HA-WD100

音質
 低音よりのドンシャリ。低域はある程度量が多い。全体的にしっかり出る。量が多い割にはあまりぼやけたり曇ったりしない上、厚みや圧力もある。重心はやや低め。中域はやや低域に埋もれる感じだが、聴こえてこないほどではない。質的にはどちらかと言うと明るい。高域は若干多め。どちらかと言うと明るい質で、粗が気になる。
 分解能は価格なりからやや悪いレベル。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。音場感は、広さは普通からやや狭め、明確さはいまいち。近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ。低域の量が多すぎる点は気になるが、それを除けばそれほど大きな違和感はない。原音の粗や生っぽさは必要量といった感じ。エッジのきつさは普通だが、低域の量や音の圧力と合わせて多少疲れる面がある。高域にしろヴォーカルのサ行にしろやや痛いと感じることはあるが、特に酷くはない。
 明瞭さはいまいちと評価すべきかそれなりと評価すべきか迷うところ、音の鮮やかさはそれなり。厚みは普通からやや厚め。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはそれなり。ヴォーカルは男性ヴォーカルも女性ヴォーカルもそれなりに聴けるが、どちらかと言うと芯が通っている傾向で、線の細さや透明感を求めるならあまり合わないだろう。ノリが良い傾向。低域に基づく迫力や力強さがあるし、切れやスピード感もそれほど悪くない。響きは適度で、こもり感は多少気になる。ソースによっては粗や歪みが気になることがある(特に高域はソースとまったく違う音に感じられることが希にある)。それに加えて、曲の途中で音が左右どちらか片方のみから鳴るような箇所では音がきちんと鳴らなくなったりノイズが乗ったりすることが希にある。
 弦楽器はやや粗があり繊細さに欠ける。金管楽器はそれなりに鮮やか。どちらかと言うと太く力強い傾向。打ち込み系の音の表現はそれなりと評価すべきかなかなか良いと評価すべきか迷うところ。音の質感の相性にしろ切れにしろ若干良い印象。ソースによっては厚みや低域の質が魅力的に感じられることもある。
 粗や歪みといった問題がないソースであれば、ワイヤレスヘッドホンとしては十分お薦めできる機種。

装着感
 良好。側圧はやや強めでずれにくい。ヘッドバンドのクッションはしっかり入っていて頭頂部への負担はあまり大きくない。
 イヤーパッドは耳を覆うサイズで、上下左右に角度調節ができる。材質はレザータイプの人工皮革で、硬さは普通。
 ヘッドバンドが短いため頭の大きい人は装着できない可能性が高い。

その他
 遮音性は良好、音漏れ防止は普通。音漏れ防止は密閉型としてはやや悪い。
 作りは価格なり。デザインはあまり癖がない。歩き回ったり再生機器を操作したりしても音飛びやノイズはほとんど発生しないが、イヤーパッドの固定方法が特殊なせいか激しく動かすとカチャカチャ音を立てるのがやや気になる。付属する接続コードや取扱説明書からすると、再生機器のヘッドホン出力に接続することを想定しているようだ。連続動作時間は取扱説明書によると約10時間となっているが、実測では約16時間(音量最大)。充電はヘッドホン部をトランスミッター部に乗せるだけで、特に気を使わなくても簡単にできる(乗せにくいあるいは接触が悪いといった問題はない)。ヘッドホン部の左ハウジングのボリュームで音量調節ができる(プラスまたはマイナスのボタンを押して上下するタイプで17段階、再生機器のボリュームを適度にしておけばそれなりに実用的なステップ)。ボリューム最小でもそれなりの音量で音が鳴る。最大通信距離は30mという表記になっているが、遮蔽物があると5mほどで音が途切れることもある。無音時のホワイトノイズはほとんどない。遅延はほとんどない(ただし、楽器演奏やアクションゲーム等でシビアに見るなら問題になる可能性はゼロではない)。
 イヤーパッドのサイズは、外周96mm×82mm、内周56mm×36mm、深さ16mm。

