最低限。どちらもやや聴き疲れするが、ATH-T2はエッジがきつく聴き疲れするのに対して、SE-M380は低域が強すぎで聴き疲れする。サ行の音の痛さは似たようなもの。明瞭さや音の鮮やかさどちらも欠けている。厚み、密度はSE-M380の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさもSE-M380の方が上。どちらもノリが良い方向性。響きはSE-M380の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにSE-M380の方がややうまい。弦楽器の温かみや金管楽器の鮮やかさに違いが見られる。打ち込み系の音の表現もSE-M380の方が若干うまい。得意分野をあえて挙げるならATH-T2はロック、SE-M380はポップス。ただし、どちらも音楽鑑賞に使えるレベルの機種ではない。

HP-X122
SE-M380は低音より、HP-X122はドンシャリ。超低域はSE-M380の方が出るが、低音の厚みそのものはHP-X122の方が若干上。中域〜高域はHP-X122の方が圧倒的に出る。分解能や原音忠実性はHP-X122の方がやや上、音場感はほぼ互角。HP-X122の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはHP-X122の方が上。温かみはSE-M380の方がある。HP-X122も無いわけではないが、どうしても刺激や鮮やかさに目が行く。ヴォーカルの艶っぽさはHP-X122の方が良い。ノリの良さはHP-X122の方が上。響きはどちらも適度。弦楽器はHP-X122の方が繊細さがあり楽しめる。金管楽器はほぼ互角。打ち込み系の音の表現はHP-X122の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。よほど低音が好きな人でなければ、HP-X122だけあれば良いだろう。

MDR-CD480
どちらも低音より。超低域はSE-M380の方が出るが、低音の厚みそのものは若干MDR-CD480の方がある。高音は基本的にはMDR-CD480の方が埋もれないが、超高域はSE-M380の方が出る。全体的にはMDR-CD480の方が高音より。分解能、音場感、原音忠実性等すべてMDR-CD480の方が若干良い。ただし、低音が出ないソースでは分解能や原音忠実性は逆転する。MDR-CD480の方がエッジがきつめ。明瞭さや音の鮮やかさはMDR-CD480の方が上。かなり曇ってはいるものの、温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-M380の方が感じられるMDR-CD480は芯が通り過ぎている。MDR-CD480の方がノリが良くしかも繊細。ただし、低域はSE-M380の方が出るので、人によってはノリの良さの評価は違ってきそう。響きはどちらも適度で、MDR-CD480は布製イヤーパッドでSE-M380は特殊な構造で音が抜けるにもかかわらず、こもり感が気になる。弦楽器はMDR-CD480の方が繊細で楽しめる。金管楽器はややSE-M380の方が良いか。MDR-CD480はかなり安っぽい。打ち込み系の音の表現はどちらも悪くないが、MDR-CD480の方がバランスよく楽しめる。得意分野はSE-M380がポップス、MDR-CD480がロック。使い分けるなら一部のポップスやブラスメインのものはSE-M380、それ以外はMDR-CD480。


・SE-M870
ATH-A500
どちらもややドンシャリだが、SE-M870の方がやや低音よりではあるもののフラット。ATH-A500はaudio-technica独特の高域の癖があるが、SE-M870は癖がなくやや大人しめ。高域の癖を除くとかなり近い音量バランスになる。分解能及び音場感はATH-A500の方が若干良いが、どちらも耳の近くで鳴っているのが気になる人も多そうだ。原音忠実性は若干ATH-A500の方がある。SE-M870の方がエッジがきつくなく、かなり聴きやすい。明瞭さや音の鮮やかさはATH-A500の方がやや上だが、音の厚みはSE-M870の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方がかなり上。ノリの良さならSE-M870、繊細さならATH-A500。どちらも響きは適度だが、密閉型特有のこもり感はある。どちらも弦楽器、金管楽器ともになかなか魅力的。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はATH-A500の方が若干高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもかなり得意だが、ATH-A500だとソースによってはエッジがきつすぎでしかも音の厚みが足りないように感じることがある。SE-M870はそういったこととは無縁。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら金管楽器メインならATH-A500、それ以外はSE-M870だと感じたが、どちらもなんでもそこそこ鳴らしてくれる。総合的に見てどちらも非常にコストパフォーマンスの良い機種。

HD280Pro
HD280Proはかまぼこ、SE-M870はドンシャリ。超低域はSE-M870の方がかなり出るが、低域の厚みそのものはほぼ互角。高域はややSE-M870の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべてHD280Proの方が上。ただし、エッジがきつく聴き疲れする面もある。明瞭さはHD280Proの方がやや上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。HD280Proの方が芯の通った厚い音。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方がやや良い上、ノリも良い。響きはSE-M870の方が豊か。弦楽器、金管楽器ともにHD280Proの方が原音に近いためやや良いように感じるが、単に楽しめるかどうかならほぼ互角。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、低音が出る分大抵のソースではSE-M870の方が良いように感じる。使い分けるならポップスはSE-M870、それ以外はHD280Pro。ただし、聴き疲れを考えると常用するのはつらい。

HP830
どちらもややドンシャリ。超低域はSE-M870の方が出るが、厚みそのものはHP830の方がかなりある。高域はHP830の方が若干出る。分解能はSE-M870の方がやや上。音場感や原音忠実性はHP830の方がやや上。どちらもあまり聴き疲れしないが、どちらかといえばHP830の方が疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてHP830の方が若干上。SE-M870の方がノリが良い。響きはSE-M870の方が豊か。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よいが、原音に近い音を求めているならHP830の方が良い。、金管楽器はHP830の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、どちらかといえばSE-M870の方が良い。得意分野はどちらもポップス。使い分けるならポップスはSE-M870、それ以外はHP830。

K271studio
K271studioはやや高音より、SE-M870はややドンシャリ。低域は量も厚みもSE-M870の方がある。K271studioは薄い雲のような低域。中高域〜高域はSE-M870の方が一段高い音を鳴らしてくれる。分解能、音場感、原音忠実性すべてK271studioの方がやや上。SE-M870の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSE-M870の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはK271studioの方が上。ノリの良さならSE-M870、繊細さならK271studio。響きはK271studioの方がやや豊か。弦楽器はK271studioの方が繊細で且つ温かみがある。金管楽器はSE-M870の方が一段高く鮮やかな音を鳴らすが、どちらが原音に近いかと言われればK271studio。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。得意分野は、K271studioはクラシック、SE-M870はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはK271studio、ポップスやロックはSE-M870。

K55
どちらもややドンシャリだが、K55の方が高音より。低域はSE-M870の方が全体的に出るし、高域はK55の方がやや強い。分解能、原音忠実性はSE-M870の方が上、、音場感はK55の方が上。ただし、SE-M870は中高域に癖がある。K55の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さはK55の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。SE-M870の方がノリが良い。響きはどちらも適度。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はK55の方がやや高い音で澄んでいる。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方が良い。K55も悪くないのだが、そういうソースを楽しむにはやや高音よりに感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、金管楽器メインの曲はK55、それ以外はSE-M870。

MDR-XD400
SE-M870はドンシャリ、MDR-XD400は低音より。超低域はMDR-XD400の方が出るが、低域の厚み自体はSE-M870の方がある。MDR-XD400は高域があまり聴こえてこないが、SE-M870はしっかり聴こえる。どちらも中域はやや弱め。分解能はSE-M870の方が上、音場感はMDR-XD400の方が上。SE-M870は耳の近くで音が鳴っているのが気になるが、MDR-XD400はそんなことはない。SE-M870の方が原音忠実。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、どちらかといえばMDR-XD400の方が聴き疲れしない。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等すべてSE-M870の方が上。SE-M870はノリが良い上に最低限の繊細さはあるが、MDR-XD400はどちらにも欠けるバランスとなっている。響きはSE-M870は適度、MDR-XD400は豊か。弦楽器、金管楽器ともにSE-M870の方が魅力的。特に金管楽器の鮮やかさの差は明白。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。得意分野はどちらもポップス。何を聴くにしてもSE-M870の方が良いような気がするが、MDR-XD400は音場が明確で立体感がある上に聴き疲れしないので、映画鑑賞等に向いていると思われる。

MDR-Z900
MDR-Z900は低音より、SE-M870はドンシャリ。低域は全体的にMDR-Z900の方がかなり出る。高域は若干SE-M870の方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-Z900の方が上。どちらもエッジがきつくなく聴きやすいが、MDR-Z900は低域が出すぎの上こもり感が酷いため疲れる。明瞭さはSE-M870の方が上。音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさ等はすべてMDR-Z900の方が上。どちらもノリが良いが、勢いのあるSE-M870、厚みと低音のMDR-Z900といった違いがある。響きはMDR-Z900の方が豊かで、こもり感もMDR-Z900の方がかなり気になる。弦楽器はどちらもなかなか良いが、それぞれ欠点がある。SE-M870はやや原音から離れている点、MDR-Z900は低音が出すぎの上こもり感が酷いためチェロ等の低音は聴けたものではない点。金管楽器はSE-M870の方が一段高い音で楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。低音がどのくらい欲しいかによって、評価が変わりそうだが、一般的にはMDR-Z900は出過ぎ、SE-M870は適度だろう。得意分野はMDR-Z900はロック、SE-M870はポップス。使い分ける以前の問題として、MDR-Z900の過剰な低音が許容できるかどうか。

RH-200
どちらも低音よりのドンシャリだが、RH-200の方が低音より。低域はRH-200の方が一段低い音で量も出る。中高域から高域はSE-M870の方が線が細く一段高い音を鳴らす。分解能はSE-M870の方が高い。音場感、原音忠実性はどちらもいまいちでほぼ互角。SE-M870の方がエッジがきついが、RH-200は低域が強くて聴き疲れするので、総合的な聴き疲れはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M870の方が上。厚み、密度はRH-200の方がやや上。温かみは低域が強い分RH-200の方が若干上か。ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。ノリの良さならRH-200、繊細さならSE-M870。響きはRH-200の方が豊か。RH-200の方がこもり感が気になる。弦楽器はSE-M870の方が細く繊細だが、単に低域の心地よさだけ求めるならRH-200の方が良いと感じる人もいるだろう。金管楽器はソースによっては安っぽくなる部分があるものの基本的にはSE-M870の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。得意分野はRH-200がロック、SE-M870はポップス。使い分けるならロックはRH-200、それ以外はSE-M870。

RP-21
どちらもややドンシャリ。低域は質的にも量的にも似ているが、RP-21の方がやや締まっている感じ。中域はどちらもあまり癖がなくしっかり聴こえてくるが、どちらかと言えばSE-M870の方が低域に負ける。高域はSE-M870の方が高く鋭い音。分解能はほぼ同等レベル。音場感はどちらも耳の近くで鳴らしている感じがあるが、明確さという意味ではRP-21の方が上。原音忠実性はRP-21の方が良い。周波数特性の癖のなさで勝っているし、原音らしさが感じられるという意味でも上。SE-M870の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはほぼ互角だが、鮮やかさはSE-M870の方がやや上のように感じられる。厚みはSE-M870の方がやや厚い。温かみはSE-M870の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良い傾向だが、RP-21の方がやや冷静。響きはSE-M870の方がやや豊か。弦楽器は原音忠実性を求めるならRP-21だが、SE-M870の方が柔らかくて心地よいと感じることも多い。金管楽器はSE-M870の方が高く鮮やかだが、これは少しやりすぎな感があり、むしろRP-21ぐらいの方が適度。打ち込み系の音の表現はどちらもうまい。RP-21の方がバランスが良いが、SE-M870の方が楽しめる。使い分けるなら、高域の量や刺激を求めるならSE-M870、そうでないならRP-21。あるいは、バランスの良さを求めるならRP-21、突き抜けたものを求めるならSE-M870。

