第2回 HFI-650 vs SR-225

 神様、ありがとう!
 と言うわけで、第2回はくじびきの結果HFI-650とSR-225になりました。これなら楽しめそうです。と言うのも、どちらも個人的に結構好きなヘッドホンですし、切れのある音など類似点も多いからです。もちろん密閉型と開放型という違いはありますが・・・

類似点:音の切れの良さ、音域傾向(どちらもややドンシャリ)
相違点:密閉型特有のこもり感の有無、音場感

 では、行ってみましょう。


・宇多田ヒカル「First Love」
HFI-650:
贅沢を言えばもう少しヴォーカルに温かみが欲しいですが、基本的にはなかなか艶っぽいですし、ほとんど文句ない音です。ギターや金管楽器の音は明確でありながらエッジはきつくなく、ベースの低音がしっかり音楽を支えてくれます。ヴァイオリンやピアノは美しいとまでは言えませんが、役割は十分果たしています。
SR-225:
ヴォーカルに温かみと繊細さが不足しています。個々の楽器の音が明確に聴き分けられる反面、エッジがきつめに感じられ、まとまりがありません。金管楽器の音とタンバリンがでしゃばり気味です。ベースも、もう少しおとなしくても良いように感じます。そうは言ってもさすがはSR-225、ヴォーカルに力があるし、楽しく聴けます。
比較:
HFI-650の方が温かみとまとまりがあります。この曲はヴォーカルを堪能する曲で、温かみと繊細さが重要だと思います。その点、SR-225はHFI-650に及ばないです。

・BUNP OF CHICKEN「天体観測」
HFI-650:
良くまとまっています。ヴォーカルはきちんと聴こえる上で、各楽器に勢いがあります。ベースの量は十分ですが、若干明確さに欠ける気がします。ギターやドラムは不満がない程度です。
SR-225:
切れが良く、ノリが良い。予想通り非常に相性が良いです。ベースやギターが非常に明確で、美しく聴こえます。それでいてヴォーカルも消されていません。ドラムはやや軽めに感じますが、十分及第点でしょう。各楽器が生き生きしていて、それでいてまとまりが悪いとは感じさせない。すごいです。
比較:
SR-225の方が良いです。決してHFI-650が悪いわけではないのですが、この曲では圧倒的にSR-225に分があります。

・system F「TOGHETHER」
HFI-650:
適度な切れと厚みのある音で、高域・低域ともに魅力的に聴かせてくれます。ノリが良く、しかもこの曲の表現している幸福感が良く伝わってきます。
SR-225:
シャキっとした音が心地良いです。やや粗が目立ちますが、ノリの良さでそれをカバーしている感じがします。それでもそれぞれの音が混ざったりはしないのがさすがです。ただし、この曲の温かみのある部分があまり感じられないのが残念です。
比較:
HFI-650の方がやや良いです。この曲とHFI-650はかなり相性が良いと思います。HFI-650とSR-225はどちらも切れがあり、ノリが良いのですが、この曲場合には密閉型の低音の厚みが程良く楽しめるHFI-650の方が向いているように感じました。

・「パッヘルベルのカノン」
HFI-650:
可もなく不可もなく、と言ったところでしょうか。弦楽器はやや自然さや繊細さに欠けますがそこそこ温かみがありますし、オルガンは気持ちよく聴こえてきます。
SR-225:
SR-225の長所であるクリアさが裏目に出て、ちょっと冷たく感じますが、弦楽器もオルガンもなかなか良いです。弦楽器の低音の自然な抜けは、やはり開放型有利ですね。残響音もあっさり気味かと思いきや意外としっかり響いてくれます。
比較:
弦楽器の自然さはやはり致命的ですね。と言うわけでSR-225の勝ちです。ただし、絶対値的見方をするならSR-225もそれほど自然と言うわけではないですし、温かみにも欠けるので、この曲に向いているとは言えません。自然さ・繊細さ・温かみ、この曲ではすべてが重要だと思います。

・ロード・オブ・ザ・リング オリジナルサウンドトラックより「The Bridge Of Khazad Dum」
HFI-650:
ブラスがなかなか美しいです。弦楽器や合唱も不満はないレベルです。また、HFI-650の残響音のあっさりさが良い方向に働いています。基本的にこの曲はちょっと響きすぎなので、そういう意味で相性が良いです。録音のノイズを拾いすぎで少し耳障りなのが難点です。
SR-225:
ブラスが非常に美しいです。それは分かっているつもりでしたが、改めて聴くと予想以上に良かったです。弦楽器も合唱も自然な抜けが良いです。
比較:
ブラスの輝きはSR-225に軍配があがりますが、音のまとまりはHFI-650の方が良いです。とは言っても、やはりこの曲はブラスの輝きを楽しむものだと思うので、SR-225の方が向いているでしょう。


 聴き比べをしていると結構気になるのが、タッチノイズ(ケーブルに触ったときの音)です。SR-225は全く気にならないのですが、HFI-650は非常に気になります。逆にSR-225は装着感の悪さがこの短時間でも気になるのですが。
 どちらも音質はなかなか良いのに、本腰を入れて音楽を楽しもうとすると欠点も大きいのが残念なヘッドホンです。ともあれ、どちらも個性的で他のヘッドホンにはない魅力があることは確かです。
 2台目のヘッドホンの購入を検討している人で、2万円台のものにランクアップしたい人なら、HFI-650もSR-225もかなりおすすめできる機種です。