A496KIT+DCfltr-spltrHCKIT

概要
 詳細はメーカー製品ページを参照のこと。
 高性能ヘッドフォンアンプキットA496KITとバーチャルグラウンド両電源キット(高出力用)DCfltr-spltrHCKITを使用した組み立て済み品。入力端子はRCA×1系統。出力端子はヘッドホン×1(ミニサイズ)。A496KITのゲインは2種類から選べるが、本レビューは低い方の2倍(6dB)でのもの。メインの増幅を担うオペアンプにはLME49720を使用しているが、これを交換することによって音質改善を図ることが可能。ゲイン切替スイッチやスルーアウト端子等はなく、最低限の機能といった感じ。特筆すべき機能は何もない。なお、本製品を実際に使用できる状態にするためにはキットに含まれていないパーツもいくつか必要になってくるが、今回使用したものは下記の通り(一部)。
ケース タカチ電機工業 CD-180SB
ボリューム 千石電商 G24N-2(50K)
つまみ サトーパーツ 6BB134
ヘッドホンジャック マル信無線電機 MJ-073H
ACアダプタ 秋月電子 GF12-US2405
 本レビューは、あくまで上記パーツを使用した一例でのもの(A496KITとDCfltr-spltrHCKITを組み立てたとしても、使用するヘッドホンジャックを標準サイズのものにしたりボリュームを変えたりすることによって本レビューとは大幅に異なる点も出てくることに注意)。
 サイズは小さめで、重量も軽い。外観は地味で飾り気がない。

音質
 癖のない音。入力された信号をそのまま増幅するような印象。味付けや個性はほとんど感じない。音楽を楽しむという観点からすると濃密さや温かみといったプラスアルファの魅力には欠けるが、どちらかと言うと切れやスピード感が良い傾向なのでそういう点を求めるなら楽しめるだろう。密度は普通で、特に粗は感じない。輪郭は普通からやや明確。質感はニュートラルだが、どちらかと言うと硬く冷たい。立ち上がりはなかなか良い。
 周波数特性はフラット。低域・高域ともに質的にも量的にも癖がない。ただ、低域はあまりぼやけたりしないし高域も変に目立つことがないので、そういう意味で中域が最も聴こえてくると言えるかもしれない。情報量は十分ある。音の分離にしろ微細な表現にしろ特に不満は感じないレベル。空間表現は特に広くはないが、明確で把握しやすい。残響音や伸びは普通からやや控え目。電源部が弱いと低域の制動等に問題が出ることも多いが、本機はそういった点はほとんど気にならない。
 基本的にはヘッドホンを選ばない機種だが、硬い音を鳴らすヘッドホンやエッジのきついヘッドホンだとやや聴き疲れしやすい印象。
 音質面のコストパフォーマンスはかなり良いが、キットであることを差し引くと人によって評価が変わってくるだろう。

その他
 ボリュームノブの直径は約22mm、大きすぎず、小さすぎずといった感じ。ただ、もう少し奥行きがあっても良かったかもしれない。ガリノイズはないが、ボリューム最小付近(おおよそ8時以下)で若干ギャングエラーがある。音量の取りやすいヘッドホン(例えばSuper.fi 5 Pro)を使おうとするとかなり厳しい。ゲインはやや低め。音量の取りづらいヘッドホンを使用する場合、ボリュームを12時以上に上げることも有り得る(普通のヘッドホンアンプでは12時以上まで上げることはあまりない)。そのため、比較的ボリュームコントロールがしやすい。ボリュームのタッチは軽すぎず重すぎず、ちょうど良い感じ。
 無音時のホワイトノイズは若干あるが、実用上ほとんど問題にならないレベル。音量の取りやすいヘッドホン(例えばSuper.fi 5 Pro)を使うと、ボリューム最小ではノイズがほとんど聴こえず、音量を上げるに従って大きくなり最大だとかなり気になる音量になるが、ボリューム実用域ではあまり気にならないレベルで音楽を鳴らすとほとんど聴こえない。また、それとは別にハムノイズが若干ある。特にボリュームに手を触れている状態だとかなり大きい(とは言え、いずれにせよ実用上は問題にならないレベル)。
 電源を入れる際にプツッというノイズが発生する。このノイズはある程度大きいので、電源を入れる際にはヘッドホンを接続しない方が良いだろう。
 発熱はほとんどない。電源ランプは赤色で明るさは普通。

付属品
無し


※本製品はキット製品なので、半田付けや配線の手際が完成度に影響する恐れがある点に注意。
※本レビューは、DCfltr-spltrHCKITの電解コンデンサをキットの標準仕様のもの(日本ケミコン KMG 3300uF)から別のもの(ニチコン KW 3300uF)に入れ替えたもの。

オペアンプを交換した際の音の変化(LME49720基準)。
・OP275
やや柔らかい音で、切れやメリハリに欠ける。聴き疲れは少なくなる傾向。まとまりに欠けるような違和感(歪み感?)がある。
・LT1364
やや柔らかい音で、切れやメリハリに欠ける。エッジも丸め。ぬるいと感じることもある。聴き疲れは少なくなる傾向。定位が若干甘い。細部の描写をあまりこなしてくれない。
・OPA827
やや柔らかく濃い音。切れやメリハリはあまり良くないが、力感はある。聴き疲れは少なくなる傾向。明るさや明瞭さを求める向きにはあまり合わないだろうが、オーディオ的な魅力がある印象。
・NJM2114D
特に柔らかい音ではないのだが、輪郭が不明確。厚みが薄い。乾いていて温かみや瑞々しさといったものが感じられない。
・NJM4580DD
特に柔らかい音ではないのだが、輪郭が不明確。厚みが薄い。乾いていて温かみや瑞々しさといったものが感じられない。NJM2114Dと比較的似た傾向で、不満点が若干改善されているような印象。

どれも極端な違いはなく、世の中に出回っているヘッドホンアンプの音の幅広さからすれば癖がなく普通の音と言える範疇。
どれが良いとは一概には言えないが、入力された信号をそのまま増幅することを優先するならLME49720、少しでも濃密さや艶が欲しいならOPA827が良いと思われる。LME49720は定位の明確さや立ち上がり・立ち下がりという点でも最も優れている印象。
ただし、オペアンプの音の変化は当然ながらそれ以外の回路やパーツの影響を受けるので、「このオペアンプはこういう音」と言うことはできない点に注意。あくまで参考までに。

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スペック

形式 再生周波数帯域 全高調波歪率(THD) S/N比
Solid State - - -
推奨負荷インピーダンス 外形寸法 重量 参考最安価格
- 132.6(W)×196(D)×45.6(H)mm 594g 12000+2200円

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公開日:2009.11.15