第50回 Nemesis/Arch Enemy「Doomsday Machine」より

 Arch Enemyはスウェーデンのデスメタルバンドです。メンバーはヴォーカル、ギター2人に、ベース、ドラムスです。
 今回取り上げるのは2005年発表の6thアルバム「Doomsday Machine」の3曲目です。テンポが速めで、デスメタルというジャンルの一般的なイメージからそう遠くない曲だと思います。
 「どういう風に聴きたいか」「どういう点を重視するか」については、今回はリクエストされた曲ではないので私が決めたいと思います。所謂デスヴォイスを刺々しく鳴らしてくれることと、スピード感と重厚感の両立を重視したいと思います。なお、聴き疲れは考慮しないことにします。


・1台目 HPS5000(BEHRINGER)
 前述の条件を最も満たしているように感じたので選びました。デスヴォイスの刺々しさ、スピード感、重厚感いずれもある程度のレベルに達しています。今回聴いた中では最も不満が小さいと思います。楽器の質感やグルーヴ感も良いですし、違和感なくすんなり楽しめる印象です。
 他にはATH-WS70、HI2050、PortaPro、PRO DJ100等で聴いてみました。ATH-WS70は悪くないのですが、デスヴォイスの刺々しさがもう少し欲しい感じですし、スピード感と重厚感のバランスで言うとやや重厚感に寄っています。HI2050は最後までHPS5000と迷いましたが、この2台の不満点を考えたときにHI2050の重厚感のなさが最も不満だったので外しました。PortaProはデスヴォイスの刺々しさ、スピード感、重厚感いずれも特に良くもなく悪くもなくといった印象です。PRO DJ100はデスヴォイスの刺々しさとスピード感はなかなか良いのですが、重厚感はかなり不足しています。
 不満点は特にありません。全体的に少しずつ改善できれば良いのではないかと思います。

・2台目 K181DJ(AKG)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。特に重厚感が素晴らしいです。その割にはスピード感もかなりあります。重厚感とスピード感の両方でこれを上回るヘッドホンはほとんどないでしょうし、むしろ両方とも明らかに下回るヘッドホンも珍しくないと思います。デスヴォイスの刺々しさも平均以上だと思います。
 他にはAH-D1100、HA-MX10-B、RP-21、SE-A1000、Studiophile Q40等で聴いてみました。AH-D1100とRP-21は悪くないのですが、K181DJと比べると重厚感で見劣りします。HA-MX10-Bは最後までK181DJと迷いましたが、K181DJの重厚感ほどの長所はないように感じられたので外しました。ただし、デスヴォイスの刺々しさを重視するならHA-MX10-Bの方が良いと思います。SE-A1000はデスヴォイスの刺々しさはなかなか良いのですが、スピード感と重厚感の両立はやや不満です。Studiophile Q40はスピード感が足りません。
 不満点は特にありませんが、バランスとしてはもう少しスピード感に寄っていて欲しい印象です。

・3台目 SR-325i(GRADO)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。2台目の不満点の改善という意味でも有効ですが、2台目と比べると少しスピード感に寄りすぎているように感じられます。とは言え、スピード感と重厚感の合計点はどうかという考え方をするならある程度のレベルに達していると思います。デスヴォイスの刺々しさはかなり良いです。スピード感と重厚感の両立よりもむしろデスヴォイスと全体の刺々しさの方が魅力的な印象です。楽器の質感やグルーヴ感も良いです。
 不満点は特にありません。次は色々聴いてみて選ぶしかないと思います。

・4台目 DT770PRO(beyerdynamic)
 色々聴いてみた結果これになりました。スピード感と重厚感の両立という意味では3台目と大差ないと思いますが、デスヴォイスの刺々しさは若干見劣りする印象です。全体を見ると3台目と比べて中域がおとなしく抜けが悪いため、重厚感や雰囲気という点で今回の曲ではこちらの方が好ましいと感じる人も多いのではないかと思います。
 他にはATH-AD2000、HD25-1、HFI-780、PRO900等で聴いてみました。ATH-AD2000はデスヴォイスの刺々しさと重厚感がもう少し欲しい印象です。HD25-1はスピード感と重厚感の両立という点は素晴らしいのですが、デスヴォイスの刺々しさがやや足りません。HFI-780は低域だけ見れば重厚感があるのですが、中域から高域の明るさやメリハリの影響で全体としては重厚感が足りない印象です。PRO900はスピード感が足りません。

・5台目 HiDefJax AcousticSteel(ATOMIC FLOYD)
 最初に書いた条件を最も満たしているように感じたので選びました。デスヴォイスの刺々しさ、スピード感、重厚感いずれもある程度のレベルに達しています。楽器の質感やグルーヴ感も良いです。色々と聴いてみたのですが、MDR-EX1000は重厚感がやや足りない、Turbine Pro Copperは中域から高域の明るさやメリハリの影響で重厚感が足りない、XBA-4SLは重厚感が足りない上に全体的に不自然等の不満がありました。
 他にはHP-FX500とHA-FX3Xが良かったです。最初に書いた条件についてはHiDefJax AcousticSteelと比べてもほとんど見劣りしないと思います。


 今回は選ばれた機種にどれもそれぞれの良さがあり、どれが一番良いとはなかなか言えない印象です。
 ヘッドホンアンプは難しいところです。使用するヘッドホンにもよるでしょうが、HD-1L Limited Edition(RC1)か、もう少しスピード感よりならHead Amp 2/MkII SEになるでしょうか。
 今回の内容を参考に、好みに合わせて選んでください。


試聴はこちら。













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