IEM856md

音質
 やや低音より。低域はやや量が多い。特に締まっているわけでもぼやけているわけでもない。存在感はそれなりにある。重心の低さは普通。中域は低域に邪魔されず普通に聴こえてくるが、厳しく見るとやや不要な芯が通っているような感じが気になることがある。高域は若干少なめ。どちらかと言うと地味で目立たない。高域よりも中高域の方がしっかり出る印象。
 分解能は価格なりからやや悪いレベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろそれなりと評価すべきかなかなか良いと評価すべきか迷うところ。音場感は、広さは普通、明確さは普通からやや良い。原音忠実性はそれなり。全体のバランスよりも個々の音の癖の方が気になる印象。原音の粗や生っぽさはそれなりに感じられる。エッジのきつさは普通で、聴き疲れは特に問題ないレベル。高域はあまり痛くない。ヴォーカルのサ行はやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。ホワイトノイズはかなり大きい。
 明瞭さ、音の鮮やかさはそれなり。厚みは普通。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルは多少癖があるものの、ソースによって大きな優劣は出にくい印象。どちらかと言うとノリが良い傾向。切れやスピード感、低域に基づく迫力や力強さ、いずれも悪くない。響きは適度で、こもり感はあまり気にならない。全体的にやや雑味があるような感じ。
 弦楽器は微妙。チェロやコントラバスを心地よく聴きたい場合にもヴァイオリンを瑞々しく聴きたい場合にも特に良くはないが、同じくらい向いている。金管楽器は普通に聴けるが、あまり派手ではない。打ち込み系の音の表現はそれなり。音の質感の相性にしろ切れにしろ普通。
 ダイナミック型とバランスド・アーマチュア型の間のような音という意味で、ある程度ハイブリッドらしさを感じられる機種。
 なお、本機は接続する機器によって音が変わりやすい。多くの機器では上記の内容と比べて低音よりになり音が柔らかくぼやけて不明瞭になる。

装着感
 良好。カナル型だが、イヤーピースを耳の奥に押し込むタイプではないので装着しやすいし、耳の穴が痛くなりにくい。コードやリモコンが重いせいかややわずらわしくずれやすい印象。
 イヤーピースの材質はシリコンだが、普通のものと比べるとやや硬く表面がザラザラしている印象。デフォルトのイヤーピースを含めて6種類のイヤーピースが付属している。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は良好。カナル型としては普通。
 作りは価格なり。デザインはコードとリモコンを除けば特に癖はない。コードが幅広でリモコンも大きめなので、装着すると多少目立つ。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ(L型とストレートの中間、マイクがあるため4極)。プラグが4極のせいか、通常の3極のプラグと比べて機器によっては接触不良が発生しやすいようだ(使えないほど酷いことはまずないと思われる)。コードは幅約4mm・厚さ約1mm、非常に幅広なので扱いづらいと感じる人もいるだろう。絡みにくい点は良い。

付属品
イヤーピース6種類
ヘッドホン・マイク分岐変換ケーブル
キャリングポーチ
収納ケース
クリップ
カラビナ




参考
メーカー製品ページ
代理店製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
GR8
GR8はかなりフラット、IEM856mdはやや低音より。低域はIEM856mdの方がやや量が多い。かなり存在感がある。重心はIEM856mdの方がやや低い。中域はGR8の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はGR8の方が若干量が多い。明るい質で目立つ。分解能はGR8の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はGR8の方が若干広く明確。原音忠実性はGR8の方が若干上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはIEM856mdの方が若干感じられる。エッジはIEM856mdの方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域はGR8の方が若干痛い、ヴォーカルのサ行はIEM856mdの方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはGR8の方がやや上。厚みはIEM856mdの方がある。温かみはIEM856mdの方が若干感じられる、ヴォーカルの艶っぽさはGR8の方が若干感じられる。ヴォーカルは、GR8の方が透明感がある、IEM856mdの方がスモーキー。GR8の方が女性ヴォーカル向き、IEM856mdの方が男性ヴォーカル向き。IEM856mdの方がノリが良い、GR8の方が繊細。IEM856mdの方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはIEM856mdの方が若干豊か。弦楽器は、ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならGR8の方が良いが、チェロやコントラバスを濃厚に鳴らして欲しいならIEM856mdの方が良い。金管楽器はGR8の方がやや鮮やか。GR8の方が細く綺麗、IEM856mdの方が太く力強い。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性や切れはGR8の方が若干上だが、厚みや低域の量感が足りないように感じられることも多い。使い分けるなら、高域の量や繊細さを求めるならGR8、低域の量や迫力を求めるならIEM856md。

