MDR-A35SL

音質
 やや低音より。低域は高域と比べるとやや量が多いが、特に過剰というほどではない。中域はやや低めの音でおとなしい印象だが、低域に埋もれたりせずそれなりに聴こえてくる。高域は普通に鳴らしてくれる感じで、質的にも量的にも特筆すべきことはない。
 分解能は価格なりといった感じで、特に良くも悪くもない。音場感はバーチカルらしくインナーイヤーとは思えない広がりを見せてくれる。原音忠実性は、癖がないという意味で価格にしてはかなり良いと言えるが、原音の粗や生っぽさが感じられるほどではない。エッジはきつくなく、聴き疲れしにくい。
 明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてそれなり。ノリの良さと繊細さをある程度両立している。ある意味かなり自然で癖のない音。響きは適度。
 弦楽器は一応聴けるレベルではあるが、繊細さにしても心地よさにしてもいまひとつ。金管楽器はもう少し明るく元気に鳴らして欲しかったところ。打ち込み系の音の表現はそれなり。低域の質感、切れ、スピード感等、個別に見ても、良くもなく悪くもなくといった印象。
 価格を考えると大きな長所も短所もないバランスの良い機種。

装着感
 良好。側圧は普通からやや弱めだが、ずれやすいということはない。長時間使用しても疲れない。ヘッドバンドはプラスチックだが、非常に軽いため、頭頂部が痛くなったりはしない。コードが顔に当たりやすい等の不満もない。

その他
 遮音性は悪い。音漏れ防止は普通。
 作りは安っぽいし、デザインも微妙。折りたたみ可能なのは良いが、かなり壊れやすそう。
 プラグは金メッキのミニプラグ。コードの太さは合流前は約1.5mm、合流後は幅約3mm・厚さ約1.5mm、やや硬いがそれほど扱いづらさは感じない。

付属品
1m延長コード



参考
比較メモ
HP-SN51
どちらもやや低音より。低域はHP-SN51の方が薄く曇っていてやや量が多い。中域はMDR-A35SLの方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくるし、変な癖もない。高域はどちらもそれなりに聴こえてくるが、HP-SN51の方がやや粗がある感じ。分解能、音場感、原音忠実性すべてMDR-A35SLの方が良い。エッジのきつさはほぼ同等だが、HP-SN51の方が変な曇りや癖があり疲れる。明瞭さ、音の鮮やかさ、厚み、温かみ、ヴォーカルの艶っぽさすべてMDR-A35SLの方が上。ノリの良さにしろ繊細さにしろMDR-A35SLの方が上。響きはMDR-A35SLの方がやや豊か。弦楽器はMDR-A35SLの方が繊細かつ心地よい。金管楽器は音の高さや鮮やかさにはそれほど差はないが、不自然さがないという点でMDR-A35SLの方が良いように感じる。打ち込み系の音の表現はMDR-A35SLの方がうまい。ほとんど何を聴くにしてもMDR-A35SLの方が良いだろう。

MDR-AS20J
どちらもやや低音より。低域はMDR-AS20Jの方が若干量が多い。MDR-A35SLの方が締まりや制動が感じられる。重心はMDR-A35SLの方が若干低い。中低域はMDR-AS20Jの方がしっかり出る。中域はMDR-A35SLの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はMDR-A35SLの方が若干量が多い。明るい質で目立つ。この2機種を比べるとMDR-A35SLの方が高音よりと言える。分解能はMDR-A35SLの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、広さはほぼ同レベル、MDR-A35SLの方がやや明確で見晴らしが良い。MDR-AS20Jの方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はMDR-A35SLの方がやや上。周波数特性上の癖のなさはMDR-A35SLの方が若干上。原音の粗や生っぽさはMDR-A35SLの方がやや感じられる。エッジはMDR-A35SLの方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろMDR-A35SLの方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-A35SLの方がやや上。厚みはほぼ同レベル。温かみはMDR-AS20Jの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-AS20Jの方が若干感じられる。MDR-A35SLの方が擦れやリップノイズを出してくれる、MDR-AS20Jの方が柔らかくスモーキー。MDR-A35SLの方が明るくノリが良い。MDR-AS20Jの方がおとなしく聴きやすい。MDR-A35SLの方が切れやスピード感がある。響きはMDR-AS20Jの方がやや豊か。MDR-A35SLの方がドラムや破裂音が目立つ。弦楽器はMDR-A35SLの方が繊細で生楽器らしさが感じられる、MDR-AS20Jの方が柔らかく心地よい。金管楽器はMDR-A35SLの方がやや金属的で鮮やか。打ち込み系の音の表現はMDR-A35SLの方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-A35SL、MDR-A35SLでは低域の量が足りないとか聴き疲れしやすいという不満があるならMDR-AS20J。

PX10
MDR-A35SLははやや低音より、PX10はやや高音より。低域はMDR-A35SLの方が量が多くぼやけている。PX10の方がタイトですっきりした鳴らし方。中域はPX10の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はPX10の方が高い音を鳴らす。分解能及び原音忠実性はPX10の方がやや上。音場感はほぼ互角。PX10の方がややエッジがきつい。明瞭さ、音の鮮やかさはPX10の方が上。厚みは質感の違いはあるものの基本的にMDR-A35SLの方があるように感じられる。温かみはほぼ互角、ヴォーカルの艶っぽさはPX10の方がやや上。両機種ともどちらかと言えばノリが良い傾向だが、MDR-A35SLは低域で押す感じ、PX10は軽快でパンチのある感じ。響きはMDR-A35SLの方がやや豊か。弦楽器はほぼ互角の表現だが、低域の量がある分MDR-A35SLの方がやや良いように感じることもある。金管楽器はPX10の方が高く鮮やか。打ち込み系の音の表現は基本的にはPX10の方がうまいが、やや低音の量が不足に感じることもある。その場合にはMDR-A35SLの方が良いだろう。使い分けるなら、基本的にはPX10、低音の量重視ならMDR-A35SL。





※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 開放型 20Hz〜20kHz 104dB 16Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
18g 16mm 0.5m 両出し 折りたたみ可能

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 5 1 3 3 4 均(低) 2300円
※生産終了

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公開日:2007.3.19