付属品
ACアダプター
RCA-ステレオミニプラグケーブル



参考
メーカー製品ページ

周波数特性グラフ


比較メモ
ATH-PRO5MK2
ATH-PRO5MK2は低音より、HA-WD100は低音よりのドンシャリ。低域はほぼ同量。ATH-PRO5MK2の方がややぼやけた質。重心はHA-WD100の方が若干低い。中域は微妙。基本的にはHA-WD100の方がやや明るくはっきり聴こえてくる。ATH-PRO5MK2はソースによっては張り出すような癖が気になることがあるが、HA-WD100はそういうことはない。高域はHA-WD100の方が若干量が多い。硬く明るい質で目立つ。ATH-PRO5MK2の方が粗がない。分解能はHA-WD100の方が若干上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ大差ないが、どちらかと言うとHA-WD100の方が勝っている。音場感はATH-PRO5MK2の方が若干広く明確。HA-WD100の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はHA-WD100の方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはHA-WD100の方が若干感じられる。エッジはHA-WD100の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はHA-WD100の方がやや痛い。ヴォーカルのサ行はソースによって変わりやすい印象だが、基本的には大差ない痛さ。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-WD100の方が若干上。厚みはほぼ同レベル。温かみはATH-PRO5MK2の方が若干感じられる、ヴォーカルの艶っぽさはHA-WD100の方が若干感じられる。ヴォーカルは、ATH-PRO5MK2の方がややスモーキー、HA-WD100の方が癖がない。HA-WD100の方が若干ノリが良い。切れやメリハリがある。響きはATH-PRO5MK2の方が若干豊かでこもり感が気になる。HA-WD100の方が全体的に粗が気になる。弦楽器は、ATH-PRO5MK2の方が滑らかで心地よい、HA-WD100の方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器はHA-WD100の方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はHA-WD100の方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、滑らかさや音場の広さを求めるならATH-PRO5MK2、切れや明るさを求めるならHA-WD100。

H118
H118は低音より、HA-WD100は低音よりのドンシャリ。低域はH118の方が若干量が多い。ただし、一部帯域はHA-WD100の方がしっかり出るため、ソースによってはHA-WD100の方が多いように感じられることがある。H118の方が癖のない質。重心はHA-WD100の方が若干低い。中域はHA-WD100の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHA-WD100の方がやや量が多い。明るい質で目立つ。H118の方が粗がない。分解能は微妙。音の分離はHA-WD100の方が若干上、一つ一つの音の微細な描写はH118の方が粗なく丁寧にこなしてくれる。音場感は、HA-WD100の方が若干広い、H118の方が若干明確。H118の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性は微妙。H118の方が一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはHA-WD100の方が感じられる。エッジはHA-WD100の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHA-WD100の方がやや痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-WD100の方がやや上。厚みはH118の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさははH118の方が若干感じられる。ヴォーカルは、H118の方がややスモーキー、HA-WD100の方が擦れやリップノイズを出してくれる。HA-WD100の方が明るくノリが良い。切れやメリハリがある。響きは、低域はH118の方がやや豊か、高域はHA-WD100の方がやや豊か。H118の方がややこもり感が気になる。HA-WD100の方が全体的に粗が気になる。弦楽器は、H118の方が滑らかで心地よい、HA-WD100の方が生楽器らしさが感じられる。金管楽器はHA-WD100の方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はHA-WD100の方がややうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、粗のなさや温かみを求めるならH118、高域の量やメリハリを求めるならHA-WD100。

HA-S800
どちらも低音よりのドンシャリ。低域はHA-S800の方が若干量が多い。HA-S800の方がぼやけたり曇ったりする質。重心はHA-WD100の方が若干低い。中低域はHA-S800の方がしっかり出る。中域はHA-WD100の方がやや明るく、低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。高域はHA-WD100の方が若干量が多い。硬く明るい質で目立つ。HA-S800はやや独特のざらつきがあるのに対して、HA-WD100は普通に粗がある。程度はソースによるが、基本的にはHA-WD100の方が酷い印象。分解能はHA-WD100の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はHA-WD100の方がやや広く明確。HA-S800の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はHA-WD100の方がやや上。一聴して違和感がない。原音の粗や生っぽさはHA-WD100の方がやや感じられる。エッジはHA-WD100の方が若干きついが、HA-S800は低域の量やこもり感で疲れる面があるため、総合的な聴き疲れはソースや聴く人によって変わってくるだろう。高域にしろヴォーカルのサ行にしろHA-WD100の方が若干痛い。明瞭さ、音の鮮やかさはHA-WD100の方がやや上。厚みはHA-S800の方が若干ある。温かみは曇っている分HA-S800の方が感じられる面もあるが、人声や生楽器のリアルな温かみという意味ではHA-WD100の方が上。ヴォーカルの艶っぽさはHA-WD100の方が若干感じられる。HA-WD100の方が癖がなくソースを選ばない、HA-S800の方がスモーキー。HA-WD100の方がやや明るくノリが良い。切れやメリハリがある。響きはHA-S800の方がやや豊かでこもり感が気になる。HA-WD100の方が全体的に粗が気になる。弦楽器は、HA-S800の方がやや滑らか、HA-WD100の方がやや生楽器らしさが感じられる。金管楽器はHA-WD100の方がやや鮮やかで、金属的な質感を出してくれる。打ち込み系の音の表現はHA-WD100の方がうまい。音の質感の相性や切れで勝っている。使い分けるなら、粗のなさや中低域の量を求めるならHA-S800、明瞭さやメリハリを求めるならHA-WD100。