SE-900D
SE-900Dはかなりフラット、SE-M870はややドンシャリ。低域は全体的にSE-M870の方が出る。高域はSE-M870の方が一段高い音に聴こえる。特に中高域のなり方に違いが出る。分解能、音場感、原音忠実性はすべて若干SE-900Dの方が良いようだが、価格ほどの違いは感じられない。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さはSE-900Dの方がやや上、音の鮮やかさや厚みはほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角だが、低域が出るぶん温かみはSE-M870の方が若干上、ヴォーカルの艶っぽさはSE-900Dの方が若干上。ノリの良さならSE-M870、繊細さならSE-M870。響きはどちらも豊かでほぼ互角。全体的に非常に近い音だが、SE-M870の方が微妙に嫌味のある芯の通った感じがあり、こもり感も気になる。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よい。金管楽器は好みのレベルだが、SE-M870の方が高く鮮やか。ただし、やや癖がある。打ち込み系の音の表現はほぼ互角だが、ドンシャリの分SE-M870の方が相性がいいようだ。得意分野はどちらもポップス。どちらか片方持っていれば十分だが、使い分けるならノリの良さを求めるときはSE-M870、それ以外はSE-900D。

SE-MJ5
どちらもややドンシャリだが、SE-MJ5の方がやや低音より。低域はSE-MJ5の方がやや低い音で、量も若干多いように感じる。中域はSE-M870の方が曇りなくストレートに聴こえてくる。高域はSE-M870の方がかなり細く、量も多い。分解能、音場感ともにSE-M870の方が良い。原音忠実性はほぼ互角。Pioneerらしい高域の癖はSE-M870の方がきついが、SE-MJ5は曇りや細部の表現のなさが気になる。SE-M870の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M870の方が上。厚みは一聴してSE-MJ5の方があるように感じるが、低域の量感を除けばそれほど差はない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。どちらも基本的にノリが良いが、SE-MJ5が低音と音の圧力によるノリの良さであるのに対して、SE-M870は軽快さやスピード感のあるノリの良さ。響きはほぼ互角。SE-MJ5の方がかなりこもり感が気になる。弦楽器はSE-M870の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はSE-M870の方が高く鮮やかな鳴らし方だが、作ったような感じは否めない。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまい。低域の量が欲しい場合や、SE-M870では線が細すぎると感じる人はSE-MJ5の方が合うだろう。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-M870で、聴き疲れや高域の癖が気になるときはSE-MJ5を使えばよいだろう。

SE-MJ7NS
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はSE-MJ7NSの方がかなり量が多くぼやけている。中域はSE-M870の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はSE-M870の方が細く高い音で量も多い。全体的に、SE-MJ7NSの方がかなり低音より。分解能はSE-M870の方がかなり良い。音の分離にしろ微細な描写にしろ差がある。音場感はSE-M870の方が明確。SE-MJ7NSは全部の音が団子になっているように感じる。原音忠実性はSE-M870の方が上。癖のなさだけでなく、原音の粗や生っぽさを感じられる度合いがSE-M870の方がかなり上。SE-M870の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M870の方がかなり上。厚みはほぼ同等。SE-M870の方がかなり締まった音。温かみは低域が強い分SE-MJ7NSの方が感じられるが、それ以上の差はない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。SE-MJ7NSの方が低域の量がかなり多いのでノリが良いように感じがちだが、切れやスピード感はSE-M870の方がかなり上。響きはSE-MJ7NSの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はSE-M870の方が繊細で澄んだ鳴らし方。金管楽器はSE-M870の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。使い分けるなら、基本的にはSE-M870、よほど低域の量が欲しいときや聴き疲れを嫌うときだけSE-MJ7NS。

SE-MONITOR 10R
どちらもややドンシャリだが、SE-M870の方がやや低音よりか。基本的にはかなり似ている。低域はSE-MONITOR 10Rの方が締まっている。高域もSE-MONITOR 10Rの方が硬く澄んでいる。分解能、原音忠実性はSE-MONITOR 10Rの方がやや上。音場感はどちらもいまいちでほぼ互角。SE-MONITOR 10Rの方がやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSE-MONITOR 10Rの方がやや上。温かみはSE-M870の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも基本的にノリが良い。響きはSE-M870の方が豊か。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はSE-MONITOR 10Rの方が原音に近い上鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MONITOR 10Rの方が曇りがなく切れも良いのでうまいように思うが、低音が欲しいならSE-M870の方が良いかもしれない。基本的にはSE-MONITOR 10Rがあれば事足りるが、弦楽器を聴くときや温かみや響きが欲しいときにはSE-M870の方が良い。


・SE-MJ5
ATH-ES7
ATH-ES7はややドンシャリ、SE-MJ5は低音よりのドンシャリ。低域はどちらもしっかり出るが、SE-MJ5の方がやや量が多く曇っている感じ。中域はATH-ES7の方が低域と混ざらない感じではっきり聴こえてくる。高域はSE-MJ5の方がやや高い音を鳴らす。ATH-ES7がシャンと鳴らすところをSE-MJ5はチンと鳴らす感じ。分解能はATH-ES7の方がやや上。音の分離に差がある。音場感はほぼ同レベル。原音忠実性はどちらもいまいち。どちらも原音忠実よりは楽しく聴かせることを目的とした音作りに感じる。ATH-ES7の方がエッジがきつくやや聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-ES7の方が上。厚みはATH-ES7の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。どちらもノリが良い傾向だが、ATH-ES7の方が圧力や締まりがある感じ。響きはSE-MJ5の方が豊か。弦楽器はどちらもいまいちでほぼ同レベル。金管楽器はATH-ES7の方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、ATH-ES7の方が低域の締まりや切れで勝っているように感じる。使い分けるなら、基本的にはATH-ES7、聴き疲れを避けたい場合や高域の質感の好みによってはSE-MJ5。

ATH-PRO700
どちらもドンシャリだが、ATH-PRO700の方がややフラット。低域はSE-MJ5の方がやや低い音を鳴らすが、量はあまり差がない。中域はATH-PRO700の方がはっきり聴こえてくる。中高域から高域はSE-MJ5の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてATH-PRO700の方が上。どちらもそれほどエッジはきつくないのだが、音の圧力で聴き疲れする部分は似ている。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてほぼ互角だが、音の密度はATH-PRO700の方が高いように感じる。どちらもノリが良い。響きはSE-MJ5の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はどちらもうまくない。金管楽器はSE-MJ5の方がかなり高い音で目立つが、チープな感触。打ち込み系の音の表現はどちらもうまいが、基本性能に勝るATH-PRO700にやや分があるように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはATH-PRO700、高域が欲しいときにはSE-MJ5。

CDH-508
CDH-508はやや低音より。SE-MJ5はドンシャリ。低域はCDH-508の方が低い音で、柔らかい質感。量はほぼ同量。中域はSE-MJ5の方がはっきり聴こえてくる。逆に、CDH-508はかなり曇りが気になる。高域はSE-MJ5の方が高く硬く、量も多い。分解能、音場感ともにSE-MJ5の方がやや良い。原音忠実性はどちらもいまいち。CDH-508は曇りが気になるし、SE-MJ5は中高域から高域の癖が気になる。SE-MJ5の方がややエッジがきつい上に、音の圧力があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSE-MJ5の方がかなり上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはCDH-508の方がかなり上。ノリの良さならSE-MJ5、繊細さならCDH-508。響きは曇りのせいかCDH-508の方が豊かに感じるが、高域はSE-MJ5の方が響く。CDH-508は柔らかい音、SE-MJ5は硬い音。弦楽器はCDH-508の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はSE-MJ5の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MJ5の方がうまい。音の圧力や厚みが良く合う。得意分野はCDH-508はジャズ、SE-MJ5はポップス。使い分けるなら、クラシックやジャズはCDH-508、ポップスやロックはSE-MJ5。

EHP-CL430
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はEHP-CL430の方が厚みが薄く、ローエンドまで出る感じ。EHP-CL430の方が低く、量も多いように感じるが、ぼやけて締まりがない。SE-MJ5はEHP-CL30と比べれば締まりがある。中域はSE-MJ5の方がはっきり聴こえてくる。EHP-CL430はかなり低域に埋もれる。高域はSE-MJ5の方が硬く高い音を鳴らす。分解能、音場感ともに若干SE-MJ5の方が良いか。原音忠実性はどちらも良くないが、原音の実体感のようなものはSE-MJ5の方が感じられる。EHP-CL430はただ何となく鳴らしている印象。SE-MJ5の方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-MJ5の方が上。厚みはSE-MJ5の方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはEHP-CL430の方がやや上。繊細さが感じられないのはどちらも似たようなものだが、ノリの良さはSE-MJ5の方がかなり上。響きはEHP-CL430の方がやや豊かで、こもり感がかなり気になる。SE-MJ5の方が芯の通った圧力のある音。この点が一番の違いかもしれない。弦楽器はどちらもうまくない。SE-MJ5の方がくっきりした鳴らし方。ぼやけて繊細さがなくても良いならEHP-CL30でも聴けないことはないが、基本的にSE-MJ5の方がましだろう。金管楽器はSE-MJ5の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MJ5の方がかなりうまい。圧力やスピード感がまったく違う。得意分野はEHP-CL430がクラシック、SE-MJ5がポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-MJ5で、聴き疲れが気になるときや元気が良すぎると感じるときはEHP-CL430が良いだろう。

RP-DJ700
どちらもドンシャリだが、RP-DJ700の方がやや低音より。低域はRP-DJ700の方がやや低い音を鳴らすが、圧力はSE-MJ5の方がある。量はほぼ同量。中域はどちらもそれほど低域に埋もれたりしない。RP-DJ700の方がやや曇りがちではあるが落ち着いた音を鳴らす。中高域から高域はSE-MJ5の方が高い音を鳴らすし量も多い。分解能、音場感はほぼ同等だが、音場感はSE-MJ5の方が若干良いか。原音忠実性はRP-DJ700の方がやや良い。SE-MJ5はPioneer独特の高域の癖がある。SE-MJ5の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-MJ5の方がやや上。厚みはSE-MJ5の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-DJ700の方が上。SE-MJ5の方が太く硬い音で、ノリが良い。言い換えれば、RP-DJ700の方が線が細く繊細。響きはSE-MJ5の方がやや豊か。弦楽器はRP-DJ700の方が柔らかくて心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならSE-MJ5の方が良いだろう。金管楽器はSE-MJ5の方が一段高く、量も多い。打ち込み系の音の表現はSE-MJ5の方が得意。音の厚みや圧力、スピード感が上。得意分野はRP-DJ700がロック、SE-MJ5がポップス。使い分けるならポップスやブラスメインの曲はSE-MJ5、それ以外はRP-DJ700。

