第54回 iDAC-1試聴レポ

・概要
 詳細はメーカー製品ページを参照のこと。
 デュアルモノラル構成でフルバランス出力に対応したD/Aコンバータ。入力サンプリングレートは32kHz〜192kHz、入力bit数は16bit〜24bit。入力端子は同軸デジタル×1、光デジタル×2、USB×1。出力端子はRCA×1、XLR×1。比較的小型・軽量ながら入出力が充実している。電源は、付属のACアダプタまたは別売りの専用電源ユニット・iPSU-1を使用する。
 本体前面には左から電源スイッチ、アナログ出力セレクト(XLR/RCA)、アップサンプリング制御スイッチ(32fs/128fs)、入力ソースセレクト(USB/光デジタル入力1/光デジタル入力2/同軸デジタル入力)、光デジタル入力2(1は背面)が並んでいる。アップ・サンプリング制御スイッチは、スイッチオフ時は32fs、スイッチオン時は128fsになる。また、ディエンファシスモード(プリエンファシス処理されたソースを再生する場合に使用する)を具えている(電源スイッチを3秒押しながら入力ソースセレクトスイッチを押すことで選択)。
 デザインはシンプルで一般受けしそう。作りはかなりしっかりしていて、小型・軽量の割には高級感があるし、安心して使える。

・音質
 あまり大きな癖はないが、どちらかと言うと硬く締まっていて明瞭。ぼやけた感じや柔らかい感じはなく、明るくメリハリがある。金管楽器を高く鮮やかに鳴らして欲しいときや、ヴァイオリンの瑞々しく澄んだ感じを楽しみたいときに良い。味付けは特に感じない。密度はそれなりに高いが厚みはそれほどでもなく、少し凝縮されたようなタイトな密度の高さ。粗は特に酷いわけではないが、細かいところまで抉り出すように鳴らす傾向があるためソースによってはエッジがきついように感じたり線が細いように感じたりする。高域やヴォーカルのサ行がやや痛い。輪郭は明確。質感は硬めで、低域が締まる傾向であることもあって多少冷たい印象を受ける。立ち上がりはそこそこ良い。
 周波数特性はかなりフラットだが、どちらかと言うと高音より。低域は重心の低さや量感ではなく締まりや制動に目が行く。高域はやや高く明るい傾向。ソースによっては若干金属的であるように感じることがある。情報量はかなり多い。音の分離にしろ微細な表現にしろ十分なものを持っている。空間表現は特に広いということはないが、すっきりと見晴らしが良い。残響音はややあっさり。伸びはあまり良くない。
 相性の良いヘッドホンは、例えばHD650のような低域が豊かで音の柔らかい機種。低域のぼやけた感じが減り、全体のバランスが良くなる。逆に相性が悪いのは、例えばMDR-SA5000のような低音が少なく音が硬い機種。その傾向が顕著になり聴きづらくなる。ただし、本機の情報量や明瞭さを生かすという意味では良い。
 価格なりの価値があるかは人それぞれだろうが、上記のような傾向を望む人が最後の一押しを求める向きには使えるだろう。
 全体的な音の傾向として、同社のヘッドホンアンプiVHA-1に近いように感じる(iVHA-1ほど極端なバランスではなく、かなりニュートラルに近い)。
 上記の内容は、ヘッドホンアンプとしてiHA-1 V2、HD-1L Limited Edition(RC1)、hpa200b(ハイエンド仕様)、SRM-717等を使用し、同軸デジタル入力・RCA出力でアップ・サンプリングオン、専用電源ユニット・iPSU-1を使用したときのもの。光デジタル入力では同軸デジタルと比べて若干制動が悪くなり明瞭さに欠けるように感じる。USB入力では更にその傾向が強くなり、低音よりで柔らかい音になるように感じる。XLR出力ではRCA出力と比べて若干明瞭でメリハリがあり、情報量も多いように感じる(とは言えほとんど違いは感じない)。アップ・サンプリングオフでは、高域の伸びが若干悪くなり、エッジのきつさが取れて聴きやすくなる(ただし使用するヘッドホンやヘッドホンアンプによってはほとんど違いを感じない)。iPSU-1を使用を使用せず付属のACアダプタを使用すると、iPSU-1使用時と比べてやや締まりや制動に欠けるように感じる。

・その他
 音量調節はできない。出力レベルは普通で、実用上特に問題になることはないと思われる。
 無音時のノイズは特に気にならない。電源を入れたり切ったり際にはノイズはほとんどのらない。入力を切り替える際にはわずかにプツッというノイズがのるが、ほとんど気にならないレベル。出力を切り替える際にはノイズはのらない。
 発熱は多少あるが、手で触ると温かく感じる程度で、長時間使用しても熱くはならない。電源ランプや入力切替表示のランプは青みがかった白色で、明るさはやや暗め。なお、ディエンファシスモード動作中は電源ランプが紫色になる。
 使い勝手は特に問題ない。シンプルで使いやすいと言えるだろう。

・付属品
ACアダプタ
USBケーブル
izoロゴステッカー





追記
・iDAC-1とDR.DAC2のDAC部の比較
iDAC-1の方が若干高音よりで締まる傾向。低域は重心の低さや量感ではなく締まりや制動が目立つ。輪郭は若干明確、どちらかと言うと硬くて冷たい。情報量は若干上。音の分離にしろ微細な表現にしろわずかに勝っている。空間表現は大差ないが、若干すっきりして見晴らしが良くなる傾向。

・iDAC-1とSA-15S1のDAC部の比較
DR.DAC2よりも似ているように感じる。iDAC-1の方が若干締まって明瞭になる傾向。明るくメリハリがある。高域が硬く金属的。情報量は若干上。SA-15S1の方がやや滑らかで高域が繊細。Marantzらしい音というのはDACだけ見ても出ているように感じる。しかし違いは小さい。これまで使ったことのある電源ケーブルのうち最も違いが小さいものよりも小さいように思う。DACと電源ケーブルでは「どこがどう変わるのか」という点が違う気がするのであまり意味はないかもしれないが。







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スペック

形式 再生周波数帯域 全高調波歪率(THD) S/N比
Solid State 10Hz〜20kHz 0.002%以下 123dB以上
推奨負荷インピーダンス 外形寸法 重量 参考最安価格
- 147(W)×180(D)× 43(H)mm 830g 105000円

 今回は、izo社製D/AコンバータiDAC-1を10日間ほどお借りすることができましたので、その試聴レポです。ヘッドホン出力のない製品なので本来は本サイトで取り上げるものではないように思いますが、izoはヘッドホンアンプに力を入れているメーカーですし、ヘッドホンに興味を持つ人から注目を集めているという面があるので、不定期コラムで取り上げることにしました。なお、本機はD/Aコンバータなのでスピーカーで音を聴くこともできますが、本サイトはヘッドホンのサイトなのでヘッドホンで音を聴いて評価しました。

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