HS520

音質
 ややかまぼこ。低域は薄く曇ったような質で、量は普通。中域は低域・高域より量が多く、やや張り出したりするような感じで目立つ。高域は中域より少なめでやや地味。
 分解能はいまいち。やや塗りつぶしたような質感。音場感は普通の耳のせサイズのレベル。価格を考えれば特別悪くはないとは思うが、耳覆いのものと比べると劣る。また、普通のネックバンド型と比べて装着位置が下になるので、音の聴こえてくる位置が少しずれる。原音忠実性はいまいち。中域の癖が多少気になるし、原音の粗や生っぽさもあまり感じられない。エッジはきつくなく、基本的には聴き疲れしにくいが、ソースによっては中域が張り出すような感じで疲れることがある。
 明瞭さ、音の鮮やかさはいまいち。厚みは普通からやや薄め。温かみは悪くないように感じられるが、これは高域が出ないことと塗りつぶしたような質感からくるぬるま湯のような温かみで、生楽器や人声のリアルな温かみは感じられない。ヴォーカルの艶っぽさも同様。ノリが良いわけでも繊細なわけでもない、ただ何となく鳴らしている感じ。響きは適度。
 弦楽器は心地よさだけはあるが、繊細さや生楽器らしさが不足。金管楽器はいまいち。鮮やかさは最低限のものはあるのだが、力強さが足りないしやや癖がある。打ち込み系の音の表現はいまいち。低域の質感や圧力のなさが不満。
 大きな欠点はないが、これといった魅力には欠ける機種。

装着感
 良好。側圧は普通からやや強め。ネックバンドなので頭頂部がフリーになる点は良い。耳にかける部分がプラスチックなので、長時間使用すると耳が痛くなる。重量は軽く、ずれにくい。
 イヤーパッドは小さ目の耳のせサイズで、上下方向にも左右方向にも角度調節ができない。材質はきめの細かいスポンジのようなもので少し変わっているが、肌触りは悪くない。

その他
 遮音性及び音漏れ防止は悪い。
 作りは価格なり。デザインは少し変わっている印象は受けるが、特別悪くはないだろう。コードの本体側根元に断線防止用のゴム紐の補強がある点は良い。
 プラグは金メッキのL型ミニプラグ。コードの太さは約2.5mm、布巻きで柔らかく扱いやすい。イヤーパッドのサイズは、外周44mm×44mm。

付属品
無し



参考
周波数特性グラフ


比較メモ
iGrado
HS520はややかまぼこ、iGradoは低音より。低域はiGradoの方が厚み・量ともにかなり上。中域はHS520の方が低域に邪魔されない上、高い音ではっきり聴こえてくる。中高域はHS520の方がしっかり出る。高域はソースによって聴こえ方が変わってくるようだが、平均を取るとHS520の方がやや高く明るい感じ。分解能はほぼ同レベル。音の分離はHS520の方がやや上、一つ一つの音の微細な描写はiGradoの方がやや上。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルだが、HS520は装着位置が普通の機種よりも下なので、多少違う聴こえ方をする。原音忠実性はほぼ同レベルだが、どちらかと言うとiGradoの方が上。周波数特性的には、HS520は中域に癖があるのに対して、iGradoは低域の量が多すぎる。原音の粗や生っぽさはどちらもあまり感じられない。原音の実体感はiGradoの方がかなり上。エッジはどちらもきつくないが、HS520は中域が張り出すような感じで疲れることがあり、iGradoは音の圧力で疲れることがある。明瞭さ、音の鮮やかさはHS520の方がやや上。厚みはiGradoの方がかなりある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはiGradoの方がかなり上。iGradoの方がかなりノリが良い。低域でごり押しするようなノリの良さ。HS520はiGradoと比べるとかなり軽い。響きはiGradoの方が豊か。弦楽器はiGradoの方が繊細かつ心地よい。金管楽器はHS520の方が明るい鳴らし方だが、やや癖がある。打ち込み系の音の表現はiGradoの方がうまい。音の質感の相性はHS520の方が良いくらいだが、音の厚みや圧力が段違い。使い分けるなら、低域の量が多すぎるのを嫌うならHS520、中域の癖を嫌うならiGrado。あるいは、明瞭さや明るさ重視ならHS520、温かみや厚み重視ならiGrado。