SE-M870
どちらもややドンシャリだが、SE-MJ5の方がやや低音より。低域はSE-MJ5の方がやや低い音で、量も若干多いように感じる。中域はSE-M870の方が曇りなくストレートに聴こえてくる。高域はSE-M870の方がかなり細く、量も多い。分解能、音場感ともにSE-M870の方が良い。原音忠実性はほぼ互角。Pioneerらしい高域の癖はSE-M870の方がきついが、SE-MJ5は曇りや細部の表現のなさが気になる。SE-M870の方がエッジがきつくやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M870の方が上。厚みは一聴してSE-MJ5の方があるように感じるが、低域の量感を除けばそれほど差はない。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。どちらも基本的にノリが良いが、SE-MJ5が低音と音の圧力によるノリの良さであるのに対して、SE-M870は軽快さやスピード感のあるノリの良さ。響きはほぼ互角。SE-MJ5の方がかなりこもり感が気になる。弦楽器はSE-M870の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はSE-M870の方が高く鮮やかな鳴らし方だが、作ったような感じは否めない。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまい。低域の量が欲しい場合や、SE-M870では線が細すぎると感じる人はSE-MJ5の方が合うだろう。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、基本的にはSE-M870で、聴き疲れや高域の癖が気になるときはSE-MJ5を使えばよいだろう。


・SE-MJ7NS
AHP-505
AHP-505は低音より、SE-MJ7NSは低音よりのドンシャリ。低域はSE-MJ7NSの方が厚み・量ともにかなり出る。中域は、AHP-505が低域の曇りに覆われる感じ、SE-MJ7NSが低域の量に負ける感じ。どちらもあまりはっきり聴こえてこないが、低域の少ないソースならAHP-505の方が聴こえてくる。高域はSE-MJ7NSの方が金属的でやや目立つが、量的には低域ほどの差はない。分解能はほぼ同等レベル。音場感はAHP-505の方がやや遠くから音が鳴る感じで把握しやすい。原音忠実性は周波数特性上の癖のなさという点ではAHP-505の方が良いが、原音の粗や生っぽさが感じられないという点ではどちらも同じ。AHP-505の方がややエッジがきついが、音の圧力はSE-MJ7NSの方があるので、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。明瞭さは低域が少ない分AHP-505の方がやや上、音の鮮やかさはほぼ同等レベル。厚みはSE-MJ7NSの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-MJ7NSの方がやや上。SE-MJ7NSの方がノリが良い。響きはSE-MJ7NSの方がやや豊か。AHP-505がただ何となく鳴らしている感じなのに対して、SE-MJ7NSは圧力や密度のある感じで押してくる。弦楽器はSE-MJ7NSの方が心地よいが、澄んだ感じが欲しいならAHP-505の方が良い。金管楽器はSE-MJ7NSの方が力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-MJ7NSの方がうまい。質感的にはほぼ同等なのだが、低域の量や音の厚みで勝っているため。使い分けるなら、癖のなさを求めるならAHP-505、低域の量や音の厚みを求めるならSE-MJ7NS。

HN110
HN110は低音より、SE-MJ7NSは低音よりのドンシャリ。低域はHN110が薄く曇っている感じなのに対してSE-MJ7NSは分厚くしっかり低い音を鳴らすし量も多い。中域はどちらもあまりはっきり聴こえてこないが、HN110の方がまだ聴こえてくる感じ。高域はSE-MJ7NSの方が高い音で目立つ。分解能はほぼ互角。音場感はSE-MJ7NSの方がやや明確だが、耳の近くで鳴らす感じが気になる。原音忠実性はどちらも最低レベル。どちらもエッジはきつくないが低域のせいで疲れることがある点は似ている。明瞭さは低域の量が少ない分HN110の方がやや良いが、音の鮮やかさはSE-MJ7NSの方が良い。厚みはSE-MJ7NSの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSE-MJ7NSの方がやや上。SE-MJ7NSの方がノリが良い。響きはSE-MJ7NSの方が豊か。弦楽器はどちらもうまくないが、HN110の方が不自然さが少ないぶん良いかもしれない。金管楽器はSE-MJ7NSの方が高い音で鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MJ7NSの方が低域の量や音の厚みで勝っているため楽しめる。使い分けるなら、低域の量が欲しい場合にはSE-MJ7NS、低域の量よりバランスの良さを求める場合HN110。

SE-M870
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はSE-MJ7NSの方がかなり量が多くぼやけている。中域はSE-M870の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はSE-M870の方が細く高い音で量も多い。全体的に、SE-MJ7NSの方がかなり低音より。分解能はSE-M870の方がかなり良い。音の分離にしろ微細な描写にしろ差がある。音場感はSE-M870の方が明確。SE-MJ7NSは全部の音が団子になっているように感じる。原音忠実性はSE-M870の方が上。癖のなさだけでなく、原音の粗や生っぽさを感じられる度合いがSE-M870の方がかなり上。SE-M870の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-M870の方がかなり上。厚みはほぼ同等。SE-M870の方がかなり締まった音。温かみは低域が強い分SE-MJ7NSの方が感じられるが、それ以上の差はない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-M870の方が上。SE-MJ7NSの方が低域の量がかなり多いのでノリが良いように感じがちだが、切れやスピード感はSE-M870の方がかなり上。響きはSE-MJ7NSの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はSE-M870の方が繊細で澄んだ鳴らし方。金管楽器はSE-M870の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-M870の方がうまい。使い分けるなら、基本的にはSE-M870、よほど低域の量が欲しいときや聴き疲れを嫌うときだけSE-MJ7NS。

TriPort
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はSE-MJ7NSの方がかなり量が多く、圧力もある。中域はTriPortの方が低域に埋もれず聴こえてくる。高域はそれなりに似ているが、TriPortの方がやや量が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてTriPortの方が上。音場はTriPortの方が立体的で広く明確。どちらも原音の粗や生っぽさを感じさせない点は似ているが、癖のなさという意味でTriPortの方が原音忠実。TriPortの方がエッジがきついが、SE-MJ7NSの方が耳の近くで圧力のある音を鳴らすので疲れる面もあり、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはTriPortの方が上。厚みはほぼ同等。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等だが、TriPortの方が若干上か。どちらも低音の豊かさをベースにしたノリの良さを持っている。響きはSE-MJ7NSの方がやや豊か。弦楽器はTriPortの方が余計な音を鳴らさず原音に近いい。金管楽器はTriPortの方がやや鮮やか。打ち込み系の音の表現はほぼ同等レベルだが、SE-MJ7NSの方がやや良いと感じることもある。低域の量が多くそれでいて中高域も鮮やか。使い分けるなら、基本的にはTriPort、よほど低域の量が欲しいときだけSE-MJ7NS。


・SE-MONITOR 10R
HD280Pro
HD280Proはややかまぼこ、SE-MONITOR 10Rはややドンシャリ。低域、高域ともにSE-MONITOR 10Rの方が若干出る。中域はHD280Proの方がしっかり聴こえてくる。ただ、かまぼことドンシャリとは書いたがそれほどの差は感じられない。HD280Proはかまぼこと言うには低音が強いし、SE-MONITOR 10Rはドンシャリのわりには低音が弱めで高域が強いため。分解能はほぼ互角だがSE-MONITOR 10Rの方が芯の通った音で明瞭でもあるためやや良いように感じる。音場感はHD280Proの方がやや良い。HD280Proの方が原音忠実。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、HD280Proはやや濁りがあるため疲れ、SE-MONITOR 10Rは硬く芯が通りすぎで疲れるという違いがある。そのため、どちらが聴き疲れするかはソースによって違ってくる。明瞭さや音の鮮やかさはSE-MONITOR 10Rの方がある。どちらも厚みのある音を鳴らす。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHD280Proの方が若干ある。響きはHD280Proの方が豊か。弦楽器はHD280Proの方が原音に近くしなやかで良い。金管楽器はSE-MONITOR 10Rの方が鮮やか。ただしソースによってはやや安っぽい音になる。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなか良いが、どちらか選ぶならSE-MONITOR 10Rか。使い分けるなら、クラシックやジャズはHD280Pro、ポップスやロックはSE-MONITOR 10R。

PRO/4AA
PRO/4AAはかまぼこ、SE-MONITOR 10Rはややドンシャリ。低域、高域ともにSE-MONITOR 10Rの方が出る。分解能、音場感ともにほぼ互角だが、若干SE-MONITOR 10Rの方が良いか。原音忠実性はどちらもモニター用にしてはいまいちだが、まだSE-MONITOR 10Rの方が良い。エッジのきつさはほぼ互角、どちらもエッジと言うより芯が通り過ぎていて聴き疲れする。明瞭さはほぼ互角だが、音の鮮やかさはSE-MONITOR 10Rの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSE-MONITOR 10Rの方がかなりある。SE-MONITOR 10Rの方がノリの良く、音楽鑑賞向き。響きはどちらもかなりあっさり。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現等すべてSE-MONITOR 10Rの方が上。何を聴くにしてもSE-MONITOR 10Rの方が良いと思われるが、PRO/4AAには独特の魅力があるのも確か。

SE-M870
どちらもややドンシャリだが、SE-M870の方がやや低音よりか。基本的にはかなり似ている。低域はSE-MONITOR 10Rの方が締まっている。高域もSE-MONITOR 10Rの方が硬く澄んでいる。分解能、原音忠実性はSE-MONITOR 10Rの方がやや上。音場感はどちらもいまいちでほぼ互角。SE-MONITOR 10Rの方がやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSE-MONITOR 10Rの方がやや上。温かみはSE-M870の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも基本的にノリが良い。響きはSE-M870の方が豊か。弦楽器はSE-M870の方が伸びが良く心地よい。金管楽器はSE-MONITOR 10Rの方が原音に近い上鮮やか。打ち込み系の音の表現はSE-MONITOR 10Rの方が曇りがなく切れも良いのでうまいように思うが、低音が欲しいならSE-M870の方が良いかもしれない。基本的にはSE-MONITOR 10Rがあれば事足りるが、弦楽器を聴くときや温かみや響きが欲しいときにはSE-M870の方が良い。

T50RP
T50RPはややかまぼこ、SE-MONITOR 10Rはドンシャリ。超低域はどちらもやや弱め。低域の厚みはSE-MONITOR 10Rの方がかなりある。高域はT50RPは曇っていてやや弱めなのに対して、SE-MONITOR 10Rは尖っていて強め。中域はT50RPの方がかなり強くはっきり聴こえる。分解能はSE-MONITOR 10Rの方が上、音場感はさすがに全面駆動のT50RPの方が上。原音忠実性はどちらもモニター用にしてはいまいちだが、どちらかと言えばSE-MONITOR 10Rの方が良いように感じる。T50RPは原音の生っぽさがかなり足りない。SE-MONITOR 10Rの方がエッジがきつく聴き疲れする。サ行の音等もかなり痛い。ただし、T50RPは曇っていてエッジのきつさもそれほどではないのに妙なこもり感のためか意外と聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、密度、情報量はすべてSE-MONITOR 10Rの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはT50RPの方がある。ただし、ヴォーカルはかなり独特の癖が出るので一概に良いとは言えない。まったく違う音を鳴らすので、比較しない方が良いのかもしれない。T50RPには艶っぽさはあるが力はない。一方、SE-MONITOR 10Rは強さと最低限の艶っぽさがある。ノリの良さならSE-MONITOR 10R、繊細さならT50RP。響きはT50RPの方が豊か。SE-MONITOR 10Rはかなり切れが良い。どちらもモニター用だがまったく違う音調。これほど対照的な機種も珍しい。弦楽器はT50RPの方が良く伸び自然で魅力的。金管楽器や打ち込み系の音はSE-MONITOR 10Rの方が圧倒的に鮮やかで相性が良い。使い分けるなら弦楽器メインのクラシックはT50RP、それ以外はSE-MONITOR 10R。


