第82回 青きドナウの岸辺〜愛あればこそ/「2001 宝塚歌劇全主題歌集」より

 今回は宝塚歌劇からの選曲です。宝塚歌劇団は、女性のみから成る日本の歌劇団です。今回取り上げる曲は「ベルサイユのばら2001」のもので、ヴォーカルは和央ようかと花總まりです。
 曲は女性ヴォーカルの歌謡曲といった感じです。声の高さは普通からやや低めで、少しオペラのような発声です。伴奏は弦楽器、金管楽器、打楽器が多数入ってきますが、あまりヴォーカルを邪魔するような感じではありません。
 ヘッドホンとしては、声を魅力的に鳴らしてくれるもので、全音域に渡ってあまり変な音を鳴らさないものが良いでしょう。


・1台目 DTX900(beyerdynamic)
 今回の1台目はかなり迷いましたが、結局これにしました。選んだ理由は、声が柔らかく厚手で魅力的だったためです。
 迷った機種は、DR150、MUSIC SERIES ONE、SE-A1000、HP-AURVN-LV、TR-HP03B等、多岐に渡ります。これらを選ばなかった理由は、DR150は伴奏の高域が目立って聴き疲れするため、MUSIC SERIES ONEは厚みが薄く迫力に欠けるため、SE-A1000は伴奏が目立ってヴォーカルが引っ込み気味なため、HP-AURVN-LVとTR-HP03Bは少し明るすぎて声の柔らかさが足りないため、です。ただ、どれを選んでもおかしくなかったと思います。DR150は声の魅力という点でDTX900に負けていません。MUSIC SERIES ONEは非常にバランスが良いです。SE-A1000は他の機種にはない見晴らしの良さがありかつ大きな欠点がないです。HP-AURVN-LVは明瞭でコーラスの分離が良いです。TR-HP03Bはどこか生っぽい表現が魅力です。
 不満点は、もう少し細かい表現をこなして欲しい点、音場の広さや見晴らしの良さが欲しい点です。

・2台目 HD650(SENNHEISER)
 1台目の不満点を踏まえて素直に選びました。
 1台目は正直あまりメジャーな機種ではないため、どんな音か分からない人が多そうですが、HD650の分解能と音場感を落とした音と考えるとかなり近いと思います。したがって、HD650を選ぶのは非常に妥当な選択です。
 実際に聴いてみると、前述の通りの音です。それでいて1台目と同様、声が柔らかく厚手で魅力的です。また、今回の曲は壮大さも出して欲しい面がありますが、HD650はその点も素晴らしいです。
 不満点はありません。次は少し違う傾向のものを選ぶしかなさそうです。

・3台目 EXH-313(Audio Interu)
 違う傾向のものをいくつか聴いてみて、最も魅力的に感じたので選びました。
 1、2台目は声が柔らかく厚手でしたが、EXH-313は少し違う感じです。柔らかいことは柔らかいのですが、線が細く過度な温かみがない点が異なります。また、他のヘッドホンではほとんど感じることのない妙な色気(女性的な柔らかさとでも表現すれば良いのでしょうか)があります。これは好みの問題でしょうが、好みが合う人にとっては非常に魅力的に感じるでしょう。
 他にも、聴き疲れしにくい点、伴奏が変に目立ったりしないために主役の声に没頭できる等の長所があります。
 欠点としては、壮大さや力強さが感じられない点が挙げられます。そういった点を重視するのであれば、2台目の方が良いでしょう。


 今回はHD650が最も良かったように思いますが、声の魅力だけに焦点を絞るならEXH-313も負けていません。どちらが良いかは好みの問題だと思います。柔らかく厚手で温かみがあるものが良ければHD650、繊細で女性的な表現が良ければEXH-313といった感じでしょうか。
 また、今回は選びませんでしたが、PROline750もなかなか良かったです。今回の曲は力強く情感豊かに鳴らして欲しい面もあるのですが、この点を重視するならおすすめです。
 好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら(違うCDですがほぼ同一の曲です)。











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