LPSP-11000
HS520はややかまぼこ、LPSP-11000はやや低音より。低域はLPSP-11000の方が厚み・量ともにやや上。中域はHS520の方がやや張り出すような感じで目立つ。高域はHS520の方がやや高い音で明るい鳴らし方。分解能はHS520の方がやや上。どちらも塗りつぶしたような質感だが、HS520の方が多少その感じが少ない。音場感はHS520の方がやや広く明確。原音忠実性はHS520の方がやや上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに多少差がある。エッジはどちらもきつくないが、HS520の方が中域が張り出すような感じで聴き疲れすることが多い。明瞭さ、音の鮮やかさはHS520の方がやや上。厚みはLPSP-11000の方がややある。温かみはほぼ同レベル。ヴォーカルの艶っぽさはHS520の方がやや上だが、ソースによっては張り出すような感じで良くないので、そういうソースではLPSP-11000の方が良い。どちらもノリが良いわけでも繊細なわけでもなく、ただ何となく鳴らしている感じだが、どちらかと言えばHS520の方が明るい鳴らし方。LPSP-11000の方が重厚で安定感がある。響きはHS520の方がやや豊か。弦楽器はHS520の方がややうまい。LPSP-11000は生楽器らしさが足りない。金管楽器はHS520の方がやや鮮やかで楽しめる。打ち込み系の音の表現はどちらもいまいちだが、どちらかと言えばHS520の方がうまい。音の質感の相性や明るい鳴らし方が若干勝っている。使い分けるなら、基本的にはHS520、HS520では中域の癖が気になるならLPSP-11000。

MDR-G75LW
HS520はややかまぼこ、MDR-G75LWはややドンシャリ。低域はMDR-G75LWの方が厚みがあり、量も多い。HS520の方が薄く曇ったような低域。中域はMDR-G75LWの方がやや高い音なのだが、HS520の方が上ずって張り出すような感じで目立つ。ただ、HS520は曇ったような質なのであまり明瞭に聴こえてくる印象ではない。高域はMDR-G75LWの方が高い音で量も多い。分解能はMDR-G75LWの方が上。HS520は塗りつぶしたようにのっぺりとした質感。音場感は広さ・明確さともにほぼ同レベルだが、HS520は装着位置が普通の機種よりも下なので、多少違う聴こえ方をする。原音忠実性はMDR-G75LWの方が上。原音の粗や生っぽさが感じられる度合いに差がある。エッジはMDR-G75LWの方がややきついが、HS520の方が中域が張り出してキンキンするような感じで疲れることが多い。明瞭さ、音の鮮やかさはMDR-G75LWの方が上。厚みはMDR-G75LWの方がある。HS520の方がぬるま湯のような感じで温かみがあるように感じられる面もあるのだが、生楽器や人声のリアルな温かみという意味ではMDR-G75LWの方が上のように感じる。ヴォーカルの艶っぽさはMDR-G75LWの方が上。MDR-G75LWの方がかなりノリが良い。響きはMDR-G75LWの方がやや豊か。弦楽器はMDR-G75LWの方がうまい。HS520はとにかく生楽器らしさが不足。金管楽器はMDR-G75LWの方が鮮やかで力強い。打ち込み系の音の表現はMDR-G75LWの方がうまい。低域の質感、音の厚み、ダイナミックな鳴らし方等、様々な点で勝っている。使い分けるなら、基本的にはMDR-G75LW、よほど低域と高域が控え目な方が良いときだけHS520。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生






※生産終了










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スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック - 12Hz〜24kHz 106dB 24Ω
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
45g - 1.5m 片出し -

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2 4 2 2 3 3 均(中) 2100円
※生産終了

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公開日:2008.3.21