第73回 プラグの金メッキの変化

 今回はヘッドホンのプラグの金メッキの話です。金メッキの色合いが製品によって異なるのは昔から気づいていましたが、どうもここ数年色合いの薄いものが多くなっているような気がします。色合いの違いがメッキの厚みによるものなのかメッキの質の違いによるものなのかといったことは蛍光X線で測定でもしないと分かりませんが、使い込んでメッキが磨耗したものは色合いが薄くなって銀色に近くなるのは確かですし、メッキが薄いと耐久性が落ちるはずなので気になるところです。ほとんどないとは思いますが、音質への影響もあるかもしれません。
 なお、経年変化で金メッキの色合いが濃くなるという話を耳にすることがあり、実際私もそのように感じた経験がありますが、昔の写真や自分の記憶の中にある色合いから考えても最近のものは昔と比べて色合いが薄いように思われます。
 ちなみに、金の相場はこの10年で約3倍に高騰しているので、価格を維持しようとすれば薄くなっても当然と言えば当然だと思います。

 ともあれ、何となくで話をしていても仕方ないのでプラグの金メッキの色合いに違いがあるのかどうか写真を撮って見比べてみたいと思います。やり方は色々考えられるでしょうが、今回は私の所有しているものの中から古いものと新しいもの(2005年以前に購入したものと2012年以降購入にしたもの)を各10個ずつ、価格や形状がバラけるように選ぶことにしました。写真では微妙な写り具合が問題になってくるので、新旧ペアで価格や形状の近いものを並べて写真を撮影しました。
 結果は以下のとおりです(すべて左側が古いもの、右側が新しいものになっています)。

・ATH-AD2000(購入年月:2005年1月) SRH1840(購入年月:2012年4月)

・dj1001(購入年月:2004年12月) HDJ-2000(購入年月:2012年7月)

・MDR-F1(購入年月:2004年9月) H118(購入年月:2013年4月)

・DT770PRO(購入年月:2004年12月) CUSTOM ONE PRO(購入年月:2012年11月)

・K501(購入年月:2004年10月) K612PRO(購入年月:2013年9月)

・SE-900D(購入年月:2005年3月) MDR-MA900(購入年月:2012年4月)

・HFI-15G(購入年月:2005年2月) HI2050(購入年月:2012年1月)

・E4c(購入年月:2005年11月) TF10(購入年月:2013年1月)

・RP-HJE70(購入年月:2005年8月) RZE-S70(購入年月:2013年10月)

・HE580(購入年月:2005年7月) SE-CE521(購入年月:2012年8月)

 思った以上に微妙な違いになっている印象です。現物を見るともう少し差がはっきりしているように感じられます。写真で見比べる場合には、反射して白っぽくなっている部分や黒っぽくなっている部分を除外して、しっかりした金色になっている部分に注目すると分かりやすいと思います。
 人によってはすべて大差ないように見えるかもしれませんが、じっくり見比べてどちらの色合いが濃いのか2択で結論を出すとすると、個人的には10枚中10枚すべてで古いものの方が色合いが濃くなっているように見えます。違いが微妙なものは除くとしても、半分以上は古いものの方が濃いように見えるのではないでしょうか。逆に新しいものの方が濃くなっている写真は、誰が見てもほとんどないと推測されます。
 先ほど書いたとおり、経年変化で色合いが濃くなった影響があるかもしれないので断定はできませんが、今回の結果を見るともしかしたら最近の金メッキは厚みが薄くなっていたり質が変化したりしているのかもしれません。
 ちなみに、この20台は現物のプラグの色合いを見ずに選んだので、実際よりも色合いの違いが大きいものばかりになっていたり逆に小さいものばかりになっていたりという可能性もないことはないでしょうが、逆に言えば私の操作が介入していないという面もあります。
 それからヘッドホンの中にはNEUTRIKのプラグを採用しているもの(私の所有しているものではPRO900とT1)もありますが、今回は意図的に外しました。他のものとは明らかに色合いが異なるためです。どうも製造方法からして蒸着メッキということで、大抵のヘッドホンのプラグとは違うようです。非常に色合いが濃いので、「濃い方がメッキが厚そうで安心感がある」と思う人はNEUTRIKのプラグを採用しているヘッドホンを選ぶと良いのではないでしょうか。

・SRH1840(購入年月:2012年4月) T1(購入年月:2013年6月)

 それでは、今回はこの辺で。







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