第54回 Housequake/Prince「Sign O' The Times」より

 Princeはアメリカの著名なミュージシャンです。ジャンルとしては一応ポップスに分類されることが多いと思われますが、ジャンル分けの難しい個性的なアーティストです。
 今回取り上げるのは1987年発表のアルバム「Sign O' The Times」の3曲目です。今回の曲についてはファンクに分類するのが妥当だと思います。男性としてはかなり高い声(加工してあります)で、曲のイメージをひとことで表すなら"トリッキー"です。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、特に書いていなかったので私が決めたいと思います。ひとことで言えば今回の曲のトリッキーさを出して欲しいところですが、そうなると切れ、ある程度の刺激、明るさといったものが重要になってくると思います。あとはフィーリングも重視したいところです。


・1台目 HD215(SENNHEISER)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。切れ、刺激、明るさどれも問題ないと思います。音場が広くあちこちから音が聴こえてくることもトリッキーさを出すのに一役買っている印象です。
 他にはATH-WS70、HI2050、HPS5000、MDR-V6等で聴いてみました。ATH-WS70は低域の量が多すぎるせいか少し重いような感じですし、もう少し刺激が欲しいような印象も受けます。HI2050は切れや刺激という点ではなかなか良いのですが、遊びがなさすぎるような感じでフィーリング的には不満が残ります。HPS5000はヴォーカルが少しおとなしい感じで、もう少し明るさが欲しい印象です。MDR-V6はなかなか良いのですが、トリッキーさはHD215の方が感じられたためそちらにしました。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・2台目 DJ1 PRO(ULTRASONE)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。広い目で見ると1台目と近い傾向の鳴らし方だと思います。切れ、刺激、明るさどれも問題ありません。1台目と同じく、音場が広くあちこちから音が聴こえてくることもトリッキーさを出すのに一役買っている印象です。
 他にはAH-D1100、HA-MX10-B、MDR-MA900、SE-A1000等で聴いてみました。AH-D1100は低域の量が多すぎるせいか少し重いような感じですし、もう少し刺激が欲しいような印象も受けます。HA-MX10-Bはなかなか良いのですが、トリッキーさはDJ1 PROの方が感じられたためそちらにしました。MDR-MA900はメリハリが足りないせいか水で薄めたような感じでトリッキーさがあまり感じられない印象です。SE-A1000は低域の量が多すぎるせいか少し重いような感じです。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・3台目 SR-325i(GRADO)
 色々聴いてみた結果これになりました。切れ、刺激、明るさどれも問題ありません。1、2台目と違って音場の広さでトリッキーさを出すのではなく、近くで音を鳴らすことでグルーヴ感を出すような感じです。音場という観点でのトリッキーさは1、2台目に及びませんが、それ以外の観点でのトリッキーさでは引けを取らないため、全体としては不満がなく他の多くのヘッドホンと比べればかなり良いとさえ言えます。
 不満点は特にありません。

・4台目 DT660 Edition 2007(beyerdynamic)
 更に色々聴いてみた結果これになりました。切れ、刺激、明るさどれも問題ありません。音場によるトリッキーさやグルーヴ感という点では2台目と3台目の間くらいの印象です。ただ、フィーリング的には1〜3台目と比べてどこか違うという気もしますし、もう少し低域の量が欲しい気もします。そういう場合にはDT770PROの方が合うかもしれません。
 他にはATH-A2000X、DT770PRO、HFI-780、HP-DX1000等で聴いてみました。ATH-A2000Xは悪くないのですが、どこか上品でもう少し刺激が欲しいような印象も受けます。DT770PROは低域の量が多すぎるせいか少し重いような感じです。ただし、それを除けばフィーリング的になかなか良い印象です。HFI-780は切れや刺激という点ではなかなか良いのですが、遊びがなさすぎるような感じでフィーリング的には不満が残ります。HP-DX1000は悪くないのですが、癖が強くその方向性が今回の曲とあまり合っていない印象です。

・5台目 Turbine Pro Copper(Monster Cable)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。切れ、刺激、明るさどれも問題ありません。フィーリング的にもなかなか良いです。メリハリや厚みがある感じで聴きごたえがあります。色々と聴いてみたのですが、EPH-100はヴォーカルが少しおとなしい上に低域の癖が気になる、HiDefJax AcousticSteelはTurbine Pro Copperと比べると若干メリハリに欠け綺麗にまとまりすぎている、XBA-4SLは悪くないもののTurbine Pro Copperと比べると無駄に粗っぽい点が気になる等の不満がありました。
 他にはHP-FX500とHA-FX3Xが良かったです。切れ、刺激、明るさについてはTurbine Pro Copperと比べてもそれほど見劣りしないと思います。


 今回は価格による優劣があまりなかった印象です。いつにも増して、音の良し悪しよりも好み・フィーリングで選ぶことをお勧めしたいと思います。
 ヘッドホンアンプはHD53が良いと思います。切れ、刺激、明るさといった点で相性が良いです。次点はhpa200b(ハイエンド仕様)です。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


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