RP-HT560
HA-WD100は低音よりのドンシャリ、RP-HT560はかなりフラット。低域はHA-WD100の方がやや量が多い。厚みや圧力があるため存在感がある。重心はHA-WD100の方がやや低い。中域はRP-HT560の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にはHA-WD100の方が若干明るい。高域はHA-WD100の方が若干量が多い。RP-HT560の方が線が細く粗がない。分解能はRP-HT560の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感はRP-HT560の方がやや広く明確。HA-WD100の方が近くで音を鳴らす感じで頭内定位が気になりやすい。原音忠実性はRP-HT560の方がやや上。周波数特性上の癖のなさで勝っているし、一聴して違和感がない。原音の粗はHA-WD100の方がやや感じられるが、これは粗が感じられると言うより単に粗っぽい音と言った方が適切かもしれない。生っぽさはほぼ同レベル。エッジはHA-WD100の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域にしろヴォーカルのサ行にしろ大差ない痛さだが、HA-WD100の方が粗っぽく痛い感じ、RP-HT560の方が細く刺さる感じ。明瞭さはRP-HT560の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはHA-WD100の方がある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはRP-HT560の方が若干感じられる。ヴォーカルはRP-HT560の方が癖がなくソースを選ばない。HA-WD100の方がノリが良い、RP-HT560の方が繊細。HA-WD100の方が低域に基づく迫力や力強さがある。響きはHA-WD100の方が若干豊かでこもり感が気になる。HA-WD100の方が全体的に粗が気になる。RP-HT560は人によっては何を聴いてもつまらないということがありうるだろうが、HA-WD100はあまりそういうことはないだろう。弦楽器はRP-HT560の方が繊細だし、音色も自然。金管楽器は、HA-WD100の方が太く力強い、RP-HT560の方が細く綺麗。打ち込み系の音の表現は微妙。音の質感の相性や切れは大差ない。HA-WD100の方が厚みや低域の質が合うが、粗や癖が気になることも多い。使い分けるなら、厚みや低域の量を求めるならHA-WD100、音場の広さや原音忠実性を求めるならRP-HT560。

TH-WR700
HA-WD100は低音よりのドンシャリ、TH-WR700はややドンシャリ。低域はHA-WD100の方が若干量が多い。HA-WD100の方が癖のない質、TH-WR700の方が圧力のある質。重心はTH-WR700の方が低い。中低域はHA-WD100の方がしっかり出る。中域はTH-WR700の方が低域に邪魔されずはっきり聴こえてくる。質的にはソースによって印象が変わりやすい。高域はほぼ同量。質的にはそれなりに似ているが、粗がある分HA-WD100の方が目立つ印象。分解能はTH-WR700の方がやや上。音の分離にしろ一つ一つの音の微細な描写にしろ若干勝っている。音場感は、HA-WD100の方が若干広い、TH-WR700の方がやや明確。原音忠実性は微妙。周波数特性上の癖のなさはHA-WD100の方が若干上。原音の粗はHA-WD100の方がやや感じられるが、これは粗が感じられると言うより単に粗っぽい音と言った方が適切かもしれない。生っぽさはほぼ同レベル。エッジはHA-WD100の方がややきつく聴き疲れしやすい。高域はHA-WD100の方が若干痛い、ヴォーカルのサ行はTH-WR700の方が若干痛い。明瞭さはTH-WR700の方が若干上、音の鮮やかさはほぼ同レベル。厚みはTH-WR700の方が若干ある。温かみ、ヴォーカルの艶っぽさはHA-WD100の方が若干感じられる。TH-WR700の方が若干ノリが良い。切れやメリハリがある。響きはHA-WD100の方が若干豊か。HA-WD100の方が全体的に粗が気になる。弦楽器はTH-WR700の方が滑らかで聴きやすい。金管楽器は鮮やかさという意味では大差ない。HA-WD100の方が粗や癖が気になる。打ち込み系の音の表現はTH-WR700の方が若干うまい。切れで勝っている。使い分けるなら、響きや中低域の量を求めるならHA-WD100、切れや粗のなさを求めるならTH-WR700。

サイン波応答


位相+高周波歪み


インパルス応答(CSD)


インパルス応答(録音波形)


100Hz・1kHz・10kHzサイン波の再生














戻る





スペック

駆動方式 構造 周波数帯域 音圧感度 インピーダンス
ダイナミック 密閉型 30Hz〜22kHz - -
重量 ドライバー直径 コードの長さ コードの出し方 備考
250g 40mm - - ワイヤレス

評点

音質 装着感 遮音性 音漏れ デザイン 携帯性 音の傾向 参考最安価格
2.5 4 4 3 4 1 低(高) 5800円

TOP > ヘッドホンレビュー > HA-WD100

公開日:2013.9.28