第79回 City Lights/Fantastic Plastic Machine「contact」より

 Fantastic Plastic Machineは、日本のミュージシャン・田中知之のプロジェクト名です。ジャンルとしてはラウンジに近いかと思います。海外でもかなり活躍しているアーティストです。
 今回取り上げるのは、2001年発表のリミックスアルバム「contact」の1曲目です。色々な音が入っていますが、男性ヴォーカルとテナーサックスが主役と言って良いと思います。素直にオシャレと言える曲です。
 ヘッドホンとしては、あまりギスギスせずにゆったり聴ける感じのものが良いと思います。


・1台目 DTX900(beyerdynamic)
 ゆったりと心地よく聴けて、男性ヴォーカルの色気やテナーサックスの厚手な表現が魅力だったので選びました。
 今回の曲は、ゆったり聴きたいとは言うものの聴き始めてすぐイントロの高域が意外と痛い音なので、DTX900はそこが痛くない点も評価しました。
 他にはDR150、MUSIC SERIES ONE、HP-AURVN-LV等も良かったです。DR150はDTX900とかなり近い鳴らし方で、基本的には若干勝っているように感じますが、DTX900よりも高域が痛い点がマイナスです。MUSIC SERIES ONEは高域はさほど痛くないのですが、全体的に薄く、温かみや心地よさではDTX900やDR150に一歩及ばない感じです。HP-AURVN-LVはこれらの機種よりもやや明瞭で明るい表現になります。客観的な音質という意味では最も良いようにも感じますが、高域の痛さは若干気になりますし、今回の曲をゆったり聴くのにはDTX900の方がかなり向いているように感じました。
 不満点は、もう少し細かいところまで聴こえてくれた方が嬉しい点、少し暑苦しい点でしょうか。

・2台目 RS-1(GRADO)
 1台目の不満点を踏まえて選びました。MUSIC SERIES ONEが良い印象だったことも理由です。
 1台目と比べて、明らかに細かい音まで聴こえてきますし、暑苦しさも大幅に低減されます。それでいて温かみや心地よさも十分感じられます。高域の痛さも許容範囲です。正直、DTX900と比べて薄手になることを覚悟で選んだのですが、思ったほど気になりませんでした。ただ、抜けが良い分どうしてもスカスカに感じる面はあります。私はすぐに慣れましたが、好みの問題で1台目の厚手の質感が好みと言う人も多いでしょう。
 また、RS-1で聴くと今回の曲の雰囲気やセンスの良さがストレートに感じられます。そういう意味で非常に相性が良いです。
 不満点はほとんどありませんが、1台目と2台目の良いとこ取りができればなお良いだろうとは思います。

・3台目 K701(AKG)
 良いとこ取りはなかなか難しく、色々聴いてみた結果これになりました。
 1台目と比べると暑苦しい感じはしませんが、2台目ほど爽やかな感じではありません。低域の量や抜けも中間くらいです。
 2台目ほどの相性の良さは感じませんが、1台目と比べるとセンスの良さが感じられます。
 K701は非常にバランスが良く繊細で適度な温かみが感じられる機種ですが、今回の曲の鳴らし方はまさにそんな感じです。
 正直、強烈な魅力はないですが、ゆったり聴くにしてもしっかり聴き込むにしても使える鳴らし方は「さすが」と感じました。


 今回はRS-1が非常に良かったです。あの相性の良さはなかなかないと思います。
 今回取り上げなかったものだと、HD650やDT880も当然のように良かったのですが、RS-1やと比べると1台目の不満点である「暑苦しい感じ」が気になったので外しました。温かみや低域の量が欲しいならHD650やDT880の方が良いと思います。また、EXH-313も違うベクトルでありながら心地よく楽しめました。HD650やDT880では低域の量が多いし聴き疲れも気になるという人は試してみると良いと思います。
 好みに合わせて選んでください。


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