・SHE9501
E2c
どちらもかなりフラット。低域はE2cの方がややぼやけていて量が多い。中域はSHE9501の方が低域の曇りに覆われず、やや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSHE9501の方がやや高い音で量も多い。この2機種を広い目で見比べた場合、SHE9501の方が高音よりと言えよう。分解能はほぼ同等だが、どちらかと言えばSHE9501の方が上。音場感はSHE9501の方が見晴らしが良くすっきりしているが、広さや明確さには大きな差はない。原音忠実性はSHE9501の方が上。原音の粗や生っぽさが感じられるという点で勝っている。SHE9501の方がエッジがきつくやや聴き疲れするが、どちらも問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはSHE9501の方が上。厚みはほぼ同等だが、E2cの方がぼやけて太い音なので厚く感じがち。温かみはE2cの方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。どちらも基本的に地味だが、SHE9501の方がやや派手。響きはE2cの方がやや豊か。弦楽器はE2cの方が温かみが感じられる傾向、SHE9501の方が澄んでいて原音の生っぽさが感じられる。金管楽器はSHE9501の方が高く鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。E2cの方が低域の量が多い点は良いが、SHE9501の方が切れがある。使い分けるなら、低音よりが良いならE2c、高音よりが良いならSHE9501。或いは安定感が欲しいならE2c、明るさが欲しいならSHE9501という使い分けもありだろう。

EHP-IN200
EHP-IN200はややかまぼこ、SHE9501はかなりフラット。低域はSHE9501の方がしっかり低い音を鳴らしてくれるし量もやや多い。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、SHE9501の方が癖がない。EHP-IN200は低域が弱いのに曇っていて、しかもうわずっているように感じる。高域はEHP-IN200の方がやや高い音を鳴らすが、量的にはSHE9501の方が多い。分解能、音場感、原音忠実性すべてSHE9501の方がかなり良い。特にEHP-IN200は一聴して違和感を感じるのに対して、SHE9501は非常に自然。SHE9501の方が多少エッジがきついのだが、変な癖や圧迫感でEHP-IN200の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてSHE9501の方が上。SHE9501の方がノリが良くかつ繊細。響きはほぼ同等。弦楽器はSHE9501の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はEHP-IN200の方が高い音だが、不自然で鮮やかさもない。打ち込み系の音の表現はSHE9501の方がうまい。厚み、切れ、低域の量感等で勝っている。ほとんど何を聴くにしてもSHE9501の方が良い。

MDR-EX71SL
MDR-EX71SLはややドンシャリ、SHE9501はかなりフラット。低域はMDR-EX71SLの方がやや低い音で量も多め。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、低域・高域との関係が違う。MDR-EX71SLが低域・高域と隔絶された感じで鳴るのに対して、SHE9501は自然に繋がっている。高域はMDR-EX71SLの方が細く高い音を鳴らす。全体的に、MDR-EX71SLの方が低い音は低く、高い音は高く鳴らす感じ。分解能はほぼ同等。MDR-EX71SLの方が細かい音まで鳴らしてくれるように感じる部分もあるが、これは付帯音が多いことに由来する面も多い。分離はSHE9501の方が良い。音場感はSHE9501の方が良い。見晴らしが良く、圧迫感がない。原音忠実性はSHE9501の方が上。MDR-EX71SLはドンシャリ気味の味付けがされている。周波数特性上の癖のなさだけ見てもSHE9501の方が良いが、さらに原音の粗や生っぽさが感じられるという点でもやや上。MDR-EX71SLの方がエッジがきつくかなり聴き疲れしやすいように感じるが、これはどちらかと言えばSHE9501が聴き疲れしにくいと言うべきだろう。明瞭さはSHE9501の方が上、音の鮮やかさはMDR-EX71SLの方が上。厚みはMDR-EX71SLの方がやや厚め。温かみは低域が出る分MDR-EX71SLの方があるように感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは、MDR-EX71SLの方が味付けが多いので上に感じがちだが、基本的にはほぼ同等だろう。MDR-EX71SLの方がノリが良く、SHE9501の方が繊細で冷静。ただし、SHE9501にしてもノリが悪いわけではない。響きはMDR-EX71SLの方が豊か。弦楽器はMDR-EX71SLの方が味付けされていて良いように感じることもあるが、SHE9501の方が原音の生っぽさは感じられるし、楽器の音色そのものの魅力では上。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高い音を鳴らすが、不自然さもあるのは否めない。SHE9501の方が地味ではあるが、原音に近いとは言える。打ち込み系の音の表現はドンシャリな分MDR-EX71SLの方が良いように感じがちだが、その点を除けばほぼ同等レベル。使い分けるなら、ポップスやロックをノリ良く聴きたいならMDR-EX71SL、生楽器を味付け少なく聴きたいならSHE9501。


SK PRO
HFI-650
HFI-650はややドンシャリ、SK PROは低音よりのドンシャリ。低域はSK PROの方がぼやけていてかなり量が多い。中域はHFI-650の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。SK PROはかなり低域に埋もれる感じ。高域はHFI-650の方がやや高く硬い音を鳴らす。分解能はHFI-650の方が上。音の分離にしろ微細な描写にしろ上。音場感はHFI-650の方が耳から離れたところで鳴らしていて広く感じる。原音忠実性はHFI-650の方が上。原音の粗や生っぽさにおいて勝っている。HFI-650の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさはHFI-650の方が上。厚みはほぼ同等レベルだが、SK PROの方が太くぼやけた音。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSK PROの方がやや上。どちらもノリが良いが、SK PROの方が低域の量で押すような感じ。響きはSK PROの方が豊かでこもり感が気になる。弦楽器はSK PROの方が滑らかで心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを楽しみたいならHFI-650の方が良い。金管楽器はHFI-650の方が高く鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現はHFI-650の方がうまい。締まりがあり、テンションも高いように感じる。得意分野はどちらもポップス。使い分けるなら、低域の締まりや原音の生っぽさが欲しいならHFI-650、低域の量や滑らかな質感が欲しいならSK PRO。

MDR-Z900
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は量的にはそれほど差はないが、MDR-Z900の方が粘りがある。中域はどちらも低域に負けてはっきり聴こえてこない。高域はMDR-Z900の方がやや高く金属的。分解能はMDR-Z900の方がやや上。音場感はほぼ同等。どちらも広がりのない感じは似ている。原音忠実性はどちらも良くないが、周波数特性的な癖の少なさからSK PROの方がやや良いか。エッジのきつさはほぼ同等で聴き疲れも同程度。明瞭さ、音の鮮やかさはSK PROの方がやや上。厚みはMDR-Z900の方がややある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同等。どちらもノリが良いが、MDR-Z900の方が古臭く地味な感じがある。響きはMDR-Z900の方が豊か。弦楽器はどちらも塗りつぶしたような質感であまり生っぽさが感じられない点が似ている。金管楽器はMDR-Z900の方がやや高い音を鳴らす。打ち込み系の音の表現は、響きが少なく線の太いSK PROの方がややうまいように感じる。使い分けるなら、少しでも線の細い感じを求めるならMDR-Z900、響きの豊かさやこもり感を避けたいならSK PRO。

RH-200
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はRH-200の方がやや低く厚みのある音を鳴らす。中域はRH-200の方がやや高い音で低域と切り離されたような感じで聴こえてくる。高域はSK PROの方がやや量が多いのだが、RH-200の方が金属的な質感で目立つことがある。分解能はほぼ同等。音場感はSK PROの方が立体的で明確。原音忠実性は周波数特性の癖のなさではSK PROの方が良いが、RH-200の方が原音の粗や生っぽさが感じられる。エッジのきつさはほぼ同等だが、RH-200の方が圧力のある音を耳の近くで鳴らすため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはRH-200の方がやや上。SK PROは薄く曇っていておとなしい感じが付きまとう。厚みはRH-200の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSK PROの方が感じられる。どちらもノリが良い傾向だが、RH-200の方が厚みや迫力がある。響きはRH-200の方がやや豊か。弦楽器はSK PROの方が心地よく聴ける。RH-200はどこか嫌味が出ることも多い。金管楽器はRH-200の方が金属的でしかも力強さがあるが、不自然でいまひとつ鮮やかさに足りない感もある。SK PROは力強さもない代わりそれなりに自然な感じ。打ち込み系の音の表現は、音の濃さだけを求めるならRH-200の方が良いだろうが、SK PROの方が癖がない鳴らし方。使い分けるなら、厚みや迫力を求めるならRH-200、癖のなさや温かみを求めるならSK PRO。

RP-HT560
RP-HT560はかなりフラット、SK PROは低音よりのドンシャリ。低域はSK PROの方がやや量が多いが、質的にぼやけ気味なところは似ている。中域はPR-HT560の方が低域に邪魔されない上若干高い音ではっきり聴こえてくる。高域はほぼ同量で、質的にも近いが、RP-HT560の方がやや金属的な鳴り。分解能はRP-HT560の方が上。音場感はほぼ同等。原音忠実性はPR-HT560の方が上。エッジのきつさはほぼ同等で、聴き疲れも同レベル。明瞭さ、音の鮮やかさはRP-HT560の方が上。厚みはSK PROの方がある。温かみは低域が出る分SK PROの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもノリが良い傾向ではあるのだが、RP-HT560の方が軽くて爽やか、SK PROの方が骨太で圧力があるという違いがある。響きは、低域はSK PROの方が豊か、高域はRP-HT560の方が豊か。弦楽器はSK PROの方が滑らかで心地よいが、ヴァイオリン等の澄んだ感じを求めるならRP-HT560の方が良い。金管楽器はRP-HT560の方が明るいが、SK PROに比べると軽薄な感じに聴こえる。打ち込み系の音の表現も同様で、圧力や迫力を求めるならSK PROの方が良いだろう。使い分けるなら、明るく爽やかに聴きたいならRP-HT560、厚みや低域の量を求めるならSK PRO。


・SPARKPLUG
MDR-EX71SL
MDR-EX71SLはややドンシャリ、SPARKPLUGは低音より。低域はSPARKPLUGの方がかなり出るが、質的にはMDR-EX71SLの方が良い。中域はSPARKPLUGは低域に埋もれるのに対してMDR-EX71SLはしっかり聴こえる。高域はMDR-EX71SLの方が細く高く鮮やか。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-EX71SLの方が圧倒的に上。MDR-EX71SLの方がエッジがきついが、SPARKPLUGは低域が強すぎて聴き疲れするので、総合的な聴き疲れはソースや人によって違ってきそう。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-EX71SLの方が上。MDR-EX71SLの方がノリが良く且つ繊細。響きは低域から中域はSPARKPLUGの方が豊か、高域はMDR-EX71SLの方が豊か。SPARKPLUGは非常にこもり感が気になるが、MDR-EX71SLはほとんど気にならない。弦楽器はMDR-EX71SLの方が繊細且つ心地よい。金管楽器はMDR-EX71SLの方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-EX71SLの方が良質な低域と切れで楽しめる。得意分野はMDR-EX71SLがポップス、SPARKPLUGがロック。ほとんど何を聴くにしてもMDR-EX71SLの方が良いように感じる。