IE-20 XB
IE-20 XBは低音よりのドンシャリ、IEM856mdはやや低音より。低域はIE-20 XBの方がある程度量が多い。かなり存在感がある。重心はIE-20 XBの方がやや低い。中域はIEM856mdの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はIE-20 XBの方が若干量が多い。硬く明るい質で目立つ。分解能はIEM856mdの方が若干上。音の分離はIEM856mdの方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はほぼ同レベル。音場感は、IE-20 XBの方が若干広く、IEM856mdの方が若干明確。原音忠実性は微妙。全体のバランスはIEM856mdの方が良いが、中域はIE-20 XBの方が癖がないように感じられることも多い。原音の粗や生っぽさはIE-20 XBの方が若干感じられる。エッジはIE-20 XBの方が若干きつく、低域の量やこもり感で疲れる面もあって聴き疲れしやすい。高域はIE-20 XBの方がやや痛い、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さはIEM856mdの方がやや上、音の鮮やかさはIE-20 XBの方が若干上。厚みはIE-20 XBの方がある。温かみはIE-20 XBの方が若干感じられる、ヴォーカルの艶っぽさはIEM856mdの方が若干感じられる。ヴォーカルは、IE-20 XBの方が男性ヴォーカル向き、IEM856mdの方が透明感がある。IE-20 XBの方がノリが良く、IEM856mdの方が繊細。IE-20 XBの方が低域に基づく迫力や力強さがある。IEM856mdの方があっさりした音。響きはIE-20 XBの方がやや豊かでこもり感が気になる。弦楽器は、IE-20 XBの方が若干生楽器らしさが感じられる、IEM856mdの方がやや繊細。金管楽器はIE-20 XBの方が力強く、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はIEM856mdの方が若干うまい。切れで勝っている。使い分けるなら、厚みや低域の量を求めるならIE-20 XB、明瞭さや繊細さを求めるならIEM856md。

KEB/79
IEM856mdはやや低音より、KEB/79は低音よりのドンシャリ。低域はKEB/79の方がやや量が多い。特に所謂重低音より下はKEB/79の方がしっかり出る。IEM856mdの方が締まりや制動が感じられる。重心はKEB/79の方がやや低い。中域はIEM856mdの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はKEB/79の方が若干量が多い。KEB/79の方がややざらつく感じ。分解能はIEM856mdの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、広さはほぼ同レベル、明確さはIEM856mdの方がやや上。原音忠実性はIEM856mdの方がやや上。KEB/79は低域の量が多すぎる。原音の粗や生っぽさはIEM856mdの方が若干感じられる。エッジはIEM856mdの方が若干きついが、KEB/79は低域の量やこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域はKEB/79の方が若干痛い、ヴォーカルのサ行は大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはIEM856mdの方がやや上。厚みはKEB/79の方がややある。温かみはKEB/79の方が若干感じられる、ヴォーカルの艶っぽさはIEM856mdの方が若干感じられる。ヴォーカルは、IEM856mdの方がやや透明感がある、KEB/79の方がややスモーキー。IEM856mdの方が女性ヴォーカル向き、KEB/79の方が男性ヴォーカル向き。ノリの良さは微妙。IEM856mdの方が切れやスピード感がある。KEB/79の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはKEB/79の方がやや豊かで、こもり感が気になる。弦楽器は、ヴァイオリン等を澄んだ感じで聴きたいならIEM856mdの方が良いが、チェロやコントラバスを濃厚に鳴らして欲しいならKEB/79の方が良い。金管楽器は、IEM856mdの方がやや細く綺麗、KEB/79の方がやや太く力強い。打ち込み系の音の表現はIEM856mdの方が若干うまい。音の質感の相性は大差ないが、切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや繊細さを求めるならIEM856md、低域の量や迫力を求めるならKEB/79。

