第1回 ATH-EM7 vs T50RP

 いきなりとんでもない対決になりやがりましたね(涙)。こんなの比較レビューになるのでしょうか? と言うよりもやって意味があるのでしょうか? だいたい耳かけ型とオーバーヘッド(ry
 しかしそれがこのコーナー。いまさらやめません。

 奇しくも、この2台のヘッドホンは類似点と相違点がかなり明確です。

類似点:音の粒の粗さ、音域傾向(どちらもかまぼこ)
相違点:音の切れ、クリアさ、ヴォーカルの艶っぽさ

 抽象的な話はこのコーナーの趣旨に反するので、サクサク行ってみましょう。


・宇多田ヒカル「First Love」
ATH-EM7:
スカスカな音で、ヴォーカルがかなりつぶれていて、しかもかすれ音がきついです。ヴォーカルの音量自体大きく鳴らすのでなおさらです。ギターや金管楽器の音はエッジがきつめですがなかなか鮮明です。ヴァイオリンはともかくピアノは・・・ほとんど聴こえてこないですね。
T50RP:
なかなか艶っぽい声を聞かせてくれますが、ちょっと音量を上げるときつく感じます。ギターや金管楽器の音はいいのですが、ピアノがぬるくてつまらないです。ヴァイオリンはそれなりと言うところでしょうか。全体的にかすんだ音を鳴らすのですが、この曲との相性はなかなか良いようです。
比較:
この曲はヴォーカルを堪能する曲だと思うので、T50RPの方が向いているだろうなと予想していましたが、予想以上に差がつきました。ATH-EM7が予想より悪く、T50RPが予想より良かったという感じです。

・BUNP OF CHICKEN「天体観測」
ATH-EM7:
ヴォーカルはそれなりに聴けますが、ベースやドラムの低音が圧倒的に不足しています。その上、シンバル等の高音も出ないので、ノリが悪くつまらないです。どこか一つほめるならば、ギターでしょうか。
T50RP:
ヴォーカルがもともとくもりがちな曲なのに、そこにさらにT50RPの霞がかかって、魅力的とは言いがたいです。低音の厚みが薄いため、量はともかくベースやドラムが何を鳴らしているのか全く分かりません。はっきり言ってかなり相性が悪いです。
比較:
互角です。どっちもBUMPを聴くには向いてません。全然面白くありません。ヘッドホンを着けているのが苦痛になってきます。

・system F「TOGHETHER」
ATH-EM7:
なかなか相性が良いようです。ATH-EM7の音のスカスカさがあまり目立たず、切れの良さが感じられます。ただし、やはり低音が足りないためノリが良いとは言えないです。
T50RP:
低音も高音も不足していて、クリアさに欠けているため、全く楽しめません。BUMPも相性悪いと思いましたが、この曲も相当なものです。
比較:
ATH-EM7の圧勝。やはりトランスは音の切れが重要です。あまり響くと音が聴き分けられないですし、T50RPのようにかすんでいるなどもってのほか。

・「パッヘルベルのカノン」
ATH-EM7:
弦楽器は音がつぶれていて、しかも響かないので、温かみが感じられないです。オルガンはちょっと頑張りすぎですね。やたらシャキっとしていて、目立ちます。しかし、そこそこ相性良いと思います。
T50RP:
なかなかバランスが良いです。T50RPの独特の霞があまり気になりません。弦楽器はモニター用ヘッドホンとは思えないほど自然です。音量上げるとちょっときついですが。オルガンは控えめです。それでバランス良く聴こえるのかもしれません。
比較:
T50RPの方が若干良いですね。当然のことながら音場感が段違いですし、この曲の場合弦楽器の温かみが非常に重要だと思うので。

・ロード・オブ・ザ・リング オリジナルサウンドトラックより「The Bridge Of Khazad Dum」
ATH-EM7:
粗が目立つものの、ブラスの輝きがなかなか良いです。音が響かず迫力がない一方、低音も明確に感じられます。音場はどうしようもないですが。
T50RP:
ブラスに輝きが足りないです。全体的に低音の動きが感じにくく、響き過ぎるため、かすんだ音にもかかわらずきつく感じます。
比較:
この曲はブラスの輝きが全てだと思うので、楽しく聴けるかどうかならATH-EM7に軍配があがりますが、音場やバランスを考えるとT50RPの方が良いです。


 全部書き終わってから気づいたのですが、いったいT50RPのレビューを読みたいと思う人が何人いると言うのでしょうか? 需要がないもの書いてどうすんでしょう。
 次は需要があるヘッドホンがくじびきで当たることを願います。