SE-CL30
SE-CL30は高音よりのドンシャリ、SPARKPLUGは低音より。低域はSPARKPLUGの方がかなり量が多い。中域はSE-CL30がはっきり聴こえてくるのに対して、SPARKPLUGは完全に低域に埋もれる。高域はSE-CL30の方が一段高く硬い音。分解能、音場感、原音忠実性すべてSE-CL30の方が良い。SE-CL30の方がエッジがきついが、SPARKPLUGは低域の量が多すぎて聴き疲れすることが多いため、どちらが疲れるかはソースや聴く人によって違ってくるだろう。明瞭さ、音の鮮やかさはSE-CL30の方が上。厚みは判断が難しい。SE-CL30の方が芯の通った音、SPARKPLUGは非常に太くぼやけた音。どちらも温かみは感じられない。ヴォーカルの艶っぽさはSE-CL30の方が上。SPARKPLUGの方が低域の量が多いためノリが良く感じる人も多そうだが、実際はただ低域の量が多いだけでかなり鈍重。軽快さは圧倒的にSE-CL30の方が上。SPARKPLUGは繊細さがまったく感じられないのに対して、SE-CL30は最低限はあるように思う。響きは低域から中域はSPARKPLUGの方が豊か、高域はSE-CL30の方が豊か。SPARKPLUG野方がかなりこもり感が気になる。弦楽器はSE-CL30の方が繊細。SPARKPLUGは聴けたものではないが、SE-CL30は何とか聴ける。金管楽器は、SPARKPLUGはまったく聴こえてこないのに対してSE-CL30はなかなか鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はSE-CL30の方がうまい。切れがまったく違う。得意分野はSE-CL30がポップス、SPARKPLUGがロック。よほど低域の量が欲しいときを除いて、ほとんど何を聴くにしてもSE-CL30の方が良いように感じる。

The Plug
かなり近い音。どちらも低音より。低域の量はSPARKPLUGの方が多いが、The Plugの方がやや低い音を鳴らす。中域はThe Plugの方がはっきり聴こえてくる。高域はThe Plugの方がやや高い音を鳴らす。The Plugの方が曇りが気にならない。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ同等でどちらも悪い。どちらもエッジはきつくないが、低域が出すぎでこもり感が気になるため聴き疲れすることがある点は良く似ている。明瞭さ、音の鮮やかさはThe Plugの方がやや上。厚みはほぼ互角で温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはThe Plugの方が上。どちらもノリが良いわけでもなく繊細なわけでもない。響きはほぼ互角でどちらもこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現いずれも似たようなものでうまくないが、どちらかと言えば薄い低域が支配的なSPARKPLUGよりはThe Plugの方が良いように感じる。得意分野はどちらもロック。何を聴くにしても大差ないが、どちらかと言えばThe Plugの方が良いように思う。どちらか片方持っていれば十分の機種。


・SP-K300
ATH-M40fs
ATH-M40fsはかまぼこ、SP-K300はドンシャリ。低域の量は全体的にSP-K300の方がかなり出るが、質は似ている。高域はどちらもaudio-technica独特の癖がある感じで質的には似ているが、量はSP-K300の方がやや多い。分解能、原音忠実性はATH-M40fsの方が上。音場感はほぼ互角。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、線が細い分ATH-M40fsの方が疲れる印象。ただし、人によってはSP-K300は低域の量が出すぎで聴き疲れするかもしれない。明瞭さはATH-M40fsの方が上、音の鮮やかさはほぼ互角。温かみは低音が出る分SP-K300の方があるように感じるが、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。響きはSP-K300の方が豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてほぼ互角。この2機種の大きな違いは、低域の量と音の細さ。使い分けるならクラシックやジャズはATH-M40fs、ポップスやロックはSP-K300。

DJ1 PRO
どちらもドンシャリだが、SP-K300の方が低音より。超低域はSP-K300の方が出るが、厚みはDJ1 PROの方がある。高域は圧倒的にDJ1 PROの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてDJ1 PROの方が上。SP-K300の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてDJ1 PROの方が上。どちらもノリが良い。響きはSP-K300の方が豊か。非常にこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてDJ1 PROの方が魅力的。得意分野はDJ1 PROはポップス、SP-K300はロック。使い分けるならロックはSP-K300、それ以外はDJ1 PRO。

HP-D7
HP-D7はやや低音より、SP-K300はドンシャリ。低域、高域ともにSP-K300の方が出る。ただし、超低域はほぼ同量。HP-D7は低域が薄く、曇っているような印象を受けるが、SP-K300は低域の圧力の方が感じられる。分解能はSP-K300の方が上、音場感はHP-D7の方が上。どちらも原音忠実とは言いがたいが、まだHP-D7の方がまし。HP-D7の方がエッジがきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSP-K300の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHP-D7の方がやや上。ノリの良さならSP-K300、繊細さならHP-D7。弦楽器はHP-D7の方が心地よく楽しめる。金管楽器はSP-K300の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はHP-D7の方がうまい。得意分野はHP-D7はポップス、SP-K300はロック。使い分けるならポップスや弦楽器メインの曲はHP-D7、それ以外はSP-K300。

HP-DX3
HP-DX3は低音より、SP-K300は低音よりのドンシャリ。低域はどちらもかなりしっかり低い音を鳴らしてくれるが、こと量に関してはHP-DX3の方がある。厚みはSP-K300の方があるように感じる。中域はSP-K300の方がはっきり聴こえてくる。HP-DX3は圧倒的な量の低域に埋没する。高域はSP-K300の方が高く硬い音で、量も多い。分解能はSP-K300の方が上。音の分離で勝っているし、微細な表現もHP-DX3ほどは低域に埋もれない。音場感はHP-DX3の方が良い。原音忠実性はどちらも良いとは言えないが、原音の粗や生っぽさはSP-K300の方が感じられる。SP-K300の方がエッジがきつく圧力のある音で聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSP-K300の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHP-DX3の方が上。ノリの良さならSP-K300、繊細さならHP-DX3。響きは、低域はHP-DX3、高域はSP-K300の方が豊か。弦楽器はHP-DX3の方が繊細で心地よいが、どんな音も低めに鳴らしてしまうのが難点。金管楽器はSP-K300の方が高く鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はSP-K300の方がうまい。締まりのある音で、厚みや圧力もあるため。得意分野はHP-DX3はクラシック、SP-K300はロック。使い分けるなら、アコースティックな楽器はHP-DX3、それ以外はSP-K300。温かみやヴォーカルの艶っぽさを重視するならHP-DX3、音の鮮やかさや厚みを重視するならという使い分けもありだろう。

HP-M1000
どちらもドンシャリ。低域はどちらも全体的にかなり出るが、SP-K300は密閉型特有のこもり感で量を稼いでいる感じ。実質的な出音はHP-M1000の方がある。高域は量的にはほぼ互角。中高域はHP-M1000の方が高く鮮やかだが、超高域はSP-K300の方が高い。全体的にはSP-K300の方がやや低音よりか。分解能、原音忠実性はSP-K300の方が上。音場感はHP-M1000の方がやや良い。SP-K300の方が聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてHP-M1000の方が上。どちらもかなりノリが良いが、HP-M1000の方が元気な鳴り。響きはSP-K300の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてHP-M1000の方がうまいが、純粋に原音忠実を求めるならSP-K300の方が良いだろう。得意分野はHP-M1000はポップス、SP-K300はロック。使い分けるならロックはSP-K300、それ以外はHP-M1000。

MDR-7506
MDR-7506はややドンシャリ、SP-K300は低音よりのドンシャリ。低域はMDR-7506の方が低い音を鳴らすが、量はSP-K300の方がかなり多い。中域はMDR-7506の方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はSP-K300の方がややとがった鳴らし方。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-7506の方が良い。SP-K300の方がエッジがきつい上、こもり感が気になるため聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-7506の方が上。厚みはMDR-7506の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、どちらかと言えば低域の曇りがあるSP-K300の方が良いように感じてしまう。MDR-7506はノリが良いながらもモニター的であるのに対して、SP-K300は低域で押してくる単純にノリが良い機種。響きはSP-K300の方が豊か。弦楽器はMDR-7506の方が繊細。金管楽器はSP-K300の方がやや高い音を鳴らすが、作ったような感じがする。原音忠実を求めるならMDR-7506の方が良いだろう。打ち込み系の音の表現はMDR-7506の方がうまい。音の厚みと低域の締まりが合う。使い分けるなら、基本的にはMDR-7506、聴き疲れや低域の曇りがあってもいいから温かみやヴォーカルの艶っぽさを求めるならSP-K300。

MDR-Z900
どちらもドンシャリ。MDR-Z900の方が低域がかなり豊か。高域は量的にはほぼ同量だが、SP-K300の方がやや高く硬い音を鳴らす。分解能、音場感はMDR-Z900の方が良い。どちらも原音忠実とは言いがたい。エッジのきつさはそれほどでもないが、低域が強すぎて疲れるところは良く似ている。明瞭さはSP-K300の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはMDR-Z900の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはMDR-Z900の方が上。どちらも低音を押し出す感じでかなりノリが良いが、軽快ではなく重厚。響きはMDR-Z900の方が豊か。弦楽器は基本的にはMDR-Z900の方が良いが、チェロ等の低域はSP-K300の方が良い。金管楽器はSP-K300の方が高く明瞭。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなり。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、金管楽器メインの曲はSP-K300、それ以外はMDR-Z900。ただし、どちらも低域が強すぎるので、あまり常用には向かない。

RH-200
全体的に非常に良く似た音。どちらも低音よりのドンシャリ。低域は若干RH-200の方が出る。高域はSP-K300の方が細く硬い金属的な鳴り。分解能、音場感、原音忠実性すべてほぼ互角。どちらもエッジがきついせいというより、低音が出すぎで疲れる傾向がある。明瞭さはSP-K300の方がやや上。音の鮮やかさ、厚み、密度、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてほぼ互角。低音が出る分RH-200の方がノリが良いように感じる。響きはどちらもやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてほぼ互角。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、低域が欲しいときはRH-200、そうでなければSP-K300か。どちらか1台持っていれば十分の機種。

TR-HP03B
SP-K300は低音よりのドンシャリ、TR-HP03Bはややドンシャリ。低域はSP-K300の方が量が多いが、TR-HP03Bの方がやや低めの音を上品に鳴らしてくれる。中域はTR-HP03Bの方が低域に埋もれずはっきり聴こえてくる。高域はSP-K300の方が高く金属的。分解能及び原音忠実性はTR-HP03Bの方が上。微細な表現をうまくこなしてくれるし、SP-K300ほど作ったような酷いドンシャリではない。音場感は大きな差はないが、TR-HP03Bの方がすっきりして明確に感じる。SP-K300の方がエッジがきつい上、圧力やこもり感があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはTR-HP03Bの方が上。厚みはSP-K300の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはTR-HP03Bの方が上。ノリの良さならSP-K300、繊細さならTR-HP03B。響きはSP-K300の方が豊かで、こもり感が気になる。弦楽器はTR-HP03Bの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はSP-K300の方がやや高く力強い。打ち込み系の音の表現は、ノリの良さという意味ではSP-K300の方が良いのだが、あまりに低音の量が多くこもり感が酷いため、普通に楽しむならTR-HP03Bの方が良いかもしれない。使い分けるなら、基本的にはTR-HP03B、余程低域の量が欲しいときだけSP-K300。