MXH-DBA700
IEM856mdはやや低音より、MXH-DBA700は低音より。低域はMXH-DBA700の方が若干量が多い。MXH-DBA700の方が薄く曇ったような質。重心はIEM856mdの方がやや低い。中域はIEM856mdの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はIEM856mdの方が若干量が多い。線が細く明るい質で目立つ。分解能はIEM856mdの方が上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろやや勝っている。音場感は、MXH-DBA700の方が若干広い、IEM856mdの方がやや明確。原音忠実性はIEM856mdの方が上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはIEM856mdの方がやや感じられる。エッジはIEM856mdの方が若干きついが、MXH-DBA700は音の圧力やこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろIEM856mdの方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはIEM856mdの方がやや上。厚みはMXH-DBA700の方が若干ある。温かみは薄く曇っている分MXH-DBA700の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではIEM856mdの方が感じられる。ヴォーカルの艶っぽさは微妙。IEM856mdの方が透明感がある、MXH-DBA700の方がスモーキー。IEM856mdの方がやや明るくノリが良い。響きはMXH-DBA700の方がやや豊かでこもり感が気になる。IEM856mdの方がバランスド・アーマチュア型よりの音、MXH-DBA700の方がダイナミック型よりの音。弦楽器はIEM856mdの方が繊細で生楽器らしさが感じられるし、音色も自然。金管楽器は、IEM856mdの方がやや細く綺麗、MXH-DBA700の方がやや太く力強い。打ち込み系の音の表現はIEM856mdの方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、基本的にはIEM856md、IEM856mdでは明るすぎるとか線が細すぎるという不満があるならMXH-DBA700。

SE215
IEM856mdはやや低音より、SE215は低音より。低域はSE215の方がやや量が多い。SE215の方が柔らかくぼやけた質。重心はSE215の方が若干低い。中低域はSE215の方がしっかり出る。中域はIEM856mdの方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はSE215の方が若干量が多い。IEM856mdの方がやや線の細い質。SE215の方がややざらつく感じ。分解能はIEM856mdの方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、広さはほぼ同レベル、明確さはIEM856mdの方がやや上。SE215の方が近くで音を鳴らす感じが気になる。原音忠実性は微妙。全体のバランスはIEM856mdの方が若干良いが、個々の音はSE215の方が癖がないことが多い印象。原音の粗はIEM856mdの方が若干感じられるが、生っぽさはSE215の方が若干感じられる。エッジはIEM856mdの方が若干きつく聴き疲れしやすい。高域はSE215の方が若干痛い、ヴォーカルのサ行はIEM856mdの方が若干痛い。明瞭さはIEM856mdの方がやや上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはSE215の方がややある。温かみはSE215の方がやや感じられる、ヴォーカルの艶っぽさはほぼ同レベル。ヴォーカルは、IEM856mdの方がやや透明感がある、SE215の方がややスモーキー。IEM856mdの方が女性ヴォーカル向き、SE215の方が男性ヴォーカル向き。ノリの良さは微妙。IEM856mdの方が切れやスピード感がある。SE215の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはSE215の方がやや豊か。弦楽器はSE215の方が心地よいし、音色も自然。金管楽器はSE215の方がやや力強いし、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はIEM856mdの方が若干うまい。音の質感の相性は大差ないが、切れで勝っている。使い分けるなら、明瞭さや繊細さを求めるならIEM856md、低域の量や温かみを求めるならSE215。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生



 










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
バランスド・アーマチュア+ダイナミック - 15Hz〜30kHz 106dB
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
7g - 1.3m 両出し(Y型) 収納ケース付属

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
4 4 4 4 4 5 均(低) 19800円

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公開日:2012.7.10