第3回 休まない翼/ZABADAK「桜」より

 ZABADAK(ザバダック)はかれこれ15年以上前から活動している息の長いアーティストです。メジャーデビュー当初は吉良知彦と上野洋子のユニットという形で活動していましたが、現在は吉良知彦中心の活動になっています。アルバムごとにかなり違った方向性を模索しているオリジナリティーのあるアーティストです。
 曲は、ZABADAKにしてはかなりキャッチーで分かりやすい曲だと思います。ギターをジャカジャカかき鳴らし、吉良知彦の柔らかいボーカルで紡がれる力強い詞。初めて聴いたときはややバランスが悪いように思いましたが、聴き慣れると病みつきになります。また、アルバムの全体を通してみても、アコースティックでアジア的な魅力溢れる名盤に仕上がっていると思います。
 なお、今回の選曲は某御方と私の共同リクエストということで、優先させて頂きました。ご了承ください。


・1台目 MDR-Z900(SONY)
 この曲を聴くに当たって最も重視したのは、ギターの密度の高さや実体感です。二番目に、この曲はヴォーカルの音量がやや小さ目の上にサビのほぼ全てにコーラスが付くため、ヴォーカルが埋もれたりコラーラスの分離が悪いような機種は除外することにしました。また、ZABADAKにしてはかなりアップテンポなので、ノリが悪い機種も合わないだろうと判断しました。その結果、1台目として選んだのがMDR-Z900です。実際にはDTX900、HP-M1000、MUSIC SERIES ONE、SE-A1000等でも少し聴いてみたのですが、総合的に見てMDR-Z900が最も良いように感じました。HP-M1000もなかなか良かったですが・・・・・・
 MDR-Z900は非常に低域が強くノリが良い機種です。しかしそれだけではありません。少々意外かもしれませんが、MDR-Z900はDJ用とは思えないほど繊細なヴォーカルの表現をしてくれる上に、この曲の場合にはそれほど低域が強くないためにヴォーカルが埋もれたりしません。むしろヴォーカルが前面に出てくるぐらいです。ギターの表現も悪くはないのですが、この点はもう少し濃い表現を期待したかったところです。
 というわけで、不満点はギターの密度の高さや実体感です。

・2台目 PROline2500(ULTRASONE)
 ギターの不満点の解消にはこれしかないだろうと思って選びました。
 予想通り、ギターは非常に密度が高く実体感があり、適度な刺激が楽しめます。ノリの良さも十分です。個人的にはほぼ満足でしたが、PROline2500の癖のある音が馴染めないという人もいるかと思います。
 不満点はヴォーカルです。繊細さが足りません。もっとも、この曲自体ヴォーカルにそれほどの繊細さが要求されるわけではありませんが。しかしながら、このページのルールに従ってヴォーカルを魅力的に聴かせてくれる機種を探索してみることにしました。

・3台目 DT990PRO(beyerdynamic)
 PROline2500と似た機種でヴォーカルの繊細さを持っている機種、ということでDT990PROを選んでみました。結果は予想以上に良かったです。ヴォーカルは期待通りPROline2500より繊細でウォーム、しかも力強さでもそれほど見劣りしません。ギターも線が細くなるもののPROline2500ほど粗っぽくないです。ノリの良さも十分です。DT990PROは高域の痛さが難点ですが、この曲の場合には高域があまりないので、問題になりません。


 今回取り上げた3機種は、どれもそれぞれ魅力的な鳴らし方をしてくれました。はっきり言って、どれを選ぶかは好みで多少変わってくるでしょう。個人的にはPROline2500が最高だと思いますが、客観的に見て他の2機種もそれほど負けていません。今回の内容を参考に、自分に合ったヘッドホンを選んでみてください。なお、PROline2500でアンプをAT-HA2002にすると切れが増して粗もなくなり、更にワンランク上の表現になります。
 また、今回選んだ機種よりもう少しアッサリした正当派な音が好みの人にはSR-225やSR-325iがオススメです。参考までに。


試聴は下のamazonのページで。













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