・SR-007+SRM-717
HD650
HD650はやや低音より、SR-007+SRM-717はかなりフラット。低域はHD650の方が全体的に量が多いし、低い音を鳴らすように感じる。中域はSR-007+SRM-717の方がはっきり聴こえてくる。中高域から高域はSR-007+SRM-717の方が細く高い鳴らし方で、量も多い。分解能はSR-007+SRM-717の方が上。音の分離でも微細な表現でも勝っている。音場感はどちらも非常に広く立体的で明確。ただ、やはり定点駆動のHD650と比べて全面駆動のSR-007+SRM-717の方が音の鳴り口が広く、一段有利なように感じる。原音忠実性は微妙。HD650はSENNHEISERらしいマイルドな味付けだし、SR-007+SRM-717はコンデンサー型特有の質感。ただ、原音の粗や生っぽさを考えるならHD650の方が原音忠実と言って良いだろう。SR-007+SRM-717の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-007+SRM-717の方が上。厚みはHD650の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらも素晴らしいが、温かみならHD650、ヴォーカルの艶っぽさならSR-007+SRM-717の方が上。ダイナミック型は力強く、コンデンサー型は繊細というような表現が良くされるが、この2機種についてもそれは当てはまる。HD650は繊細ながらも意外と力強さを持っているのに対して、SR-007+SRM-717はHD650以上に繊細で透明感に溢れている。響きはHD650の方が豊か。弦楽器は基本的にはSR-007+SRM-717の方が繊細で良いが、チェロ等の低域の量感を楽しみたいならHD650の方が向いているだろう。金管楽器はSR-007+SRM-717の方が高く鮮やかだが、HD650の方が金属的で力強い鳴らし方なので、好みによって評価が別れるだろう。打ち込み系の音の表現はどちらも微妙。ノリの良さや厚みや圧力ではHD650に分があるのだが、明るさや鮮やかさではSR-007+SRM-717に分がある。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域の量感や温かみを求めるならHD650、明瞭さや音の鮮やかさを求めるならSR-007+SRM-717。あるいは、基本的にはSR-007+SRM-717で、力強さや温かみが欲しいときやコンデンサー型特有の質感を嫌うならHD650。

K701
どちらもかなりフラット。低域は、量はそれほど差がないが、質感がかなり違う。SR-007+SRM-717の方が柔らかく、K701の方が圧力がある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、K701の方がやや高い音。中高域は低域と同じで、量よりも質に違いが出る。K701の方が金属的。高域はSR-007+SRM-717の方が細く高い音を鳴らすため目立つ。分解能及び音場感はSR-007+SRM-717の方が上。音の分離にしろ、微細な表現にしろ、SR-007+SRM-717の方が一段上。音場はSR-007+SRM-717の方が広く立体的な上に全面駆動の音の鳴り口の広さが加わっているため、差が明確。原音忠実性はどちらも良いが、癖のなさという意味ではK701の方が良く、コンデンサー型独特の質感を除けばSR-007+SRM-717の方が良いように感じる。ただし、どちらも原音の粗は感じられない。SR-007+SRM-717の方がエッジがきついが、聴き疲れとしては問題ないレベル。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-007+SRM-717の方が上。曇りのない表現。厚みはそれほど差がないが、圧力はK701の方があるように感じられる。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSR-007+SRM-717の方が上。どちらも繊細だが、やはりダイナミック型のK701の方がノリの良さという点では分がある。響きはSR-007+SRM-717の方がやや豊か。弦楽器はSR-007+SRM-717の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はK701の方が力強く、SR-007+SRM-717の方が鮮やか。打ち込み系の音の表現はK701の方がややうまい。音に圧力があるだけでなく、締まりもあるため。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、基本的にはSR-007+SRM-717、余程音の圧力が欲しいときやコンデンサー型の質感を嫌うときはK701。

RS-1
RS-1はややドンシャリ、SR-007+SRM-717はフラット。低域はSR-007+SRM-717の方がローエンドまで出るが、厚みはRS-1の方があるし、全体的な量もRS-1の方が多い。中域はRS-1の方がやや高い音ではっきり聴こえてくる。高域はSR-007+SRM-717の方がやや高い音だが、量はRS-1の方が多い。分解能はどちらも非常に良いが、SR-007+SRM-717の方が若干粗がなく良好。音場感は、立体感はほぼ互角だが、SR-007+SRM-717の方が全体的に広く明確。原音忠実性はRS-1の方が良いように感じる。SR-007+SRM-717はコンデンサー型独特の質感がある上、原音の粗や生っぽさが感じづらく、低い音は低く高い音は高く鳴らしすぎる傾向があるように感じるが、RS-1はその点においてより癖がなく自然。エッジのきつさはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはRS-1の方が上。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSR-007+SRM-717の方が上。ノリの良さならRS-1、繊細さならSR-007+SRM-717。響きはSR-007+SRM-717の方が豊か。RS-1の方がかなり抜けが良い。弦楽器はSR-007+SRM-717の方が繊細かつ心地よい。金管楽器はRS-1の方が鮮やかで力強く楽しめる。打ち込み系の音の表現はRS-1の方がうまい。何と言ってもテンションの高さが違う。使い分けるなら、明るく楽しみたいときはRS-1、しっとりじっくり聴きたいときはSR-007+SRM-717。

SRS-4040
どちらも非常にフラットだが、どちらかと言うとSR-007+SRM-717の方がドンシャリ。低い音は低く、高い音は高く鳴らす。中域はSRS-4040の方がはっきり聴こえるように感じるが、これはSR-007+SRM-717の方が低域が多いせいではなく、中域そのものの音の高さがSRS-4040の方がやや高いため。ただし、それほど顕著な差があるわけではない。分解能はほぼ互角。音の分離は、低域の多いソースではSRS-4040の方が良いように感じるが、基本能力はむしろSR-007+SRM-717の方が高い。とは言え微妙な差。微細な表現はどちらも素晴らしく、一聴してSRS-4040の方が線が細く良好に感じるものの、聴き込むとSR-007+SRM-717の方が粗がないように感じられる。音場感はSR-007+SRM-717の方がかなり良い。SRS-4040は耳の近くで鳴っているのがやや気になるのに対して、SR-007+SRM-717はそんなことはまったくないし、立体感があり非常に明確。原音忠実性はどちらもコンデンサー型独特の質感があることを除けば非常に良い。原音の粗が感じられない点等、良く似ている。エッジのきつさはほぼ同等だが、ヴォーカルのサ行の音等はSRS-4040の方がやや痛く、高域はSR-007+SRM-717の方がやや痛い。明瞭さは低域が少なくやや高めの中域を鳴らすSRS-4040の方がやや良いように感じるが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはSR-007+SRM-717の方がある。温かみはSR-007+SRM-717の方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらも非常に繊細だが、あえて差をつけるなら、SR-007+SRM-717が力強さを感じさせる点があるのに対して、SRS-4040はひたすら繊細。響きはどちらも豊かでそれほど差はないが、低域の響きはSR-007+SRM-717の方が豊か。弦楽器はどちらも非常に繊細かつ心地よいが、低域の量感があることからSR-007+SRM-717の方が全体的な表現はやや上のように感じる。金管楽器は微妙に違う表現だが、どちらもそれぞれ鮮やかで楽しめる。SRS-4040の方が(悪い意味ではなく)音が割れ、SR-007+SRM-717の方がシンプルな鳴らし方。打ち込み系の音の表現は、どちらも線が細い点が合わないような印象を受けるが、SR-007+SRM-717の方が低域の量感や音の厚みで勝っているめややうまい。得意分野はどちらもクラシック。使い分けるなら、低域の量感や音場感を求めるならSR-007+SRM-717、明瞭さや繊細さを求めるならSRS-4040。


・SR-225
DT860
どちらもやや高音よりのドンシャリ。低域はDT860の方がやや低く厚みがある。中域はどちらもはっきり聴こえてくるが、SR-225の方が癖のない印象。高域はかなり似ているが、SR-225の方が若干高い音を鳴らすようだ。分解能はSR-225の方がやや上。音場感はほぼ互角。どちらも耳の近くで鳴っているものの明瞭な点は良く似ている。原音忠実性はSR-225の方が上。DT860はどの音域を鳴らすにしてもどこか癖がある。エッジのきつさはほぼ互角で、聴き疲れも同等。明瞭さは、低域が弱く抜けが良い点はSR-225の方が良いように感じるが、中域のはりだしはDT860の方が上で、総合的に見るとほとんど差は無いだろう。音の鮮やかさはほぼ互角。厚みはDT860の方があるように感じる。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはSR-225の方が若干良いように感じる。どちらも明るく爽やかでノリが良い。響きはSR-225の方がやや豊かだが、その分抜けも良いので、感じ方は人によって違ってきそう。メーカーが違う割には似ているが、DT860の方が圧力のある鳴らし方。弦楽器はSR-225の方が繊細で癖が無い。金管楽器はどちらも鮮やかだが、弦楽器同様SR-225の方が癖が無い。打ち込み系の音の表現はDT860の方がややうまい。低域の量感や圧力があるため。得意分野はDT860がポップス、SR-225がロック。使い分けるなら、癖が合っても良いから低域の量感や圧力を求めるならDT860、それ以外はSR-225。

DT880
DT880の方が超低域が出るが、それ以外はかなり近い。どちらも高域を綺麗に出してくれるが、SR-225の方が若干高い。低域の厚みはSR-225の方がある。分解能及び音場の明確さはほぼ互角だが、音場の広さではDT880の方が上。DT880の方が原音に近い。どちらもエッジがきつめでやや聴き疲れするが、DT880の方がまだおとなしい。明瞭さや音の鮮やかさ、厚みはSR-225の方が若干良いようだが、両機種ともこの点は非常に良い。DT880の方が温かみがありヴォーカルも艶っぽい。これはDT880に水気があるだけでなく、SR-225が乾いているため。ノリの良さではSR-225、繊細さではDT880といった感じだが、どちらも刺激的ではある。響きはDT880の方が豊か。SR-225は音の立ち上がりが良い上、非常に切れがあり、抜けも良い。弦楽器は全般的にDT880の方が繊細で自然かつ温かみがある。金管楽器はほぼ互角で、どちらも非常に魅力的。低域のふくよかさが欲しいならDT880、トライアングルを聴きたいならSR-225。打ち込み系の音の表現は、両機種とも得意ではない。SR-225は抜けが良すぎてスカスカになってしまい、DT880はウォームな感じになってしまう。得意分野はSR-225はロック、DT880はジャズ。使い分けるならロックはSR-225、それ以外はDT880となるだろう。SR-225はソースによっては安っぽい音を鳴らすが、DT880はそんなことはない。

HPS5000
どちらもドンシャリ。HPS5000の方が若干低音よりか。どちらも超低域がやや弱めでありながら低域の厚みはかなりあるところ等似ている。高域はどちらもかなり出るが、SR-225の方がシャープな鳴り方をする。分解能はSR-225の方が良い。音場感はどちらも狭いが明確、ほぼ互角。SR-225の方が原音忠実。どちらもエッジがきつく聴き疲れするが、SR-225の方がまだまし。明瞭さや音の鮮やかさはSR-225の方が上、厚みや密度はほぼ互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはどちらもいまいちだが、SR-225の方がまだ良い。どちらもノリが良く、繊細さはあまり感じられない。響きはどちらもあっさり、音の抜けはSR-225の方が良い。弦楽器、金管楽器はともにSR-225の方が魅力的。打ち込み系の音の表現はどちらもなかなかうまいが、単なる相性ならHPS5000の方が良い。得意分野はSR-225はロック、HPS5000はポップス。ほとんど使い分ける必要なくSR-225を使えば良いが、一部のトランスやテクノはHPS5000の方が面白いかもしれない。

K501
どちらも超低域がかなり弱く、高域が強いという点は非常に良く似ている。低域の厚みはSR-225の方がああり、高域の量もSR-225の方がやや上。分解能はほぼ互角、音場の広さはK501の圧勝だが、音場の明確さであればほぼ互角。原音忠実性はK501の方が良好。エッジはSR-225の方がきつく、聴き疲れしやすい。どちらも非常に明瞭で甲乙つけがたい。音の鮮やかさや厚みではSR-225の方が上だが、K501は音そのものが細く繊細。ノリの良さではSR-225、繊細さではK501の圧勝。響きはどちらもあっさり。ヴォーカルの艶っぽさはどちらも意外と良いが、K501の方がやや上。温かみはどちらもいまいちだが、SR-225の方がやや良い。弦楽器はK501の圧勝だが、金管楽器はほぼ互角。一般的にはまったく違う機種という印象の強いこの両機種だが、意外なことに似ている点もかなりあった。得意分野はK501はクラシック、SR-225はロック。使い分けるならクラシックはK501、それ以外はSR-225が良い。

MUSIC SERIES ONE
かなり近い音。どちらもドンシャリだが、SR-225の方がやや高音より。低域は抜けが悪いせいかMUSIC SERIES ONEの方が出るように感じる。高域はほぼ互角だが、SR-225の方が若干細く高いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性はすべてSR-225の方がやや上。SR-225の方が線が細くやや聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-225の方がやや上。厚み、密度はほぼ互角。温かみはMUSIC SERIES ONEの方がやや上、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。どちらもかなりノリが良い。響きはMUSIC SERIES ONEの方がやや豊か。弦楽器はSR-225の方が線が細く繊細だが、MUSIC SERIES ONEの方が心地よさでは勝っているように感じる。金管楽器はどちらもうまく、ほぼ互角の表現力。打ち込み系の音の表現は、線が太く低域が強めに感じる分MUSIC SERIES ONEの方がうまいように感じる。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、低域が欲しいときはMUSIC SERIES ONE、それ以外はSR-225か。

RS-1
どちらもややドンシャリ。全体的に非常に近い音。超低域は弱めだが、厚みはかなりある。高域はかなり強め。違いは微妙だが、RS-1の方が若干低音が出るようだ。分解能はRS-1の方がやや上。音場感はほぼ同等だが、RS-1はSR-225にはない独特の空気感があり、立体感があるようにも感じる。どちらも意外と原音に近いが、原音忠実性という意味ではRS-1の方が若干上。SR-225の方がややエッジがきつく粗があり聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みは互角。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方が上。ノリの良さならSR-225、繊細さならRS-1。響きはRS-1の方がやや豊か。弦楽器、金管楽器ともにRS-1の方が心地よく楽しめる。打ち込み系の音の表現は互角。RS-1の方が柔らかく水気のある音。豊潤で情緒がある。一方SR-225は粗のある乾いた音。RS-1はかなりオールマイティー、SR-225はロックが得意。使い分けるならロックはSR-225、それ以外はRS-1。まったく違う音という評価を耳にするわりにはかなり似た音を鳴らす。簡単に言うと、明らかに同一メーカーと分かる音。ただし、聴きこむと決定的な違いがあるのも確か。

SR-325i
非常に良く似た音。SR-325iの方が低域も高域もやや強めか。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角だが、分解能だけは若干SR-325iの方が良いように感じる。エッジのきつさはほぼ互角だが、SR-325iの方が硬い音で、しかも高域も強めなため、聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSR-325iの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さはSR-325iの方が上。響きは若干SR-325iの方が豊か。SR-325iの方が音に広がりがある。逆に言えば、SR-225の方が切れが良い。SR-325iの方が澄んだ音。SR-225のザラザラした粗っぽい感じがSR-325iにはない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSR-325iの方が若干うまいように感じる。得意分野はどちらもロック。ロックで刺激を求めるならSR-325iだが、そうでないならSR-225の方が割りとオールマイティーに鳴らしてくれる。ロック以外の曲は、聴き疲れを気にしないならSR-325iの方が大抵の場合良いように思う。

SR-60
どちらもドンシャリだが、SR-225の方が高音より。特に超低域はSR-60の方がかなり強い。高域は、線が細いこともありSR-225の方がかなり強いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-225の方が一段上。どちらかというとSR-225の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてSR-225の方が上。温かみは超低域が出る分SR-60の方が良いように感じるが、その点を差し引けばほぼ互角のように思う。ヴォーカルの艶っぽさはSR-225の方が上。SR-225の方がノリが良くしかも繊細に感じるが、超低域はSR-60の方が出るので、SR-225では超低域が不足と言う人にはSR-60はわりと合うと思われる。響きはSR-60の方が豊か。SR-225の方が明るくテンションが高く、音の抜けが良い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSR-225の方がうまい。ただし、超低域が欲しい曲の場合には、SR-60の方が相性は良い。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもSR-225の方が良いように思うが、前述の通り超低域の違いがかなりあるため、使い分けはできるように思う。


・SR-325i
ATH-W1000
ATH-W1000はやや高音より、SR-325iはドンシャリ。低域は密閉型の分ATH-W1000の方が出るように感じがちだが、基本的にはSR-325iの方が大音量で鳴らしているし、一段低い音。ただ、SR-325iは抜けも良いので、どう感じるかは個人差がありそう。高域はATH-W1000の方が一段高い音を鳴らす。ATH-W1000はシャンシャン、SR-325iはキンキンといった感じの鳴らし方。分解能、音場感はATH-W1000の方がやや上、原音忠実性はSR-325iの方がやや上。ATH-W1000の方が聴き疲れする。特にヴォーカルのサ行の音や中域のキンキンした感じ等で差が出る。明瞭さ、音の鮮やかさはATH-W1000の方がやや上。厚み、密度はSR-325iの方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSR-325iの方がやや上。ノリの良さならSR-325i、繊細さならATH-W1000。響きはSR-325iの方がやや豊か。弦楽器はSR-325iの方が心地よく楽しめるが、ATH-W1000のやや腰高ながら澄み切った音も個性的で捨てがたい。金管楽器はATH-W1000の方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はATH-W1000の方がうまい。SR-325iは抜けが良すぎる印象。使い分けるなら、ポップスやブラスメインの曲、オーケストラ等はATH-W1000、ロックや弦楽器メインの曲はSR-325iか。ただし、弦楽器にしろ金管楽器にしろどちらも癖があるので、好みが分かれるかもしれない。どちらも高域に癖があり、元気な鳴らし方。

RS-1
かなり良く似た音だが、聴き込むと決定的に違う傾向であることが分かる。SR-325iの方が高域がやや強めか。周波数特性そのものは非常に近い。分解能はRS-1の方が上、音場感はほぼ互角だが、RS-1にはSR-325iにはない独特の空気感がある。原音忠実性はほぼ互角。RS-1は意図的に原音の痛さを消しているように感じるし、SR-325iは原音忠実性ではなくピーキーさのあるテンションの高さを重視した音作りになっている。SR-325iの方が硬い音で、しかも高域も強めなため、聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-325iの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはRS-1の方が上。ノリの良さならSR-325i、繊細さならRS-1。響きはRS-1の方が豊か。弦楽器はRS-1の方が心地よく聴ける。金管楽器は、シンバル等に金物的な鳴りを求めるならSR-325iの方が上だが、そうでないならほぼ互角。打ち込み系の音の表現はほぼ互角。SR-325iはテンションの高さ、RS-1は柔らかな心地よさが売りのように思う。使い分けはその『売り』と気分に合わせてすれば良いだろう。

SR-225
非常に良く似た音。SR-325iの方が低域も高域もやや強めか。分解能、音場感、原音忠実性はすべてほぼ互角だが、分解能だけは若干SR-325iの方が良いように感じる。エッジのきつさはほぼ互角だが、SR-325iの方が硬い音で、しかも高域も強めなため、聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSR-325iの方が若干上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。ノリの良さはSR-325iの方が上。響きは若干SR-325iの方が豊か。SR-325iの方が音に広がりがある。逆に言えば、SR-225の方が切れが良い。SR-325iの方が澄んだ音。SR-225のザラザラした粗っぽい感じがSR-325iにはない。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSR-325iの方が若干うまいように感じる。得意分野はどちらもロック。ロックで刺激を求めるならSR-325iだが、そうでないならSR-225の方が割りとオールマイティーに鳴らしてくれる。ロック以外の曲は、聴き疲れを気にしないならSR-325iの方が大抵の場合良いように思う。


・SR-60
DTX900
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はどちらも柔らかめで十分な量があり、基本的に良く似ている。量的にはSR-60の方が若干多めか。ただ、SR-60の方が抜けが良いので、それで帳消しになっている感がある。中域はどちらもやや低域に負けるが、それほど気にならないレベル。高域はDTX900の方が細く高い音で目立つ。分解能はDTX900の方がやや上。音場感はDTX900の方がやや広く立体感もある。原音忠実性は癖のなさという意味でSR-60の方が上。DTX900の方がエッジがきつく聴き疲れしやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはほぼ互角。温かみはDTX900の方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはほぼ互角。SR-60の方がややノリが良い。響きはDTX900の方が豊か。DTX900の方が付帯音が多く、湿り気のある音。弦楽器はほぼ互角。金管楽器はDTX900の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばSR-60の方が楽しめる。得意分野はDTX900がジャズ、SR-60がロック。使い分けるなら、しっとり地味に聴きたいならDTX900、爽やかに明るめに聴きたいならSR-60。ただし、極端な違いはないし、どちらもあまり明るい傾向ではない。

HFI-15G
HFI-15Gは低音より、SR-60は低音よりのドンシャリ。低域は、開放型のわりにはHFI-15Gの方が重低音という表現が合う一段低い音を鳴らす。高域は基本的にはSR-60の方が出るのだが、超高域はほぼ同量に感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-60の方が若干上。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みはSR-60の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはHFI-15Gの方が上。ノリの良さならSR-60、繊細さならHFI-15G。響きはどちらもやや豊かだが、どちらかと言えばSR-60の方があっさり。SR-60はGRADOの中では音の抜けが良いとは言えない部類に入るが、HFI-15Gと比べたら抜けが良い。弦楽器はHFI-15Gの方が線が細く柔らかい音で心地よい。金管楽器は、かなり違う音を鳴らすので好みが分かれるところだろう。HFI-15Gの方が高く細い感じ、SR-60の方が原音に近く太い感じ。HFI-15GはPioneerの高域に少し似た癖がある。打ち込み系の音の表現は厚みと切れで勝るSR-60の方がうまいように感じる。得意分野はHFI-15Gがクラシック、SR-60がロック。使い分けるなら、クラシックやジャズはHFI-15G、ロックやポップスはSR-60。

iGrado
iGradoは低音より、SR-60は低音よりのドンシャリ。低域はどちらも十分出るが、多少違う鳴らし方。SR-60の方がやや低めの音で、抜けが良い。中域はSR-60の方が低域の曇りに覆われず、しっかり聴こえてくる。高域はSR-60の方がやや細く高い音を鳴らす。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-60の方がやや上。SR-60の方が全体的に細めの音で、音の分離にしろ微細な表現にしろ上のように感じる。また、どちらかと言えばSR-60の方がフラットでバランスが良い。iGradoが耳のすぐ近くで音を鳴らすのに対して、SR-60の方がまだ耳との距離があいている。エッジのきつさはほぼ互角。明瞭さ、音の鮮やかさはSR-60の方がやや上。厚みはほぼ互角。温かみは低音が出る分iGradoの方が上に感じる。ヴォーカルの艶っぽさはSR-60の方が上。どちらもノリが良いが、どちらかと言えばSR-60の方が線が細く繊細。響きはほぼ同等。弦楽器はSR-60の方がうまい。iGradoはやや塗りつぶしたように繊細さに欠ける面がある。金管楽器はSR-60の方が高く鮮やかな鳴らし方。打ち込み系の音の表現は好みによって評価が違ってきそう。iGradoの方が低音が多く圧力がある面は良いが、SR-60の方が切れやバランスが良い。得意分野はどちらもロック。基本的に似ているだけに、ほとんど何を聴くにしてもSR-60の方が良いように感じる。

MUSIC SERIES ONE
どちらも低音よりのドンシャリだが、SR-60の方がやや低音より。質は似ているが、低音はSR-60の方が量が出るし、高音はMUSIC SERIES ONEの方が出る。分解能、音場感、原音忠実性すべてMUSIC SERIES ONEの方がやや上。MUSIC SERIES ONEの方がややエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。厚みや密度はほぼ互角。温かみは低音が出る分SR-60の方がやや上か。ヴォーカルの艶っぽさはMUSIC SERIES ONEの方がやや上。どちらもノリが良い。SR-60は繊細さが足りないのに対してMUSIC SERIES ONEは繊細さも十分。響きはSR-60の方がやや豊か。MUSIC SERIES ONEの方が線の細い音で、曇りも感じない。弦楽器はSR-60の方が心地良いが、純粋に原音に近く澄んだ音を楽しみたいならMUSIC SERIES ONEの方が良い。金管楽器はMUSIC SERIES ONEの方が一段高く鮮やか。打ち込み系の音の表現はどちらもそれなりだが、MUSIC SERIES ONEでは線が細くてしかも低音が不足気味に感じる人もいるかもしれない。得意分野はどちらもロック。使い分けるなら、基本的にはMUSICSERIESONEを使い、線が細すぎるとか低音が足りないとかいう場合だけSR-60か。

SE-A1000
どちらも低音よりのドンシャリ。低域は鳴らし方がかなり違うので一概には言えないが、SR-60の方が素直に全体的に鳴らす印象。高域はSE-A1000の方がやや強め。分解能はSE-A1000の方が若干良い。音場感はSE-A1000の方がかなり広く明確。原音忠実性はSR-60の方がやや上に感じられる。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはすべてほぼ互角だが、SE-A1000の方が若干良いように思う。どちらも基本的にはノリが良いのだが、繊細さも持ち合わせている。響きはSE-A1000の方が豊かで、音に広がりがある。SR-60の方が音がやや太く、ストレートに耳に届く。弦楽器はSE-A1000の方が繊細で心地よい。金管楽器は基本的にはSE-A1000の方が高く鮮やかなのだが、Pioneer独特の癖があるのは確か。打ち込み系の音の表現はSE-A1000の方が若干うまいように感じる。得意分野はSE-A1000がポップス、SR-60がロック。使い分けるなら、ロックはSR-60、それ以外はSE-A1000か。ただし、SE-A1000よりSR-60の方が癖のない音ではあるので、SE-A1000はSR-60と比べると合わないと言う人も多そう。

SR-225
どちらもドンシャリだが、SR-225の方が高音より。特に超低域はSR-60の方がかなり強い。高域は、線が細いこともありSR-225の方がかなり強いように感じる。分解能、音場感、原音忠実性すべてSR-225の方が一段上。どちらかというとSR-225の方がエッジがきつく聴き疲れする。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚みすべてSR-225の方が上。温かみは超低域が出る分SR-60の方が良いように感じるが、その点を差し引けばほぼ互角のように思う。ヴォーカルの艶っぽさはSR-225の方が上。SR-225の方がノリが良くしかも繊細に感じるが、超低域はSR-60の方が出るので、SR-225では超低域が不足と言う人にはSR-60はわりと合うと思われる。響きはSR-60の方が豊か。SR-225の方が明るくテンションが高く、音の抜けが良い。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSR-225の方がうまい。ただし、超低域が欲しい曲の場合には、SR-60の方が相性は良い。得意分野はどちらもロック。ほとんど何を聴くにしてもSR-225の方が良いように思うが、前述の通り超低域の違いがかなりあるため、使い分けはできるように思う。


・SRS-2020
K501
SRS-2020は超低域までフラットなのに対して、K501は超低域がまったく出ない。中域はほぼ同量、高域は若干K501の方が強い。高域の澄んだ感じはK501の方があるのだが、キンキンして硬すぎると感じる人も多いかもしれない。分解能、音場感ともにSRS-2020の方が一段上。原音忠実性はほぼ同等だが、生の粗っぽさならK501、自然さならSRS-2020といった感じ。どちらもエッジはあまりきつくないが、さすがにSRS-2020は非常に聴きやすくまったく聴き疲れしないマイルドさがある。明瞭さでは超低域が出ない分K501の方が上に感じるが、超低域がないソースでは互角。音の鮮やかさはSRS-2020の方がやや上で、厚みは互角、芯の通った感じはK501の方がある。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-2020の圧勝。どちらも非常に繊細だが、SRS-2020の方が上を行く。響きはSRS-2020は豊か、K501は適度。弦楽器は中域〜高域はほぼ互角だが、低域はSRS-2020の方が圧倒的に良い。K501は超低域がタイトすぎ、チェロ等の低域がまったく味気ない。金管楽器はSRS-2020の方が良い。澄んでいてしかも空気感も十分。K501も悪くないのだが、SRS-2020と聴き比べると芯が通り過ぎていて空気感が感じられず、チープに聴こえる。ただし、ロックやポップスを聴くにはSRS-2020は音が丸くてぬるく、響きが良すぎる。K501は超低域は足りないし音が細いという不満はあるが、SRS-2020よりは相性が良い。得意分野はどちらも間違いなくクラシック。クラシックなら何を聴くにもSRS-2020の方が上に感じるが、弦楽で生っぽさを感じたいならK501か。ロックやポップスはK501の方がノリ良く楽しめるが、K501を使うならもっと他の機種をおすすめしたい。

MDR-SA5000
どちらもやや高音より。超低域はSRS-2020の方が出るが、低域の厚みそのものはMDR-SA5000の方がある。高域はどちらも質・量とも非常に充実している。分解能、音場感ともにMDR-SA5000の方がやや良い。ただし、音場の広さだけならSRS-2020の方が上。どちらもかなり原音に近いが、SRS-2020は綺麗になりすぎている分やや原音とは違う。MDR-SA5000は特に弦楽器に共通の癖が出るが、それを除けば非常に原音に近い。聴き疲れのしなさはSRS-2020の方が上。MDR-SA5000が悪いわけではないが、SRS-2020と比べるとエッジがきつく原音の粗が目立つ。どちらも非常に明瞭だが、超低域が出る分SRS-2020の方がやや曇っているように感じる。SRS-2020は音の粒が細かくサラサラした感触である一方、MDR-SA5000はSONYにしては線が細いながら芯の通った音。音の鮮やかさ、厚みともにMDR-SA5000の方がやや上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-2020の方がかなり良い。どちらもあまりノリが良いとは言えないが、響きがあっさりで芯の通った音を鳴らすMDR-SA5000の方がやや良く感じる。ただし超低域の量は不満。弦楽器は、チェロなどの低域にしろヴァイオリンなどの高域にしろSRS-2020の方が繊細で魅力的。MDR-SA5000は繊細さがあまり感じられず、やや癖がある。金管楽器は、SRS-2020は低域のふくよかな感じから高域の透明な感じまで非常に良いが力強さにやや欠ける。MDR-SA5000は低域のふくよかな感じはかなり不満ではあるが、トランペットなどの力強さではSRS-2020より上。打ち込み系の音の表現はMDR-SA5000の方が良い。得意分野はSRS-2020はクラシック、MDR-SA5000はオールマイティで、特にない。使い分けるならSRS-2020でクラシックとジャズ、それ以外はMDR-SA5000だろう。コストパフォーマンスを考えると、やはりSRS-2020は素晴らしいと言える。

SRS-4040
どちらもやや高音よりながら非常にフラット。低域は超低域までフラット、高域はやや強めで最高レベルの質。質的なものはSRS-4040の方が上。どちらかと言えばSRS-4040の方が高音よりに感じる。分解能はSRS-4040の方がやや上、音場感や原音忠実性はほぼ同等。どちらもエッジはきつくなく聴きやすい。明瞭さ、音の鮮やかさ、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはSRS-4040の方が若干上。SRS-4040の方が音の粒が細かく繊細。SRS-2020の方が若干曇ったような感じがある。響きはどちらも豊か。弦楽器、金管楽器、打ち込み系の音の表現すべてSRS-4040の方がうまい。得意分野はどちらもクラシック。ほとんど何を聴くにしてもSRS-4040の方が良い。違い微妙ではあるが、決定的であることも確か。


・SRS-4040
ATH-AD2000
どちらもかなりフラットだが、ATH-AD2000の方がややかまぼこ。低域はSRS-4040の方がやや出るが、コンデンサー型独特の薄さのため圧迫感はATH-AD2000の方がある。高域はSRS-4040の方がやや強い。SRS-4040の方が低い音は低く、高い音は高く鳴らすような印象。分解能、音場感、原音忠実性はすべてSRS-4040の方がやや上。どちらもエッジはきつくなく非常に聴きやすいが、ATH-AD2000は音があまり柔らかくない点、SRS-4040は擦れが気になる点が、それぞれ疲れることもある。明瞭さはSRS-4040の方が上だが、音の鮮やかさはほぼ互角。厚み、密度はATH-AD2000の方が上。温かみやヴォーカルの艶っぽさはSRS-4040の方が上。ノリの良さならATH-AD2000、繊細さならSRS-4040。響きはSRS-4040の方が豊か。弦楽器はどちらも伸びが良く心地よく楽しめる。サラサラした感じを楽しみたいならSRS-4040、音の濃さみたいなものを楽しみたいならATH-AD2000。金管楽器はどちらも明るく鮮やかで非常に魅力的。残響音を楽しみたいならSRS-4040、メリハリを楽しみたいならATH-AD2000。打ち込み系の音の表現はATH-AD2000の方が勢いがありうまい。ATH-AD2000はオールマイティー、SRS-4040はクラシックが得意。使い分けるならクラシックやヴォーカルものはSRS-4040、それ以外はATH-AD2000。

HD650
HD650はやや低音より、SRS-4040はやや高音より。低域は厚み・量ともにHD650の方がかなりある。中域はSRS-4040の方が低域に邪魔されずにはっきり聴こえてくる。高域はHD650の方がやや量が多く金属的な鳴りに感じる。SRS-4040の方が線が細い。こうして見ると、この2機種を比較した場合にはHD650の方がド